JP6779675B2 - 帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 - Google Patents

帯電部材、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は帯電部材、それを用いたプロセスカートリッジ、及び、電子写真画像形成装置(以下「電子写真装置」と称す)に関する。
電子写真感光体(以下「感光体」と称す)の表面を帯電する方式の1つとして、接触帯電方式がある。接触帯電方式は、感光体に接触配置された帯電部材に電圧を印加し、該帯電部材と該感光体との間の当接部近傍で微少な放電をさせることによって、該感光体の表面を帯電する方式である。
接触帯電方式に用いられる帯電部材においては、帯電部材と感光体との当接ニップを十分に確保する観点から、導電性の弾性層を有する構成が一般的である。しかしながら、導電性弾性層には低分子量成分が含まれるため、この低分子量成分が帯電部材の表面にブリードし、画像欠陥を生じることがある。そのため、低分子量成分の帯電部材の表面へのブリードの抑制を目的として、導電性弾性層上に表面層を設けることがある。
特許文献1では、導電性ロール基材の表面をゾル−ゲル法によって形成される無機酸化物膜で被覆することを提案している。
特開2001−173641号公報
近年、電子写真装置の用途拡大に伴い、電子写真装置にはより一層の高速化・高耐久化が求められている。そのため、感光体を長期にわたり安定に帯電させることが可能な帯電部材が求められている。
本発明者らの検討によれば、特許文献1に係る導電性ロールを帯電部材として使用した場合、プロセススピードの高速化に伴い、特に低温低湿下において局所的な強い放電(異常放電)が発生する場合があることが判明した。また、画像形成を長期にわたって継続すると、導電性ロールの表面が摩耗し、摩耗した部分に汚れが蓄積し、その汚れに起因して、電子写真画像に「ポチ」と称するドット状の欠陥が発生する場合があった。
本発明の一態様は、低温低湿下においても局所的な強い放電(異常放電)の発生を抑制することができ、かつ、耐摩耗性にも優れた帯電部材の提供に向けたものである。
また、本発明の他の態様は、高品位な電子写真画像を安定して形成可能なプロセスカートリッジ、及び、電子写真装置の提供に向けたものである。
本発明の一態様によれば、支持体と、該支持体上の表面層とを有する帯電部材であって、該表面層が下記式(a)で表される化合物を有する帯電部材が提供される:
Figure 0006779675
(式(a)中、
P1は、樹脂を表し、
R1は、水素原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
L1は、M1On/2で表される構造単位を有するポリメタロキサンを表し、M1は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Al、Ga、In及びGeからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属原子を表し、
nは、金属原子M1の価数がpである場合、1以上p以下の整数を表し、
X1は、下記式(1)〜(4)で表されるいずれかの構造を表し、
Figure 0006779675
(式(1)〜(4)中、*は、A1との結合部位を表し、**は、L1中のM1との結合部位を表す。)
Y1は、L1中のM1に配位する部位を有する基を表し、
A1は、
(i)X1が式(1)で表される構造である場合、
M1、X1、及びY1と共に4〜8員環を形成するのに必要な原子団であって、かつ、芳香環を含み、芳香環を構成する1つの炭素原子はX1の酸素原子に結合しており、
(ii)X1が式(2)〜(4)のいずれかで表される構造である場合、
M1、X1、及びY1と共に4〜8員環を形成するのに必要な結合又は原子団を表す。)。
また、本発明の他の態様によれば、支持体と、該支持体上の表面層とを有する帯電部材であって、該表面層が下記式(b)で表される化合物を有する帯電部材が提供される:
Figure 0006779675
(式(b)中、
P2は、樹脂を表し、
R2は、水素原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
M2は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Al、Ga、In及びGeからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属原子を表し、
R3は、水素原子、又は、炭素数1〜4の炭化水素基を表し、
mは、金属原子M2の価数がqである場合、q−1であり、
kは、1以上m以下の整数を表し、
X2は、下記式(5)〜(8)で表されるいずれかの構造を表し、
Figure 0006779675
(式(5)〜(8)中、*は、A2との結合部位を表し、**は、M2との結合部位を表す。)
Y2は、M2に配位する部位を有する基を表し、
A2は、
(i)X2が式(5)で表される構造である場合、
M2、X2、及びY2と共に4〜8員環を形成するのに必要な原子団であって、かつ、芳香環を含み、芳香環を構成する1つの炭素原子はX2の酸素原子に結合しており、
(ii)X2が式(6)〜(8)のいずれかで表される構造である場合、
M2、X2、及びY2と共に4〜8員環を形成するのに必要な結合又は原子団を表す。)。
また、本発明の他の態様によれば、感光体と、該感光体の表面を帯電可能に配置された帯電部材とを備え、かつ、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、該帯電部材が上記の帯電部材であるプロセスカートリッジが提供される。
また、本発明の更に他の態様によれば、感光体と、該感光体の表面を帯電可能に配置された帯電部材とを備えている電子写真装置であって、該帯電部材が上記の帯電部材である電子写真装置が提供される。
本発明の一態様によれば、低温低湿下においても局所的な強い放電(異常放電)の発生を抑制することができることに加え、表面の耐摩耗性に優れた帯電部材を提供することができる。
また、本発明の他の態様によれば、安定して高品位な電子写真画像を形成し得るプロセスカートリッジ及び電子写真装置を得ることができる。
本発明に係る帯電部材の一実施形態の断面図である。 本発明に係る電子写真装置の一実施形態の断面図である。 本発明に係るプロセスカートリッジの一実施形態の断面図である。 表面層の一例のイオンクロマトグラムである。 表面層の一例のマイクロMS解析結果である。 表面層の原料物質のマイクロMS解析結果である。
本発明者らは、上記課題の解決に向けて鋭意検討した結果、表面層に下記式(a)で表される化合物、および、下記式(b)で表される化合物のいずれか一方または両方を含む帯電部材において、異常放電の発生の抑制と耐摩耗性の向上の両立が可能であることを見出した。
Figure 0006779675
式(a)中、
P1は、樹脂を表し、
R1は、水素原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
L1は、M1On/2で表される構造単位を有するポリメタロキサンを表し、M1は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Al、Ga、In及びGeからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属原子を表し、
nは、金属原子M1の価数がpである場合、1以上p以下の整数を表し、
X1は、下記式(1)〜(4)で表されるいずれかの構造を表し、
Figure 0006779675
式(1)〜(4)中、*は、A1との結合部位を表し、**は、L1中のM1との結合部位を表す。
Y1は、L1中のM1に配位する部位を有する基を表し、
A1は、
(i)X1が式(1)で表される構造である場合、
M1、X1、及びY1と共に4〜8員環を形成するのに必要な原子団であって、かつ、芳香環を含み、芳香環を構成する1つの炭素原子はX1の酸素原子に結合しており、
(ii)X1が式(2)〜(4)のいずれかで表される構造である場合、
M1、X1、及びY1と共に4〜8員環を形成するのに必要な結合又は原子団を表す。
Figure 0006779675
式(b)中、
P2は、樹脂を表し、
R2は、水素原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
M2は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Al、Ga、In及びGeからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属原子を表し、
R3は、水素原子、又は、炭素数1〜4の炭化水素基を表し、
mは、金属原子M2の価数がqである場合、q−1であり、
kは、1以上m以下の整数を表し、
X2は、下記式(5)〜(8)で表されるいずれかの構造を表し、
Figure 0006779675
式(5)〜(8)中、*は、A2との結合部位を表し、**は、M2との結合部位を表す。
Y2は、M2に配位する部位を有する基を表し、
A2は、
(i)X2が式(5)で表される構造である場合、
M2、X2、及びY2と共に4〜8員環を形成するのに必要な原子団であって、かつ、芳香環を含み、芳香環を構成する1つの炭素原子はX2の酸素原子に結合しており、
(ii)X2が式(6)〜(8)のいずれかで表される構造である場合、
M2、X2、及びY2と共に4〜8員環を形成するのに必要な結合又は原子団を表す。
このような化合物を表面層に含む帯電部材において、異常放電の発生が抑制される理由を、本発明者らは以下のように考えている。
大気中の近接放電現象はパッシェン則に従い発生する。この現象は、遊離した電子が電界によって加速され、電極間に存在する分子や電極と衝突して電子、陽イオン及び陰イオンを生成する過程を繰り返す、電子雪崩の拡散現象である。この電子雪崩は電界に従って拡散し、拡散が最終的な放電電荷量を決定する。パッシェン則に従う条件よりも過剰な電界となれば、局所的な強い放電、すなわち異常放電が発生しやすくなる。
低温低湿下では、常温常湿下と比較して電極間に存在する分子が少ないことから、パッシェンの法則から導かれる放電開始電圧よりも放電開始電圧が高くなる傾向にある。放電開始電圧が高くなることで、パッシェン則に従う条件よりも過剰な電界になりやすく、低温低湿下では異常放電が発生しやすくなっている。
本発明に係る化合物は、ポリメタロキサン、金属アルコキシド、又は、金属ヒドロキシド中の金属原子に特定の構造を有する配位子が配位及び結合することにより、当該配位子が配位する前と比較して最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位が浅くなっている。その結果、本発明に係る帯電部材の表面層からは電子が放出されやすくなっている。そのため、放電開始電圧が下がり、放電電荷量が抑制されることで、異常放電の発生が抑制されているものと考えられる。
また、係る化合物を表面層に含む帯電部材が耐摩耗性に優れている理由を、本発明者らは以下のように考えている。
特許文献1に係る表面層は、成膜性が良好でなく、成膜時に表面に微小なクラックが発生しやすいことを本発明者らは知見している。これは、表面層が金属酸化物単独から構成されており硬いことに因るものと考えられる。表面層の表面に微小なクラックが存在すると、感光体との摺擦によってクラックに応力が集中すると考えられるため、クラックを起点として摩耗が進行しやすいと推測される。
これに対し、本発明に係る帯電部材では、表面層を構成する、ポリメタロキサン、金属アルコキシド、又は、金属ヒドロキシドに対して、樹脂が結合しているため、表面層の柔軟性が向上していると考えられる。そのため、表面層の成膜性が向上して、成膜時の微小なクラックの発生が抑制され、帯電部材の表面の磨耗が抑制されている。
以下、本発明の実施の形態の詳細を述べるが、本発明は以下に限定されるものではない。
<帯電部材>
帯電部材の一実施形態として、ローラ形状の帯電部材(以下、「帯電ローラ」と称す場合がある。)を説明する。帯電部材の形状は、ローラ形状に限定されるものではなく、いずれの形状であってもよい。
図1は、支持体1上に弾性層2及び表面層3を有する帯電ローラの断面図である。帯電ローラは、感光体との当接ニップを十分に確保するために、弾性層2を有する構成が好ましく用いられる。支持体1と弾性層2との間や弾性層2と表面層3との間に別の層を1つ又は2つ以上設けてもよい。
〔表面層〕
表面層3は、上記式(a)で表される化合物、および、上記式(b)で表される化合物のいずれか一方または両方を含んでいる。
以下、式(a)、及び(b)で表される化合物についてそれぞれ詳細に説明する。
〈式(a)で表される化合物〉
〈〈樹脂(P1)〉〉
P1は、表面層3中においてバインダー樹脂を構成する部分である。
P1は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又は、フェノール樹脂であることが好ましい。これらの中でも、優れた可とう性、および、寸法安定性を持ち、高い耐摩耗性を有することから、アクリル樹脂が好ましい。
P1がアクリル樹脂である場合、上記式(a)で表される化合物は、具体的には、下記式(11)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 0006779675
式(11)中、R11は、水素原子、又は、メチル基を表し、R12は、炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、R13は、水素原子、又は、炭素数1〜4の炭化水素基を表す。式(11)中のR12は、メチレン基であることが好ましい。
P1は、下記式(12)で表される構造単位及び下記式(13)で表される構造単位のいずれか一方又は両方を、更に有することが好ましい。
Figure 0006779675
式(12)中、R14は、水素原子、又は、メチル基を表し、R15は、水素原子、又は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
Figure 0006779675
式(13)中、R16は、水素原子、又は、メチル基を表す。
P1が、下記式(12)で表される構造単位及び下記式(13)で表される構造単位のいずれか一方又は両方を有する場合、帯電部材の表面の耐摩耗性がより一層向上する。
〈〈ポリメタロキサン(L1)〉〉
L1は、M1On/2で表される構造単位を有するポリメタロキサンを表し、nは、金属原子M1の価数がpである場合、1以上p以下の整数を表し、M1は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Al、Ga、In及びGeからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属原子を表す。L1は、上記Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Al、Ga、In及びGeのうち複数種の金属原子を含んでいてもよい。これらの中でも、剛直な分子構造を有すること、および、安定した金属錯体をつくりやすいことから、L1はTiOn/2で表される構造単位を有することが好ましい。
〈〈配位子〉〉
A1、X1、及び、Y1で構成される構造は、L1(ポリメタロキサン)中の金属原子に配位及び結合する配位子である。
配位子はL1中の少なくとも一つの金属原子に配位及び結合している。式(a)において、配位子は必ずしも式(a)中の酸素原子に直接結合している金属原子に対して配位及び結合している必要はなく、L1中のいずれかの金属原子に配位及び結合していればよい。配位子は、ポリメタロキサン中の金属原子1モルに対して、0.5モル以上3.5モル以下、特には、1モル以上3モル以下の範囲で含まれることが好ましい。配位子の含有量がこの範囲であると、異常放電の発生がより一層抑制された帯電部材を得ることが可能である。
式(a)中のX1は、下記式(1)〜(4)で表されるいずれかの構造を表す。
Figure 0006779675
式(1)〜(4)中、*は、A1との結合部位を表し、**は、L1中のM1との結合部位を表す。
式(2)中の窒素原子は、ピロール骨格、インドール骨格、ピロリジン骨格、カルバゾール骨格、イミダゾール骨格、ベンゾイミダゾール骨格、ピラゾール骨格、インダゾール骨格、トリアゾール骨格、ベンゾトリアゾール骨格、テトラゾール骨格、ピロリドン骨格、ピペリジン骨格、モルホリン骨格、ピペラジン骨格の如き複素環中の窒素原子であってもよい。これらの骨格は、置換基を有していてもよい。置換基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐の、アルキル基又はアルコキシ基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜4である。(以降に登場する置換基も、特別の記載が無い限り、ここで記載した置換基と同様である。)窒素原子が複素環中の窒素原子でない場合において、窒素原子が、A1及びM1以外で結合している原子又は基は、水素原子、置換もしくは未置換のアリール基又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。具体的には、フェニル基、ナフチル基などのアリール基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基などの直鎖のアルキル基、イソプロピル基、t−ブチルなどの分岐鎖を持つアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの環状アルキル基が挙げられる。特に、式(2)で表される基としては、未置換のアミノ基、炭素数1〜4のモノアルキルアミノ基及びピロール骨格を有する基から、窒素原子に結合する水素原子を1つ取り除いた基であることがよい。
式(a)中のY1は、L1中のM1に配位する部位を有する基を表し、非共有電子対を持つ原子を含む基である。具体的には、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、カルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオカルボニル基、置換又は未置換のアミノ基、置換又は未置換のイミノ基が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、t−ブトキシ基が挙げられる。好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基である。
アリールオキシ基としては、置換又は未置換の、フェノキシ基、ナフチルオキシ基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、アルコキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えた基が挙げられる。
アリールチオ基としては、アリールオキシ基の酸素原子を硫黄原子に置き換えた基が挙げられる。
カルボニル基としては、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アミド基(R−CO−NR−又はR−NR−CO−)、ウレイド基(NH2−CO−NH−)、ウレア基(R−NH−CO−NH−)が挙げられる。アルキルカルボニル基およびアルコキシカルボニル基中のアルキル基、並びに、アミド基、及びウレア基中Rは、それぞれ、炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキル基であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などの直鎖のアルキル基、イソプロピル基、t−ブチル基などの分岐鎖のアルキル基が挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜4である。
アリールカルボニル基としては、置換もしくは未置換の芳香族炭化水素とカルボニル基とが結合した基、又は、置換もしくは未置換の芳香族複素環とカルボニル基とが結合した基が挙げられる。具体的には、置換又は未置換の、フェニルカルボニル基及びナフチルカルボニル基が挙げられる。
チオカルボニル基としては、前記カルボニル基の酸素原子を硫黄原子に置き換えた基が挙げられる。
置換されたアミノ基としては、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、置換又は未置換のアリールアミノ基が挙げられる。具体的には、モノメチルアミノ基、モノエチルアミノ基の如き炭素数1〜10のモノアルキルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基の如き炭素数1〜10のジアルキルアミノ基、モノフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基の如きアリールアミノ基が挙げられる。アリールアミノ基は置換基を有していてもよい。
未置換のイミノ基は、>C=NH又はN=CHと表される基である。未置換のイミノ基中の水素原子は、炭素数1〜10のアルキル基、又は、置換もしくは未置換のアリール基(フェニル基、ナフチル基)によって置換されていてもよい。
Y1は、上記したものの他、脂肪族又は芳香族の複素環骨格を有する基であってもよい。芳香族の複素環骨格としては、チオフェン骨格、フラン骨格、ピリジン骨格、ピラン骨格、ベンゾチオフェン骨格、ベンゾフラン骨格、キノリン骨格、イソキノリン骨格、オキサゾール骨格、ベンゾオキサゾール骨格、チアゾール骨格、ベンゾチアゾール骨格、チアジアゾール骨格、ベンゾチアジアゾール骨格、ピリダジン骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、フェナジン骨格、アクリジン骨格、キサンテン骨格、イミダゾール骨格、ベンゾイミダゾール骨格、ピラゾール骨格、インダゾール骨格、トリアゾール骨格、ベンゾトリアゾール骨格及びテトラゾール骨格が挙げられる。脂肪族の複素環骨格としては、モルホリン骨格が挙げられる。これらの複素環骨格は置換基を有していてもよい。
Y1としては、特には、ヒドロキシ基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換又は未置換のフェノキシ基、置換又は未置換のナフチルオキシ基、ホルミル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルカルボニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシカルボニル基、チオカルボニル基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、エチルメチルアミド基、未置換のアミノ基、モノメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノフェニルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、未置換のイミノ基、メチルイミノ基、エチルイミノ基、ピリジン骨格を有する基、カルボニル基、キノリン骨格を有する基、又は、イソキノリン骨格を有する基であることが好ましい。
式(a)中のA1は、X1が式(1)である場合に、M1、X1、及びY1と共に4〜8員環を形成するのに必要な原子団であって、かつ、芳香環を含み、芳香環を構成する1つの炭素原子はX1の酸素原子に結合している。具体的なA1としては、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環、ピロール環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、キノリン環及びイソキノリン環等)を含む原子団が挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよい。A1としては、特には、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環)を含む原子団であることが好ましい。A1が芳香環を含む原子団である場合、Y1の芳香族複素環、X1の芳香族複素環、又はその両方の芳香族複素環と縮合環を形成してもよい。
なお、X1が式(1)である場合のA1は、芳香環を有することが重要である。芳香環を有する場合の方が、A1、M1、X1、及びY1によって形成される構造を有する金属錯体によって形成される構造を有する金属錯体の安定性が高く、帯電部材の性能安定性も高い。
式(a)中のA1は、X1が式(2)〜(4)で表されるいずれかの構造である場合に、M1、X1、及びY1と共に4〜8員環を形成するのに必要な結合又は原子団を表す。具体的なA1としては、結合、アルキレン基、又は、メチレン基、エチレン基などのアルキレン基、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環、ピロール環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、キノリン環及びイソキノリン環)を含む原子団が挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよい。A1としては、特には、結合、アルキレン基、又は、芳香環(ベンゼン環、ナフタレン環)を含む原子団であることが好ましい。
式(a)において、A1、M1、X1、及びY1によって形成される環は、錯体の形成容易性の観点から、5員環又は6員環であることが好ましい。
式(a)中のA1、X1及びY1の好ましい組み合わせを以下に2つ挙げる。
A1が、下記式(A1−1)又は(A1−2)で表される構造であり、X1が、下記式(X1−1)又は(X1−2)で表される構造であり、Y1が、メトキシ基、エトキシ基、ホルミル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、メチルエチルアミド基、メチルチオ基、エチルチオ基、チオカルボニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、未置換のイミノ基、メチルイミノ基、エチルイミノ基、ピリジン骨格を有する基、キノリン骨格を有する基、又は、イソキノリン骨格を有する基である。
Figure 0006779675
式(A1−1)及び(A1−2)中、R101及びR103は、それぞれ、Y1と結合している、単結合又はメチレン基を表し、R102及びR104は、それぞれ、水素原子、メトキシ基、又は、エトキシ基を表し、*はX1との結合部位を表す。
Figure 0006779675
式(X1−1)及び(X1−2)中、*はA1との結合部位を表し、**はM1との結合部位を表す。
なお、上記組み合わせにおいて、Y1がピリジン骨格を有する基、キノリン骨格を有する基、又は、イソキノリン骨格を有する基である場合は、Y1中の芳香環とA1中の芳香環とが縮合環を形成しているものも含むものとする。
また、A1が、結合、メチレン基、エチレン基、又は、トリメチレン基であり、X1が、下記式(X1−3)〜(X1−7)のいずれかで表される構造であり、Y1が、メトキシ基、エトキシ基、ホルミル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、メチルエチルアミド基、メチルチオ基、エチルチオ基、チオカルボニル基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、未置換のイミノ基、メチルイミノ基、エチルイミノ基、ピリジン骨格を有する基、キノリン骨格を有する基、又は、イソキノリン骨格を有する基である。
Figure 0006779675
式(X1−3)〜(X1−7)中、*はA1との結合部位を表し、**はM1との結合部位を表す。
なお、上記2つのA1、X1及びY1の組み合わせにおいて、さらに、A1、M1、X1、及びY1によって形成される環は、錯体の形成容易性の観点から、5員環又は6員環であることが好ましい。
金属原子に配位及び結合することによって、上記のX1、A1、及び、Y1で構成される構造を形成する化合物(以下、「配位子用化合物」ともいう)として具体的な例を表1〜4にまとめて示した。なお、表1〜4中、「Me」は、メチル基を意味する。
表1〜4に示した配位子用化合物のうちのいくつか取り上げ詳細に説明する。
X1が式(4)である場合の配位子用化合物の例として、下記式(14)で表されるo−アニス酸が挙げられる。
Figure 0006779675
o−アニス酸は、カルボキシル基の水素原子が外れて酸素原子が金属原子に結合し、メトキシ基の酸素原子が金属原子に配位結合することにより、錯体を形成する。残部の1,2−フェニレン基がA1に該当する。
X1が式(1)である場合の配位子用化合物の例として、下記式(15)で表される4−ヒドロキシ−5−アザフェナントレンが挙げられる。4−ヒドロキシ−5−アザフェナントレンは、A1中の芳香環がY1の芳香族複素環と一体となっている配位子用化合物である。
Figure 0006779675
4−ヒドロキシ−5−アザフェナントレンは、ヒドロキシ基の水素原子が外れて酸素原子が金属原子に結合し、ピリジン骨格中の窒素原子が金属原子と配位結合することにより、錯体を形成する。ナフタレン骨格がA1に該当し、ピリジン骨格とナフタレン骨格が縮合環を形成し、アザフェナントレン骨格となる。
X1が式(2)である場合の配位子用化合物の例として、下記式(16)で表される2−アセチルピロールが挙げられる。
Figure 0006779675
2−アセチルピロールは、ピロール骨格中の窒素原子が金属原子に結合し、アセチル基の酸素原子が金属原子に配位結合することにより、錯体を形成する。アセチル基とピロール基をつなぐ結合がA1に該当する。
Figure 0006779675
Figure 0006779675
Figure 0006779675
Figure 0006779675
〈式(b)で表される化合物〉
式(b)で表される化合物は、前記式(a)で表される化合物において、ポリメタロキサンの代わりに、金属アルコキシド又は金属ヒドロキシドを有するものである。
P2は、P1と同義である。
そして、例えば、P2がアクリル樹脂である場合、上記式(b)で表される化合物は、具体的には、下記式(21)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 0006779675
式(21)中、R21は、水素原子、又は、メチル基を表し、R22は、炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、R23は、水素原子、又は、炭素数1〜4の炭化水素基を表し、R24は、水素原子、又は、炭素数1〜4の炭化水素基を表す。式(21)中のR22は、メチレン基であることが好ましい。
P2は、下記式(22)で表される構造単位及び下記式(23)で表される構造単位のいずれか一方又は両方を更に有することが好ましい。
Figure 0006779675
式(22)中、R25は、水素原子、又は、メチル基を表し、R26は、水素原子、叉は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
Figure 0006779675
式(23)中、R27は、水素原子、又は、メチル基を表す。P2が、上記式(22)及び(23)で表される構造単位を有する場合、帯電部材の表面の耐摩耗性がより一層向上する。
式(b)中、A2、X2、及びY2で構成される構造は、M2に配位及び結合する配位子である。A2、X2、及びY2は、それぞれ、前記式(a)におけるA1、X1、及びY1と同意義であるため、その説明を省略する。
〔表面層の形成〕
表面層3は、金属アルコキシドと、先に述べた配位子用化合物と、エポキシ基を有する樹脂と、有機溶媒とを混合したコーティング液を、支持体1上、又は、弾性層2上に塗布し、その塗膜を乾燥させることにより形成することが可能である。
エポキシ基を有する樹脂としては、市販のエポキシ基含有樹脂を用いることができる。具体的には、エポキシ基含有アクリル系ポリマーとしては、例えば、日油株式会社製の「マープルーフG−0150M」、「マープルーフG−2050M」(何れも商品名)、東亜合成株式会社製の「ARUFON UG−4010」、「ARUFON UG−4040」)(いずれも商品名)が挙げられる。また、エポキシ基含有アクリル・スチレン系ポリマーとしては、例えば、日油株式会社製の「マープルーフG−0105SA」、「マープルーフG−1005S」が挙げられる。また、この他、エポキシ基含有エポキシ樹脂、エポキシ基含有フェノール樹脂も使用することが可能である。
表面層の形成工程において、金属アルコキシドに配位子用化合物が配位した金属錯体、及び、金属アルコキシド単体が、縮合してポリメタロキサンが形成される反応と、樹脂中のエポキシ基が開裂して金属錯体又は金属アルコキシド単体と結合する反応とが、競争的に進行することによって、上記式(a)で表される化合物が形成される。また、金属錯体及び金属アルコキシド単体の縮合反応があまり進行しない場合には、上記式(b)で表されるように、金属錯体がエポキシ基と反応して結合した構造を有する化合物が形成される。
例えば、配位子用化合物としての前記式(14)で示されるo−アニス酸と、金属アルコキシドとしてのチタンイソプロポキシドをモル比2:1で混合させて金属アルコキシド錯体を形成し、エポキシ基を有する樹脂としてのポリメタクリル酸グリシジルユニットを有するアクリル樹脂と混合した場合、得られる化合物は、下記式(31)又は下記式(32)で表される構造をとると考えられる。
Figure 0006779675

Figure 0006779675
金属原子と先述の配位子用化合物が結合していることは、H−NMR分析をおこなうことで確認することができる。また、エポキシ基が金属原子と結合していることは、マイクロMS(マイクロサンプリング質量分析)法を用いて確認することができる。
エポキシ基を有する樹脂としては、高い耐摩耗性を有することからエポキシ含有アクリル樹脂であることが好ましく、特には、下記式(33)で表される構造単位を有するエポキシ含有アクリル樹脂であることが好ましい。
Figure 0006779675
式(33)中、R31は、水素原子、又は、メチル基を表し、R32は、炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表す。式(33)で表される構造単位としては、メタクリル酸グリシジルユニットであることが好ましい。
このような構造を有するエポキシ含有アクリル樹脂としては、日油(株)社製の「マープルーフGシリーズ」(商品名)、及び、東亞合成(株)社製の「ARUFON UG−4000シリーズ」として市販されている。
さらに、エポキシ含有アクリル樹脂は、下記式(34)で表される構造単位及び下記式(35)で表される構造単位のいずれか一方又は両方を有することが好ましい。
Figure 0006779675
式(34)中、R33は、水素原子、又は、メチル基を表し、R34は、水素原子、又は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。
Figure 0006779675
式(35)中、R35は、水素原子、又は、メチル基を表す。式(33)及び式(34)で表される構造を有するエポキシ基含有アクリル系ポリマーとしては、具体的には、「マープルーフG−0150M」(日油(株)社製)、「マープルーフG−2050M」(日油(株)社製)、及び「ARUFON UG−4010」(東亞合成(株)社製)が挙げられる。また、式(33)及び式(35)で表される構造を有するエポキシ含有アクリル樹脂としては、具体的には、「マープルーフG−0105SA」(日油(株)社製)、「マープルーフG−1005S」(日油(株)社製)、及び「ARUFON UG−4040」(東亞合成(株)社製)が挙げられる。なお、「マープルーフシリーズ」は、式(33)で表される構造単位として、メタクリル酸グリシジルユニットを有している。
金属アルコキシドとしては、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、タングステン、アルミニウム、ガリウム、インジウムおよびゲルマニウムのアルコキシドが用いられる。アルコキシドとしては、メトキシド、エトキシド、n−プロポキシド、iso−プロポキシド、n−ブトキシド、2−ブトキシド、t−ブトキシドが挙げられる。入手可能な場合には、配位子用化合物が配位した金属アルコキシドを入手し、そのまま使用することも可能である。
先述の配位子用化合物は、金属アルコキシド1モルに対して0.5モル以上添加することが好ましく、1モル以上添加することがより好ましい。また、金属アルコキシドは、樹脂1モルに対して、1モル以上500モル以下、特には、7.5モル以上500モル以下の範囲となるように添加することが好ましい。
配位子用化合物や金属アルコキシドは、それぞれ、複数種類を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤としては、金属アルコキシドと先述の配位子用化合物、およびエポキシ含有樹脂が溶解できる溶剤であれば特に限定はないが、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、セロソルブ系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒など用いられる。アルコール系溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、シクロヘキサノールが挙げられる。エーテル系溶媒としては、具体的には、ジメトキシエタンが挙げられる。セロソルブ系溶媒としては、具体的には、メチルセロソルブ、エチルセロソルブが挙げられる。ケトン系溶媒としては、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルiso−ブチルケトンが挙げられる。エステル系溶媒としては、具体的には、酢酸メチル、酢酸エチルなどが挙げられる。有機溶剤は、単独で用いるほか、2種以上の混合物も使用可能である。
表面層を形成させる方法は特に限定はなく、一般的に用いられる方法を選択することができる。具体的には、ロールコーターを用いた塗布、浸漬塗布、リング塗布が挙げられる。表面層の形成後は、溶剤を乾燥させるために、加熱処理することも可能である。
また、表面層を表面処理することにより、動摩擦、表面自由エネルギーなどの表面物性を調整することが可能である。具体的には、活性エネルギー線を照射する方法があり、活性エネルギー線としては、紫外線、赤外線、電子線などが挙げられる。表面層の厚さは、0.005μm〜30μmであることが好ましい。
〔支持体〕
支持体としては、感光体と当接に十分な剛性を持つ必要があり、金属材料が好ましく用いられる。金属材料としては、具体的には、鉄、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケルが挙げられる。また、フィラーで強化された樹脂製の支持体を用いることも可能である。
〔弾性層〕
弾性層を構成する材料としては、従来から帯電部材の弾性層として用いられているゴムや熱可塑性エラストマーなどの弾性体を1種又は2種以上用いることができる。
ゴムとしては、具体的には、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、アクリロニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムおよびアルキルエーテルゴムなどが挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系エラストマー及びオレフィン系エラストマー等が挙げられる。
弾性層は、導電剤を含むことによって所定の導電性を有するように構成することが好ましい。弾性層の電気抵抗値の好適な範囲は、1.0×10Ω以上、1.0×10Ω以下である。
弾性層に用いられる導電剤としては、炭素系材料、金属酸化物、金属、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、帯電防止剤、電解質などを用いることが可能である。
炭素系材料としては、具体的には、導電性カーボンブラック、グラファイトなどが挙げられる。金属酸化物としては、具体的には、酸化スズ、酸化チタン及び酸化亜鉛などが挙げられる。金属としては、具体的には、ニッケル、銅、銀及びゲルマニウムが挙げられる。
陽イオン性界面活性剤としては、具体的には、第四級アンモニウム塩(ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムおよび変性脂肪酸・ジメチルエチルアンモニウム等)、過塩素酸塩、塩素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、エトサルフェート塩およびハロゲン化ベンジル塩(臭化ベンジル塩や塩化ベンジル塩など)が挙げられる。
陰イオン性界面活性剤としては、具体的には、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加硫酸エステル塩、高級アルコール燐酸エステル塩および高級アルコールエチレンオキサイド付加燐酸エステル塩が挙げられる。
帯電防止剤としては、高級アルコールエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル及び多価アルコール脂肪酸エステルの如き非イオン性帯電防止剤が挙げられる。
電解質としては、周期律表第1族の金属(Li、Na、Kなど)の塩(第四級アンモニウム塩など)が挙げられる。周期律表第1族の金属の塩としては、具体的には、LiCFSO、NaClO、LiAsF、LiBF、NaSCN、KSCNおよびNaClが挙げられる。
また、弾性層用の導電剤として、周期律表第2族の金属(Ca、Baなど)の塩(Ca(ClOなど)やこれから誘導される帯電防止剤を用いることもできる。また、これらと多価アルコール(1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)もしくはその誘導体との錯体や、これらとモノオール(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル)との錯体の如きイオン導電性導電剤を用いることが可能である。
弾性層の硬度は、帯電部材と被帯電体である感光体とを長期間にわたって当接させた後における帯電部材の変形を抑制するために、MD−1硬度で60度以上85度以下であることが好ましい。また、弾性層は、感光体と幅方向で均一に当接させるために、中央部の層厚が端部の層厚よりも厚い、いわゆるクラウン形状とすることが好ましい。
<電子写真装置及びプロセスカートリッジ>
図2に、本発明の一態様に係る帯電部材を有する電子写真装置の一例を示す。また、図3に本発明の一態様に係る帯電部材を有するプロセスカートリッジの一例を示す。
図2において、ドラム形状を有する感光体4は、図中の矢印が示す時計回りに所定の周速度で回転駆動する。
ローラ形状を有する帯電部材(以降、「帯電ローラ」ともいう)5は、感光体4の表面を帯電可能に配置されている。ここでは,具体的には、帯電ローラ5は,感光体4の表面に対して,所定の押圧力で接触させられている。そして、帯電ローラ5は、感光体4の回転に対して順方向に回転駆動する。帯電ローラ5に対しては、帯電バイアス印加電源19から所定の直流電圧が印加される(DC帯電方式)。
感光体4の帯電処理面に、不図示の露光装置からの、目的の画像情報に対応した像露光光11が照射される。その結果、感光体の明部電位が選択的に低下(減衰)し、感光体4に静電潜像が形成される。不図示の露光装置としては、レーザービームスキャナーの如き公知の露光装置を挙げることができる。
現像ローラ6は、感光体4表面の静電潜像の露光明部に、感光体4の帯電極性と同極性に帯電しているトナー(ネガトナー)を選択的に付着させて静電潜像をトナー像として可視化する。現像方式としては特に制限はなく、例えば、ジャンピング現像方式、接触現像方式及び磁気ブラシ方式等が存在するが、特にカラー画像を出力する電子写真装置には、トナーの飛散を有効に抑制することができる点で、接触現像方式が好ましい。
転写ローラ8は、感光体4に所定の押圧力で接触させてあり、感光体4の回転と順方向に感光体4の回転周速度とほぼ同じ周速度で回転する。また、転写バイアス印加電源からトナーの帯電特性とは逆極性の転写電圧が印加される。感光体4と転写ローラ8の接触部に不図示の給紙機構から転写材7が所定のタイミングで給紙され、その転写材7の裏面が転写電圧を印加した転写ローラ8により、トナーの帯電極性とは逆極性に帯電される。このことにより、感光体4と転写ローラ8との接触部において感光体面側のトナー画像が転写材7の表面側に静電転写される。転写ローラ8としては、公知の手段を利用することができる。例えば金属等の導電性支持体上に中抵抗に調製された弾性層を被覆してなる転写ローラ等を例示することができる。
トナー画像の転写を受けた転写材7は感光体面から分離して、定着装置9へ導入されて、トナー画像の定着を受けて画像形成物として出力される。両面画像形成モードや多重画像形成モードの場合は、この画像形成物が不図示の再循環搬送機機構に導入されて転写部へ再導入される。転写残余トナー等の感光体4上の残留物は、クリーニングブレード10を有するクリーニング装置14により、感光体4上から回収される。また、感光体4に残留電荷が残るような場合には、転写後、帯電ローラ5による一次帯電を行う前に、前露光装置(不図示)によって感光体4の残留電荷を除去する方がよい。後述の実施例の画像形成には、前露光装置は用いないものを使用した。
本発明の一態様に係るプロセスカートリッジは、帯電部材と感光体を一体に支持し、電子写真装置本体に着脱可能に構成されている。後述の実施例では、帯電ローラ5、後述の実施例では、帯電ローラ5、感光体4、現像ローラ6及びクリーニング装置14を一体に支持するプロセスカートリッジを用いた。
以下、具体的な実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。実施例中の化合物について、「部」は、特に断りがない場合は「質量部」を意味する。
以下で使用した試薬の詳細の一覧を表5にまとめて記載した。
Figure 0006779675
なお、「マープルーフG−0150M」、「マープルーフG−2050M」、及び「ARUFON UG−4010」は、前記式(33)で表される構造単位と前記式(34)で表される構造単位とを有するアクリル樹脂である。
「マープルーフG−0105SA」、「マープルーフG−1005S」、及び「ARUFON UG−4040」は、前記式(33)で表される構造単位と、前記式(35)で表される構造単位とを有するアクリル樹脂である。マープルーフシリーズは、前記式(33)で表される構造単位として、メタクリル酸グリシジルユニットを有している。
(コーティング液の調製)
〔コーティング液E1〕
(STEP1)
<エポキシ基含有ポリマー溶液の調製>
200mLのガラス製容器に、メチルエチルケトン97.0g、エポキシ基含有アクリル系ポリマー(商品名「マープルーフG−0150M」、日油株式会社製)3.01gを入れし、撹拌して、エポキシ基含有アクリル系ポリマーのメチルエチルケトン溶液を調製した。
<金属アルコキシド溶液の調製>
200mLのガラス製容器に、エタノール 47.6g、チタンイソプロポキシド 2.33gを入れ、撹拌して、チタンイソプロポキシドのエタノール溶液を調製した。
<配位子用化合物溶液の調製>
200mLのガラス製容器に、o−アニス酸 2.54g、エタノール 47.6gを入れし、撹拌して、o−アニス酸のエタノール溶液を調製した。
<金属錯体溶液の調製>
先に調製した、チタンイソプロポキシドのエタノール溶液に、o−アニス酸のエタノール溶液を加え、撹拌、混合した。こうして得られた溶液中では、チタンイソプロポキシドの加水分解反応および縮合反応によるチタノキサン結合の形成と、o−アニス酸のチタン原子への配位による錯体の形成とが生じているものと考えられる。
(STEP2)
100mLのガラス製容器に、(STEP1)で調製した、エポキシ基含有ポリマー溶液 50.0g、および、(STEP1)で調製した金属錯体溶液 5.0gを入れ、撹拌して、コーティング液E1を調製した。
〔コーティング液E2〜コーティング液E8〕
(STEP2)におけるエポキシ基含有ポリマー溶液および金属錯体溶液の使用量を表6に記載したように変更した。それ以外はコーティング液E1と同様にして、コーティング液E2〜コーティング液E8を調製した。
〔コーティング液E9〜コーティング液E13〕
エポキシ基含有ポリマーを表6に記載したように変更し、また、処方を表6に記載したように変更した。それら以外はコーティング液E1と同様の方法でコーティング液E9〜E13を調製した。
〔コーティング液E14〜コーティング液E15〕
配位子用化合物を表6に記載したように変更し、また、処方を表6に記載したように変更した。それら以外はコーティング液E1と同様の方法でコーティング液E14〜E15を調製した。
〔コーティング液E16〕
金属アルコキシドを表6に記載したように変更し、処方を表6に記載したように変更した。それら以外はコーティング液E1と同様の方法でコーティング液E16を調製した。
〔コーティング液C1〕
200mLのガラス製容器に、メチルイソブチルケトン96.9g、「マープルーフG−0150M」3.02gを入れ、撹拌して、コーティング液C1を調製した。
〔コーティング液C2〕
200mLのガラス製容器に、エタノール47.5g、チタンイソプロポキシド3.23gを入れ、撹拌して、チタンイソプロポキシドのエタノール溶液を調製した。
また、200mLの容器に、アセチルアセトン 2.30g、エタノール46.9gを入れ、撹拌して、アセチルアセトンのエタノール溶液を調製した。
先に調製した、チタンイソプロポキシドのエタノール溶液に、アセチルアセトンのエタノール溶液を加え、撹拌、混合して、コーティング液C2を調製した。ここで調製されたコーティング液C2中では、チタンイソプロポキシドの加水分解反応および縮合反応によるチタノキサン結合の形成と、アセチルアセトンのチタン原子への配位による錯体の形成とが生じているものと考えられる。
Figure 0006779675
(実施例1)
〔導電性弾性ローラの作製〕
下記表7に示した材料を6L加圧ニーダー(商品名:TD6−15MDX、トーシン社製)にて、充填率70体積%、ブレード回転数30rpmで24分混合して、未加硫ゴム組成物を得た。この未加硫ゴム組成物 174質量部に対して、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィド[商品名:サンセラーTBzTD、三新化学工業(株)製]4.5部、加硫剤としての硫黄1.2部を加えた。そして、ロール径12インチのオープンロールで、前ロール回転数8rpm、後ロール回転数10rpm、ロール間隙2mmで、左右の切り返しを合計20回実施した。その後、ロール間隙を0.5mmとして薄通し10回を行い、導電性弾性層形成用の混練物を得た。
Figure 0006779675
次に、直径6mm、長さ252mmの円柱形、鋼製の支持体(表面をニッケルメッキ加工したもの。以下「芯金」という)を準備した。そして、この芯金上の軸方向中央を挟んで両側115.5mmまでの領域(あわせて軸方向幅231mmの領域)に、金属およびゴムを含む熱硬化性接着剤(商品名:メタロックU−20、(株)東洋化学研究所製)を塗布した。これを温度80℃で30分間乾燥させた後、さらに120℃で1時間乾燥させた。
混練物を、クロスヘッドを用いた押出成形によって、上記接着層付き芯金を中心として、同軸状に外径8.75〜8.90mmの円筒形に同時に押出し、端部を切断して、芯金の外周に未加硫の導電性弾性層を積層した。押出機はシリンダー径70mm、L/D=20の押出機を使用し、押出時の温調はヘッド、シリンダー、スクリューの温度を90℃とした。
次に、未加硫の導電性弾性層が形成されたローラを、異なる温度設定にした2つのゾーンをもつ連続加熱炉を用いて加硫した。連続加熱炉の第1ゾーンの温度を80℃、第2ゾーンの温度を160℃に設定し、上記ローラをいずれのゾーンも30分で通過させた。
次に、この加熱後のローラの導電性弾性層部分(ゴム部分)の両端を切断し、導電性弾性層部分の軸方向幅を232mmとした。その後、導電性弾性層部分の表面を回転砥石で研磨(ワーク回転数333rpm、砥石回転数2080rpm、研磨時間12sec)した。こうすることで、端部直径8.26mm、中央部直径8.50mmのクラウン形状で、表面の十点平均粗さRzが5.5μmで、振れが18μm、硬度が73度(アスカーC)の導電性弾性ローラを得た。
なお、導電性弾性ローラの十点平均粗さRZJISは、JISB0601:2001に準拠して測定した。振れの測定は、高精度レーザー測定機(商品名:LSM430v、ミツトヨ(株)製)を用いて行った。詳しくは、該測定機を用いて外径を測定し、最大外径値と最小外径値の差を外径差振れとし、この測定を5点で行い、5点の外径差振れの平均値を被測定物の振れとした。アスカーC硬度の測定は、測定環境25℃、55%RHで、測定対象の表面にアスカーC型硬度計(高分子計器(株)製)の押針を当接し、1000g加重の条件で行った。
〔表面層の形成〕
導電性弾性ローラ1上にコーティング液E1を、吐出量0.120ml/s(リング部のスピード:85mm/s、総吐出量:0.130ml)でリング塗布した。これを常温、常圧で放置して乾燥させた後に、254nmの波長の紫外線を積算光量が9000mJ/cmになるようにこのローラに照射し、表面層を形成した。紫外線の照射には低圧水銀ランプ(東芝ライテック(株)社(旧社名:ハリソン東芝ライティング(株))製)を用いた。以上のようにして帯電部材E1を作製した。
〔構造解析〕
帯電部材E1の表面層に含まれる化合物の構造を、マイクロサンプリング質量分析(マイクロMS)法により解析した。
帯電部材E1の表面層を、バイオカッターで薄く削りとったものを60ng集め、測定試料とした。測定装置としては、イオントラップ型質量分析装置(商品名:Polaris Q、サーモエレクトロン社(Thermo Electron Corporation)製)を用いた。
具体的には、上記測定試料を、プローブの先端に位置するフィラメントに固定し、イオン化チャンバーの中に直接導入した。測定試料を一定の加熱速度(10℃/秒)で室温から1000℃まで加熱し、蒸発した試料を電子ビームの照射によりイオン化し、質量分析計により検出した。イオン化は、イオン化電圧70eV、イオン源温度200℃、測定質量範囲m/z=45〜650の条件で行った。
また、コーティング液E1の調製に用いた金属錯体溶液およびエポキシ基含有ポリマー溶液が含む化合物についても同様にマイクロMS法によって解析した。測定試料は以下のようにして調製した。すなわち、エタノールを用いて表面を脱脂したアルミニウム製のシートを2枚用意した。各シートの脱脂した表面に、金属錯体溶液およびエポキシ基含有ポリマー溶液を各々滴下した。次いで、各シートを300rpmで2秒間回転させて成膜した。次いで、常温常湿(温度23℃、相対湿度50%)の環境下で60分間乾燥させ、さらに、各シートを熱風循環乾燥炉に入れて、温度80℃で60分間乾燥させた。各シートの表面に形成された膜を、各シートからはく離し、粉砕して測定試料を得た。
解析結果を図4〜図6に示す。
図4は、帯電部材E1の表面層のトータルイオンクロマトグラムである。
図5(a)は、図4におけるリテンションタイム0.92分(min.)のピークのMSスペクトルであり、図5(b)は、リテンションタイム1.01分(min.)のピークのMSスペクトルである。
図6(a)は、金属錯体溶液から調製された測定試料のMSスペクトルである。
図6(b)は、エポキシ基含有ポリマー溶液から調製された測定試料、具体的には、エポキシ基含有ポリマー(「マープルーフG−0150M」)のMSスペクトルである。
なお、各々のMSスペクトルには、フラグメントの予想構造も併せて示している。
図5(a)のMSスペクトルから、図4のトータルイオンクロマトグラムにおけるリテンションタイム0.92分のピークが、エポキシ基含有ポリマーと金属錯体の未反応物、すなわち、エポキシ基含有ポリマー単体および金属錯体単体の混合物のピークであると考えられる。また、図4のトータルイオンクロマトグラムにおけるリテンションタイム1.01分のピークが、エポキシ基含有ポリマーと金属錯体との反応生成物のピークであると考えられる。
そして、図5及び図6に示すMSスペクトルの対比から、帯電部材E1の表面層のMSスペクトルには、m/z=79及び91の如き、金属錯体溶液またはエポキシ基含有ポリマー溶液から調製した測定試料のMSスペクトルには認められないフラグメンテーションパターンが確認された。これらは、金属錯体中のチタンと樹脂中のエポキシ基とが反応した反応生成物由来のフラグメントであることが推定された。
〔評価1:異常放電の発生状況の評価〕
レーザープリンタ(商品名:HPColorLaserJetCP4525、HP社製)用のシアンカートリッジに装着されている帯電ローラを先に作製した帯電部材E1に置き換えた。また、感光体として電荷輸送層の膜厚が27μmのものを別途用意し、カートリッジに装着されている感光体と置き換えた。レーザープリンタ(商品名:HPColorLaserJetCP4525、HP社製)に上記のカートリッジをセットして、A4サイズの用紙にハーフトーン画像を形成した。電子写真画像の形成に際して、前露光は行わず、帯電電圧を−1450V、転写電圧を2575Vに設定した。この設定は、異常放電がより発生しやすい環境を作り出すためのものである。電子写真画像の出力は、低温低湿環境(温度15℃、湿度10%)の下で行った。
そして、得られたハーフトーン画像について目視で観察し、下記の基準で評価した。
ランクA:異常放電に起因するムラ(数十μm〜数mm程度のムラ)の発生が認められない。
ランクB:異常放電に起因するムラ(数十μm〜数mm程度のムラ)の発生が認められる。
〔評価2:耐久評価〕
レーザープリンタ(商品名:HPColorLaserJetCP4525、HP社製)用のシアンカートリッジに装着されている帯電ローラを、先に作製した帯電部材E1に置き換えた。レーザープリンタ(商品名:HPColorLaserJetCP4525、HP社製)に上記のカートリッジをセットして、温度23℃、相対湿度50%環境下にて、以下の画像形成動作を行った。すなわち、A4サイズの紙上に、サイズが4ポイントのアルファベット「E」の文字を印字率1%となるように印字される画像を、300000枚出力した。なお、画像出力は、2枚の画像を連続して出力する度に、感光体の回転を7秒間一時的に停止する、所謂、間欠モードにて行った。300000枚の画像出力の後、A4サイズの用紙にハーフトーン画像を1枚出力した。なお、電子写真画像の出力は、低温低湿環境(温度15℃、湿度10%)の下で行った。
得られたハーフトーン画像を目視で観察し、帯電部材の表面の汚れに起因する、ハーフトーン画像上の「ポチ」(ドット)状の欠陥の有無を下記基準で判定した。
ランクA:「ポチ」の発生が認められない
ランクB:軽微な「ポチ」の発生が認められる
ランクC:帯電部材の回転ピッチに対応した位置に「ポチ」の発生が認められる。
ランクD:画像の全面に亘って「ポチ」の発生が認められる。
(実施例2〜16)
コーティング液E2〜コーティング液E16を用いたこと以外は実施例1と同様にして、帯電部材E2〜帯電部材E16を作製し評価に供した。評価結果は表8にまとめて記載した。
(比較例1および2)
コーティング液C1及びコーティング液C2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして帯電部材C1及び帯電部材C2を作製し評価に供した。評価結果は表8にまとめて記載した。帯電部材C1及び帯電部材C2では異常放電およびポチ画像が観測された。
Figure 0006779675
(実施例17〜32)
帯電部材E1について、上述の評価1において、転写電圧を1856Vから段階的に上昇させ、各電圧における異常放電の発生状況を、上記評価1と同じ基準にて評価した。その結果、転写電圧が、2575Vのときに初めて異常放電が観察された。帯電部材E2〜16についても同様にして評価を行って、初めて異常放電が観察されたときの転写電圧の値を記録した。結果を表9に示す。
Figure 0006779675
以上の結果から、本発明の一態様に係る帯電部材は、有意に異常放電に起因する画像ムラの発生を抑制可能であった。また、帯電部材の表面への汚れに起因する電子写真状画像への欠陥の発生を抑制できた。
1 支持体
2 弾性層
3 表面層
4 感光体
5 帯電ローラ
6 現像ローラ
8 転写ローラ
11 露光手段
14 クリーニング装置

Claims (12)

  1. 支持体と、該支持体上の表面層とを有する帯電部材であって、
    該表面層が、下記式(a)で表される化合物を有することを特徴とする帯電部材:
    Figure 0006779675

    (式(a)中、
    P1は、樹脂を表し、
    R1は、水素原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
    L1は、M1On/2で表される構造単位を有するポリメタロキサンを表し、
    M1は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Al、Ga、In及びGeからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属原子を表し、
    nは、金属原子M1の価数がpである場合、1以上p以下の整数を表し、
    X1は、下記式(1)〜(4)で表されるいずれかの構造を表し、
    Figure 0006779675

    (式(1)〜(4)中、*は、A1との結合部位を表し、**は、L1中のM1との結合部位を表す。)
    Y1は、L1中のM1に配位する部位を有する基を表し、
    A1は、
    (i)X1が式(1)で表される構造である場合、
    M1、X1、及びY1と共に4〜8員環を形成するのに必要な原子団であって、かつ、芳香環を含み、芳香環を構成する1つの炭素原子はX1の酸素原子に結合しており、
    (ii)X1が式(2)〜(4)のいずれかで表される構造である場合、
    M1、X1、及びY1と共に4〜8員環を形成するのに必要な結合又は原子団を表す。)。
  2. Y1は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、置換もしくは未置換のアリールオキシ基、カルボニル基、アルキルチオ基、置換もしくは未置換のアリールチオ基、チオカルボニル基、置換もしくは未置換のアミノ基、置換もしくは未置換のイミノ基、置換もしくは未置換の脂肪族の複素環骨格を有する基、又は、置換もしくは未置換の芳香族の複素環骨格を有する基である請求項1に記載の帯電部材。
  3. X1が、式(1)で表される構造であり、
    A1は、置換もしくは未置換の、ベンゼン環、ナフタレン環、ピロール環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、キノリン環及びイソキノリン環からなる群から選ばれるいずれかの芳香環を含む原子団である請求項1又は2に記載の帯電部材。
  4. X1が式(2)〜(4)のいずれかで表される構造であり、
    A1は、
    ルキレン基、又は、
    置換もしくは未置換の、ベンゼン環、ナフタレン環、ピロール環、チオフェン環、フラン環、ピリジン環、インドール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、キノリン環及びイソキノリン環からなる群から選ばれるいずれかの芳香環を含む原子団、
    である請求項1〜3のいずれか一項に記載の帯電部材。
  5. 前記樹脂が、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、又は、フェノール樹脂である請求項1〜4のいずれか一項に記載の帯電部材。
  6. 前記樹脂がアクリル樹脂である請求項5に記載の帯電部材。
  7. 前記表面層が、下記式(11)で表される構造単位を有する請求項6に記載の帯電部材。
    Figure 0006779675

    (式(11)中、
    R11は、水素原子、又は、メチル基を表し、
    R12は、炭素数1〜4の2価の炭化水素基を表し、
    R13は、水素原子、又は、炭素数1〜4の炭化水素基を表す。)。
  8. 前記アクリル樹脂が、下記式(12)で表される構造単位及び下記式(13)で表される構造単位のいずれか一方又は両方を更に有する請求項7に記載の帯電部材:
    Figure 0006779675

    (式(12)中、R14は、水素原子、又は、メチル基を表し、R15は、水素原子、又は、炭素数1〜8の炭化水素基を表す。)
    Figure 0006779675

    (式(13)中、R16は、水素原子、又は、メチル基を表す。)。
  9. 前記A1、前記M1、前記X1及び前記Y1によって形成される環は5員環又は6員環である請求項1〜8のいずれか一項に記載の帯電部材。
  10. 支持体と、該支持体上の表面層とを有する帯電部材であって、
    該表面層が下記式(b)で表される化合物を有することを特徴とする帯電部材:
    Figure 0006779675

    (式(b)中、
    P2は、樹脂を表し、
    R2は、水素原子、又は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、
    M2は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、W、Al、Ga、In及びGeからなる群より選ばれる少なくとも一つの金属原子を表し、
    R3は、水素原子、又は、炭素数1〜4の炭化水素基を表し、
    mは、金属原子M2の価数がqである場合、q−1であり、
    kは、1以上m以下の整数を表し、
    X2は、下記式(5)〜(8)で表されるいずれかの構造を表し、
    Figure 0006779675

    (式(5)〜(8)中、*は、A2との結合部位を表し、**は、M2との結合部位を表す。)
    Y2は、M2に配位する部位を有する基を表し、
    A2は、
    (i)X2が式(5)で表される構造である場合、
    M2、X2、及びY2と共に4〜8員環を形成するのに必要な原子団であって、かつ、芳香環を含み、芳香環を構成する1つの炭素原子はX2の酸素原子に結合しており、
    (ii)X2が式(6)〜(8)のいずれかで表される構造である場合、
    M2、X2、及びY2と共に4〜8員環を形成するのに必要な結合又は原子団を表す。)。
  11. 電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電可能に配置された帯電部材とを備え、かつ、電子写真装置の本体に着脱可能に構成されているプロセスカートリッジであって、該帯電部材が請求項1〜10のいずれか一項に記載の帯電部材であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  12. 電子写真感光体と、該電子写真感光体の表面を帯電可能に配置された帯電部材とを備えている電子写真装置であって、該帯電部材が請求項1〜10のいずれか一項に記載の帯電部材であることを特徴とする電子写真装置。
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