JP6779337B1 - T形工具およびt形工具の製作方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製作が容易で、かつ高剛性、高精度で安全性の高いT形工具を提供すること。【解決手段】切れ刃36、38を有するヘッド30と、円柱状のシャンク20とを締結したT形工具10において、シャンクは超硬合金より成り、先端部に工具本体に係合する係合部が形成され、工具本体は鋼材より成り、シャンクの係合部と係合する被係合部が形成され、係合部と被係合部とを抜け止め及び回り止を施して締結させた。【選択図】図1

Description

本発明は、T溝フライス、あり溝フライス、クリスマスツリーフライス等、切れ刃を有する工具本体と、円柱状のシャンクとを側面視において概ねT字形に締結したT形工具およびその製作方法に関する。
シャンクと、該シャンクの先端に結合されたヘッド(工具本体)とを有しているT形工具は従来から知られている。例えば、特許文献1には、外周部に切れ刃を配設した切削ヘッドをシャンクの先端部にスプライン嵌合とねじを用いて着脱可能に取り付けるようにしたT形工具(T溝フライス)が記載されている。切削ヘッドはシャンクに対面する端面の中央部に環状の凸部を有しており、凸部内側のスプライン穴とシャンク先端部に形成したスプライン軸部とを係合させ、該環状の凸部の端面をシャンクの端面に当接させ、固定用ねじを切削ヘッドの反対側の端面から切削ヘッドの中央に形成したヘッド穴に挿通し、シャンクの端部に形成した雌ねじに螺合させることによって、切削ヘッドとシャンクとを調心して着脱可能に結合している。
特表2013−534189号公報
特許文献1に記載のT形工具では、シャンクは、切削ヘッドの凸部の端面に当接した状態で固定用ねじによって引っ張られる。切削ヘッドとシャンクとは着脱可能であるので、まず、切削ヘッドとシャンクとの締結剛性は低くなり、固定用ねじの締付力不足による切削ヘッドとシャンクとのゆるみの危険性がある。調心機能を有するようにスプライン軸部とスプライン穴を加工するのは難度の高い加工技術を要するし、例え調心機能を有していても、着脱の度に発生する同心誤差は不可避であるという問題がある。
従って、本発明は、こうした従来技術の問題を解決することを技術課題としており、製作が容易で、かつ高剛性、高精度で更に安全性の高いT形工具を提供することを目的とする。
既述した目的を達成するために、本発明によれば、切れ刃を有する工具本体と、円柱状のシャンクとを側面視においてT字形に締結したT形工具において、前記シャンクは超硬合金より成り、先端部に前記工具本体に係合する雄ねじまたは雌ねじが形成され、前記工具本体は鋼材より成り、前記シャンクの雄ねじまたは雌ねじと係合する雌ねじまたは雄ねじが形成され、前記シャンクと前記工具本体とが係合した状態の前記シャンクと前記工具本体との間に、両者の分離と回転を防止するキー結合部が設けられているT形工具が提供される。
また、本発明によれば、切れ刃を有する工具本体と、円柱状のシャンクとを側面視においてT字形に締結したT形工具の製作方法において、超硬合金より成るシャンクの先端部に前記工具本体に係合する雄ねじまたは雌ねじを形成し、鋼材より成る工具本体に、前記シャンクの雄ねじまたは雌ねじと係合する雌ねじまたは雄ねじを形成し、前記シャンクと前記工具本体とを係合し、前記シャンクと前記工具本体との間にキー溝を形成し、形成された前記キー溝に、前記シャンクから前記工具本体にわたってキーを嵌入し、前記キー溝に嵌入したキーを前記工具本体に溶接し、前記シャンクと前記工具本体の間の分離と回転を防止するT形工具の製作方法が提供される。
本発明によれば、切れ刃を有する鋼材で形成した工具本体と、超硬合金により形成された円柱状のシャンクとを、シャンクの係合部と工具本体の被係合部とを係合させて、抜け止め及び回り止を施して締結するようにしたので、工具本体がシャンクに対して回転したり、或いは、分離してしまうことが防止される。こうして、シャンクに剛性の高い超硬合金を用いることが可能となり、しかもシャンクと工具本体との締結部の剛性も高くなり、加工速度(切削速度)を高くして加工効率を高めることが可能となる。また、シャンクを超硬合金で形成することによって、シャンクが変形しにくくなり、加工精度を高くすることが可能となる。本発明は、シャンクと工具本体とを一旦締結してT形工具を製作した後は、シャンクと工具本体とを着脱するという思想はなく、あたかもシャンクと工具本体とが一体構造のT形工具として用いることができる。
本発明の好ましい実施の形態によるT形工具の側面図である。 シャンク側から見た図1のT形工具の平面図である。 先端側から見た図1のT形工具の底面図である。 図1のT形工具の斜視図である。 図1のT形工具のシャンクの一例を示す斜視図である。 図1のT形工具のヘッドの一例をカバーを取り外して示す底面図である。 図5のシャンクと図6のヘッドを締結したT形工具の斜視図である。 T形工具の締結部の他の例を示す底面図である。 T形工具の締結部の他の例を示す底面図である。 T形工具の締結の他の例を示す底面図である。 T形工具の締結の他の例を示す側面図である。 本発明の他の実施の形態によるT形工具のシャンクの部分縦断面図である。 図12のシャンクに締結するヘッドの斜視図である。 図12のシャンクと図13のヘッドとを締結したT形工具の部分縦断面図である。 本発明の更に他の実施の形態によるシャンクの斜視図である。 図15のシャンクに取り付けたヘッドの横断面図である。 図16のT形工具の部分縦断面図である。 本発明の更に他の実施の形態によるシャンクの斜視図である。 図18のシャンクに取り付けたヘッドの横断面図である。 図19のT形工具の部分縦断面図である。 本発明の更に他の実施の形態によるシャンクの斜視図である。 図21のシャンクの側面図である。 図21のシャンクにヘッドを締結したT形工具の部分縦断面図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
T形工具10は、工作機械の主軸または工具ホルダの先端部に装着されるシャンク20、該シャンク20の先端に結合されるヘッド(工具本体)30を具備している。シャンク20は、例えば剛性の高い超硬合金製の概ね円柱形状の棒状部材から成り、先端部に雄ねじ24が形成されている。雄ねじ24は、例えば、ピッチ1〜2mm、ねじ山の高さ0.5〜2mmのねじとすることができる。シャンク20は、その側面に2つの平坦面28を径方向に対向するように形成することができる。スパナのような工具によって、シャンク20をヘッド30に螺合するために、平坦面28を用いることができる。
シャンク20には、刃先にクーラントを供給するためのクーラント通路を形成することができる。該クーラント通路は、中心軸線Oに沿ってシャンク20を貫通する軸方向通路26と、該軸方向通路26からシャンク20を半径方向に貫通する半径方向通路(図示せず)とを含むことができる。この半径方向通路は、ヘッド30と締結するとヘッド30の半径方向にあけた3本の通路(図示せず)に連通し、第1の溝部32に開口する。
ヘッド30は、T形工具10の工具本体を形成しており、例えば鋼材料から形成することができる。ヘッド30には複数の、本実施の形態では6つの刃部が形成されている。本実施形態では、該刃部はヘッド30に取り付けたインサート36、38から形成されている。インサート36、38は、例えば耐摩耗性の高い超硬合金から形成することができる。インサート36、38は、T形工具10の基端側つまりシャンク20側に突出した3つの上側インサート36と、T形工具10の先端側つまりシャンク20とは反対側に突出した3つの下側インサート38とを含む。
ヘッド30には、インサート36、38の個数に対応した複数の、本実施形態では6つの溝部32、34が形成されている。溝部32、34は、ヘッド30のシャンク20に面した基端面30aからシャンク20とは反対に面した先端面30bまで延設されている。溝部32、34は、上側インサート36を受容する第1の溝部32と、下側インサート38を受容する第2の溝部34とを含む。第1と第2の溝部32、34は、上側インサート36を取り付けるための上側座(図示せず)と、下側インサート38を取り付けるための下側座(図示せず)とを含むことができる。本実施形態では、上側インサート36および下側インサート38は、ろう付けによって上側座32a、下側座34aに固定される。
また、上側インサート36と下側インサート38は同一形状に形成することができる。上側インサート36は、直線状に延びる主切れ刃と、上側インサート36の上端において主切れ刃に連結される円弧状の副切れ刃とを有することができる。円弧状の副切れ刃の形状、寸法は、ワークに加工される加工面のフィレットRの大きさに合わせて決めることができる。上側インサート36は、主切れ刃がヘッド30の外周面から突出し、副切れ刃がヘッド30の基端面30aから突出するように上側座に取り付けられる。同様に、下側インサート38は、直線状の主切れ刃がヘッド30の外周面から突出し、円弧状の副切れ刃がヘッド30の先端面30bから突出するように下側座に取り付けられる。
また、上側インサート36は、そのすくい面が下方に向くように上側座32aに固定される。つまりT形工具10を先端面30b側から見たときに、上側インサート36のすくい面が見えるように、上側インサート36は、ヘッド30に対して傾斜している。同様に、下側インサート38は、そのすくい面が下方に向くように下側座に固定される。つまり、T形工具10を基端面30a(シャンク20)側から見たときに、下側インサート38のすくい面が見えるように、下側インサート38は、ヘッド30に対して傾斜している。
ヘッド30は、更に、その中央部に、シャンク20の雄ねじ24と螺合する雌ねじ50を有した中央開口部が形成されている。ヘッド30は、シャンク20の雄ねじ24をヘッド30の中央開口部の雌ねじ50と係合させることによって、シャンク20に締結される。ヘッド30の先端面30bに複数のねじ穴42、44を形成して、T形工具10の回転バランスをとるためのウェイトとしてのねじ(図示せず)を取り付けるようにしてもよい。本実施形態では、ねじ穴42は、ねじ穴44よりも小さな、つまり軽量のねじを固定するようになっている。小径のねじ穴42は精密回転バランス用、大径のねじ穴44は粗回転バランス用である。更に、ねじ穴42、44は、それぞれ円周上に等間隔に配置されており、ねじ穴42は、ねじ穴44よりも小さな直径の円周上に配置されていても、大きな直径の円周上に配置されていても、同一径の円周上に交互に配置されていてもよい。回転バランス取りをT形工具の加工作用点近傍で行えるので、アンバランスに起因するT形工具の振動は少ない。
また、図3、4に示すように、ヘッド30の先端面30bは、円形の薄板状のカバー31によって覆うことができる。カバー31は、複数のねじ33によって、ヘッド30の先端面30bに固定される。カバー31によってヘッド30先端面30bを覆うことによって、T形工具10の美観を改善するのみならず、T形工具10の使用中に発生する切り屑が、ねじ穴42、44内に進入することが防止される。
また、T形工具10を用いて切削加工を行っている間に生じる振動等によって、ヘッド30の雌ねじ50とシャンク20の雄ねじ24との間の締結が緩むことを防止するために、シャンク20に対するヘッド30の回転止めを施すことができる。
シャンク20に対するヘッド30の回転止めは、矩形のキーを用いることができる。図5〜図7を参照すると、シャンク20は、先端面に径方向に延設された1つの矩形の凹部126がキー溝として形成されている。ヘッド30の先端面30bには、キー105の厚さ寸法だけ窪んだ円形の凹部45が形成されている。凹部45は、雌ねじ50と同心に配置されている。シャンク20とヘッド30とを最後まで螺合したときに、凹部126の両端側に矩形板状のキー105をそれぞれ嵌入する。それぞれのキー105の一部分が凹部45にはみ出るように凹部126に嵌入する。キー105のはみ出した部分をヘッド30の凹部45に溶接するようになっている。キー105もヘッド30も共に鋼材料でなるので、容易に溶接ができる。超硬合金でなるシャンク20には溶接しないので、溶接熱で超硬合金がひび割れするような不都合はない。
ヘッド30は、更に、凹部45から半径方向に、ヘッド30の先端面30bに沿って溝部34まで延びる3本の半径溝54を有している。半径溝54は、カバー31によって、ヘッド30の先端面30bを覆ったときに、シャンク20を貫通する軸方向通路26からの切削液を第2の溝部34へ向けて方向付ける切削液のための半径方向通路を形成する。ヘッド30の内部に半径方向の通路を穿設する加工は難しいが、溝加工は容易である。
更に、ヘッド30をシャンク20に結合した後に、シャンク20を基準にして上側インサート36および下側インサート38の主切れ刃および副切れ刃が所望の寸法、形状、姿勢に研削加工により、T形工具10を仕上げるようにできる。また、ヘッド30をシャンク20に結合した後に、ねじ穴42、44に適当にねじを螺合して、T形工具10の回転バランスを調節することが好ましい。
図8を参照すると、回転止めの一例として、シャンク20とヘッド30との間に円柱状のキー100を嵌入、溶接する形態が示されている。本実施形態では、シャンク20の先端面には凹部126を予め形成することはしていない。シャンク20とヘッド30とを最後まで螺合したとき、図8に示すように、円柱状のキー100を2個嵌入できるように、シャンク20とヘッド30との境界部に、放電加工または研削等によって2つの円形穴を加工する。その円形穴にそれぞれキー100を嵌入し、キー100のヘッド30側の部分を先端面30bに溶接するようになっている。溶接に代えてろう付けでもよい。
本発明は、シャンク20に対するヘッド30の回転止めは、上述の円柱状のキー100に限定されず、他の形状であってもよい、例えば、図9に示す実施形態では、シャンク20に対するヘッド30の回転止めは小判形のキー104を備えている。本例では、シャンク20とヘッド30との境界部に小判形の切欠きを放電加工等によって2つ加工する。2つの切欠きにそれぞれ小判形のキー104をシャンク20からヘッド30にわたって嵌入し、キー104のヘッド30側の部分を先端面30bに溶接するようになっている。
更に、シャンク20に対するヘッド30の回転止めとしてのキーは、溶接によって、ヘッド30に固着されることに限定されない。例えば、図10に示す実施形態では、シャンク20に対するヘッド30の回転止めとしてのキーは、六角穴付ボルト102により構成される。本例では、ヘッド30の図10に示す2箇所位置に、予め六角穴付ボルト102をねじ込むためのねじ穴と座ぐり穴を加工しておく。シャンク20とヘッド30とを最後まで螺合したときに、ヘッドの座ぐり穴に対応するシャンク20の先端面位置に、放電加工等により座ぐり穴の一部形状を加工する。そして2つの座ぐり穴とねじ穴に六角穴付ボルト102をねじ込むことにより、回転止めが構成される。
更に、シャンク20に対するヘッド30の回転止めは、シャンク20のねじ部(雄ねじ24)の側面に、ヘッド30から径方向に止ねじを螺合するようにしてもよい。図11を参照すると、ヘッド30の第2の溝部34には半径方向に中心開口部に貫通するねじ穴が形成されている。シャンク20とヘッド30とを最後まで螺合したとき、放電加工によってこのねじ穴と同心の浅い穴をシャンク20の半径方向に加工する。そして、止ねじ56をこのねじ穴からねじ込み、止ねじ56をシャンク20の浅穴にくい込ませるようになっている。止ねじ56のねじ部にゆるみ止め剤を塗布したり、止ねじ56をねじ込んだ後、ねじ穴をろう付けで埋める等のゆるみ止め処置を行う。
既述の実施形態では、いずれもシャンク20の先端部に形成された雄ねじ24をヘッド30の中央部に形成された中央開口部の雌ねじ50に螺合するようになっていたが、本発明は、これに限定されず、シャンク20の先端部に雌ねじを形成し、ヘッド30の基端面30aに雄ねじを形成する他の実施形態にしてもよい。
図12〜図14を参照すると、この他の実施形態におけるシャンク20は、その先端部に嵌合穴132が形成されている。嵌合穴132は、シャンク20の中心軸線Osに沿って形成されており、該嵌合穴132の奥側に雌ねじが形成されたねじ部132aを有している。ヘッド30は、基端面30aの中心部から突出したボス部60と、該ボス部60から更に突出した軸部を有している。該軸部は、ボス部60に隣接する嵌合部62と、該嵌合部62から更に後方に突出した雄ねじより成るねじ部64とを有している。ボス部60、嵌合部62およびねじ部64は、ヘッド30の中心軸線Ohに沿って同軸に配置されている。
ヘッド30の軸部をシャンク20の先端部の嵌合穴132内に挿入し、ヘッド30のねじ部64をシャンク20のねじ部132aに螺合して、シャンク20とヘッド30とを結合すると、ヘッド30の嵌合部62がシャンク20の嵌合穴132に嵌合すると共に、シャンク20の先端面が、ヘッド30のボス部60に当接する。その後、シャンク20とボス部60の境界部に放電加工等により2つのキー106を嵌入させるキー溝を加工する。キー106をシャンク20とボス部60とにまたがるように嵌入させ、キー106の一部分をボス部60に溶接するようになっている。キー106は、既述した小判形のキー104や矩形のキー105その他の適当な形状とすることができる。
既述の実施形態では、ヘッド30はシャンク20に螺合することによって結合されているが、本発明は、これに限定されず、以下に説明するように、シャンク20の先端をヘッド30の中央部の穴に嵌合させることによって結合するようにしてもよい。
図15〜図17に示す更に他の実施形態では、シャンク20の先端部に形成された断面が概ね三角形状の嵌合部136を有している。三角柱状の嵌合部136の側面の各々には小孔138が形成されている。なお、本例では、シャンク20に平坦面28は設けられていない。
シャンク20の三角柱状の嵌合部136に対応させて、ヘッド30の中央部には、基端面30aから先端面30bに貫通する断面が三角形状の嵌合穴139が形成されている。また、ヘッド30には、中央部に嵌合穴139から半径方向に、溝部34まで延びる3本のねじ穴66が形成されている。
シャンク20の小孔138と、ヘッド30のねじ穴66は、シャンク20の先端部の嵌合部136をヘッド30の嵌合穴40に嵌合させたときに、同軸となるように配置されている。とがり先を有した止ねじ108をねじ穴66に螺合し、その先端を嵌合部136の小孔138内に挿入することによって、ヘッド30がシャンク20から脱離することが防止される。シャンク20の嵌合部136と、ヘッド30の嵌合穴139との嵌合は、締り嵌めとすることができる。嵌合部136は、ヘッド30を加熱して焼き嵌めにて嵌合穴139に嵌合させることができる。また、止ねじ108にはゆるみ止め処置を行う。
シャンク20の先端の嵌合部は、三角柱形状以外の多角柱形状とすることができる。例えば、図18〜図20に示す更に他の実施形態において、シャンク20は、その先端部に形成された断面が概ね四角形状の嵌合部140を有している。
シャンク20は、先端部に形成された断面が概ね四角形状の嵌合部140を有している。四角柱状の嵌合部140において、対向する2つの側面の各々には小孔142が形成されている。なお、本例では、シャンク20に平坦面28は設けられていない。
これに対応して、ヘッド30の中央部には、基端面30aから先端面30bに貫通する断面が四角形状の嵌合穴41が形成されている。また、ヘッド30には、シャンク20の嵌合部140から半径方向に、溝部34まで延びる2本のねじ穴68が形成されている。
シャンク20の小孔142と、ヘッド30のねじ穴68は、シャンク20の先端部の嵌合部140をヘッド30の嵌合穴41に嵌合させたときに、同軸となるように配置されている。とがり先を有した止ねじ110をねじ穴68に螺合し、その先端部を嵌合部140の小孔142内に挿入することによって、ヘッド30がシャンク20から脱離することが防止される。シャンク20の嵌合部140と、ヘッド30の嵌合穴41との嵌合は、締り嵌めとすることができる。嵌合部140は、ヘッド30を加熱して焼き嵌めにて嵌合穴41に嵌合させることができる。また、止ねじ110にはゆるみ止め処置を行う。
図15〜図20の実施形態では、シャンク20の嵌合部をヘッド30の嵌合穴に嵌合した後に、とがり先を有した止ねじを用いてシャンク20とヘッド30との分離を防止している。本発明は、これに限定されず、止ねじとシャンク20との間に傾斜駒を介在させるようにしてもよい。
図21〜図23を参照すると、更に他の本実施形態では、シャンク20は、その先端部に形成された断面が概ね四角形状の嵌合部144を有している。四角柱状の嵌合部144において、対向する2つの側面の各々には、シャンク20の中心軸線Osに対して傾斜した平面から成る傾斜面146が形成されている。傾斜面146は、シャンク20の先端方向に互いに接近するようにテーパ状に形成されている。なお、本例では、シャンク20に平坦面28は設けられていない。
これに対応して、ヘッド30の中央部には、基端面30aから先端面30bに貫通する断面が四角形状の嵌合穴43が形成されている。また、ヘッド30には、シャンク20の嵌合部144から半径方向に、溝部34まで延びる2本のねじ穴70が形成されている。
ヘッド30のねじ穴70は、シャンク20の先端部の嵌合部144をヘッド30の嵌合穴43に嵌合させたときに、シャンク20の傾斜面146を臨むように配置されている。図23に示すように、ねじ穴70内に傾斜駒114を入れた後に止ねじ112をねじ穴70に螺合して、傾斜駒114を傾斜面146に押圧する。これにより、ヘッド30がシャンク20から脱離することが防止される。シャンク20の嵌合部140と、ヘッド30の嵌合穴41との嵌合は、締り嵌めとすることができる。嵌合部140は、ヘッド30を加熱して焼き嵌めにて嵌合穴41に嵌合させることができる。また、止ねじ112にはゆるみ止め処置を行う。
本実施形態によれば、シャンク20とヘッド30との締結は、このようにねじ結合、多角柱と多角形穴との締まり嵌めまたは焼き嵌めで行い、キー結合後キーをヘッド30へ溶接したり、止ねじ結合後止ねじにゆるみ止め処理をする方法で行い、T形工具を製作している。T形工具の製作後にシャンク20とヘッド30との締結を解除することはなく、結合剛性が高く、加工中にシャンク20とヘッド30との締結が外れたりする危険性はない。また、シャンク20を超硬合金(ヤング率が鋼の約3倍)で形成することによって、シャンク20が変形しにくくなり、加工精度を高くすることが可能となる。
シャンクとヘッドとを1つの超硬合金からT字形に削り出す、シャンクとヘッド一体型のT形工具と比べ、本実施形態によれば材料コストおよび製作コストを格段に下げることができる。また、本実施形態では、シャンクとヘッドとを締結後、シャンクを基準にしてヘッドを仕上げ加工するので特許文献1のように、シャンクとヘッドとを当接させる基準面や固定用ねじを特別に作製する必要がなく、作製コストを下げることができる。
10 T形工具
20 シャンク
24 雄ねじ
30 ヘッド
31 カバー
36 上側インサート
38 下側インサート
42 ねじ穴
44 ねじ穴
50 雌ねじ
54 半径溝
105 キー
126 凹部

Claims (2)

  1. 切れ刃を有する工具本体と、円柱状のシャンクとを側面視においてT字形に締結したT形工具において、
    前記シャンクは超硬合金より成り、先端部に前記工具本体に係合する雄ねじまたは雌ねじが形成され、
    前記工具本体は鋼材より成り、前記シャンクの雄ねじまたは雌ねじと係合する雌ねじまたは雄ねじが形成され、
    前記シャンクと前記工具本体とが係合した状態の前記シャンクと前記工具本体との間に、両者の分離と回転を防止するキー結合部が設けられていることを特徴としたT形工具。
  2. 切れ刃を有する工具本体と、円柱状のシャンクとを側面視においてT字形に締結したT形工具の製作方法において、
    超硬合金より成るシャンクの先端部に前記工具本体に係合する雄ねじまたは雌ねじを形成し、
    鋼材より成る工具本体に、前記シャンクの雄ねじまたは雌ねじと係合する雌ねじまたは雄ねじを形成し、
    前記シャンクと前記工具本体とを係合し、
    前記シャンクと前記工具本体との間にキー溝を形成し、
    形成された前記キー溝に、前記シャンクから前記工具本体にわたってキーを嵌入し、
    前記キー溝に嵌入したキーを前記工具本体に溶接し、
    前記シャンクと前記工具本体の間の分離と回転を防止することを特徴としたT形工具の製作方法。
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