JP6778867B2 - ポリペプチド抽出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、酵母からポリペプチドを抽出する方法に関する。
近年、タンパク質を細胞内に発現させて、その後タンパク質を細胞から抽出し、かかるタンパク質を工業的に利用する方法が広く行われている。タンパク質を利用するためには、細胞内でタンパク質を発現させた後、一般的に細胞からタンパク質を抽出する必要がある。細胞、特に細胞壁を有する酵母等からタンパク質を抽出には、細胞を壊す方法が広く行われており、かかる方法としては、ガラスビーズと共に撹拌する方法、超音波処理する方法、フレンチプレスを用いて圧力をかける方法等、外部からの物理的な負荷により破壊する方法等が知られているが、特別な機器・装置を用いるため設備投資が必要である。また、細胞壁分解酵素を用いて細胞壁を溶解する方法も知られているが、酵素が高価である。
さらに、上記いずれの方法も、細胞の破壊若しくは細胞壁の溶解を行うため、目的とするタンパク質を精製するためのコスト及び時間が多く必要となる。
このほか、酵母を0.06M Tris−HCl、pH6.8、5 %グリセロール、2%SDS、4% 2−メルカプトエタノールを含む緩衝液に浸漬させて煮沸する方法(非特許文献1参照)や、0.1M NaOH、2% SDS、2% 2−メルカプトエタノール、及び0.05M EDTAを含む緩衝液に浸漬させて煮沸する方法(非特許文献2参照)が開示されているが、酵母を浸漬させた緩衝液を煮沸する工程が必要であるとともに、煮沸によりタンパク質が変性するという問題があった。
また、細胞を抽出試薬に接触させて、少なくともpH約10.0のpHを有する中間組成物を生成し、かかる中間組成物を中和試薬に接触させてタンパク質抽出物を生成するための方法であって、抽出試薬又は中和試薬の一方または両方が、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含む方法(特許文献1参照)が開示されているが、あくまでヒトの細胞を対象とし、酵母のような細胞壁を有する細胞を対象とする方法ではなかった。
特表2011−503208号公報
Vitaly V. Kushnirov, Yeast, 16:857-860(2000) Tobias von der Haar, PLoS ONE, 2(10):e1078(2007)
上記のとおり酵母は細胞壁を有することから、酵母からタンパク質等のポリペプチドを抽出することが困難であり、細胞壁の物理的破壊や酵素による分解が行われてきたが、特別な設備や酵素が必要であり、かつタンパク質等のポリペプチドの精製工程も複雑となる。そこで本発明の課題は、安価で容易に酵母からタンパク質等のポリペプチドを抽出する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した中で、酵母と接触させる水溶液のpHを6.1〜13.0とし、かつ界面活性剤を含有させることで、酵母を物理的に破壊することや、細胞壁を溶解させることなく酵母内にあるタンパク質等のポリペプチドを抽出することが可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明らは、以下の[1]〜[7]に示すとおりのものである。
[1]酵母と、界面活性剤とを含有する水溶液とを接触させて静置又は撹拌することを特徴とする酵母からポリペプチドを抽出する方法であって、水溶液のpHが6.1〜13.0である方法。
[2]水溶液が、0.1〜3%の界面活性剤を含有することを特徴とする上記[1]記載の方法。
[3]界面活性剤が、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、又はポリエチレングリコール−p−オクチルフェニルエーテルであることを特徴とする上記[1]又は[2]記載の方法。
[4]水溶液のpHが7.0〜10.5であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれか記載の方法。
[5]ポリペプチドがタンパク質であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれか記載の方法。
[6]タンパク質が、親水性タンパク質であることを特徴とする上記[5]記載の方法。
本発明の方法により、特別な設備や酵素が必要なく、安価で容易に酵母からポリペプチドを抽出することが可能である。
サッカロマイセス・セレビシエを培養及び集菌し、各pHの緩衝液又は溶液を加えて30分静置した後の写真である。 サッカロマイセス・セレビシエを培養及び集菌し、1%Triton X−100含有各pHの緩衝液又は溶液を加えて30分静置した後の写真である。 サッカロマイセス・セレビシエを培養及び集菌し、1%NP−40含有各pHの緩衝液又は溶液を加えて30分静置した後の写真である。 サッカロマイセス・セレビシエを培養及び集菌し、1%Tween−20含有各pHの緩衝液又は溶液を加えて30分静置した後の写真である。 1%Triton X−100、1%NP−40を含有するpH8の緩衝液又はpH10.5の溶液を用いて抽出したタンパク質をSDS−PAGEによって解析した結果を示す図である。 1%Triton X−100、1%NP−40を含有するpH8の緩衝液又はpH10.5の溶液を用いて抽出したタンパク質をNative−PAGEによって解析した結果を示す図である。 サッカロマイセス・セレビシエを培養及び集菌し、1%Triton X−100含有pH10.5の溶液を加えて4、30、50、70、80、90℃で30分静置した後の写真(上段)、及び4、30、50、70℃で一晩静置した後の写真(下段)である。 図7に示すそれぞれの溶液の上清について、SDS−PAGEによって解析を行った結果を示す図である。 クルイベロマイセス・マルシアヌスを培養及び集菌し、各pHの緩衝液又は溶液を加えて30分静置した後の写真である。 クルイベロマイセス・マルシアヌスを培養及び集菌し、1%Triton X−100含有各pHの緩衝液又は溶液を加えて30分静置した後の写真である。 クルイベロマイセス・マルシアヌスを培養及び集菌し、1%NP−40含有各pHの緩衝液又は溶液を加えて30分静置した後の写真である。 クルイベロマイセス・マルシアヌスを培養及び集菌し、1%Tween−20含有各pHの緩衝液又は溶液を加えて30分静置した後の写真である。 抽出前後の酵母を顕微鏡で観察した写真である。
本発明の酵母からポリペプチドを抽出する方法としては、酵母と、界面活性剤とを含有する水溶液とを接触させて静置又は撹拌することを特徴とする酵母からポリペプチドを抽出する方法であって、水溶液のpHが6.1〜13.0である方法であれば特に制限されず、かかる方法により、細胞壁を有する酵母において、酵母からポリペプチドを抽出することが可能となる。
本発明における酵母としては、分類学上酵母に属するものであれば特に制限されず、例えば、クルイベロマイセス属(Kluyveromyces)、デバリオマイセス属(Debaryomyces)、ハンゼヌラ属(Hansenuala)、キャンディダ属(Candida)、メチニコウィア属(Metschnikowia)、ネマトスポラ属(Nematospora)、ピキア属(Pichia)、サッカロマイセス属(Saccharomyces)、サッカロマイコデス属(Saccharomycodes)、シゾサッカロマイセス属(Schizosaccharomyces)、シュワニオマイセス属(Schwanniomyces)、トリコスポロン属(Trichosporon)、トルロプシス属(Torulopsis)、ロドトルラ属(Rhodotorula)、ヤローウィア属(Yarrowia)等の酵母を挙げることができ、より具体的には、クルイベロマイセス・アフリカヌス(K.africanus)、クルイベロマイセス・ラクチス(K.lactis)、クルイベロマイセス・マルキシアヌス(K.marxianus)、クルイベロマイセス・ファゼオロスポラス(K.phaseolosporus)等のクルイベロマイセス属の酵母、デバリオマイセス・ハンセニイ(D.hansenii)等のデバリオマイセス属の酵母、ハンゼヌラ・アノマラ(H.anomala)等のハンゼヌラ属の酵母、キャンディダ・アルビカンス(C.albicans)、キャンディダ・ウティリス(C.utilis)、キャンディダ・グラブラタ(C.glabrata)、キャンディダ・ボイジニィ(C.boidinii)、キャンディダ・トロピカリス(C.tropicalis)、キャンディダ・リポリティカ(C.lipolytica)、キャンディダ・フレーベリ(C.flaveri)、キャンディダ・ビルサチルス(C.versatilis)等のキャンディダ属の酵母、メチニコウィア・プルテェリマ(M.pulcherrima)等のメチニコウィア属の酵母、ネマトスポラ・コリリ(N.coryli)等のネマトスポラ属の酵母、ピキア・スチピチス(P.stipitis)、ピキア・ファリノサ(P.farinosa)、ピキア・パストリス(P.pastris)、ピキア・アノマラ(P.anomala)等のピキア属の酵母、サッカロマイセス・クドリアヴゼヴィイ(S.kudriavzevii)、サッカロマイセス・セレビシエ(S.cerevisiae)、サッカロマイセス・ドウグラシ(S.douglasii)、サッカロマイセス・カールスベルゲンシス(S.carlsbergensis)、サッカロマイセス・パラドキサス(S.paradoxus)、サッカロマイセス・パストリアヌス(S.pastorianus)、サッカロマイセス・バヤヌス(S.bayanus)、サッカロマイセス・マンジニ(S.mangini)、サッカロマイセス・ミカタエ(S.mikatae)等のサッカロマイセス属の酵母、サッカロマイコデス・ルドウイギ(S.ludwigii)等のサッカロマイコデス属の酵母、シゾサッカロミセス・ポンベ(S.pombe)等のシゾサッカロミセス属の酵母、シュワニオマイセス・アルビウス(S.a11uvius)、シュワニオマイセス・オシデンタリス(S.occidentalis)、シュワニオマイセス・カステリ(S.castellii)等のシュワニオマイセス属の酵母、トリコスポロン・プルランス(T.pu11ulans)、トリコスポロン・ペニシァタム(T.penicillatum)等のトリコスポロン属の酵母、トルロプシス・マグノリアエ(T.magnoliae)、トルロプシス・ヴェラティリス(T.veratilis)、トルロプシス・キャンディダ(T.candida)等のトルロプシス属の酵母、ロドトルラ・ミニュータ(R.minuta)、ロドトルラ・ムシラギノーザ(R.mucilaginosa)等のロドトルラ属の酵母、ヤローウィア(サッカロマイコプシス)・リポリティカ(Y.(Saccharomycopsis)lipolytica)等のヤローウィア属の酵母を挙げることができるが、サッカロマイセス属又はクルイベロマイセス属の酵母を好適に挙げることができ、サッカロマイセス・セレビシエ又はクルイベロマイセス・マルシアヌスをより好適に挙げることができる。また、本発明における酵母には、これらの酵母の変異株も含まれる。
本発明において、水溶液としては、界面活性剤とを含有し、pHが6.1〜13.0であるかぎり特に制限されないが、かかるpHとしては好ましくは6.4〜10.8、より好ましくは7.0〜10.5を挙げることができる。
水溶液としてはpHの変動を抑制するために緩衝液を用いてもよい。かかる緩衝液としては特に制限されないが、トリス((hydroxymethyl)aminomethan)塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid)緩衝液、HEPES(4−(2−HydroxyEthyl)−1−PiperazineEthaneSulfonic acid)緩衝液、MOPS(3−(N−morpholino)propanesulfonic acid)、TEA(Tris−Acetate−EDTA)緩衝液、Tricine緩衝液等を挙げることができる。また、Trizma Baseを水に溶解したTris溶液を用いてもよい。
水溶液として緩衝液を用いる場合、緩衝液の濃度としては特に制限されないが、より緩衝液のpHを維持する観点から0.02〜1M、好ましくは0.05〜0.5M、より好ましくは0.08〜0.15Mを挙げることができる。また、水溶液としてTris溶液を用いる場合、Trizma Baseの濃度としては0.02〜1M、好ましくは0.05〜0.5M、より好ましくは0.08〜0.15Mを挙げることができる。
水溶液中に含有する界面活性剤の濃度としては、好ましくは0.1〜3%、より好ましくは0.5〜1.5%、さらに好ましくは0.8〜1.2%を挙げることができる。界面活性剤の種類としては、エーテル系界面活性剤であることが好ましく、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、又はポリエチレングリコール−p−オクチルフェニルエーテルであることが好ましく、Triton X−100(登録商標)、又はNP−40(商標)がより好ましい。
酵母と水溶液とを接触させて静置又は撹拌する時間としては特に制限されないが、30秒以上が好ましく、静置又は撹拌する温度に応じて1分〜96時間でもよく、5分〜24時間でもよく、20分〜12時間でもよく、1時間〜6時間でもよい。なお、酵母と水溶液とを接触させて静置する場合には、一旦酵母と水溶液とを接触させて撹拌後に静置することが、ポリペプチドの抽出効率を高める観点から好ましい。
上記静置又は撹拌する際の温度としては特に制限されないが、20〜95℃であることが好ましく、よりポリペプチドを短時間で抽出するためには40〜95℃とすることができる。
酵母と水溶液とを接触させる前に、予め酵母を洗浄液で洗浄することが、菌体や培養液による水溶液のpHの変動を抑制する観点で好ましい。洗浄液としては特に限定されないが、その後の工程で酵母と接触させて静置又は撹拌するのに用いる水溶液や、かかる水溶液において界面活性剤を含有していない水溶液を挙げることができる。また、酵母を洗浄する方法としては、培養した酵母を遠心等によって沈殿させ、上清を除いたうえで洗浄液を加えて撹拌した後に洗浄液を除く方法を挙げることができる。
抽出するポリペプチドとしては、2以上のアミノ酸がペプチド結合を形成して重合されたものであればよく、タンパク質、ペプチドホルモン、エピトープ等を挙げることができる。タンパク質としては特に制限されないが、親水性タンパク質であることが好ましく、親水性の酵素、蛍光タンパク質、構造タンパク質、金属結合タンパク質、補因子タンパク質等を挙げることができる。
抽出するポリペプチドの分子量としては特に制限されないが、1000〜500000を挙げることができる。
[サッカロマイセス・セレビシエからの抽出−水溶液のみ]
赤色蛍光タンパク質を発現するサッカロマイセス・セレビシエを培養し、様々な水溶液による酵母からの赤色蛍光タンパク質の抽出を行った。
(MOPS緩衝液の調整)
pH4,5,6:20.9gのMOPSを約80mLの水に溶解し、pHを測定しながらNaOHで各pHに調整した。調整後、100mLにメスアップして1M MOPS緩衝液を得た。使用時に、900μLの蒸留水に100μLの前記1M MOPS緩衝液を加えて0.1M MOPS緩衝液を調整した。
(Tris−HCl緩衝液の調整)
pH7,8,9,10:12.1gのTrizma Base(シグマアルドリッチ社製)を約80mLの水に溶解し、pHを測定しながらHClで各pHに調整した。調整後、100mLにメスアップして1M Tris−HCl緩衝液を得た。使用時に、900μLの蒸留水に100μLの前記1M Tris−HCl緩衝液を加えて0.1M Tris−HCl緩衝液を調整した。
(Tris溶液の調整)
pH10.5:12.1gのTrizma Baseを水に溶解し100mLにメスアップして1M Tris溶液を得た。使用時に、900μLの蒸留水に100μLの前記1M Tris溶液を加えて、0.1M Tris溶液を調整した。
(サッカロマイセス・セレビシエの培養及びタンパク質抽出)
250mL容量のバッフル付三角フラスコに、酵母用培地(国際公開第2014/030774号パンフレット)においてウラシルを欠損させた培地50mLを用意し、かかる培地にyEmRFP−6HISを発現するサッカロマイセス・セレビシエRAK12987を植菌した。サッカロマイセス・セレビシエRAK12987はサッカロマイセス・セレビシエBY4741株にyEmRFP−6HIS遺伝子を含むサッカロマイセス・セレビシエの2μmプラスミドを導入して作製した。かかるサッカロマイセス・セレビシエRAK12987を30℃のインキュベータ内で150rpmの速度で1日振とう培養した。培養液1mLを1.5mLチューブに移して12000rpm 5分遠心し、上清を捨てて集菌した。集菌した菌体に上記で調整した各pHのMOPS緩衝液、Tris−HCl緩衝液、又はTris溶液を洗浄液として加えて撹拌し、その後洗浄液を除去して菌体を洗浄し、さらに再度各pHのMOPS緩衝液、Tris−HCl緩衝液、又はTris溶液を300μL加え、撹拌後に50℃で30分静置した。なお、RFPは分子量27000の親水性赤色蛍光タンパク質である。また、コントロールとして、蒸留水(DW)を用いて同様の操作を行った。結果を図1に示す。
図1から明らかなように、いずれのpHの緩衝液又は溶液を用いても緩衝液又は溶液は透明であると共に菌体に赤色が残っており、サッカロマイセス・セレビシエから赤色蛍光タンパク質は抽出されなかった。
[サッカロマイセス・セレビシエからの抽出−界面活性剤含有水溶液]
界面活性剤を含有する緩衝液又は溶液を用いて、酵母からの赤色蛍光タンパク質の抽出を試みた。
(緩衝液又は溶液の調整)
蒸留水400μLに上記で調整した1Mの各pHの緩衝液又は溶液を50μL、10%Triton X−100(和光純薬工業社製)を50μL加えて1%Triton X−100含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を調整した。
また、蒸留水900μLに上記で調整した1Mの各pHの緩衝液又は溶液を100μL加えて0.1Mの各pHの緩衝液又は溶液を調整した。かかる調整した0.1Mの各pHの緩衝液又は溶液のうち300μLに3μLの100%NP−40(MP Biomedicals社製)を加えて、1%NP−40含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を調整し、同様に3μLの100%Tween−20(シグマアルドリッチ社製)を加えて、1%Tween−20含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を調整した。
(サッカロマイセス・セレビシエの培養及びタンパク質抽出)
緩衝液又は溶液として1%Triton X−100含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液、1%NP−40含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液、又は1%Tween−20含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた以外は、上記と同様の方法でサッカロマイセス・セレビシエRAK12987の培養、集菌、及び緩衝液又は溶液を加えた後の静置を行った。なお、コントロールとして、1%Triton X−100、1%NP−40、又は1%Tween−20含有蒸留水を用いて同様に操作を行った。
1%Triton X−100含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合の結果を図2に、1%NP−40含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合の結果を図3に、1%Tween−20含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合の結果を図4に示す。図2、3から明らかなように、1%Triton X−100含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液や1%NP−40含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合、pH7〜10.5での緩衝液又は溶液が赤く染色されており、サッカロマイセス・セレビシエから赤色蛍光タンパク質がほとんど緩衝液又は溶液に抽出されていることが明らかとなった。一方、図4に示すように、1%Tween−20含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合、pH7〜10.5でも緩衝液又は溶液は透明であると共に菌体に赤色が残っており、サッカロマイセス・セレビシエから赤色蛍光タンパク質は抽出されなかった。したがって、TritonX−100やNP−40のようなエーテル系界面活性剤を含有するpH7〜10.5の緩衝液又は溶液を用いることで、サッカロマイセス・セレビシエからタンパク質を容易に抽出できることが明らかとなった。一方、エステル−エーテル系界面活性剤であるTween−20を含有するpH7〜10.5の緩衝液又は溶液を用いても、サッカロマイセス・セレビシエからタンパク質を抽出できないことが明らかとなった。
[抽出したタンパク質のSDS−PAGE]
実施例1において、上記1%Triton X−100、1%NP−40を含有するpH8の緩衝液又はpH10.5の溶液を用いて抽出したタンパク質をSDS−PAGEによって解析した。
実施例1において上記1%Triton X−100、1%NP−40を含有するpH8の緩衝液又はpH10.5の溶液を加えて30分静置後の上清250μLを新しい1.5mLチューブに移し、1.5mLの線まで冷アセトンを加えた。1.5mLチューブを上下に振とうし、12000rpm 5分遠心し、上清を捨てた。沈殿に、2×SDS sample buffer(BIO−RAD社製)を1×に調整して、20μL加え、95℃ 5分ボイルし、15μl/laneでゲルにアプライして流した。ゲルはプレキャストゲル(スーパーセップ:和光純薬工業社製)5−20%を用いた。結果を図5に示す。
図5に示すように、分子量27000の赤色蛍光タンパク質RPFをはじめ、様々なタンパク質がサッカロマイセス・セレビシエから緩衝液又は溶液に抽出されていることが明らかとなった。
[抽出したタンパク質のNative−PAGE]
実施例1において、1%Triton X−100、1%NP−40を含有するpH8の緩衝液又はpH10.5の溶液を用いて抽出したタンパク質をNative−PAGEによって解析した。
実施例1において上記1%Triton X−100、1%NP−40を含有するpH8の緩衝液又はpH10.5の溶液を加えて30分静置後の上清50μLを新しい1.5mLチューブに移し、2×Native−PAGE sample bufferを50μL加え、15μl/laneでゲルにアプライして流した。ゲルはプレキャストゲル(スーパーセップ:和光純薬工業社製)5−20%を用いた。
結果を図6に示す。図6に示すように、中央付近に赤いバンドが確認でき、赤色蛍光タンパク質RPFがサッカロマイセス・セレビシエから緩衝液又は溶液に変性することなく抽出されていることが明らかとなった。
[抽出温度及び時間の検討]
水溶液として1%Triton X−100含有0.1M Tris溶液を用い、抽出温度及び時間を検討した。
(サッカロマイセス・セレビシエの培養及びタンパク質抽出)
250mL容量のバッフル付三角フラスコにAYD−U培地(50mL)を用意し、そこにyEmRFP−6HISを発現するサッカロマイセス・セレビシエK7を植菌した。サッカロマイセス・セレビシエK7はRAK2359(Ano, A. et al., Biosci. Bioethanol. Biochem., 73(3):633-640(2009))にyEmRFP−6HIS遺伝子を含むサッカロマイセス・セレビシエの2μプラスミドを導入して作製した。かかるサッカロマイセス・セレビシエK7を30℃のインキュベータ内で150rpmの速度で1日振とう培養した。培養液1mLを1.5mLチューブに移して集菌した。集菌した菌体を上記0.1M Tris溶液で洗浄した後、1%Triton X−100含有0.1M Tris溶液を300μL加え、撹拌後に4、30、50、70℃については30分又は一晩(O/N:24時間)、さらに80、90℃については30分静置した。結果を図7に示す。
図7に示すように、50、70、80、90℃においては、わずか30分でTris溶液にタンパク質が抽出されており、30℃でも一晩静置すればTris溶液にタンパク質が抽出されることが明らかとなった。
(抽出したタンパク質のSDS−PAGE)
図7に示すそれぞれのTris溶液の上清について、上記と同様の方法でSDS−PAGEによって解析した。結果を図8に示す。
図8に示すように、分子量27000の位置に太いバンドが確認でき、赤色蛍光タンパク質RPFがサッカロマイセス・セレビシエからTris溶液に抽出されていることが明らかとなった。
[クルイベロマイセス・マルシアヌスからの抽出−界面活性剤含有水溶液]
実施例1においてはサッカロマイセス・セレビシエを用いたが、クルイベロマイセス・マルシアヌスを用いても同様にタンパク質を抽出できるかを調べた。
サッカロマイセス・セレビシエの代わりにクルイベロマイセス・マルシアヌス(yEmRFP発現株)を用い、実施例1と同様に緩衝液又は溶液のみ、界面活性剤含有の緩衝液又は溶液を用いてタンパク質の抽出を試みた。
緩衝液又は溶液のみを用いた場合の結果を図9に、1%Triton X−100含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合の結果を図10に、1%NP−40含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合の結果を図11に、1%Tween−20含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合の結果を図12に示す。
図10、11に示すように、クルイベロマイセス・マルシアヌスにおいても、1%Triton X−100含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液、及び1%NP−40含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合、pH7〜10.5での緩衝液又は溶液が赤く染色されており、クルイベロマイセス・マルシアヌスから赤色蛍光タンパク質がほとんどの緩衝液又は溶液に抽出されていることが明らかとなった。一方、図12に示すように、1%Tween−20含有0.1M各pHの緩衝液又は溶液を用いた場合、pH7〜10.5でも緩衝液又は溶液は透明であると共に菌体に赤色が残っており、クルイベロマイセス・マルシアヌスから赤色蛍光タンパク質は抽出されなかった。したがって、TritonX−100又はNP−40のようなエーテル系界面活性剤を含有するpH7〜10.5の緩衝液又は溶液を用いることで、クルイベロマイセス・マルシアヌスからタンパク質を容易に抽出できることが明らかとなった
[抽出前後の酵母の観察]
250mL容量のバッフル付三角フラスコにYPD培地50mlを入れ、かかる培地にyEmRFP−6HISを発現するサッカロマイセス・セレビシエRAK20149を植菌した。植菌後、30℃のインキュベータ内で150rpmの速度で93時間振とう培養した。培養液10mLを15mLチューブに移して3000rpm 2分遠心し、上清を捨てて集菌した。集菌した菌体に上記で調整した0.1M Tris溶液2.5mlを洗浄液として加えて撹拌し、その後、0.1M Tris溶液を除去して菌体を洗浄し、さらに1%Triton X−100含有0.1M Tris溶液を500μL加え、撹拌後に50℃で1時間静置した。撹拌後の酵母を顕微鏡(Axio Imager A1 fluorescence
microscope (Carl Zeiss社製)を用い、100ミリ秒で設定して撮影した。結果を図13に示す。
図13に示すように、抽出前においては赤色タンパク質が細胞内のみに観察されるが、抽出後は培地全体に観察されたことから、本発明を用いることでポリペプチドを酵母から抽出可能であることが確認できた。また、抽出後において細胞内に赤色タンパク質がほとんど観察されなかったことから、単に赤色タンパク質のごく一部が細胞外に抽出されたのではなく、およそ95%以上もの赤色タンパク質が細胞外に抽出されており、本発明の方法を用いれば、ポリペプチドの抽出効率が極めて高いことが明らかとなった。
本発明の酵母からポリペプチドを抽出する方法は、有用なタンパク質、ペプチドホルモン、又はエピトープの生産に利用される。

Claims (5)

  1. 酵母と、0.1〜3%のエーテル系界面活性剤を含有する水溶液(NaCl、KCl、NaNO、KNO、又はNaSOを0.25M以上含有する水溶液、及びN,N−dimethyltetradecylamineを含有する水溶液を除く)とを接触させて静置又は撹拌することを特徴とする、酵母を物理的に破壊することなく酵母の細胞膜内からポリペプチドを抽出する方法であって、水溶液のpHが6.1〜13.0であり、酵母を凍結させる工程を含まない方法。
  2. 界面活性剤が、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、又はポリエチレングリコール−p−オクチルフェニルエーテルであることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 水溶液のpHが7.0〜10.5であることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. ポリペプチドがタンパク質であることを特徴とする請求項1〜のいずれか記載の方法。
  5. タンパク質が、親水性タンパク質であることを特徴とする請求項記載の方法。
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