しかし、上記従来の特許文献1に示された傾斜窓用ブラインドでは、巻取軸1回転当たりの巻取長さが少なく、弛みの比較的大きいガイドワイヤに張力を付与する場合、ガイドワイヤを巻取軸に複数回巻付けなければならず、多くの手間が掛かる不具合があった。また、上記従来の特許文献1に示された傾斜窓用ブラインドでは、巻取軸を回転させるためにドライバーを用いなければならず、このドライバーを作業中に落としてしまうおそれがあった。また、上記従来の特許文献1に示された傾斜窓用ブラインドでは、ガイドワイヤを巻取軸から繰出して巻取軸から外すと、ガイドワイヤに巻き癖が残り、このガイドワイヤを再び巻取軸に取付けて巻取ることが困難になる問題点があった。更に、上記従来の特許文献1に示された傾斜窓用ブラインドでは、ガイドワイヤが切れて、新しいガイドワイヤに交換する場合、巻取軸に形成された巻着用の孔に新しいガイドワイヤを通すために、ヘッドキャップをヘッドボックスから取外すか、或いはヘッドボックスを壁等から取外す必要があり、またヘッドキャップやヘッドボックスを取外してもヘッドボックス内の狭小スペースでの作業となるため、極めて多くの手間が掛かる問題点もあった。
本発明の第1の目的は、ドライバー等の工具を必要とせず、また狭小スペースにおいても容易にかつ迅速に、ガイドワイヤへの張力の付与、ガイドワイヤの張力の調整及びガイドワイヤの交換を行うことができる、日射遮蔽装置を提供することにある。本発明の第2の目的は、張力を調整して設置したガイドワイヤを窓等から取外しても、ガイドワイヤに巻き癖が残らず、このガイドワイヤを別の窓等に容易に設置できる、日射遮蔽装置を提供することにある。本発明の第3の目的は、ガイドワイヤを張力保持部材に容易に配索できる、日射遮蔽装置を提供することにある。本発明の第4の目的は、ガイドワイヤの突出端部をヘッドキャップのリング状の凹溝に収容することにより、ヘッドキャップ周りの見栄えを向上できる、日射遮蔽装置を提供することにある。本発明の第5の目的は、ボトムレール及びスラットの畳上げによって、ガイドワイヤの保持が意図せずに解除されるのを防止できる、日射遮蔽装置を提供することにある。
本発明の第1の観点は、図1、図3及び図4に示すように、窓枠の上枠部、天井又は壁15に取付けられるヘッドボックス11と、ヘッドボックス11の長手方向及び前後方向にそれぞれ間隔をあけてヘッドボックス11から垂下された複数のラダーコード12と、これらのラダーコード12間に鉛直方向に所定の間隔をあけて配設され水平方向に延びる複数のスラット13と、複数のスラット13のうち最下段のスラット13の下方に水平方向に延びて設けられ複数のラダーコード12の下端が連結されたボトムレール14と、複数のスラット13及びボトムレール14に挿通され上部がヘッドボックス11内の張力保持部材24により保持され下端が窓枠の下枠部又は床26に取付けられるガイドワイヤ16とを備えた日射遮蔽装置10であって、張力保持部材24が、ヘッドボックス11内に挿入されたガイドワイヤ16を解放可能に保持するワイヤストッパ28と、ワイヤストッパ28を通過してこのワイヤストッパ28から突出したガイドワイヤ16をヘッドボックス11外に案内してガイドワイヤ16の突出端部16bを形成するワイヤ案内部29とを有し、ワイヤストッパ28は、ガイドワイヤ16の突出端部16bを操作したときにガイドワイヤ16を解放してその長手方向への移動を許容し、ガイドワイヤ16の突出端部16bの操作を停止したときにガイドワイヤ16を保持してその長手方向への移動を阻止するように構成されたことを特徴とする。
本発明の第2の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図4及び図5に示すように、ワイヤストッパ28が、上部にガイドワイヤ16が通過する大径の円筒孔31aが形成され下部に円筒孔31aに連通し下方に向うに従って次第に小径になるテーパ孔31bが形成されかつこのテーパ孔31bがヘッドボックス11の底壁11aに形成された透孔11bに臨むアウタケース31と、円筒孔31a及びテーパ孔31bに上下動可能であって下端がテーパ孔31bから突出可能に収容され中心にガイドワイヤ16が挿通される挿通孔32aが形成されかつ外周面から挿通孔32aに達する横穴32bが形成された略円錐台状のインナ可動片32と、インナ可動片32の横穴32bに横方向に移動可能に収容されたボール33と、円筒孔31aに収容されインナ可動片32を押下げる方向に付勢する弾性体34とからなり、インナ可動片32が弾性体34により押下げられてアウタケース31のテーパ孔31bに密着したときにボール33が挿通孔32a内のガイドワイヤ16に圧接されるように構成されたことを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に図4に示すように、ワイヤ案内部29が、ワイヤストッパ28の上面から突出したガイドワイヤ16をUターンさせて下向きに変更しヘッドボックス11の底壁11aからヘッドボックス11外に突出させるように構成されたことを特徴とする。
本発明の第4の観点は、第1又は第2の観点に基づく発明であって、更に図11に示すように、ワイヤ案内部59が、ワイヤストッパ28の上面から突出したガイドワイヤ16を横向きに変更しヘッドボックス11の側端面からヘッドボックス11外に突出させるように構成されたことを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第1の観点に基づく発明であって、更に図11、図13及び図14に示すように、ガイドワイヤ16の突出端部16bが最上段のスラット13より上方に位置する部材61に係止可能に構成されたことを特徴とする。
本発明の第6の観点は、第2の観点に基づく発明であって、更に図4(b)及び図7に示すように、インナ可動片32が最も下降した状態で、インナ可動片32の下面がヘッドボックス11の底壁11a下面に取付けられた受け板29f下面より下方に突出しないように構成されたことを特徴とする。
本発明の第1の観点の日射遮蔽装置では、ガイドワイヤの突出端部を操作したときにガイドワイヤを解放してその長手方向への移動を許容し、ガイドワイヤの突出端部の操作を停止したときにガイドワイヤを保持してその長手方向への移動を阻止するので、ドライバー等の工具を必要とせず、ガイドワイヤの突出端部の操作とこの操作の停止を行うだけで、容易かつ迅速にガイドワイヤに張力を付与することができる。
また、永年の使用により切れたガイドワイヤを交換するときには、先ず、古いガイドワイヤのうち切れた箇所より上側部分はガイドワイヤの突出端部を操作し続けることにより取外すことができ、古いガイドワイヤのうち切れた箇所より下側部分はガイドワイヤの下端を床等から外すことにより取外すことができる。次に、新しいガイドワイヤを設置するときには、このガイドワイヤの下端を床等に取付け、このガイドワイヤをボトムレール及び複数のスラットに挿通した後に、ガイドワイヤの上端をヘッドボックス内のワイヤストッパに挿入し、ガイドワイヤをワイヤストッパ内に押込み続けると、ガイドワイヤはワイヤストッパを通過しワイヤ案内部により案内されてヘッドボックス外に突出する。更に、このガイドワイヤの突出端部を操作した後にこの操作を停止する。これにより新しいガイドワイヤに張力を付与できる。このように容易かつ迅速にガイドワイヤの交換及びガイドワイヤへの張力の付与を行うことができる。
本発明の第2の観点の日射遮蔽装置では、ガイドワイヤの突出端部を引下げると、アウタケース内でインナ可動片が弾性体の付勢力に抗してガイドワイヤとともに引上げられ、ガイドワイヤへのボールの圧接力が弛むので、ガイドワイヤが解放されてその長手方向への移動が許容される、即ちガイドワイヤがワイヤストッパ内を上昇する。そして、ガイドワイヤの突出端部の引下げ操作を停止すると、インナ可動片が弾性体により押下げられてアウタケースのテーパ孔に密着することにより、ボールが挿通孔内のガイドワイヤに圧接されるので、ガイドワイヤがワイヤストッパにより保持されてその長手方向への移動が阻止される。この結果、上記と同様に、ドライバー等の工具を必要とせず、ガイドワイヤの突出端部の引下げ操作とこの引下げ操作の停止を行うだけで、容易かつ迅速にガイドワイヤに張力を付与することができる。
一方、張力を調整して窓等に設置したガイドワイヤを窓等から取外す場合、先ず、下端がアウタケースのテーパ孔から突出するインナ可動片を弾性体の付勢力に抗して押上げることにより、ガイドワイヤへのボールの圧接力が弛む。この状態でガイドワイヤをヘッドボックスの透孔から引抜くことにより、ガイドワイヤの上部がヘッドボックスから取外すことができる。次に、ガイドワイヤを複数のスラット及びボトムレールから引抜いた後に、ガイドワイヤの下端を床等から外す。このような簡単な作業でガイドワイヤを窓等から取外すことができる。また、取外す前のガイドワイヤのうち張力が作用していた部分は、一直線状に延びた部分であり、ガイド案内部内に位置するガイドワイヤやガイドワイヤの突出端部には張力が作用していなかったため、上記取外したガイドワイヤには巻き癖が残っていない。この結果、ガイドワイヤを上記と同様の作業で別の窓等に容易に設置できる。
本発明の第3の観点の日射遮蔽装置では、ガイドワイヤを張力保持部材に配索するとき、ガイドワイヤの上端をヘッドボックスの下面からワイヤストッパに挿入し、ガイドワイヤをワイヤストッパ内に押込み続けると、ガイドワイヤは、ワイヤストッパを通過し、ワイヤ案内部により案内されUターンして下向きになり、更にヘッドボックスの下面からヘッドボックス外に突出することにより、ガイドワイヤの突出端が形成される。このように、ガイドワイヤを張力保持部材に容易に配索できる。
本発明の第4の観点の日射遮蔽装置では、ガイドワイヤを張力保持部材に配索するとき、ガイドワイヤの上端をヘッドボックスの下面からワイヤストッパに挿入し、ガイドワイヤをワイヤストッパ内に押込み続けると、ガイドワイヤは、ワイヤストッパを通過し、ワイヤ案内部により案内されて横向きになり、更にヘッドボックスの側端面からヘッドボックス外に突出することにより、ガイドワイヤの突出端が形成される。このように、ガイドワイヤを張力保持部材に容易に配索できる。
本発明の第5の観点の日射遮蔽装置では、ガイドワイヤの突出端部を最上段のスラットより上方に位置する部材に係止したので、ヘッドボックスの外部に突出したガイドワイヤの突出端部がヘッドボックスより下方に位置するスラットまで垂れ下がって露出するのを阻止できる。この結果、日射遮蔽装置の意匠性が損なわれるのを防止できる。
本発明の第6の観点の日射遮蔽装置では、インナ可動片が最も下降した状態で、インナ可動片の下面がヘッドボックスの底壁下面の受け板下面より下方に突出しないので、ボトムレール及びスラットの畳上げによって、最上段のスラットが受け板下面に当接しても、インナ可動片の下端部が押上げられることがない。この結果、ガイドワイヤの保持が意図せずに解除されるのを防止できる。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1〜図3に示すように、日射遮蔽装置10は、この実施の形態では、横型ブラインドである。横型ブラインド10は、壁15に取付けられるヘッドボックス11と、ヘッドボックス11の長手方向及び前後方向にそれぞれ間隔をあけてヘッドボックス11から垂下された複数のラダーコード12と、これらのラダーコード12間に鉛直方向に所定の間隔をあけて配設され水平方向に延びる複数のスラット13と、複数のスラット13のうち最下段のスラット13の下方に水平方向に延びて設けられ複数のラダーコード13の下端が連結されたボトムレール14と、複数のスラット13及びボトムレール14に挿通されたガイドワイヤ16とを備える。
ヘッドボックス11は壁15にブラケット17を介して取付けられる(図3)。またラダーコード12は、この実施の形態では、ヘッドボックス11の長手方向に間隔をあけて2本、かつヘッドボックス11の前後方向に間隔をあけて2本、それぞれヘッドボックス11から垂下される、即ち合計4本のラダーコード12がヘッドボックス11から垂下される(図1〜図3)。そして複数のスラット13は、これらのラダーコード12の間に鉛直方向に所定の間隔をあけかつ水平方向に延びた状態で、ラダーコード12により保持される(図1及び図3)。各ラダーコード12は、ヘッドボックス11の下面と最上段のスラット13との間で上側の補助ラダー部12bと下側の主ラダー部12aとに分割され、補助ラダー12b下端に設けられたアッパフック12cと主ラダー部12a上端に設けられたアッパリング12dにより連結される(図3)。また、この実施の形態では、2本の昇降コード18が、正面視(図1)でラダーコード12に重なるようにヘッドボックス11からそれぞれ垂下され、各スラット13を貫通し、下端がボトムレール14にそれぞれ連結される(図3)。これらの昇降コード18を上昇させると、その下端に取付けられたボトムレール14がスラット13を順次載せて上昇するように構成される。更に、ヘッドボックス11内には回転軸19を回動可能に保持するドラムホルダ20が取付けられ、前方向又は後方向に回転軸19とともに揺動可能な傾動ドラム21にラダーコード12の上端が連結され、前方向又は後方向に回転軸19とともに回転可能な巻取ドラム22に昇降コード18の上端が連結され、傾動ドラム21のプーリ溝に円弧板状のラダーリングの内周部が嵌合される(図1及び図2)。そして、傾動ドラム21及び巻取ドラム22が回転軸19を介して前方向又は後方向に90度未満の角度だけ回転すると、ラダーリングの内周部と傾動ドラム21のプーリ溝の摩擦によりラダーリングも傾動ドラム21と一体的に回転し、ラダーコード12の前後が上下することにより、スラット13が前側又は後側に傾斜するように構成される。一方、傾動ドラム21及び巻取ドラム22が回転軸19を介して前方向又は後方向に90度以上回転すると、ラダーリングがストッパに当たって傾動ドラム21の回転が停止し、スラット13がそれ以上傾斜しなくなるけれども、巻取ドラム22は回転し続けて、昇降コード18が巻取ドラム22に巻取られ又は巻取ドラム22から繰出されるように構成される。なお、図1及び図3中の符号23は、回転軸19を回転させるためにヘッドボックス11の一端部から垂下された操作コードである。
一方、ガイドワイヤ16はヘッドボックス11の長手方向の両端部に配設され、これら2本のガイドワイヤ16,16の上部はヘッドボックス11内の張力保持部材24によりそれぞれ保持される(図1〜図3)。また、2本のガイドワイヤ16,16の下端にはロアリング16aが形成され、床26にはロアフック27が取付けられる(図1及び図3)。そして、ロアリング16aをロアフック27に係合することにより、ガイドワイヤ16の下端が床26に取付けられる。上記張力保持部材24は、ヘッドボックス11内にその下面から挿入されたガイドワイヤ16を解放可能に保持するワイヤストッパ28と、ワイヤストッパ28を通過してこのワイヤストッパ28の上面から突出したガイドワイヤ16をヘッドボックス11外に案内してガイドワイヤ16の突出端部16bを形成するワイヤ案内部29とを有する(図1、図2及び図4)。上記ワイヤストッパ28は、上部にガイドワイヤ16が通過する大径の円筒孔31aが形成され下部に円筒孔31aに連通し下方に向うに従って次第に小径になるテーパ孔31bが形成されたアウタケース31と、円筒孔31a及びテーパ孔31bに上下動可能に収容され中心にガイドワイヤ16が挿通される挿通孔32aが形成されかつ外周面から挿通孔32aに達する横穴32bが形成された略円錐台状のインナ可動片32と、インナ可動片32の横穴32bに横方向に移動可能に収容されたボール33と、円筒孔31aに収容されインナ可動片32を押下げる方向に付勢する弾性体34とからなる(図4)。
上記テーパ孔31bは、ヘッドボックス11の底壁11aに形成された透孔11bに臨むように形成される(図4)。また、インナ可動片32は、円錐台状部32cと、この円錐台状部32cの上面に突設されこの上面と同径の円柱状に形成された大径部32dと、円錐台状部32cの下面に突設されこの下面と同径の円柱状に形成された小径部32eとが一体成形される。インナ可動片32の下端の小径部32eはテーパ孔31bから下方に突出可能に構成される。また、ボール33は、この実施の形態では、鋼やアルミ合金等により形成された金属球であり、弾性体34は、この実施の形態では、圧縮コイルばねである。そして、インナ可動片32が弾性体34により押下げられてアウタケース31のテーパ孔31bに密着したときにボール33が挿通孔32a内のガイドワイヤ16に圧接されるように構成される(図4(b)及び図5(b))。具体的には、図5に示すように、横穴32bは、インナ可動片32の円周方向に等間隔に3つ形成される。そして、これらの横穴32bにボール33が1個ずつ収容され、これらのボール33は横穴32b内をそれぞれ移動可能に構成される。そして、インナ可動片32が弾性体34により押下げられてアウタケース31のテーパ孔31bに密着し、ガイドワイヤ16に3個のボール33がそれぞれ圧接されたとき(図4(b)及び図5(b))、ガイドワイヤ16がその長手方向への移動が阻止されて、ガイドワイヤ16の張力を一定に保つことができるようになっている。
一方、ワイヤ案内部29は、上面が円弧状に形成され下面が平坦に形成されかつ縦方向に2分割された一対の案内部本体29a,29aと、一対の案内部本体29a,29aの下部にそれぞれ一体的に設けられた一対の取付部29b,29bとからなる(図4〜図7)。一対の案内部本体29a,29a内にはこれらの周縁に沿う逆U字状の一対の側溝29c,29cが形成される(図4)。これらの分割された一対の案内部本体29a,29aを互いに向き合せてビス36で固定し合体させることにより、上記一対の側溝29c,29cがガイドワイヤ16を遊挿可能な単一の遊挿孔29dになる。また、一対の案内部本体29a,29aの下側部にはワイヤストッパ28の略半分を収容可能なストッパ収容凹部29eが形成される図4〜図6。このストッパ収容凹部29eにワイヤストッパ28の略半分を収容したときに、ワイヤストッパ28のアウタケース31の円筒孔31aがワイヤ案内部29の遊挿孔29dに連通するように構成される。更に、ワイヤ案内部29のストッパ収容凹部29eにワイヤストッパ28の略半分を収容した状態で、ビス37(図2及び図6)を一対の取付部29b,29b及びヘッドボックス11の底壁11aに挿通して、ヘッドボックス11の裏面に密着させた略T字状の受け板29fに螺合すると、ワイヤストッパ28がワイヤ案内部29とヘッドボックス11の底壁11aにより挟持されて固定される。これにより、ワイヤ案内部29は、ワイヤストッパ28の上面から突出したガイドワイヤ16をUターンさせて下向きに変更しヘッドボックス11の下面からヘッドボックス11外に突出させるように構成される(図4)。このヘッドボックス11外に突出したガイドワイヤ16の突出端部16bは、ガイドワイヤ16の張力を調整するために作業者が把持して操作する部分である(図1、図3、図4、図6及び図7)。なお、図4及び図7中の符号11cは、ヘッドボックス11の底壁11aに形成された通孔である。この通孔11cは、ガイドワイヤ16の突出端部16bをヘッドボックス11の底壁11aから突出させるために形成される。また、図1〜図4中の符号38は、ヘッドレール11の側端面を閉止するヘッドキャップであり、図4及び図7中の符号29gは、略T字状の受け板29fに形成されインナ可動片32の小径部32eを遊挿可能な孔である。更に、インナ可動片32が最も下降した状態で、インナ可動片32の下面がヘッドボックス11の底壁11a下面に取付けられた略T字状の受け板29f下面より下方に突出しないように構成される。
このように構成された横型ブラインド10のガイドワイヤ16に張力を付与する手順を説明する。ガイドワイヤ16の突出端部16bを引下げると、アウタケース31内でインナ可動片32が弾性体34の付勢力に抗してガイドワイヤ16とともに引上げられる。これにより、インナ可動片32の円錐台状部32cの外周面がアウタケース31のテーパ孔31bの内周面から離れて、3個のボール33が3つの横孔32b内を円錐台状部32cの外周面側にそれぞれ移動するので、ガイドワイヤ16へのボール33の圧接力が弛む(図4(a)及び図5(a))。このため、ガイドワイヤ16が解放されてその長手方向への移動が許容されるので、ガイドワイヤ16がワイヤストッパ28内を上昇する。そして、ガイドワイヤ16の突出端部16bの引下げ操作を停止すると、インナ可動片32が弾性体34により押下げられてアウタケース31のテーパ孔31bに密着する。これにより、3個のボール33が3つの横穴32b内を挿通孔32a側にそれぞれ移動して、3個のボール33が挿通孔32a内のガイドワイヤ16にそれぞれ圧接されるので、ガイドワイヤ16がワイヤストッパ28により保持されてその長手方向への移動が阻止される(図4(b)及び図5(b))。この結果、ドライバー等の工具を必要とせず、ガイドワイヤ16の突出端部16bの引下げ操作とこの引下げ操作の停止を行うだけで、容易かつ迅速にガイドワイヤ16に張力を付与することができる。また、ガイドワイヤ16に張力を付与してインナ可動片32が最も下降した状態で、インナ可動片32の下面がヘッドボックス11の底壁11a下面の受け板29f下面より下方に突出しないので、ボトムレール14及びスラット13の畳上げによって、最上段のスラット13が受け板29f下面に当接しても、インナ可動片32の下端部が押上げられることがない。この結果、ガイドワイヤ16の保持が意図せずに解除されるのを防止できる。
また、永年の使用により切れたガイドワイヤ16の交換手順を説明する。先ず、ガイドワイヤ16の突出端部16bの引下げ操作を続けることにより、切れた古いガイドワイヤ16のうち切れた箇所より上側部分を取外す。次いで、ガイドワイヤ16下端のロアリング16aを、床26に取付けられたロアフック27から外すことにより、古いガイドワイヤ16のうち切れた箇所より下側部分を取外す。次に、新しいガイドワイヤ16の下端のロアリング16aを床26のロアフック27に係合し、このガイドワイヤ16をボトムレール14及び複数のスラット13に挿通する。そして、ガイドワイヤ16の上端をヘッドボックス11の下面からワイヤストッパ28に挿入し、ガイドワイヤ16をワイヤストッパ28内に押込み続けると、ガイドワイヤ16はワイヤストッパ28のうちインナ可動片32の挿通孔32a及びアウタケース31の円筒孔31aを通過し、ワイヤ案内部29にて案内されることにより、即ちワイヤ案内部29の遊挿孔29d内を進むことにより、Uターンして下向きに変更され、ヘッドボックス11の底壁11aの通孔11cを通過してヘッドボックス11外に突出する。このように容易かつ迅速にガイドワイヤ16を交換することができる。更に、このガイドワイヤ16の突出端部16bを、上記と同様に引下げ操作した後にこの引下げ操作を停止すると、新しいガイドワイヤ16に張力を付与できるので、容易かつ迅速にガイドワイヤ16に張力を付与することができる。
一方、張力を調整して窓に設置したガイドワイヤ16を窓から取外す手順を説明する。先ず、下端がアウタケース31のテーパ孔31bから突出してヘッドボックス11の底壁11aの透孔11b及び略T字状の受け板29fの孔29gに遊挿されたインナ可動片32の小径部32eを弾性体34の付勢力に抗して押上げることにより、インナ可動片32の円錐台状部32cの外周面がアウタケース31のテーパ孔31bの内周面から離れて、3個のボール33が3つの横孔32b内を円錐台状部32cの外周面側にそれぞれ移動するので、ガイドワイヤ16へのボール33の圧接力が弛む。この状態でガイドワイヤ16をヘッドボックス11の底壁11aの透孔11b及び略T字状の受け板29fの孔29gから引抜くことにより、ガイドワイヤ16の上部がヘッドボックス11から取外すことができる。次に、ガイドワイヤ16を複数のスラット13及びボトムレール14から引抜いた後に、ガイドワイヤ16下端のロアリング16aを、床26に取付けられたロアフック27から外す。このような簡単な作業でガイドワイヤ16を窓から取外すことができる。また、取外す前のガイドワイヤ16のうち張力が作用していた部分は、一直線状に延びた部分であり、ガイド案内部29内に位置するガイドワイヤ16やガイドワイヤ16の突出端部16bには張力が作用していなかったため、上記取外したガイドワイヤ16には巻き癖が残っていない。この結果、ガイドワイヤ16を上記と同様の作業で別の窓に容易に設置できる。
<第2の実施の形態>
図8〜14は本発明の第2の実施の形態を示す。図8〜14において図1〜図7と同一符号は同一部品を示す。この実施の形態では、張力保持部材54のワイヤ案内部59が、ヘッドボックス11の側端面を閉止するヘッドキャップ61の略中央にヘッドキャップ61と一体的に形成された内壁形成部59aと、内壁形成部59aとは別部材により形成され内壁形成部59aを所定の間隔をあけて覆う外壁形成部59bと、内壁形成部59aの上面に沿って扁平に形成されガイドワイヤ16を遊挿可能な角孔59cとからなる(図8、図9、図11及び図12)。内壁形成部59aは、ヘッドキャップ61に直交する方向の縦断面が略逆J字状に形成され、ヘッドキャップ61に平行な方向の縦断面が略逆U字状に形成される。また、外壁形成部59bは、内壁形成部59aより一回り大きくかつ内壁形成部59aに略相似する形状に形成される(図12)。ヘッドキャップ61には、内壁形成部59aの両側部に鉛直方向に延びる一対の被係止部59d,59dが形成され、外壁形成部59bには、その両側部に鉛直方向に延びる一対の係止部59e,59eが形成される。一対の被係止部59d,59dは横断面略L字状に形成され、一対の係止部59e,59eは略鍔状に形成される。また、ヘッドキャップ61の下部には、ヘッドキャップ61をヘッドボックス11に取付けるための一対の取付部61a,61aが突設される。
そして、一対の係止部59e,59eを一対の被係止部59d,59dに係止するとともに、一対の係止部59e,59eを図示しない係合手段や接着手段等により一対の被係止部59d,59dから抜けるのを阻止することにより、外壁形成部59bがヘッドキャップ61に固定される(図12)。これにより、内壁形成部59aの外面と外壁形成部59bの内面との間にガイドワイヤ16を遊挿可能な遊挿孔59fが形成される(図11)。また、ヘッドボックス11の側端部をヘッドキャップ61で閉止し、ワイヤ案内部59とヘッドボックス11の底壁11aとの間にワイヤストッパ28を挿入した状態で、ビス62(図9)を一対の取付部61a,61a及びヘッドボックス11の底壁11aに挿通して、ヘッドボックス11の裏面に密着させた帯板状の受け板59gに螺合すると、ワイヤストッパ28がワイヤ案内部59とヘッドボックス11の底壁11aにより挟持されて固定される。ここで、ワイヤ案内部59とヘッドボックス11の底壁11aとの間にワイヤストッパ28を挿入すると、ワイヤストッパ28のアウタケース31の円筒孔31aがワイヤ案内部59の遊挿孔59fに連通するように構成される(図10)。そして、上記ワイヤ案内部59は、ワイヤストッパ28の上面から突出したガイドワイヤ16を横向きに変更し、ヘッドボックス11の側端面を閉止するヘッドキャップ61からヘッドボックス11外に突出させるように構成される。更に、ガイドワイヤ16の突出端部16bは、最上段のスラット13より上方に位置する部材に係止可能に構成される。この係止可能な部材は、この実施の形態では、ヘッドキャップ61である。具体的には、ヘッドキャップ61の外面に、角孔59cを囲みかつガイドワイヤ16の突出端部16bを収容して係止可能なリング状の凹溝61bが形成される(図10、図11、図13及び図14)。なお、図11、図13及び図14中の符号61cは、角孔59cとリング状の凹溝61bとを接続し角孔59cからリング状の凹溝61bに向うに従って底が次第に深くなるテーパ溝61cである。また、図10、図13及び図14中の符号61dは、リング状の凹溝61bに収容されたガイドワイヤ16をリング状の凹溝61bから抜け難くするためにリング状の凹溝61bの幅を狭める複数の爪である。更に、図11及び図14中の符号59hは、帯板状の受け板59gに形成されインナ可動片32の小径部32eを遊挿可能な孔である。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
このように構成された横型ブラインド50では、ガイドワイヤ16を張力保持部材54に配索するとき、ガイドワイヤ16の上端をヘッドボックス11の下面からワイヤストッパ28に挿入し、ガイドワイヤ16をワイヤストッパ28内に押込み続けると、ガイドワイヤ16はワイヤストッパ28のうちインナ可動片32の挿通孔32a及びアウタケース31の円筒孔31aを通過し、ワイヤ案内部59にて案内されることにより、即ちワイヤ案内部59の遊挿孔59f内を進むことにより、横向きに変更され、ヘッドキャップ61の角孔59cを通過してヘッドボックス11外に突出する(図11)。これにより、ガイドワイヤ16の突出端16bが形成される。このように、ガイドワイヤ16を張力保持部材54に容易に配索できる。この状態で、ガイドワイヤ16の突出端部16bを、引下げ操作した後にこの引下げ操作を停止すると、ガイドワイヤ16に張力を付与できる。そして、ヘッドボックス11外に突出したガイドワイヤ16の突出端部16bをヘッドキャップ61のリング状の凹溝61bに収容する(図11(b)、図13及び図14)。この結果、ガイドワイヤ16の突出端部16bがヘッドキャップ61から垂れ下がって露出するのを阻止できるので、横型ブラインド50の意匠性が損なわれるのを防止できる。上記以外の横型ブラインド50のガイドワイヤ16に張力を付与する手順、永年の使用により切れたガイドワイヤ16の交換手順、及び張力を調整して窓に設置したガイドワイヤ16を窓から取外す手順は、第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、ヘッドボックスを壁に取付けたが、ヘッドボックスを窓枠の上枠部や天井等に取付けてもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、ラダーコードをヘッドボックスの長手方向に間隔をあけて2本ヘッドボックスから垂下したが、ラダーコードをヘッドボックスの長手方向に間隔をあけて3本以上ヘッドボックスから垂下してもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、2本の昇降コードコードをヘッドボックスからそれぞれ垂下したが、3本以上の昇降コードをヘッドボックスから垂下してもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、ガイドワイヤの下端を床に取付けたが、ガイドワイヤの下端を窓枠の下枠部等に取付けてもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、弾性体として圧縮コイルばねを挙げたが、圧縮荷重を掛けると圧縮可能であって圧縮荷重を取除くと復元可能なゴムでよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、ボールとして金属球を挙げたが、プラスチック球でもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、ガイドワイヤをヘッドボックス内にその下面から挿入しワイヤストッパを通過させてこのワイヤストッパの上面から突出させたが、ガイドワイヤをヘッドボックス内にその上面や側面等から挿入しワイヤストッパを通過させてこのワイヤストッパの下面や側面等から突出させてもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、ガイドワイヤの突出端部を引下げ操作したが、ガイドワイヤの突出端部を引上げ操作したり、或いはガイドワイヤの突出端部の水平方向への引く操作を行ってもよい。更に、上記第2の実施の形態では、ガイドワイヤの突出端部を係止可能な部材としてヘッドキャップを挙げたが、ガイドワイヤの突出端部をヘッドボックスの背面、上面、下面等に係止してもよい。