JP6778361B2 - フィラグリン遺伝子発現促進剤 - Google Patents

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Description

本発明は、フィラグリン遺伝子発現促進剤、及びストレス曝露による上皮/内皮電気抵抗低下抑制剤に関する。
ヒトの表皮及び内皮細胞層は化学物質を選択的に透過させる機能を有する。そして、表皮を構成する角質層によってアレルゲンの進入が阻止される。フィラグリンはケラチン線維を凝集させて、角化を進行させる作用を有する蛋白であり、また、フィラグリンを分解して得られるアミノ酸は天然保湿因子の主要成分である。これらは、皮膚のバリア機能を増強して、アレルゲンの侵入を阻止するのに重要な働きを有する化合物である。
アレルギー性皮膚疾患、尋常性魚鱗癬、老人性乾皮症等の患者の多くは、フィラグリン濃度の低下が認められ、その結果、皮膚のバリア機能が低下してアレルゲンが侵入し易い状態となり、アレルゲンの侵入によりアレルギー反応が引き起こされて強い掻痒感が生じ、掻破により皮膚表面が傷ついてバリア機能が更に低下するという負のサイクルが引き起こされている。
従って、皮膚バリア機能の低下を改善し、皮膚バリア機能を高く保持するためには、細胞内においてフィラグリンの合成を促進して、フィラグリン濃度を上昇させることが重要である。フィラグリン濃度を上昇させる方法として、フィラグリン遺伝子の発現を促進することにより、フィラグリン濃度を上昇する方法が知られている。特許文献1には、フィラグリン遺伝子発現促進剤として、サンショウエキス、バジルオイル、ペッパーオイル、ゼラニウムオイル、ローズオイル等が記載されている。しかし、フィラグリン遺伝子の発現促進効果としては未だ不十分であった。
国際公開第2014/024518号
従って、本発明の目的は、フィラグリン遺伝子の発現促進効果に優れ、皮膚に適用することによりフィラグリン濃度を速やかに上昇させて、バリア機能を顕著に向上させる効果を発揮するフィラグリン遺伝子発現促進剤を提供することにある。
本発明の他の目的は、ストレス曝露により、上皮/内皮電気抵抗が低下すること、すなわち皮膚のバリア機能が低下すること、を抑制する効果を有する上皮/内皮電気抵抗低下抑制剤を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するため鋭意検討した結果、下記式(1)で表される、2−アミノ−4−([3−(カルボキシメチル)フェニル]メチルホスホノ)ブタン酸及びその塩は、フィラグリン遺伝子の発現促進効果に優れ、皮膚に適用することによりフィラグリン濃度を速やかに上昇させて、バリア機能を顕著に向上させる効果を発揮することを見いだした。また、前記化合物を適用すると、ストレス曝露による上皮/内皮電気抵抗の低下が顕著に抑制されることを見いだした。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
すなわち、本発明は、下記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩を有効成分として含む、フィラグリン遺伝子発現促進剤を提供する。
Figure 0006778361
本発明は、また、下記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩を有効成分として含む、ストレス曝露による上皮/内皮電気抵抗低下抑制剤を提供する。
Figure 0006778361
本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤は、上記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩を有効成分として含むため、フィラグリン遺伝子の発現促進効果に優れ、皮膚に適用することにより、表皮細胞中のフィラグリン濃度を速やかに上昇させて、バリア機能を顕著に向上させる効果を発揮する。更に、上記式(1)で表される化合物及びその塩は安全性に優れる。そのため、本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤は、フィラグリン濃度が低下することにより引き起こされる様々な症状(例えば、アレルギー性皮膚疾患等)の改善に著しい効果を発揮する。
また、本発明のストレス曝露による上皮/内皮電気抵抗低下抑制剤(以後、「TER低下抑制剤」と称する場合がある)は、上記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩を有効成分として含むため、予め皮膚に適用することによりストレスへの防御準備が成され、表皮細胞中のフィラグリン濃度が上昇して、ストレス曝露に起因する上皮/内皮電気抵抗値(以後、「TER値」と称する場合がある)の低下を抑制する効果を発揮する。すなわち、皮膚バリア機能の低下が抑制される。更に、上記式(1)で表される化合物及びその塩は安全性に優れる。そのため、本発明のTER低下抑制剤は、ストレス曝露によりTER値が低下することによって、若しくはストレス曝露により皮膚の角質層が損傷して皮膚のバリア機能が低下することによって、引き起こされる様々な症状(例えば、細胞傷害、炎症、黒色化、シミやソバカスの生成等)の予防に著しい効果を発揮する。
本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤による、フィラグリン遺伝子の発現促進効果を示す図である。 本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤による、TER値の上昇速度を速める効果を示す図である。 本発明のTER低下抑制剤によって、ストレス曝露によるTER値の低下が抑制されることを示す図である。 本発明のTER低下抑制剤によりストレスへの防御準備が成されることで、ストレス曝露してもヘムオキシゲナーゼ遺伝子の発現が抑制されることを示す図である。
[フィラグリン遺伝子発現促進剤]
本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤は、有効成分として、下記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩を、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含むことを特徴とする。
Figure 0006778361
前記式(1)で表される化合物の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニアとの塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミン等の含窒素有機塩基との塩;リジン、アルギニン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩;遷移金属塩;塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸との塩;シュウ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との塩等を挙げることができる。
本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤全量における、上記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩の含有量(2種以上含有する場合はその合計含有量)は、例えば70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上である。尚、上限は100重量%である。
上記式(1)で表される化合物は、例えば、2−アミノ−4−ホスホノブタン酸を原料として使用し、下記工程を経て製造することができる。尚、工程[1]と[2]は、[1]−[2]の順で行っても、[2]−[1]の順で行ってもよい。また、工程[4]と[5]は、[4]−[5]の順で行っても、[5]−[4]の順で行ってもよい。
[1] カルボキシル基に保護基を導入する
[2] アミノ基に保護基を導入する
[3] リン酸基の2つのヒドロキシル基をハロゲン原子で置換する
[4] 2−(3−ヒドロキシフェニル)酢酸を反応させて、リン原子に結合するハロゲン原子の一方を3−(カルボキシメチル)フェニルオキシ基と置換する
[5] メタノールを反応させて、リン原子に結合するハロゲン原子の他方をメトキシ基と置換する
[6] カルボキシル基とアミノ基を脱保護する
原料として使用する2−アミノ−4−ホスホノブタン酸は、例えば、非特許文献[Kosolapoff G.M. Isomerization of alkyl phosphites.VII. Some derivatives of 2-bromoethanephosphonic acid J.Am.Chem.Soc.1948,70,1971-1972;Chambers,J.R.,Isbell,A.F.A new synthesis of amino phosphonic acids.J.Org.Chem.1964,29,832-836]に記載の方法で製造することができる。
工程[1]は、2−アミノ−4−ホスホノブタン酸のカルボキシル基に保護基を導入する工程であり、例えば、2−アミノ−4−ホスホノブタン酸とROH(Rは置換基を有していてもよいアリール基又はアラルキル基を示し、好ましくはベンジル基、4−ニトロベンジル基である)を反応させることにより保護基を導入することができる。この反応は、酸触媒(例えば、塩酸等)の存在下、室温付近の温度環境下で行うことが好ましい。反応時間は、例えば12〜24時間程度である。
工程[2]は、2−アミノ−4−ホスホノブタン酸のアミノ基に保護基を導入する工程であり、例えば、溶媒に溶解した2−アミノ−4−ホスホノブタン酸中にR’OC(=O)X(R’は置換基を有していてもよいアリール基又はアラルキル基を示し、Rと同様の例を挙げることができる。R’はRと同一であってもよく、異なっていてもよい。Xはハロゲン原子を示す)を滴下して反応させることにより、保護基を導入することができる。この反応は、塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム等)の存在下で行うことが好ましい。
前記溶媒としては、例えば、水、ハロゲン化炭化水素系溶媒、飽和又は不飽和炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒等を1種又は2種以上使用することができる。
滴下時温度は、室温以下が好ましく、特に0℃付近が好ましい。反応時間は、例えば0.5〜2時間程度である。また、滴下終了後は例えば25〜30℃に保温した状態で、例えば10〜24時間程度、撹拌しつつ熟成させることが好ましい。
工程[3]は、リン酸基の2つのヒドロキシル基をハロゲン原子で置換する工程であり、例えば、工程[1]、[2]を経て得られた化合物に、触媒、及び溶媒の存在下でハロゲン化剤を反応させることにより行うことができる。前記触媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等を使用することができる。また、前記溶媒としては、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒等を1種又は2種以上使用することができる。前記ハロゲン化剤としては、例えば、塩酸オキサリル、塩化チオニル、五塩化リン、オキシ塩化リン等を挙げることができる。これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。この反応は、室温付近の温度で1時間程度行うことが好ましい。
工程[4]は、2−(3−ヒドロキシフェニル)酢酸を反応させて、工程[3]を経て得られたリン原子に結合するハロゲン原子の一方を3−(カルボキシメチル)フェニルオキシ基と置換する工程である。この反応は塩基の存在下で行うことが好ましく、塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルイソプロピルアミン、N−メチルイミダゾール、ピリジン等を挙げることができる。また、この反応は溶媒の存在下で行うことが好ましく、溶媒としては乾燥ジクロロメタンを使用することが好ましい。反応は、−65℃付近で30分間程度撹拌した後、室温までゆっくり昇温し、その後室温を保持した状態で1〜3時間程撹拌して行うことが好ましい。
工程[5]は、メタノールを反応させて、リン原子に結合するハロゲン原子の他方をメトキシ基と置換する工程である。工程[5]は、2−(3−ヒドロキシフェニル)酢酸に代えてメタノールを使用する以外は工程[4]と同様の方法で行うことができる。
工程[6]は、カルボキシル基とアミノ基を脱保護する工程であり、例えば、接触水素還元法、塩化アルミニウムを用いた脱保護法等により行うことができる。前記接触水素還元法は、パラジウムを活性炭や硫酸バリウム等の担体に担持させて得られるパラジウム系触媒や白金系触媒の存在下で、工程[5]を経て得られた化合物中に水素ガスをバブリングする方法である。また、前記塩化アルミニウムを用いた脱保護法は、三塩化アルミニウムを加えた溶媒(例えば、乾燥ニトロメタン等の高極性溶媒)中で、工程[5]を経て得られた化合物とアニソールとを反応させる方法である。
各工程終了後は、得られた反応生成物に、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、吸着、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の分離手段や、これらを組み合わせた分離手段を施して精製してもよい。
上記式(1)で表される化合物の製造方法の一例を下記式に示す。下記式中のR、R’、X、は上記に同じ。
Figure 0006778361
Figure 0006778361
式(1)で表される化合物としては、例えば、商品名「GGsTop」(和光純薬工業(株)製)等の市販品を使用しても良い。
式(1)で表される化合物の塩は、上記方法で得られた式(1)で表される化合物に、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等の塩基性化合物;アンモニア;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジエチルアミン、シクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N−ベンジル−β−フェネチルアミン、1−エフェナミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミン等の含窒素有機塩基;リジン、アルギニン、オルニチン等の塩基性アミノ酸;塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸等の無機酸;シュウ酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等を反応させることにより製造することができる。
本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤は、皮膚表面に適用することによりフィラグリン遺伝子の発現を促進し、表皮細胞中のフィラグリン濃度を顕著に上昇させることができる。フィラグリン濃度の上昇度は、適用前の濃度の、例えば1.1倍以上(例えば1.1〜3倍)、好ましくは1.3倍以上、特に好ましくは1.5倍以上である。
また、本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤は、有棘細胞においてはインボルクリンをコードする遺伝子(インボルクリン遺伝子)の発現を促進し、顆粒細胞ではロリクリンをコードする遺伝子(ロリクリン遺伝子)の発現を促進する効果も併せて有する。インボルクリンは互いに架橋して細胞外構造を形成し、角質層の強度を高める。また、ロリクリンは、表皮ケラチノサイトの正常角化に重要な役割を果たす。
フィラグリン遺伝子は表皮細胞中で発現して、プロフィラグリンを産生する。産生されたプロフィラグリンは脱リン酸化とタンパク分解酵素の作用を受けて分解されてフィラグリンを形成する。そして、形成されたフィラグリンはケラチン線維を凝集させて、角化を進行させた後、アミノ酸に分解される。このアミノ酸は保湿機能や紫外線吸収能を有し、天然保湿因子の主要成分として、皮膚の保湿や紫外線からの防御に優れた作用を発揮する。
本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤によりフィラグリン濃度が上昇すると、表皮細胞中において上記のような反応により、角質層の形成が促進され、角質層の単層の形成に要する時間は、フィラグリン遺伝子発現促進剤を適用しない場合に比べて、例えば12時間以上(好ましくは、12〜24時間程度)短縮される。尚、角質層の単層の形成は、TER値が1000Ωを超えることにより確認できる。
上記のように角質層が形成されることで、皮膚のバリア機能が向上する。そのため、本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤は、フィラグリン産生の低下によって引き起こされる皮膚バリア機能の低下に起因する様々な症状(例えば、アレルギー性皮膚疾患、尋常性魚鱗癬、老人性乾皮症等)を改善する目的で、好適に使用することができる。その他、フィラグリン産生の低下を予防する用途にも好適に使用することができる。
本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤は、皮膚のバリア機能を向上、若しくはバリア機能の低下を防止する効果を有し、且つ細胞毒性を有さず、安全性に優れる。そのため、例えば、外皮用薬、点眼薬、点鼻薬、点耳薬、口腔薬、スキンケア用化粧料、入浴剤等の添加剤として好適に使用することができる。
本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤の添加量は用途に応じて適宜調整することができる。例えば、化粧品に添加する場合、添加量としては、化粧品中の式(1)で表される化合物、及び/又はその塩の濃度は、例えば0.5〜70μM、好ましくは10〜60μM、特に好ましくは30〜60μM、最も好ましくは40〜60μMである。
前記外皮用薬やスキンケア用化粧料の使用形態は、特に制限されず、例えば、ペースト状、ゲル状、液状、乳液状、クリーム状の製剤として使用することができる。また、シート状基材に含浸させてシート状製剤として使用したり、容器に封入してエアゾール状の製剤やスプレー状の製剤として使用することもできる。
前記外皮用薬には、塗布剤(クリーム剤、軟膏剤、ゲル剤、ローション剤、液剤、チンキ剤)、貼付剤(パップ剤、プラスター剤、テープ剤、パッチ剤)が含まれる。また前記口腔薬には含嗽薬、噴霧薬が含まれる。
前記スキンケア用化粧料には、例えば、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ、アイブロウ、チーク、口紅、マニキュア等のメイクアップ化粧料や、化粧水、乳液、美容液等の基礎化粧料等が含まれる。
本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤をスキンケア用化粧料に使用した場合は、アンチエイジング効果や美白効果を発揮する。また、点眼薬に使用した場合は、白内障予防又は進行抑制、角膜潰瘍、角膜上皮剥離、角膜炎等の治療又は予防に効果を発揮する。更に、外皮用薬に使用した場合は、皮膚炎等の治療又は予防に効果を発揮する。
[ストレス曝露による上皮/内皮電気抵抗低下抑制剤]
本発明のストレス曝露による上皮/内皮電気抵抗低下抑制剤(若しくは、ストレス曝露による皮膚バリア機能低下抑制剤)は、有効成分として、上記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩を、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて含むことを特徴とする。
本発明のTER低下抑制剤全量における、上記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩の含有量(2種以上含有する場合はその合計含有量)は、例えば70重量%以上、好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上である。尚、上限は100重量%である。
本発明のTER低下抑制剤を皮膚に適用すると、上記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩によって表皮細胞中のフィラグリン濃度が上昇するため、TER低下抑制剤を適用しない場合に比べて、ストレス(例えば、紫外線照射等)曝露によるTER値の低下を、40%以下(好ましくは30%以下)にまで抑制することができる。
また、本発明のTER低下抑制剤を皮膚に適用すると、ストレス応答タンパク質の1種であるヘムオキシゲナーゼをコードする遺伝子の発現が、TER低下抑制剤を適用しない場合に比べて、70%以下(好ましくは50%以下)にまで抑制される。本来であれば、紫外線B波照射等のストレスに暴露すると、表皮細胞は、ヘムオキシゲナーゼ遺伝子をはじめとする種々のストレス応答タンパク質の発現を誘導する。しかし、本発明のTER低下抑制剤を適用すると、予め細胞においてストレスへの防御準備が成されるためか、その後ストレスに暴露してもストレス応答タンパク質の発現が弱まる。
本発明のTER低下抑制剤は、外皮用薬、点眼薬、点鼻薬、点耳薬、口腔薬、スキンケア用化粧料、入浴剤等の添加剤として好適に使用することができる。
本発明のTER低下抑制剤の添加量は用途に応じて適宜調整することができる。例えば、化粧品に添加する場合、添加量としては、化粧品中の式(1)で表される化合物、及び/又はその塩の濃度は、例えば0.5〜70μM、好ましくは10〜60μM、特に好ましくは30〜60μM、最も好ましくは40〜60μMである。
本発明のTER低下抑制剤は、ストレス曝露の前に適用することが好ましく、ストレス曝露の0.5時間以上前(例えば0.5〜24時間前、好ましくは1〜12時間前、特に好ましくは2〜6時間前)に適用することが、ストレス曝露によるTER値の低下をより低く抑制し、皮膚の角質層の損傷を抑制してバリア機能の低下をより低く抑制することができる点で好ましい。
本発明のTER低下抑制剤をスキンケア用化粧料に使用した場合は、日焼けや、シミ、ソバカスの生成の予防等に効果を発揮する。点眼薬に使用した場合は、白内障やアレルギー性結膜炎の予防等に効果を発揮する。点鼻薬に使用した場合は、アレルギー性鼻炎の予防等に効果を発揮する。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
式(1)で表される化合物(商品名「GGsTop」、和光純薬工業(株)製)をフィラグリン遺伝子発現促進剤(1)として使用した。
12ウェルプレートに、マウス表皮角化細胞株(KERA308;mouse epidermal keratinocytes)を24時間培養し(10.0×104cells/3.8cm2)、フィラグリン遺伝子発現促進剤(1)を添加(式(1)で表される化合物の添加量:10μM、30μM、又は50μM)した。
フィラグリン遺伝子発現促進剤(1)を添加してから24時間後に、細胞を回収し、RNAを抽出した。
抽出したRNAを逆転写し、生成したcDNAを鋳型とする、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による増幅を経時的(リアルタイム)に測定することで、鋳型となるDNAの定量を行った。結果を図1に示す。フィラグリン遺伝子発現促進剤(1)を添加(10μM、30μM、又は50μM)した場合のフィラグリン遺伝子の発現量を、コントロール(フィラグリン遺伝子発現促進剤(1)の添加量ゼロの場合)のフィラグリン遺伝子発現量を1として、相対値で示した。
図1より、本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤は、濃度依存的にフィラグリン遺伝子の発現を促進することがわかった。また、インボルクリン遺伝子やロリクリン遺伝子の発現も促進することがわかった。
実施例2
トランスウェル(2重構造を有する培養プレート)に、マウス表皮角化細胞株(KERA308;mouse epidermal keratinocytes)を24時間培養した(5.0×104cells/0.33cm2)。
培養開始後24時間から、24時間毎に7日後まで、フィラグリン遺伝子発現促進剤(1)を添加(式(1)で表される化合物の添加量:10μM、30μM、又は50μM)して、TER値を、電気抵抗値測定システム(商品名「ミリセルERS抵抗値測定システム」、ミリポア社製)を使用して測定した。結果を図2に示す。
図2より、本発明のフィラグリン遺伝子発現促進剤は、コントロール(フィラグリン遺伝子発現促進剤の添加量ゼロの場合)に比べて、濃度依存的にTER値の上昇を速める効果を有することがわかった。
実施例3
式(1)で表される化合物(商品名「GGsTop」、和光純薬工業(株)製)をTER低下抑制剤(1)として使用した。
トランスウェルに、マウス表皮角化細胞株(KERA308;mouse epidermal keratinocytes)を培養して単層を形成した。形成された単層のTER値、及びヘムオキシゲナーゼ(ho-1)遺伝子の発現量を測定した(照射前)。
また、形成された単層にTER低下抑制剤(1)を50μM添加し、添加3時間後、又は24時間後に紫外線B波(302nm)を照射(50mJ/cm2)し、紫外線B波照射の3時間後にTER値、及びヘムオキシゲナーゼ遺伝子(ho-1)の発現量を測定した(照射後)。尚、TER低下抑制剤(1)を添加せずに紫外線B波(302nm)を照射(50mJ/cm2)した場合をコントロールとした。結果を図3、4に示す。
図3では、紫外線B波照射後の残存TER率を、照射後のTER値/照射前のTER値(%)で示した。
図4では、照射後のヘムオキシゲナーゼ(ho-1)遺伝子の発現量を、照射前のヘムオキシゲナーゼ(ho-1)遺伝子の発現量を1として、相対値で示した。
図3より、本発明のTER低下抑制剤を適用すると、ストレスに曝露しても、TER値の低下が有意に抑制された。また、図4より、本発明のTER低下抑制剤を適用すると、ストレスに曝露しても、ヘムオキシゲナーゼ遺伝子(ho-1)の発現量が抑制された。以上より、本発明のTER低下抑制剤は、ストレス曝露による皮膚バリア機能の低下を顕著に抑制することがわかった。

Claims (3)

  1. 下記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩を有効成分として含む、アレルギー性鼻炎の予防剤
    Figure 0006778361
  2. 下記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩を有効成分として含む、アレルギー性結膜炎の予防剤
    Figure 0006778361
  3. 下記式(1)で表される化合物、及び/又はその塩を有効成分として含む、フィラグリン産生低下によって引き起こされる皮膚バリア機能低下の改善剤。
    Figure 0006778361
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