JP6774148B2 - スケール除去方法及びスケール除去装置 - Google Patents

スケール除去方法及びスケール除去装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6774148B2
JP6774148B2 JP2017079216A JP2017079216A JP6774148B2 JP 6774148 B2 JP6774148 B2 JP 6774148B2 JP 2017079216 A JP2017079216 A JP 2017079216A JP 2017079216 A JP2017079216 A JP 2017079216A JP 6774148 B2 JP6774148 B2 JP 6774148B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water supply
scale
power plant
temperature
heat transfer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017079216A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018179401A (ja
Inventor
守 広田
広田  守
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Power Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Power Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Power Ltd filed Critical Mitsubishi Power Ltd
Priority to JP2017079216A priority Critical patent/JP6774148B2/ja
Publication of JP2018179401A publication Critical patent/JP2018179401A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6774148B2 publication Critical patent/JP6774148B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Control Of Turbines (AREA)

Description

本発明は、発電プラントに適用されるスケール除去方法及びスケール除去装置に関する。
一般的に、大型火力発電プラントの給水系における水処理には、AVT(R)(All Volatile Treatment(Reducing))やOT(Oxygenated Treatment)が適用される。AVT(R)を適用する場合、給水にアンモニアを添加してpHを8.5〜9.7にし、脱酸素剤であるヒドラジンを10μg/L以上添加して溶存酸素濃度を7μg/L以下に管理している。一方、OTを適用する場合、給水にアンモニアを添加してpHを8.0〜9.3にし、微量の酸素を添加することで溶存酸素濃度を20〜200μg/Lに管理している。
ところで、発電プラントの給水系における水処理にOTを適用する場合、貫流ボイラの伝熱管(蒸発管)に破損、具体的に、破損部分がフィッシュマウス形状となる、異常過熱によるクリープ破損が生じる可能性がある。伝熱管の異常過熱は、破損部分に確認することができ指で触れると容易に剥離する、主に粒径が1μm以下である赤褐色のヘマタイト(αFe2O3)スケール(パウダー状スケール)が原因と考えられる。例えば、火力発電プラントに備えられるボイラにおいて、給水中に微量の酸素を添加し溶存酸素濃度を20〜200μg/Lに管理すると、配管から微量に溶解した鉄が酸化されて粒径が1μm以下のパウダー状スケールが生成され、ボイラの伝熱管(配管)、タービン、給水加熱器等に付着する。通常の伝熱管では、配管の内周面に硬質の水蒸気酸化スケールが時間に対し1/2〜1/4乗則にしたがって成長するが、パウダー状スケールは配管の内周面に付着し堆積するため時間に比例して成長する。特に、過熱損傷の発生状況から、伝熱管における流体の流れ方向の下流側で流体の流速が数m/sと比較的緩やかな部分でパウダー状スケールの付着及び堆積が著しく、伝熱管の内周面にパウダー状スケールが100μm以上の厚みで堆積する場合もある。
一般的に、パウダー状スケールは、非常に軟質で空隙率が50%以上(50%〜90%程度)と高い。発電プラントの運転中は、パウダー状スケールの空隙部(隙間)に熱伝導率の小さい超臨界水が入り込むため、空隙率が高いほど熱伝導率が低下する。これにより、伝熱管の過熱損傷が発生し得る。伝熱管が過熱損傷した場合、発電プラントを緊急停止させて補修する必要があり、補修費用や補修期間の売電損失が莫大なものとなる。
スケールを除去する方法として、給水中の溶存酸素量が200ppb以上となるように酸素供給部から給水の酸素を供給して、スケール内にボイド層を形成し、ボイド層より上部にある外層スケールの剥離を誘発するものがある(特許文献1等を参照)。
特開2009−192203号公報
特許文献1では、自己酸化による硬質の外層酸化スケールを対象としているが、パウダー状スケールについては考慮されていない。一般的に、酸化スケールの空隙率は10%未満であり、パウダー状スケールに比べて低い。また、酸化スケールは、主にFe(Ni)(Cr)04で構成されており、主にヘマタイトで構成されているパウダー状スケールとは組成が異なる。また、特許文献1では、過熱器を適用対象としているが、パウダー状スケールの付着が著しい、過熱器の上流側にあるボイラについては考慮されていない。更に、特許文献1では、適用対象をステンレス鋼製の配管に限定している。
本発明は上記に鑑みてなされたもので、ボイラの配管に付着したヘマタイトスケールを除去するスケール除去方法及びスケール除去装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、給水を蒸発させて蒸気を発生させる伝熱管と、前記伝熱管を加熱する加熱装置と、前記加熱装置に燃料を供給する燃料系統と、前記燃料系統に設けられ、前記加熱装置に供給される燃料の流量を制御する燃料制御弁とを備えるボイラと、前記ボイラで発生した蒸気により駆動されるタービンと、前記タービンを駆動した蒸気を復水し前記給水を生成する復水器と、前記復水器で生成された給水を前記ボイラに導く給水系統と、前記給水系統に設けられ、前記給水を加圧する給水ポンプとを備える発電プラントの前記伝熱管の内周面に付着したヘマタイトスケールを除去するスケール除去方法において、前記給水の温度及び圧力に基づき前記燃料制御弁及び前記給水ポンプを制御し、前記発電プラントを定常起動の起動速度より早い速度で起動させて、前記給水を超臨界流体とすることを特徴とする。
本発明によれば、ボイラの配管に付着したヘマタイトスケールを除去するスケール除去方法及びスケール除去装置を提供することができる。
本発明の第1実施形態に係る蒸気タービン発電プラントの一構成例を表す概略図である。 パウダー状スケールが付着し堆積した実機の配管の断面を表す写真である。 給水の温度上昇率とパウダー状スケールの除去率との関係を例示する図である。 発電プラントを急速起動させた場合のパウダー状スケールの付着厚さを例示する図である。 パウダー状スケールの熱伝導率と空隙率との関係を例示する図である。 パウダー状スケールの付着厚さと配管の温度上昇との関係を例示する図である。 本発明の第1実施形態に係る制御装置の構成要素の一部を示す概略図である。 本実施形態に係るスケール除去方法の手順を示したフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る制御装置の構成要素の一部を示す概略図である。 本発明の第3実施形態に係る蒸気タービン発電プラントの一構成例を表す概略図である。 本発明の第3実施形態に係る制御装置の構成要素の一部を示す概略図である。 本発明の第4実施形態に係る制御装置の構成要素の一部を示す概略図である。
<第1実施形態>
(構成)
1.蒸気タービン発電プラント
図1は、本実施形態に係る蒸気タービン発電プラントの一構成例を表す概略図である。以下、本実施形態に係るスケール除去装置及びスケール除去方法を蒸気タービン発電プラントに適用した場合について説明する。
図1に示すように、蒸気タービン発電プラント(以下、発電プラント)100は、ボイラ(蒸気発生源)1、高圧タービン2、中圧タービン3、低圧タービン4、復水器5、給水加熱器6,7,8、負荷機器9、給水ポンプ30及びスケール除去装置101を備えている。
ボイラ1は、復水器5から供給された給水を加熱し、蒸気を発生させるものである。ボイラ1は、伝熱管10、加熱装置(バーナ)31、燃料系統32及び燃料制御弁33を備えている。伝熱管10は、加熱装置31で形成される火炎との熱交換により給水を蒸発させて、蒸気を発生させるものである。加熱装置31は、伝熱管10を加熱するものである。燃料系統32は、加熱装置31に接続しており、加熱装置31に燃料を供給するものである。燃料制御弁33は、燃料系統32に設けられており、加熱装置31に供給される燃料の流量を制御するものである。
ボイラ1で発生した蒸気は、主蒸気管11を経由して過熱器14に導かれる。過熱器14は、ボイラ1で発生させた蒸気を加熱し高温の過熱蒸気を生成するものである。過熱器14で生成された高温の過熱蒸気は、過熱蒸気管15を経由して高圧タービン2に導かれ、高圧タービン2を駆動する。本実施形態では、過熱蒸気管15に流量調節弁(第1の流量調節弁)22が設けられている。流量調節弁22は、高圧タービン2に供給される蒸気の流量を調節するものである。高圧タービン2を駆動して減圧した蒸気は、高圧タービン排気管16を経由してボイラ1の再過熱器17に導かれる。再過熱器17は、高圧タービン2を駆動した蒸気を再度加熱して再熱蒸気を生成するものである。
再過熱器17で生成された再熱蒸気は、再熱蒸気管18を経由して中圧タービン3に導かれ、中圧タービン3を駆動する。本実施形態では、再熱蒸気管18に流量調節弁(第2の流量調節弁)25が設けられている。流量調節弁25は、中圧タービン3に供給される蒸気の流量を調節するものである。中圧タービン3を駆動して減圧した蒸気は、中圧タービン排気管19を介して低圧タービン4に導かれ、低圧タービン4を駆動する。本実施形態では、中圧タービン排気管19に流量調節弁(第3の流量調節弁)28が設けられている。流量調節弁28は、低圧タービン4に供給される蒸気の流量を調節するものである。低圧タービン4を駆動して減圧した蒸気は、ディフューザー(不図示)を流れて復水器5に導かれる。復水器5は冷却水配管(不図示)を備えており、復水器5に導かれた蒸気と冷却水配管内を流れる冷却水(例えば、海水)とを熱交換させて蒸気を復水し給水を生成するものである。
復水器5で生成された給水は、配管20を経由して給水ポンプ30に導かれる。給水ポンプ30は、復水器5で生成された給水を加圧し吐出するものである。給水ポンプ30で加圧された給水は、配管34を介して給水加熱器(第1の給水加熱器)6に導かれる。給水加熱器6は、給水ポンプ30で加圧された給水を加熱するものである。本実施形態では、給水加熱器6は、配管21を介して低圧タービン4に接続しており、低圧タービン4を駆動した蒸気の一部を利用して給水ポンプ30で加圧された給水を加熱する。給水加熱器6で加熱された給水は、配管23を介して給水加熱器(第2の給水加熱器)7に導かれる。給水加熱器7は、給水加熱器6で加熱された給水を加熱するものである。本実施形態では、給水加熱器7は、配管24を介して中圧タービン3に接続しており、中圧タービン3を駆動した蒸気の一部を利用して給水加熱器6で加熱された給水を加熱する。給水加熱器7で加熱された給水は、配管26を経由して給水加熱器(第3の給水加熱器)8に導かれる。給水加熱器8は、給水加熱器7で加熱された給水を加熱するものである。本実施形態では、給水加熱器8は、配管27を経由して高圧タービン2に接続しており、高圧タービン2を駆動した蒸気の一部を利用して給水加熱器7で加熱された給水を加熱する。給水加熱器8で加熱された給水は、配管29を経由してボイラ1の伝熱管10に導かれる。なお、配管20,34,23,26,29は、復水器5で生成された給水をボイラ1に導く給水系統55を構成している。
高圧タービン2、中圧タービン3及び低圧タービン4は、タービンロータ46によって同軸上に連結されている。負荷機器(本実施形態では、発電機)9は、タービンロータ46に連結されており、高圧タービン2、中圧タービン3及び低圧タービン4の回転動力により発電機9が駆動され、高圧タービン2、中圧タービン3及び低圧タービン4の回転動力が電力に変換される。なお、本実施形態では、連結された高圧タービン2、中圧タービン3及び低圧タービン4が発電機9を駆動する構成を例示したが、高圧タービン2、中圧タービン3及び低圧タービン4がそれぞれ発電機9を駆動し個別に電力に変換する構成としても良いし、高圧タービン2、中圧タービン3及び低圧タービン4のうち任意の2つを連結したもので発電機9を駆動し電力に変換する構成としても良い。また、高圧タービン2、中圧タービン3及び低圧タービン4を備える構成を例示したが、中圧タービン3を省略し、高圧タービン2及び低圧タービン4を備える構成としても良い。
図1の点線で囲んだ領域A(伝熱管10における給水の流れ方向の下流側の部分)では、パウダー状スケールが付着し堆積し易い。パウダー状スケールは、主に給水加熱器から給水中に溶出した鉄が給水中の溶存酸素により酸化されて生成された、粒径が1μm以下のヘマタイト粒子が付着し堆積することで形成される。以下、パウダー状スケールについて説明する。
図2は、パウダー状スケールが付着し堆積した実機の配管の断面を表す写真である。図2の下側から上方向に向かって、管材(配管)、酸化スケール、パウダー状スケール、配管内の順に並んでいる。図2の例では、配管の内周面(具体的には、配管の内周面に生じた酸化スケール)から配管内に向かって、パウダー状スケールが150μm程度の厚さで堆積している。図2に示すように、パウダー状スケールは、黒色で示された空隙部を多数有している。一方、酸化スケールは、空隙部をほとんど有していない。一般的に、パウダー状スケールは、空隙率が50%以上のヘマタイトが90%以上の割合を占めて構成されており、パウダー状スケールをX線回折で分析するとヘマタイトしか検出されない。なお、本実施形態では、パウダー状スケールは、空隙率が50%から90%のヘマタイトを90%以上含むものとする。なお、本明細書において「空隙率」とは、ヘマタイトの単位体積あたりの隙間の割合を百分率で表したものを言う。
図3は、給水の温度上昇率とパウダー状スケールの除去率との関係を例示する図である。縦軸は、スケール除去率を示している。図3には、給水の温度上昇率が130℃/h(急速起動)、100℃/h(定常起動)及び50℃/h(低速起動)の場合を並べて示している。
一般的に、給水の温度上昇率が高いほどパウダー状スケールの除去率が高くなる。図3の例では、給水の温度上昇率が50℃/hの場合に比べて100℃/hの場合のほうがパウダー状スケールの除去率が高い。同様に、給水の温度上昇率が100℃/hの場合に比べて130℃/hの場合のほうがパウダー状スケールの除去率が高くなり、給水の温度上昇率が130℃/hの場合におけるパウダー状スケールの除去率は90%程度となる。したがって、実機でパウダー状スケールを効率的に除去するためには、給水の温度上昇率を高くした急速起動が有効である。なお、除去されたパウダー状スケールは、伝熱管を流れて下流側に運ばれるが、粒径が1μm未満と小さいため、低合金鋼やステンレス鋼表面に生成される硬質酸化スケールの剥離スケールで生じ得る、配管の内周面やタービンブレードの表面へのエロージョン損傷は発生し難い。タービンよりも下流側に運ばれたパウダー状スケールは、復水器の底部に沈殿するか或いは電磁フィルター、コンデミ等により除去される。
図4は、発電プラントを急速起動させた場合のパウダー状スケールの付着厚さを例示する図である。縦軸はパウダー状スケールの付着厚さ、横軸は発電プラントの運転時間を示している。図4の例では、パウダー状スケールの付着速度を実機における過去の実績値の最大値である80μm/8000h、発電プラントを急速起動させた場合のパウダー状スケールの除去率を37%とそれぞれ仮定している。なお、パウダー状スケールの付着速度及び除去率は、給水中の鉄濃度や給水の流量、流速等に影響を受け得るため、発電プラント毎に評価する必要がある。
図4に例示するように、発電プラントを連続運転した場合、パウダー状スケールの付着厚さは、発電プラントの運転時間に比例して直線的に増加し得る。そして、パウダー状スケールの付着厚さは、10000時間程度で過熱損傷が生じ得る100μm以上に達し得る。一方、発電プラントを定期的に(図4では、2000時間毎に)急速起動させる場合、パウダー状スケールの付着厚さはノコギリ状(櫛歯状)に推移し、一定値以上に増加し難い。図4の例では、パウダー状スケールの付着厚さは、50μm程度の厚さで推移している。このように、発電プラントを定期的に急速起動させることで、パウダー状スケールの付着厚さを抑制することができ、パウダー状スケールの成長を抑止することができる。
図5は、パウダー状スケールの熱伝導率と空隙率との関係を例示する図である。縦軸はスケール層の熱伝導率(見かけの熱伝導率)、横軸は空隙率を示している。図5において、点線はスケール層の熱伝導率の上限値、実線はスケール層の熱伝導率の下限値を示している。図5では、給水の温度を400℃、圧力を25MPaとしている。なお、本明細書において「見かけの熱伝導率」とは、給水(超臨界水)が配管内を流通しない(配管内で停滞している)と仮定した場合のスケール層の熱伝導率を言う。
図5に例示するように、空隙率が0%(つまり、配管の内周面にパウダー状スケール単体が堆積している状態)の熱伝導率は、凡そ3.5〜4.5W/mKの範囲となる。一方、空隙率が高くなると、パウダー状スケールの空隙部に超臨界水が入り始める。温度が400℃、圧力が25MPaの場合における超臨界水の熱伝導率は0.166W/mKと小さい。そのため、空隙率が高くなるにつれてパウダー状スケールの見かけの熱伝導率は減少する。一般的に、パウダー状スケールの空隙率は、60%〜80%程度であるため、この場合の見かけの熱伝導率は0.65〜1.5W/mKの範囲となる。
図6は、パウダー状スケールの付着厚さと配管の温度上昇との関係を例示する図である。縦軸は配管の温度上昇、横軸はパウダー状スケールの付着厚さを示している。図6では、熱負荷を350kW/m2、硬質スケールの熱伝導率を4.0W/mK、厚みを0.1mm、硬質スケールの表層に付着し堆積するパウダー状スケールの熱伝導率を0.65W/mKとしている。
一般的に、伝熱管のスケールによる温度上昇の許容値ΔTは式(1)で求まる。
ΔT=Q×(tps/λps+ths/λhs)・・・(1)
但し、Q:熱負荷、tps:パウダー状スケール厚さ、λps:パウダー状スケール熱伝導率、ths/:硬質スケール厚さ、λhs:硬質スケール熱伝導率である。なお、温度上昇の許容値とは、配管が使用される条件下(温度、圧力、材質、形状等)において、許容可能な強度から求められる値であり、温度上昇の許容値を超えると配管が損傷する可能性がある。
図6に示すように、温度上昇の許容値ΔTを60℃とすると、パウダー状スケールの付着厚さの許容値は95μmとなる。なお、実機における実際の温度上昇の許容値は、伝熱管の材質、硬質スケールの厚さ、評価部位の温度や圧力、ヘマタイトスケールの性状等により異なる。一方、実機では、パウダー状スケールの付着厚さが100μm以上の場合には損傷する可能性があり、パウダー状スケールの付着厚さが50μm未満の場合には損傷が生じ難い。また、図6に例示するように、一般的な数値を入力した試算結果では、パウダー状スケールの付着厚さの許容値は95μmである。これらのことから、パウダー状スケールの付着厚さの許容値は50〜100μmの間に存在するものと考えられ、安全側で評価すると実績のある50μmとすることができる。
2.スケール除去装置
以下、本実施形態に係るスケール除去装置について説明する。
図1に示すように、スケール除去装置101は、温度計(温度検出器)12、圧力計(圧力検出器)13及び制御装置35を備えている。
温度計12は、伝熱管10における給水の流れ方向の下流側の部分に設けられており、伝熱管10内の給水の温度を計測するものである。
圧力計13は、伝熱管10における給水の流れ方向の下流側の部分に設けられており、伝熱管10内の給水の圧力を計測するものである。
制御装置35は、温度計12の計測値(給水の温度)及び圧力計13の計測値(給水の圧力)を入力し、燃料制御弁33及び給水ポンプ30を制御して、発電プラント100を定常起動の起動速度よりも早い速度で起動させ、伝熱管10内の給水を超臨界水とするものである。本実施形態では、制御装置35は、パウダー状スケールの空隙部に給水を満たした状態から、燃料制御弁33を駆動して伝熱管10内の給水の温度を350℃未満に降下させ、給水ポンプ30を駆動して伝熱管10内の給水の圧力を24.1MPa以上に上昇させた後、燃料制御弁33を駆動して伝熱管10内の給水の温度を130℃/h以上で350℃から400℃の間まで上昇させて、給水を超臨界流体とする。ここで、超臨界流体とは、気体と液体とが共存できる限界の温度・圧力(臨界点)を超えた状態の流体で、溶質を溶解する液体的挙動、拡散性に優れた気体的挙動の両方の特性を有している。
図7は、本実施形態に係る制御装置の構成要素の一部を示す概略図である。図7に示すように、制御装置35は、運転時間計測部36、時間判定部37、入力部38、動作モード設定部39、第1温度判定部40、第2温度判定部41、圧力判定部42、駆動量演算部43、信号生成部44及び信号出力部45を備えている。
・運転時間計測部
運転時間計測部36は、発電プラント100の起動完了後の運転時間を計測するものである。
・時間判定部
時間判定部37は、運転時間計測部36で計測された発電プラント100の運転時間を入力し、発電プラント100の運転時間と設定時間(例えば、2000時間)とを比較して、発電プラント100の運転時間が設定時間以上であるか否か判定するものである。時間判定部37は、発電プラント100の運転時間が設定時間以上であると判定した場合、動作モード設定部39に信号(動作信号)を出力する。
・入力部
入力部38は、温度計12の計測値に関する信号St及び圧力計13の計測値に関する信号Spを入力するものである。
・動作モード設定部
動作モード設定部39は、制御装置35の動作モードを設定するものである。本実施形態では、制御装置35の動作モードには、「給水の温度を降下させる動作モード」、「給水の圧力を上昇させる動作モード」及び「給水の温度を130℃/h以上で上昇させる動作モード」が含まれる。以下、「給水の温度を降下させる動作モード」を第1の動作モード、「給水の圧力を上昇させる動作モード」を第2の動作モード、「給水の温度を130℃/h以上で上昇させる動作モード」を第3の動作モードと適宜称する。
・第1温度判定部
第1温度判定部40は、温度計12の計測値が設定温度(例えば、350℃)未満であるか否かを判定するものである。
・第2温度判定部
第2温度判定部41は、温度計12の計測値が設定温度範囲(例えば、350℃以上400℃以下)の間にあるか否かを判定するものである。
・圧力判定部
圧力判定部42は、圧力計13の計測値が設定圧力(例えば、24.1MPa)以上であるか否かを判定するものである。
・駆動量演算部
駆動量演算部43は、温度計12の計測値及び圧力計13の計測値を入力し、入力した温度計12の計測値及び圧力計13の計測値に基づいて、燃料制御弁33及び給水ポンプ30の駆動量を演算するものである。
・信号生成部
信号生成部44は、駆動量演算部43で演算された燃料制御弁33及び給水ポンプ30の駆動量を入力し、入力した駆動量に基づいて、燃料制御弁33及び給水ポンプ30を駆動する駆動信号S1,S2を生成するものである。
・信号出力部
信号出力部45は、信号生成部44で生成された駆動信号S1,S2を入力し、入力した駆動信号S1,S2を燃料制御弁33及び給水ポンプ30に出力するものである。
(動作)
図8は、本実施形態に係るスケール除去方法の手順を示したフローチャートである。以下、本実施形態に係るスケール除去方法の手順について説明する。
運転時間計測部36は、発電プラント100の運転時間Taを計測する(ステップS1)。
次に、時間判定部37は、運転時間計測部36で計測された発電プラント100の運転時間Taを入力し、発電プラント100の運転時間Taが設定時間T1以上であるか否か判定する(ステップS2)。発電プラント100の運転時間Taが設定時間T1以上の場合(Yes)、時間判定部37は、動作モード設定部39に動作信号を出力する(ステップS3)。反対に、発電プラント100の運転時間Taが設定時間T1未満の場合(No)、時間判定部37はステップS1に手順を戻す。
ステップS3において、動作モード設定部39は、時間判定部37から出力された動作信号を入力すると、制御装置35の動作モードを第1の動作モードに設定する(ステップS4)。制御装置35の動作モードが第1の動作モードに設定されると、入力部38は、温度計12の計測値に関する信号Stを入力する(ステップS5)。
次に、第1温度判定部40は、温度計12の計測値に関する信号Stを入力し、温度計12の計測値Tbが設定温度T2未満であるか否か判定する(ステップS6)。温度計12の計測値Tbが設定温度T2未満の場合(Yes)、第1温度判定部40は、動作モード設定部39に第1の動作モード完了信号を出力する。反対に、温度計12の計測値Tbが設定温度T2以上の場合(No)、第1温度判定部40はステップS7に手順を移す。
ステップS6において、温度計12の計測値Tbが設定温度T2以上の場合、駆動量演算部43は、温度計12の計測値Tbに基づいて、燃料制御弁33の駆動量(開度)を演算する(ステップS7)。本実施形態では、駆動量演算部43は、温度計12の計測値Tbが設定温度T2未満となるように燃料制御弁33の駆動量を演算する。続いて、信号生成部44は、駆動量演算部43で演算された燃料制御弁33の駆動量に基づいて、燃料制御弁33を駆動する駆動信号S1を生成する(ステップS8)。続いて、信号出力部45は、信号生成部44で生成された駆動信号S1を燃料制御弁33に出力する(ステップS9)。そして、温度計12の計測値Tbが設定温度T2未満になるまで、ステップS5〜S9を繰り返す。
ステップS6において、温度計12の計測値Tbが設定温度T2未満であり、第1温度判定部40から動作モード設定部39に第1の動作モード完了信号が出力されると、動作モード設定部39は、制御装置35の動作モードを第2の動作モードに設定する(ステップS10)。
ステップS10において、制御装置35の動作モードが第2の動作モードに設定されると、入力部38は、圧力計13からの計測値に関する信号Spを入力する(ステップS11)。
次に、圧力判定部42は、圧力計13の計測値に関する信号Spを入力し、圧力計13の計測値Paが設定圧力P1以上であるか否かを判定する(ステップS12)。圧力計13の計測値Paが設定圧力P1以上の場合(Yes)、圧力判定部42は、動作モード設定部39に第2の動作モード完了信号を出力する。反対に、圧力計13の計測値Paが設定圧力P1未満の場合(No)、圧力判定部42はステップS13に手順を移す。
ステップS12において、圧力計13の計測値Paが設定圧力P1未満の場合、駆動量演算部43は、圧力計13の計測値Paに基づいて、給水ポンプ30の駆動量を演算する(ステップS13)。本実施形態では、駆動量演算部43は、圧力計13の計測値Paが設定圧力P1以上となるよう給水ポンプ30の駆動量を演算する。続いて、信号生成部44は、駆動量演算部43で演算された給水ポンプ30の駆動量に基づいて、給水ポンプ30を駆動する駆動信号S2を生成する(ステップS14)。続いて、信号出力部45は、信号生成部44で生成された駆動信号S2を給水ポンプ30に出力する(ステップS15)。そして、圧力計13の計測値Paが設定圧力P2以上になるまで、ステップS11〜S15を繰り返す。
ステップS12において、圧力計13の計測値Paが設定圧力P1以上であり、圧力判定部42から動作モード設定部39に第2の動作モード完了信号が出力されると、動作モード設定部39は、制御装置35の動作モードを第3の動作モードに設定する(ステップS16)。
ステップS16において、制御装置35の動作モードが第3の動作モードに設定されると、駆動量演算部43は、燃料制御弁33の駆動量を設定値に演算する。(ステップS17)。なお、本明細書において「燃料制御弁33の駆動量の設定値」とは、給水の温度を130℃/h以上で上昇させる燃料制御弁33の駆動量を言う。続いて、信号生成部44は、駆動量演算部43で演算された燃料制御弁33の駆動量に基づいて、燃料制御弁33を駆動する駆動信号S3を生成する(ステップS18)。続いて、信号出力部45は、信号生成部44で生成された駆動信号S3を燃料制御弁33に出力する(ステップS19)。
ステップS19において、燃料制御弁33に駆動信号S3が出力されると、入力部38は、温度計12からの計測値に関する信号Stを入力する(ステップS20)。
次に、第2温度判定部41は、温度計12の計測値に関する信号Stを入力し、温度計12の計測値Tcが設定範囲(T3≦Tc≦T4)の間に位置するか否かを判定する(ステップS21)。温度計12の計測値Tcが設定範囲の間に位置する場合(Yes)、第2温度判定部41は、動作モード設定部39に第3の動作モード完了信号を出力し制御装置35は動作を終了する。反対に、温度計12の計測値Tcが設定範囲の間に位置しない場合(No)、計測値Tが設定範囲の間に位置するまで、ステップS19〜S21を繰り返す。
(効果)
(1)本実施形態では、パウダー状スケールの空隙部に給水を満たした状態から、燃料制御弁33を駆動し給水の温度を350℃未満に低下させ、給水ポンプ30を駆動し給水の圧力を24.1MPa以上に上昇させた後、燃料制御弁33を駆動し給水の温度を130℃/h以上で350℃から400℃の間まで上昇させて、発電プラントを定常起動の起動速度よりも早い起動速度で起動させることにより、パウダー状スケールの空隙部に存在する給水を超臨界流体とし急激に膨張させる。そのため、伝熱管の内周面に付着し堆積したパウダー状スケールを剥離させて除去することができる。これにより、伝熱管の過熱損傷を抑止し、発電プラントの補修による緊急停止を回避することができるので、補修費用の負担や補修期間の売電損失を抑制することができる。
パウダー状スケールを除去する一方策として化学洗浄もあり得る。しかし、化学洗浄の費用は1回当たり1億円程度と高額であり発電コストを押し上げる要因となり得る。また、化学洗浄を実施する場合、発電プラントを停止させる必要があるため、発電プラントの停止期間の売電損失を考慮するとその費用は更に多額となる。加えて、化学洗浄では排水処理による環境への負荷も懸念される。
これに対して、本実施形態では、パウダー状スケールの空隙部に存在する給水を超臨界流体とし急激に膨張させて、パウダー状スケールを剥離させて除去しているので、化学洗浄に比べて費用を抑制することができ、その分、発電コストの増加を抑制することができる。また、排水処理を行う必要がないため、化学洗浄に比べて環境への負荷を大幅に低減させることができる。更に、本実施形態では、パウダー状スケールの空隙部に給水を満たした状態から、燃料制御弁33を駆動し給水の温度を350℃未満に低下させ、給水ポンプ30を駆動し給水の圧力を24.1MPa以上に上昇させた後、燃料制御弁33を駆動し給水の温度を130℃/h以上で350℃から400℃の間まで上昇させれば良いので、必ずしも発電プラント100を停止させる必要はない。そのため、発電プラント100の停止期間の売電損失を抑制することができる。
(2)発電プラント100の連続運転により、パウダー状スケールは一定の速度で配管の内周面に再び付着し堆積し得る。そのため、パウダー状スケールの厚さが設定値(例えば、50μm)以上にならないように、定期的に発電プラント100を急速起動させることが望ましい。
これに対し、本実施形態では、発電プラント100の運転時間を計測し、発電プラント100の運転時間が設定時間以上の場合に急速起動させてパウダー状スケールを除去している。そのため、パウダー状スケールが伝熱管の内周面に厚く堆積することを回避することができ、伝熱管の過熱損傷の発生を未然に防ぐことができる。これにより、ボイラの熱効率の低下を抑制することができるとともに、伝熱管の温度上昇を抑制し伝熱管の短命化を抑止することができる。また、伝熱管の温度上昇を抑制することにより、硬質の酸化スケールの発生を抑制することができるので、その分、酸化スケールを除去するための化学洗浄の頻度を減らすことができる。
<第2実施形態>
図9は、本実施形態に係る制御装置の構成要素の一部を示す概略図である。図9において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図9に示すように、本実施形態に係る発電プラントは、制御装置235が運転時間計測部36及び時間判定部37の代わりに記憶部47及び起動判断部48を備える点で第1実施形態に係る発電プラントと異なる。その他は、第1実施形態に係る発電プラントと同様である。
記憶部47は、発電プラント100の運転パターンを記憶するものである。本実施形態では、発電プラント100の運転パターンは、発電プラント100の起動開始時期、起動完了時期、停止開始時期、停止完了時期等を含んでいる。
起動判断部48は、記憶部47から発電プラント100の運転パターンを読み込んで、読み込んだ運転パターンに基づいて、発電プラント100の起動開始時期に到達したか否か判断するものである。起動判断部48は、発電プラント100の起動開始時期に到達したと判断した場合、動作モード設定部39に動作信号を出力する。
本実施形態でも、発電プラントを急速起動させて、パウダー状スケールの空隙部に存在する給水を超臨界流体とし急激に膨張させることができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第3実施形態>
図10は本実施形態に係る蒸気タービン発電プラントの一構成例を表す概略図、図11は本実施形態に係る制御装置の構成要素の一部を示す概略図である。図10,11において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態に係る発電プラント300は、図10に示すように、伝熱管10に配管温度計49が更に設けられている点で第1実施形態に係る発電プラント100と異なる。また、本実施形態に係る発電プラント300は、図11に示すように、制御装置335が運転時間計測部36及び時間判定部37の代わりに配管温度入力部50及び温度比較部51を備える点で第1実施形態に係る発電プラント100と異なる。その他は、第1実施形態に係る発電プラント100と同様である。
配管温度計49は、伝熱管10における給水の流れ方向の下流側の部分に設けられており、伝熱管10の温度を計測するものである。
配管温度入力部50は、配管温度計49の計測値(配管の温度)に関する信号Sqを入力するものである。
温度比較部51は、配管温度入力部50が入力した配管温度計49の計測値を入力し、配管温度計49の計測値と閾値(設定値)とを比較して、配管温度計49の計測値が閾値以上であるか否か判断するものである。また、温度比較部51は、配管温度計49の計測値が閾値以上であると判断した場合、動作モード設定部39に動作信号を出力する。
本実施形態でも、発電プラントを急速起動させて、パウダー状スケールの空隙部に存在する給水を超臨界流体とし急激に膨張させることができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第4実施形態>
図12は、本実施形態に係る制御装置の構成要素の一部を示す概略図である。図12において、第1実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図12に示すように、本実施形態に係る発電プラントは、制御装置435が運転時間計測部36及び時間判定部37の代わりに速度演算部52、除去率演算部53及び起動開始時期設定部54を備える点で第1実施形態に係る発電プラントと異なる。その他は、第1実施形態に係る発電プラントと同様である。
速度演算部52は、伝熱管10の内周面に対するパウダー状スケールの付着速度を演算するものである。伝熱管10の内周面に対するパウダー状スケールの付着速度は、例えば、発電プラント100の運転前後の配管の重量差を測定し、測定した配管の重量差を発電プラント100の運用期間及び配管の内周面の表面積で除して演算する。
除去率演算部53は、発電プラント100の急速起動によるパウダー状スケールの除去率を演算するものである。パウダー状スケールの除去率は、例えば、発電プラント100の急速起動前後の配管の重量を測定し、発電プラント100の急速駆動後の配管の重量を急速起動前の配管の重量で除して百分率値として演算する。
起動開始時期設定部54は、速度演算部52で演算されたパウダー状スケールの付着速度と除去率演算部53で演算されたパウダー状スケールの除去率とを入力し、入力したパウダー状スケールの付着速度と除去率とに基づいて、発電プラント100の起動開始時期を設定するものである。起動開始時期設定部54は、例えば、パウダー状スケールの付着速度と除去率とに基づいて、パウダー状スケールの付着厚さが50μm程度で推移するように、発電プラント100の起動開始時期を設定する。また、起動開始時期設定部54は、設定した起動開始時期に到達したと判断した場合、動作モード設定部39に動作信号を出力する。
本実施形態でも、発電プラントを急速起動させて、パウダー状スケールの空隙部に存在する給水を超臨界流体とし急激に膨張させることができ、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
<その他>
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。例えば、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることも可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することも可能である。また、各実施形態の構成の一部を削除することも可能である。
上述した各実施形態では、燃料制御弁33を駆動して伝熱管10内の給水の温度を350℃未満に降下させるステップを含む構成を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明の本質的効果は、ボイラの配管に付着したヘマタイトスケールを除去するスケール除去装置及びスケール除去方法を提供することであり、この本質的効果を得る限りにおいては、必ずしも上述した構成に限定されない。発電プラント100の急速起動は、給水が常温で発電プラント100が完全に停止している状態と発電プラント100が完全に停止していないまでも給水の温度が350℃よりも低い状態とから、130℃/h以上で350℃から400℃の間まで上昇させることができれば達成することができる。そのため、例えば、夜間等の比較的に電力の供給に余裕のある時期にボイラ1の燃焼を調整して実施することも可能である。
上述した各実施形態では、動作モード設定部39が制御装置の動作モードを設定する構成を例に挙げて説明した。しかしながら、上述した本発明の本質的効果を得る限りにおいては、必ずしも上述した構成に限定されない。例えば、オペレータが、温度計12及び圧力計13の計測値等を見ながら、制御装置の動作モードを入力するようにしても良い。
また、上述した各実施形態では、本発明を伝熱管10における流体の流れ方向の下流側で流体の流速が比較的緩やかな部分に適用した場合を例に挙げて説明したが、パウダー状スケールが付着し堆積し得る部分であれば適用部分は限定されない。
1 ボイラ
2,3,4 タービン
5 復水器
10 伝熱管
12 温度計
13 圧力計
30 給水ポンプ
31 加熱装置
32 燃料系統
33 燃料制御弁
35 制御装置
55 給水系統
100 発電プラント
101 スケール除去装置

Claims (14)

  1. 給水を蒸発させて蒸気を発生させる伝熱管と、前記伝熱管を加熱する加熱装置と、前記加熱装置に燃料を供給する燃料系統と、前記燃料系統に設けられ、前記加熱装置に供給される燃料の流量を制御する燃料制御弁とを備えるボイラと、
    前記ボイラで発生した蒸気により駆動されるタービンと、
    前記タービンを駆動した蒸気を復水し前記給水を生成する復水器と、
    前記復水器で生成された給水を前記ボイラに導く給水系統と、
    前記給水系統に設けられ、前記給水を加圧する給水ポンプとを備える発電プラントの前記伝熱管の内周面に付着したヘマタイトスケールを除去するスケール除去方法において、
    前記ヘマタイトスケールの空隙部に給水を満たした状態から、前記給水の温度及び圧力に基づき前記燃料制御弁及び前記給水ポンプを制御し、前記発電プラントを定常起動の起動速度より早い速度で起動させて、前記給水を超臨界流体とすることを特徴とするスケール除去方法。
  2. 請求項1に記載のスケール除去方法において、前記給水ポンプを駆動して前記給水の圧力を24.1MPa以上に上昇させた後、前記燃料制御弁を駆動して前記給水の温度を130℃/h以上で350℃から400℃の間まで上昇させることを特徴とするスケール除去方法。
  3. 請求項2に記載のスケール除去方法において、
    前記給水の温度及び圧力を入力するステップと、
    前記給水の温度及び圧力に基づいて、前記燃料制御弁及び前記給水ポンプの駆動量を演算するステップと、
    前記燃料制御弁及び前記給水ポンプの駆動量に基づいて、前記燃料制御弁及び前記給水ポンプを駆動する駆動信号を生成するステップと、
    前記駆動信号を前記燃料制御弁及び前記給水ポンプに出力するステップとを備えることを特徴とするスケール除去方法。
  4. 請求項3に記載のスケール除去方法において、
    前記発電プラントの起動完了後の運転時間を計測するステップと、
    前記運転時間と設定時間とを比較するステップとを備え、
    前記運転時間が前記設定時間以上の場合に、前記給水の温度及び圧力を入力することを特徴とするスケール除去方法。
  5. 請求項3に記載のスケール除去方法において、
    前記発電プラントの起動開始時期を含む前記発電プラントの運転パターンに基づいて、前記発電プラントの起動開始時期を判断するステップを備え、
    前記発電プラントの起動開始時期に到達した場合に、前記給水の温度及び圧力を入力することを特徴とするスケール除去方法。
  6. 請求項3に記載のスケール除去方法において、
    前記伝熱管の温度を計測するステップと、
    前記伝熱管の温度を入力するステップと、
    前記伝熱管の温度と閾値とを比較するステップとを備え、
    前記伝熱管の温度が前記閾値以上の場合に、前記給水の温度及び圧力を入力することを特徴とするスケール除去方法。
  7. 請求項3に記載のスケール除去方法において、
    前記ヘマタイトスケールの付着速度を演算するステップと、
    前記発電プラントの起動による前記ヘマタイトスケールの除去率を演算するステップと、
    前記ヘマタイトスケールの付着速度と除去率とに基づいて、前記発電プラントの起動開始時期を設定するステップとを備え、
    前記発電プラントの起動開始時期に到達した場合に、前記給水の温度及び圧力を入力することを特徴とするスケール除去方法。
  8. 給水を蒸発させて蒸気を発生させる伝熱管と、前記伝熱管を加熱する加熱装置と、前記加熱装置に燃料を供給する燃料系統と、前記燃料系統に設けられ、前記加熱装置に供給される燃料の流量を制御する燃料制御弁とを備えるボイラと、
    前記ボイラで発生した蒸気により駆動されるタービンと、
    前記タービンを駆動した蒸気を復水し前記給水を生成する復水器と、
    前記復水器で生成された給水を前記ボイラに導く給水系統と、
    前記給水系統に設けられ、前記給水を加圧する給水ポンプとを備える発電プラントの前記伝熱管の内周面に付着したヘマタイトスケールを除去するスケール除去装置において、
    前記伝熱管に設けられ、前記給水の温度を計測する温度計と、
    前記伝熱管に設けられ、前記給水の圧力を計測する圧力計と、
    前記ヘマタイトスケールの空隙部に給水を満たした状態から、前記給水の温度及び圧力に基づき前記燃料制御弁及び前記給水ポンプを制御し、前記発電プラントを定常起動の起動速度より早い速度で起動させて、前記給水を超臨界水とする制御装置とを備えることを特徴とするスケール除去装置。
  9. 請求項8に記載のスケール除去装置において、
    前記制御装置は、前記給水ポンプを駆動して前記給水の圧力を24.1MPa以上に上昇させた後、前記燃料制御弁を駆動して前記給水の温度を130℃/h以上で350℃から400℃の間まで上昇させることを特徴とするスケール除去装置。
  10. 請求項9に記載のスケール除去装置において、
    前記制御装置は、
    前記温度計の計測値及び前記圧力計の計測値を入力する入力部と、
    前記温度計の計測値及び前記圧力計の計測値に基づいて、前記燃料制御弁及び前記給水ポンプの駆動量を演算する駆動量演算部と、
    前記駆動量演算部で演算された前記燃料制御弁及び前記給水ポンプの駆動量に基づいて、前記燃料制御弁及び前記給水ポンプを駆動する駆動信号を生成する信号生成部と、
    前記信号生成部で生成された駆動信号を前記燃料制御弁及び前記給水ポンプに出力する信号出力部とを備えることを特徴とするスケール除去装置。
  11. 請求項10に記載のスケール除去装置において、
    前記制御装置は、
    前記発電プラントの起動完了後の運転時間を計測する運転時間計測部と、
    前記運転時間と設定時間とを比較する時間判定部とを備え、
    前記入力部は、前記時間判定部において前記運転時間が設定時間以上であると判定した場合に、前記温度計の計測値及び前記圧力計の計測値を入力することを特徴とするスケール除去装置。
  12. 請求項10に記載のスケール除去装置において、
    前記制御装置は、
    前記発電プラントの起動開始時期を含む前記発電プラントの運転パターンを記憶する記憶部と、
    前記運転パターンに基づいて、前記発電プラントの起動開始時期を判断する起動判断部とを備え、
    前記入力部は、前記起動判断部が前記発電プラントの起動開始時期であると判断した場合に、前記温度計の計測値及び前記圧力計の計測値を入力することを特徴とするスケール除去装置。
  13. 請求項10に記載のスケール除去装置において、
    前記伝熱管に設けられ、前記伝熱管の温度を計測する配管温度計を備え、
    前記制御装置は、
    前記配管温度計の計測値を入力する配管温度入力部と、
    前記配管温度計の計測値と閾値とを比較する温度比較部とを備え、
    前記入力部は、前記温度比較部が前記配管温度計の計測値が閾値以上であると判断した場合に、前記温度計の計測値及び前記圧力計の計測値を入力することを特徴とするスケール除去装置。
  14. 請求項10に記載のスケール除去装置において、
    前記制御装置は、
    前記ヘマタイトスケールの付着速度を演算する速度演算部と、
    前記発電プラントの起動による前記ヘマタイトスケールの除去率を演算する除去率演算部と、
    前記ヘマタイトスケールの付着速度と除去率とに基づいて、前記発電プラントの起動開始時期を設定する起動開始時期設定部とを備え、
    前記入力部は、前記起動開始時期設定部で設定された起動開始時期に到達した場合に、前記温度計の計測値及び前記圧力計の計測値を入力することを特徴とするスケール除去装置。
JP2017079216A 2017-04-12 2017-04-12 スケール除去方法及びスケール除去装置 Active JP6774148B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017079216A JP6774148B2 (ja) 2017-04-12 2017-04-12 スケール除去方法及びスケール除去装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017079216A JP6774148B2 (ja) 2017-04-12 2017-04-12 スケール除去方法及びスケール除去装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018179401A JP2018179401A (ja) 2018-11-15
JP6774148B2 true JP6774148B2 (ja) 2020-10-21

Family

ID=64274966

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017079216A Active JP6774148B2 (ja) 2017-04-12 2017-04-12 スケール除去方法及びスケール除去装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6774148B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112665449B (zh) * 2020-12-25 2022-08-23 北京首创环境科技有限公司 一种全自动自清洗板式换热装置及清洗控制方法
CN114247710B (zh) * 2021-12-21 2022-10-21 华能山东石岛湾核电有限公司 一种核电站主蒸汽管道吹扫系统与吹扫方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005156057A (ja) * 2003-11-27 2005-06-16 Osaka Gas Co Ltd 硫酸露点腐食防止式の熱交換器及びその使用方法
JP4494817B2 (ja) * 2004-02-06 2010-06-30 三菱重工業株式会社 超臨界圧ボイラの運転方法
JP2006300404A (ja) * 2005-04-20 2006-11-02 Mitsubishi Heavy Ind Ltd スケールの除去方法
JP5022266B2 (ja) * 2008-02-18 2012-09-12 三菱重工業株式会社 ボイラ運用方法及びボイラ制御装置
JP5592685B2 (ja) * 2010-03-31 2014-09-17 バブコック日立株式会社 ヘマタイトスケールの付着診断方法
JP6363037B2 (ja) * 2015-03-04 2018-07-25 三菱日立パワーシステムズ株式会社 貫流ボイラの火炉壁管の洗浄方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018179401A (ja) 2018-11-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5388803B2 (ja) 蒸気タービン発電設備およびその運転方法
JP5227352B2 (ja) 熱回収蒸気発生器及び関連する蒸気ラインを予め加温するためのシステム及び方法
US7765807B2 (en) Method for warming-up a steam turbine
EP2390565B1 (en) Heat Recovery Steam Generation System and Method for Controlling a Water Level of a Drum in a Heat Recovery Steam Generation System for a Combined Cycle Power Plant
JP6774148B2 (ja) スケール除去方法及びスケール除去装置
RU2586802C2 (ru) Энергоустановка комбинированного цикла (варианты)
JP2013540231A5 (ja)
JP6223886B2 (ja) 発電装置
EP3263985A1 (en) System and method for drum level control with transient compensation
Bhatt et al. Performance enhancement in coal fired thermal power plants. Part II: steam turbines
JP2007085294A (ja) 蒸気タービンプラントおよびその運転方法
JP5967652B2 (ja) 蒸気タービン発電装置付都市ごみ焼却プラントの運転方法及びこれに用いる蒸気タービン入口蒸気圧調整用の演算制御器
JP2017072312A (ja) 過熱装置
JP5524923B2 (ja) 低圧タービンバイパス制御装置及び発電プラント
JP2009103423A (ja) 水蒸気発生型ヒートポンプ装置
JP4415189B2 (ja) 火力発電プラント
JP5191274B2 (ja) 汽力発電設備における給水系統
JP7077257B2 (ja) タービン制御装置、タービン制御方法、およびタービン発電設備
JP2006329119A (ja) 発電システム、コージェネシステム及び発電方法
JP2010249050A (ja) 蒸気タービンおよび蒸気タービン設備
JP5985737B2 (ja) 発電所および発電所設備を運転するための方法
JP6791801B2 (ja) ガスタービン複合サイクルプラント、及びガスタービン複合サイクルプラントの制御方法
JP7268573B2 (ja) 発電システム及び発電システムの起動方法
JP4431512B2 (ja) 原子力発電プラント
JP6092402B2 (ja) 発電プラントの柔軟な運転方法

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20191008

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200826

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200901

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200930

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6774148

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150