JP6771441B2 - 電力変換装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直流電源からの直流電圧を調整変換する昇圧回路を複数台備える電力変換装置において、昇圧回路の入力電流を演算する電力変換装置に関するものである。
並列に多重化された複数の昇圧回路を、複数の直流電源に接続し、この複数の昇圧回路を介して直流電源と負荷あるいは別電源との間で電力授受を行う太陽光発電用の電力変換装置が用いられている。このような構成の電力変換装置では、各昇圧回路において、直流電源から供給される入力電流を監視する高精度の電流センサを必要とする。これらの電流センサの個数を削減するために、各昇圧回路に電流センサを設けず、並列多重化した全ての昇圧回路の出力電流が通過する直流母線経路において電流センサを設け、この直流母線経路に流れる電流から各昇圧回路の入力電流を演算する次のような技術が開示されている。
電力変換装置としての電源装置は、昇圧コンバータ12Aと、昇圧コンバータ12Bと、昇圧コンバータ12Aの出力と昇圧コンバータ12Bの出力の合流点に接続される第3の電流経路と、第3の電流経路を流れる電流を検出する電流センサとを備える。キャリア信号FCBは、キャリア信号FCAとは周波数が等しく、かつ位相が180度シフトした三角波である。こうして、昇圧コンバータ12Aの出力電流のリップルに対して昇圧コンバータ12Bの出力電流のリップルの位相が180度ずれる。キャリア信号FCAが最小となる点に合わせて電流センサの検出値をサンプリングすれば、昇圧コンバータ12Aの電流値が分かる。またキャリア信号FCBが最小となる点に合わせて電流センサの検出値をサンプリングすれば、昇圧コンバータ12Aの電流値が分かる(例えば、特許文献1参照)。
電力変換装置は、それぞれリアクトルと半導体スイッチング素子を有するn台の昇圧回路を備える。各昇圧回路の出力は並列に接続され、母線を構成する。母線の電流を検出する第1電流検出器を備える。電力変換装置の入力電流復元部は、各昇圧回路の半導体スイッチング素子のオン/オフ状態と、第1電流検出器に流れる電流とを用いて、各昇圧回路の入力電流を復元する(例えば、特許文献2参照)。
特開2008−42983号公報 (段落[0040]〜[0041]、[0059]〜[0070]、図1、図4) 特開2017−28950号公報 (段落[0033]〜[0053]
上記特許文献1に記載の従来の電力変換装置では、2台の昇圧回路の出力電流のリップルの位相を180度ずらしている。そして、一方の昇圧回路の出力電流が第3の電流経路を流れていないタイミングで、第3の電流経路の電流を検出することにより、他方の昇圧回路の出力電流を測定する。そのため、第3の電流経路に流れる電流のサンプリングタイミングに3台以上の昇圧回路の出力電流が重畳される構成の電力変換装置では、個々の昇圧回路の出力電流を検出できないという問題点があった。
また、上記特許文献2に記載の従来の電力変換装置では、3台以上の昇圧回路を備える構成において、各昇圧回路の入力電流を復元できる。しかしながら、各昇圧回路のリアクトルを流れる電流が不連続となる場合には、精度良く入力電流を演算できないという問題点があった。そのため、例えば高精度の入力電流の演算が要求される太陽光発電装置に対して上記特許文献2の電力変換装置を適用させた場合、入力電流の演算誤差が発電量に影響を与える。
本発明は上述のような問題点を解決するためになされたものであり、複数台の昇圧回路の入力電流を、各昇圧回路の電流通流状態によらず精度良く演算することができる電力変換装置の提供を目的とする。
本発明に係る電力変換装置は、
それぞれ直流電源に接続され、インダクタンス素子および半導体スイッチング素子を有して前記直流電源の電圧を昇圧する複数の昇圧回路を、正負の直流母線間に並列接続して備え、前記直流母線を流れる母線電流を検出する電流検出器と、各前記昇圧回路の前記半導体スイッチング素子を制御する制御部と、各前記昇圧回路の前記インダクタンス素子を流れる前記昇圧回路ごとの入力電流を演算する電流演算部とを備え、
前記制御部は、
前記入力電流を制御する通流率指令値を生成し、該通流率指令値とキャリア波との比較により、前記昇圧回路ごとの前記半導体スイッチング素子を駆動するためのスイッチング信号を生成し、
前記電流演算部は、
前記昇圧回路ごとの前記スイッチング信号と、前記電流検出器で検出した前記母線電流と、前記昇圧回路ごとの、前記キャリア波のキャリア周期に対する前記インダクタンス素子における電流非通流期間の割合を示す非通流率と、を用いて前記入力電流を演算する、
ものである。
この発明に係る電力変換装置によれば、複数台の昇圧回路の入力電流を、各昇圧回路の電流通流状態によらず精度良く演算することができる。そのため、各昇圧回路において高精度の電流センサを不要として、低コストで高効率の電力変換装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1による電力変換装置の基本構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態1による電力変換装置において、直流電源に太陽電池を適用した場合の構成を示す図である。 本発明の実施の形態1による電力変換装置におけるリアクトル電流を示す図である。 本発明の実施の形態1による電力変換装置において、リアクトル電流連続時の電力変換装置の動作特性を示す図である。 本発明の実施の形態1による電力変換装置において、昇圧回路の動作を示す図である。 本発明の実施の形態1による電力変換装置において、リアクトル電流不連続時の電力変換装置の動作特性を示す図である。 本発明の実施の形態1による電力変換装置において、リアクトル電流連続時の母線電流を示す図である。 本発明の実施の形態1による電力変換装置において、リアクトル電流不連続時の母線電流を示す図である。 本発明の実施の形態2による電力変換装置において、リアクトル電流不連続時の電力変換装置の動作特性を示す図である。 本発明の実施の形態3による電力変換装置において、リアクトル電流不連続時の母線電流を示す図である。 本発明の実施の形態4による電力変換装置が有する条件データの構成を示す図である。 本発明の実施の形態4による電力変換装置が有する条件データの構成を示す図である。 本発明の実施の形態5による電力変換装置の構成を示す構成図である。 本発明の実施の形態5による電力変換装置において、昇圧回路を駆動するスイッチング信号を示す図である。
実施の形態1.
以下、本発明の実施の形態1による電力変換装置100について図を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1による電力変換装置100の基本構成を示す構成図である。
図2は、図1に示す汎用的な構成の電力変換装置100において、直流電源に太陽電池を適用した場合の電力変換装置100aの構成を示す図である
図1を用いて電力変換装置100の基本構成を説明する。電力変換装置100は、直流電源部1と電力変換器50との間に接続され、直流電源部1からの電力を調整変換して電力変換器50に出力するものである。
電力変換装置100は、電力変換の対象である直流電源部1に接続される昇圧回路部2と、昇圧回路部2を制御する制御部としての昇圧回路制御部20とを備える。
直流電源部1は、複数台(n台、nは2以上の整数)の直流電源1Aから構成される。ここで、各直流電源1Aの出力電圧はそれぞれ異なる場合を想定している。例えば、直流電源1Aが太陽電池の場合、それぞれの直流電源1Aにおいて、直列に接続される太陽電池パネルの枚数が異なる場合を想定している。
昇圧回路部2は、直流電源部1の各直流電源1Aの台数に対応した複数台(n台)の昇圧回路2Aから構成される。各昇圧回路2Aは、各直流電源1Aの出力に接続され、昇圧回路制御部20の制御によって、各直流電源1Aの出力電圧を昇圧する。
各昇圧回路2Aの出力は並列に接続されて正側の直流母線10Pと負側の直流母線10Nを構成する。即ち、直流母線10P、10N間に複数の昇圧回路2Aが並列接続された構成となる。直流母線10P、10Nは電力変換器50の入力に接続され、直流母線10P、10N間には、母線電圧平滑用の母線コンデンサ11が接続される。
電力変換器50は、変換器制御部60からの制御により、昇圧回路部2の出力である直流母線10P、10N間の直流電圧を、所望の直流電圧あるいは交流電圧に調整する。そして、電力変換器50は、調整した電圧を負荷71および電力系統を含む電源70に供給する。
電力変換装置100は、各直流電源1Aの出力電圧、即ち、各昇圧回路2Aの入力電圧Vinを検出するための第1電圧検出器31をさらに備える。図1に示すように、第1電圧検出器31は、各昇圧回路2Aに設けられている。さらに、電力変換装置100は、直流母線10P、10Nを流れる母線電流ibusを検出する電流検出器としての第1電流検出器30と、直流母線10P、10N間の母線電圧Vbusを検出する第2電圧検出器32とを備える。なお、第1電流検出器30は、正負の直流母線10P、10Nのどちらに設けてもよい。
次に、各昇圧回路2Aの内部構成を説明する。
各昇圧回路2Aは、コンデンサC1と、インダクタンス素子としてのリアクトルL1と、上アームにダイオード3を有し、下アームに半導体スイッチング素子S1aを有する直列体4、とを備える。
各半導体スイッチング素子S1aには、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、などに代表される自己消弧形の半導体スイッチング素子が使用される。各半導体スイッチング素子S1aには、逆並列にフリーホイールダイオードが接続される。
昇圧回路2Aの直列体4の下アームの半導体スイッチング素子S1aがオンのとき、半導体スイッチング素子S1aに対応する直流電源1AはリアクトルL1にエネルギを蓄える。半導体スイッチング素子S1aがオフのとき、リアクトルL1に蓄えられたエネルギは上アームのダイオード3を介して母線コンデンサ11と、電力変換器50に供給される。
次に昇圧回路制御部20の構成と動作を説明する。
昇圧回路制御部20は、各直流電源1Aの出力電圧を昇圧回路2Aで調整するために、各昇圧回路2Aの入力電圧Vinおよび各昇圧回路2Aの入力電流ILを用いて各昇圧回路2Aの半導体スイッチング素子S1aのオン/オフ制御を行う。
昇圧回路制御部20は、電流演算部としての入力電流演算部21と、電圧制御回路22と、電流制御回路23と、PWM変調回路24とを備える。
入力電流演算部21は、各昇圧回路2AのリアクトルL1を流れる、各昇圧回路2Aの入力電流ILを演算する。この入力電流演算部21における演算については後で具体的に説明する。
電圧制御回路22は、第1電圧検出器31により検出される各昇圧回路2Aの入力電圧Vinと、図示しない外部の上位制御装置等から入力される各昇圧回路2Aに対する入力電圧指令Vin*とに基づいて、各直流電源1Aを制御する電圧制御信号22aを生成する。
なお、直流電源1Aが太陽電池のような可変電圧源ではなく、電圧の調整ができない定電圧源の場合は電圧制御回路22を省き、入力電圧指令Vin*の代わりにリアクトル電流iLの指令値に相当する電圧制御信号22aを外部より入力する形の構成を取ってもよい。
電流制御回路23は、入力電流演算部21で演算された各昇圧回路2Aの入力電流ILと、電圧制御回路22からの電圧制御信号22aとに基づいて、各昇圧回路2Aの入力電流ILを制御するための通流率指令値D*を生成する。
PWM変調回路24は、電流制御回路23からの各昇圧回路2Aの通流率指令値D*とキャリア波との比較により、各昇圧回路2Aの半導体スイッチング素子S1aを駆動するためのスイッチング信号Sを生成する。PWM変調回路24は、通流率指令値D*がキャリア波より大きいとき、対応する昇圧回路2Aにおける直列体4の下アームの半導体スイッチング素子S1aをオンするスイッチング信号Sを生成する。そしてPWM変調回路24は、通流率指令値D*がキャリア波より小さいとき、前記半導体スイッチング素子S1aをオフするスイッチング信号Sを生成する。なお、通流率指令値D*の生成については、後で説明する。
こうして、昇圧回路制御部20は、スイッチング信号Sにより各昇圧回路2Aの半導体スイッチング素子S1aのオン/オフ制御を行い、各直流電源1Aの出力電圧、すなわち各昇圧回路2Aの入力電圧Vinを一定に制御する。
直流電源1Aが電圧の調整ができない定電圧源であり、電圧制御回路22を省き、入力電圧指令Vin*の代わりにリアクトル電流iLの指令値に相当する電圧制御信号22aを外部より入力する構成の場合では、昇圧回路制御部20は各昇圧回路2Aの入力電流ILを一定に制御する。
なお、昇圧回路制御部20と変換器制御部60は、それぞれの制御部の性能に応じて台数の増減や共通化を行ってもよい。例えば、図1において昇圧回路制御部20のPWM変調回路24は、直流電源1Aの台数分設けられるように図示しているが、1つのPWM変調回路24に統合してもよい。また異なる種類の制御回路(例えば、電圧制御回路22と電流制御回路23)を統合してもよい。
また、1台の直流電源1Aに対して1台の昇圧回路2Aが接続される構成を示しているが、この構成に限定するものではない。例えば、直流電源1Aの台数を昇圧回路2Aの台数より少くして、1台の直流電源1Aに対して複数台の昇圧回路2Aが接続される構成でもよい。
また、昇圧回路制御部20が、その内部に入力電流演算部21を備える構成を示したが、昇圧回路制御部20の外部に入力電流演算部21を設ける構成としてもよい。
次に電力変換器50を制御する変換器制御部60の動作を説明する。
母線コンデンサ11の電圧である直流母線10P、10N間の母線電圧Vbusは、第2電圧検出器32により検出されて、電力変換器50の変換器制御部60に入力される。
電力変換器50の変換器制御部60は、検出された母線電圧Vbusと母線電圧指令Vbus*とに基づいて電力変換器50を制御し、母線電圧Vbusを一定に制御する。そして変換器制御部60は、電力変換器50を制御することで、母線電圧Vbusを所望の電圧に変換して、負荷71および電源70に供給する。
次に、上記のように構成された本実施の形態の電力変換装置100を太陽電池に適用させた具体例である電力変換装置100aについて、図2を用いて説明する。
電力変換装置100aは、直流電源1A、1B、1Cとしての3つの太陽電池にそれぞれ接続される3つの昇圧回路2A、2B、2Cと、昇圧回路制御部20aとを備える。図2において直流電源1A、1B、1C、昇圧回路2A、2B、2Cと、それぞれを区別して示す。
なお、各直流電源1A、1B、1C、各昇圧回路2A、2B、2C、のそれぞれを区別する必要がない場合は、直流電源1A、昇圧回路2Aとして記載する。
この電力変換装置100aにおいて、図1に示した電力変換装置100と同一、あるいは相当部分には同一の符号を付す。また、電力変換器50、変換器制御部60は、図1に比較して内部構成を具体的に示した。また、昇圧回路制御部20aは、図1に示した汎用的な構成の昇圧回路制御部20を、直流電源1Aに太陽電池を適用した場合に対応させたものである。
まず、電力変換器50の構成について説明する。
電力変換器50は、複数の半導体スイッチング素子を有するインバータ51、リアクトル52、および出力コンデンサ53とから構成される。さらに、電力変換器50は、電力変換器50の出力電流Ioutを検出する第2電流検出器33を備える。
インバータ51は、変換器制御部60から出力される半導体スイッチング素子の制御用スイッチング信号63aにより制御されて、直流母線10P、10N間の母線電圧Vbusを、以下に説明する母線電圧指令Vbus*と一致する直流電圧に調整する。
次に、変換器制御部60について説明する。
変換器制御部60は、母線電圧制御回路61と、出力電流制御回路62と、PWM変調回路63とを備える。
母線電圧制御回路61は、直流母線10P、10N間の母線電圧Vbusを制御するものであり、母線電圧指令Vbus*と、第2電圧検出器32により検出された母線電圧Vbusとに基づいて、出力電流指令61aを生成する。
なお、母線電圧指令Vbus*は、変換器制御部60により、電源70の電圧実効値、電圧振幅、周波数変化等の状況に基づいて生成される。
出力電流制御回路62は、母線電圧制御回路61からの出力電流指令61aと、第2電流検出器33で検出した電力変換器50の出力電流Ioutとに基づいて、電力変換器50の出力電流を制御する通流率指令値62aを生成する。
PWM変調回路63は、出力電流制御回路62からの通流率指令値62aに基づいて、電力変換器50のインバータ51の半導体スイッチング素子の制御用スイッチング信号63aを生成して、電力変換器50に出力する。
次に、電力変換装置100aの昇圧回路制御部20aについて説明する。
昇圧回路制御部20aは、入力電流演算部21と、MPPT制御回路22Xと、PV電圧制御回路22Yと、電流制御回路23と、PWM変調回路24とを備える。
前述したように、この昇圧回路制御部20aは、図1に示す昇圧回路制御部20を、直流電源1Aに太陽電池を用いた場合に対応させたものである。
図1に示した電力変換装置100では、昇圧回路制御部20において用いられる入力電圧指令Vin*は、外部の上位制御装置から与えられる。電力変換装置100aでは、入力電圧指令Vin*はMPPT制御回路22Xにより生成される。
入力電流演算部21、電流制御回路23、PWM変調回路24は、図1の電力変換装置100と同じである。
PV電圧制御回路22Yは、MPPT制御回路22Xから入力電圧指令Vin*が入力される構成となっている点以外は、図1に示した電圧制御回路22と同じである。よって、図1の電力変換装置100と異なるMPPT制御回路22Xについて説明する。
MPPT制御回路22Xは、第1電圧検出器31で検出した各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電圧Vinと、入力電流演算部21で演算された各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILとを用い、太陽電池の最大電力点追従(MPPT:Maximum Power Point Tracking)制御を行う。MPPT制御回路22Xは、このMPPT制御の結果である入力電圧指令Vin*をPV電圧制御回路22Yへ出力する。
このように直流電源が太陽電池の場合は、昇圧回路2A、2B、2Cの入力電圧Vinと、演算された各入力電流ILとを用いて、MPPT制御を行える。そのため、図1に示したような、外部の上位制御装置等から与えられる入力電圧指令Vin*は必要ない。
PV電圧制御回路22Yは、入力電圧Vinと、MPPT制御回路22Xから入力される入力電圧指令Vin*とに基づいて、各直流電源1A、1B、1Cを制御する電圧制御信号22Yaを生成する。
なお、前記PV電圧制御回路22Yが通流率指令値D*を生成し、生成した通流率指令値D*をPWM変調回路24へ入力する構成とすることで、電流制御回路23を省いた構成を取ってもよい。
以降、本実施の形態の要部である入力電流演算部21における各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILの演算制御について説明する。図2に示した太陽電池である3台の直流電源1A、1B、1Cと、3台の昇圧回路2A、2B、2Cを備える構成例に基づいて説明をする。
本実施の形態の入力電流演算部21は、以下にて説明する昇圧回路2Aの非通流率Dnと、直流母線10P、10Nを流れる母線電流ibusと、半導体スイッチング素子S1aのスイッチング信号Sのオン/オフ情報とを用いて、各昇圧回路2Aの入力電流ILを演算するものである。
この入力電流演算部21における制御の基となる、各昇圧回路2Aの入力電流ILの演算理論について説明する。
先ず、入力電流演算部21の入力電流ILの演算において用いられる上記非通流率Dnについて説明する。
図3は、リアクトルL1を流れるリアクトル電流iLが不連続状態の昇圧回路の、リアクトル電流iLを示す図である。
図3において、昇圧回路2Aの通流率Dに対応するスイッチング素子S1aの、キャリア周期Tswにおけるオン期間をD・Tswとして示し、キャリア周期TswにおけるリアクトルL1の電流非通流期間をDn・Tswとして示している。
なお、ILCaveは、キャリア周期Tswあたりのリアクトル電流iLの平均値である。
非通流率Dnは、リアクトルL1を流れるリアクトル電流iLが不連続時の各昇圧回路2Aにおいて、キャリア波のキャリア周期Tswに対する、リアクトルL1の電流非通流期間Dn・Tswの割合を示すものである。
非通流率Dnは、図3に示すリアクトル電流平均値ILCaveと、リアクトルL1のリアクトル値Lと、昇圧回路2Aのスイッチング素子S1aのキャリア周期Tswあたりの通流率Dを用いて下記(1)式で表すことができる。
ここで、下記(1)式の右辺第2項の分子は半導体スイッチング素子S1aのオン期間D・Tswにおける電流上昇分の2分の1を表している。
なお、リアクトル電流iLの連続時においては、前記半導体スイッチング素子S1aのオン期間D・Tswにおける電流上昇量と半導体スイッチング素子S1aのオフ期間における電流下降量は一致するため、下記(1)式の非通流率Dnは0となる。
Figure 0006771441
また、非通流率Dnは、以下(2)〜(5)式から導出することもできる。
第1電圧検出器31による昇圧回路2Aの入力電圧検出値を入力電圧Vin、第2電圧検出器32による直流母線10P、10N間の電圧検出値を母線電圧Vbusとする。この場合、リアクトル電流連続時の通流率Dccmは以下(2)式で表せる。
Figure 0006771441
また、リアクトル電流不連続時の通流率をDdcmとして新たに表すと、Ddcmは以下(3)式で表せる。
Figure 0006771441
前記入力電圧Vinと母線電圧Vbusが同値の場合、(3)式のリアクトル電流不連続時の非通流率Dnは、(2)式のリアクトル電流連続時に成立する関係を用いた、以下(4)式より求まる。
Figure 0006771441
ここで、(1)式と(4)式によって求まる非通流率Dnは同じ値である。
(4)式において、リアクトル電流不連続時の通流率Ddcmを通流率指令値D*で表し、リアクトル電流連続時の通流率Dccmを(2)式で示す入力電圧Vinと母線電圧Vbusとの関係で表す。こうして、リアクトル電流不連続時における非通流率Dnを推定する非通流率推定値Dnhatは、以下(5)式のように表すことができる。
Figure 0006771441
こうして、各昇圧回路2Aの非通流率推定値Dnhatは、上記(5)式示したように、各昇圧回路2Aの通流率指令値D*と、第1電圧検出器31により検出された各昇圧回路2Aの入力電圧Vinと、第2電圧検出器32により検出された直流母線10P、10N間の母線電圧Vbusとを用いた演算により取得できる。
なお、非通流率推定値Dnhatは、このように式(5)を用いて推定可能である。しかしながら、リアクトル電流iLの電流非通流期間Dn・Tswをリアクトル電流iLの経路において直接検出できる構成の場合は、電流非通流期間Dn・Tswの検出値から非通流率推定値Dnhatを求めてもよい。電流非通流期間Dn・Tswを直接検出する方法として、例えば安価で低精度の電流検出器を各昇圧回路2Aに設ける等の方法がある。
以降の説明において、(5)式により演算された非通流率推定値Dnhatは、(1)
式、(4)式に示した非通流率Dnと一律にDnと表記する。
なお、演算された非通流率Dnが正の場合は、リアクトル電流iLが不連続状態の昇圧回路(請求項における第1昇圧回路)である。また、演算された非通流率Dnが0の場合は、リアクトル電流iLが連続状態の昇圧回路(請求項における第2昇圧回路)である。
次に、直流母線10P、10Nを流れる母線電流ibusと、半導体スイッチング素子S1aのスイッチング信号Sのオン/オフ情報と、各昇圧回路2Aの入力電流ILとの関係について説明する。
図4は、本発明の実施の形態1による電力変換装置100aにおいて、リアクトル電流連続状態の昇圧回路(第2昇圧回路)を有する電力変換装置100aの動作特性を示す図である。
図5は、図4に示す特定のサンプリングタイミングにおける、各昇圧回路2A、2B、2Cの動作を示す図である。
図6は、本発明の実施の形態1による電力変換装置100aにおいて、リアクトル電流不連続状態の昇圧回路(第1昇圧回路)を有する電力変換装置100aの動作特性を示す図である。
図7は、本発明の実施の形態1による電力変換装置100aにおいて、リアクトル電流連続時における母線電流ibusを示す図である。
図8は、本発明の実施の形態1による電力変換装置100aにおいて、リアクトル電流不連続時における母線電流ibusを示す図である。
図4、図6において、キャリア1、キャリア2、キャリア3は、それぞれ昇圧回路2A、2B、2Cに対するキャリア波である。
サンプリングタイミングは、第1電流検出器30により母線電流ibusの検出を行う所定の取得タイミングである。
スイッチング信号S1、S2、S3は、それぞれ昇圧回路2A、2B、2Cの半導体スイッチング素子S1aに対するスイッチング信号Sである。
リアクトル電流iL1、iL2、iL3は、各昇圧回路2A、2B、2CのリアクトルL1を流れるリアクトル電流iLである。
以降、昇圧回路2A、2B、2Cごとのリアクトル電流iL1、iL2、iL3を区別する必要が無い場合は、リアクトル電流iLとして示す。また、昇圧回路2A、2B、2Cごとのスイッチング信号S1、S2、S3を区別する必要が無い場合は、スイッチング信号Sとして示す。
また、図4、図6に示す各昇圧回路2A、2B、2Cにおいて、昇圧回路2Aのスイッチング信号S1の通流率および昇圧回路2Bのスイッチング信号S2の通流率は、共に33%未満相当であり、昇圧回路2Cのスイッチング信号S3の通流率は66%以上相当である。
なお、本実施の形態の説明にて用いる通流率33%、66%は、100%/3=33.33・・・%、100%×2/3=66.66・・・%を簡単化して表記した値である。
また、各キャリア波は三角波である。各キャリア波は、360度(=2π[rad])を昇圧回路の台数(n台)で割った等間隔の位相差を互いに有する。本実施の形態では、各キャリア波の位相差は、360度/3=120度となる。
第1電流検出器30は、各キャリア波が最大(top)あるいは最小(btm)になるサンプリングタイミングで母線電流ibusの検出を行う。また、第1電流検出器30が母線電流ibusの検出を行うサンプリングタイミングの周期は以下のようになる。
第1電流検出器30は、昇圧回路の台数が偶数台のときは、キャリア周期Tswの((昇圧回路の台数+1)/昇圧回路の台数)倍の固定周期におけるサンプリングタイミングで母線電流ibusの検出を行う。
また、第1電流検出器30は、昇圧回路の台数が奇数台のときは、キャリア周期Tswの((2×昇圧回路の台数)+1)/(2×昇圧回路の台数))倍の固定周期におけるサンプリングタイミングで母線電流ibusの検出を行う。
本実施の形態の電力変換装置100aは、3台の昇圧回路をもつため上記奇数台の時の固定周期でサンプリングを行う。
各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILであるリアクトル電流iLは、母線電流ibusと、スイッチング信号Sのオン/オフ情報とを用いて、以下(6)式に示す関係で表すことができる。
Figure 0006771441
(6)式における、ibussp1、ibussp2、ibussp3は、サンプリングタイミングsp1、sp2、sp3においてそれぞれ検出された母線電流ibusの検出値を示す。
図4、図6において示す6つのサンプリングタイミング(sp1(top)、sp1(btm)、sp2(top)、sp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm))において検出された母線電流ibusの内から、任意に選出した3つの母線電流ibusの値が、(6)式におけるibussp1、ibussp2、ibussp3として用いられる。
例えば、各キャリア波が最大になるサンプリングタイミング(sp1(top)、sp2(top)、sp3(top))において検出された母線電流ibusのみを用いてもよい。また例えば、各キャリア波が最小になるサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusのみを用いてもよい。あるいは、各キャリア波が最大、最小になるサンプリングタイミングにおいてそれぞれ検出された母線電流ibusを組み合わせて用いてもよい。
(6)式におけるS1sp1、S2sp1、S3sp1は、サンプリングタイミングsp1における各昇圧回路2A、2B、2Cの半導体スイッチング素子S1aのスイッチング信号Sのオン/オフ信号を数値化した0、1に対応するものである。
例えば、サンプリングタイミングsp1において、各昇圧回路2A、2B、2Cの半導体スイッチング素子S1aがオンの場合、昇圧回路2A、2B、2Cは直流母線10Pに対して電流不出力状態となり、この場合、S1sp1、S2sp1、S3sp1は「0」と置く。また例えば、サンプリングタイミングsp1において、各昇圧回路2A、2B、2Cの半導体スイッチング素子S1aがオフの場合、昇圧回路2A、2B、2Cのリアクトル電流iLは、直流母線10Pに対して電流出力状態となり、この場合、S1sp1、S2sp1、S3sp1は「1」と置く。
例えば、(6)式におけるsp1を、図4に示すサンプリングタイミングsp1(top)とする。図5に示す各昇圧回路2A、2B、2Cの動作は、このサンプリングタイミングsp1(top)に対応している。
この場合、サンプリングタイミングsp1(top)において、昇圧回路2Aのスイッチング信号S1はオフであり、電流出力状態であるのでS1sp1は「1」となる。また、昇圧回路2Bのスイッチング信号S2はオフであり、電流出力状態であるのでS2sp1は「1」となる。また、昇圧回路2Cのスイッチング信号S3はオンであり、電流不出力状態であるのでS3sp1は「0」となる。
同様に、(6)式におけるS1sp2〜S3sp2は、サンプリングタイミングsp2に対応する各昇圧回路2A、2B、2Cのスイッチング信号Sのオン/オフに対応する。また、S1sp3〜S3sp3は、サンプリングタイミングsp3に対応する各昇圧回路2A、2B、2Cのスイッチング信号Sのオン/オフに対応する。
また、(6)式における、iL1sp1、iL2sp1、iL3sp1は、サンプリングタイミングsp1における各昇圧回路2A、2B、2Cのリアクトル電流iL1、iL2、iL3の瞬時値である。同様に、iL1sp2、iL2sp2、iL3sp2は、サンプリングタイミングsp2におけるリアクトル電流iL1、iL2、iL3の瞬時値であり、iL1sp3、iL2sp3、iL3sp3は、サンプリングタイミングsp3におけるリアクトル電流iL1、iL2、iL3の瞬時値である。
各昇圧回路2A、2B、2Cのリアクトル電流iL1、iL2、iL3の瞬時値iL1sp1〜iL3sp3は、半導体スイッチング素子S1aのオン/オフ駆動により生じるリアクトルL1のリプル電流およびリアクトル電流不連続性による電流変動の影響により、サンプリングタイミングごとに値が異なる。よって、上記(6)式における母線電流検出値ibussp1〜ibussp3は、上記変動を含んだ、サンプリングタイミングごとに異なるリアクトル電流瞬時値iL1sp1〜iL3sp3、との関係により表されている。
ここで、各サンプリングタイミングsp1〜sp3に対応した、各昇圧回路2A、2B、2Cのリアクトル電流瞬時値iL1sp1〜iL3sp3を次のように置き換える。
即ち、リアクトル電流瞬時値iL1sp1〜iL3sp3を、上記リプル電流およびリアクトル電流不連続性による電流変動の影響を除いた、各キャリア周期Tswのリアクトル電流通流期間におけるリアクトル電流平均値ILSave(IL1Save〜IL3Save)と、瞬時電流と前記電流平均値ILSaveとの差分ΔiL(ΔiL1sp1〜ΔiL3sp3)と、に分けて置き換える。これにより(6)式は以下(7)式に変換される。
Figure 0006771441
次に、リアクトル電流iLと同様に、母線電流検出値ibussp1〜ibussp3から、上記リプル電流およびリアクトル電流不連続性によるリアクトル電流iLの電流変動の影響を除く。電流変動を除いた母線電流補正値の表記をIbussp1〜Ibussp3と置き(7)式を以下の(8)式に変換する。
Figure 0006771441
(8)式に示す、スイッチング信号Sのオン/オフに対応するS1sp1〜S3sp3から成る行列を、以下(9)式のように定義して以降の説明に用いる。
Figure 0006771441
上記(9)式の定義を、上記(8)式に用いて、(8)式を以下(10)式のように変形する。
Figure 0006771441
各キャリア周期Tswのリアクトル電流通流期間におけるリアクトル電流平均値ILSaveは、このように(9)式の逆行列を用いることで、上記(10)式より演算が可能である。
こうして、リアクトル電流通流期間におけるリアクトル電流平均値ILSaveは、母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3と、スイッチング信号Sのオン/オフ情報とを用いて演算できる。
なお、(8)式から(10)式の変換は、以下(11)式を満足する必要がある。
Figure 0006771441
ここで(10)式に用いる母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3の導出方法を説明する。
なお、以下の母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3の導出過程において、各昇圧回路2A、2B、2CのリアクトルL1の、インダクタンス値としてのリアクトル値Lを用いるが、このリアクトル値Lには設計値を用いる。
(8)式において示したように、母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3は、母線電流検出値ibussp1〜ibussp3から、リプル電流およびリアクトル電流不連続性による電流変動の影響を除いたものである。
ここで、母線電流検出値ibussp1と母線電流補正値Ibussp1を代表例として説明する。(8)式より、母線電流検出値ibussp1と母線電流補正値Ibussp1との関係は、以下(12)式と表せる。
Figure 0006771441
以下、(12)式の代表項S1sp1・ΔiL1sp1を用いて、母線電流検出値ibussp1の補正方法の説明を行う。
(12)式において、昇圧回路2B、2Cの昇圧動作が停止しているとする。そのため、ΔiL2sp1とΔiL3sp3はゼロとなり、(12)式を以下(13)式とみなすことができる。なお、(12)式の残りの項のS2sp1・ΔiL2sp1、S3sp1・ΔiL13sp1は、以下にて説明する手順と同様に補正できるため説明を省略する。
Figure 0006771441
先ず、リアクトル電流連続時における母線電流検出値ibussp1の補正方法を、図7を用いて説明する。
図7では、3台の昇圧回路2A、2B、2Cのうち、キャリア2とキャリア3に対応する2台の昇圧回路2B、2Cの昇圧動作が停止している状態を示す。そして、キャリア1に対応する1台の昇圧回路2Aのリアクトル電流iLが電流連続状態で動作する条件の時の、母線電流ibusとリアクトル電流iLの代表波形を示す。
図7に示すように、リアクトル電流iLには、半導体スイッチング素子S1aの駆動による、昇圧回路2Aの入力平均電流を中心に変動するリプル電流が生じている。
なお、図7に示す各サンプリングタイミングsp1(top)〜sp3(btm)の周期は、図4に示したサンプリングタイミングの周期より便宜上短くしている。
以下、図7に示したサンプリングタイミングsp1(top)、sp1(btm)、sp2(top)、sp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)、のそれぞれのタイミングを(13)式におけるsp1とし、(13)式右辺第二項の導出方法を説明する。
図7において、sp1(top)とsp1(btm)におけるリアクトル電流iLの値は、リアクトル電流iLのキャリア周期Tswあたりの平均値を示す。よって、リアクトル電流連続時においては、(13)式の右辺第二項は、sp1(top)の値を補正量ゼロの基準にして補正値を設定する。
図7に示したsp1(btm)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は、以下(14)式と表せる。
Figure 0006771441
図7に示したsp3(top)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は以下(15)式と表せる。
Figure 0006771441
図7に示したsp2(btm)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は以下(16)式と表せる。
Figure 0006771441
図7に示したsp1(top)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は以下(17)式と表せる。
Figure 0006771441
図7に示したsp3(btm)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は以下(18)式と表せる。
Figure 0006771441
図7に示したsp2(top)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は以下(19)式と表せる。
Figure 0006771441
上記(14)〜(19)式に示した通り、リアクトル電流iLのキャリア周期Tswあたりの平均値となるsp1(top)の値を基準にして、入力電圧Vinおよび母線電圧Vbusの検出値と、リアクトル値Lとを用いて、母線電流検出値ibussp1を補正できることを示した。即ち、母線電流検出値ibussp1から、リアクトル電流iLのリプル電流に起因する電流変動を抑制する補正ができることを示した。
なお、キャリア1に対応する昇圧回路の昇圧動作が停止している場合は(14)〜(19)式の右辺は全て(17)式と共通になる。
また、キャリア2に対応する昇圧回路はsp2(top)を補正量ゼロの基準とし、キャリア3に対応する昇圧回路はsp3(top)を補正量ゼロの基準とする。
次に、リアクトル電流不連続時における母線電流検出値ibusの補正方法を、図8を用いて説明する。
図8は、図7のリアクトル電流連続時と同様に、3台の昇圧回路2A、2B、2Cのうち、キャリア2とキャリア3に対応する2台の昇圧回路2B、2Cの昇圧動作が停止している状態を示す。そして、キャリア1に対応する1台の昇圧回路2Aのリアクトル電流iL1が電流不連続状態で動作する条件の時の、母線電流ibusとリアクトル電流iLの代表波形を示す。リアクトル電流iLには、半導体スイッチング素子S1aの駆動によるリプル電流が生じている。
図8において、ΔiL2sp1とΔiL3sp3は対象の昇圧回路の昇圧動作が停止しているためゼロである。よって、前述した図7を用いた説明と同様に(12)式を(13)式とみなすことができる。
図8に示したサンプリングタイミングsp1(top)、sp1(btm)、sp2(top)、sp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)、のそれぞれのタイミングを(13)式におけるsp1とし、(13)式右辺第二項の導出方法を説明する。
図8において、sp1(btm)におけるリアクトル電流iLは、半導体スイッチング素子S1aのオン期間D・Tswあたりの平均値を意味している。リアクトル電流iLは、キャリア1に対応する昇圧回路2Aの半導体スイッチング素子S1aのオフ期間の後半においてリアクトル電流iLが途切れる特性である。そのため、リアクトル電流連続時の特性と異なり、図8に示すsp1(top)におけるリアクトル電流iLは、キャリア周期Tswあたりの平均値とはならず、補正の基準とはならない。
このような電流特性を持つリアクトル電流不連続時においては、リアクトル電流iLの最大値を基準にして、リプル電流およびリアクトル電流不連続性による電流変動の影響を除く補正を行う。
ここで、図8に示したsp1(btm)からリアクトル電流iLがゼロに下がるまでの期間T1は、非通流率Dnを用いて以下(20)式で表せる。
Figure 0006771441
なお、(20)式の右辺第一項は、キャリア1に対応する昇圧回路2Aのオン期間D・Tswの半周期を意味し、右辺第二項は昇圧回路2Aの半導体スイッチング素子S1aのオフ期間におけるリアクトル電流iLの電流連続期間を意味している。
また、キャリア1に対応する昇圧回路2Aの半導体スイッチング素子S1aのオン期間D・Tswにおけるリアクトル電流iLの増加量と、オフ期間における電流連続期間(1−D−Dn)Tswのリアクトル電流iLの減少量の和はゼロの特性を持つ。よって、以下(21)式で表せる。
Figure 0006771441
(21)式の左辺第一項は、半導体スイッチング素子S1aのオン期間D・Tswの電流増加量を表し、左辺第二項は半導体スイッチング素子S1aのオフ期間の電流連続期間(1−D−Dn)Tswにおける電流減少量を表す。
上記(20)、(21)式に示した特性に基づいて、(20)式右辺第一項に示した期間から後の期間における、(21)式左辺第二項に示した電流減少特性を考慮することで、検出された母線電流ibusの補正を行う。
即ち、キャリア1の最小(sp1(btm))のタイミングから、(20)式右辺第一項に示す期間(D/2)Tsw分進んだタイミングは、リアクトル電流iLが最大になるタイミングである。そして、(21)式に示した電流減少特性より、(21)式の左辺第一項の値であるリアクトル電流iLの最大値の半分(sp1(btm)におけるリアクトル電流iL)は、リアクトル電流通流期間(1−Dn)Tswにおける平均電流を意味する。
よって、リアクトル電流iLが最大になるタイミングにおいて導出されるリアクトル電流iLの最大値を半分の値とすると、このようなリアクトル電流不連続時において、リアクトル電流iLの電流通流期間(1−Dn)Tswにおけるリアクトル電流iLの平均値を演算することができる。こうして、以下(22)〜(27)式に示すように、検出した母線電流ibusから、リプル電流およびリアクトル電流不連続性による電流変動の影響を除く補正を行う。
図8に示したsp1(btm)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は、(22)式と表せる。
Figure 0006771441
図8に示したsp3(top)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は、(23)式と表せる。
Figure 0006771441
図8に示したsp2(btm)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は、(24)式と表せる。
Figure 0006771441
図8に示したsp1(top)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は、(25)式と表せる。
Figure 0006771441
図8に示したsp3(btm)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は、(26)式と表せる。
Figure 0006771441
図8に示したsp2(top)を(13)式のsp1と置くと、(13)式の母線電流補正値Ibussp1は、(27)式と表せる。
Figure 0006771441
上記(22)〜(27)式に示した通り、リアクトル電流iLの最大値を基準として、入力電圧Vinおよび母線電圧Vbusの検出値と、リアクトル値Lと、通流率D(通流率指令値D*)とを用いて、母線電流検出値ibussp1を補正できることを示した。即ち、母線電流検出値ibussp1から、各キャリア周期Tswの電流通流期間(1−Dn)Tswにおけるリアクトル電流iLのリプル電流に起因する電流変動を抑制する補正ができることを示した。
ここで、以下に示す(28)式は(1)式を変形した得られた関係式であり、リアクトル電流不連続状態を考慮したキャリア周期Tswあたりのリアクトル電流平均値iLCaveを表す。リアクトル電流通流期間(1−Dn)Tswあたりの平均電流をILSaveとして示し、各昇圧回路2A、2B、2Cの非通流率DnをそれぞれDn1、Dn2、Dn3と置いた。
Figure 0006771441
(28)式と(8)式より、リアクトル電流不連続状態を考慮した母線電流検出値ibussp1〜ibussp3と、キャリア周期Tswあたりのリアクトル電流iLの平均電流値iL1Cave〜iL3Caveとの関係は、以下(29)式と表すことができる。
Figure 0006771441
こうして、リアクトル電流不連続状態を考慮したキャリア周期Tswあたりのリアクトル電流平均値ILCave、即ち、リアクトル電流不連続状態を考慮した各昇圧回路2A、2B、2Cのキャリア周期Tswあたりの入力電流ILの平均値は、上記(29)式より求めることができる。よって、各昇圧回路2A、2B、2Cのキャリア周期Tswあたりの入力電流ILの平均値は、母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3と、各昇圧回路2A、2B、2Cのスイッチング信号S1〜S3のオン/オフ情報と、各昇圧回路2A、2B、2Cの非通流率Dn1〜Dn3と、を用いて演算される。
リアクトル電流連続時における各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILは、上記(14)〜(19)式により得られる母線電流補正値Ibusと、スイッチング信号Sのオン/オフ情報とを用い、非通流率Dnを0と置くことで、(29)式から演算できる。
このように、上記(29)式は、リアクトル電流連続時、不連続時の両場合に対応した、各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILの演算式である。
入力電流演算部21は、上記の入力電流ILの演算理論に基づいて演算を行うものである。以下、入力電流演算部21による昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILの演算を、図に基づいて説明する。
先ず、図4に示すリアクトル電流連続時の昇圧回路における、入力電流演算部21の演算について示す。
入力電流演算部21は、上記(29)式に示す関係と、(9)〜(11)式に示した逆行列を用いて、入力電流ILの演算を行う。
(29)式と(9)〜(11)式に示すs1sp1〜s3sp3に対応するサンプリングタイミングsp1、sp2、sp3を、それぞれ図4に示すsp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)とする。この場合、(29)式と(9)〜(11)式はそれぞれ、以下(30)〜(32)式となる。
ここで、入力電流演算部21は、(5)式に基づき、各昇圧回路2A、2B、2Cの非通流率Dn1〜Dn3を演算する。図4に示すように、各昇圧回路2A、2B、2Cは常にリアクトル電流連続状態であるため、演算された非通流率Dn1〜Dn3は0となる。
Figure 0006771441
なお、上記(30)式では、リアクトル電流連続状態であるので、各キャリア周期Tswあたりのリアクトル電流iLの平均値ILCave=各キャリア周期Tswのリアクトル電流通流期間(1−Dn)Tswにおけるリアクトル電流平均値ILSaveとしている。
Figure 0006771441
Figure 0006771441
入力電流演算部21は、(13)式に基づき、検出された母線電流検出値ibussp1〜ibussp3を、母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3に補正する。そして入力電流演算部21は、得られた母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3を上記(32)式に用いる。
こうして、入力電流演算部21は、上記(32)式に示す行列の行列式により、キャリア周期Tswあたりのリアクトル電流平均値ILCave、即ち、各昇圧回路2A、2B、2Cのキャリア周期Tswあたりの入力電流ILの平均値を演算する。
次に、図6に示すリアクトル電流不連続状態の昇圧回路を含む状態における、入力電流演算部21の演算について示す。図6に示すように、昇圧回路2A、2Bのリアクトル電流iL1、iL2は不連続状態であるが、昇圧回路2Cのリアクトル電流iL3は連続状態である。
入力電流演算部21は、リアクトル電流連続時と同様に、上記(29)式に示す関係と、(9)〜(11)式に示した逆行列を用いて、入力電流ILの演算を行う。
(29)式と(9)〜(11)式に示すs1sp1〜s3sp3に対応するサンプリングタイミングsp1、sp2、sp3を、それぞれ図6に示すsp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)とする。この場合、(29)式と(9)〜(11)式はそれぞれ、以下(33)〜(35)式となる。
ここで、入力電流演算部21は、(5)式に基づき、各昇圧回路2A、2B、2Cの非通流率Dn1〜Dn3を演算する。昇圧回路2Cは常にリアクトル電流連続状態であるため、演算された非通流率Dn3は0となる。ここで、昇圧回路2A、2Bの非通流率Dn1、Dn2についても入力電流演算部21により演算されて値が出ているが、便宜上以下(33)式ではDn1、Dn2として示す。
Figure 0006771441
Figure 0006771441
Figure 0006771441
入力電流演算部21は、(13)式に基づき、検出された母線電流検出値ibussp1〜ibussp3を、母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3に補正する。そして入力電流演算部21は、得られた母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3を上記(35)式に用いる。
こうして、入力電流演算部21は、上記(35)式に示す行列の行列式により、キャリア周期Tswあたりのリアクトル電流平均値ILCave、即ち、各昇圧回路2A、2B、2Cのキャリア周期Tswあたりの入力電流ILの平均値を演算する。
こうして、上記(29)式を用いて、図4に示したリアクトル電流が常に連続である状態と、図6に示したリアクトル電流が不連続である昇圧回路を含む状態の、2つの状態の電力変換装置100aにおいて各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILが演算された。
MPPT制御回路22Xは、入力電流演算部21により演算された各昇圧回路2A、2B、2Cの、キャリア周期Tswあたりの入力電流ILの平均値(IL1Cave、IL2Cave、IL3Cave)と、第1電圧検出器31で検出した各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電圧Vinとを用い、太陽電池のMPPT制御を行う。
なお、(29)式では、3台の昇圧回路2A、2B、2Cに対応させた3行3列の行列を示した。しかしながら以下(36)式に示すように(29)式は、3台以上の昇圧回路を備える電力変換装置においても適用可能である。
Figure 0006771441
上記(36)式において、入力電流演算部21は、昇圧回路の台数に対応した分の複数の母線電流検出値ibussp1〜ibusspn、即ち、少なくとも昇圧回路の台数分のサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流検出値ibussp1〜ibusspnを用いて入力電流ILを演算する。
なお上記では、入力電流演算部21は、第1電流検出器30が検出した複数のサンプリングタイミングにおける母線電流検出値ibusの内から、母線電流検出値ibusを任意に選出して入力電流ILの演算に用いた。しかしながら、入力電流ILの演算において、少なくとも最新のサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusを使うものでもよい。
また、入力電流演算部21は、上記(11)式においてZの行列式が導出できない場合では、Zの行列式がゼロとならないように各サンプリングタイミングにおける母線電流検出値ibusを再選出する。
例えば、図4、図6に示す特性の電力変換装置では、各キャリア波が最大になるタイミング(sp1(top)、sp2(top)、sp3(top))において検出した母線電流ibusのみを用いた場合、あるいは、各キャリア波が最小になるタイミング(sp1(btm)、sp2(btm)、sp3(btm)において検出した母線電流ibusのみを用いた場合に(11)式が成立しない。この場合、入力電流演算部21は、各キャリア波が、最大になるタイミングと最小になるタイミングにおいて検出された母線電流値を組み合わせて用いても良い。このように、入力電流演算部21は、(11)式が成立するようなサンプリングタイミングにおける母線電流ibusを選出して演算を行う。
また上記では、第1電流検出器30は、キャリア波が最大あるいは最小になるサンプリングタイミングで母線電流ibusの検出を行う例を示した。しかしながらこのサンプリングタイミングに限定するものではなく、例えばキャリア波の最大値と最小値の間のタイミングにおいて母線電流ibusを検出してもよい。
また、上記では、入力電流演算部21は、各昇圧回路2Aの非通流率Dnを(5)式を用いて演算する際において、第1電圧検出器31により検出された入力電圧Vinと、第2電圧検出器32により検出された母線電圧Vbusとを用いた。しかしながらこの方法に限定するものではない。入力電流演算部は、(5)式において用いる、入力電圧Vinと母線電圧Vbusの少なくとも一方に対して、それぞれに設定された電圧指令値を用いてもよい。
例えば、直流電源1Aが定電圧源である場合は、この定電圧源の電圧指令値を、(5)式における入力電圧Vinとして用いることができる。また、例えば、母線電圧Vbusが、他の電力変換器による定電圧制御により制御されている場合は、この母線電圧に対する電圧指令値を、(5)式における母線電圧Vbusとして用いることができる。
また、上記では、第1電流検出器30において検出された母線電流検出値ibussp1〜ibussp3を(13)式に基づいて補正し、補正された母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3を(29)式における演算に用いた。しかしながらこの方法に限定するものではなく、母線電流検出値ibussp1〜ibussp3を(29)式において直接用いてもよい。
また、直流電源1Aの具体例として、太陽電池を適用した場合を説明したが、燃料電池、直流出力可能な発電機、および蓄電池でもよい。
上記のように構成された本実施の形態の電力変換装置100、100aによると、入力電流演算部21は、各昇圧回路2Aのスイッチング信号Sと、母線電流ibusと、各昇圧回路2Aの非通流率Dnを用いることで、複数台の昇圧回路2Aの入力電流ILを、各昇圧回路2Aの電流通流状態によらず精度良く演算できる。そのため、直流電源1Aの出力変化時においても、各昇圧回路2Aにおいて高精度の電流センサを設けることを不要として、各昇圧回路2Aの入力電流ILを精度良く演算できる。こうして、低コストで且つ高効率の電力変換装置を提供することができる。
また、本実施の形態の電力変換装置を太陽光発電装置に適用させると、直流電源1Aの出力変化時においても、全直流電源1Aに対してMPPT制御を行うことができる。またこのように、全直流電源1Aに対して、常にMPPT制御を行うことができるため、省エネルギの効果を得られる。また、精度良く演算された入力電流ILに基づいてこのMPPT制御を行うため、各直流電源1Aの出力電力が最大となる動作点を精度良く演算でき、高効率の太陽光発電装置を提供できる。
また、入力電流演算部21は、昇圧回路2Aの台数以上の複数のサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusを用いて、入力電流ILの演算を行う。即ち、少なくとも昇圧回路2Aの台数分(未知数分と同じ数)のサンプリング周期における入力電流ILの演算式を立てることができる。こうして、昇圧回路2Aの台数によらず、各昇圧回路2Aの入力電流ILの演算が可能である。
さらに、入力電流演算部21は、入力電流ILを、各サンプリングタイミングにおけるスイッチング信号Sと、母線電流ibusと、非通流率Dnとを用いて行列で表す。そして入力電流演算部21は、この行列の行列式に基づいて入力電流ILの演算を行う。そのため、入力電流演算部21は、各サンプリングタイミングにおけるスイッチング信号Sに基づいた行列Zの逆行列を、母線電流に乗算するという簡便な解法を用いて入力電流ILを演算できる。そのため、多数の昇圧回路2Aを備える電力変換装置においても、入力電流演算部21における処理負荷を低減しつつ、迅速に入力電流ILを演算できる。
さらに、入力電流演算部21は、各昇圧回路2Aの非通流率Dnを、各昇圧回路2Aに入力される直流電源1Aの電圧Vinと、母線電圧Vbusと、通流率指令値D*とを用いて演算する。これにより、非通流率Dnを得るための特別な計測器を不要として、低コスト且つ簡易な装置構成で非通流率Dnを演算できる。また、この非通流率Dnの演算に用いる直流電源1Aの電圧および母線電圧Vbusの少なくとも一方に対して、設定された電圧指令値を用いることができる。これにより、検出値を用いた非通流率Dnの演算に限定されず、複数の演算方法を用いた非通流率Dnの演算が可能になる。
さらに入力電流演算部21は、キャリア波が最大あるいは最少になるタイミングを母線電流ibusの検出を行うサンプリングタイミングとしている。このようにキャリア波の位相に基づいた母線電流ibusの検出を行うことで、サンプリングタイミングを決定するための他の信号を不要として、一定の固定周期における母線電流ibusの検出が可能となる。
さらに、入力電流演算部21は、複数のサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流検出値ibusの内から、各キャリア波が最小になるタイミングの母線電流ibusと、最大になるタイミングの母線電流ibusとを組み合わせて選出することができる。よって、入力電流演算部21は、最新の母線電流ibusの検出値が、キャリア波が最大あるいは最小において検出された母線電流ibusのいずれかに関わらず、この最新の母線電流ibusを用いて入力電流ILの演算を行うことができる。こうして、入力電流演算部21が、最新の母線電流検出値ibusが検出される度に入力電流ILの演算を行うようにすることで、最新の電力変換装置100、100aの運転状態に基づいた入力電流ILを得ることができる。
また、このように、入力電流演算部21は、各キャリア波が最小あるいは最大になるタイミングの母線電流ibusを任意に組み合わせて用いるため、(11)式の行列がゼロとならないようなサンプリングタイミングにおける母線電流ibusを選出して用いることができる。これにより、入力電流ILの演算不可条件を緩和できる。
さらに、入力電流演算部21は、各キャリア周期Tswの電流通流期間におけるリアクトル電流iLのリプル電流に起因する電流変動を抑制するように、母線電流ibusの検出値を補正する。このように母線電流ibusの検出値を補正することで、各昇圧回路2A、2B、2Cのキャリア周期Tswあたりの入力電流ILの平均値を制度良く演算できる。
また、入力電流演算部21は、昇圧回路2Aの非通流率Dnが0の昇圧回路2A(第2昇圧回路)では、各昇圧回路2Aに入力される直流電源1Aの電圧と、母線電圧Vbusと、リアクトル値Lとを用いて母線電流ibusの検出値の補正を行う。このように、簡便且つ精度良く入手可能な情報を用いて、母線電流ibusの検出値の補正を行うため、特別な装置構成を不要として、低コストで精度良く入力電流ILを演算できる。
また、入力電流演算部21は、昇圧回路2Aの非通流率Dnが正の昇圧回路2A(第1昇圧回路)では、各昇圧回路2Aに入力される直流電源1Aの電圧と、母線電圧Vbusと、リアクトル値Lと、各昇圧回路2Aの通流率D(通流率指令値D*)とを用いて、リアクトル電流iLの最大値を基準にして母線電流ibusの検出値の補正を行う。これにより、入力電流演算部21は、電流非通流期間Dn・Tswを除いた、リアクトル電流通流期間(1−Dn)Tswにおけるリアクトル電流iLの平均電流を用いて、母線電流ibusを精度良く補正できる。
さらに、入力電流演算部21は、キャリア周期Tswの((昇圧回路2Aの台数+1)/昇圧回路2Aの台数)倍の固定周期、あるいは、キャリア周期Tswの((2×昇圧回路の台数)+1)/(2×昇圧回路の台数))倍の固定周期、におけるサンプリングタイミングで母線電流ibusを検出する。そのため、各サンプリングタイミングの間の期間は、キャリア周期Tswの周期以上となる。このようにサンプリングタイミング間の期間を長くとることで、入力電流演算部21の演算負荷を低減することができる。
また、本実施の形態の昇圧回路2Aは、直列体4の上アームにダイオード3を備える。例えば、上アームにスイッチング素子を備える昇圧回路では、リアクトル電流不連続状態でリアクトル電流iLがゼロ以下になる場合、瞬時的に高圧側からの充電動作が生じ、直流母線側から電流が流入する。この充電動作による電流により、リアクトル電流iLのキャリア周期Tswあたりの平均値低下を招き、不要な損失を発生させる。本実施の形態では、上アームにダイオード3を備えることで、高圧の直流母線10P側からの電流流入を防止して、昇圧回路2Aにおける電力損失を抑制することができる。
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図9は、本発明の実施の形態2による電力変換装置において、リアクトル電流iLが不連続状態の昇圧回路(第1昇圧回路)を含む電力変換装置の動作特性を示す図である。実施の形態1に示した図6と電流特性は同等である。
本実施の形態2の電力変換装置の入力電流演算部21は、非通流率Dnが正である電流不連続状態の昇圧回路(第1昇圧回路)において、各サンプリングタイミングにおける各昇圧回路2Aのリアクトル電流iLの電流通流状態を判定する。そして、入力電流演算部21は、判定した電流通流状態に応じて、(29)式に用いるスイッチング信号Sを補正するものである。以下、図9を用いて具体的に説明する。
実施の形態1に示す電力変換装置100、100aと同様に、本実施の形態2における電力変換装置についても3つの直流電源1A、1B、1Cと、3つの昇圧回路2A、2B、2Cを有するとする。
例えば、入力電流演算部21は、図9に示す、複数のサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusの内から、sp1(top)、sp2(top)、sp3(top)において検出された母線電流ibusを入力電流ILの演算に用いるとする。
ここで、入力電流演算部21は、(5)式に基づき、各昇圧回路2A、2B、2Cの非通流率Dn1〜Dn3を演算する。この場合、(29)と(9)〜(11)式に示す行列Zは、以下(37)式となる。
Figure 0006771441
ここで、入力電流演算部21は、非通流率Dnが正の昇圧回路2A、2B(第1昇圧回路)において、各サンプリングタイミングsp1(top)、sp2(top)、sp3(top)におけるリアクトル電流iLの電流通流状態を判定する。
入力電流演算部21は、サンプリングタイミングsp1(top)において、各昇圧回路2A、2B、2C、のリアクトル電流iL1、iL2、iL3の電流通流状態は連続であるので「通流」と判定する。
入力電流演算部21は、サンプリングタイミングsp2(top)において、昇圧回路2B、2C、のリアクトル電流iL2、iL3の電流通流状態は連続であるので「通流」と判定し、昇圧回路2Aのリアクトル電流iL1は不連続であるので「非通流」と判定する。
入力電流演算部21は、サンプリングタイミングsp3(top)において、昇圧回路2A、2C、のリアクトル電流iL1、iL3の電流通流状態は連続であるので「通流」と判定し、昇圧回路2Bのリアクトル電流iL2は不連続状態であるので「非通流」と判定する。
ここで、入力電流演算部21は、電流通流状態が「非通流」であると判定されたサンプリングタイミングにおけるスイッチング信号Sを、電流不出力状態の「0」に補正する。
具体的には、サンプリングタイミングsp2(top)における昇圧回路2Aのスイッチング信号Sは、(37)式に示す行列式の2行1列目において電流出力状態の「1」となっている。入力電流演算部21は、この「1」を電流不出力状態の「0」に補正する。
また、サンプリングタイミングsp3(top)における昇圧回路2Bのスイッチング信号Sは、(37)式に示す行列式の3行2列目において電流出力状態の「1」となっている。入力電流演算部21は、この「1」を電流不出力状態の「0」に補正する。
こうして、上記(37)式に示す行列Zを含む(29)式は、以下(38)式に補正され、以下(39)、(40)式を得る。
ここで、実施の形態1では、電流通流期間(1−Dn)Tswあたりのリアクトル電流平均値ILSaveを、キャリア周期Tswあたりの平均値に換算するため、(29)式右辺に(1−Dn1)、(1−Dn2)、(1−Dn3)項を用いた。しかしながら、以下(38)式では、昇圧回路2A、昇圧回路2Bについては前記スイッチング信号Sの補正を行うため、1−Dn1、1−Dn2項を用いた補正は行わず、1−Dn1、1−Dn2項はそれぞれ1とおく。また、昇圧回路2Cは常にリアクトル電流連続状態であるため、非通流率Dn3は0である。
Figure 0006771441
Figure 0006771441
Figure 0006771441
入力電流演算部21は、実施の形態1に示した(13)式に基づく(22)〜(27)式の母線電流検出値ibussp1〜ibussp3の補正を行う。ここで、(22)〜(27)におけるスイッチング信号Sに対応するS1sp1(btm)〜S1sp3(btm)は、半導体スイッチング素子S1aがオンの時と、リアクトル電流iLが「非通流」状態時において0となり、その他の期間は1とする。
こうして、入力電流演算部21は、各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILを得る。
実施の形態1では、半導体スイッチング素子S1aがオフである時は、リアクトル電流iLの電流通流状態にかかわらず、(29)式で用いるスイッチング信号に対応するS1sp1〜S3sp3を、電流出力状態の「1」とした。本実施の形態の入力電流演算部21は、上記のように、電流通流状態が「非通流」であるサンプリングタイミングにおけるスイッチング信号Sを、入力電流ILの演算において電流不出力状態の「0」に補正するものである。
ここで、入力電流演算部21による、各昇圧回路2Aの電流通流状態の判定方法を説明する。入力電流演算部21は、各サンプリングタイミングにおける各昇圧回路2Aの電流通流状態の判定方法を判定する際に、実施の形態1に示した(20)式を用いる。
例えば、サンプリングタイミングsp2(top)における昇圧回路2Aの電流通流状態を判定する場合で説明する。
入力電流演算部21は、サンプリングタイミングsp2(top)の直前のキャリア1が最小になるタイミング(図9においてP1と示す)と、サンプリングタイミングsp2(top)との時間差H1を演算する。サンプリングタイミングが一定である場合、前記時間差H1は事前に設定可能である。そして入力電流演算部21は、サンプリングタイミングP1から、リアクトル電流iLがゼロに下がるまでの期間T1を、非通流率Dnを用いた(20)式により演算する。入力電流演算部21は、演算されたT1とH1との比較を行う。入力電流演算部21は、H1>T1の場合には、サンプリングタイミングsp2(top)において昇圧回路2Aは「非通流」であると判定し、H1<T1の場合には「通流」であると判定する。
上記のように構成された本実施の形態の電力変換装置によると、入力電流演算部21は、各昇圧回路2Aのスイッチング信号Sと、母線電流ibusとを用い、更に、各昇圧回路2Aの非通流率Dnを用いて各昇圧回路2Aの電流通流状態を判定して、各昇圧回路2Aの入力電流ILを演算する。これにより、実施の形態1と同様の効果を奏し、直流電源1Aの出力変化時にも、各昇圧回路2Aの入力電流ILを精度良く演算することができる。
こうして、入力電流演算部21は、各昇圧回路2Aの非通流率Dnを用いて各サンプリングタイミングにおける各昇圧回路2Aのリアクトル電流iLの電流通流状態を判定し、判定した電流通流状態に応じて、入力電流ILの演算に用いるスイッチング信号Sを補正する。このように、各昇圧回路2Aが直流母線10Pに対して電流を出力していない「非通流」である場合は、入力電流演算部にて用いられるスイッチング信号に対応するS1sp1〜S1sp3を、電流不出力状態に補正する。これにより、入力電流ILの演算誤差を低減することができるため、更に精度よく演算された入力電流ILを得ることができる。
また、スイッチング信号Sを補正する前の上記(37)式において、スイッチング信号Sに対応するS1sp1〜S1sp3から得られる行列Zの逆行列は導出できない。そのため、補正前の(37)式においては入力電流ILの演算は行えない。しかしながら、スイッチング信号Sを補正して得られた上記(38)式においては、S1sp1〜S1sp3による行列の逆行列が導出可能となる。こうして、入力電流ILの演算不可条件を緩和できる。
実施の形態3.
以下、本発明の実施の形態3を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図10は、本発明の実施の形態3による電力変換装置において、リアクトル電流不連続時における母線電流ibusを示す図である。実施の形態1に示した図8と電流特性は同等である。3台の昇圧回路2A、2B、2Cのうち、キャリア2とキャリア3に対応する2台の昇圧回路2B、2Cの昇圧動作が停止している状態で説明する。
本実施の形態3の電力変換装置の入力電流演算部21は、非通流率Dnが正の昇圧回路(第1昇圧回路)において、各サンプリングタイミングにおける電流通流状態に応じて、入力電流ILの演算において用いる母線電流ibusを選出するものである。
以下、図10を用いて具体的に説明する。
入力電流演算部21は、各サンプリングタイミングsp1(top)、sp1(btm)、sp2(top)、sp2(btm)、sp3(top、sp3(btm)において、昇圧回路2Aの電流通流状態を判定する。この判定は、実施の形態2に示した電流通流状態の判定方法を用いる。そして、入力電流演算部21は、電流通流状態が「通流」と判定されたサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusを選出して、入力電流ILの演算に用いる。電流通流状態が「通流」であるサンプリングタイミングは、図10においては、sp1(btm)、sp3(top)、sp2(btm)、sp1(top)である。
また、入力電流演算部21は、以下のように電流通流状態が「通流」であるサンプリングタイミングを選出してもよい。
入力電流演算部21は、第1電流検出器30により検出された複数のサンプリングタイミングにおける母線電流検出値ibusの内から、キャリア1が最少になるタイミングに近いサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusを用いる。
具体的には、キャリア1が最少になるサンプリングタイミングsp1(btm)に近いサンプリングタイミングsp3(top)、sp2(btm)、sp1(top)を選出する。
キャリア1が最少になるサンプリングタイミングsp1(btm)に近いサンプリングタイミングとは、半導体スイッチング素子S1aがオンとなりリアクトルL1にエネルギを蓄えた後、直流母線10Pにエネルギを放出している期間である。よって、キャリア1が最少になるサンプリングタイミングsp1(btm)に近いサンプリングタイミングにおける母線電流ibusを選出することで、リアクトル電流iLが「通流」、即ち、リアクトル電流通流期間(1−Dn)Tswにおいて検出された母線電流ibusを選出することになる。
上記のように構成された本実施の形態の電力変換装置によると、入力電流演算部21は、各昇圧回路2Aのスイッチング信号Sと、母線電流ibusと、各昇圧回路2Aの非通流率Dnを用いて、各昇圧回路2Aの入力電流ILを演算する。これにより、実施の形態1と同様の効果を奏し、直流電源1Aの出力変化時にも、各昇圧回路2Aの入力電流ILを精度良く演算することができる。
さらに入力電流演算部21は、リアクトル電流iLの電流通流期間(1−Dn)Tswにおいて検出された母線電流ibusを用い、電流非通流期間Dn・Tswにおいて検出された母線電流ibusを用いない制御とする。これにより、演算誤差を低減して、入力電流演算部21は、各昇圧回路2Aの入力電流ILを更に精度良く演算することができる。
実施の形態4.
以下、本発明の実施の形態4を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図11は、本発明の実施の形態1による電力変換装置の入力電流演算部21が有する、条件データ25の構成を示す図である。
図12は、図11に示した条件データ25の続きのデータである。
実施の形態1に示す電力変換装置100aと同様に、本実施の形態4における電力変換装置についても3つの直流電源1A、1B、1Cと、3つの昇圧回路2A、2B、2Cを有するとする。
本実施の形態の電力変換装置の入力電流演算部21は、第1電流検出器30が検出した複数のサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusの内から、条件データ25に指定されたサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusを入力電流ILの演算において用いる。
図11、12は、3台の昇圧回路2A、2B、2CをそれぞれCNV1〜3として、各昇圧回路2A、2B、2Cの通流率Dに応じた入力電流ILの演算可否をまとめたものである。そして、条件データ25には、各昇圧回路2A、2B、2Cの通流率Dと昇圧回路2A、2B、2Cの台数に応じた、入力電流ILの演算が可能なサンプリングタイミングが指定されている。
ここで、総合判定の○は入力電流ILが演算可能であり、▲は条件付きで演算可能であることを意味している。つまり、本実施の形態の入力電流演算部21は、条件付きではあるが、各昇圧回路2A、2B、2Cの動作条件によらず入力電流ILを演算できることが判る。
なお、総合判定が○の場合は、キャリア1〜キャリア3が、最大となるサンプリングタイミングで検出した母線電流ibusのみ、あるいは、最小となるサンプリングタイミングで検出した母線電流ibusのみを用いて入力電流ILを演算できる場合である。また、他の総合判定が〇となる場合として、キャリア1〜キャリア3が、最大あるいは最小となるサンプリングタイミングにおいて検出した母線電流ibusを組み合わせた場合等、不等間隔の周期で検出した母線電流ibusを用いて入力電流ILを演算できる場合である。
また、総合判定が▲の条件は、昇圧動作が停止している昇圧回路2Aが2台以上存在する場合であり、昇圧動作が停止している昇圧回路2Aの入力電流ILを区別できないが、昇圧動作が継続する昇圧回路2Aの入力電流ILは演算できることを意味している。
例えば、昇圧回路2A、2Bの2台の昇圧回路が停止しており、昇圧回路2Cのみが昇圧動作にあるとする。この場合、入力電流演算部21において演算された入力電流ILは、昇圧回路2Cの入力電流IL3については単独で演算される。昇圧動作が停止している昇圧回路2A、2Bの入力電流IL1、IL2については、IL1+IL2と合算された形で演算される。
以下、入力電流演算部21によるこの条件データ25を用いた入力電流ILの演算について説明する。
例えば、昇圧回路2Aの通流率が0%超過33%未満、昇圧回路2Bの通流率Dが0%超過33%未満、昇圧回路2Cの通流率Dが66%以上100%未満であるとする。この動作条件の昇圧回路2A、2B、2Cは、条件データ25において条件24番に相当する。条件24番において総合判定は〇となっているが、この場合、入力電流ILの演算において指定されるサンプリングタイミングは、sp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)である。
よって、入力電流演算部21は、各昇圧回路2A、2B、2Cの通流率D(通流率指令値D*)に基づいて、条件データ25に指定されたサンプリングタイミングsp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)において検出された母線電流ibusを用いて入力電流ILの演算を行う。
上記のように構成された本実施の形態の電力変換装置によると、入力電流演算部21は、各昇圧回路2Aのスイッチング信号Sと、母線電流ibusと、各昇圧回路2Aの非通流率Dnを用いて、各昇圧回路2Aの入力電流ILを演算する。これにより、実施の形態1と同様の効果を奏し、直流電源1Aの出力変化時にも、各昇圧回路2Aの入力電流ILを精度良く演算することができる。
さらに入力電流演算部21は、昇圧回路2Aの台数および各昇圧回路2Aの通流率D(通流率指令値D*)に基づいて、条件データ25に指定されたサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusを入力電流ILの演算に用いる。
これにより、(29)式を用いて入力電流ILの演算が可能なサンプリングタイミングにおける母線電流ibusのみを選出して、入力電流ILの演算において用いることができる。そのため、入力電流ILの演算過程において演算不可となる場合がなく、迅速且つ確実に入力電流ILを演算することができる。またこのように、入力電流ILの演算過程において演算不可となることがないため、母線電流ibusの再選出を行う必要がない。これにより、入力電流演算部21における処理負荷の低減が可能になる。
実施の形態5.
以下、本発明の実施の形態5を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図13は、本発明の実施の形態5による電力変換装置500の構成を示す構成図である。
図14は、本発明の実施の形態5による電力変換装置500において、昇圧回路を駆動するスイッチング信号を示す図である。
本実施の形態の電力変換装置500では、昇圧回路の構成と、この昇圧回路を駆動するスイッチング信号が実施の形態1と異なる。
図13に示すように、昇圧回路部502が備える各昇圧回路502Aは、直列体4の上アームおよび下アームにそれぞれ、半導体スイッチング素子S1a、S1bを有する。本実施の形態では、この半導体スイッチング素子S1a、S1bに、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effective Transistor)を用いる。
直列体4の下アームの半導体スイッチング素子S1aは、実施の形態1と同様に、三角波のキャリア1と通流率指令値D*との比較により生成されたスイッチング信号S1Uにより駆動される。
直列体4の上アームの半導体スイッチング素子S1bは、鋸波と非通流率Dnとの比較により生成された非通流期間パルスの立ち上がりにおいてオフとなり、スイッチング信号S1Uの立ち下がりにおいてオンとなるように生成されたスイッチング信号S1Dにより駆動される。
なお、この非通流期間パルスの生成において用いられる非通流率Dnには、(5)式より求められる非通流率推定値Dnhatを用いる。
図14に示すように、上アームの半導体スイッチング素子S1bは、下アームの半導体スイッチング素子S1aがオンとなっている期間と、リアクトル電流iLの電流非通流期間Dn・Tswとにおいてオフとなり、その他の期間においてオンとなる。
上記のように構成された本実施の形態の電力変換装置500によると、昇圧回路502Aの上アームの半導体スイッチング素子S1bは、リアクトル電流iLの電流非通流期間Dn・Tswにおいてオフとなるように制御される。これにより、リアクトル電流iLがゼロ以下になる期間において、高圧の直流母線10P側からの電流流入を防止することができる。こうして、昇圧回路502Aにおける電力損失を抑制して、高効率の電力変換装置500を提供することができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1A 直流電源、2A,2B,2C 昇圧回路、3 ダイオード、
10P,10N 直流母線、30 電流検出器、20 昇圧回路制御部(制御部)、
21 入力電流演算部(電流演算部)、25 条件データ、
100,100a,500 電力変換装置、S1a,S1b 半導体スイッチング素子。

Claims (19)

  1. それぞれ直流電源に接続され、インダクタンス素子および半導体スイッチング素子を有して前記直流電源の電圧を昇圧する複数の昇圧回路を、正負の直流母線間に並列接続して備え、前記直流母線を流れる母線電流を検出する電流検出器と、各前記昇圧回路の前記半導体スイッチング素子を制御する制御部と、各前記昇圧回路の前記インダクタンス素子を流れる前記昇圧回路ごとの入力電流を演算する電流演算部とを備え、
    前記制御部は、
    前記入力電流を制御する通流率指令値を生成し、該通流率指令値とキャリア波との比較により、前記昇圧回路ごとの前記半導体スイッチング素子を駆動するためのスイッチング信号を生成し、
    前記電流演算部は、
    前記昇圧回路ごとの前記スイッチング信号と、前記電流検出器で検出した前記母線電流と、前記昇圧回路ごとの、前記キャリア波のキャリア周期に対する前記インダクタンス素子における電流非通流期間の割合を示す非通流率と、を用いて前記入力電流を演算する、
    電力変換装置。
  2. 前記電流演算部は、
    前記昇圧回路の台数以上の複数の所定の取得タイミングにおいて検出された前記母線電流と、各前記取得タイミングにおける前記昇圧回路ごとの前記スイッチング信号と、前記昇圧回路ごとの前記非通流率と、を用いて前記入力電流を演算する、
    請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記電流演算部は、
    前記入力電流を、前記スイッチング信号と、各前記取得タイミングにおいて検出された前記母線電流と、前記昇圧回路ごとの前記非通流率と、を用いて行列で表し、前記入力電流を前記行列の行列式に基づいて演算する、
    請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記電流演算部は、
    前記昇圧回路ごとの前記非通流率を、前記昇圧回路ごとの前記通流率指令値と、各前記昇圧回路に入力される前記直流電源の電圧と、前記正負の直流母線間の母線電圧と、から演算する、
    請求項2または請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記電流演算部は、
    前記非通流率が正の前記昇圧回路である第1昇圧回路において、該昇圧回路の前記インダクタンス素子の各前記取得タイミングにおける電流通流状態を判定し、
    判定した前記電流通流状態に応じて、各前記取得タイミングにおける前記第1昇圧回路の前記スイッチング信号を、前記入力電流の演算において補正して用いる、
    請求項2に記載の電力変換装置。
  6. 前記電流演算部は、
    各前記取得タイミングにおける前記昇圧回路ごとの前記スイッチング信号を、前記直流母線に対して前記昇圧回路が電流出力状態時に1、電流不出力状態時に0として数値化して前記入力電流の演算において用いるものであり、
    前記電流通流状態が非通流である前記取得タイミングにおける前記スイッチング信号を、前記入力電流の演算において電流不出力状態時の0に補正して用いる、
    請求項5に記載の電力変換装置。
  7. 前記電流演算部は、
    前記非通流率が正の前記昇圧回路である第1昇圧回路において、該昇圧回路の前記インダクタンス素子の各前記取得タイミングにおける電流通流状態を判定し、
    判定した前記電流通流状態に基づいて選出した前記母線電流を、前記入力電流の演算に用いる、
    請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  8. 前記電流演算部は、
    前記キャリア周期と、前記昇圧回路ごとの前記通流率指令値と、前記第1昇圧回路ごとの前記非通流率と、を用いて前記第1昇圧回路の各前記取得タイミングにおける前記電流通流状態を判定する、
    請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  9. 前記電流演算部は、
    少なくとも最新の前記取得タイミングにおける前記母線電流を用いて、前記入力電流を演算する、
    請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  10. 前記電流演算部は、
    前記昇圧回路の台数および前記昇圧回路ごとの前記通流率指令値に応じた各前記取得タイミングを指定する条件データを有し、
    前記条件データに指定された各前記取得タイミングにおいて検出された前記母線電流を用いて、前記入力電流を演算する、
    請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  11. 前記電流演算部は、
    検出された前記母線電流を、各前記キャリア周期の電流通流期間における、前記インダクタンス素子のリプル電流に起因する電流変動を抑制するように補正して、前記入力電流の演算において用いる、
    請求項2から請求項10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  12. 前記電流演算部は、
    前記非通流率が0の前記昇圧回路である第2昇圧回路において、
    各前記第2昇圧回路に入力される前記直流電源の電圧と、前記正負の直流母線間の母線電圧と、前記昇圧回路ごとの前記インダクタンス素子のインダクタンス値と、を用いて、
    検出された前記母線電流を、前記リプル電流の電流変動を抑制するように補正して、前記入力電流の演算において用いる、
    請求項11に記載の電力変換装置。
  13. 前記電流演算部は、
    前記非通流率が正の前記昇圧回路である第1昇圧回路において、
    各前記第1昇圧回路に入力される前記直流電源の電圧と、前記正負の直流母線間の母線電圧と、前記昇圧回路ごとの前記インダクタンス素子のインダクタンス値と、前記昇圧回路ごとの前記通流率指令値とを用い、前記入力電流の最大値に基づいて、検出された前記母線電流を、前記リプル電流の電流変動を抑制するように補正して、前記入力電流の演算において用いる、
    請求項11または請求項12に記載の電力変換装置。
  14. 前記昇圧回路は、
    上アーム、下アームにそれぞれ前記半導体スイッチング素子を有する直列体を、前記正負の直流母線間に備え、
    前記制御部は、
    前記非通流率が正の前記昇圧回路である第1昇圧回路において、前記インダクタンス素子の前記電流非通流期間に、前記直列体の上アームの前記半導体スイッチング素子をオフ状態に制御する、
    請求項2から請求項13のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  15. 前記昇圧回路は、
    上アームにダイオードを有し、下アームに前記半導体スイッチング素子を有する直列体を、前記正負の直流母線間に備える、
    請求項2から請求項13のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  16. 前記昇圧回路ごとの前記キャリア波は、三角波であり、且つ360度を前記昇圧回路の台数で割った等間隔の位相差を互いに有するものであり、
    前記電流検出器は、
    前記昇圧回路の台数が偶数台のときは、
    前記キャリア波の前記キャリア周期の((前記昇圧回路の台数+1)/前記昇圧回路の台数)倍の固定周期における前記取得タイミングで前記母線電流を検出し、
    前記昇圧回路の台数が奇数台のときは、
    前記キャリア波の前記キャリア周期の((2×前記昇圧回路の台数)+1)/(2×前記昇圧回路の台数))倍の固定周期における前記取得タイミングで前記母線電流を検出する、
    請求項2から請求項15のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  17. 前記電流演算部は、
    前記直流電源の電圧および前記母線電圧の少なくとも一方に対して設定された電圧指令値を用いて、前記非通流率を演算する、
    請求項4に記載の電力変換装置。
  18. 各前記取得タイミングは、前記キャリア波が最大または最小になるタイミングの少なくとも一方である、
    請求項2から請求項17のいずれか1項に記載の電力変換装置。
  19. 前記直流電源の数は、前記昇圧回路の台数以下である、
    請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の電力変換装置。
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