JP6771441B2 - 電力変換装置 - Google Patents
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それぞれ直流電源に接続され、インダクタンス素子および半導体スイッチング素子を有して前記直流電源の電圧を昇圧する複数の昇圧回路を、正負の直流母線間に並列接続して備え、前記直流母線を流れる母線電流を検出する電流検出器と、各前記昇圧回路の前記半導体スイッチング素子を制御する制御部と、各前記昇圧回路の前記インダクタンス素子を流れる前記昇圧回路ごとの入力電流を演算する電流演算部とを備え、
前記制御部は、
前記入力電流を制御する通流率指令値を生成し、該通流率指令値とキャリア波との比較により、前記昇圧回路ごとの前記半導体スイッチング素子を駆動するためのスイッチング信号を生成し、
前記電流演算部は、
前記昇圧回路ごとの前記スイッチング信号と、前記電流検出器で検出した前記母線電流と、前記昇圧回路ごとの、前記キャリア波のキャリア周期に対する前記インダクタンス素子における電流非通流期間の割合を示す非通流率と、を用いて前記入力電流を演算する、
ものである。
以下、本発明の実施の形態1による電力変換装置100について図を用いて説明する。
図1は、本発明の実施の形態1による電力変換装置100の基本構成を示す構成図である。
図2は、図1に示す汎用的な構成の電力変換装置100において、直流電源に太陽電池を適用した場合の電力変換装置100aの構成を示す図である
図1を用いて電力変換装置100の基本構成を説明する。電力変換装置100は、直流電源部1と電力変換器50との間に接続され、直流電源部1からの電力を調整変換して電力変換器50に出力するものである。
電力変換装置100は、電力変換の対象である直流電源部1に接続される昇圧回路部2と、昇圧回路部2を制御する制御部としての昇圧回路制御部20とを備える。
昇圧回路部2は、直流電源部1の各直流電源1Aの台数に対応した複数台(n台)の昇圧回路2Aから構成される。各昇圧回路2Aは、各直流電源1Aの出力に接続され、昇圧回路制御部20の制御によって、各直流電源1Aの出力電圧を昇圧する。
電力変換器50は、変換器制御部60からの制御により、昇圧回路部2の出力である直流母線10P、10N間の直流電圧を、所望の直流電圧あるいは交流電圧に調整する。そして、電力変換器50は、調整した電圧を負荷71および電力系統を含む電源70に供給する。
各昇圧回路2Aは、コンデンサC1と、インダクタンス素子としてのリアクトルL1と、上アームにダイオード3を有し、下アームに半導体スイッチング素子S1aを有する直列体4、とを備える。
各半導体スイッチング素子S1aには、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、などに代表される自己消弧形の半導体スイッチング素子が使用される。各半導体スイッチング素子S1aには、逆並列にフリーホイールダイオードが接続される。
昇圧回路制御部20は、各直流電源1Aの出力電圧を昇圧回路2Aで調整するために、各昇圧回路2Aの入力電圧Vinおよび各昇圧回路2Aの入力電流ILを用いて各昇圧回路2Aの半導体スイッチング素子S1aのオン/オフ制御を行う。
入力電流演算部21は、各昇圧回路2AのリアクトルL1を流れる、各昇圧回路2Aの入力電流ILを演算する。この入力電流演算部21における演算については後で具体的に説明する。
電圧制御回路22は、第1電圧検出器31により検出される各昇圧回路2Aの入力電圧Vinと、図示しない外部の上位制御装置等から入力される各昇圧回路2Aに対する入力電圧指令Vin*とに基づいて、各直流電源1Aを制御する電圧制御信号22aを生成する。
なお、直流電源1Aが太陽電池のような可変電圧源ではなく、電圧の調整ができない定電圧源の場合は電圧制御回路22を省き、入力電圧指令Vin*の代わりにリアクトル電流iLの指令値に相当する電圧制御信号22aを外部より入力する形の構成を取ってもよい。
直流電源1Aが電圧の調整ができない定電圧源であり、電圧制御回路22を省き、入力電圧指令Vin*の代わりにリアクトル電流iLの指令値に相当する電圧制御信号22aを外部より入力する構成の場合では、昇圧回路制御部20は各昇圧回路2Aの入力電流ILを一定に制御する。
また、1台の直流電源1Aに対して1台の昇圧回路2Aが接続される構成を示しているが、この構成に限定するものではない。例えば、直流電源1Aの台数を昇圧回路2Aの台数より少くして、1台の直流電源1Aに対して複数台の昇圧回路2Aが接続される構成でもよい。
また、昇圧回路制御部20が、その内部に入力電流演算部21を備える構成を示したが、昇圧回路制御部20の外部に入力電流演算部21を設ける構成としてもよい。
母線コンデンサ11の電圧である直流母線10P、10N間の母線電圧Vbusは、第2電圧検出器32により検出されて、電力変換器50の変換器制御部60に入力される。
電力変換器50の変換器制御部60は、検出された母線電圧Vbusと母線電圧指令Vbus*とに基づいて電力変換器50を制御し、母線電圧Vbusを一定に制御する。そして変換器制御部60は、電力変換器50を制御することで、母線電圧Vbusを所望の電圧に変換して、負荷71および電源70に供給する。
電力変換装置100aは、直流電源1A、1B、1Cとしての3つの太陽電池にそれぞれ接続される3つの昇圧回路2A、2B、2Cと、昇圧回路制御部20aとを備える。図2において直流電源1A、1B、1C、昇圧回路2A、2B、2Cと、それぞれを区別して示す。
なお、各直流電源1A、1B、1C、各昇圧回路2A、2B、2C、のそれぞれを区別する必要がない場合は、直流電源1A、昇圧回路2Aとして記載する。
この電力変換装置100aにおいて、図1に示した電力変換装置100と同一、あるいは相当部分には同一の符号を付す。また、電力変換器50、変換器制御部60は、図1に比較して内部構成を具体的に示した。また、昇圧回路制御部20aは、図1に示した汎用的な構成の昇圧回路制御部20を、直流電源1Aに太陽電池を適用した場合に対応させたものである。
電力変換器50は、複数の半導体スイッチング素子を有するインバータ51、リアクトル52、および出力コンデンサ53とから構成される。さらに、電力変換器50は、電力変換器50の出力電流Ioutを検出する第2電流検出器33を備える。
インバータ51は、変換器制御部60から出力される半導体スイッチング素子の制御用スイッチング信号63aにより制御されて、直流母線10P、10N間の母線電圧Vbusを、以下に説明する母線電圧指令Vbus*と一致する直流電圧に調整する。
変換器制御部60は、母線電圧制御回路61と、出力電流制御回路62と、PWM変調回路63とを備える。
なお、母線電圧指令Vbus*は、変換器制御部60により、電源70の電圧実効値、電圧振幅、周波数変化等の状況に基づいて生成される。
PWM変調回路63は、出力電流制御回路62からの通流率指令値62aに基づいて、電力変換器50のインバータ51の半導体スイッチング素子の制御用スイッチング信号63aを生成して、電力変換器50に出力する。
昇圧回路制御部20aは、入力電流演算部21と、MPPT制御回路22Xと、PV電圧制御回路22Yと、電流制御回路23と、PWM変調回路24とを備える。
前述したように、この昇圧回路制御部20aは、図1に示す昇圧回路制御部20を、直流電源1Aに太陽電池を用いた場合に対応させたものである。
入力電流演算部21、電流制御回路23、PWM変調回路24は、図1の電力変換装置100と同じである。
PV電圧制御回路22Yは、MPPT制御回路22Xから入力電圧指令Vin*が入力される構成となっている点以外は、図1に示した電圧制御回路22と同じである。よって、図1の電力変換装置100と異なるMPPT制御回路22Xについて説明する。
このように直流電源が太陽電池の場合は、昇圧回路2A、2B、2Cの入力電圧Vinと、演算された各入力電流ILとを用いて、MPPT制御を行える。そのため、図1に示したような、外部の上位制御装置等から与えられる入力電圧指令Vin*は必要ない。
なお、前記PV電圧制御回路22Yが通流率指令値D*を生成し、生成した通流率指令値D*をPWM変調回路24へ入力する構成とすることで、電流制御回路23を省いた構成を取ってもよい。
この入力電流演算部21における制御の基となる、各昇圧回路2Aの入力電流ILの演算理論について説明する。
図3は、リアクトルL1を流れるリアクトル電流iLが不連続状態の昇圧回路の、リアクトル電流iLを示す図である。
図3において、昇圧回路2Aの通流率Dに対応するスイッチング素子S1aの、キャリア周期Tswにおけるオン期間をD・Tswとして示し、キャリア周期TswにおけるリアクトルL1の電流非通流期間をDn・Tswとして示している。
なお、ILCaveは、キャリア周期Tswあたりのリアクトル電流iLの平均値である。
ここで、下記(1)式の右辺第2項の分子は半導体スイッチング素子S1aのオン期間D・Tswにおける電流上昇分の2分の1を表している。
なお、リアクトル電流iLの連続時においては、前記半導体スイッチング素子S1aのオン期間D・Tswにおける電流上昇量と半導体スイッチング素子S1aのオフ期間における電流下降量は一致するため、下記(1)式の非通流率Dnは0となる。
第1電圧検出器31による昇圧回路2Aの入力電圧検出値を入力電圧Vin、第2電圧検出器32による直流母線10P、10N間の電圧検出値を母線電圧Vbusとする。この場合、リアクトル電流連続時の通流率Dccmは以下(2)式で表せる。
なお、非通流率推定値Dnhatは、このように式(5)を用いて推定可能である。しかしながら、リアクトル電流iLの電流非通流期間Dn・Tswをリアクトル電流iLの経路において直接検出できる構成の場合は、電流非通流期間Dn・Tswの検出値から非通流率推定値Dnhatを求めてもよい。電流非通流期間Dn・Tswを直接検出する方法として、例えば安価で低精度の電流検出器を各昇圧回路2Aに設ける等の方法がある。
式、(4)式に示した非通流率Dnと一律にDnと表記する。
なお、演算された非通流率Dnが正の場合は、リアクトル電流iLが不連続状態の昇圧回路(請求項における第1昇圧回路)である。また、演算された非通流率Dnが0の場合は、リアクトル電流iLが連続状態の昇圧回路(請求項における第2昇圧回路)である。
図5は、図4に示す特定のサンプリングタイミングにおける、各昇圧回路2A、2B、2Cの動作を示す図である。
図6は、本発明の実施の形態1による電力変換装置100aにおいて、リアクトル電流不連続状態の昇圧回路(第1昇圧回路)を有する電力変換装置100aの動作特性を示す図である。
図7は、本発明の実施の形態1による電力変換装置100aにおいて、リアクトル電流連続時における母線電流ibusを示す図である。
図8は、本発明の実施の形態1による電力変換装置100aにおいて、リアクトル電流不連続時における母線電流ibusを示す図である。
サンプリングタイミングは、第1電流検出器30により母線電流ibusの検出を行う所定の取得タイミングである。
スイッチング信号S1、S2、S3は、それぞれ昇圧回路2A、2B、2Cの半導体スイッチング素子S1aに対するスイッチング信号Sである。
リアクトル電流iL1、iL2、iL3は、各昇圧回路2A、2B、2CのリアクトルL1を流れるリアクトル電流iLである。
なお、本実施の形態の説明にて用いる通流率33%、66%は、100%/3=33.33・・・%、100%×2/3=66.66・・・%を簡単化して表記した値である。
また、各キャリア波は三角波である。各キャリア波は、360度(=2π[rad])を昇圧回路の台数(n台)で割った等間隔の位相差を互いに有する。本実施の形態では、各キャリア波の位相差は、360度/3=120度となる。
第1電流検出器30は、昇圧回路の台数が偶数台のときは、キャリア周期Tswの((昇圧回路の台数+1)/昇圧回路の台数)倍の固定周期におけるサンプリングタイミングで母線電流ibusの検出を行う。
また、第1電流検出器30は、昇圧回路の台数が奇数台のときは、キャリア周期Tswの((2×昇圧回路の台数)+1)/(2×昇圧回路の台数))倍の固定周期におけるサンプリングタイミングで母線電流ibusの検出を行う。
本実施の形態の電力変換装置100aは、3台の昇圧回路をもつため上記奇数台の時の固定周期でサンプリングを行う。
図4、図6において示す6つのサンプリングタイミング(sp1(top)、sp1(btm)、sp2(top)、sp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm))において検出された母線電流ibusの内から、任意に選出した3つの母線電流ibusの値が、(6)式におけるibussp1、ibussp2、ibussp3として用いられる。
例えば、各キャリア波が最大になるサンプリングタイミング(sp1(top)、sp2(top)、sp3(top))において検出された母線電流ibusのみを用いてもよい。また例えば、各キャリア波が最小になるサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusのみを用いてもよい。あるいは、各キャリア波が最大、最小になるサンプリングタイミングにおいてそれぞれ検出された母線電流ibusを組み合わせて用いてもよい。
例えば、サンプリングタイミングsp1において、各昇圧回路2A、2B、2Cの半導体スイッチング素子S1aがオンの場合、昇圧回路2A、2B、2Cは直流母線10Pに対して電流不出力状態となり、この場合、S1sp1、S2sp1、S3sp1は「0」と置く。また例えば、サンプリングタイミングsp1において、各昇圧回路2A、2B、2Cの半導体スイッチング素子S1aがオフの場合、昇圧回路2A、2B、2Cのリアクトル電流iLは、直流母線10Pに対して電流出力状態となり、この場合、S1sp1、S2sp1、S3sp1は「1」と置く。
この場合、サンプリングタイミングsp1(top)において、昇圧回路2Aのスイッチング信号S1はオフであり、電流出力状態であるのでS1sp1は「1」となる。また、昇圧回路2Bのスイッチング信号S2はオフであり、電流出力状態であるのでS2sp1は「1」となる。また、昇圧回路2Cのスイッチング信号S3はオンであり、電流不出力状態であるのでS3sp1は「0」となる。
即ち、リアクトル電流瞬時値iL1sp1〜iL3sp3を、上記リプル電流およびリアクトル電流不連続性による電流変動の影響を除いた、各キャリア周期Tswのリアクトル電流通流期間におけるリアクトル電流平均値ILSave(IL1Save〜IL3Save)と、瞬時電流と前記電流平均値ILSaveとの差分ΔiL(ΔiL1sp1〜ΔiL3sp3)と、に分けて置き換える。これにより(6)式は以下(7)式に変換される。
こうして、リアクトル電流通流期間におけるリアクトル電流平均値ILSaveは、母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3と、スイッチング信号Sのオン/オフ情報とを用いて演算できる。
なお、以下の母線電流補正値Ibussp1〜Ibussp3の導出過程において、各昇圧回路2A、2B、2CのリアクトルL1の、インダクタンス値としてのリアクトル値Lを用いるが、このリアクトル値Lには設計値を用いる。
ここで、母線電流検出値ibussp1と母線電流補正値Ibussp1を代表例として説明する。(8)式より、母線電流検出値ibussp1と母線電流補正値Ibussp1との関係は、以下(12)式と表せる。
(12)式において、昇圧回路2B、2Cの昇圧動作が停止しているとする。そのため、ΔiL2sp1とΔiL3sp3はゼロとなり、(12)式を以下(13)式とみなすことができる。なお、(12)式の残りの項のS2sp1・ΔiL2sp1、S3sp1・ΔiL13sp1は、以下にて説明する手順と同様に補正できるため説明を省略する。
図7では、3台の昇圧回路2A、2B、2Cのうち、キャリア2とキャリア3に対応する2台の昇圧回路2B、2Cの昇圧動作が停止している状態を示す。そして、キャリア1に対応する1台の昇圧回路2Aのリアクトル電流iLが電流連続状態で動作する条件の時の、母線電流ibusとリアクトル電流iLの代表波形を示す。
図7に示すように、リアクトル電流iLには、半導体スイッチング素子S1aの駆動による、昇圧回路2Aの入力平均電流を中心に変動するリプル電流が生じている。
なお、図7に示す各サンプリングタイミングsp1(top)〜sp3(btm)の周期は、図4に示したサンプリングタイミングの周期より便宜上短くしている。
図7において、sp1(top)とsp1(btm)におけるリアクトル電流iLの値は、リアクトル電流iLのキャリア周期Tswあたりの平均値を示す。よって、リアクトル電流連続時においては、(13)式の右辺第二項は、sp1(top)の値を補正量ゼロの基準にして補正値を設定する。
また、キャリア2に対応する昇圧回路はsp2(top)を補正量ゼロの基準とし、キャリア3に対応する昇圧回路はsp3(top)を補正量ゼロの基準とする。
図8は、図7のリアクトル電流連続時と同様に、3台の昇圧回路2A、2B、2Cのうち、キャリア2とキャリア3に対応する2台の昇圧回路2B、2Cの昇圧動作が停止している状態を示す。そして、キャリア1に対応する1台の昇圧回路2Aのリアクトル電流iL1が電流不連続状態で動作する条件の時の、母線電流ibusとリアクトル電流iLの代表波形を示す。リアクトル電流iLには、半導体スイッチング素子S1aの駆動によるリプル電流が生じている。
図8において、ΔiL2sp1とΔiL3sp3は対象の昇圧回路の昇圧動作が停止しているためゼロである。よって、前述した図7を用いた説明と同様に(12)式を(13)式とみなすことができる。
ここで、図8に示したsp1(btm)からリアクトル電流iLがゼロに下がるまでの期間T1は、非通流率Dnを用いて以下(20)式で表せる。
上記(20)、(21)式に示した特性に基づいて、(20)式右辺第一項に示した期間から後の期間における、(21)式左辺第二項に示した電流減少特性を考慮することで、検出された母線電流ibusの補正を行う。
即ち、キャリア1の最小(sp1(btm))のタイミングから、(20)式右辺第一項に示す期間(D/2)Tsw分進んだタイミングは、リアクトル電流iLが最大になるタイミングである。そして、(21)式に示した電流減少特性より、(21)式の左辺第一項の値であるリアクトル電流iLの最大値の半分(sp1(btm)におけるリアクトル電流iL)は、リアクトル電流通流期間(1−Dn)Tswにおける平均電流を意味する。
このように、上記(29)式は、リアクトル電流連続時、不連続時の両場合に対応した、各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILの演算式である。
入力電流演算部21は、上記(29)式に示す関係と、(9)〜(11)式に示した逆行列を用いて、入力電流ILの演算を行う。
(29)式と(9)〜(11)式に示すs1sp1〜s3sp3に対応するサンプリングタイミングsp1、sp2、sp3を、それぞれ図4に示すsp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)とする。この場合、(29)式と(9)〜(11)式はそれぞれ、以下(30)〜(32)式となる。
ここで、入力電流演算部21は、(5)式に基づき、各昇圧回路2A、2B、2Cの非通流率Dn1〜Dn3を演算する。図4に示すように、各昇圧回路2A、2B、2Cは常にリアクトル電流連続状態であるため、演算された非通流率Dn1〜Dn3は0となる。
こうして、入力電流演算部21は、上記(32)式に示す行列の行列式により、キャリア周期Tswあたりのリアクトル電流平均値ILCave、即ち、各昇圧回路2A、2B、2Cのキャリア周期Tswあたりの入力電流ILの平均値を演算する。
(29)式と(9)〜(11)式に示すs1sp1〜s3sp3に対応するサンプリングタイミングsp1、sp2、sp3を、それぞれ図6に示すsp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)とする。この場合、(29)式と(9)〜(11)式はそれぞれ、以下(33)〜(35)式となる。
ここで、入力電流演算部21は、(5)式に基づき、各昇圧回路2A、2B、2Cの非通流率Dn1〜Dn3を演算する。昇圧回路2Cは常にリアクトル電流連続状態であるため、演算された非通流率Dn3は0となる。ここで、昇圧回路2A、2Bの非通流率Dn1、Dn2についても入力電流演算部21により演算されて値が出ているが、便宜上以下(33)式ではDn1、Dn2として示す。
こうして、入力電流演算部21は、上記(35)式に示す行列の行列式により、キャリア周期Tswあたりのリアクトル電流平均値ILCave、即ち、各昇圧回路2A、2B、2Cのキャリア周期Tswあたりの入力電流ILの平均値を演算する。
例えば、図4、図6に示す特性の電力変換装置では、各キャリア波が最大になるタイミング(sp1(top)、sp2(top)、sp3(top))において検出した母線電流ibusのみを用いた場合、あるいは、各キャリア波が最小になるタイミング(sp1(btm)、sp2(btm)、sp3(btm)において検出した母線電流ibusのみを用いた場合に(11)式が成立しない。この場合、入力電流演算部21は、各キャリア波が、最大になるタイミングと最小になるタイミングにおいて検出された母線電流値を組み合わせて用いても良い。このように、入力電流演算部21は、(11)式が成立するようなサンプリングタイミングにおける母線電流ibusを選出して演算を行う。
例えば、直流電源1Aが定電圧源である場合は、この定電圧源の電圧指令値を、(5)式における入力電圧Vinとして用いることができる。また、例えば、母線電圧Vbusが、他の電力変換器による定電圧制御により制御されている場合は、この母線電圧に対する電圧指令値を、(5)式における母線電圧Vbusとして用いることができる。
以下、本発明の実施の形態2を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図9は、本発明の実施の形態2による電力変換装置において、リアクトル電流iLが不連続状態の昇圧回路(第1昇圧回路)を含む電力変換装置の動作特性を示す図である。実施の形態1に示した図6と電流特性は同等である。
例えば、入力電流演算部21は、図9に示す、複数のサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusの内から、sp1(top)、sp2(top)、sp3(top)において検出された母線電流ibusを入力電流ILの演算に用いるとする。
ここで、入力電流演算部21は、(5)式に基づき、各昇圧回路2A、2B、2Cの非通流率Dn1〜Dn3を演算する。この場合、(29)と(9)〜(11)式に示す行列Zは、以下(37)式となる。
入力電流演算部21は、サンプリングタイミングsp1(top)において、各昇圧回路2A、2B、2C、のリアクトル電流iL1、iL2、iL3の電流通流状態は連続であるので「通流」と判定する。
入力電流演算部21は、サンプリングタイミングsp2(top)において、昇圧回路2B、2C、のリアクトル電流iL2、iL3の電流通流状態は連続であるので「通流」と判定し、昇圧回路2Aのリアクトル電流iL1は不連続であるので「非通流」と判定する。
入力電流演算部21は、サンプリングタイミングsp3(top)において、昇圧回路2A、2C、のリアクトル電流iL1、iL3の電流通流状態は連続であるので「通流」と判定し、昇圧回路2Bのリアクトル電流iL2は不連続状態であるので「非通流」と判定する。
具体的には、サンプリングタイミングsp2(top)における昇圧回路2Aのスイッチング信号Sは、(37)式に示す行列式の2行1列目において電流出力状態の「1」となっている。入力電流演算部21は、この「1」を電流不出力状態の「0」に補正する。
また、サンプリングタイミングsp3(top)における昇圧回路2Bのスイッチング信号Sは、(37)式に示す行列式の3行2列目において電流出力状態の「1」となっている。入力電流演算部21は、この「1」を電流不出力状態の「0」に補正する。
こうして、上記(37)式に示す行列Zを含む(29)式は、以下(38)式に補正され、以下(39)、(40)式を得る。
ここで、実施の形態1では、電流通流期間(1−Dn)Tswあたりのリアクトル電流平均値ILSaveを、キャリア周期Tswあたりの平均値に換算するため、(29)式右辺に(1−Dn1)、(1−Dn2)、(1−Dn3)項を用いた。しかしながら、以下(38)式では、昇圧回路2A、昇圧回路2Bについては前記スイッチング信号Sの補正を行うため、1−Dn1、1−Dn2項を用いた補正は行わず、1−Dn1、1−Dn2項はそれぞれ1とおく。また、昇圧回路2Cは常にリアクトル電流連続状態であるため、非通流率Dn3は0である。
こうして、入力電流演算部21は、各昇圧回路2A、2B、2Cの入力電流ILを得る。
例えば、サンプリングタイミングsp2(top)における昇圧回路2Aの電流通流状態を判定する場合で説明する。
以下、本発明の実施の形態3を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図10は、本発明の実施の形態3による電力変換装置において、リアクトル電流不連続時における母線電流ibusを示す図である。実施の形態1に示した図8と電流特性は同等である。3台の昇圧回路2A、2B、2Cのうち、キャリア2とキャリア3に対応する2台の昇圧回路2B、2Cの昇圧動作が停止している状態で説明する。
以下、図10を用いて具体的に説明する。
入力電流演算部21は、第1電流検出器30により検出された複数のサンプリングタイミングにおける母線電流検出値ibusの内から、キャリア1が最少になるタイミングに近いサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusを用いる。
具体的には、キャリア1が最少になるサンプリングタイミングsp1(btm)に近いサンプリングタイミングsp3(top)、sp2(btm)、sp1(top)を選出する。
以下、本発明の実施の形態4を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図11は、本発明の実施の形態1による電力変換装置の入力電流演算部21が有する、条件データ25の構成を示す図である。
図12は、図11に示した条件データ25の続きのデータである。
本実施の形態の電力変換装置の入力電流演算部21は、第1電流検出器30が検出した複数のサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusの内から、条件データ25に指定されたサンプリングタイミングにおいて検出された母線電流ibusを入力電流ILの演算において用いる。
ここで、総合判定の○は入力電流ILが演算可能であり、▲は条件付きで演算可能であることを意味している。つまり、本実施の形態の入力電流演算部21は、条件付きではあるが、各昇圧回路2A、2B、2Cの動作条件によらず入力電流ILを演算できることが判る。
例えば、昇圧回路2A、2Bの2台の昇圧回路が停止しており、昇圧回路2Cのみが昇圧動作にあるとする。この場合、入力電流演算部21において演算された入力電流ILは、昇圧回路2Cの入力電流IL3については単独で演算される。昇圧動作が停止している昇圧回路2A、2Bの入力電流IL1、IL2については、IL1+IL2と合算された形で演算される。
例えば、昇圧回路2Aの通流率が0%超過33%未満、昇圧回路2Bの通流率Dが0%超過33%未満、昇圧回路2Cの通流率Dが66%以上100%未満であるとする。この動作条件の昇圧回路2A、2B、2Cは、条件データ25において条件24番に相当する。条件24番において総合判定は〇となっているが、この場合、入力電流ILの演算において指定されるサンプリングタイミングは、sp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)である。
よって、入力電流演算部21は、各昇圧回路2A、2B、2Cの通流率D(通流率指令値D*)に基づいて、条件データ25に指定されたサンプリングタイミングsp2(btm)、sp3(top)、sp3(btm)において検出された母線電流ibusを用いて入力電流ILの演算を行う。
これにより、(29)式を用いて入力電流ILの演算が可能なサンプリングタイミングにおける母線電流ibusのみを選出して、入力電流ILの演算において用いることができる。そのため、入力電流ILの演算過程において演算不可となる場合がなく、迅速且つ確実に入力電流ILを演算することができる。またこのように、入力電流ILの演算過程において演算不可となることがないため、母線電流ibusの再選出を行う必要がない。これにより、入力電流演算部21における処理負荷の低減が可能になる。
以下、本発明の実施の形態5を、上記実施の形態1と異なる箇所を中心に図を用いて説明する。上記実施の形態1と同様の部分は同一符号を付して説明を省略する。
図13は、本発明の実施の形態5による電力変換装置500の構成を示す構成図である。
図14は、本発明の実施の形態5による電力変換装置500において、昇圧回路を駆動するスイッチング信号を示す図である。
図13に示すように、昇圧回路部502が備える各昇圧回路502Aは、直列体4の上アームおよび下アームにそれぞれ、半導体スイッチング素子S1a、S1bを有する。本実施の形態では、この半導体スイッチング素子S1a、S1bに、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effective Transistor)を用いる。
直列体4の上アームの半導体スイッチング素子S1bは、鋸波と非通流率Dnとの比較により生成された非通流期間パルスの立ち上がりにおいてオフとなり、スイッチング信号S1Uの立ち下がりにおいてオンとなるように生成されたスイッチング信号S1Dにより駆動される。
なお、この非通流期間パルスの生成において用いられる非通流率Dnには、(5)式より求められる非通流率推定値Dnhatを用いる。
10P,10N 直流母線、30 電流検出器、20 昇圧回路制御部(制御部)、
21 入力電流演算部(電流演算部)、25 条件データ、
100,100a,500 電力変換装置、S1a,S1b 半導体スイッチング素子。
Claims (19)
- それぞれ直流電源に接続され、インダクタンス素子および半導体スイッチング素子を有して前記直流電源の電圧を昇圧する複数の昇圧回路を、正負の直流母線間に並列接続して備え、前記直流母線を流れる母線電流を検出する電流検出器と、各前記昇圧回路の前記半導体スイッチング素子を制御する制御部と、各前記昇圧回路の前記インダクタンス素子を流れる前記昇圧回路ごとの入力電流を演算する電流演算部とを備え、
前記制御部は、
前記入力電流を制御する通流率指令値を生成し、該通流率指令値とキャリア波との比較により、前記昇圧回路ごとの前記半導体スイッチング素子を駆動するためのスイッチング信号を生成し、
前記電流演算部は、
前記昇圧回路ごとの前記スイッチング信号と、前記電流検出器で検出した前記母線電流と、前記昇圧回路ごとの、前記キャリア波のキャリア周期に対する前記インダクタンス素子における電流非通流期間の割合を示す非通流率と、を用いて前記入力電流を演算する、
電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記昇圧回路の台数以上の複数の所定の取得タイミングにおいて検出された前記母線電流と、各前記取得タイミングにおける前記昇圧回路ごとの前記スイッチング信号と、前記昇圧回路ごとの前記非通流率と、を用いて前記入力電流を演算する、
請求項1に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記入力電流を、前記スイッチング信号と、各前記取得タイミングにおいて検出された前記母線電流と、前記昇圧回路ごとの前記非通流率と、を用いて行列で表し、前記入力電流を前記行列の行列式に基づいて演算する、
請求項2に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記昇圧回路ごとの前記非通流率を、前記昇圧回路ごとの前記通流率指令値と、各前記昇圧回路に入力される前記直流電源の電圧と、前記正負の直流母線間の母線電圧と、から演算する、
請求項2または請求項3に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記非通流率が正の前記昇圧回路である第1昇圧回路において、該昇圧回路の前記インダクタンス素子の各前記取得タイミングにおける電流通流状態を判定し、
判定した前記電流通流状態に応じて、各前記取得タイミングにおける前記第1昇圧回路の前記スイッチング信号を、前記入力電流の演算において補正して用いる、
請求項2に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
各前記取得タイミングにおける前記昇圧回路ごとの前記スイッチング信号を、前記直流母線に対して前記昇圧回路が電流出力状態時に1、電流不出力状態時に0として数値化して前記入力電流の演算において用いるものであり、
前記電流通流状態が非通流である前記取得タイミングにおける前記スイッチング信号を、前記入力電流の演算において電流不出力状態時の0に補正して用いる、
請求項5に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記非通流率が正の前記昇圧回路である第1昇圧回路において、該昇圧回路の前記インダクタンス素子の各前記取得タイミングにおける電流通流状態を判定し、
判定した前記電流通流状態に基づいて選出した前記母線電流を、前記入力電流の演算に用いる、
請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記キャリア周期と、前記昇圧回路ごとの前記通流率指令値と、前記第1昇圧回路ごとの前記非通流率と、を用いて前記第1昇圧回路の各前記取得タイミングにおける前記電流通流状態を判定する、
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
少なくとも最新の前記取得タイミングにおける前記母線電流を用いて、前記入力電流を演算する、
請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記昇圧回路の台数および前記昇圧回路ごとの前記通流率指令値に応じた各前記取得タイミングを指定する条件データを有し、
前記条件データに指定された各前記取得タイミングにおいて検出された前記母線電流を用いて、前記入力電流を演算する、
請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
検出された前記母線電流を、各前記キャリア周期の電流通流期間における、前記インダクタンス素子のリプル電流に起因する電流変動を抑制するように補正して、前記入力電流の演算において用いる、
請求項2から請求項10のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記非通流率が0の前記昇圧回路である第2昇圧回路において、
各前記第2昇圧回路に入力される前記直流電源の電圧と、前記正負の直流母線間の母線電圧と、前記昇圧回路ごとの前記インダクタンス素子のインダクタンス値と、を用いて、
検出された前記母線電流を、前記リプル電流の電流変動を抑制するように補正して、前記入力電流の演算において用いる、
請求項11に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記非通流率が正の前記昇圧回路である第1昇圧回路において、
各前記第1昇圧回路に入力される前記直流電源の電圧と、前記正負の直流母線間の母線電圧と、前記昇圧回路ごとの前記インダクタンス素子のインダクタンス値と、前記昇圧回路ごとの前記通流率指令値とを用い、前記入力電流の最大値に基づいて、検出された前記母線電流を、前記リプル電流の電流変動を抑制するように補正して、前記入力電流の演算において用いる、
請求項11または請求項12に記載の電力変換装置。 - 前記昇圧回路は、
上アーム、下アームにそれぞれ前記半導体スイッチング素子を有する直列体を、前記正負の直流母線間に備え、
前記制御部は、
前記非通流率が正の前記昇圧回路である第1昇圧回路において、前記インダクタンス素子の前記電流非通流期間に、前記直列体の上アームの前記半導体スイッチング素子をオフ状態に制御する、
請求項2から請求項13のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記昇圧回路は、
上アームにダイオードを有し、下アームに前記半導体スイッチング素子を有する直列体を、前記正負の直流母線間に備える、
請求項2から請求項13のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記昇圧回路ごとの前記キャリア波は、三角波であり、且つ360度を前記昇圧回路の台数で割った等間隔の位相差を互いに有するものであり、
前記電流検出器は、
前記昇圧回路の台数が偶数台のときは、
前記キャリア波の前記キャリア周期の((前記昇圧回路の台数+1)/前記昇圧回路の台数)倍の固定周期における前記取得タイミングで前記母線電流を検出し、
前記昇圧回路の台数が奇数台のときは、
前記キャリア波の前記キャリア周期の((2×前記昇圧回路の台数)+1)/(2×前記昇圧回路の台数))倍の固定周期における前記取得タイミングで前記母線電流を検出する、
請求項2から請求項15のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記電流演算部は、
前記直流電源の電圧および前記母線電圧の少なくとも一方に対して設定された電圧指令値を用いて、前記非通流率を演算する、
請求項4に記載の電力変換装置。 - 各前記取得タイミングは、前記キャリア波が最大または最小になるタイミングの少なくとも一方である、
請求項2から請求項17のいずれか1項に記載の電力変換装置。 - 前記直流電源の数は、前記昇圧回路の台数以下である、
請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の電力変換装置。
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