JP6769290B2 - ポリエステル樹脂組成物、これを含む光反射体用部品および光反射体 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物、これを含む光反射体用部品および光反射体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂組成物、これを含む光反射体用部品および光反射体に関する。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、射出成形性、機械特性、耐熱性、電気特性および耐薬品性などで優れた特性を有し、自動車部品、機械部品、電気部品および通信部品などの分野で射出成形品として広く利用されている。さらに、金型転写性にも優れるため、特に良好な外観が求められる自動車のエクステンションなどに適用されるランプ部材としても利用されている。
しかし、ポリブチレンテレフタレート樹脂を連続的に成形し続けると、成形中に各種のガス(以下、「アウトガス」とも称する)が発生し、さらにポリブチレンテレフタレートのオリゴマーなどが金型に付着し、残留して金型汚れとなることが知られている。この金型汚れは、成形品の外観を損なうことがある。したがって、高い輝度外観(平滑性)および均一な反射性などが要求される自動車用ランプ、その他の照明器具などを構成する部品、ならびに表面に光反射層を設ける光反射体用部品などを構成するため、従来のポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合、連続成形中に金型を頻繁に清掃する必要があった。金型を清掃するためには生産を一時中断しなければならないので、生産性に悪影響が及ぶ。このことから、金型汚れを抑制することができるポリブチレンテレフタレート樹脂が求められている。
特開2014−028883号公報 特開2004−323837号公報
上記アウトガスの発生を抑制する方法として、フェニルスルホン酸を用いて触媒を失活させる方法が特開2014−028883号公報(特許文献1)などにおいて提案され、その低減効果が認められている。しかしながら、ポリブチレンテレフタレート樹脂のオリゴマーの低減に関する記載がないため、金型汚れを抑制することについては改善の余地がある。特開2004−323837号公報(特許文献2)には、環状2量体および環状3量体などの環状オリゴマーを低減することに関して記載されているが、後述するような線状オリゴマーに関する記載がなく、金型汚れを抑制することが不十分であった。
本発明者らは、連続成形時の金型汚れを抑制するべく、鋭意検討した結果、連続成形により金型汚れが蓄積していく根本的な原因は、これまで知られていた環状2量体および環状3量体などの環状オリゴマーにあるのではなく、線状オリゴマーにあることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、低ガス性を有し、連続成形時の金型汚れを大幅に抑制することができるポリエステル樹脂組成物、これを含む光反射体用部品および光反射体を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1] 70〜100質量%のポリブチレンテレフタレート樹脂と、0〜30質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有するポリエステル樹脂Aを含むポリエステル樹脂組成物であって、前記ポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属の有機酸塩およびアルカリ土類金属の有機酸塩のいずれか一方または両方である金属有機酸塩Bを含み、前記ポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方を、前記ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.000005〜0.05質量部含み、かつ、前記ポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量、または前記ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーおよびポリエチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量が1000mg/kg以下である、ポリエステル樹脂組成物。
[2] 上記ポリエステル樹脂組成物は、上記アルカリ金属原子および上記アルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方を、上記ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.0005〜0.05質量部含む、[1]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[3] 上記金属有機酸塩Bの金属種は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムからなる群より選ばれる1種または2種以上である、[1]または[2]に記載のポリエステル樹脂組成物。
[4] 上記金属有機酸塩Bは、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウムおよび安息香酸カリウムからなる群より選ばれる1種または2種以上である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を含む、光反射体用部品。
[6] [5]に記載の光反射体用部品の表面の少なくとも一部に光反射金属層が形成されている、光反射体。
本発明によれば、低ガス性を有し、連続成形時の金型汚れを大幅に抑制することができるポリエステル樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳述する。
[ポリエステル樹脂組成物]
本発明は、70〜100質量%(70質量%以上100質量%以下、本明細書において数値範囲を「〜」を用いて表わす場合、その範囲は上限および下限の数値を含むものとする)のポリブチレンテレフタレート樹脂と、0〜30質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有するポリエステル樹脂Aを含むポリエステル樹脂組成物である。ポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属の有機酸塩およびアルカリ土類金属の有機酸塩のいずれか一方または両方である金属有機酸塩Bを含む。さらにポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方を、ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.000005〜0.05質量部含む。さらに、ポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量、またはポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーおよびポリエチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量が1000mg/kg以下である。
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、金属有機酸塩Bを含むことにより、成形中のアウトガス[テトラヒドロフラン(以下、「THF」と称することもある)など]の発生を抑制し、組成物中に含まれる環状オリゴマーおよび線状オリゴマーがTHFによって金型に運ばれ、付着することを抑制し、これらのオリゴマーに基づく金型汚れを抑制することができる。
さらに、ポリエステル樹脂組成物は、後述する離型剤Cを含有することができるとともに、耐熱性および剛性を向上させる目的で無機フィラーを添加することも除外されない。さらに、ポリエステル樹脂組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲において、必要に応じて各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、たとえば改質剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、変性剤、帯電防止剤、難燃剤、染料、顔料などを例示することができる。本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエステル樹脂A、金属有機酸塩B、および離型剤C(ただし、離型剤Cの配合は任意)の合計で85質量%以上を占めることが好ましく、90質量%以上を占めることがより好ましく、95質量%以上を占めることがさらに好ましい。
そして、本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、低ガス性を有し、さらに連続成形時の金型汚れを大幅に抑制でき、特に、自動車用ランプまたは照明器具などを構成する部品、表面に光反射層を設ける光反射体用部品などへの適用が効果的である。
<ポリエステル樹脂A>
本発明においてポリエステル樹脂Aは、70〜100質量%のポリブチレンテレフタレート樹脂と、0〜30質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有する。ポリエステル樹脂Aは、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂以外の第3の成分を含むことを除外するものではないが、この2成分で構成されることが好ましい。ポリエステル樹脂組成物中のポリエステル樹脂Aは、ポリエステル樹脂Aが主成分である限り特に限定されないが、90質量%以上であることが好ましく、92質量%以上であることがより好ましい。
(ポリブチレンテレフタレート樹脂)
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸と、1,4−ブタンジオールまたはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジオールとを重縮合反応させるなどの一般的な重合方法によって得ることができる重合体である。ポリブチレンテレフタレート樹脂は、ブチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが最も好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂は、その特性を損なわない範囲、たとえば20質量%程度以下で、他の重合成分を含むことができる。他の重合成分を含むポリブチレンテレフタレート樹脂の例としては、ポリブチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリブチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリブチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリブチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリブチレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレートなどを挙げることができる。これらの成分を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、0.3〜1.6dl/gであることが好適であり、0.45〜1.35dl/gであることがより好適であり、0.5〜1.2dl/gであることがさらに好適であり、0.55〜1.05dl/gであることが特に好適である。本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)が0.3〜1.6dl/gであることにより、機械的特性および成形性が良好となる。上記固有粘度(IV)は、ウベローデ型粘度計により、フェノール/テトラクロルエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃における濃度0.4g/dlのポリブチレンテレフタレート樹脂溶液と、混合溶媒のみとの落下秒数をそれぞれ測定し、ASTM D4603に基づく下記式(I)から求めた値である。
固有粘度(IV)=0.25(ηr−1+3lnηr)/C・・・(I)
上記式(I)において、ηr=η/η0であり、ηはポリブチレンテレフタレート樹脂溶液の落下秒数であり、η0は混合溶媒のみの落下秒数であり、Cはポリブチレンテレフタレート樹脂溶液の濃度(g/dl)である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基は、ポリマーの加水分解反応において触媒的な役割を担うため、末端カルボキシル基量の増加に伴って加水分解が加速される。このため、この末端カルボキシル基の濃度は低いことが好ましい。ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基の濃度は、40eq/ton以下であることが好ましく、より好ましくは30eq/ton以下であり、さらに好ましくは25eq/ton以下であり、特に好ましくは20eq/ton以下である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端カルボキシル基の濃度(単位:eq/ton)は、たとえば、所定量のポリブチレンテレフタレート樹脂をベンジルアルコールに溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を使用して滴定することにより測定することができる。指示薬は、たとえば、フェノールフタレイン溶液を用いればよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端水酸基は、主に溶融時にバックバイティングを引き起こすため、アウトガスの1つであるTHF、線状オリゴマーおよび環状オリゴマーを成形中に生成する出発点となる。このため、金型汚れを低減するにはこの末端水酸基の濃度を低くし、成形中のバックバイティングを抑制することが好ましい。ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端水酸基の濃度は、110eq/ton以下であることが好ましく、より好ましくは90eq/ton以下であり、さらに好ましくは70eq/ton以下であり、特に好ましくは50eq/ton以下である。
ポリブチレンテレフタレート樹脂の末端水酸基の濃度(単位:eq/ton)は、たとえば1H−NMR測定によって得たスペクトルに基づき、ポリブチレンテレフタレート由来のテレフタル酸のピーク値と末端の1,4−ブタンジオールのピーク値とから、所定の計算によって算出することができる。
(ポリエチレンテレフタレート樹脂)
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、テレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジカルボン酸と、エチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体を主たる成分とするジオールとを重縮合反応させるなどの一般的な重合方法によって得ることができる重合体である。ポリエチレンテレフタレート樹脂は、エチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましく、95モル%以上であることがさらに好ましく、100モル%であることが特に好ましい。
ポリエチレンテレフタレート樹脂は、その特性を損なわない範囲、たとえば20質量%程度以下で他の重合成分を含むことができる。他の重合成分を含むポリエチレンテレフタレート樹脂の例としては、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/セバケート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナフタレート)、ポリ(エチレン/シクロヘキサンジメチル)テレフタレート、ポリ(ブチレン/エチレン)テレフタレートなどを挙げることができる。これらの成分を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。このようなポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることによって、本発明では、ポリエステル樹脂組成物の成形収縮率を制御することができる。
ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)は、0.36〜1.6dl/gであることが好適であり、0.45〜1.35dl/gであることがより好適であり、0.5〜1.2dl/gであることがさらに好適であり、0.55〜1.05dl/gであることが特に好適である。本発明のポリエステル樹脂組成物は、ポリエチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)が0.36〜1.6dl/gであることにより、機械的特性および成形性が良好となる。上記固有粘度(IV)は、ポリブチレンテレフタレート樹脂の固有粘度(IV)を測定した方法と同じ方法により測定すればよい。
本発明においてポリエステル樹脂Aは、70〜100質量%のポリブチレンテレフタレート樹脂と、0〜30質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有する。ポリエステル樹脂Aは、80〜100質量%のポリブチレンテレフタレート樹脂と、0〜20質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有することが好ましく、90〜100質量%のポリブチレンテレフタレート樹脂と、0〜10質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有することがより好ましい。上述のとおりポリエチレンテレフタレート樹脂を含有することにより、ポリエステル樹脂組成物の成形収縮率を制御することが可能となるが、ポリエチレンテレフタレート樹脂の含有量が30質量%を超えると、射出成形時の離型性が悪化し、かつポリエステル樹脂組成物の耐熱性が低下するので好ましくない。
ポリエステル樹脂A中のポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂の合計量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂およびポリエチレンテレフタレート樹脂の合計量は、100質量%であってもよい。
(チタン触媒)
本発明を構成するポリブチレンテレフタレート樹脂は、たとえば1,4−ブタンジオールと、テレフタル酸またはテレフタル酸ジアルキルとのチタン触媒を使用したエステル化反応またはエステル交換反応により得ることができる。本発明ではポリエステル樹脂組成物に含まれるチタン触媒の含有量を、チタン原子の含有量により規定している。
チタン原子の含有量は、湿式灰化などの方法でポリマー中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光またはICP(Inductively Coupled Plasma)などの方法を使用して測定することができる。
チタン触媒としては、公知のチタン化合物を使用することができる。その具体例としては、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートなどのチタンアルコキシドを含むテトラアルキルチタネート、その部分加水分解物およびチタンキレート化合物、酢酸チタン、シュウ酸チタニル、シュウ酸チタニルアンモニウム、シュウ酸チタニルナトリウム、シュウ酸チタニルカリウム、シュウ酸チタニルカルシウム、シュウ酸チタニルストロンチウムなどのシュウ酸チタニル化合物、トリメリット酸チタン、硫酸チタン、塩化チタン、チタンハロゲン化物の加水分解物、シュウ化チタン、フッ化チタン、六フッ化チタン酸カリウム、六フッ化チタン酸アンモニウム、六フッ化チタン酸コバルト、六フッ化チタン酸マンガン、チタンアセチルアセトナート、ヒドロキシ多価カルボン酸または含窒素多価カルボン酸とのチタン錯体物、チタンおよびケイ素、あるいはジルコニウムからなる複合酸化物、チタンアルコキシドとリン化合物との反応物、チタンアルコキシドと芳香族多価カルボン酸、またはその酸無水物と所定のリン化合物との反応生成物などを挙げることができる。
なかでも、金型汚れを抑制する観点から、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートなどのチタンアルコキシドを含むテトラアルキルチタネート、その部分加水分解物およびチタンキレート化合物からなる群より選ばれるいずれかを使用することが好ましい。また、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、アセト酢酸エチルチタンキレートおよびトリエタノールチタンアミネートからなる群より選ばれるいずれかを使用することがより好ましい。
チタンの代わりに、またはチタンとともに、スズを触媒として使用することができる。さらに、チタンおよびスズの他に、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、リン酸水素マグネシウムなどのマグネシウム化合物、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、カルシウムアルコキシド、リン酸水素カルシウムなどのカルシウム化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウム、四酸化ゲルマニウムなどのゲルマニウム化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、ジルコニウム化合物、コバルト化合物、正リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸、それらのエステルまたは金属塩などのリン化合物、水酸化ナトリウムなどの反応助剤を使用してもよい。反応助剤として用いる化合物が、後述する金属有機酸塩Bと重複する場合、この金属有機酸塩Bと反応助剤との合計量を、本発明において金属有機酸塩Bとして許容される範囲内の含有量とすればよい。
(線状オリゴマー)
本発明において、連続成形の際の金型汚れを抑制することができるのは、以下の理由によるものと考えられる。
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量、またはポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーおよびポリエチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量が1000mg/kg以下である。本発明では、ポリエステル樹脂組成物中に占める割合が最も多いのがポリブチレンテレフタレート樹脂であるので、ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量を低く抑えることが好ましい。線状オリゴマーは、環状オリゴマーよりも低融点であり、低ガラス転移温度であるので、環状オリゴマーよりも金型へ付着しやすい。金型に付着した線状オリゴマーは粘着性を帯び、バインダーのような役割を果たして環状オリゴマーの金型への付着を助長すると考えられる。このため、ポリエステル樹脂組成物に含まれる線状オリゴマーの含有量を低減することは、連続成形の際の金型の汚れ始めを遅らせることに非常に効果的に寄与する。したがって、線状オリゴマーの含有量を低減することは、金型汚れを抑制する上で極めて重要となるのである。
このように本発明では、線状オリゴマーが金型汚れの根本的な原因であることを見出した。またテトラヒドロフランは、末端水酸基のバックバイティング反応などにより生成することが知られ、以下に説明するアウトガス測定から、テトラヒドロフランの発生量と金型汚れの程度とに正の相関関係があることも見出した。すなわちテトラヒドロフランの発生量が増えるほど、金型汚れの程度が酷くなるのである。このアウトガス測定では、5mgのポリエステル樹脂組成物のサンプルに対して265℃、10分の条件で加熱し、発生した成分をGS/MS(商品名:「TD−20/QP−2010Ultra」、株式会社島津製作所製)を用いて分析することにより、テトラヒドロフランの発生量を測定した。検出成分はトルエン換算などにより定量することができる。なお、金型汚れは後述する加速試験などを実施することにより評価することができる。
以上から、ポリエステル樹脂組成物に含まれる線状オリゴマーは、成形中に生成するテトラヒドロフランに溶け込んだ状態で射出成形時に樹脂系外へ噴射され、金型に接触する。このとき沸点の低いテトラヒドロフランは金型に残らずに蒸発するが、テトラヒドロフランに溶け込んでいた線状オリゴマーは、そのまま金型へ付着するものと考えられる。したがって、媒体となるテトラヒドロフランの発生量を低減することも、線状オリゴマーが樹脂系外への留出するのを抑制することにつながり、結果的に金型への線状オリゴマーの付着量が低減し、金型汚れを抑制することができる。
ここで本明細書において、線状オリゴマーとは、ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーである場合、テレフタル酸由来の構成単位と1,4−ブタンジオール由来の構成単位とが合計2〜13個結合した直鎖状構造のオリゴマーをいう。また線状オリゴマーとは、ポリエチレンテレフタレートの線状オリゴマーである場合、テレフタル酸由来の構成単位とエチレングリコール由来の構成単位とが合計2〜13個結合した直鎖状構造のオリゴマーをいう。線状オリゴマーは、両末端に水酸基またはカルボキシル基からなる反応性官能基を有し、両末端がいずれもカルボキシル基または水酸基である場合がある。また、環状オリゴマーとは、ポリブチレンテレフタレートの環状オリゴマーである場合、テレフタル酸由来の構成単位と1,4−ブタンジオール由来の構成単位とが合計4〜14個結合した環状構造のオリゴマーをいう。また環状オリゴマーとは、ポリエチレンテレフタレートの環状オリゴマーである場合、テレフタル酸由来の構成単位とエチレングリコール由来の構成単位とが合計4〜14個結合した環状構造のオリゴマーをいう。
上述のとおり、本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量、またはポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーおよびポリエチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量が1000mg/kg以下である。線状オリゴマーの含有量は、好ましくは950mg/kg以下であり、より好ましくは900mg/kg以下であり、さらに好ましくは800mg/kg以下であり、特に好ましくは700mg/kg以下である。線状オリゴマーの含有量が1000mg/kgを超えると、金型汚れを抑制する効果が不十分となる。線状オリゴマーの含有量の下限値は、理想的には0mg/kgである。なお、線状オリゴマーの含有量は、ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーおよびポリエチレンテレフタレートの線状オリゴマーの両方を含む場合、その両方で1000mg/kg以下となる。
一方で、環状オリゴマーの含有量は、9000mg/kg以下であればよい。環状オリゴマーの含有量は、好ましくは8000mg/kg以下であり、より好ましくは6000mg/kgである。ただし、環状オリゴマーの含有量が6000mg/kg程度であっても、線状オリゴマーの含有量が1000mg/kgを超えると、金型汚れを抑制する効果は低下する。線状オリゴマーの含有量が1000mg/kg以下であれば、環状オリゴマーの含有量が少ないほど、金型汚れを抑制する効果は高くなる傾向がある。この点、線状オリゴマーの含有量が1000mg/kg以下であれば、従来金型汚れの原因と考えられていた環状オリゴマーの含有量は比較的柔軟に許容され、9000mg/kg以下まで含有することができる。
線状オリゴマーおよび環状オリゴマーの含有量は、たとえば、ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=2/3(体積比)からなる溶媒にポリエステル樹脂組成物を溶解させ、クロロホルム、メタノールなどを加えて沈殿させる。続いて、濾別した上澄み液について乾固し、ジメチルホルムアミドで溶解し、濾過し、その濾液について液体クロマトグラフ分析法による分析を行なうことにより測定することができる。たとえば、線状オリゴマーの含有量(定量値)はBHET(ビスヒドロキシエチルテレフタレート)換算とし、環状オリゴマーの含有量(定量値)はポリエチレンテレフタレート環状3量体換算として算出することができる。
線状オリゴマーの含有量を1000mg/kg以下にする方法は、線状オリゴマーの含有量を1000mg/kg以下にできる方法であれば特に限定されない。本発明では、ポリエステル樹脂組成物に占めるポリブチレンテレフタレート樹脂の割合が高いため、ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量を少なくすることが効果的である。
線状オリゴマーの含有量を1000mg/kg以下にする方法としては、チタン触媒と反応助剤とで調整する方法、固相重合する方法および線状オリゴマーを水または溶剤で抽出する方法などを例示することができる。環状オリゴマーの含有量を9000mg/kg以下にする方法についても特に限定されないが、たとえば、ポリブチレンテレフタレート樹脂を重合する際の温度、時間、重合触媒などを調整する方法、固相重合する方法、重合後に溶融状態で熱処理する方法、および所定の溶剤を用いて環状オリゴマーを抽出する方法などを例示することができる。また、これらの方法とその他の方法とを組み合わせ、線状オリゴマーおよび環状オリゴマーの両方を低減させることもできる。
たとえばポリブチレンテレフタレート樹脂を固相重合する方法では、エステル化またはエステル交換反応が進行することにより、末端カルボキシル基の濃度および末端水酸基の濃度が共に低くなる傾向にある。この方法では、分子量が増加するので固相重合前の固有粘度(IV)の調整、ならびに固相重合の温度および時間の調整が必要である。
なお、ポリエステル樹脂組成物中にポリエチレンテレフタレート樹脂を含む場合、ポリエチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量を低く抑えることも、金型汚れを抑制するのに寄与することができる。また、テトラヒドロフランの発生量を低減する方法については、以下に詳述する。
<金属有機酸塩B>
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属の有機酸塩およびアルカリ土類金属の有機酸塩のいずれか一方または両方である金属有機酸塩Bを含む。その含有量は、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方の含有量を基準として特定され、具体的には、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方を、上記ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.000005〜0.05質量部含むものとなる。すなわち本発明では、ポリエステル樹脂組成物に含まれる金属有機酸塩Bの含有量を、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方の含有量を特定することにより把握するものとしている。
ここで、ポリエステル樹脂組成物に含まれる金属有機酸塩Bの含有量を、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方の含有量を特定することにより把握するものとしている理由は、以下のとおりである。すなわち金属有機酸塩Bは、ポリエステル樹脂組成物中において金属イオンが解離した状態で存在していると考えられるため、金属有機酸塩Bの含有量を知るには金属(イオン)および有機酸(イオン)のいずれか一方または両方を定量する必要がある。しかしながら、有機酸は揮散しやすく、ポリブチレンテレフタレートなどのポリマーと構造が類似することも多いため、定量が困難となる場合が多い。一方、金属原子(アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子)は、ポリエステル樹脂組成物中で比較的残存しやすく、定量が比較的容易である。したがって、ポリエステル樹脂組成物における金属有機酸塩Bの含有量を、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方の含有量を特定することにより把握するのである。また、このような理由から上記のアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方は、金属有機酸塩Bに由来するものであることが明らかである。
そして、ポリエステル樹脂組成物におけるアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子の含有量は、ICP発光分析法により測定することができる。
なお本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、換言すれば、ポリエステル樹脂Aの質量1kgあたり、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方を0.05mg以上500mg以下(以下、「mg/kg」で表わす)含む。また、金属有機酸塩Bがアルカリ金属の有機酸塩およびアルカリ土類金属の有機酸塩の両方を含む場合、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子の両方は、上記ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.000005〜0.05質量部含むこととなる。
金属有機酸塩Bにより、ポリブチレンテレフタレート樹脂が有する末端水酸基の成形時におけるバックバイティング反応の低減が可能となり、THFの発生量を低減することできる。この金属有機酸塩Bに由来するアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方が、ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.000005質量部(0.05mg/kg)未満となる場合、金属有機酸塩Bの作用により金型汚れの抑制効果が発現しにくい。また、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方が、ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.05質量部(500mg/kg)を超える場合、ポリエステル樹脂組成物の分解を促進し、金型汚れおよびフォギング性を悪化させる可能性がある。
さらに、ポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方を、上記ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.0005〜0.05質量部含むことが好ましい。この数値範囲は、より好ましくは0.0005〜0.04質量部(5〜400mg/kg)であり、さらに好ましくは0.0006〜0.03質量部(6〜300mg/kg)であり、特に好ましくは0.0007〜0.02質量部(7〜200mg/kg)である。
本発明のポリエステル樹脂組成物に用いることのできる金属有機酸塩Bの金属種は、金型汚れの観点から、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムからなる群より選ばれる1種または2種以上が好ましい。なかでもリチウム、ナトリウム、カリウムであることが好ましく、カリウムであることが最も好ましい。
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩として具体的には、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸、グルコン酸などのヒドロキシカルボン酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、炭酸塩などを例示することができる。なお、炭酸塩は通常、無機酸塩として捉えられるが、本発明においては、炭素を有する酸を有機酸であるとみなして炭酸塩を有機酸塩の範囲に含むものとする。
金型汚れを抑制する効果およびハンドリング性の観点から、金属有機酸塩Bは、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウムおよび安息香酸カリウムからなる群より選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。なかでも、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムおよび酢酸マグネシウムからなる群より選ばれる1種または2種以上であることがより好ましく、酢酸カリウムが特に好ましい。なお、これらの金属有機酸塩Bは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
金属有機酸塩Bをポリエステル樹脂組成物に含有させる方法は特に限定されない。たとえば、ポリエステル樹脂Aを構成するポリブチレンテレフタレート樹脂の重合初期(エステル化反応後またはエステル交換反応後)に添加する方法、ポリブチレンテレフタレート樹脂の重合後期(重縮合工程(減圧工程)中または重合終了後)に添加する方法、ペレット化された後にペレット表面に付着させ、あるいはペレット中に浸透させる方法、または金属有機酸塩Bを高濃度に含有するマスターペレットをあらかじめ製造し、該マスターペレットをポリエステル樹脂組成物を得るための溶融混練時に混合する方法などを採用することができる。さらに、成形体に成形する際に金属有機酸塩Bを高濃度に含有するマスターペレットを添加する方法でもよい。なお、上述したポリブチレンテレフタレート樹脂の重合初期および重合後期とは、ポリブチレンテレフタレート樹脂の所謂溶融重合における重合初期および重合後期をいう。
ポリブチレンテレフタレート樹脂を製造するときに金属有機酸塩Bを含有させる場合、添加量に対して一部の金属有機酸塩Bが減圧条件下で反応系外へ除かれる場合がある。このため金属有機酸塩Bの添加量は、使用する反応装置、条件などを勘案し、かつ必要に応じて数回の試行実験によりポリエステル樹脂組成物に残存する金属有機酸塩B(すなわちアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方)の量を把握した上で決める必要がある。また、本発明のポリエステル樹脂組成物を二軸押出機などを用いて混練して製造するとき、ベント脱気(減圧)をする際にも同様なことが起きる場合があるので、必要な措置を講じて金属有機酸塩Bの添加量を決める必要がある。
特に本発明において、金属有機酸塩Bに由来するアルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方が、ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.0005〜0.05質量部(5〜500mg/kg)含むようにポリエステル樹脂組成物を構成するとき、そのポリエステル樹脂組成物は金属有機酸塩Bを高濃度に含有するマスターペレットを用いることにより得ることが好ましい。マスターペレットのベース樹脂としては、ポリエステル樹脂組成物を構成する樹脂のいずれかであることが好ましく、ポリエステル樹脂組成物中に占める割合が最も多いポリブチレンテレフタレート樹脂であることがより好ましい。金属有機酸塩Bを高濃度に含有するマスターペレットは、ベース樹脂と金属有機酸塩Bとを混合し、溶融混練することによって製造することができる。この溶融混練の方法は公知の方法でよく、単軸押出機、二軸押出機、加圧ニーダーまたはバンバリーミキサーなどを使用することができる。なかでも二軸押出機を使用することが好ましい。
マスターペレット中の金属有機酸塩Bの含有量も、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方の含有量を基準として特定され、その含有量は、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方が、上記マスターペレット100質量部に対し、0.02〜1.5質量部(200〜15000mg/kg)であることが好ましい。マスターペレット中の含有量が1.5質量部を超えると、マスターペレット作製時にベース樹脂が分解し、ポリエステル樹脂組成物に含有させる際に悪影響を及ぼす恐れがある。マスターペレット中の含有量が0.02質量部未満であると、マスターペレットとして金属有機酸塩Bの含有量が少なく、生産性が良好でない。
これらの金属有機酸塩Bが金型汚れを抑制する効果を有する理由は、以下によるものと推測される。すなわち金属有機酸塩Bは、エステル基を安定化する効果または所謂バッファー効果により、ポリブチレンテレフタレート樹脂の加水分解反応を抑制し、かつ末端水酸基のバックバイティング反応を抑制する。これにより、主にテトラヒドロフランの生成を抑制することができる。したがって、本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、低ガス性ならびに金型汚れの大幅な抑制効果を得ることができる。
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、金属有機酸塩Bを含むことにより、L***表色系によるColor−b値が増加し、黄色味が増す傾向にあるが、品位および着色した際の色ブレの観点から、ポリエステル樹脂組成物のColor−b値は6以下に抑えることが好ましい。ここで、マスターペレットにより金属有機酸塩Bを添加する方法は、ポリブチレンテレフタレート樹脂の重合時に金属有機酸塩Bを添加する方法に比べColor−b値が低くなる傾向があるので好ましい。ポリエステル樹脂組成物のColor−b値は、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは4以下である。
Color−b値は、たとえば、ポリエステル樹脂組成物を射出成形して得た片面に鏡面を有する平板(鏡面を有する金型を用いて成形した)の鏡面に対し、市販の精密型分光光度色彩計などを用いてJIS Z 8722:2009、JIS Z 8781−4:2013に準拠して測定することにより得ることができる。
<その他>
(離型剤C)
本発明のポリエステル樹脂組成物は、離型性をより向上させるために、離型剤Cを含有することができる。離型剤Cは、金型汚れを抑制する観点から、脂肪酸エステル化合物であることが好ましい。この脂肪酸エステル化合物には、カルボン酸が部分的に、モノグリコールまたはポリグリコールによりエステル化されている化合物、および部分的に金属塩を形成している化合物を含むことができる。離型剤Cの含有量は、ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.05〜3質量部であることが好ましい。離型剤Cの含有量が0.05質量部未満であると十分な離型効果が得られず、離型不良または離型ジワなどが発生する恐れがある。離型剤Cはそれ自体がガス化し、またはブリードアウトすることによって、金型汚れを引き起こす。さらに、たとえばこの離型剤Cを含むポリエステル樹脂組成物を自動車用ランプに適用したとき、100℃〜200℃の範囲の温度環境下でヘッドライトのカバーまたはミラーなどに付着し、曇りを発生(フォギング)させたりする。これらの問題は、離型剤Cの含有量が3質量部を超えると顕著となる。
(無機フィラー)
本発明に係るポリエステル樹脂組成物は、耐熱性および剛性を向上させる目的で、本発明の効果が損なわれない範囲において、無機フィラーを含有することができる。無機フィラーの種類としては特に限定されず、公知のものを使用することができる。無機フィラーは、ポリエステル樹脂組成物との相溶性およびポリエステル樹脂組成物中での分散性を高めるため、表面処理されていてもよい。ポリエステル樹脂組成物の成形品の表面外観の観点から、無機フィラーの平均粒子径は3.0μm以下であることが好ましい。無機フィラーの含有量は、ポリエステル樹脂A100質量部に対して、1質量部未満であることが好ましく、0.8質量部以下であることがより好ましく、0.5質量部以下であることがさらに好ましい。無機フィラーの含有量が1質量部以上であると、より高度な鏡面外観が求められた場合に、その要請に応えられない恐れがある。
<ポリエステル樹脂組成物の製造方法>
本発明に係るポリエステル樹脂組成物を製造する方法は、上述した各成分、および必要に応じて添加する安定剤などの添加剤を混合し、溶融混練することにより製造することができる。溶融混練の方法は、公知の方法を用いることが可能であり、たとえば、単軸押出機、二軸押出機、加圧ニーダーまたはバンバリーミキサーなどを使用して溶融混練することができる。なかでも二軸押出機を使用することが好ましい。一般的な溶融混練の条件としては、二軸押出機を使用する場合、シリンダー温度を230〜270℃とし、混練時間を2〜15分とすることができる。
本発明に係るポリエステル樹脂組成物の成形方法としては特に制限されず、射出成形、押出成形、ブロー成形などの公知の方法で成形することができる。なかでも、汎用性の観点から、射出成形法を用いることが好ましい。
<光反射体用部品>
本発明に係る光反射体用部品は、上記ポリエステル樹脂組成物を含む。光反射体用部品は、射出成形法、押出成形法、ブロー成形法などの公知の方法でポリエステル樹脂組成物を成形することにより得ることができ、汎用性の観点から射出成形法を用いて得ることが好ましい。光反射体用部品は、たとえば光反射金属層を備えることにより、後述する光反射体となる。
<光反射体>
本発明に係る光反射体は、上記光反射体用部品の表面の少なくとも一部に、光反射金属層が形成されている。たとえば、光反射体は、上記光反射体用部品の表面の少なくとも一部に、光反射金属層としての金属薄膜(たとえば、アルミニウム箔)を直接形成することにより得ることができる。特に、光反射体は、上記光反射体用部品の表面の少なくとも一部に、金属薄膜を蒸着することにより得ることが好ましい。蒸着方法は特に制限されず、公知の方法を用いることができる。
本発明に係る光反射体は、たとえば自動車用ランプ(ヘッドライトなど)、光反射体(エクステンション、リフレクター、ハウジングなど)、さらには照明器具、電気部品、電子部品、家庭雑貨品などの各種の部品として使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は、以下の方法によって測定した値である。
(1)固有粘度(IV): ポリブチレンテレフタレート樹脂aおよびポリエチレンテレフタレート樹脂bの固有粘度(IV)を、ウベローデ型粘度計によりフェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒を使用し、30℃において測定した。30℃における濃度0.4g/dlのポリブチレンテレフタレート樹脂a溶液、濃度0.4g/dlのポリエチレンテレフタレート樹脂b溶液、および混合溶媒のみの落下秒数をそれぞれ測定し、上記式(I)から値を求めた。
(2)末端カルボキシル基濃度(単位:eq/ton、酸価として表わす): ベンジルアルコール25mlにポリブチレンテレフタレート樹脂aを0.5g溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/lベンジルアルコール溶液を使用して滴定した。使用した指示薬は、フェノールフタレイン0.10gをエタノール50mlおよび水50mlの混合液に溶解した溶液である。ポリエチレンテレフタレート樹脂bの末端カルボキシル基濃度の定量も同様の方法により行なった。
(3)末端水酸基濃度(単位:eq/ton): ポリブチレンテレフタレート樹脂aの末端水酸基濃度の定量は、共鳴周波数500MHzの1H−NMR測定により行なった。測定装置は、NMR装置(商品名:「AVANCE−500」、BRUKER社製)を用いた。
まず、ポリブチレンテレフタレート樹脂a10mgまたはポリエチレンテレフタレート樹脂b10mgを、重クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール=1/1(体積比)からなる溶媒0.12mlに溶解後、重クロロホルム0.48mlおよび重ピリジン5μlを加え、十分に撹拌して樹脂溶液を調製した。その後、その樹脂溶液をNMRチューブに充填し、1H−NMR測定を行なった。ロック溶媒には重クロロホルムを用い、積算回数は128回とした。
次に、測定した1H−NMRのスペクトルにおいて、クロロホルムのピークが7.29ppmに現われるとき、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレート由来のテレフタル酸ピーク(i)が8.10ppmに現われる。さらにポリブチレンテレフタレート樹脂aの場合、末端の1,4−ブタンジオールピーク(ii)が3.79ppmに現われる。ポリエチレンテレフタレート樹脂bの場合、末端のエチレングリコールピーク(iii)が4.03ppmに現われる。このため、(i)〜(iii)を各ピークの積分値とすることにより、末端水酸基濃度を、下記式より求めた。
ポリブチレンテレフタレート樹脂aの場合: {(ii)×1000000/2}/{(i)×220/4}=末端水酸基濃度(eq/ton)
ポリエチレンテレフタレート樹脂bの場合: {(iii)×1000000/2}/{(i)×192/4}=末端水酸基濃度(eq/ton)。
(4)チタン原子含有量およびカリウム原子含有量: 電子工業用高純度硫酸および電子工業用高純度硝酸でポリエステル樹脂組成物を湿式分解し、ICP(商品名:「SPECTROBLUE」、アメテック社製)を使用して発光分析法により測定した。
(5)オリゴマー含有量: ヘキサフルオロイソプロパノール/クロロホルム=2/3(体積比)からなる溶媒3mlにポリエステル樹脂組成物0.1gを溶解させた後、クロロホルム20ml、メタノール10mlを加えてポリマーを沈殿させた。続いて濾別した上澄み液について乾固した後、ジメチルホルムアミド10mlで溶解し、濾過し、その濾液について、液体クロマトグラフ分析法にて各オリゴマー成分の定量を行なった。線状オリゴマーの定量値はBHET(ビスヒドロキシエチルテレフタレート)換算、環状オリゴマーの定量値はポリエチレンテレフタレート環状3量体換算で、各検量線を用いて算出した。測定は下記の条件で行なった。
液体クロマトグラフ分析装置: 商品名:「Prominence」、株式会社島津製作所製
カラム: Shim−pack XR−ODS 2.2μm(3×100mm)
移動相: A 0.2%酢酸水、B アセトニトリル
グラジエント: 0min(10%B)、25min(100%B)、27min(100%B)、27.01min(10%B)、32min(10%B)
流速: 1.1ml/min
カラム温度: 50℃
注入量: 5μl
検出波長: UV258nm。
(6)Color−b値(平板): 射出成形機(商品名:「EC100N」、東芝機械株式会社製)を準備し、♯6000番のやすりで磨かれた鏡面を有する金型を用い、100mm×100mm×2mmのポリエステル樹脂組成物からなる平板成形品を射出成形することにより得た。この平板成形品は、金型から転写された鏡面を片面に有する。成形時のシリンダー温度は260℃で、金型温度は60℃であった。精密型分光光度色彩計(商品名:「TC−1500SX」、東京電色社製)を用い、JIS Z 8722:2009、JIS Z 8781−4:2013に準拠して平板成形品の鏡面側のColor−b値を測定した。測定条件はD65光源、10°視野であり、0°−d法を用いた。
(7)金型汚れ加速試験: 射出成形機(商品名:「EC100N」、東芝機械株式会社製)を準備し、金型として、連続成形評価型(外径30mm、内径20mm、厚み3mmのキャビティを有し、流動末端は凹部でガス抜き無)を準備した。この金型を用い、ゲート部反対側の凹部にアウトガス、オリゴマーなどの金型汚れを促す成分が蓄積しやすいようにショートショット法でポリエステル樹脂組成物を連続成形することにより、金型汚れの程度を観察した。成形時のシリンダー温度は260℃で、金型温度が50℃、サイクルタイムが40秒で成形し、20ショット後の金型汚れを評価した。金型汚れはデジタルカメラにて撮影し、画像の色の均一化のため、グレースケール処理した画像により、以下のとおりに目視にて評価した。
A: 汚れが認められない
B: ほとんど汚れが認められない
C: ゲート部反対側の凹部付近の中心に汚れがぼんやりと認められる
D: ゲート部反対側の凹部付近の中心の汚れがはっきりとした輪郭で黒く目立つ。
(8)熱変形温度(荷重:0.45MPa)
射出成形機(商品名:「EC100N」、東芝機械株式会社製)を用い、シリンダー温度260℃、金型温度60℃の条件で、ISO−3167の多目的試験片を成形した。この多目的試験片に対し、ISO−75に準拠し、0.45MPaで荷重したときの熱変形温度を測定した。
実施例および比較例に使用した配合成分を次に示す。
ポリエステル樹脂Aは、以下のポリブチレンテレフタレート樹脂aのいずれかからなり、または以下のポリブチレンテレフタレート樹脂aのいずれかとポリエチレンテレフタレート樹脂bとからなる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂aとして以下のいずれかを用いた。
a−1: IV=0.83dl/g、末端水酸基=95eq/ton、酸価=9eq/ton、チタン原子含有量=80mg/kg(IV=0.78dl/gの溶融重合樹脂を使用、210℃でIV=0.83dl/gに到達するまで固相重合した)。ただし、金属有機酸塩Bとして酢酸カリウム10mg/kgを上記溶融重合樹脂の溶融重合時(エステル化反応後)に添加
a−2: IV=0.83dl/g、末端水酸基=95eq/ton、酸価=9eq/ton、チタン原子含有量=80mg/kg(IV=0.78dl/gの溶融重合樹脂を使用、210℃でIV=0.83dl/gに到達するまで固相重合した)。ただし、溶融混練時に金属有機酸塩Bをマスターペレットにより添加
a−3: IV=0.83dl/g(溶融重合により得た樹脂)、末端水酸基=100eq/ton、酸価=10eq/ton、チタン原子含有量=80mg/kg(線状オリゴマーの含有量を低減するための特段の処理をしなかった)。ただし、金属有機酸塩Bとして酢酸カリウム10mg/kgを上記樹脂の溶融重合時(エステル化反応後)に添加
a−4: IV=0.83dl/g、末端水酸基=95eq/ton、酸価=9eq/ton、チタン原子含有量=30mg/kg(IV=0.78dl/gの溶融重合樹脂を使用、210℃でIV=0.83dl/gに到達するまで固相重合した)。ただし、金属有機酸塩B不添加
a−5: IV=0.83dl/g(溶融重合により得た樹脂)、末端水酸基=100eq/ton、酸価=10eq/ton、チタン原子含有量=80mg/kg(線状オリゴマーの含有量を低減するための特段の処理をしなかった)。ただし、溶融混練時に金属有機酸塩Bをマスターペレットにより添加。
なお、ポリブチレンテレフタレート樹脂a−1、a−3に対しては、上記のとおりの量の酢酸カリウムからなる金属有機酸塩Bを溶融重合時(エステル化反応後)に添加した。ポリエステル樹脂組成物における金属有機酸塩Bの残存量(含有量)は下記表1に示すとおりであった。ポリブチレンテレフタレート樹脂a−2、a−5に対しては、ポリエステル樹脂組成物を得る溶融混練時に、あらかじめ作製しておいたマスターペレットを用いて酢酸カリウムからなる金属有機酸塩Bを下記表1に示す含有量になるように調整して添加した。ポリブチレンテレフタレート樹脂a−4に対しては、金属有機酸塩Bを不添加とした。
ポリエチレンテレフタレート樹脂b: IV=0.62dl/g、酸価=30eq/ton。
金属有機酸塩Bとしては以下の化合物を用いた。
B−1: 酢酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)
B−2: 酢酸カリウム(和光純薬工業株式会社製)のマスターペレット。
なお、上記マスターペレットのベース樹脂としては、添加先となるポリエステル樹脂組成物中に存在するポリブチレンテレフタレート樹脂と同じ樹脂を用いた。マスターペレット中の金属有機酸塩Bは、カリウム原子の含有量がマスターペレット100質量部に対し0.2質量部であった。
離型剤Cとしては以下の化合物を用いた。
C−1: トリグリセリンベヘン酸フルエステル(商品名:「ポエムTR−FB」、理研ビタミン株式会社製)
安定剤としては酸化防止剤(商品名:「IRGANOX1010」、BASF社製)を用いた。この安定剤を、ポリエステル樹脂A100質量部に対して0.2質量部含有させた。
(実施例1〜3、比較例1〜4)
表1に示す組み合わせで配合した配合成分を、シリンダー温度250℃に設定した同方向二軸押出機で混練を行ない、得られたストランドを水冷し、ペレット化した。得られた各ペレットを130℃で4時間乾燥し、各実施例および各比較例に対応するポリエステル樹脂組成物を得た。これらのポリエステル樹脂組成物を対象にして、上述の各評価試験(4)〜(8)を行なった。
金属有機酸塩Bの量については、溶融重合時(エステル化反応後)に金属有機酸塩Bを添加した実施例および比較例において、添加時の量に対し、溶融混練後のポリエステル樹脂組成物中の残存量(含有量)は減少した(重合後期における減圧工程、溶融混練時のベント脱気工程の際に留去した可能性が考えられる)。また、比較例2(ポリブチレンテレフタレート樹脂a−4を用いた例)は、金属有機酸塩Bが不添加である。以上の結果を下記表1に記す。
Figure 0006769290
表1に示すように、実施例1〜3のポリエステル樹脂組成物は、連続成形時の金型汚れが非常に少なく、優れた特性を有することが分かる。
また比較例1〜4は、線状オリゴマー含有量が規定の範囲よりも多い例、金属有機酸塩Bを含まない例およびポリエステル樹脂Aにおけるポリエチレンテレフタレート樹脂bの含有割合が規定の範囲よりも多い例のうち少なくともいずれかに該当し、実施例に比べて金型が汚れやすくなる傾向があった。さらに、ポリエチレンテレフタレート樹脂bの含有割合が異なる実施例2、3と比較例4とで熱変形温度を比較すると、実施例2が145℃、実施例3が121℃である一方、比較例4が75℃となったため、比較例4は耐熱性が著しく低いと評価された。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (6)

  1. 70〜100質量%のポリブチレンテレフタレート樹脂と、0〜30質量%のポリエチレンテレフタレート樹脂とを含有するポリエステル樹脂Aを含むポリエステル樹脂組成物であって、
    前記ポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属の有機酸塩およびアルカリ土類金属の有機酸塩のいずれか一方または両方である金属有機酸塩Bを含み、
    前記ポリエステル樹脂組成物は、アルカリ金属原子およびアルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方を、前記ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.000005〜0.05質量部含み、かつ、
    前記ポリエステル樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量、または前記ポリブチレンテレフタレートの線状オリゴマーおよびポリエチレンテレフタレートの線状オリゴマーの含有量が1000mg/kg以下である、ポリエステル樹脂組成物。
  2. 前記ポリエステル樹脂組成物は、前記アルカリ金属原子および前記アルカリ土類金属原子のいずれか一方または両方を、前記ポリエステル樹脂A100質量部に対し、0.0005〜0.05質量部含む、請求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記金属有機酸塩Bの金属種は、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムからなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項1または2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 前記金属有機酸塩Bは、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウムおよび安息香酸カリウムからなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物を含む、光反射体用部品。
  6. 請求項5に記載の光反射体用部品の表面の少なくとも一部に光反射金属層が形成されている、光反射体。
JP2016248133A 2015-12-25 2016-12-21 ポリエステル樹脂組成物、これを含む光反射体用部品および光反射体 Active JP6769290B2 (ja)

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