JP6768060B2 - 耐酸性のツーピースハードカプセル用の耐酸性バンディング溶液又はシーリング溶液 - Google Patents

耐酸性のツーピースハードカプセル用の耐酸性バンディング溶液又はシーリング溶液 Download PDF

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Description

本開示は、バンディング又はシーリング用の、好ましくは、耐酸性ツーピースハードカプセルのバンディング用の耐酸性バンディング溶液、並びに例えば、医薬品、動物用医薬品、食品、及び栄養補助食品のうちの少なくとも1つをヒト又は動物に経口投与するためのかかるカプセルの使用に関する。
ツーピースハードカプセルは、患者に好まれている経口剤形であり、1世紀より長くにわたって伝統的にゼラチンで作られている。過去20年にわたり、代替の原材料、主に、ヒプロメロース及びプルランを用いた新しいタイプのハードカプセルが開発されてきた。これらのカプセルは、全て即時放出型のものであるか、投与後それらの内容物を胃において即やかに放出するように設計されたものである。
ハードカプセルに特定の機能を付与する試みがなされている。最も成功した例は、内容物を酸性条件から保護することができる、遅延放出性又は腸内放出性の胃耐性ハードカプセルである。一般に、そのようなカプセルは、医薬的に活性な材料、例えば、薬剤、ビタミン調剤、及び他の食物などを固体及び液体のいずれかで保持するために、及びそれらを胃内の酸性条件から保護するために、医薬産業及び食品産業で利用されている。
胃の酸性条件に耐性を有する遅延放出性カプセルは、当初は、ホルムアルデヒドにて処理することによるゼラチンの不溶化を使用して開発された。例えば、Ridgway et al.,Hard Capsule Development&Technology,The Pharmaceutical Press,1978,p.11.を参照されたい。
カプセルコーティング技術の開発に伴い、腸溶性ハードカプセル(「腸溶性コーティングカプセル」)が、医薬品市場でより普及した。例えば、Ridgway et al.,Hard Capsule Development&Technology,The Pharmaceutical Press,1978,pp.229〜232を参照されたい。
上記のいずれの場合でも、カプセル自体は即時放出性のものであり、その耐酸性は、一般的には製薬会社でカプセルに充填を行った後に、カプセルの製造後処理によって達成される。
最近では、CAPSUGEL(商号)が、本質的に耐酸性のHMPCハードカプセルを開発し、DRcaps(商標)カプセルの名で上市した。このカプセルは、耐酸性HPMC処方物で作られる。その結果、カプセルシェルそのものが耐酸性となり、耐酸性を持たせるために充填後処理する必要はない。
DRcaps(商標)カプセルの更なる評価は、ある種の条件下で、カプセルの2つの部分、すなわち、ボディ及びキャップが、例えば、インビトロ溶出試験の、特に、酸性条件下でインビトロ崩壊試験の際の機械的応力下で分離する危険性が依然として存在することを明らかにした。同様に、溶出溶媒が密閉カプセル中に拡散する危険性、及び/又は内容物がボディとキャップとの間の間隙を通ってカプセルから拡散する危険性は、依然として存在する。
したがって、インビトロ溶解試験中の、ボディとキャップの分離及びその間隙からの拡散を効果的に防ぎ、インビボで最終剤形の耐酸性能を改善するための方法を開発することが求められている。
ボディとキャップの間隙からの漏出を減らす数多くの解決策が開発されている。例えば、保管中の内容物の漏出を防止するため、一般的には、ゼラチンバンディング溶液によるハードゼラチンカプセルのバンディングが用いられる。
漏出を低減するための別の方法には、カプセルのキャップとボディとを「シーリング液」により互いに直接シールするというものがある。例えば、米国特許第3,071,513号、米国特許第2,924,920号、仏国特許第2,118,883号、欧州特許第0152517号、米国特許第4,756,902号、仏国特許第2 118883号、欧州特許第0152517号、及び米国特許第4,756,902号を参照されたい。バンディングツーピースハードカプセルをバンディングする方法、並びにバンディングのための装置は、例えば、米国特許第8,181,425号、同第7,229,639号、同第7,094,425号、同第5,054,208号、同第4,940,499号、同第4,922,682号、同第4,761,932号、及び同第4,734,149号に開示されており、これらの全容が参照により本明細書に組み込まれる。
更に、耐酸性カプセル及びヒプロメロースカプセル、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)DRcaps(商標)(CAPSUGEL(商号)カプセルなどの開発では、バンディングされたカプセルの耐酸性を確保する目的で、バンディング溶液の組成をポリマー特性に適合させる必要性が生じた。例えば、国際公開第2007/020529号、同第2011/036601号を参照されたい。
バンディングに関する既存の既知の方法の全てが適切な耐酸性を示すのではなく、そのため、インビトロ試験中には酸性媒体に溶解し、胃の酸条件でも溶解する。
かかる欠点を克服する試みは、国際公開第2013/150331(A1)号でなされており、当該特許では、耐酸性バンディング組成物は、アルカリ化合物を含む水性組成物に、耐酸性ポリマーを処方することによって達成された。
しかしながら、良好に漏出及び変形(又はキャップ/ボディ収縮)の危険性を制限し、典型的には、インビトロでの良好な耐酸性、並びにバンディングされたカプセルの良好な外観をもたらすべく、耐酸性カプセルに使用するのに安全で効果的な方法を開発する必要がある。
定義
本明細書で使用するとき、以下の単語、語句、及び記号は、それらが使用される文脈で特に示されない限り、下記の意味を有するものであることを一般に意図する。
用語「場合による」又は「場合により」は、続いて記述される事象、構成要素、又は状況が、生じることも生じないこともあり得ること、並びにかかる記述が、事象、構成要素、又は状況が生じる場合、及びそれが生じない場合を含むことを意味する。
用語「約」は、およそ、ほぼ、大体、又はおおよそを意味するものであることを意図する。用語「約」を、数値範囲と共に使用した場合、用語「約」は、示した数値の上下に境界を広げることにより、その範囲を修飾する。別途記載のない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示した数値パラメーターは、近似値であることが理解されるべきである。少なくとも、及び、特許請求の範囲への均等論の適用を限定するための試みとしてではなく、数値パラメーターは、報告される有効数字の桁数を考慮に入れ、かつ、通常の丸め法を適用して解釈されるべきである。
別途記載のない限り、「セルロースアセテートフタレート」はCAPとも呼ばれており、ポリマーの分野では以下の別の名称、CAS登録番号9004−38−0、化学一般の同義語、例えば、アセチルフタリルセルロース、セルロースアセテート水素1,2−ベンゼンジカルボキシレート、セルロースアセテート水素フタレート、セルロースアセテートモノフタレート、セルロースアセトフタレート、及びセルロースアセチルフタレート、並びに非商標名、例えば、セラセフェート(イギリス薬局方)、セルロースアセテートフタレート(日本薬局方)、セルロースアセテートフタレート(cellulosi acetas phthalas)(欧州薬局方)、及びセラセフェート(米国薬局方)により一般に知られている。
特に明記しない限り、「セルロースアセテートトリメリテート」は、CATとも呼ばれる。
特に明記しない限り、「ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート」は、HPMCASとも呼ばれる。
特に明記しない限り、「ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート」は、HPMCPとも呼ばれる。
特に明記しない限り、「カルボキシメチルエチルセルロース」は、CMECとも呼ばれる。
特に明記しない限り、「ポリビニル誘導体」には、PVAPとも呼ばれるポリビニルアセテートフタレートが含まれるが、これに限定されるわけではない。
特に明記しない限り、「室温」という用語は、約18℃〜約28℃、より詳しくは約20℃〜約24℃(22℃±2℃)を意味する。
特に明記しない限り、用語「耐酸性ツーピースハードカプセル」は、耐酸性と記述された、若しくは耐酸性処方物から製造された、又はカプセル製造後の適当な処理によって得られたツーピースハードカプセルを指し、国際公開第2011/030952号、欧州特許第22236851号、及び/又は米国特許公開第2010/113620(A1)号に記述されたカプセルを含むが、これらに限定されるわけではない。
別途記載のない限り、用語「変形のない」は、キャップの収縮が10%未満、好ましくは9%未満、より好ましくは8%未満であることを意味する。収縮は、バンド上のキャップの最大直径を採寸し、かかるバンドの位置でカプセルの直径を減算した後、かかる最大直径で除算し100を乗じることにより測定される。異なる処方に関しキャップの収縮レベルを図2及び図3に見ることができる。
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、かつその一部を構成し、本開示の実施形態を説明しており、並びに上記の一般的な説明及び下記の実施形態についての詳細な説明と共に、本開示の原理を説明するのに役立つ。
様々な有機溶媒/水比でのバンディング、及びその後の減圧への暴露後のカプセル漏出率(%)である。 バンディングされたカプセルの、様々な有機溶媒/水比での変形である。 様々な有機溶媒/水比でのキャップ/ボディ収縮を示す画像である。 様々な有機溶媒/水比での、0.1MのHCl中で120分の崩壊評価後の、カプセルの伸長を示す画像である。
発明の詳細な説明
したがって、本開示の一態様は、耐酸性ツーピースハードカプセルのバンディング用の耐酸性バンディング溶液であって、かかるカプセルが、入れ子状に係合させたカプセルパーツを含み、かつバンディングを用いずに閉じられたカプセルと比較して耐酸性特性が向上した、溶液を提供する。
一態様では、本開示は、好ましくは、耐酸性ポリマーと、少なくとも1つの中和化合物と、又はアルカリ(又は塩基)化合物(又は物質)などの物質と、溶媒として有機溶媒及び水の混合物と、を含み、好ましくは本質的にこれらからなる、耐酸性バンディング組成物を提供する。
一態様では、本開示は、耐酸性バンディング組成物、バンディング方法、及びバンディングされたカプセルを提供することにより、バンドの外観及び/又は漏出速度の減少をもたらす。
一態様では、本開示は、ツーピースカプセルをバンディングする方法を提供し、かかる方法は、カプセルパーツ間に耐酸性シールを提供し、インビトロでの耐酸性の向上がもたらされる。
更なる態様では、本開示は、耐酸性カプセル用のバンディング溶液、並びに従来のバンディング法及び装置の利点を利用する、耐酸性バンディング溶液により耐酸性カプセルをバンディングする方法に関する。例えば、F.Podczeck and B.Jones,Pharmaceutical Capsules,2nd Ed.,Pharmaceutical Press(2004),pp.182〜183を参照されたい。
一実施形態では、有機溶媒は、1種以上の極性溶媒、又は炭素鎖の短いアルコール(C<10)、又はヒドロキシル基含有アルコール、好ましくはイソプロパノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、エチルアセテート、アセトン、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものを含み、好ましくは、エタノールを含む、又はエタノールから構成される。
好ましくは、本明細書における組成物は界面活性剤を含まない。この構成の利点は漏出が低減されるというものである。更に、界面活性剤を有しないという点も、特に、水溶性界面活性剤を含む組成物と比較したときの乾燥時間の改善及び崩壊性能の向上につながり得る。
一実施形態では、少なくとも1つの耐酸性ポリマーと、少なくとも1つのアルカリ化合物と、有機溶媒と、水と、を含む、バンディング組成物、及び耐酸性ハードカプセルをバンディングする方法が提供され、ここで、有機溶媒の水に対する比は、60:40より大きく100:0まで、概して100:0未満、好ましくは、65:35〜90:10、より好ましくは、70:30〜85:15、更により好ましくは、75:25〜83:17、最も好ましくは、77:23〜80:20である。特に、60:40以下の比では、実質的な収縮、及びカプセルのバンディング後に生じるキャップ/ボディ収縮が観察される。一方、溶媒が有機溶媒からなる場合(すなわち、100:0の割合)は、適用に際し難加工性となる場合があり、したがって水を含ませることが好ましい。
一実施形態では、有機溶媒は、組成物の少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、更により好ましくは少なくとも60重量%、最も好ましくは少なくとも70重量%の量で存在する。
一実施形態では、ハードカプセル用のバンディング組成物において、少なくとも1つの耐酸性ポリマーは、メタクリル酸コポリマー(ポリ(メタクリル酸−co−エチルアクリレート)などの、メタクリル酸と、メチルメタクリレート又はエチルアクリレートのいずれかとの1:1のコポリマー)、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ポリビニル誘導体(例えば、ポリビニルアセテートフタレート)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましい耐酸性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)である。
耐酸性ポリマーは、全バンディング組成物の2重量%〜30重量%、好ましくは、5重量%〜28重量%、好ましくは、10重量%〜25重量%、好ましくは、11重量%〜20重量%、更により好ましくは、12重量%〜15重量%のレベルで含まれ得る。
本明細書で使用するとき、「アルカリ物質」は、耐酸性ポリマーの酸基を中和することができる、少なくとも1つの塩基性化合物又は塩基性組成物を指し、それには、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、又はその他の塩基性化合物又は組成物、例えば、水酸化アンモニウム、カチオン性ポリマー(EUDRAGIT(登録商標)E POなど)、及びこれらの混合物を挙げることができるがこれらに限定されない。
一実施形態では、バンディング組成物の少なくとも1つのアルカリ化合物は、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、カチオン性ポリマー及びコポリマーなどのあらゆるポリマーアルカリ物質、例えば、Evonikから市販されており、かつ0.18g KOH/gポリマーのアルカリ価を有する、ポリ(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート−co−ブチルメタクリレート−co−メチルメタクリレート)2:1:1(IUPCACポリ(ブチルメタクリレート−co−(2−ジメチルアミノエチル)メタクリレート−co−メチルメタクリレート1:2:1)ベースのカチオン性コポリマーEUDRAGIT(登録商標)E PO、有機第四級アンモニウムカチオン又はアミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの化合物である。好ましくは、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物から選択される。
一実施形態では、少なくとも1つのアルカリ化合物は、全量で、耐酸性ポリマーのKOH当量の0重量%〜5重量%、好ましくは、0重量%より多く3重量%まで、より好ましくは、0.01重量%〜2重量%、更により好ましくは、0.03重量%〜1重量%、更により好ましくは、0.04重量%〜0.7重量%、より好ましくは、0.05重量%〜0.4重量%で存在する。例えば、組成物の0.7重量%のNH量(35%活性)(組成物の14.2重量%のレベルの耐酸性ポリマーについて)、すなわち、ポリマーの(0.7x0.35)/14.2=0.017重量%(耐酸性ポリマーの重量に基づいてKOH当量で0.056%に相当)は、(0.017/17)x56により計算され、ここで、NHのモル質量は17g/molであり、KOHのモル質量は56g/molである。
一実施形態では、耐酸性バンディング組成物は、耐酸性カプセルに適用され、したがって、これを更に構成し、並びに別の実施形態では、耐酸性バンディング組成物はディップ成形された又は射出成形されたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)耐酸性カプセルに適用され、したがってこれを更に構成する。他の実施形態では、耐酸性バンディング組成物は、ディップ成形されたHPMCASカプセル又はCAPカプセルなどの腸溶カプセルに適用され、したがってこれを含む。
一実施形態では、バンディング組成物はバンド領域全体に適用され、典型的には、カプセルの外表面全体と、入れ子状のカプセルのカプセルキャップ及びボディ間の重なり合う部分の少なくとも一部分上とに適用され、但し、典型的には、ハードカプセルの全外表面の50%以下、好ましくは45%以下、より好ましくは40%以下、最も好ましくは30%以下に適用される(かかる全表面は、概してボディ全体がキャップに入れ子状に挿入され、閉ざされた配置になるよう組み立てられた状態のカプセルの全外表面積をもとに取られる)。
一実施形態では、バンディング組成物は、典型的には、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)(例えば、USP30−NF25で定義される2910、2906、及び/又は2208型のHPMC)、メチルセルロース(MC)、ゼラチン、プルラン、PVAなどのビニルアルコール、ヒドロキシプロピルスターチなどのスターチ誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される1種以上の皮膜形成助剤を更に含む。好ましくは、HPMC及び/又はMCである。ゲル化助剤を含ませる場合、全バンディング組成物の3重量%〜10重量%、好ましくは4重量%〜8重量%、最も好ましくは4.5重量%〜6.5重量%の合計量で含ませることができる。
一実施形態では、バンディング組成物は、場合により、医薬的に許容可能な又は食品的に許容可能な可塑剤を少なくとも1つ更に含む。
一実施形態では、本開示のバンディング組成物は、医薬的に許容可能な又は食品的に許容可能な着色剤を少なくとも1つ更に含み得る。
本開示は、混合下で、少なくとも1つの耐酸性ポリマーを、少なくとも1つの有機溶媒と水とを含む混合物に分散させることと、少なくとも1つの耐酸性ポリマーが溶解するまで、穏やかに撹拌しながら少なくとも1つのアルカリ化合物を漸次加えることと、を含む、耐酸性バンディング溶液の調製方法も提供する。
一実施形態では、本開示の方法は、室温で実施するバンディング溶液の調製を提供する。別の実施形態では、本開示による方法は、室温下でハードカプセルのバンディングを実施することによる、バンディング溶液の使用を提供する。バンディングする方法は、自動式バンディング法及び手作業によるバンディング法を含む。例えば、D.K.Lightfoot,Tablets and Capsules Magazine,CSC Publishing(January 2007)によるカプセル充填法を参照されたい。
一実施形態では、耐酸性バンディング溶液の調製方法は、ハードカプセルバンディング方法に適したレベルに粘度を調整することを更に含む。耐酸性ハードカプセルバンディング溶液及び方法に適切な粘度の非限定例は、例えば、21℃(Brookfield,スピンドル27及び剪断速度設定12RPM)にて、約50cP(mPa・s)〜約10,000cP、約100cP〜約5000cP、200cP〜3000cP、及び約300cP〜約1500cPの粘度である。溶液の濃度を調節することにより(すなわち、水量及び/又はポリマー量を変えることにより)所望の粘度が得られる。
一実施形態では、本明細書におけるバンディング組成物を使用して、ボディの外表面とキャップの内表面との間の接触部分をシールすることができる。このような実施形態では、組成物の粘度が、1cP〜1000cP、好ましくは、1cP〜500cP、より好ましくは、1cP〜100cP、最も好ましくは、1cP〜50cPであること(すなわち、毛管力により、カプセルボディとカプセルキャップとの間に形成された間隙全体に組成物を引き込ませるのに十分低いこと)が好ましい。
他の実施形態では、耐酸性バンディング溶液の調製方法は、溶液に医薬的に許容可能な若しくは食品的に許容可能な少なくとも1つの可塑剤、及び/又は医薬的に許容可能な若しくは食品的に許容可能な少なくとも1つの着色剤を加えること、を更に含む。
医薬的に許容可能な又は食品的に許容可能な着色剤の例としては、タートラジンE102、FD&Cイエロー5D&Cイエロー10、サンセットイエローE110、FD&Cイエロー6、D&CレッドNo.22、D&CレッドNo.28、D&CレッドNo.33(酸性フシン(Acid Fushine))、アルラレッドE129、FD&Cレッド40、インジゴカルミンE132、FD&Cブルー2、ブリリアントブルーFCF E133、FD&Cブルー1、カラメル、USP E150c、FD&Cグリーン3、FD&Cレッド3/エリトロシン、アゾルビン、ブリリアントブラック、銅クロロフィリン錯体又は銅クロロフィリンナトリウム、ポンソー4R、パテントブルーV、キノロンイエロー、クルクミン、赤キャベツ、及びこれらの混合物を含む可溶性染料が挙げられるが、これらに限定されない。医薬的に許容され得る又は食品に許容され得る着色剤の他の例としては、二酸化チタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、カンドリン銀微粉(Candurin silver fine)、及びこれらの混合物を含む顔料が挙げられるが、これらに限定されない。
本開示は、本明細書に記載のとおりの耐酸性バンディング組成物で本明細書に記載のとおりの耐酸性ハードカプセルをシールする方法であって、カプセルキャップの開口端部に近い端部全体に組成物を適用する工程と、これに続いて組成物をボディの外表面とキャップの内表面との間隙(キャップ/ボディ接触部分とも呼称)に入り込ませることで、かかる間隙を充填する、保圧(dwelling)工程と、並びに続いて場合により、キャップ/ボディ接触部分の全周に沿ってキャップをボディに対しシールさせるべく乾燥させる工程と、を含む、方法も提供する。
本開示は、少なくとも1つの耐酸性ポリマーと、少なくとも1つのアルカリ化合物と、水と、を含む、耐酸性バンディング組成物により、本明細書に記載のとおりに耐酸性ハードカプセルをバンディングする方法も提供する。方法は、所望のバンディング組成物量を決定することと、必要なバンディング組成物を計量することと、かかるバンディング組成物を耐酸性カプセルに適用することと、を含む。
本開示は、バンド厚若しくは重量が小さくても、例えば10mg未満、又は5mg未満でも有効な耐酸性ハードカプセルの耐酸性バンディングも提供する。これらの値は、バンディング溶液の量、付着及び濃度、並びにサイズ0のカプセルの乾燥バンド重量に関し得られる結果に基づいて計算され、より小さいカプセルでは比例することになる。バンド重量は、カプセルサイズに応じ調整される。
以下の非限定的な実施例は、本開示を明確にするために提示されるのであって、本特許請求の範囲を限定することを意味するものではない。バンディングの実施例に用いた耐酸性カプセルは、CAPSUGEL(商号)からの天然の透明な(N.T.)サイズ0のDRcaps(商標)カプセル(HPMC)であるが、あらゆる耐酸性カプセルを用いてもよい。本開示によるバンディング溶液及び方法は、あらゆるサイズのDRcaps(商標)カプセル又はあらゆるサイズの他の耐酸性ツーピースカプセルに適用することができる。本開示のバンディング溶液は、耐酸性の性能を有するあらゆるツーピースハードカプセルに適用することができ、例えば、限定するものではないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)から、又はセルロースアセテートフタレート(CAP)から製造された腸溶カプセルを、本開示によるバンディング溶液及び方法を用いてバンディングしてもよい。
実施例1
表1に、耐酸性ポリマーとしてそれぞれHPMCP(HP−55)、CAP、又はHPMCASを用いる3通りの例示的なバンディング溶液を示す。アルカリ化合物は、NH濃度35%のアンモニア水溶液(Fisher Scientificからのアンモニア溶液0.88S.G(35%NH))である。室温下で撹拌しながら、ポリマー粉末の重量をもとに適量を最初にエタノール/脱塩水混合物に分散させて、所望の重量比を得る。次いで、ポリマー粒子が全て溶解するまで、穏やかに撹拌しながら記載量のアンモニア溶液を分散液に漸次加える。パテントブルーV−C.I.フードブルー5E131の0.1%溶液(ポリマー重量に基づく。)を加えてバンディングの可視化を助ける場合がある。
実施例2
実施例1に記載のとおりに、耐酸性ポリマーとしてHPMCAS(Aqoat AS−LG)を用い、バンディング溶液を製造する(表2中、処方1〜5)。各処方に食品等級の着色剤を更に加え、バンディングの可視化を助ける。
バンディング試験には、サイズ0のDRcaps(商標)カプセル(Capsugel(商号)製)を使用する。カプセルには、97重量%のMiglyolと3重量%のAerosilとからなる液体組成物を最初に充填する。充填したカプセルを、次に処方1〜5のバンディング組成物によりバンディングする(表2)。
カプセルに適用するバンディング溶液量についてスクリーニングして、有効な耐酸性バンディングをもたらすのに必要なバンド厚又はバンド量を求める。カプセルに適用するバンディング溶液の量は、バンディング手順の前及び直後にカプセルを計量し、得られた重量を比較することにより求める。バンディングは、S1 Bench−Top Capsule Band−Sealer(Qualicaps)又はMG2(Model SL/M)の実験室規模バンディング装置において、室温条件下で乾燥させながら実施する。
次に、バンディングされたカプセルを室温で約12時間静置して硬化させる。
減圧[約−0.8barの減圧]下で、無傷のカプセルを指示紙(witness paper)の上に置いた後、漏出について試験する[指示紙上への内容物の漏出についてカプセルを目視検査し、漏出カプセルをバッチから取出し、漏出カプセルの数を記録する]。各エタノール:水比でバンディングされた一群のカプセル約400個を試験用の代表サンプルとして使用する。図1は、エタノール:水比60:40未満では許容され得ない漏出があり、最も好ましい範囲は70:30〜90:10であることを示す。
バンディングされたカプセルを収縮及び/又は変形及び/又は縮みについて目視検査し、代表サンプルを撮像する(図3を参照のこと)。
目視検査の2時間前にカプセルサンプル(n=3)を0.1MのHCl溶液に入れて、かかるバンディングされたカプセルの変形及び/又は崩壊についても目視検査する。次に、各サンプルの写真を撮像する(図4を参照のこと)。
実施例3
耐酸性ポリマーとしてHPMCAS(Aqoat AS−LG)を用い、実施例1によりバンディング溶液を作製する(表3)。各処方に食品等級の着色剤を更に加え、バンディングの可視化を助ける。
顕微鏡検査及び計算(バンドより前のキャップの最大直径−バンドにおけるカプセル直径)/バンドより前のキャップの最大直径x100)によりバンド収縮を測定する。図2に、n=約20で一揃いとしたサンプルについて収集したキャップ収縮測定値のボックスプロットを示す。エタノール:水比が70:30より大きいと、示される収縮が最も小さく、80:20〜90:10の比でプラトー現象に達することから、75:25から典型的には90:10未満の比が最も好ましい。
DRcap(商標)カプセルの他、HPMCAS又はCAPにより製造されるものなどの腸溶カプセルも、実施例による方法、並びに本明細書に記載のUSP崩壊法などのバンディング試験に使用できる。

Claims (17)

  1. 少なくとも1つの耐酸性ポリマーと、少なくとも1つのアルカリ物質と、有機溶媒と、水とを含み、有機溶媒の水に対する比が60:40より大きく100:0までである、耐酸性ツーピースハードカプセル用の耐酸性バンディング又はシーリング組成物であって、
    前記少なくとも1つの耐酸性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)であり、前記有機溶媒がエタノールである、
    組成物
  2. 前記少なくとも1つのアルカリ物質が、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化アンモニウム、アンモニア、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
  3. 液体であり、前記ツーピースハードカプセルを液体バンディングするためのものである、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 有機溶媒の水に対する比が、60:40より大きく100:0未満である、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  5. 前記有機溶媒が、前記組成物の少なくとも30重量%の量で存在する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  6. 21℃にて1mPa・s〜10,000mPa・sの粘度を有する、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  7. 前記少なくとも1つのアルカリ化合物がアンモニアである、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物。
  8. 耐酸性バンディング溶液又はシーリング溶液の調製方法であって、
    混合下で、少なくとも1つの耐酸性ポリマーを、水及び有機溶媒中に分散させることであって、前記有機溶媒の水に対する比が60:40から100:0である、分散させることと、
    前記少なくとも1つの耐酸性ポリマーが溶解するまで、穏やかに撹拌しながら少なくとも1つのアルカリ物質を漸次加えることで、請求項1〜のいずれか一項に記載の組成物を得ることと、を含み、
    前記少なくとも1つの耐酸性ポリマーがヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)であり、前記有機溶媒がエタノールである、
    方法。
  9. 前記バンディング溶液の調製が室温で実施される、請求項に記載の方法。
  10. カプセルの外表面上の、前記カプセルの少なくとも2つの入れ子状ピースの重なり合う部分に少なくとも伸長するバンド領域を覆う、請求項1〜のいずれか一項に記載の耐酸性バンディング組成物を含む耐酸性ハードカプセル
  11. 前記カプセルが、医薬品、動物用医薬品、食品、及び栄養補助製品のうちの少なくとも1つの、ヒト又は動物に対する経口投与に使用するためのものであり、前記バンド領域が、前記ハードカプセルの全外表面の50%以下を被覆する、請求項10に記載の耐酸性ハードカプセル。
  12. ボディとキャップとの間の間隙を前記シーリング組成物で充填するべく、カプセルボディの外表面と、カプセルキャップの内表面との間の接触部分に沿って伸長するシーリング領域を覆う、請求項1〜のいずれか一項に記載の耐酸性シーリング組成物を含む耐酸性ハードカプセル
  13. 前記カプセルが、医薬品、動物用医薬品、食品、及び栄養補助製品のうちの少なくとも1つの、ヒト又は動物に対する経口投与に使用するためのものであり、前記シーリング領域が、前記ハードカプセルの全周にわたって伸長する、請求項12に記載の耐酸性ハードカプセル。
  14. 前記カプセルが、ディップ成形された又は射出成形されたヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)耐酸性ハードカプセルを含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載のカプセル。
  15. 請求項1〜のいずれかに記載の耐酸性バンディング組成物により、耐酸性ハードカプセルをバンディングする方法であって、
    所望の前記バンディング組成物量を決定する工程と、
    必要とされる前記バンディング組成物を計量する工程と、
    前記バンディング組成物を前記耐酸性カプセルのバンディング領域上に適用する工程と、を含む、方法。
  16. 前記バンディング領域が、前記ハードカプセルの前記全外表面の50%以下を被覆する、請求項15に記載の方法。
  17. 前記バンディング領域の変形を低減するための、請求項15または16に記載の方法における、請求項1〜に記載の組成物の使用。
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