JP6767547B2 - ナトリウムを含有する炭酸飲料 - Google Patents

ナトリウムを含有する炭酸飲料 Download PDF

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Description

本発明は、ナトリウムを含有する炭酸飲料に関する。特に本発明は、ナトリウムを含有しつつも炭酸の爽快感を備えた炭酸飲料、および、その製造方法に関する。
発汗などによって崩れやすいイオンバランスを保ち、ミネラル分と水分の補給を効果的に行うため、一定量のナトリウムイオンを配合した飲料が知られている。特に熱中症対策などには、基本的に水分とナトリウムイオンの補給が有効であるところ、一定量のナトリウムイオンを配合した経口補水塩やスポーツドリンクなどが一般に市販されている。
また、炭酸飲料は、飲料に含まれる炭酸によって爽快感を感じることができるため、嗜好性に優れた飲料として消費者に広く楽しまれている。近年、消費者の健康意識、天然・自然志向などを背景に、ミネラルウォーターなどに香料やエキス、果汁などを配合したフレーバードウォーター(flavored water)の人気が高まっており、これらの飲料は、ニアウォーターとも呼ばれるように水のような外観を有している。フレーバードウォーターのような飲料においても、炭酸を含有させて爽快感を向上させたり、各種の電解質や機能性成分を配合して飲料に機能を付加することが検討されている。
ところで、ヌートカトン(Nootkatone、ノートカトンともいう)は、分子式C1522Oで表されるセスキテルペンケトン類の一種であり、天然型のd−ヌートカトンはグレープフルーツなどの特徴的な香りを有する化合物として知られている。ヌートカトンは、交感神経を活発にする働きがあるとされ、飲料などへ配合することが検討されている(特許文献1)。
特開2011−167144号公報
効果的な水分補給を可能にするため、飲料中にナトリウムイオンを配合することが行われる。しかし、塩化ナトリウムなどを飲料に配合すると、ナトリウムの配合量が多くなるにしたがって塩味やぬめり感が生じてしまい、飲料の爽快感が損なわれる場合がある。特に炭酸飲料の場合、炭酸ガスを配合することによって爽快感のある飲料を調製しようとしても、飲料にナトリウムを多く配合すると飲料の爽快感が失われてしまうという課題があった。
このような状況に鑑み、本発明の課題は、飲料100mlあたりナトリウムを20mg以上含有するような飲料であって、炭酸ガスを含有させた炭酸飲料にした場合であっても炭酸による爽快感が損なわれていない炭酸飲料を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、飲料100mlあたりナトリウムを20〜70mg以上含有するような炭酸飲料において、特定量のヌートカトン類とリン酸を配合することによって、ナトリウムを多く含有するにもかかわらず炭酸の爽快感を有する炭酸飲料を得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
これに限定されるものではないが、本発明は、以下の態様を包含する。
(1) 飲料100mlあたりナトリウムを20〜70mg含有する容器詰炭酸飲料であって、リン酸を0.005〜0.16w/w%含有し、ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの少なくとも1つを合計で5〜600ppb含有する、上記炭酸飲料。
(2) 飲料全体の酸度(クエン酸換算)に対するリン酸由来の酸度(クエン酸換算)が20〜80%である、(1)に記載の炭酸飲料。
(3) ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの合計濃度(ppb)/リン酸濃度(w/w%)が、100〜7000である、(1)または(2)に記載の炭酸飲料。
(4) ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの少なくとも1つを合計で50ppb以上含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載の炭酸飲料。
(5) 飲料の波長660nmにおける吸光度が0.06以下であり、純水を基準とした場合のΔE値(色差)が3.5以下である、(1)〜(4)のいずれかに記載の炭酸飲料。
(6) 飲料100mlあたりナトリウムを20〜70mg含有する容器詰炭酸飲料の製造方法であって、飲料に、リン酸を0.005〜0.16w/w%、ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの少なくとも1つを合計で5〜600ppb配合する工程、飲料に炭酸ガスを含有させる工程、飲料を容器に充填する工程、を含む、上記製造方法。
本発明によれば、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ナトリウムを飲料100mlあたり20〜70mg以上含有するにもかかわらず、炭酸の爽快感を有する炭酸飲料を製造することができる。また本発明で使用する特定量のヌートカトン類やリン酸は、飲料の色調を大きく変化させることがないため、本発明の技術は、フレーバーウォーターやニアウォーターなどに炭酸を加えた無色透明な炭酸飲料に好適に利用することができる。
図1は、表1−2(実験例1−2)の処方で調製した容器詰炭酸飲料について、ヌートカトン類の量を横軸、リン酸の酸度(クエン酸換算)/飲料全体の酸度(クエン酸換算)の量を縦軸とし、飲料の総合評価をグラフ上にマッピングした図である。
本発明は、飲料100mlあたりナトリウムを20〜70mg含有する容器詰炭酸飲料であって、
リン酸を0.005〜0.16w/w%含有し、ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの少なくとも1つを合計で5〜600ppb含有する炭酸飲料である。
ナトリウム
本発明の飲料は、飲料100mlあたりナトリウムを20〜70mg含有する。効果的に体内に水分補給するには、一定量のナトリウムイオンを摂取するとよいことが知られており、特に熱中症対策などに有効である。本発明においては、飲料100mlあたりナトリウムを20〜70mg配合するが、ナトリウムの配合量は、好ましくは25〜60mg/100mlであり、より好ましくは30〜50mg/100mlである。ナトリウムの配合量が20mg/100mlより少なくなると、水分補給の効率が低くなる一方、ナトリウムの配合量が70mg/100mlを超えると、本発明によってもナトリウムの配合に伴って飲料の嗜好性が低下することがある。
飲料にナトリウムを配合するためには、例えば、クエン酸ナトリウムや塩化ナトリウムなどの塩の形で飲料にナトリウム源を添加することができる。
本発明において、飲料中に含まれるナトリウムの定量は、例えば、原子吸光光度法などによって行うことができる。
炭酸飲料
本発明の飲料は、炭酸ガスを含有させた炭酸飲料である。上述したように、一定量以上のナトリウムを飲料に配合するとぬめりや塩味が生じてしまい、炭酸飲料の爽快感が低下するという技術課題が生じていた。しかしながら、本発明によれば、飲料100mlあたりナトリウムを20〜70mg配合しても、炭酸ガスによる爽快感を具備した炭酸飲料を得ることができる。
炭酸ガスは、当業者に通常知られる方法を用いて飲料中に提供することができ、例えば、これらに限定されないが、二酸化炭素を加圧下で飲料に溶解させてもよいし、カーボネーターなどのミキサーを用いて配管中で二酸化炭素と飲料とを混合してもよい。あるいは、二酸化炭素を充填したタンク中に飲料を噴霧することにより二酸化炭素を飲料に吸収させてもよいし、飲料と炭酸水とを混合してもよい。
一つの態様において本発明の炭酸飲料は、20℃において好ましくは1.0〜3.5kgf/cm、より好ましくは1.2〜3.3kgf/cm、さらに好ましくは1.5〜2.5kgf/cmの炭酸ガス圧を有する。飲料の炭酸ガス圧は、適宜調節することが可能である。本発明において、炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA−500Aを用いて測定することができる。例えば、試料温度を20℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧を測定すればよい。
ヌートカトン類
本発明の炭酸飲料は、ヌートカトン類を5〜600ppb含有する。ヌートカトンは、ノートカトンとも呼ばれ、分子式C1522Oで表されるセスキテルペンケトン類の一種である。天然型のd-ヌートカトンはグレープフルーツなどの特徴的な香り成分であり、交感神経を活発にする機能を有するとされる。
本発明においては、一定量のナトリウムを含有する炭酸飲料にヌートカトン類を配合することによって、後述するリン酸と相まって、ナトリウムを含有するにもかかわらず炭酸飲料の爽快感を維持することが可能になる。本発明において使用するヌートカトン類は、ヌートカトンの他に、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンであってもよいが、これらの合計量を5〜600ppbとする必要がある。ヌートカトン類の配合量が少なすぎると、炭酸飲料の爽快感が損なわれる一方、ヌートカトン類の配合量が多すぎると、ヌートカトン類に起因する香味が強くなり炭酸飲料の嗜好性が損なわれることがある。
上述したように、本発明の炭酸飲料には5〜600ppbのヌートカトン類を配合するが、ヌートカトン類の配合量は、好ましくは10〜450ppbであり、より好ましくは20〜400ppb、さらに好ましくは30〜350ppbであり、よりさらに好ましくは40〜300ppbであり、50〜250ppbとしてもよい。
飲料中のヌートカトン類は、公知の方法によって定量することができる。例えば、GC/MS測定装置を用いる場合、以下の条件で分析することができる。
<ヌートカトン類の分析条件>
バイアル瓶(容量20ml)に試料溶液5gを量り取り、Gerstel社製Twister(PDMS)を
いれて室温で30分、香気成分を抽出後、加熱脱着装置付きGC/MS測定に供した。定量値は標準添加法で算出した。分析条件の詳細は、以下の通りである。
・GC:Agilent Technologies社製 GC6890N
・MS:Agilent Technologies社製 5975B
・加熱脱着装置:Gerstel社製 TDU
・カラム:Inert cap pure WAX 30m×0.25mm(カラムの内径)、膜厚(カラム液相の厚さ)=0.25μm
・定量イオン:ヌートカトン m/z=147、デヒドロヌートカトン m/z=216、ジヒドロヌートカトン m/z=220
・温度条件:40℃(5分)〜10℃/分〜260℃
・キャリアガス流量:He 1.2ml/分
・TDU温度:260℃
・IF温度:260℃
・イオン源温度:230℃
リン酸
本発明に係る炭酸飲料には、上述した特定量のヌートカトン類に加えて、リン酸を0.005〜0.16w/w%配合する。リン酸は、無機酸の酸味料として知られているが、飲料の酸味を過度に強くすることなくpHを調整することができる。本発明の炭酸飲料にリン酸を配合するにあたっては、リン酸ナトリウムなどの形で飲料に添加すれば、ナトリウムおよびリン酸を同時に飲料に配合することができるため特に好ましい。
本発明の飲料に配合するリン酸の量は、上記範囲であれば、飲料の目的とする設計品質に応じて調整することができる。好ましい態様においてリン酸の量は0.02〜0.13w/w%であり、より好ましい態様においてリン酸の量は0.03〜0.11w/w%であり、さらに好ましい態様においてリン酸の量は0.04〜0.08w/w%である。
また、本発明においては、炭酸飲料に配合するリン酸の量を、飲料全体の酸度に対する比率で規定することもできる。すなわち、炭酸飲料中のリン酸由来の酸度(クエン酸換算)/飲料全体の酸度(クエン酸換算)の比を20〜80%とすることが好ましい。このような量で炭酸飲料にリン酸を配合すると、ナトリウムに起因する爽快感の低下を抑制しつつ、炭酸飲料の香味バランスを良好に維持することができる。
ここで、炭酸飲料の酸度(クエン酸換算)は、例えば、電位差自動滴定装置(例えば、京都電子工業製AT−500N)を用いて中和滴定法によって測定することができる。具体的には、飲料サンプル10gに蒸留水を加えて総量50mlとした後、撹拌しながら水酸化ナトリウム溶液(0.1N、容量分析用試薬)をpHが8.0になるまでビュレットから滴下する。次いで、下式に基づいて、クエン酸換算の酸度を算出すればよい。
「飲料全体の酸度(w/w%)」=滴定量(ml)×F×A×(100/サンプル量(g))
F:約1.00(0.1N水酸化ナトリウム溶液のファクター)
A:0.0064(水酸化ナトリウム溶液1mlに相当するクエン酸のグラム数)
また、炭酸飲料に含まれるリン酸由来の酸度(クエン酸換算)は、下式に従って計算することができる。
「リン酸由来の酸度(クエン酸換算)」=リン酸濃度(w/w%)×0.0064/0.0049
本発明の炭酸飲料に配合された酸味料は、HPLC法などの公知の方法により定量することができる。
その他の成分
本発明の炭酸飲料には、通常の飲料と同様、糖分や甘味料、果汁、各種添加剤等を配合してもよい。各種添加剤としては、例えば、香料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化
剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。
使用できる甘味料は特に制限されず、一般的な甘味料の他に、スクラロースなどの高甘味度甘味料を配合することもできる。甘味料としては、甘味を付与する成分であればどのようなものでも使用でき、果糖、砂糖、果糖ぶどう糖液糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、高果糖液糖、糖アルコール、オリゴ糖、はちみつ、サトウキビ搾汁液(黒糖蜜)、水飴、ステビア末、ステビア抽出物、羅漢果末、羅漢果抽出物、甘草末、甘草抽出物、ソーマトコッカスダニエリ種子末、ソーマトコッカスダニエリ種子抽出物などの天然甘味料を用いることが好ましく、特に、果糖、ぶどう糖、麦芽糖、ショ糖、砂糖が好適に用いられる。これら甘味成分は一種類のみ用いてもよく、また複数種類を用いてもよい。
高甘味度甘味料としては、例えば、ペプチド系甘味料、例えばアスパルテーム、アリテーム、ネオテーム、グリチルリチン等;配糖体系甘味料、例えばステビア甘味料(ステビア抽出物およびステビアを酵素処理してブドウ糖を付加した酵素処理ステビアおよびステビアの甘味成分の中で最も甘味質のよいレバウディオサイドAを含む)、カンゾウ抽出物等;蔗糖誘導体;合成甘味料、例えばアセスルファムカリウム(「アセスルファムK」ともいう)、サッカリン、ネオヘスペリジン−ジヒドロカルコン、スクラロースなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を適宜使用することができる。
また、本発明の炭酸飲料は、アルコール飲料であっても、ソフトドリンクなどの非アルコール飲料であってもよい。本発明の一つの態様において、本発明の飲料がアルコール飲料である場合、アルコール度数が1〜12v/v%であることが好ましい。また、本発明の別の態様において、本発明の飲料は、アルコール度数が1%未満のいわゆるノンアルコール飲料であってもよく、例えば「アルコール度数0.00%」との表示が認められるアルコール度数が0.01%未満の飲料であってもよい。
なお、本発明において、特に断りがない限り、アルコール飲料の「アルコール」とは、化学的な意味での「アルコール類(炭化水素の水素基をヒドロキシ基で置換した物質)」の中でも炭素数が2個のエタノール(エチルアルコール、COH)のことをいい、プロパノール(1−プロパノール又は2−プロパノール)等の他の炭素数のアルコール類を含まない。また、アルコール度数とは、飲料中のエタノールの容量%のことをいう。飲料のアルコール度数(容量%)は、国税庁所定分析法(平19国税庁訓令第6号、平成19年6月22日改訂)に記載の方法によって測定することができる。
本発明の飲料は無果汁であってもよいが、好ましい態様において、本発明の飲料は果汁を含有する。果汁含有飲料に本発明を適用すると、ナリンギンによって果汁の立体感や味わいを効果的に増強することができる。本発明においては、果汁の種類は特に限定されないが、グレープフルーツ果汁以外の果汁を含有させることもできるし、非柑橘系の果汁を飲料に含有させることもできる。
本発明の飲料に含有させる果汁は、透明果汁及び混濁果汁のうちから選択される少なくとも一方であってよい。ここで、透明果汁とは、果物の搾汁を清澄化処理した果汁をいい、半透明果汁もこれに含まれる。透明果汁は香りが良いため、果汁含有アルコール飲料における果汁の香りを優れたものとすることができる。清澄化処理の方法としては、精密濾過法、酵素処理法、限外濾過法などを挙げることできる。また、混濁果汁とは、果物の搾汁を清澄化処理していない果汁をいう。混濁果汁は味が良いため、果汁含有アルコール飲料における果汁の味を優れたものとすることができる。果汁感、濃厚感、ボディ感、奥行き等の味わいを高めたいのであれば、混濁果汁の比率を高めにすることも可能である。
また、果汁は、非加熱殺菌された果汁を用いることが好ましいがこれに限定されるもの
ではなく、加熱殺菌したものを用いることもできる。なお、非加熱殺菌としては、例えば、メンブレンフィルターや中空糸を用いたろ過滅菌、紫外線殺菌などが挙げられる。また、加熱殺菌としては、例えば、100℃以上で行う高温殺菌、100℃未満で行う低温殺菌などが挙げられる。
なお、用いる果汁は、ストレート果汁、ストレート果汁を希釈した果汁、濃縮果汁及び濃縮還元果汁のいずれを用いて調製したものであってもよい。なお、ストレート果汁とは、後記する果実の搾汁に対し、濃縮や希釈などを行っていない果汁をいう。また、濃縮果汁とは、ストレート果汁に対し、加熱濃縮法や冷凍濃縮法などによって果汁中の水分を取り除き、果汁の濃度を高めたものをいう。また、濃縮還元果汁とは、濃縮果汁に対し、計算上、ストレート果汁と同等の濃度となるように水等で希釈した果汁をいう。本発明においては、果汁配合量は、ストレート果汁換算で、0.1%〜100%であることが好ましく、3〜50%がより好ましく、3〜30%としてもよい。
容器詰炭酸飲料
本発明の炭酸飲料は、含まれる可溶性固形分(溶質)濃度が低い飲料においても優れた効果を発揮する。このような特徴によって、本発明の技術は、フレーバードウォーターやニアウォーターなどに炭酸を加えた炭酸飲料に好適に利用することが可能である。可溶性固形分濃度は、糖度計や屈折計などを用いて得られるブリックス(Brix)値によって評価することができ、ブリックス値は、20℃で測定された屈折率を、ICUMSA(国際砂糖分析法統一委員会)の換算表に基づいてショ糖溶液の質量/質量パーセントに換算した値で、溶液中の可溶性固形分濃度を表す。単位は「°Bx」、「%」または「度」で表示される。
本発明の飲料は、可能性固形分濃度の低い低溶質飲料であってもよく、「糖類ゼロ」、「糖質ゼロ」、「カロリーオフ」等と表示される、いわゆるカロリーオフタイプ飲料の態様を包含する。なお、「糖類ゼロ」、「糖質ゼロ」、「カロリーオフ」等の表示は、健康増進法の規定による栄養表示基準に定義されている。例えば、「糖類ゼロ」との表示は、飲料に含まれる糖類(単糖類又は二糖類であって、糖アルコールでないもの)の量が、飲料100gあたり0.5g未満のものに対して付されるものである。
本発明の炭酸飲料は、容器詰め飲料とすることができる。容器詰め飲料の容器は特に制限されないが、例えば、ペットボトルなどの樹脂製容器、紙パックなどの紙容器、ガラス瓶などのガラス容器、アルミ缶やスチール缶などの金属製容器、アルミパウチなど、通常、飲料組成物に用いられる容器であればいずれも用いることができる。
炭酸飲料の種類は特に限定されないが、例えば、果汁含有飲料、アルコール飲料などできることはもちろん、乳性飲料や茶飲料、コーヒー飲料、健康飲料、スポーツ飲料などに炭酸を加えた、炭酸飲料にも本発明を適用することもできる。茶飲料としては、例えば、緑茶(玉露・抹茶・せん茶・番茶・ほうじ茶・玄米茶)、ウーロン茶、紅茶、マテ茶、昆布茶、麦茶、杜仲茶、ハーブティー、薬草茶、生薬成分配合茶などを挙げることができ、また、その他の飲料として、ミネラルウォーター、サワードリンク、トニックウォーター、炭酸水、ニアウォーターなどを挙げることもできる。
炭酸飲料の製造方法
別の観点からは、本発明は、炭酸飲料の製造方法である。当該方法は、所定の濃度のナトリウムを含有する飲料にリン酸およびヌートカトン類を配合することを含む。本発明においては、所定量のナトリウム、リン酸、ヌートカトン類を添加する形態及び方法は特に限定されず、これらを原料として製造工程の任意のタイミングで添加することができる。
本発明の飲料の製造では、原料を配合する方法は限定されない。例えば、公知の方法を用いて原料を飲料中に配合することができる。必要に応じて、殺菌、容器詰めなどの工程を適宜設けることができる。好ましい態様において、本発明の飲料は、飲料の充填工程を経て容器詰め飲料とすることができ、殺菌された容器詰め飲料とすることができる。例えば、飲料組成物を容器に充填した後にレトルト殺菌などの加熱殺菌を行う方法や、飲料組成物を殺菌して容器に充填する方法により、殺菌された容器詰め飲料を製造することができる。
また、本発明の炭酸飲料は、無色および/または透明であることが好ましい。一般に、飲料が水のように無色透明な外観であると塩味が感じられやすくなり、特に炭酸飲料とするとその傾向が強くなるところ、本発明によれば、香味バランスに優れ、爽快感が維持された炭酸飲料を得ることができる。また、本発明の炭酸飲料は、PETボトルのような開口部の狭い容器から直接に飲んだ場合であっても、炭酸の爽快感と優れた味わいを感じることができる。
ここで「飲料が透明である」とは、いわゆるスポーツドリンクのような白濁や、混濁果汁のような濁りがなく、水のように視覚的に透明な飲料であることをいう。飲料の透明度は、例えば、液体の濁度を測定する公知の手法を用いることにより、数値化することもできる。例えば、紫外可視分光光度計(島津製作所製UV−1600など)を用いて測定した波長660nmにおける吸光度が、0.06以下であるものを「透明」と呼ぶことができる。
また、「飲料が無色である」とは、視覚的に認知できる色がついていない飲料であることをいう。飲料の色は、例えば、物体の色差を測定する公知の手法を用いることにより、数値化することもできる。例えば、測色色差計(日本電色工業製ZE2000など)を用いて純水を基準として測定した際の透過光のΔE値が3.5以下である場合を「無色」と呼ぶことができる。
具体的な実験例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実験例に限定されるものではない。また、本明細書においては、特に記載されていない限り、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。
実験例1:炭酸飲料の製造と評価(ヌートカトン)
(炭酸飲料の製造)
飲料100mlあたり40mgのナトリウムを含有し、ヌートカトンを配合した容器詰炭酸飲料を製造し、評価した。下表の処方に基づいて飲料全体の酸度(クエン酸換算)が0.07%(表1−1)、0.14%(表1−2)、0.21%(表1−3)である飲料を調製し、得られた飲料にガス圧が1.5kgf/cmとなるように炭酸ガスを含有させ、PETボトルに充填して容器詰炭酸飲料を製造した。
いずれの飲料においても、水にリン酸、リンゴ酸、クエン酸を配合し、さらにクエン酸三ナトリウムおよび食塩を加えて所定のブリックス値になるように果糖ぶどう糖液糖を配合した上でヌートカトン類を配合した。飲料全体の酸度が0.7%の場合は、クエン酸三ナトリウムが0.30%、食塩が0.84%、ブリックスが4.5、飲料全体の酸度が0.14%の場合は、クエン酸三ナトリウムが0.45%、食塩が0.75%、ブリックスが7.5、飲料全体の酸度が0.21%の場合は、クエン酸三ナトリウムが0.60%、食塩が0.66%、ブリックスが10.0であった。
得られた炭酸飲料はいずれも、無色透明の外観であり、分光光度計(UV−1600、
島津製作所製)による波長660nmにおける吸光度が0.06以下、測色色差計(ZE2000、日本電色工業製)による純水に対する透過光のΔEが3.5以下であった。
(炭酸飲料の官能評価)
得られた炭酸飲料について、塩味および炭酸の爽快感を専門パネラーにより5段階で官能評価した。評価基準は下記のとおりであり、評点が高い程、香味が優れていることを意味する。また、塩味の評点と炭酸の爽快感の評点の合計点によって、炭酸飲料を総合評価した。
なお、以下の表においては、合計点が3.5点未満を「×」、3.5点以上6点未満を「△」、6点以上7点未満を「○」、7点以上を「◎」とした。また、表1−2の結果をまとめたグラフを図1に示す。
<塩味> 5:ほとんど感じない;4:あまり感じない;3:やや感じる;2:強く感じる;1:とても強く感じる
<炭酸の爽快感> 5:とても強く感じる、4:強く感じる、3:やや感じる、2:あまり感じない、1:ほとんど感じない
上記の表から明らかなように、少量のヌートカトン類を炭酸飲料に配合すると、炭酸の爽快感を感じられるようになり、しかも、塩味の評価点で高評価となっていた。また、ヌートカトン濃度(ppb)/リン酸濃度(w/w%)の数値が100〜7000程度であると、総合評価が高評価となっていた。
実験例2:炭酸飲料の製造と評価(ジヒドロヌートカトン)
ヌートカトンに代えてジヒドロヌートカトンを配合した以外は、実験例1と同様にして容器詰炭酸飲料を製造し、評価した。得られた炭酸飲料はいずれも、無色透明の外観であり、分光光度計(UV−1600、島津製作所製)による波長660nmにおける吸光度が0.06以下、測色色差計による純水に対する透過光のΔEが3.5以下だった。
結果を表2に示す。ヌートカトン類としてジヒドロヌートカトンを用いた場合でも、実験例1のヌートカトンを用いた場合と同様の結果が得られた。
実験例3:炭酸飲料の製造と評価(デヒドロヌートカトン)
ヌートカトンに代えてデヒドロヌートカトンを配合した以外は、実験例1と同様にして容器詰炭酸飲料を製造し、評価した。得られた炭酸飲料はいずれも、無色透明の外観であり、分光光度計(UV−1600、島津製作所製)による波長660nmにおける吸光度が0.06以下、測色色差計による純水に対する透過光のΔEが3.5以下だった。
結果を以下の表に示す。ヌートカトン類としてデヒドロヌートカトンを用いた場合でも、実験例1のヌートカトンを用いた場合と同様の結果が得られた。
実験例4:炭酸飲料の製造と評価(ヌートカトン類)
ヌートカトン類として、ヌートカトン、ジヒドロヌートカトン、デヒドロヌートカトンを併用した以外は、実験例1と同様にして容器詰炭酸飲料を製造し、評価した。表4−1の処方では、3種のヌートカトン類を同量ずつ使用した一方、表4−2の処方では、ヌートカトンを多く使用した。
得られた炭酸飲料はいずれも、無色透明の外観であり、分光光度計(UV−1600、島津製作所製)による波長660nmにおける吸光度が0.06以下、測色色差計による純水に対する透過光のΔEが3.5以下だった。
結果を以下の表に示すが、ヌートカトン類を併用した場合でも、実験例1のヌートカトンを用いた場合と同様の結果が得られた。

Claims (6)

  1. 飲料100mlあたりナトリウムを20〜70mg含有する容器詰炭酸飲料であって、
    リン酸およびクエン酸と、ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの少なくとも1つと、を含有し、リン酸濃度が0.005〜0.16w/w%、ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの合計濃度が20〜400ppbであり、飲料全体の酸度(クエン酸換算)に対するリン酸由来の酸度(クエン酸換算)が20〜80%である、上記炭酸飲料。
  2. リン酸濃度が0.02〜0.13w/wであり、飲料全体の酸度(クエン酸換算)が0.21%以下である、請求項1に記載の炭酸飲料。
  3. ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの合計濃度(ppb)/リン酸濃度(w/w%)が、100〜7000である、請求項1または2に記載の炭酸飲料。
  4. ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの合計濃度が50ppb以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の炭酸飲料。
  5. 飲料の波長660nmにおける吸光度が0.06以下であり、純水を基準とした場合のΔE値(色差)が3.5以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の炭酸飲料。
  6. 飲料100mlあたりナトリウムを20〜70mg含有する容器詰炭酸飲料の製造方法であって、
    リン酸およびクエン酸と、ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの少なくとも1つと、を飲料に配合し、リン酸濃度を0.005〜0.16w/w%、ヌートカトン、デヒドロヌートカトン、ジヒドロヌートカトンの合計濃度を20〜400ppb、飲料全体の酸度(クエン酸換算)に対するリン酸由来の酸度(クエン酸換算)を20〜80%に調整する工程、
    飲料に炭酸ガスを含有させる工程、
    飲料を容器に充填する工程、
    を含む、上記製造方法。
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