以下、本発明の一実施形態にかかる保管庫1について、添付図面を参照しつつ説明する。保管庫は、自動精算機や金庫、金庫室等のような、現金等の貴重品や、設備機器等の物品を安全に収蔵することを目的として構成されたものである。なお、本実施形態では、図1に示すように、保管庫1の一種である自動精算機について説明する。
保管庫1は、前面を開放した箱状の筐体2と、該筐体2の開口を開閉する扉3と、該扉3を筐体2に対して回転可能に連結するヒンジ構造4と、筐体2の開口を閉じた状態の該扉3を施錠するための鍵構造5とを備えている。
なお、本実施形態では、保管庫1の高さに対応する方向を縦方向、保管庫1の横幅に対応する方向を横幅方向、保管庫1の奥行きに対応する方向を奥行方向と称し、さらに、扉3が開閉する(回転する)方向を開閉方向と称して以下の説明を行う。
筐体2は、図3に示すように、前記物品を収容する収容空間Sが内部に形成された筐体本体部20と、該収容空間Sに連通する開口(以下、出入口という)Oが形成された開口枠部21とを有する。
開口枠部21は、前記縦方向に沿って延びる一対の縦枠部210と、前記横幅方向に沿って延び且つ該一対の縦枠部210のそれぞれに連続する横枠部211とを有する(図2参照)。
一対の縦枠部210の外面には、前記奥行方向において、扉3(閉じ状態の扉3)の後方に位置する枠部奥面210aと、枠部奥面210aから前方(前記奥行方向における手前側)に向けて延出する枠部内横面210bと、該枠部内横面210bの先端から前記横幅方向において外方(開口枠部21の外側)に向けて広がる枠部最前面210cと、該枠部最前面210cに連続する該枠部外横面210dとが含まれている。
枠部奥面210aには、筐体本体部20の内周面(すなわち、収容空間Sを確定する内面)200が連続している。また、枠部奥面210aは、閉じた状態の扉3(扉3の裏面である後述する扉裏面)と前記奥行方向で対向する面であり、枠部内横面210bは、閉じた状態の扉3(扉3の外側面である後述する扉外横面)と前記横幅方向で対面する面である。
枠部最前面210cは、筐体2の前面を構成しており、閉じた状態の扉3とは前記奥行き方向において重ならない面である。また、枠部外横面210dは、筐体2の外側面の一部を構成する面である。
さらに、縦枠部210では、枠部内横面210bと枠部最前面210cとが交差する部分により枠角部210eが構成されている。
本実施形態において、一対の縦枠部210のうちの一方の縦枠部210には、ヒンジ部を介して扉3が回転可能に連結されている。そして、一対の縦枠部210のうちの他方の縦枠部210には鍵構造5により扉3を施錠(固定)可能となっている。
前記一方の縦枠部210には、枠部奥面210aから突出した(前記奥行方向における手前側に向けて突出した)当接リブ212が形成されている。この当接リブ212は、前記縦方向に沿って延びる片状に形成されており、前記横幅方向における一面が枠部内横面210bと対向する対向面(以下、対向面という)となっている。
扉3は、図12(a)、及び図12(b)に示すように、正面視において矩形状の扉本体30と、該扉本体30の裏面に設けられる取付ベース部31とを有する(図18参照)。
扉本体30には、外側に向く扉前面300と、扉3が閉じている状態において筐体2の内側に向けて配置される扉裏面(前記奥行方向において扉前面300の反対側に位置する面)301と、扉前面300と扉裏面301とにつながる一対の外側面(以下、扉外横面という)302とが含まれている。
扉前面300は、筐体2の外側で広がる面であり、扉裏面301は、扉3が閉じられた状態で、筐体2の内側で広がる面である。
また、扉本体30では、扉前面300と扉外横面302とが交差して扉外角部303が構成され、扉裏面301と扉外横面302とが交差して扉内角部304が構成されている。扉3が閉じている状態において、扉外角部303は、前記奥行方向において枠角部210eよりも手前側に配置され、扉内角部304は、前記奥行方向において枠角部210eよりも奥側に配置される。
さらに、扉本体30では、一方の扉外横面302側(以下、基端側という)がヒンジ構造4によって前記一方の縦枠部210に対して回転可能に連結され、扉本体30の他方の扉外横面302側(以下、先端側という)が鍵構造5によって前記他方の縦枠部210に施錠(固定)可能となっている。
なお、扉3が閉じている状態において、扉外横面302(扉本体30の基端側の扉外横面302)と枠部内横面210bとの間、及び扉裏面301と枠部奥面210aとの間にはそれぞれ隙間が形成されている。また、扉外横面302と枠部内横面210bとの間の隙間は、前記奥行方向における手前側に向けて開放されている。
取付ベース部31は、図18に示すように、扉本体30の扉裏面301に設けられる背面ベース部310と、扉本体30の扉外横面302の内側に設けられる側面ベース部311と有する。
背面ベース部310には、扉裏面301に固定される固定部310aと、該固定部310aに連続し且つ前記奥行方向で扉裏面301に対向配置されるベース板部310bとを有する。ベース板部310bは、前記奥行方向において扉裏面301から離れた位置に配置されている。
側面ベース部311は、扉裏面301に突設された突設板部311aと、該突設板部311aと扉本体30における扉3横面の裏面とにつながる連設部311bとを有する。なお、本実施形態に係る扉3では、扉本体30と側面ベース部311とが重なっている領域においては、側面ベース部311の一面が扉本体30の扉裏面301として機能する。
突設板部311aは、扉裏面301から前記奥行方向における奥側に向けて突出している。また、突設板部311aは、前記横幅方向において、扉3内横面よりもさらに内側に配置されている。そのため、突設板部311aは、前記横幅方向において扉3内横面との間に間隔をあけた位置に配置されている。さらに、本実施形態に係る突設板部311aには、前記横幅方向において貫通するスリット311cが形成されている。スリット311cは、前記縦方向に沿って延びるように形成された細長い隙間である。
連設部311bは、突設板部311aの先端に連続している。そして、連設部311bは、前記奥行方向において扉裏面301との間に間隔をあけて配置されている。
ヒンジ構造4は、図4に示すように、回転軸40と、該回転軸40と筐体2とに連結される筐体側ヒンジ部41と、扉3を該回転軸40に対して回転可能に連結する扉側ヒンジ部42とを有する。
回転軸40は、軸線方向が前記縦方向と対応するように配置されている(図3参照)。なお、本実施形態に係る回転軸40は、筐体2本体の枠角部210eと扉外角部303とに沿わせて配置されており、より具体的には、筐体本体部20の枠角部210eと扉外横面302との間に配置されている。
筐体側ヒンジ部41と扉側ヒンジ部42とは、この回転軸40の中心線を中心という周方向において相互に回転可能である。そのため、扉3も、回転軸40の中心線を中心という周方向で回転可能である。なお、上述の開閉方向は、回転軸40の中心線を中心という周方向と対応している。
筐体側ヒンジ部41は、図4、及び図5に示すように、回転軸40が挿通される筐体側挿通部410と(図5参照)、筐体側挿通部410から回転軸40の軸線方向に対して直交する方向に向けて延出する第一筐体取付片411と、該第一筐体取付片411の先端に折曲延設された第二筐体取付片412とを有する。
筐体側ヒンジ部41では、複数の筐体側挿通部410が前記縦方向で間隔をあけて並んでいる(図5参照)。
第一筐体取付片411は、前記縦方向に沿って延びた形状であり、枠部内横面210bにあてがわれている。また、第一筐体取付片411には、長手方向に間隔をあけて複数の側方固定孔411aが形成されており、該側方固定孔411aに挿通した締結部材(例えば、雄ねじやボルト等)Bを枠部内横面210bに螺合させることによって、第一筐体取付片411が該枠部内横面210bに当接した状態で固定されている(図12(b)参照)。
第二筐体取付片412は、図6、及び図7に示すように、前記縦方向に沿って延びた形状であり、枠部奥面210aにあてがわれている。また、第二筐体取付片412には、長手方向に間隔をあけて複数の奥側固定孔412aが形成されており、該奥側固定孔412aに挿通した締結部材(例えば、雄ねじやボルト等)Bを枠部奥面210aに螺合させることによって、第二筐体取付片412が該枠部奥面210aに当接した状態で固定されている(図12(b)参照)。
さらに、第二筐体取付片412の先端は、当接面に対して前記横幅方向において当接している。
扉側ヒンジ部42は、図8、及び図9に示すように、回転軸40が挿通される扉側挿通部420と(図9参照)、扉側挿通部420から回転軸40の軸線方向に対して直交する方向に向けて延出する第一扉取付片421と、該第一扉取付片421の先端に折曲延設された第二扉取付片422とを有する。
扉側ヒンジ部42では、複数の扉側挿通部420が前記縦方向で間隔をあけて並んでいる(図9参照)。
第一扉取付片421は、前記縦方向に沿って延びた形状であり、枠部内横面210bにあてがわれている。また、第一扉取付片421には、長手方向に間隔をあけて複数の側方取付孔421aが形成されており、該側方取付孔421aに挿通した締結部材(例えば、雄ねじやボルト等)Bを枠部内横面210bに螺合させることによって、第一扉取付片421が該枠部内横面210bに当接した状態で固定されている(図12(b)参照)。
第二扉取付片422は、図10、及び図11に示すように、前記縦方向に沿って延びた形状であり、枠部奥面210aにあてがわれている。また、第二扉取付片422には、長手方向に間隔をあけて複数の奥側取付孔422aが形成されており、該奥側取付孔422aに挿通した締結部材(例えば、雄ねじやボルト等)Bを枠部奥面210aに螺合させることによって、第二扉取付片422が該枠部奥面210aに当接した状態で固定されている(図12(b)参照)。
本実施形態に係るヒンジ構造4は、上述のように、回転軸40が筐体本体部20の枠角部210eと扉外横面302との間に配置されているため、図12(a)に示すように、該回転軸40に連結されている筐体側挿通部410と扉側挿通部420も、筐体本体部20の枠角部210eと扉外横面302との間に配置されている。そして、筐体側挿通部410と扉側挿通部420とは、筐体本体部20の枠部内横面210bと扉外横面302との間の隙間を塞ぐように配置されている。
鍵構造5は、図18に示すように、筐体2に固定される筐体側固定板部50と、該筐体側固定板部50に設けられる筐体側係合部51と、扉3に取り付けられる扉側固定部52と、扉側固定部52に対して固定される扉側係合部53と、扉側固定部52と扉側係合部53との間に介設される扉側介設部54とを有する。
筐体側固定板部50は、図13(a)、及び図13(b)に示すように、平板状であり、筐体2の内面(筐体本体部20の内側面200)に固定される基端部と、該基端部から延出する先端部であって筐体側係合部51に連続する先端部とを有する。
筐体側固定板部50の先端部は、基端部に対して傾斜している。より具体的に説明すると、筐体側固定板部50の先端部は、先端側(基端部から離れるにつれて)後述する延設部を折り曲げている方向(前記横幅方向における筐体2の内側)に向かうように傾斜している。
筐体側固定板部50には、複数(本実施形態では四つ)の貫通孔500が形成されており、例えば、この貫通孔500に挿通した螺子やボルト等の締結部材によって筐体側固定板部50が筐体本体部20の内側面に固定される。さらに、筐体側固定板部50は、自身よりも筐体側係合部51が前記奥行方向において手前側に配置されるようにして筐体本体部20の内側面に固定される。
筐体側係合部51は、多角柱状であり且つ折曲形成により形成された折曲角部(以下、筐体側折曲角部という)510を角部に含むように構成されている。
本実施形態に係る筐体側係合部51は、筐体側固定板部50の外周縁端(筐体側固定板部50の先端縁端)に延設されるとともに(筐体2内から前記奥行方向において手前側に向けて延出するとともに)、筐体側固定板部50から延出する方向と反対側に向けて開口する凹部が形成されるように折り曲げられた延設部511と、該延設部511の凹部を画定する内面に接合された筐体側接合補強部512とを有する。
延設部511は、基端と先端との間の二か所において、筐体側固定板部50から延出する方向と直交する方向に折り曲げられている。そのため、延設部511の基端と先端との間には、二つの前記筐体側折曲角部510が形成されており、該筐体側折曲角部510は、それぞれ延設部511の縦幅方向における全長に亘って真っ直ぐに延びている。
筐体側接合補強部512は、延設部511の凹部を塞ぐことによって、延設部511の凹部を画定する内面と協同して閉領域を画定するように構成されており、これにより、筐体側係合部51が多角柱状体になっている。
より具体的に説明すると、延設部511には、筐体側固定板部50の先端縁端から延出する筐体側連設部513と、該筐体側連設部513の先端に対して折曲延設された筐体側折曲補強部514と、該筐体側折曲補強部514の先端に形成された筐体側当接部515とが含まれている。
筐体側折曲補強部514は、筐体側連設部513が筐体側固定板部50から延出する方向とは反対方向に向けて開口する凹部を画定するように折れ曲がった形状となっている。そのため、筐体側折曲補強部514の先端部は、筐体側連設部513の前記延出方向とは反対方向に向かって延びている。
また、本実施形態に係る筐体側折曲補強部514には、二つの前記扉側折曲角部530が形成されており、扉側折曲角部530は、それぞれ筐体側折曲補強部514の縦幅方向における全長に亘って真っ直ぐに延びている。
また、二つの筐体側折曲角部510は、それぞれ直角又はほぼ直角に屈曲しているため、筐体側折曲補強部514の基端部と先端部とは、互いの間に間隔をあけて平行な姿勢になっている。
扉側固定部52は、図20(a)、図20(b)に示すように、扉側係合部53を前記縦方向で往復動可能となるようにして保持している。そのため、本実施形態では、扉側係合部53が筐体側係合部51に対して相対移動可能となるように構成されている。
扉側固定部52は、図15に示すように、長尺である。また、扉側固定部52は、長手方向に直交する方向における両端が扉3の裏面に固定され、該両端の間(長手方向に直交する方向における中央部)は、長手方向の全長に亘って扉3の裏面から離間した位置に配置されるように構成されている。
本実施形態に係る扉側固定部52は、扉裏面301に対して該扉裏面301の面直交方向に延びるように設けられる延出板部520と、該延出板部520の先端延出し且つ該先端に対して屈曲するように折れ曲がった延出受部521と、該延出受部521の先端からさらに延出し且つ該先端に対して屈曲するように折れ曲がった延出固定部522とを有する。
これにより、扉側固定部52では、延出板部520と、該延出受部521と、該延出固定部522とによって、扉側係合部53をスライド可能に配置する配置用凹部(採番しない)が形成されている。
延出板部520は、扉本体30の先端側で扉裏面301に設けられている。より具体的に説明すると、延出板部520は、扉本体30の先端側に対応する位置で背面ベース部310を介して扉本体30(扉裏面301)に固定されている。そして、延出受部521には、長手方向に間隔をあけて複数の挿通孔521aが形成されている。
扉側係合部53は、前記縦方向に間隔をあけて並ぶように扉側固定部52に複数設けられている(図16参照)。
本実施形態に係る扉側係合部53は、図17(a)、図17(b)及び図18に示すように、多角柱状であり且つ折曲形成により形成された折曲角部(以下、扉側折曲角部という)530を角部に含むように構成されている。
また、扉側係合部53は、前記縦方向に沿って延びる補助板部531及び当板部532とで構成されており、該補助板部531と当板部532とは、それぞれ長手方向に直交する方向に折り曲げられた形状となっている。
扉側係合部53では、当板部532で補助板部531の前面(前記奥行方向における前面)を覆うようにして当板部532と補助板部531とを組み合わせることによって、一つの多角柱状体を構成している。
扉側係合部53における扉側折曲角部530は、補助板部531の折曲部分によって構成されている。
扉側折曲角部530の折り曲げ角度は、直角又は略直角となっている。そして、扉側折曲角部530では、扉側折曲角部530を境とする一方側の片部(以下、補助側接合片という)531aが扉側介設部54を介して延出受部521の前面に固定されている。そのため、補助板部531では、扉側折曲角部530を境とする他方側の片部(以下、支持片という)531bが補助側接合片531aから前記奥行方向における手前側に向けて延出した状態になっている。
当板部532は、折曲げ角度が鈍角となっている。また、当板部532において、折曲部分を境とする一方側の片(以下、当接側接合片という)532aは、補助側接合片531aに接合されるとともに、支持片531bに対して間隔をあけた位置で対向している。また、当接側接合片532aは、扉側介設部54を介して延出板部520の側面に対して固定されている。
そのため、当板部532のうちの折曲部分を境とする他方側の片(以下、受片という)532bは、当接側接合片532aの先端から支持片531bの先端の前方に向かって延出しており、扉3が閉じられた状態においては、先端側から基端側になるにつれて前記奥行方向における奥側に向かって傾斜するように構成されている。
また、受片532bは、補助側接合片531a及び支持片531bの前面を覆うようにして延出しているため、筐体側係合部51と扉側係合部53とが係合した際に(引っ張り合った際に)補助側接合片531aと支持片531bとによって延出受部521に対して支持されるように構成されている
本実施形態に係る扉側係合部53では、補助側接合片531a、支持片531b、当接側接合片532aによって前記奥行方向において手前側に向けて開口する凹部が画定されており、この凹部を受片532bで塞ぐことによって、補助側接合片531a、支持片531b、当接側接合片532a、受片532bで一つの閉領域を画定するように構成されている。これにより、扉側係合部53は、多角柱状体になっている。
なお、本実施形態に係る扉側係合部53では、受片532bが、筐体側係合部51に係合する扉側当接部を構成しており、補助側接合片531a、支持片531b、当接側接合片532aが、該扉側当接部に設けられ且つ扉側折曲角部530を含む扉側折曲補強部を構成している。
扉側介設部54は、図17(a)、及び図17(b)に示すように、延出板部520の側面(前記横幅方向において外側に位置する側面)と延出受部521の前面とに沿うように屈曲した形状の介設保持部540と、介設保持部540から前記横幅方向において外側に向けて延出するフック部541とを有する。
フック部541は、前記奥行方向において扉側係合部53の手前側に位置する前壁部541aと、該前壁部541aから前記横幅方向において外側に延出する引掛部541bとを有する。そして、引掛部541bは、突設板部311aのスリット311c内に挿通されており、扉側介設部54(及び扉側係合部53)の上下動に伴って、突設板部311aに掛止された掛止状態と、突設板部311aに対する掛止が解除された非掛止状態とに切り替わるように構成されている。
なお、本実施形態に係る鍵構造5では、扉側固定部52に対して扉側係合部53及び扉側介設部54を前記縦方向に往復動(スライド)可能に構成されており、扉側係合部53と扉側介設部54とをスライドさせるための機構を接続するスライド機構接続部55が扉側介設部54に形成されている。このスライド機構接続部55は、例えば、キーシリンダー等に対して駆動的に接続されていればよい。
また、本実施形態では、図20(a)に示すように、扉側係合部53及び扉側介設部54が上方に移動している状態においては、筐体側係合部51と扉側係合部53とが互いに係合していない非係合状態となり、引掛部541bと突設板部311aとが前記非掛止状態となっているため、扉3は、回転動作が許容された状態、すなわち、開閉自在な状態となる。
一方、図20(b)に示すように、扉側係合部53及び扉側介設部54が下方に移動した状態においては、筐体側係合部51と扉側係合部53とが互い係合している係合状態となり、引掛部541bと突設板部311aとが前記掛止状態となっているため、扉3は、回転動作が規制された状態、すなわち、開閉不能な状態となる。
このように、鍵構造5は、扉側係合部53及び扉側介設部54の上下動に伴い、筐体側係合部51と扉側係合部53とを係合状態又は非係合状態に切替可能であり、また、引掛部541bと突設板部311aとを掛止状態又は非掛止状態に切替可能である。
本実施形態に係る保管庫1の構成は、以上の通りである。本実施形態に係る保管庫1は、扉の開き動作をロックする筐体側係合部51と扉側係合部53のそれぞれは、多角柱状体であり且つこの多角柱状体には折曲形成により形成された折曲角部(筐体側折曲角部510、扉側折曲角部530)が含まれているため、多角柱状体の軸線方向に直交又は略直交する方向において変形し難くなっている。
また、筐体側係合部51では、折曲形成されることで強度が高められている筐体側折曲角部510が筐体側折曲補強部514の縦幅方向における全長に亘って連続し、扉側係合部53では、折曲形成されることで強度が高められている扉側折曲角部530が扉側折曲補強部(当接側接合片532a)の縦幅方向における全長に亘って連続している。
そのため、例えば、図21に示すように、前記他方の縦枠部210と、扉本体30の先端側の扉外横面302との間からバールが挿し込んで扉本体30をこじ開けようとすると、筐体側係合部51と扉側係合部53とが互いに引っ張り合う状態になっても、筐体側係合部51と扉側係合部53とが変形しないため、扉3が開かれてしまうことを防止できる。
さらに、筐体側折曲補強部514は、前記奥行方向における奥側に向けて開放する開口が形成されるように折り曲げ形成されているが、この開口を塞ぐようにして筐体側接合補強部512が筐体側折曲補強部514に接合されているため、筐体側係合部51と扉側係合部53とが引っ張り合った状態になっても、筐体側折曲補強部514の変形(外側に広がるような変形)が防止される。
また、扉側係合部53においても、補助側接合片531a、支持片531b、当接側接合片532aによって画定されている開口が受片532bによって塞がれた状態となっているため、筐体側係合部51と扉側係合部53とが引っ張り合った状態になっても、扉側折曲補強部を構成する補助側接合片531aと支持片531bの変形(外側に広がるような変形)が防止される。
また、施錠されている扉3を筐体2から引き剥がそうとすると筐体側係合部51と扉側係合部53とには、互いに引っ張り合う力が生じるが、筐体側係合部51が受ける扉側係合部53からの引張力は、筐体側当接部515の後方の筐体側折曲角部510で受け止められ、扉側係合部53が受ける筐体側係合部51からの引張力は、扉側当接部の後方の扉側折曲角部530で受け止められる。
このように、筐体側係合部51と扉側係合部53とは、それぞれ折曲形成されることで強度が高められている筐体側折曲角部510、扉側折曲角部530で前記引張力を受け止めることができるため、変形し難くなっている。
さらに、鍵構造5において、筐体側係合部51は、扉側係合部53から引っ張られる位置(扉側係合部53との当接位置)よりも前記奥行方向における奥側で筐体本体部20の内面(内側面)200に固定されている。
そのため、筐体側係合部51は、扉側係合部53によって手前側に引っ張られた際に、該筐体側係合部51が筐体側固定板部50によって筐体2に引き留められる。従って、保管庫1では、筐体側係合部51が筐体2から外れ難くなる。
さらに、保管庫1では、受片532bの前面(扉側当接部の係合面)が基端側から先端側になるにつれて前記奥行方向における手前側に向かうように傾斜しているため、筐体側係合部51と扉側係合部53とが引っ張り合った状態になった際に、筐体側係合部51が扉側当接部(受片532b)の基端側に向かうように噛み合い、これにより、筐体側係合部51と扉側係合部53との係合状態が解除されてしまうことが防止される。
以上のように、本実施形態に係る保管庫1は、鍵構造5を堅牢なものとすることができるという優れた効果を奏し得る。
また、本実施形態に係る保管庫1によれば、開口枠部21内には扉3が内嵌されており、開口枠部21の枠部内横面と扉3の外側面との間、及び開口枠部21の枠部奥面210aと扉3の裏面との間にヒンジ構造4の筐体側ヒンジ部41と扉側ヒンジ部42とが配置されているため、開口枠部21及び扉3に対するヒンジ構造4の取付箇所が開口枠部21と扉3との間に隠れている。
このように、保管庫1では、開口枠部21及び扉3に対するヒンジ構造4の取付箇所が外部に露出しないため、ヒンジ構造4が開口枠部21や扉3から外され難くなる。
さらに、本実施形態に係る保管庫1では、ヒンジ構造4の回転軸40が枠角部210eと扉外横面302との間に配置されているため、該回転軸40が挿通されている筐体側挿通部410及び扉側挿通部420も、枠角部210eと扉外横面302との間に配置されている。
これにより、枠部内横面210bと第一筐体取付片411との境目が筐体側挿通部410に覆われ、扉外横面302と第二筐体取付片412との境目が扉側挿通部420に覆われるため、枠部内横面210bと第一筐体取付片411との間や、扉外横面302と第二筐体取付片412との間にアクセスし難くすることができる。
従って、本実施形態に係る保管庫1では、第一筐体取付片411が枠部内横面210bから外され難くなり、また、第二筐体取付片412が扉外横面302から外され難くなる。
さらに、筐体側ヒンジ部41と扉側ヒンジ部42とは、扉本体30や、開口枠部21の縦枠部210によって前記横幅方向や前記奥行方向における動きが制限されるため、前記横幅方向においても、前記奥行方向においても、開口枠部21や、扉本体30から外れ難くなっている。
例えば、枠角部210eと、扉本体30の基端側の扉外横面302との間からバールを挿し込んで扉本体30をこじ開けようとすると、ヒンジ構造4の扉側ヒンジ部42に外力が加わるが、該扉側ヒンジ部42は、第一扉取付片421が扉本体30の扉外横面302にあてがわれ、第二扉取付片422が扉本体30の扉裏面301にあてがわれている、すなわち、第一扉取付片421と第二扉取付片422とが扉内角部304に沿うように配置されているため、扉側ヒンジ部42が前記奥行方向の手前側に動こうとすると、該扉側ヒンジ部42の動きが扉本体30によって制限される。
また、扉側ヒンジ部42が前記横幅方向において、開口枠部21の中央部側に動こうとした場合も、該扉側ヒンジ部42の動きが扉本体30によって制限され、さらに、該扉本体30の動きが前記他方の縦枠部210によって制限される。
そして、扉側ヒンジ部42が前記横幅方向において、開口枠部21の外側に動こうとした場合は、前記一方の縦枠部210によって該扉側ヒンジ部42の動きが制限される。
このように、本実施形態に係る保管庫1では、前記横幅方向や前記奥行方向に動こうとする扉側ヒンジ部42が扉本体30や開口枠部21の縦枠部210で受け止められるため、該扉側ヒンジ部42が扉本体30から外れ難くなっている。
さらに、本実施形態に係る扉側ヒンジ部42では、第一扉取付片421が側方取付孔421aに挿通された締結部材Bにより扉本体30に固定され、第二扉取付片422が奥側取付孔422aに挿通された締結部材Bにより扉本体30の扉裏面301に固定されている。
そのため、扉側ヒンジ部42には、側方取付孔421aに挿通されている締結部材Bによる締結力と、奥側取付孔422aに挿通されている締結部材Bによる締結力、すなわち、前記奥行方向と前記横幅方向の二方向における締結力が加わるため、扉本体30に対して動き難くなっている。
また、扉側ヒンジ部42が前記横幅方向で動こうとすると、該扉側ヒンジ部42が奥側取付孔422aに挿通されている締結部材Bに干渉し、扉側ヒンジ部42が前記奥行方向での動こうとすると、該扉側ヒンジ部42が側方取付孔421aに挿通されている締結部材Bに干渉するため、扉側ヒンジ部42の前記横幅方向及び前記奥行方向での動きが制限される。
これにより、本実施形態に係る保管庫1では、扉側ヒンジ部42が扉本体30から外れ難くなっている。
筐体側ヒンジ部41も、前記横幅方向及び前記奥行方向の二方向において開口枠部21にあてがわれているため、該二方向での動きが制限される。
より具体的に説明すると、筐体側ヒンジ部41では、第一筐体取付片411が枠部内横面210bにあてがわれ、第二筐体取付片412が枠部奥面210aにあてがわれているため、扉側ヒンジ部42が前記奥行方向の奥側への動きや、前記横幅方向における外側(開口枠部21の外側)への動きが開口枠部21によって制限されるため、筐体側ヒンジ部41が開口枠部21から外れ難くなっている。
さらに、本実施形態に係る筐体側ヒンジ部41では、第一筐体取付片411が側方固定孔411aに挿通された締結部材Bにより枠部内横面210bに固定され、第二筐体取付片412が奥側固定孔412aに挿通された締結部材Bにより枠部奥面210aに固定されている。
そのため、筐体側ヒンジ部41には、側方固定孔411aに挿通されている締結部材Bによる締結力と、奥側固定孔412aに挿通されている締結部材Bによる締結力、すなわち、前記奥行方向と前記横幅方向の二方向における締結力が加わるため、開口枠部21に対して動き難くなっている。
また、筐体側ヒンジ部41が前記横幅方向で動こうとすると、該筐体側ヒンジ部41が奥側固定孔412aに挿通されている締結部材Bに干渉し、筐体側ヒンジ部41が前記奥行方向での動こうとすると、該筐体側ヒンジ部41が側方固定孔411aに挿通されている締結部材Bに干渉するため、筐体側ヒンジ部41の前記横幅方向及び前記奥行方向での動きが制限される。
これにより、本実施形態に係る保管庫1では、筐体側ヒンジ部41が開口枠部21から外れ難くなっている。
以上のように、保管庫1は、ヒンジ構造4を堅牢なものとすることができるという優れた効果を奏し得る。
なお、本発明の保管庫は、上記一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更を行うことは勿論である。
上記実施形態において、自動精算機を一例に挙げて保管庫1の説明を行ったが、例えば、保管庫1は、現金等の貴重品や、設備機器等の物品を安全に収蔵できることを目的とするものであれば、自動販売機や、金庫、金庫室等であってもよい。
上記実施形態において、前記一方の縦枠部210では、第二筐体取付片412の先端に当接させて筐体2側ヒンジ部の前記横幅方向における動きを制限するための当接面が枠部奥面210aから突出した当接リブ212によって構成されていたが、この構成に限定されない。当接面は、枠部奥面210aに固定され且つ前記横幅方向において第二筐体取付片412の先端に当接できれば、例えば、枠部奥面210aの内側を段状にすることで構成されていてもよい。
上記実施形態では、扉3が閉じている状態においては、扉外角部303が前記奥行方向において枠角部210eよりも手前側に配置されるように構成されていたが、この構成に限定されない。
例えば、扉外角部303は、扉3が閉じている状態において、枠角部210eと前記奥行方向で対応する位置に配置されるようになっていてもよい。すなわち、扉外角部303は、枠角部210eと前記横幅方向において横並びに配置されるようになっていてもよい。
この場合、筐体側挿通部410と扉側挿通部420とを枠角部210e及び扉外角部303のそれぞれに隣接する位置に配置してもよい。
上記実施形態では、筐体側係合部51に対して扉側係合部53を相対移動させるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、扉側係合部53に対して筐体側係合部51が相対移動するように構成されていてもよい。
上記実施形態では、扉側係合部53が前記縦方向において往復動させるように構成されていたが、この構成に限定されない。例えば、扉側係合部53が前記横幅方向において往復動するように構成されていてもよい。
また、筐体側係合部51が扉側係合部53に対して相対移動するように構成する場合は、筐体側係合部51を前記横幅方向において往復動させるように構成してもよい。