JP6766371B2 - 重合体微粒子及び熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

重合体微粒子及び熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、重合体微粒子及び熱可塑性樹脂組成物に関する。
樹脂成形品の耐衝撃性を向上させることは、成形品の用途拡大や、成形品の薄肉化・大型化へつながり、工業的に非常に有用である。また、成形品の透明性を向上させることは、用途の拡大が可能になる、着色時の発色性が良好になる等の利点を持つ。特に、高透明樹脂とされるポリメチルメタクリレート樹脂やポリカーボネート樹脂ではその透明性が重要視される。
例えば、成形品の耐衝撃性や耐低温衝撃性を改良する手法として、ゴム重合体と硬質な樹脂とを組み合わせた材料を用いる手法が工業化されており、そのような材料としてABS樹脂(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂)がある。しかし、ABS樹脂は分子構造に不飽和結合を有するブタジエンを含むため、成形品の耐候性が悪くなる。
ABS樹脂の耐候性の欠点を改良したものとして、AES樹脂(アクリロニトリル−エチレン・α−オレフィン−スチレン樹脂)が挙げられる。
例えば、特許文献1には、分子量が17万〜35万のエチレン・α−オレフィン共重合体の存在下に、ビニル系単量体混合物を重合して得られたグラフト共重合体をメタクリル酸エステル樹脂等の熱可塑性樹脂に混合した樹脂組成物が開示されており、耐衝撃性や発色性等が良好としている。
しかし、特許文献1においては、熱可塑性樹脂にエチレン・α−オレフィン共重合体を含むグラフト共重合体のみを混ぜるだけでは耐低温衝撃性を含む耐衝撃性を発現することができないため、これとは別にゴム状重合体を含むグラフト重合体を別途添加する必要があり、二種類のグラフト共重合体を用意するにはコストも手間もかかるという欠点がある。
特開2015−147893号公報
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、耐衝撃性及び透明性に優れた成形品を与える耐衝撃性改質剤用の重合体微粒子と、それを配合した熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、耐衝撃性改質剤のゴム成分として低分子量のポリオレフィンを用いることで、それを配合して得られる成形品の耐衝撃性、透明性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の態様を有する。
[1] コア層(C)とシェル層(S)とを有し、 コア層(C)が、ポリオレフィン(A)の数平均分子量が200〜1万のポリオレフィン(A)5〜90質量%及びポリオレフィンを除く重合体(B)10〜95質量%を含有し、前記シェル層(S)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有する重合体微粒子。[2] 前記ポリオレフィン(A)がエチレン・α−オレフィン共重合体、又は、重合性官能基を持つエチレン・α−オレフィン三元共重合体である、[1]の重合体微粒子。[3] 前記ポリオレフィン(A)の粘度が0.3〜1000Pa・sである、[1]又は[2] の重合体微粒子。[4] 前記ポリオレフィンを除く重合体(B)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含有する、[1]〜[3]のいずれかの重合体微粒子。[5] 一次粒子の体積平均粒子径が0.05〜2.0μmである、[1]〜[4]のいずれかの重合体微粒子。[6] 前記コア層(C)と前記シェル層(S)の質量比が10/90〜95/5である、[1]〜[5]のいずれかの重合体微粒子。[7] [1]〜[6]のいずれかの重合体微粒子と、熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物。[8] 前記熱可塑性樹脂の屈折率が1.43〜1.65である、[7]の熱可塑性樹脂組成物。[9] 前記熱可塑性樹脂がメタクリル酸エステル樹脂である、[7]又は[8]の熱可塑性樹脂組成物。
本発明の重合体微粒子を用いることで、耐衝撃性及び透明性に優れる成形品の成形に用いる熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形することで、耐衝撃性及び透明性に優れる成形品が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
[重合体微粒子]
本発明の重合体微粒子は、コア層(C)とシェル層(S)とを有し、コア層(C)の外層にシェル層(S)が形成されてなるものである。
コア層(C)とシェル層(S)の質量比は、得られる成形品の耐衝撃性を向上できることから、(C)/(S)=10/90〜95/5が好ましく、(C)/(S)=50/50〜95/5がより好ましく、(C)/(S)=70/30〜95/5が更に好ましい。
重合体微粒子の屈折率は、熱可塑性樹脂組成物の透明性を発現する上で、マトリックス樹脂である熱可塑性樹脂に近いことが好ましい。具体的には、1.40〜1.67が好ましく、1.43〜1.65がより好ましく、1.45〜1.62が更に好ましい。重合体微粒子の屈折率がこの範囲にあれば、マトリックス樹脂との屈折率が近く、高い透明性を発現することができる。
重合体微粒子の一次粒子の体積平均粒子径は、0.05〜2.0μmが好ましく、0.05〜1.0μmがより好ましく、0.05〜0.8μmが更に好ましい。ここで体積平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって求められる体積平均の粒子径である。
[コア層(C)]
コア層(C)は、ポリオレフィン(A)と、ポリオレフィンを除く重合体(B)(以下「重合体(B)」ということがある。)を含有する。コア層(C)の形態は、ポリオレフィン(A)と重合体(B)からなればよく、ポリオレフィン(A)と重合体(B)が複合化していてもよく、多層構造を形成していてもよい。また、ポリオレフィン(A)と重合体(B)が化学結合していてもよい。
コア層(C)は、(C)の全体を100質量%としたときに、ポリオレフィン(A)を5〜90質量%、重合体(B)を10〜95質量%含有する。
ポリオレフィン(A)と重合体(B)の比率は、(A)5〜60質量%/(B)40〜95質量%が好ましく、(A)5〜50質量%/(B)50〜95質量%がより好ましく、(A)5〜30質量%/(B)70〜95質量%が更に好ましい。
(A)/(B)がこの範囲にあれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性を良好に維持し、得られる成形品の耐衝撃性を向上できる。
[ポリオレフィン(A)]
ポリオレフィン(A)の数平均分子量は、200〜1万が好ましく、300〜8000がより好ましく、300〜5000が更に好ましい。数平均分子量が上記範囲内にあれば、衝撃を吸収するゴムとしての役割を果たし、得られる成形品の耐衝撃性を向上できる。
ポリオレフィン(A)の粘度は、25℃でB型粘度計(回転速度1rpm)で測定した値が、0.3〜1000Pa・sが好ましく、0.5〜200Pa・sがより好ましく、0.5〜50Pa・sが更に好ましい。粘度が上記範囲内にあれば、衝撃を吸収するゴムとしての役割を果たし、得られる成形品の耐衝撃性を向上できる。
ポリオレフィン(A)としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリα−オレフィン;エチレン・プロピレン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体;エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(EPDM)等の重合性官能基を持つエチレン・α−オレフィン三元共重合体が挙げられる。
これらの中では、エチレン・プロピレン共重合体等のエチレン・α−オレフィン共重合体;エチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)等の重合性官能基を持つエチレン・α−オレフィン三元共重合体が好ましい。
α−オレフィンとしては、取扱性やガラス転移温度の点から、プロピレン、1−ブテン等の炭素数が3〜10のα−オレフィンが好ましく、プロピレンがより好ましい。
ポリオレフィン(A)中のエチレン単位の含有率は、得られる成形品の透明性発現の点から、(A)の全体を100質量%としたときに、30〜70質量%が好ましく、40〜60質量%がより好ましい。
ポリオレフィン(A)のジエン単位の含有率は、得られる成形品の耐衝撃性発現の点から、(A)の全体を100質量%としたときに、0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。
ポリオレフィン(A)の市販品としては、例えば、HC−20、HC−40、HC−600、PX−068、PX−062(いずれも三井化学(株)製)が挙げられる。
[ポリオレフィンを除く重合体(B)]
ポリオレフィンを除く重合体(B)は、ポリオレフィン以外の重合体であればよい。
具体的には、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含有する重合体である。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の原料となる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシポリエチレングリコールが挙げられる。
芳香族ビニル単量体単位の原料となる芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンが挙げられる。
ポリオレフィンを除く重合体(B)は、他の単量体単位を含有してもよい。他の単量体単位の原料となる他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリルエチル等のシアン化ビニル単量体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩が挙げられる。
必要に応じて、他の単量体として、重合性官能基を2つ以上有する多官能性単量体を用いてもよい。多官能性単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アリル、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、ジビニルベンゼンが挙げられる。
これらの中では、コア層のガラス転移温度が低くなり、得られる成形品の耐衝撃性を0℃以下の低温でも向上できることから、(メタ)アクリル酸エステル単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルがより好ましい。
また、コア層の屈折率を向上させて、得られる成形品の透明性を向上できることから、芳香族ビニル単量体が好ましく、(メタ)アクリル酸フェニル、スチレン、α−メチルスチレンがより好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
多官能性単量体の使用は、コア層(C)の弾性率や、コア層(C)とシェル層(S)とのグラフト率の点から、(B)の全体を100質量%としたときに、0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
[シェル層(S)]
シェル層(S)は、本発明の重合体微粒子の最外層を形成する層であり、その内部にコア層(C)を有する。
シェル層(S)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有する。
(メタ)アクリル酸エステル単量体単位の原料となる(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸フェニル、アクリル酸メトキシポリエチレングリコールが挙げられる。
この他に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体及びその塩を原料とする単量体単位;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体を原料とする単量体単位;マレイミド、フェニルマレイミド等のマレイミド類を原料とする単量体単位;(メタ)アクリロニトリル、α−シアノアクリレート、ジシアノビニリデン、フマロニトリルエチル等のシアン化ビニル単量体を原料とする単量体単位;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類を原料とする単量体単位を含有してもよい。
これらの中では、重合体微粒子と熱可塑性樹脂を混練する際に、重合体微粒子が熱可塑性樹脂に相溶しやすくなり、熱可塑性樹脂中により均一に分散しやすくなる点から、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸フェニルが好ましい。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[重合体微粒子の製造方法]
本発明の重合体微粒子の製造方法としては、公知の重合方法(乳化重合法、ミニエマルション重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法)を用いることができる。
[コア層(C)の製造方法]
コア層(C)は、乳化重合、ミニエマルション重合、懸濁重合等の重合体粒子の分散液を得られる重合方法によって作成することができる。また、塊状重合や溶液重合から得られた重合体を、解砕して分散媒に分散させた分散液として作成することができる。中でも、乳化重合、ミニエマルション重合、懸濁重合が好ましく、乳化重合、ミニエマルション重合がより好ましい。
乳化重合によるコア層(C)の製造方法としては、例えば、ポリオレフィン(A)を予め水に分散させたポリオレフィン水分散体を調製した後、重合体(B)の原料である単量体(b)と重合開始剤を乳化重合法により添加することで、コア層(C)が得られる。
ポリオレフィン(A)を水に分散させる手法としては、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザー等のホモジナイザー、ウルトラタラックス、ホモディスパー等の分散用機器を用いる手法や、ニーダーや多軸スクリュー押出機等の溶融混練法を用いる手法により、機械的剪断力をポリオレフィン(A)に与え、乳化剤等の分散安定剤を含む水性媒体に添加する方法が好ましい。
ミニエマルション重合によるコア層(C)の製造方法としては、例えば、ポリオレフィン(A)と重合体(B)の原料である単量体(b)を相互に溶解させるか、又はポリオレフィン(A)と単量体(b)のいずれか一方を、残りの一方に分散させてなる液を、重合開始剤、乳化剤とともに水に分散させて重合することにより、コア層(C)を得ることができる。
この時、ポリオレフィン(A)と単量体(b)の溶液又は分散液を水に分散させる手法はとしては、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザー等のホモジナイザー、ウルトラタラックス、ホモディスパー等の分散用機器を用いる手法や、ニーダーや多軸スクリュー押出機等の溶融混練法を用いる手法により、機械的剪断力をポリオレフィン(A)に与え、乳化剤等の分散安定剤を含む水性媒体に添加する方法が好ましい。
[シェル層(S)の製造方法]
シェル層(S)を形成する方法としては、乳化重合が好ましい。特に、コア層(C)の形成に乳化重合又はミニエマルション重合等の分散重合方法を用いた場合は、シェル層(S)の形成も単量体(b)と、必要に応じて乳化剤、重合開始剤を滴下することにより乳化重合法での多層重合体形成が好適に用いられる。
[重合助剤]
コア層(C)及びシェル層(S)を製造する際に使用される重合開始剤は、公知のものを用いることができる。
重合開始剤の使用量は、単量体(b)又はシェル層(S)の形成に用いる単量体のそれぞれを100質量部としたときに、0.001〜10質量部が好ましい。
乳化剤としては、公知のものを用いることができる。
乳化剤の添加量は、単量体(b)又はシェル層(S)の形成に用いる単量体のそれぞれを100質量部としたときに、0.01〜10質量部が好ましい。
重合体微粒子の製造では、分子量調節の目的で、単量体(b)又はシェル層(S)の形成に用いる単量体と共に、連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、公知のものを用いることができる。
連鎖移動剤の添加量は、単量体(b)又はシェル層(S)の形成に用いる単量体のそれぞれを100質量部としたときに、0.01〜5質量部が好ましい。
[重合体微粒子の取出し方法]
上記の方法によって得られた重合体微粒子の水分散体から重合体微粒子を取出す方法としては、例えば、凝析剤を溶解させた(熱)水中に重合体微粒子の水分散体を投入して、スラリー状に凝固し、濾過等で水分離する方法(凝固法);加熱雰囲気下で重合体微粒子の水分散体を噴霧して乾燥する方法(スプレードライ法)が挙げられる。
凝析剤としては、公知のものを用いることができる。
[熱可塑性樹脂]
本発明で用いる熱可塑性樹脂は、公知の熱可塑性樹脂であればよく、例えば、ポリメタクリル酸エステル樹脂が挙げられる。この中では、ポリメタクリル酸メチル樹脂が好ましい。
重合体微粒子を配合した後の熱可塑性樹脂組成物の透明性を高く維持できる点から、熱可塑性樹脂の屈折率は1.43〜1.65が好ましく、1.46〜1.60がより好ましい。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物(以下「樹脂組成物」ということがある。)は、本発明の重合体微粒子と熱可塑性樹脂を含有する。
熱可塑性樹脂組成物中の重合体微粒子の含有率は、全体を100質量%としたときに、1〜50質量%が好ましく、5〜45質量%がより好ましい。重合体微粒子の含有率が上記の範囲であれば、得られる成形品の高耐衝撃性と高透明性を両立することができる。
熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂の含有率は、全体を100質量%としたときに、50〜99質量%が好ましく、55〜95質量%がより好ましい。熱可塑性樹脂の含有率が上記の範囲であれば、得られる成形品の高耐衝撃性と高透明性を両立することができる。
熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤(酸化防止剤、滑剤、加工助剤等)を含有してもよい。添加剤の含有量は、得られる成形品の物性を損なわない範囲で定めることができる。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
熱可塑性樹脂組成物は、重合体微粒子と熱可塑性樹脂を混合することによって製造される。例えば、粉体状の重合体微粒子と粉体状の熱可塑性樹脂をミキサーに入れてブレンドする方法、袋に入れて手で振り混ぜる方法;ブレンドした粉体状の重合体微粒子/熱可塑性樹脂の混合物(粉体状の混合物)を押出機によって樹脂ペレットとする方法が挙げられる。
[成形品]
本発明の成形品は、上記の粉体状の混合物や樹脂ペレットを用いて公知の成形方法(射出成形法、プレス成形法、押出成形法、真空成形法、ブロー成形法等)によって成形加工することにより得られる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例において「部」は質量部を表し、「%」は質量%を表す。
[重合体微粒子の製造]
<製造例1;重合体微粒子(P1)>
水3500gに、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(有効成分16%)56.6gを加えて均一に溶解し、乳化剤水溶液を調製した。
これとは別に、ポリオレフィン(A)として、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体「三井EPT」(銘柄「PX−068」、三井化学(株)製、粘度:10Pa・s、数平均分子量:920)を120g(重合体微粒子を100部としたとき10部、コア層中の11.2%);重合体(B)の原料である単量体(b)として、アクリル酸n−ブチルを934g(同77.8部、87.5%)と、メタクリル酸アリルを14g(同1.2部、1.3%);開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を3.6g計量して混合した。
ここに、先の乳化剤水溶液を加え、ウルトラタラックスを用いて、10000rpm×30秒で予備分散させた。この予備分散させたモノマー乳化液を、高圧ホモジナイザー(「ナノヴェイタ C−ES」、吉田機械興業(株)製、100MPa)によってより細かく均一に分散させ、モノマー乳化液を得た。
モノマー乳化液を5Lのセパラブルフラスコに投入し、碇型撹拌棒を設置した後、窒素バブリング(100mL/分、30分間)によって窒素置換した。内温を65℃に昇温して、200rpmで撹拌しながら60分間保持してコア層の重合を行った。
続いて、レドックス系開始剤である硫酸鉄七水和物0.01g、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.036g、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート3.6gを100gの水に溶解して全量をセパラブルフラスコに投入し、15分間撹拌した。シェル層(S)の原料として、メタクリル酸メチルを126g(重合体微粒子を100部としたとき10.5部)、アクリル酸n−ブチルを6g(同0.5部)、開始剤としてt−ブチルヒドロパーオキサイド0.66gを均一に溶解し、60分間かけて滴下した。最後に60分間保持して重合を完了させ、重合体微粒子(P1)のラテックスを得た。
重合体微粒子(P1)の体積平均粒子径を、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA−960、堀場製作所製)を用いて測定した。体積平均粒子径は、0.27μmであった。
重合体微粒子(P1)のラテックスを、以下の手法で凝析させて粉を回収した。
得られたラテックスの1.5倍量の水に、重合体微粒子の固形分100部に対して6.5部の酢酸カルシウムを溶解させた。この酢酸カルシウム水溶液に重合体微粒子のラテックスを撹拌しながらゆっくりと投入した。これを80℃に昇温して5分間撹拌して凝固させた。得られたスラリーを、金巾を用いて濾過し、80℃で一晩乾燥させて粉体を得た。
[熱可塑性樹脂組成物]
重合体微粒子の粉体200gと、ポリメタクリル酸メチル樹脂(商品名「VHK」、三菱レイヨン(株)製)1800gをビニール袋内で充分にハンドブレンドした後、二軸押出機(TEM35B、東芝機械製)で押出し(シリンダー温度:250℃)、切断してペレットを得た。
得られたペレットを乾燥後、射出成形機(IS−100、東芝機械製)でシリンダー温度250℃、金型温度80℃にて、平板状の試験片1(ノッチ付、幅10mm、長さ80mm、厚さ4mm、残り幅8mm)及び試験片2(幅50mm、長さ100mm、厚さ2mm)を作製した。
[耐衝撃性の測定]
試験片1を用い、JIS K7111に準じて、23℃と−30℃の測定温度でノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。測定値が1.2kJ/m以上を「○」、1.2kJ/m未満を「×」と評価した。
[全光線透過率の測定]
試験片2を用い、JIS K7361−1に準じて全光線透過率を測定した。測定にはスガ試験機(株)製のHGM−2DPを用いた。
<実施例1>
重合体微粒子として製造例1で得た重合体微粒子(P1)を用い、上述の通り試験片を作製して、耐衝撃性及び全光線透過率を測定した。評価結果を表1に示す。
表1中の略号は以下の通りである。
「PX−068」:エチレン・プロピレン・ジエン共重合体(商品名「三井EPT」、三井化学(株)製)
「BA」:アクリル酸n−ブチル
「AMA」:メタクリル酸アリル
表1に示す通り、実施例1の重合体微粒子(P1)は、コア層(C)がポリオレフィンとアクリル酸n−ブチル単位を含有する重合体(B)のゴムであるため、試験片の耐衝撃性は23℃でも−30℃でも非常に高い値を示した。また、樹脂組成物の全光線透過率も良好であった。また、重合体微粒子(P1)は、ブタジエン単位等の不飽和結合を構造中に含まないため、耐候性も良好である。

Claims (9)

  1. コア層(C)とシェル層(S)とを有し、 コア層(C)が、ポリオレフィン(A)の数平均分子量が200〜1万のポリオレフィン(A)5〜90質量%及びポリオレフィンを除く重合体(B)10〜95質量%を含有し、 前記シェル層(S)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を含有する重合体微粒子。
  2. 前記ポリオレフィン(A)がエチレン・α−オレフィン共重合体、又は、重合性官能基を持つエチレン・α−オレフィン三元共重合体である、請求項1に記載の重合体微粒子。
  3. 前記ポリオレフィン(A)の粘度が0.3〜1000Pa・sである、請求項1又は2に記載の重合体微粒子。
  4. 前記ポリオレフィンを除く重合体(B)が、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位、芳香族ビニル単量体単位からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体単位を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の重合体微粒子。
  5. 一次粒子の体積平均粒子径が0.05〜2.0μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の重合体微粒子。
  6. 前記コア層(C)と前記シェル層(S)の質量比が10/90〜95/5である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の重合体微粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の重合体微粒子と、熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物。
  8. 前記熱可塑性樹脂の屈折率が1.43〜1.65である、請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 前記熱可塑性樹脂がメタクリル酸エステル樹脂である、請求項7又は8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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