JP2019073669A - セルロースナノファイバーを含む紛体物、該粉体物を含む熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

セルロースナノファイバーを含む紛体物、該粉体物を含む熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】セルロースナノファイバーを複合した熱可塑性樹脂成形品を良好な成形外観で得ることができるセルロースナノファイバーを含む紛体物と、この粉体物を含む熱可塑性樹脂組成物およびその成形品を提供する。【解決手段】ビニル系重合体(A)とセルロースナノファイバーとを含む粉体物。この粉体物は、ビニル系重合体(A)中にセルロースナノファイバーを含む複合粒子(B)、或いはこの複合粒子(B)に更にビニル系単量体をグラフト重合してなるグラフト共重合体(C1)、或いはビニル系重合体(A)の表面に形成されたグラフト重合層を介して又はグラフト重合層中にセルロースナノファイバーを含むことでビニル系重合体(A)にセルロースナノファイバーが付着したグラフト共重合体(C2)であることが好ましい。この粉体物を含む熱可塑性樹脂組成物及びその成形品。【選択図】なし

Description

本発明は、ビニル系重合体とセルロースナノファイバーを含む紛体物、およびこの粉体物を含む熱可塑性樹脂組成物およびその成形品に関する。
ゴムや樹脂にセルロースを複合して、強度や成形収縮などの物性を改善する検討が盛んに行われている。例えば、スチレン系樹脂にセルロース系物質を溶融混練して得られる熱可塑性樹脂組成物(特許文献1)、セルロースエステルと熱可塑性エラストマーを溶融してなるセルロースエステル組成物(特許文献2)などが提案されている。
しかし、溶融混練時にセルロースを加えた場合、セルロースの分散性が悪く、得られる成形品に外観不良が生じるという問題がある。
特開平9−278957号公報 特開2015−44976号公報
本発明は、セルロースナノファイバーを複合した熱可塑性樹脂成形品を良好な成形外観で得ることができるセルロースナノファイバーを含む紛体物と、この粉体物を含む熱可塑性樹脂組成物およびその成形品を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、ビニル系重合体(A)とセルロースナノファイバーとを複合化した粉体物を用いることにより、セルロースナノファイバーによる強度や成形収縮などの物性改善効果を十分に得た上で、外観に優れた熱可塑性樹脂成形品を得ることができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] ビニル系重合体(A)とセルロースナノファイバーとを含む紛体物。
[2] 前記ビニル系重合体(A)内にセルロースナノファイバーを含む複合粒子(B)である[1]に記載の粉体物。
[3] 前記ビニル系重合体(A)内にセルロースナノファイバーを含む複合粒子(B)に、ビニル系単量体がグラフト重合してなるグラフト共重合体(C1)である[1]に記載の粉体物。
[4] 前記複合粒子(B)が、ビニル系単量体混合物(m1)とセルロースナノファイバーとを含む混合物の重合反応物である[2]又は[3]に記載の粉体物。
[5] 前記グラフト共重合体(C1)が前記複合粒子(B)へのビニル系単量体混合物(m2)のグラフト重合反応物である[3]又は[4]に記載の粉体物。
[6] 前記ビニル系重合体(A)の表面にセルロースナノファイバーが付着した複合粒子(b)である[1]に記載の粉体物。
[7] 前記ビニル系重合体(A)が、ビニル系単量体混合物(m1)の重合反応物である[6]に記載の粉体物。
[8] 前記複合粒子(b)が、前記ビニル系重合体(A)の表面に形成されたビニル系単量体混合物(m2)のグラフト重合層を介して、或いは該グラフト重合層中に含まれて、セルロースナノファイバーが該ビニル系重合体(A)に付着してなるグラフト共重合体(C2)である[6]又は[7]に記載の粉体物。
[9] [1]ないし[8]のいずれかに記載の紛体物を含む熱可塑性樹脂組成物。
[10] [9]に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
本発明の粉体物を含む熱可塑性樹脂組成物により、セルロースナノファイバーが均一に分散することで、強度、成形収縮等のセルロースナノファイバー配合による改善効果が十分に発現され、かつ外観に優れた熱可塑性樹脂成形品を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の一方又は双方を意味するものであり、「(メタ)アクリレート」についても同様である。
[粉体物]
本発明の粉体物は、ビニル系重合体(A)とセルロースナノファイバーとを含むものであり、好ましくはビニル系重合体(A)とセルロースナノファイバーとの複合粒子、具体的にはビニル系重合体(A)内にセルロースナノファイバーが含まれた複合粒子(B)又はビニル系重合体(A)の表面にセルロースナノファイバーが付着した複合粒子(b)よりなる。
<ビニル系重合体(A)>
本発明の粉体物に含まれるビニル系重合体(A)(以下、「本発明のビニル系重合体(A)」と称す場合がある。)は、ビニル基を有するラジカル重合性単量体を重合したものであり、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体から選ばれる少なくとも1種の単量体からなるビニル系単量体混合物(m1)を重合して得られるビニル系重合体である。
本発明のビニル系重合体(A)の製造に用いられるビニル系単量体混合物(m1)に含まれる(メタ)アクリル酸エステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
また、シアン系ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ビニル系単量体混合物(m1)は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルよりなることが好ましい。
ビニル系単量体混合物(m1)はまた、例えば、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体とを含むものも好ましく、この場合、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体との合計100質量%中の芳香族ビニル系単量体の割合は55〜95質量%でシアン化ビニル系単量体の割合が5〜45質量%であることが好ましい。
ビニル系単量体混合物(m1)にはまた、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、芳香族ビニル系単量体、シアン化ビニル系単量体と共重合可能なその他のビニル系単量体が含まれていてもよい。その他のビニル系単量体としては、例えば、マレイミド系単量体、アミド系単量体等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。マレイミド系単量体としてはN−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を例示でき、アミド系単量体としてはアクリルアミド、メタクリルアミド等を例示できる。
ビニル系重合体(A)の製造に用いるビニル系単量体は用途や求められる物性によって選択すればよく、これらに限定されるわけではないが、例えば、硬度や透明性、発色性が必要であればメタクリル酸メチルを、耐衝撃性が必要であればアクリル酸ブチルを、流動性が必要であればスチレンを、耐薬品性が必要であればアクリロニトリルを、耐熱性が必要であればα−メチルスチレンやN−フェニルマレイミドを選択すればよい。
ビニル系重合体(A)は、上記のビニル系単量体混合物(m1)以外に、反応原料として架橋剤及び/又は交叉剤を用いてもよく、ビニル系単量体(m1)としてゴム質重合体を形成するものや紛体物の粒子径を維持したいもの、熱可塑性樹脂により分散させたい場合には、架橋剤及び/又は交叉剤を用いることで耐衝撃性や分散性が向上する。
即ち、ビニル系重合体(A)は、上記のビニル系単量体混合物(m1)と架橋剤及び/又は交叉剤とを含む原料混合物を共重合してなるものであることも好ましい。
交叉剤としては、アリル化合物、具体的には、メタクリル酸アリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
架橋剤としては、ジメタクリレート系化合物、具体例には、エチレングリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
架橋剤及び/又は交叉剤を用いる場合、その使用量は、ビニル系単量体混合物(m1)と、架橋剤及び/又は交叉剤との合計100質量%中の架橋剤と交叉剤の合計の割合が0.2〜3質量%、特に0.5〜2質量%となるような量であることが好ましい。
ビニル系重合体(A)の製造方法としては特に制限されないが、ビニル系単量体混合物(m1)と架橋剤及び/又は交叉剤とを含む混合物を乳化重合、またはミニエマルション重合させる方法が好ましく、得られるビニル系重合体(A)や後述の複合粒子(B)の粒子径を制御しやすく、製造安定性にも優れることからミニエマルション重合させる方法が特に好ましい。
本発明の紛体物の一態様は、後述の通り、ビニル系重合体(A)とセルロースナノファイバーとが複合された複合粒子(B)であることが好ましく従って、このビニル系重合体(A)の製造時の反応系内にセルロースナノファイバーを存在させて重合を行うことで、ビニル系重合体(A)中にセルロースナノファイバーを複合化して含む複合粒子(B)を得ることが好ましい。
ビニル系重合体(A)の乳化重合法による製造方法としては、水系溶媒にラジカル開始剤と、ビニル系単量体混合物(m1)と、架橋剤及び交叉剤のいずれか一方または両方とを加えて、乳化剤の存在下で共重合させる方法が挙げられる。ラジカル開始剤と、ビニル系単量体混合物(m1)と、架橋剤及び/又は交叉剤の添加方法は、一括、分割、連続のいずれでもよい。
さらに、乳化重合法において、より好ましくは、ビニル系単量体混合物(m1)やセルロースナノファイバー等の各原料を混合した混合物について、その混合物中の各原料の分散性をよくするために、具体的には特にセルロースナノファイバーの分散性を良好に保つために、せん断力を付与して均一な乳化状態を作製した後に、乳化重合を開始することが好ましい。せん断力の付与は後述のミニエマルション重合と同様の工程や装置を用いることができる。
本発明のビニル系重合体(A)を製造するミニエマルション重合は、これに限定されるものではないが、例えば、ビニル系単量体混合物(m1)と、架橋剤及び/又は交叉剤と、疎水性物質と、開始剤とを混合し、得られた混合物に水と、乳化剤とを加え、せん断力を付与してプレエマルション(ミニエマルション)を作製する工程、並びにこの混合物を重合開始温度まで加熱して重合させる工程を含む。
ミニエマルション化の工程では、例えば、超音波照射による剪断工程を実施することにより、前記剪断力によりモノマーが引きちぎられ、乳化剤に覆われたモノマー微小油滴が形成される。その後、開始剤の重合開始温度まで加熱することにより、モノマー微小油滴をそのまま重合し、高分子微粒子が得られる。ミニエマルションを形成させるための剪断力を加える方法は公知の任意の方法を用いることができる。ミニエマルションを形成できる高剪断装置としては、これらに限定されるものではないが、例えば、高圧ポンプおよび相互作用チャンバーからなる乳化装置、超音波エネルギーや高周波によりミニエマルションを形成させる装置等がある。高圧ポンプおよび相互作用チャンバーからなる乳化装置としては、例えば、SPX Corporation APV社製「圧力式ホモジナイザー」、(株)パウレック製「マイクロフルイダイザー」等が挙げられ、超音波エネルギーや高周波によりミニエマルションを形成させる装置としては、例えば、Fisher Scient製「ソニックディスメンブレーター」や(株)日本精機製作所製「ULTRASONIC HOMOGENIZER」等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
なお、ミニエマルション化の際の水溶媒の使用量は、作業性、安定性、製造性等の観点から、重合後の反応系の固形分濃度が5〜50質量%程度となるように、水以外の混合物100質量部に対して100〜500質量部程度とすることが好ましい。
ミニエマルション重合でビニル重合体(A)を製造する場合、疎水性物質を所定の割合で用いることが好ましい。プレエマルションを形成させる際に、疎水性物質を添加するとミニエマルション重合の製造安定性がより向上する傾向にあり、本発明に好適なビニル系重合体(A)を製造することができる。
疎水性物質としては、例えば炭素数10以上の炭化水素類、炭素数10以上のアルコール、質量平均分子量(Mw)10000未満の疎水性ポリマー、疎水性モノマー、例えば、炭素数10〜30のアルコールのビニルエステル、炭素数12〜30のアルコールのビニルエーテル、炭素数12〜30の(メタ)アクリル酸アルキル、炭素数10〜30(好ましくは炭素数10〜22)のカルボン酸ビニルエステル、p−アルキルスチレン、疎水性の連鎖移動剤、疎水性の過酸化物等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
疎水性物質としては、より具体的には、ヘキサデカン、オクタデカン、イコサン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、オリーブ油、セチルアルコール、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、500〜10000の数平均分子量(Mn)を有するポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
疎水性物質は、ビニル系単量体混合物(m1)と架橋剤及び/又は交叉剤との合計100質量部に対し、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは1〜3質量部用いることが、ビニル系重合体(A)の粒子径制御の点で好ましい。
本発明のビニル系重合体(A)を製造する際に用いる乳化剤としては、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ロジン酸のアルカリ金属塩、アルケニルコハク酸のアルカリ金属塩等で例示されるカルボン酸系の乳化剤、アルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの中から選ばれるアニオン系乳化剤等、公知の乳化剤を単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
乳化剤の添加量としては、ビニル系単量体混合物(m1)と架橋剤及び/又は交叉剤との合計100質量部に対し、0.01〜5.0質量部が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2.0質量部であることが、ビニル系重合体(A)の粒子径制御の点で好ましい。
ビニル系重合体(A)の製造に用いられる開始剤はラジカル重合するためのラジカル重合開始剤であり、その種類に特に制限はないが、例えば、アゾ重合開始剤、光重合開始剤、無機過酸化物、有機過酸化物、有機過酸化物と遷移金属と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤等が挙げられる。これらのうち、加熱により重合を開始できるアゾ重合開始剤、無機過酸化物、有機過酸化物、レドックス系開始剤が好ましい。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アゾ重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]フォルムアミド、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル1,1’−アゾビス(1−シクヘキサンカルボキシレート)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
無機過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えばペルオキシエステル化合物が挙げられ、その具体例としては、α,α’−ビス(ネオデカノイルペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシネオデカノエート、t−ブチルペルオキシネオデカノエート、t−ヘキシルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルペルオキシ2−ヘキシルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシ2−ヘキシルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシイソブチレート、t−ヘキシルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシマレイックアシッド、t−ブチルペルオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルオイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルペルオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルペルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシ−m−トルオイルベンゾエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルペルオキシ)イソフタレート、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルペルオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシド)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、ジメチルビス(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシン、ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ビス(t−ブチルペルオキシ)トリメチルシクロヘキサン、ブチル−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレラート、2−エチルヘキサンペルオキシ酸t−ブチル、ジベンゾイルペルオキシド、パラメンタンハイドロペルオキシドおよびt−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。
レドックス系開始剤としては、有機過酸化物と硫酸第一鉄、キレート剤および還元剤を組み合わせたものが好ましい。例えば、クメンヒドロペルオキシド、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、およびデキストロースからなるものや、t−ブチルヒドロペルオキシド、ナトリウムホルムアルデヒトスルホキシレート(ロンガリット)、硫酸第一鉄、およびエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムを組み合わせたもの等が挙げられる。
開始剤としては、これらのうち、レドックス系開始剤、有機過酸化物が好ましく、特に有機過酸化物が好ましい。
開始剤の添加量としては、ビニル系単量体混合物(m1)と架橋剤及び/又は交叉剤との合計100質量部に対して通常5質量部以下、好ましくは3質量部以下、例えば0.001〜3質量部である。
上記のプレエマルションを調製する工程は通常常温(10〜50℃程度)で行われ、ミニエマルション重合の工程は40〜100℃で30〜600分程度行われる。
<セルロースナノファイバー>
本発明において、セルロースナノファイバーは、セルロース繊維を含む材料(木材、落ち葉、芝生、麻、綿)を原料とし、これらに含まれるセルロース繊維をナノサイズまで解きほぐしたものである。セルロースナノファイバーは、平均繊維径1〜20nm程度、アスペクト比100以上、例えば100〜500であり、例えば、TEMPO酸化等の化学処理したセルロースを解繊することで得ることができる。
本発明で使用するセルロースナノファイバーに特に制限はないが、例えば、日本製紙製の「CELLENPIA」、第一工業製薬の「レオクリスタ」などを使用することができる。
<複合粒子(B)>
本発明の粉体物の好ましい一態様は、ビニル系重合体(A)内にセルロースナノファイバーが含まれる複合粒子(B)(以下、「本発明の複合粒子(B)」と称す場合がある。)である。
本発明の複合粒子(B)の製造方法としては特に制限されないが、前述のビニル系単量体混合物(m1)と架橋剤及び/又は交叉剤とセルロースナノファイバーを含む混合物を乳化重合、またはミニエマルション重合させる方法が好ましく、セルロースナノファイバーの分散性が優れることからミニエマルション重合させる方法が特に好ましい。
乳化重合法による本発明の複合粒子(B)製造方法としては、水系溶媒にラジカル開始剤と、ビニル系単量体混合物(m1)と、セルロースナノファイバーと、架橋剤及び/又は交叉剤とを加えて、乳化剤の存在下で共重合させる方法が挙げられる。ラジカル開始剤と、ビニル系単量体混合物(m1)と、架橋剤及び/又はグラフト交叉剤の添加方法は、一括、分割、連続のいずれでもよい。
本発明の複合粒子(B)をミニエマルション重合により製造する方法は、これに限定されるものではないが、例えば、ビニル系単量体混合物(m1)と、セルロースナノファイバーと、架橋剤及び/又は交叉剤と、疎水性物質と、開始剤とを混合し、得られた混合物に水と、乳化剤とを加え、せん断力を付与してプレエマルション(ミニエマルション)を作製する工程、並びにこの混合物を重合開始温度まで加熱して重合させる工程を含む。ミニエマルション化の工程では、例えば、超音波照射による剪断工程を実施することにより、前記剪断力によりモノマーが引きちぎられ、乳化剤に覆われ、セルロースナノファイバーを内包したモノマー微小油滴が形成される。
このミニエマルション重合は、反応混合物中にセルロースナノファイバーを存在させること以外は、前述のミニエマルション重合による本発明のビニル系重合体(A)の製造方法と同様に実施される。
本発明の複合粒子(B)の粒子径は50〜1200nmが好ましく、より好ましくは120〜900nm、さらに好ましくは300〜500nmである。複合粒子(B)の粒子径が50nm未満であると、複合粒子(B)からセルロースナノファイバーが露出し、好ましくない凝集が起こるおそれがある。複合粒子(B)の粒子径が1200nmを超えると、製造安定性が悪くなる。
ここで、複合粒子(B)の粒子径とは、後述の実施例の項に記載の方法で測定される体積平均粒子径である。
本発明の複合粒子(B)のセルロースナノファイバーの含有量は、複合粒子(B)の用途によっても異なるが、複合粒子(B)100質量%中のセルロースナノファイバーの含有量が0.01〜20質量%、特に0.1〜10質量%となるような量であることが好ましい。複合粒子(B)中のセルロースナノファイバーの含有量が上記下限よりも少ないとセルロースナノファイバーによる補強効果等を十分に得ることができず、上記上限よりも多いと本発明によるセルロースナノファイバーの分散性の向上効果を十分に得ることができない場合がある。
<グラフト共重合体(C1)>
本発明の粉体物は、本発明の複合粒子(B)に更にビニル系単量体をグラフト重合させてなるグラフト共重合体(C1)(以下、「本発明のグラフト共重合体(C1)」と称す場合がある。)であってもよい。
本発明のグラフト共重合体(C)は、本発明の複合粒子(B)にビニル系単量体混合物(m2)をグラフト重合して得られる。
ビニル系単量体混合物(m2)は、ビニル基を有するラジカル重合性単量体を含むものであればよく、これらに限定されるものではないが、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含むことが好ましい。
ビニル系単量体混合物(m2)に含まれる芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、o−,m−もしくはp−メチルスチレン、ビニルキシレン、p−t−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、ビニル系単量体混合物(m2)に含まれるシアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ビニル系単量体混合物(m2)に含まれる芳香族ビニル系単量体の含有率は40〜90質量%であることが、得られる熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の耐衝撃性、成形外観の点で好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。
また、ビニル系単量体混合物(m2)に含まれるシアン化ビニル系単量体の含有率は10〜60質量%であることが、得られる熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の耐衝撃性、成形外観の点で好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。
ビニル系単量体混合物(m2)は、上記の芳香族ビニル系単量体およびシアン化ビニル系単量体と、これらと共重合可能な他のビニル系単量体を含んでいてもよい。
他のビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ペンジル、メタクリル酸フェニル等のメタクリル酸エステルや、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−i−プロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−i−ブチルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−シクロアルキルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−アルキル置換フェニルマレイミド、N−クロロフェニルマレイミド等のN−アリールマレイミド、N−アラルキルマレイミド等のマレイミド系化合物や、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ビニル系単量体混合物(m2)のビニル系単量体種は用途や求められる物性によって選択すればよく、これらに限定されるわけではないが、例えば、硬度や透明性、発色性が必要であればメタクリル酸メチルを、流動性が必要であればスチレンを、耐薬品性が必要であればアクリロニトリルを、耐熱性が必要であればα−メチルスチレンやN−フェニルマレイミドを選択すればよく、特に後述のビニル系重合体(D)やその他の熱可塑性樹脂と一般的に相溶性が良好となるものを選択することでグラフト共重合体(C)の分散性がより良好となる。
相溶性が良好となる組み合わせとしては、これらに限定されるものではないが、例えば、ポリスチレンやポリフェニレンエーテルにはスチレン、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体)、ポリカーボネート、PBT樹脂やPET樹脂にはスチレンとアクリロニトリル、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)にはメタクリル酸メチルを選択することが挙げられる。
グラフト共重合体(C1)は、本発明の複合粒子(B)にビニル系単量体混合物(m2)がグラフト重合している。得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性や成形外観が優れることから、グラフト共重合体(C)100質量%中の本発明の複合粒子(B)は50〜80質量%、グラフト重合するビニル系単量体混合物(m2)が20〜50質量%であることが好ましい。
また、グラフト共重合体(C)は、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形外観が優れることから、グラフト率が25〜100%であることが好ましい。グラフト共重合体(C1)のグラフト率は、後述の実施例の項に記載の方法で測定される。
また、グラフト共重合体(C1)中のセルロースナノファイバーの含有量は、グラフト共重合体(C1)の用途によっても異なるが、グラフト共重合体(C1)100質量%中のセルロースナノファイバーの含有量が0.01〜20質量%となるような量であることが好ましい。セルロースナノファイバーの含有量が上記下限よりも少ないとセルロースナノファイバーによる補強効果等を十分に得ることができず、上記上限よりも多いと本発明によるセルロースナノファイバーの分散性の向上効果を十分に得ることができない場合がある。
グラフト共重合体(C1)は、塊状重合法、溶液重合法、塊状懸濁重合法、懸濁重合法、乳化重合法、ミニエマルション重合法等の公知の方法により製造されるが、本発明のビニル系重合体(A)および本発明の複合粒子(B)の製造方法として乳化重合、ミニエマルション重合が好ましいことから、乳化重合、ミニエマルション重合が好ましい。
乳化グラフト重合の方法としては、前述の本発明の複合粒子(B)のエマルションの存在下に、ビニル系単量体混合物(m2)を一括で、または連続的、または断続的に添加してラジカル重合する方法が挙げられる。また、グラフト重合の際には、グラフト共重合体(C1)の分子量調節やグラフト率を制御する目的で連鎖移動剤を使用したり、ラテックスの粘度やpHを調節する目的で公知の無機電解質等を使用したりしてもよい。また、乳化グラフト重合においては、各種の乳化剤やラジカル開始剤を必要に応じて使用することができる。
乳化剤、ラジカル開始剤の種類や添加量については特に制限されない。また、乳化剤、ラジカル開始剤としては、本発明の複合粒子(B)の説明において先に例示した乳化剤、ラジカル開始剤が挙げられる。
グラフト共重合体(C1)の水性分散体から、グラフト共重合体(C1)を回収する方法としては、(i)凝固剤を溶解させた熱水中にグラフト共重合体(C1)の水性分散体を投入して、スラリー状態に凝析することによって回収する方法(湿式法)、(ii)加熱雰囲気中にグラフト共重合体(C1)の水性分散体を噴霧することにより、半直接的にグラフト共重合体(C1)を回収する方法(スプレードライ法)等が挙げられる。
凝固剤としては、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸等の無機酸、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の金属塩等が挙げられる。凝固剤は、重合で用いた乳化剤に対応させて選定される。すなわち、脂肪酸石鹸、ロジン酸石鹸等のカルボン酸石鹸のみを乳化剤として用いた場合、どのような凝固剤を用いてもよい。ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の酸性領域でも安定な乳化力を示す乳化剤が含まれている場合、金属塩を用いる必要がある。
スラリー状態のグラフト共重合体(C1)から乾燥状態のグラフト共重合体(C1)を得る方法としては、(i)洗浄によって、スラリーに残存する乳化剤残渣を水中に溶出させた後に、該スラリーを遠心脱水機またはプレス脱水機で脱水し、さらに気流乾燥機等で乾燥する方法、(ii)圧搾脱水機、押出機等で脱水と乾燥とを同時に実施する方法等が挙げられる。乾燥により、グラフト共重合体(C1)は、粉体または粒子状で得られる。また、圧搾脱水機または押出機から排出されたグラフト共重合体(C1)を直接、熱可塑性樹脂組成物を製造する押出機または成形機に送ることもできる。
<グラフト共重合体(C2)>
本発明の好ましい別態様として、本発明のビニル系重合体(A)の表面にセルロースナノファイバーが付着した複合粒子(b)が挙げられる。この複合粒子(b)は、より好ましくは、本発明のビニル系重合体(A)の表面に形成された前述のビニル系単量体混合物(m2)のグラフト重合層を介してセルロースナノファイバーがビニル系重合体(A)に付着した、或いは、ビニル系重合体(A)の表面に形成された前述のビニル系単量体混合物(m2)のグラフト重合層中に含まれてセルロースナノファイバーがビニル系重合体(A)に付着したグラフト共重合体(C2)(以下、「本発明のグラフト共重合体(C2)」と称す場合がある。)である。
本発明のグラフト共重合体(C2)は、前述の本発明のグラフト共重合体(C1)の製造方法において、複合粒子(B)の代りにビニル系重合体(A)を用いビニル系単量体混合物(m2)と共にセルロースナノファイバーを用いてグラフト共重合を行うことにより製造することができる。即ち、例えば、ビニル系単量体混合物(m2)中に更にセルロースナノファイバーを混合してグラフト共重合を行うことで、ビニル系重合体(A)の表面に形成されたグラフト重合層中にセルロースナノファイバーを含む本発明のグラフト共重合体(C2)を製造することができる。また、ビニル系単量体混合物(m2)のグラフト共重合後、グラフト共重合体の水性分散体からグラフト共重合体を回収する前に、例えば凝固剤を添加してグラフト共重合体を析出させる前にグラフト共重合体の水性分散体にセルロースナノファイバーを添加混合し、その後グラフト共重合体を析出させることで、本発明のビニル系重合体(A)の表面にビニル系単量体混合物(m2)のグラフト重合層を介してセルロースナノファイバーが付着した本発明のグラフト共重合体(C2)を得ることができる。
本発明のグラフト共重合体(C2)の製造に用いるビニル系単量体混合物(m2)やそのグラフト共重合条件等については、前述の本発明のグラフト共重合体(C1)の製造に用いるビニル系単量体混合物(m2)やそのグラフト共重合条件等の説明をそのまま適用することができる。また、本発明のグラフト共重合体(C2)の製造に用いる本発明のビニル系重合体(A)の好ましい粒子径は前述の本発明の複合粒子(B)の好ましい粒子径と同様であり、グラフト共重合体(C2)の好ましいグラフト率やセルロースナノファイバー含有量についても本発明のグラフト共重合体(C1)と同様である。
なお、本発明のビニル系重合体(A)の代りに本発明の複合粒子(B)を用いて、上記の本発明のグラフト共重合体(C2)の製造方法と同様にして、複合粒子(B)の表面に更にセルロースナノファイバーを付着させたグラフト共重合体とすることもできる。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の粉体物、好ましくは、本発明の複合粒子(B)、本発明のグラフト共重合体(C1)及び本発明のグラフト共重合体(C2)(以下、本発明のグラフト共重合体(C1)及び/又は本発明のグラフト共重合体(C2)を「本発明のグラフト共重合体(C)」と称す場合がある。)のうちの1種以上を含むものである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の複合粒子(B)及び/又はグラフト共重合体(C)のみを含むものであってもよく、本発明の複合粒子(B)及び/又はグラフト共重合体(C)と共に、セルロースナノファイバーを含まないビニル系重合体(D)やセルロースナノファイバーを含まないグラフト共重合体(E)を含むものであってもよい。
<ビニル系重合体(D)>
ビニル系重合体(D)は、ビニル系単量体混合物(m3)を重合して得られる。
ビニル系単量体混合物(m3)は、得られる熱可塑性樹脂組成物の物性やグラフト重合体(C)の分散性が優れることから、前述のビニル系単量体混合物(m2)と同様の組成のものであることが好ましく、前述の通り、芳香族ビニル系単量体とシアン化ビニル系単量体を含むことが好ましい。
ビニル系単量体混合物(m3)に含まれる芳香族ビニル系単量体及びシアン化ビニル系単量体、それらの含有率については、ビニル系単量体混合物(m2)において前述した説明が適用される。ビニル系単量体混合物(m3)に含まれるその他のビニル系単量体についてもビニル系単量体混合物(m3)におけると同様である。
ビニル系重合体(D)の質量平均分子量に特に制限は無いが、10,000〜300,000の範囲であることが好ましく、特に50,000〜200,000の範囲であることが好ましい。ビニル系重合体(D)の質量平均分子量が上記範囲内であれば、熱可塑性樹脂組成物の流動性、耐衝撃性が優れたものとなる。
ビニル系重合体(D)の製造方法としては特に制限されず、乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などの公知の方法が挙げられる。熱可塑性樹脂組成物の耐熱性の点からは、懸濁重合、塊状重合が好ましい。
ビニル系重合体(D)の製造時に用いる重合開始剤に特に制限はないが、例えば有機ペルオキシド類などの有機過酸化物が挙げられる。
ビニル系重合体(D)の製造時に、ビニル系重合体(D)の分子量を調整するため、連鎖移動剤を用いることが出来る。連鎖移動剤に特に制限はないが、メルカプタン類、α−メチルスチレンダイマー、テルペン類等が挙げられる。
<グラフト共重合体(E)>
グラフト共重合体(E)は、セルロースナノファイバーを用いないこと以外は、本発明のグラフト共重合体(C)と同様に製造することができる。即ち、本発明の複合粒子(B)の代りに本発明のビニル系重合体(A)を用いて前述の通りビニル系単量体混合物(m2)のグラフト重合を行えばよい。
グラフト共重合体(E)の製造に用いるビニル系重合体(A)の好ましい粒子径は前述の本発明の複合粒子(B)の好ましい粒子径と同様であり、グラフト共重合体(E)のグラフト率やビニル系単量体混合物(m2)の使用量についても前述の本発明のグラフト共重合体(C1)と同様である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が、本発明のグラフト共重合体(C)とビニル系重合体(D)を含む場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物中の本発明のグラフト重合体(C)の含有率は、グラフト共重合体(C)とビニル系重合体(D)の合計を100質量%とした場合に、10〜40質量%であることが好ましく、ビニル系重合体(D)の含有率は60〜90質量%であることが好ましい。グラフト重合体(C)やビニル系重合体(D)の含有率が上記範囲であると、熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の耐衝撃性及び外観が優れたものとなる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物が本発明の複合粒子(B)とグラフト共重合体(E)を含む場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物中のグラフト共重合体(E)の含有率は、グラフト共重合体(E)と複合粒子(B)の合計を100質量%とした場合に、10〜40質量%であることが好ましく、複合粒子(B)の含有率は60〜90質量%であることが好ましい。グラフト重合体(E)や複合粒子(B)の含有率が上記範囲であると、熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の耐衝撃性及び外観が優れたものとなる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるセルロースナノファイバーの含有量は、成形品外観を良好に保つと共に、セルロースナノファイバーによる強度向上効果や成形収縮低減効果を十分に得る上で、0.01〜20質量%、特に0.1〜10質量%であることが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、上記の本発明のビニル系重合体(A)、複合粒子(B)、グラフト共重合体(C)、ビニル系重合体(D)、グラフト共重合体(E)以外の他の熱可塑性樹脂を含有してもよい。他の熱可塑性樹脂としては特に制限はなく、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT樹脂)、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアセタール樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE樹脂)、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアリレート、液晶ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フッ素樹脂およびポリアミド樹脂(ナイロン)等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
<添加剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の物性を損なわない範囲において、熱可塑性樹脂組成物の製造時(混合時)や成形時に、慣用の他の添加剤、例えば滑材、顔料、染料、充填剤(カーボンブラック、シリカ、酸化チタン等)、耐熱剤、酸化劣化防止剤、耐候剤、離型剤、可塑剤、帯電防止剤等を配合することができる。
<熱可塑性樹脂組成物の製造方法>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、公知の装置を使用した公知の方法で製造することができる。例えば、一般的な方法として溶融混練法があり、この方法で使用する装置としては、押出機、バンバリーミキサー、ローラー、ニーダー等が挙げられる。混合には回分式、連続式のいずれを採用してもよい。また、各成分の混合順序などにも特に制限はなく、全ての成分が均一に混合されればよい。
[成形品]
本発明の成形品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物が成形されたものである。その成形方法としては、例えば、射出成形法、射出圧縮成形機法、押出法、ブロー成形法、真空成形法、圧空成形法、カレンダー成形法およびインフレーション成形法等が挙げられる。これらのなかでも、量産性に優れ、高い寸法精度の成形品を得ることができるため、射出成形法、射出圧縮成形法が好ましい。
[用途]
本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形品は、セルロースナノファイバーを含むことで高い強度を有し、成形収縮率も低い。
本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその成形品の用途については特に制限はないが、その優れた強度特性と軽量性から、OA・家電分野、車両・船舶分野、家具・建材などの住宅関連分野、サニタリー分野、雑貨、文具・玩具・スポーツ用品分野などの幅広い分野に有用である。
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。
なお、以下において、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。
以下の実施例および比較例における各種測定および評価方法は以下の通りである。
<複合粒子(B)の体積平均粒子径>
マイクロトラック(日機装社製「ナノトラック150」)を用い、測定溶媒としてイオン交換水を用いて、水性分散体に分散している複合粒子(B)の体積平均粒子径を測定した。
<複合粒子(B)の製造安定性>
複合粒子(B)の水性分散体を製造後、200メッシュの金網で濾過し、200メッシュの金網に残存した凝集物を乾燥させた後秤量し、水性分散体の固形分100質量%に対する凝集物量(質量%)として評価した。凝集物量が少ないほど、製造安定性に優れる。
<セルロースナノファイバーの複合化の検証>
グラフト共重合体(C)の水性分散体からグラフト共重合体(C)を凝固、洗浄してグラフト共重合体(C)の紛体を回収し、回収したグラフト共重合体(C)の紛体を再度、純水に投入した後、超音波ホモジナイザーで30分間処理した。分散体を濾過し、得られた濾液を乾燥させた後に、残存物をIR分析することでセルロースナノファイバーの複合化の程度を検証した。濾液中のセルロースナノファイバーの残存が少ないほど、セルロースナノファイバーが多く複合化していると判断できる。セルロースナノファイバーを用いていない複合粒子(B−2)を用いたグラフト共重合体(C−2)をブランクとして、IR分析結果の強度を以下の通りランク分けして評価した。
◎:ブランクと類似(観測されない)
○:ピークが若干観測される
△:ピークが十分観測される
<グラフト共重合体(C)のグラフト率>
グラフト共重合体(C)1gを80mLのアセトンに添加し、65〜70℃にて3時間加熱還流し、得られたアセトン懸濁液を遠心分離機(日立工機社製「CR21E」)にて14,000rpmで30分間遠心分離して、沈殿成分(アセトン不溶成分)とアセトン溶液(アセトン可溶成分)とを分取した。そして、沈殿成分(アセトン不溶成分)を乾燥させてその質量(Y(g))を測定し、下記式(1)によりグラフト率を算出した。なお、式(1)におけるYは、グラフト共重合体(C)のアセトン不溶成分の質量(g)、XはYを求める際に使用したグラフト共重合体(C)の全質量(g)である。
グラフト率(質量%)={X−Y/X}×100 ・・・式(1)
[複合粒子(B)の製造]
<複合粒子(B−1)の製造>
以下の配合で複合粒子(B−1)を製造した。
〔配合〕
アクリル酸ブチル(ビニル系単量体混合物m1) 100部
メタクリル酸アリル 0.4部
1,3−ブチレングリコールジメタクリレート 0.2部
流動パラフィン 1.2部
アルケニルコハク酸ジカリウム(ASK) 0.4部
ジラウロイルペルオキシド 1.2部
セルロースナノファイバー1%水溶液 300部
イオン交換水 100部
試薬注入容器、冷却管、ジャケット加熱機および攪拌装置を備えた反応器に、アクリル酸ブチル、流動パラフィン、メタクリル酸アリル、ジラウロイルペルオキシド、蒸留水、アルケニルコハク酸ジカリウム、セルロースナノファイバー1%水溶液(日本製紙(株)社製 平均繊維径:3〜4nm、平均繊維長:600〜700nm、アスペクト比:150〜250)を仕込み、常温下で(株)日本精機製作所製ULTRASONIC HOMOGENIZER US−600を用いて振幅35μmで20分間超音波処理を行うことでプレエマルションを得た。
プレエマルションに窒素を吹き込んで置換したのち、60℃に加熱し、ラジカル重合を開始した。重合により、液温は78℃まで上昇した。30分間75℃で維持し、重合を完結させて複合粒子(B−1)の水性分散体を得た。複合粒子(B−1)の体積平均粒子径は307nmであった。また、凝集物量は0.08%であった。
<複合粒子(B−3)〜(B−7)、(B−9)の製造>
ビニル系単量体混合物(m1)の種類と添加量、アクリル酸アリル、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、アルケニルコハク酸ジカリウム等の添加量を表1に示す通り変更したこと以外は、複合粒子(B−1)と同様にして、複合粒子(B−3)〜(B−7)、(B−9)の水性分散体を得た。
<複合粒子(B−2)、(B−8)、(B−10)の製造>
セルロースナノファイバーを添加しないこと以外は、それぞれ複合粒子(B−1)、(B−7)、(B−9)と同様にして、複合粒子(B−2)、(B−8)、(B−10)の水性分散体を得た。
なお、これらはセルロースナノファイバーを含まず複合粒子には該当しないが便宜上「複合粒子」と称す。
複合粒子(B−2),(B−8),(B−10)は、後掲のグラフト共重合体(C−12)〜(C−14)の製造において、本発明のビニル系重合体(A)として用いた。
また、複合粒子(B−8),(B−10)は、後述の実施例においてはビニル系重合体(D)として用いた。
<複合粒子(B−11)の製造>
アルケニルコハク酸ジカリウム0.54部、イオン交換水100部、アクリル酸ブチル(ビニル系単量体混合物(m1))100部、メタクリル酸アリル0.4部、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート0.2部、およびt−ブチルヒドロペルオキシド0.2部、セルロースナノファイバー1%水溶液(日本製紙(株)社製 平均繊維径:3〜4nm、平均繊維長:600〜700nm、アスペクト比:150〜250)300部の混合物を、(株)日本精機製作所製ULTRASONIC HOMOGENIZER US−600を用いて30分以上超音波処理し、反応器に投入した。反応器に窒素気流を通じることによって、反応器内を窒素置換し、60℃まで昇温した。内温が50℃となった時点で、硫酸第一鉄0.00015部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.00045部、ロンガリット0.24部、およびイオン交換水5部からなる水溶液を添加して重合を開始させ、内温を75℃に上昇させた。さらにこの状態を1時間維持して複合粒子(B−11)の水性分散体を得た。
<複合粒子(B−12)〜(B−15)の製造>
アルケニルコハク酸ジカリウムの添加量を表1に示す通り変更したこと以外は、複合粒子(B−11)と同様にして、複合粒子(B−12)〜(B−15)の水性分散体を得た。
複合粒子(B−1)〜(B−15)の体積平均粒子径と凝集物量を表1にまとめて示す。
Figure 2019073669
[グラフト共重合体(C)の製造]
<グラフト共重合体(C−1)の製造>
複合粒子(B−1)を製造後、反応器の内温を75℃に保ったまま、複合粒子(B−1)50部(固形分として)に対して、硫酸第一鉄0.001部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩0.003部、ロンガリット0.3部、およびイオン交換水5部からなる水溶液を添加し、次いで、アルケニルコハク酸ジカリウム0.65部、およびイオン交換水5部からなる水溶液を添加した。その後、アクリロニトリル17部、スチレン33部、およびt−ブチルヒドロペルオキシド0.3部からなる混合液を1時間30分にわたって滴下し、グラフト重合させた。
滴下終了後、内温を75℃に10分間保持した後、冷却し、内温が60℃となった時点で、酸化防止剤(吉富製薬工業社製、アンテージW500)0.2部およびアルケニルコハク酸ジカリウム0.2部をイオン交換水5部に溶解した水溶液を添加した。次いで、重合生成物の水性分散体を硫酸水溶液で凝固、水洗した後、乾燥してグラフト共重合体(C−1)を得た。グラフト共重合体(C−1)のグラフト率は31%であった。得られたグラフト共重合体(C−1)の評価結果を表2に記した。
<グラフト共重合体(C−2)〜(C−11)の製造>
複合粒子(B−1)の代りに表2に示す複合粒子(B)を用いた以外は、グラフト共重合体(C−1)と同様にして、グラフト共重合体(C−2)〜(C−11)を得た。得られたグラフト共重合体(C−2)〜(C−11)の評価結果を表2に記した。
<グラフト共重合体(C−12)〜(C−14)の製造>
複合粒子(B)の種類を変更し、重合生成物の水性分散体に硫酸水溶液を添加して凝固を行う前に、セルロースナノファイバー1%水溶液を150部添加したこと以外は、グラフト共重合体(C−1)と同様にして、グラフト共重合体(C−12)〜(C−14)を得た。得られたグラフト共重合体(C−12)〜(C−14)の評価結果を表2に記した。
グラフト共重合体(C−1),(C−3)〜(C−11)は本発明のグラフト共重合体(C1)に該当し、グラフト共重合体(C−12)〜(C−14)は本発明のグラフト共重合体(C2)に該当する。また、グラフト共重合体(C−2)は、後掲の実施例11,12では、グラフト共重合体(E)として用いた。
Figure 2019073669
[熱可塑性樹脂組成物の成形と評価]
<実施例1〜15、比較例1、2>
表3に示す組成で各成分を混合し、さらにそこにカーボンブラック0.8部を混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押し出し機(池貝社製「PCM30」)を用いて240℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形した成形品について、成形品の外観及び曲げ強度を以下の方法により評価した。
<比較例3>
表3に示す組成で各成分を混合し、さらにそこにセルロースナノファイバー(日本製紙(株)社製 平均繊維径:3〜4nm、平均繊維長:600〜700nm、アスペクト比:150〜250)0.25部、カーボンブラック0.8部を混合し、30mmφの真空ベント付き2軸押し出し機(池貝社製「PCM30」)を用いて240℃で溶融混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形した成形品について、成形品の外観及び曲げ強度を以下の方法により評価した。
<比較例4>
セルロースナノファイバー添加量を0.5部に変更したこと以外は、比較例3と同様にして、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を射出成形した成形品について、成形品の外観及び曲げ強度を以下の方法により評価した。
[各評価方法]
<射出成形1>
溶融混練して得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを射出成形機(東芝機械社製、「IS55FP−1.5A」)によりシリンダー温度200〜270℃、金型温度60℃、射出率7g/秒の条件で、縦100mm、横100mm、厚さ3mmの成形品を成形し、外観評価用成形品(成形品(Ma1))として用いた。
<射出成形2>
溶融混練して得られた熱可塑性樹脂組成物のペレットを射出成形機(東芝機械社製、「IS55FP−1.5A」)によりシリンダー温度200〜270℃、金型温度60℃の条件で、縦80mm、横10mm、厚さ4mmの成形品を成形し、曲げ試験用成形品(成形品(Ma2))として用いた。
<成形品外観の評価>
射出成形により得られた成形品(Ma1)を目視判定により、ブツ、シルバーストリークなどを評価した。評価結果を表3に記した。
◎:外観不良なし
○:成形品表面にブツが若干確認できる。
△:成形品表面にブツやシルバーストリークが若干確認できる。
×:成形品表面にブツやシルバーストリークが多数確認できる。
<曲げ弾性率の評価:曲げ試験>
射出成形により得られた曲げ試験用成形品(Ma2)をISO 178規格に従い、試験片中央に荷重を加え、曲げ弾性率を測定した。評価結果を表3に記した。
Figure 2019073669
表3の実施例1〜5、11、12に示すように、各実施例によれば、外観及び曲げ弾性率の両方に優れる熱可塑性樹脂成形品が得られた。
表3の実施例6〜10、13〜15に示すように、各実施例によれば、外観は若干劣るものの、曲げ弾性率に優れる熱可塑性樹脂成形品が得られた。
表3の比較例1,2に示すように、セルロースナノファイバーを配合していないため、外観に優れる熱可塑性樹脂成形品が得られた。ただし、セルロースナノファイバーを配合していないため曲げ弾性率は参考値となる。
表3の比較例3〜4に示すように、セルロースナノファイバーを単に混練時に配合しただけでは、セルロースナノファイバーが均一にゴムや樹脂中に分散していないとため、外観も曲げ弾性率も著しく劣っていた。

Claims (10)

  1. ビニル系重合体(A)とセルロースナノファイバーとを含む紛体物。
  2. 前記ビニル系重合体(A)内にセルロースナノファイバーを含む複合粒子(B)である請求項1に記載の粉体物。
  3. 前記ビニル系重合体(A)内にセルロースナノファイバーを含む複合粒子(B)に、ビニル系単量体がグラフト重合してなるグラフト共重合体(C1)である請求項1に記載の粉体物。
  4. 前記複合粒子(B)が、ビニル系単量体混合物(m1)とセルロースナノファイバーとを含む混合物の重合反応物である請求項2又は3に記載の粉体物。
  5. 前記グラフト共重合体(C1)が前記複合粒子(B)へのビニル系単量体混合物(m2)のグラフト重合反応物である請求項3又は4に記載の粉体物。
  6. 前記ビニル系重合体(A)の表面にセルロースナノファイバーが付着した複合粒子(b)である請求項1に記載の粉体物。
  7. 前記ビニル系重合体(A)が、ビニル系単量体混合物(m1)の重合反応物である請求項6に記載の粉体物。
  8. 前記複合粒子(b)が、前記ビニル系重合体(A)の表面に形成されたビニル系単量体混合物(m2)のグラフト重合層を介して、或いは該グラフト重合層中に含まれて、セルロースナノファイバーが該ビニル系重合体(A)に付着してなるグラフト共重合体(C2)である請求項6又は7に記載の粉体物。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項に記載の紛体物を含む熱可塑性樹脂組成物。
  10. 請求項9に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形品。
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