JP6765862B2 - 繊維用吸水柔軟付与剤 - Google Patents
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そのため、特許文献1では、ポリエーテル変性シリコーンを用い、黄変の問題を解決することが提案されている。しかしながら、ポリエーテル変性シリコーンは、布への吸着性が低く、しかも水溶性であるため洗い流されてしまうため、柔軟性の確保が困難であり、柔軟効果の付与が不十分という問題があった。
そのため、特許文献2では、ポリエーテル変性シリコーンを併用することで吸水性を確保することが提案されている。しかしながら、ポリエーテル変性シリコーンは、繊維への吸着性が低いので、結果として十分な吸水性を得ることが難しかった。
ポリエーテル変性シリコーンは自己乳化性があるので、洗浄液の中では安定に存在することと、繊維を親水化させるために、脱水が容易に行える、すなわちいわゆる水抜けがよい、という利点が考えられる。
そのため、特許文献3では、ポリエーテル変性シリコーンと4級カチオンの混合物を使用することにより濯ぎ後の速乾を行うことが提案されている。
しかしポリエーテル変性シリコーンの繊維への吸着は十分でないので、濯ぎによりポリエーテル変性シリコーンが流されてしまうので、得られた繊維の吸水柔軟効果は十分でないという問題があった。
しかしポリエーテル変性シリコーンの繊維への吸着は十分でないので、濯ぎによりポリエーテル変性シリコーンが流されてしまうので、得られた繊維の吸水柔軟効果は十分でないという問題があった。
なた、ポリエーテル変性シリコーンは洗剤と相溶することにより、洗剤の透明性、繊維の脱水性が優れるので、洗剤と柔軟剤を混合させた処方においても吸水柔軟付与剤として有効と考えられるが、従来技術のいかなるものも、繊維への吸着性を低下させずに本来的な効果を現す具体的な方法を開示していなかった。
また、このシリコーン組成物を用いることにより、洗剤と柔軟剤を混合させる処方において透明性を得、十分な吸水柔軟特性および残香性を得た。
両親媒性シリコーンは下記式(1)で表され、水中で自己乳化可能であり、5個以下のケイ素原子を有するシクロシロキサンを実質的に含まず、
R3SiO(R1 2SiO)w(R1JSiO)x(R1KSiO)y(R1LSiO)zSiR3 (1)
(式中、Rは、基Lまたは炭素数1〜30の炭化水素基であり、R3SiO−または−SiR3基の1つのRが、場合によってヒドロキシル基であり、R3SiO−または−SiR3基の1つまたは複数のRが場合によって炭素数1〜8のアルコキシ基であり;
R1は、水素または炭素数1〜30の炭化水素基であり;
Jは、炭素数6〜20の芳香族基を含有する炭素数8〜30の基であり;
Kは、炭素数6〜45のアルキル基であり;
Lは、100より大きい分子量を有する、酸素含有親水性基であり;
wは、0〜200であり;
xは、1〜100であり;
yは、1〜50であり;
zは、1〜50である)
前記両親媒性シリコーン組成物は、w、x、yおよびzの総モルを100モルとしたときに、前記両親媒性シリコーンの分枝部位を形成するRSiO3/2基およびSiO4/2基5モル未満を含有してよく、HLBが16以下であることを特徴とする繊維用吸水柔軟付与剤によりなる。
物からなるものであってもよい。また、本発明の両親媒性シリコーン組成物は、両親媒性シリコーンを含むものである。ここで、両親媒性シリコーン組成物が両親媒性シリコーンを含むとは、両親媒性シリコーン組成物が、両親媒性シリコーンを少なくとも含み、必要により両親媒性シリコーンに加えてその他のシリコーン化合物を含むことを意味する。
R3SiO(R1 2SiO)w(R1JSiO)x(R1KSiO)y(R1LSiO)
zSiR3 (I)
で表される。式中、各Rは、互いに独立に、炭素数1〜30の炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜30の飽和、及び/又は、不飽和結合を有する炭化水素基であり、官能基中には、酸素、硫黄、窒素およびリンの群から選択されるヘテロ原子も含有することができ、又はRは、ヒドロシリル化反応において実質的に非反応性であるまたはヒドロシリル化を阻害しない、別の有機基または無機基(例えば、ヒドロキシル基、アシロキシ基、もしくはアルコキシ基)、好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基のアルコール部分、最も好ましくはメトキシまたはエトキシ基であってよく、又はRは、L基である。Rは、好ましくは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル、フェニルエチル、2−フェニルプロピルまたはナフチルエチル基、最も好ましくは安価であるため、メチル基である。
基Jはこれらの芳香族基を含有している基ならばなんでもよく限定されないが、経済的理由と安定性の理由で、好ましくは、ヒドロシリル化反応によるオルガノポリシロキサン骨格に結合できる化合物に由来するアリールアルキル基である。Jは、好ましくはフェニルエチル、2−フェニルプロピル、3−フェニルブチルまたはナフチルエチルである。最も好ましくは、Jは、2−フェニルプロピルである。R1JSiOシロキシ単位中のR1部分は、メチルまたはフェニルであり、好ましいポリマーでは、R1JSiOシロキシ基で、R1は、フェニルまたは炭素数1〜4のアルキルであり、好ましくはメチルである。
基Jは基Kと共に、嵩高い基であるので、シリコーン組成物が繊維へ吸着しやすくなる役割を担う。また洗剤と柔軟剤を混合して処方する液剤においては、ミクロエマルジョンを形成する役割を担う。また、基Jの存在はシリコーン組成物のHLBを下げる効果がある。
基Kは基Jと共に、嵩高い基であるので、シリコーン組成物が繊維へ吸着しやすくなる役割を担う。また洗剤と柔軟剤を混合して処方する液剤においては、ミクロエマルジョンを形成する役割を担う。また、基Kの存在はシリコーン組成物のHLBを下げる効果がある。
基Jと基Kが同一分子鎖上に存在することはさらにこれらの効果を相乗させる。
基Kの炭素数が45を超えると嵩高さが大きくなり過ぎるので、シリコーン組成物のもつ本来の柔軟付与効果が十分でなくなる。
基Lは、分子鎖上のケイ素原子にSi−C結合を介して結合しても、あるいはSi−O結合を介して結合しても、いずれでも構わない。一般的にはSi−C結合を介して結合している方が加水分解耐性に強いので、好ましい。
両親媒性シリコーンにおいて、Lは、式(II)
−Ra−O−(RbO)c−X (II)
(式中、RaはSi−C結合しているアルキレンまたはアルケニレン基であり、Rbは二
価の炭化水素基であり、Xはヒドロシリル化を妨げない末端基であり、cはポリオキシア
ルキレンポリエーテルが300〜6000の分子量を有するように存在する。300未満だと親水性が十分でなく、6000を超えると結晶性が高まり過ぎて柔軟付与剤としての機能が減少する。)を有する
Si−C結合ポリオキシアルキレンポリエーテル;
式(III)
−Ra−O−(グリセリルまたはポリグリセリル) (III)
のポリヒドロキシ化合物;
式(IV)
−Ra−O−(モノサッカリドまたはポリサッカリド) (IV)
のサッカリジル基;
および式(V)
−Ra−(ポリビニルアルコールホモまたはコポリマー) (V)
のポリビニルアルコールホモポリマーまたはコポリマーから独立に選択されてよい。
る親水基であり、またはそれらの混合物である。Lは、L基の親水性部分に結合したア
ルケニルまたはアルキニル基のヒドロシリル化から誘導されるアルキレンまたはアルキレ
ニル基を介して結合しており、ヒドロシリル化反応可能な基、好ましくはビニルまたはア
リル基を一方の末端とし、不飽和、及び/又は、飽和炭化水素基、ヒドロキシ、アルコキシ、カルボキシ、もしくは硫酸エステル、リン酸エステルなどの他の基またはヒドロシリル化反応を妨げない他の末端基を他方の末端とするポリオキシアルキレンポリエーテルから好ましくは選択される。Lは、例えば、グリセリルもしくはポリグリセリル基、モノサッカリジルもしくはポリサッカリジル基またはポリビニルアルコール基も含み得る。基Lは、親水性部分を含有する不飽和化合物のヒドロシリル化から誘導される基である。
p−(C3H6O)q(CnHn+2O)r−Rbであってよく、式中、R2は、炭素数2〜20の二価の炭化水素基であり、nは、4〜10であり、Rbは、好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基であり、より好ましくは不飽和、及び/又は、飽和炭化水素基、またはヒドロキシルもしくはアシル基、最も好ましくはヒドロキシル、メチル、ブチルまたはアセチル基である。親水性であるために、pおよびq基が、優勢でなければならず、好ましくはp基が、優勢でなければならない。変数pおよびqは、0〜30、好ましくは0〜20の範囲の値を有するが、少なくとも1つのp、qまたはr基は、存在しなければならない。最も好ましくは、rは、4未満であり、好ましくは0であり、qは、平均で約20以下である。p+q+rの合計は、約6以上が好ましい。
Lの分子量は、100以上が好ましい。100未満だと十分な親水性が発現できない。好ましくは約300〜約6000の範囲にある。p、qおよびr単位は、ホモポリマーブロックとして、ヘテリック(heteric)ブロックとして、または任意の望ましい分布でランダムに分布して存在し得る。ホモポリマー性オキシプロピレンまたはオキシ(より高度なアルキレン)ブロックが使用される場合、このようなブロックは、親水性、または親水性と親油性の組み合わせではなく疎水性を与えるほど長くはない。例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどの低分子量類似物は、非常に親水性であるが、400〜500より大きい分子量を有するポリオキシプロピレンホモポリマーポリエーテルは、油性で疎水性であることが比較的よく知られている。ポリブチレングリコール、例えば、ポリテトラメチレングリコールなどのより高度なポリオキシアルキレンの場合、酸素に対する炭素の比が高いほど、さらにより低い分子量でそのようなオリゴエーテルおよびポリエーテルを疎水性にする。したがって、ホモポリオキシエチレングリコールおよびコポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)グリコール、コポリ(オキシエチレン/オキシブチレン)グリコールまたはターポリ(オキシエチレン/オキシ−プロピレン/オキシブチレン)グリコールが好ましい。さらに、非常に重要なのは、生成物の易分散性である。この分散性は、次に示されるように、容易に評価される。エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドから誘導されるブロックコポリエーテルまたはブロック/ヘテリックコポリエーテルの使用は、これらの基が、親水性であるだけでなく、乳化(すなわち表面活性な)特性を提供することも知られており、特に有用である可能性がある。
[O1/2R1 2Si−R’−SiR1 2O1/2]t
(VI)
式中、tは、0〜100であり、好ましくは0〜50であり、より好ましくは0〜20であり、さらにより好ましくは0〜5であり、最も好ましくは0〜3である。100を超えるとシリコーン組成物としての所望の特性を得にくくなるためである。好ましくは、反応性成分中の不純物から形成される不可避の連結を除き、鎖延長基は存在しない。R’は、鎖延長基の両方のケイ素原子にSiC結合する炭素数4〜30の炭化水素基または、炭素数2〜20の炭化水素連結、好ましくは炭素数2〜4の炭化水素連結を介して両方のケイ素原子にSiC結合する親水性基である。R’単位は、上述の分枝構造のR’基でもあり得るように、J’、K’およびL’基と定義することもでき、これらのJ’、K’およびL’基は、J、KおよびL基の定義に対応するが、ヒドロシリル化反応可能な不飽和の追加の部位を持つ。
式中、uは、0〜100であり、好ましくは0〜50であり、より好ましくは0〜20であり、さらにより好ましくは0〜5であり、最も好ましくは0〜3である。100を超えるとシリコーン組成物としての所望の特性を得にくくなるためである。分枝基では、R’は、この点でオルガノポリシロキサン中の分枝を形成するように、少なくとも1つの他のシロキシ基とR’を介して分枝単位を結合する二価の分枝部分である。少なくとも1つの他のシロキシ基は、オルガノポリシロキサン鎖の末端であってよく、またはオルガノポリシロキサン鎖内のシロキシ基であり得る。したがって、分枝および架橋ポリマーのようなデンドリマーまたはラダーが形成され得る。
A−[OSiMe2]d[OSiHMe]eO−A
式中、Aは、独立にHMe2SiまたはMe3Siであり、eは、好ましくはx、yおよびzの合計に等しく、dとeの合計は、望ましい分子量および/または鎖長が得られるようなものである。言い換えれば、好ましくは、基J、KおよびLの実質的にすべてが、H−シロキサンを用いるヒドロシリル化により両親媒性シリコーンに結合している。しかし、H−シロキサンが、基J、KおよびLのいくつかをすでにR1基として、すなわち、ヒドロシリル化の前に含有し得ることも可能である。経済的理由から、これは好ましくない。
また、高い繊維吸着性によって、4級カチオンをベースとした柔軟剤組成物においても、柔軟剤を高めるのみならず、高い吸水性を付与することを可能にする。
このことにより、本発明のシリコーン組成物は、洗剤と柔軟剤の混合物としての処方においても使用できる。そのため、洗剤による繊維の洗濯効果を損ねることなく、脱水効果を高め、かつ繊維への吸着性を高められるので、吸水柔軟剤としての高い効果を得られる。
HLBとは分子内の親水基の割合を示す指標であり、式(1)により計算で求められる。
HLB=100×(1/5)×(親水基の式量/分子量) (1)
この効果はHLB値を10以下に設定することでさらに顕著である。
また、高い繊維吸着性によって、4級カチオンをベースとした柔軟剤組成物においても、柔軟剤を高めるのみならず、高い吸水性を付与することを可能にする。
さらには、香料を含有する繊維処理剤において、香料の繊維への吸着効果を高めることができる。
実施例および比較例における繊維用吸水柔軟付与剤の作製は以下のようにして行った。得られた繊維用吸水柔軟付与剤を用いて、以下に示す処方により、柔軟剤評価および洗剤評価のための試料を作製した。柔軟剤としての評価として柔軟性、吸水性の試験を行い、洗剤としての評価は、相溶性および、洗濯処理性として、柔軟性、残香性の評価を行った。各試験方法を下記に示す。各実施例、比較例の吸水柔軟処理付与剤の量両親媒性シリコーンの構造、HLBを表1に、柔軟剤評価および洗剤評価の結果を表2に示す。表1におけるEO、POに付記されている数字はそれぞれのモル数を示す。
プロペラミキサー、ステンレスベッセル、ホットプレートを用いて100rpmで撹拌下、水79.6質量%を50℃に加温した後、エステルクオタニウム(STEPANTEXⓇ VK 90;Stepan Company 社製)20質量%を添加し、均一になるまで撹拌し、その後35℃まで撹拌下冷却した後、塩化カルシウム0.4質量%添加以下してさらに室温まで撹拌下冷却することにより得られる柔軟剤組成物100質量部に対し、各実施例、比較例で得られた吸水柔軟付与剤シリコーンを2%添加し、100rpmの回転数にて3分撹拌して、柔軟剤組成物を得た。
5Lベッセルに水道水を入れ、実施例および比較例記載の方法で作製した柔軟剤5gを添加し軽く撹拌し、そこに、綿100%ハンドタオル(350×350mm、約50g)2枚を入れ、3分間撹拌した後、洗濯機で3分間脱水し、恒温恒湿室(23℃、湿度50%)で1晩室内干しにて乾燥させた。
プロペラミキサー、ステンレスベッセルを用いて100rpmで撹拌下、市販の濃縮型透明液体洗剤(洗浄成分構成;ポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル、アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、香料成分含有)に本発明のシリコーン各実施例、比較例で得られた吸水柔軟付与剤シリコーン2%を添加し、洗剤組成物を得た。
縦型全自動洗濯機(NA−F50B6;パナソニック株式会社製)を用いて、水量を30Lに設定し、実施例、並びに比較例記載の方法で作製した洗剤10mL、を添加し、綿100%ハンドタオル(350×350mm、約50g)5枚を洗浄(10分)、注水すすぎ(5分、2回)、脱水(3分)1サイクルにて洗濯処理し、恒温恒湿室(23℃、湿度50%)で1晩乾燥した。
3名のパネルにて、作製した処理タオル(柔軟剤評価試験試料または洗濯処理性試験試料)の柔軟性を一対比較法により評価し、各タオルに対する評価点数の合計を比較した。一対比較法の評価にあたっては、より柔軟性の優れる方へ1点、柔軟性の劣る方へは0点を付与し、同点の場合はともに0.5点を付与した。
3名の評価点数を各サンプルについて合計した点数について、以下のように評価した。
評価基準 ◎;15点以上、〇;10.5〜14.5点、△;5.5〜10.0点、×;05.5点未満
タオルをシャーレの上に置き、イオン交換水(無色透明)をマイクロピペットにて70μL布の上に滴下し、ストップウォッチで吸液に要する計秒数を計測した。タオルの真ん中、両端の計3ヶ所にてそれぞれ4点計測を行い、これを更に3回繰り返し、合計12点の計測データについて、平均値を求めた。秒数が短いほど、高い吸水性が得られたことを示す。
吸水時間について、以下の基準にて評価した。
評価基準 〇;1分未満、△;1以上〜2分未満、×;2分以上
実施例、比較例によって得られた洗剤について、それぞれ30gをガラス製スクリュー管に入れ、室温、40℃、50℃で2週間保存後の外観を目視で観察した。
評価基準;〇透明、分離無し、△分離傾向がみられる、微濁、×分離、濁り有り
処理、乾燥したタオルについて、直後、更に1月室温保管した後のそれぞれの段階において、1対比較法で香りの強さを評価した。一対比較法の評価にあたっては、より柔軟性の優れる方へ1点、柔軟性の劣る方へは0点を付与し、同点の場合はともに0.5点を付与した。
評価基準 ◎;15点以上、〇;10.5〜14.5点、△;5.5〜10.0点、×;5.5点未満
反応フラスコにポリ(メチルシロキサンcoジメチルシロキサン)[300g、H含有量0.642重量%]を入れた。フラスコを80℃に加熱し、α−メチルスチレン(AM
S、112.6g)を滴下漏斗に入れ、フラスコ内容物の温度を約120〜125℃に上げながらAMSの約3分の1量をフラスコに添加した。125℃で、クロロ白金酸のシク
ロヘキサノール中溶液(シクロヘキサノール溶液中1重量%Pt、120μL)を、フラスコ中の撹拌(200〜250rpm)している混合物にシリンジを介して速やかに添加
した。急速な発熱が起こり、漏斗からのAMS添加を続けて、反応熱からの温度を140〜160℃の範囲に保った。AMS添加の完了直後に、Pt触媒のさらなる分量(120
μL)を添加し、混合物を145℃で30分間加熱した。次いで温度を125〜130℃に下げ、1−オクテン(54.5g)を滴下漏斗からゆっくり添加して、温度を約140
℃未満に維持した。混合物を140℃で30分間加熱した。次いで温度を150℃に設定し、ポリ(エチレンオキシド)モノアリルエーテル、10molEO、(249.5g)
添加を開始した。ポリエーテル添加の開始後、触媒のさらなる分量(120μL)を添加し、添加の途中で温度を155℃に上げ、温度を約150℃未満に低下させることなく、
ポリエーテル添加を完了した。触媒の4分の1量(120μL)を添加し、混合物を1時間加熱し、触媒の半分量(60μL)を添加し、混合物をさらに1時間加熱して、2時間
の混合の間、温度を好ましくは150〜155℃の範囲に維持した。次いで、反応混合物を約155℃で減圧下(10〜15mmHg)でストリッピングして、残りの揮発性オレ
フィンもすべて除去した。40℃に冷却後、次いでオフホワイトから淡黄色の生成物を濾過して、ほぼ無色で透明な液体(生成物)を得た。得られた生成物を「吸水柔軟付与剤シリコーン1」という。この生成物を1H−NMR分析したところ、設計構造通りの表1に示す分子構造を有することがわかった。
表1において「親水基」とは、下記一般式(1):
R3SiO(R1 2SiO)w(R1JSiO)x(R1KSiO)y(R1LSiO)zSiR3 (1)
中のLを示す。また、「アルキル基」とは一般式(1)中のKを示す。さらに「芳香族基含有基」とは一般式(1)中のJを示す。
また、上記生成物をGC MS分析したところ、残留AMS含有量が100ppm未満であることが分かった。さらに上記生成物は、25℃での粘度が268mPa・s、屈折率が1.4615、揮発性物質が0.03重量%であった。なお、吸水柔軟付与剤シリコーン1には、表1に示す分子構造の枝部位を形成するRSiO3/2基およびSiO4/2基は検出されなかった。
HLBは6.4であった。
吸水柔軟付与剤シリコーン1を用いて柔軟剤評価および洗剤評価を行った。
表2の<柔軟剤評価結果>に示すように、「吸水柔軟付与剤シリコーン1」を用いた柔軟剤評価においては、処理タオルの柔軟性、吸水性は良好な結果を示した。よって、目的の吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、この処理タオルは黄変も示さず、本来ポリエーテル変性シリコーンがもつ特性も維持していることがわかった。
さらに、<洗剤評価結果>に示すように、相溶性は良好であり、かつ処理タオルの柔軟性および直後、1ヶ月後の残香性も良好な結果を示した。よって、洗剤と混合して用いる処方において透明性を付与でき、処理繊維に残香性を与える吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、洗剤評価試験の過程で、処理タオルの脱水性が良好であったこともわかった。
実施例1の手順に非常に類似した手順を使用して、ポリ(メチルシロキサン−co−ジメチルシロキサン)[58.5g、H含有量0.64重量%]は、AMS(21.8g)
、1−オクタデセン(24.4g)およびアリル末端を有するポリエチレンオキシド、10molEO(48.8g)と、その添加の順番で反応させた。オクタデセン添加のため
の添加温度は、145℃であり、使用したPt触媒は、プロピレングリコール中のヘキサクロロ白金酸(0.5重量%Pt、総触媒量216μL)であった。粗生成物を20mm
Hgおよび160℃で減圧除去し、濾過して、透き通ったほぼ無色の液体(生成物)を得た。得られた生成物を「吸水柔軟付与剤シリコーン2」という。この生成物を1H−NMR分析したところ、設計構造通りの表1に示す分子構造を有することがわかった。
また、上記生成物は、25℃での粘度が290mPa・s、屈折率が1.4603であった。なお、吸水柔軟付与剤シリコーン2には、揮発物物質および表1に示す分子構造の枝部位を形成するRSiO3/2基およびSiO4/2基は検出されなかった。
HLBは5.8であった。
吸水柔軟付与剤シリコーン2を用いて柔軟剤評価および洗剤評価を行った。
表2の<柔軟剤評価結果>に示すように、「吸水柔軟付与剤シリコーン1」を用いた柔軟剤評価においては、処理タオルの柔軟性、吸水性は良好な結果を示した。よって、目的の吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、この処理タオルは黄変も示さず、本来ポリエーテル変性シリコーンがもつ特性も維持していることがわかった。
さらに、<洗剤評価結果>に示すように、相溶性は良好であり、かつ処理タオルの柔軟性および直後、1ヶ月後の残香性も良好な結果を示した。よって、洗剤と混合して用いる処方において透明性を付与でき、処理繊維に残香性を与える吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、洗剤評価試験の過程で、処理タオルの脱水性が良好であったこともわかった。
実施例1の手順に非常に類似した手順を使用して、ポリ(メチルシロキサン−co−ジメチルシロキサン)[83g、H含有量0.64重量%]は、AMS(15.6g)、1
−オクテン(15.1g)およびモノアリル末端を有するポリエチレンオキシド、10molEO(137.4g)とその添加の順番で反応させた。オクテン添加のための出発温
度は、130℃であり、使用したPt触媒は、プロピレングリコール中のヘキサクロロ白金酸(0.5重量%Pt、総触媒溶液体積276μL)であった。粗生成物を18mmH
gおよび160−166℃で減圧除去し、濾過して、透き通ったほぼ無色の液体(生成物)を得た。得られた生成物を「吸水柔軟付与剤シリコーン3」という。この生成物を1H−NMR分析したところ、設計構造通りの表1に示す分子構造を有することがわかった。
また、上記生成物は、25℃での粘度が757mPa・s、屈折率が1.4572であった。なお、吸水柔軟付与剤シリコーン3には、揮発物物質および表1に示す分子構造の枝部位を形成するRSiO3/2基およびSiO4/2基は検出されなかった。
HLBは10であった。
吸水柔軟付与剤シリコーン3を用いて柔軟剤評価および洗剤評価を行った。
表2の<柔軟剤評価結果>に示すように、「吸水柔軟付与剤シリコーン1」を用いた柔軟剤評価においては、処理タオルの柔軟性、吸水性は良好な結果を示した。よって、目的の吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、この処理タオルは黄変も示さず、本来ポリエーテル変性シリコーンがもつ特性も維持していることがわかった。
さらに、<洗剤評価結果>に示すように、相溶性は良好であり、かつ処理タオルの柔軟性および直後、1ヶ月後の残香性も良好な結果を示した。よって、洗剤と混合して用いる処方において透明性を付与でき、処理繊維に残香性を与える吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、洗剤評価試験の過程で、処理タオルの脱水性が良好であったこともわかった。
実施例1の手順に非常に類似した手順を使用して、ポリ(メチルシロキサン−co−ジメチルシロキサン)[105g、H含有量0.656重量%]は、AMS(40.2g)
、1−オクテン(19.5g)およびモノアリル末端を有するポリ(エチレンオキシドcoプロピレンオキシド)、20molEO−20molPO(316.6g)とその添加
の順番で反応させた。オクテン添加のための出発温度は、130℃であり、使用したPt触媒は、シクロヘキサノール中のクロロ白金酸(1重量%Pt、総触媒量194μL)で
あった。ポリエーテルの添加を155℃で開始し、半分はこの温度で添加し、半分は160℃で添加した。実施例1〜3のように、ポリエーテル添加の完了後、混合物を2時間撹
拌した(この実施例では160℃で)。粗生成物を20mmHgおよび160℃で減圧除去し、濾過(0.8μmナイロンメンブランフィルター)して、透き通った無色の液体(生成物)を得た。得られた生成物を「吸水柔軟付与剤シリコーン4」という。この生成物を1H−NMR分析したところ、設計構造通りの表1に示す分子構造を有することがわかった。
また、上記生成物は、25℃での粘度が410mPa・s、屈折率が1.4580、揮発性物質が0.03重量%であった。なお、吸水柔軟付与剤シリコーン4には、表1に示す分子構造の枝部位を形成するRSiO3/2基およびSiO4/2基は検出されなかった。
HLB9.1であった。
吸水柔軟付与剤シリコーン4を用いて柔軟剤評価および洗剤評価を行った。
表2の<柔軟剤評価結果>に示すように、「吸水柔軟付与剤シリコーン1」を用いた柔軟剤評価においては、処理タオルの柔軟性は特に良好で、吸水性は良好な結果を示した。よって、目的の吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、この処理タオルは黄変も示さず、本来ポリエーテル変性シリコーンがもつ特性も維持していることがわかった。
さらに、<洗剤評価結果>に示すように、相溶性は良好であり、かつ処理タオルの柔軟性および直後、1ヶ月後の残香性は特に良好な結果を示した。よって、洗剤と混合して用いる処方において透明性を付与でき、処理繊維に残香性を与える吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、洗剤評価試験の過程で、処理タオルの脱水性が良好であったこともわかった。
実施例1の手順に非常に類似した手順を使用して、ポリ(メチルシロキサン)[34.6g、H含有量1.6w/w]は、AMS(11.6g)、1−ドデセン(58.3g)
およびモノアリル末端を有するポリエチレンオキシド、10molEO、(58.8g)とその添加の順番で反応させた。ドデセン添加のための出発温度は、145℃であり、使
用したPt触媒は、AMSで50%v/vに希釈した改質型Karstedt’s触媒(0.5重量%Pt、総触媒量365μL)であった。粗生成物を18mmHgおよび16
0−168℃で減圧除去し、濾過して、微濁でほぼ無色の液体(生成物)を得た。得られた生成物を「吸水柔軟付与剤シリコーン5」という。この生成物を1H−NMR分析したところ、設計構造通りの表1に示す分子構造を有することがわかった。
また、上記生成物は、25℃での粘度が4100Pa・s、屈折率が1.4629であった。なお、吸水柔軟付与剤シリコーン5には、揮発物物質および表1に示す分子構造の枝部位を形成するRSiO3/2基およびSiO4/2基は検出されなかった。
HLB6.6であった。
吸水柔軟付与剤シリコーン5を用いて柔軟剤評価および洗剤評価を行った。
表2の<柔軟剤評価結果>に示すように、「吸水柔軟付与剤シリコーン1」を用いた柔軟剤評価においては、処理タオルの柔軟性、吸水性は良好な結果を示した。よって、目的の吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、この処理タオルは黄変も示さず、本来ポリエーテル変性シリコーンがもつ特性も維持していることがわかった。
さらに、<洗剤評価結果>に示すように、相溶性は良好であり、かつ処理タオルの柔軟性および直後、1ヶ月後の残香性も良好な結果を示した。よって、洗剤と混合して用いる処方において透明性を付与でき、処理繊維に残香性を与える吸水柔軟剤付与シリコーンが得られたことが分かった。また、洗剤評価試験の過程で、処理タオルの脱水性が良好であったこともわかった。
吸水柔軟付与剤シリコーンとして、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン変性ジメチルポリシロキサン(製品名;OW1500、旭化成ワッカーシリコーン株式会社製)を用いた。
HLBは11だった。
これを「吸水柔軟付与剤シリコーン6」とする。これを用いて柔軟剤評価および洗剤評価を行った。
Claims (6)
- 両親媒性シリコーンを含む両親媒性シリコーン組成物を用いた繊維用吸水柔軟付与剤であって、
両親媒性シリコーンは下記式(1)で表される基からなり、水中で自己乳化可能であり、5個以下のケイ素原子を有するシクロシロキサンを実質的に含まず、
R3SiO、(R1 2SiO)w 、(R1JSiO)x 、(R1KSiO)y 、(R1L SiO)z 、およびSiR3 (1)
(式中、Rは、基Lまたは炭素数1〜30の炭化水素基であり、R3SiO−または−SiR3基の1つのRが、場合によってヒドロキシル基であり、R3SiO−または−SiR3基の1つまたは複数のRが場合によって炭素数1〜8のアルコキシ基であり;
R1は、水素または炭素数1〜30の炭化水素基であり;
Jは、炭素数6〜20の芳香族基を含有する炭素数8〜30の基であり;
Kは、炭素数6〜45のアルキル基であり;
Lは、100より大きい分子量を有する、酸素含有親水性基であり;
wは、0〜200であり;
xは、1〜100であり;
yは、1〜50であり;
zは、1〜50である)
前記両親媒性シリコーン組成物は、w、x、yおよびzの総モルを100モルとしたときに、前記両親媒性シリコーンの分枝部位を形成するRSiO3/2基およびSiO4/2基5モル未満を含有してよく、HLBが16以下であることを特徴とする繊維用吸水柔軟付与剤。 - 両親媒性シリコーン組成物のHLBが10以下であることを特徴とする請求項1に記載の繊維用吸水柔軟付与剤。
- 請求項1または2に記載の繊維用吸水柔軟付与剤を含有し、アミド基、エステル基及び/又はエーテル基を鎖中に含有していてもよい炭素数10〜24の炭化水素鎖を分子内に1以上有する3級アミン及びそれらの中和物、もしくはそれらの4級化物を含有することを特徴とする繊維用吸水柔軟剤。
- 請求項1または2に記載の繊維用吸水柔軟付与剤を含有し、洗浄成分としての界面活性剤を含有することを特徴とする繊維用吸水柔軟剤。
- 透明であることを特徴とする請求項4に記載の繊維用吸水柔軟剤。
- 香料を含有することを特徴とする請求項3、4または5に記載の繊維用吸水柔軟剤。
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