JP6765050B2 - 電磁波発生装置 - Google Patents

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Description

本発明はテラヘルツ波などの電磁波を発生させる電磁波発生装置に関し、より詳しくは周波数の異なる第1励起レーザ光と第2励起レーザ光とが入射することで両レーザ光の差周波数の電磁波を発生させる非線形光学結晶を備えた電磁波発生装置に関する。
従来、電磁波発生装置として、周波数の異なる第1励起レーザ光と第2励起レーザ光とを所要の位相整合角で非線形光学結晶に入射させることで、差周波発振により両レーザ光の差周波数の電磁波(例えばテラヘルツ波)を発生させる電磁波発生装置が知られている(特許文献1、2)。
上記構成の電磁波発生装置においては、両レーザ光の周波数の差を周波数とする電磁波を発生させることができるので、従来に比較して低い周波数の電磁波を発生させることができるという利点がある。
特開2002-72269号公報 特開2010−66381号公報
しかしながら、上記差周波数の電磁波を得るためには、上記第1励起レーザ光と第2励起レーザ光とをそれぞれ非線形光学結晶に対応した位相整合角で入射させる必要がある。
特に特許文献2では、位相整合による差周波発振を行うための手段として、ミラーやその他角度調整手段(特許文献2)を備えているが、当該角度調整手段の調整作業が煩雑なものとなっていた。
また上記位相整合角は第1励起レーザ光と第2励起レーザ光との波長によって変動するため、発生させる電磁波の周波数を変更する際には、上記角度調整手段の調整作業を改めて行う必要があった。
本発明はそのような事情に鑑み、従来に比較して位相整合角の調整が容易な電磁波発生装置を提供するものである。
すなわち請求項1の発明は、 周波数の異なる第1励起レーザ光と第2励起レーザ光とが所要の位相整合角で入射すると、両レーザ光の差周波数の電磁波を発生させる第1非線形光学結晶を備えた電磁波発生装置において、
上記第1励起レーザ光と第2励起レーザ光とを出射させる第2非線形光学結晶と、
上記第2非線形光学結晶にポンプ光を照射するポンプ光照射手段と、
上記第2非線形光学結晶に対し、上記ポンプ光の入射角度と異なる入射角度で入射するように第1シード光を照射して上記ポンプ光との間で上記第1励起レーザ光を発生させる第1シード光照射手段と、
第2非線形光学結晶に対し、上記ポンプ光および上記第1シード光の入射角度と異なる入射角度で入射するように第2シード光を照射して上記ポンプ光との間で上記第2励起レーザ光を発生させる第2シード光照射手段と、
上記第1非線形光学結晶と第2非線形光学結晶との間に設けられて、上記第2非線形光学結晶より出射した第1励起レーザ光と第2励起レーザ光とを第1非線形光学結晶に導光するレンズとを備え、
上記ポンプ光および第1、第2シード光が上記第2非線形光学結晶に入射すると、当該第2非線形光学結晶から上記第1励起レーザ光および第2励起レーザ光が異なる方向に出射され、上記レンズが第1励起レーザ光および第2励起レーザ光を所要の位相整合角で第1非線形光学結晶に入射させることを特徴としている。
上記発明では、第2非線形光学結晶にポンプ光および第1、第2シード光を入射させることで、光パラメトリック増幅に基づいて光強度を増大させた第1励起レーザ光および第2励起レーザ光を出射させることができる。
そして、この第2非線形光学結晶より出射した第1励起レーザ光および第2励起レーザ光を、上記レンズによって導光して第1非線形光学結晶に入射させることで、差周波発振による差周波数の電磁波を得ることができ、ミラーや特許文献2における角度調整手段が不要となるため、第1励起レーザ光および第2励起レーザ光を第1非線形光学結晶へと導光するための調整作業を容易に行うことができる。
さらに、後述するように、レンズの位置は第1励起レーザ光および第2励起レーザ光の波長に影響を受けない為、発生させる電磁波の周波数を変更するために上記第1、第2シード光の周波数(波長)を変更しても、レンズの位置を調整する必要がない。
本発明の実施例を示す配置図 非線形光学結晶における位相整合条件を説明する図 ポンプ光とシード光との交点P0を検出する方法を説明する図
以下図示実施例について説明すると、図1は電磁波としてのテラヘルツ波TWを発生させる電磁波発生装置1となっており、周波数の異なる第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2とを所要の位相整合角で入射させて、両レーザ光の差周波数からなる上記テラヘルツ波TWを発生させる第1非線形光学結晶C1を備えている。
そして上記第1非線形光学結晶C1に上記第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2とを入射させるため、上記電磁波発生装置1はさらに、上記第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2とを出射させる第2非線形光学結晶C2と、上記第2非線形光学結晶C2にポンプ光Lpを照射するポンプ光照射手段2と、第2非線形光学結晶C2に第1シード光Ls1を照射して上記ポンプ光Lpとの間で上記第1励起レーザ光L1を発生させる第1シード光照射手段3と、第2非線形光学結晶C2に第2シード光Ls2を照射して上記ポンプ光Lpとの間で上記第2励起レーザ光L2を発生させる第2シード光照射手段4と、上記第1非線形光学結晶C1と第2非線形光学結晶C2との間に設けられて、上記第2非線形光学結晶C2より出射した第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2とを第1非線形光学結晶C1に導光するレンズ5とを備えている。
なお、以下の説明において、上記ポンプ光照射手段2より照射されるポンプ光Lpの光軸Aに沿った方向をX方向とし、当該X軸に直交する図示上下方向をY方向とする。
上記第1、第2非線形光学結晶C1、C2としては同じ組成を有したものを使用している。なお異なる組成のものを使用することも可能である。
また第1、第2非線形光学結晶C1、C2は、それぞれ上記ポンプ光照射手段2より照射されるポンプ光Lpの光軸A上に設けられている。なお、第1非線形光学結晶C1については、上記第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2が図示左方を向く端面より入射すれば必ずしも光軸A上に設ける必要はない。
上記ポンプ光照射手段2は単一周波数のレーザ光をパルス発振するパルスレーザ発振器となっており、これに対し第1、第2シード光照射手段3、4は単一周波数の連続レーザ光を照射させるレーザ発振器となっている。
なお、後述する実施例でも述べるように、上記第1、第2シード光照射手段3、4のうち少なくともいずれか一方については、照射する第1、第2シード光Ls1、Ls2の波長(周波数)を可変させるようにしてもよい。
そして第1、第2シード光照射手段3、4と第2非線形光学結晶C2との間には、それぞれ第1、第2シード光Ls1、Ls2を第2非線形光学結晶C2に入射させるミラー6が設けられている。
本実施例では、上記第1、第2シード光照射手段3、4は上記第1励起レーザ光L1の光軸Aに対して同じ側から第1、第2シード光Ls1、Ls2を第2非線形光学結晶C2に入射させ、出射する第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2が光軸Aにおける入射した側とは反対側に出射するようになっている。
図2は非線形光学結晶Cにポンプ光Lp(もしくは第1励起レーザ光L1)およびシード光Ls(もしくは第2励起レーザ光L2)を入射させて、アイドラー波Wiおよび電磁波Wsを発生させる原理を説明する図となっている。
まず、非線形光学結晶Cにポンプ光Lpを入射させると、非線形光学結晶Cの内部でアイドラー波Wiと電磁波Ws(例えばテラヘルツ波TW)とが発生する(光パラメトリック発振)。
このようにして発生したアイドラー波Wiおよび電磁波Wsは空間的な広がりを持ち、その出射角度に応じてそれらの波長は連続的に変化しているが、上記非線形光学結晶Cに所定の位相整合角でシード光Lsを入射させることにより、当該方向のアイドラー波Wiの強度を高めることができる(光パラメトリック増幅)。
また、上記アイドラー波Wiの強度を高めることで、発生する電磁波Wsの出力も高めることができ、また電磁波Wsの周波数は、入射したポンプ光Lpとシード光Lsとの差、すなわち差周波数となる。
これらの内容は、例えば上記特許文献1、2に記載されているように従来公知であるため、これ以上の詳細な説明については省略する。
本実施例の電磁波発生装置1は、上記原理を使用したものとなっており、第1非線形光学結晶C1では、上記第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2を入射させることにより、上記電磁波Wsとしてのテラヘルツ波TWとして得るものとなっている。
なお、第1非線形光学結晶C1を通過した第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2については、本実施例では図示しないダンパーによってこれらを吸収するようになっている。
一方、第2非線形光学結晶C2では、上記ポンプ光Lpおよび上記第1、第2シード光Ls1、Ls2を入射させることで、増幅されたアイドラー波Wiとしての上記第1励起レーザ光L1および上記第2励起レーザ光L2を異なる方向にそれぞれ出射させるものとなっている。
このとき、上記第2非線形光学結晶C2より出射する第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2は上記ポンプ光Lpのパルスタイミングで生成されるため、第2非線形光学結晶C2より出射した第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2は、同期をとるための機構を用いることなく、自動的に同期された状態となっている。
なお、第2非線形光学結晶C2を通過したポンプ光Lpについては、第2非線形光学結晶C2の前方に設けたダンパー7によって吸収し、また発生した電磁波Wsについてはそのまま消費される。
上記レンズ5は単焦点レンズであって、上記第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2の波長を有したレーザ光を屈折させることが可能であれば、素材を問わず用いることができる。
図1において、レンズ5の中心C0は上記ポンプ光Lpの光軸A上に位置しているが、上記第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2を導光することができれば、レンズ5の中心C0を光軸Aに対して偏倚した位置に設けてもよい。
そして上記レンズ5の位置は、以下の(数1)を用いて、第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2との交点P0から上記レンズ5の中心C0までの距離Lで規定することができる。なお、ここでいう上記交点P0からレンズ5の中心C0までの上記距離Lとは、X方向における距離となっている。
以下の説明における数式において、添え字pはポンプ光を、添え字iはアイドラー波を、添え字sは電磁波(シグナル波)をそれぞれ示し、下記(数1)においてniは第1および第2励起レーザ光の波長帯の光に対する第1非線形光学結晶の屈折率を、nsは電磁波(テラヘルツ波)の波長帯の光に対する第1非線形光学結晶の屈折率を、niは第1および第2励起レーザ光の波長帯の光に対する第2非線形光学結晶の屈折率を、nsは電磁波(テラヘルツ波)の波長帯の光に対する第2非線形光学結晶の屈折率をそれぞれ示す。ここで、ni、niについては、近赤外帯での屈折率を示している。
Figure 0006765050
以下、上記(数1)を導出する手順について説明する。まず、上記第2非線形光学結晶C2から出射される第1励起レーザ光L1の光軸Aと第2励起レーザ光L2の光軸Aとの交点P0を以下のように求める。
図3に示すように、第2非線形光学結晶C2にポンプ光Lpおよび第1、第2シード光Ls1、Ls2を入射させることで、第2非線形光学結晶C2の内部で上記第1、第2励起レーザ光L1、L2が発生する。
このとき第2非線形光学結晶C2の内部で生成される第1励起レーザ光L1の角度θ1および第2励起レーザ光L2の角度θ2は、第2非線形光学結晶C2の組成および入射する第1、第2シード光Ls1、Ls2の波長ごとに発生角度が計算可能となっている。
また、第2非線形光学結晶C2が有する屈折率を用いることで、第2非線形光学結晶C2から出射する第1励起レーザ光L1の出射角度θ1’、および第2励起レーザ光L2の出射角度θ2’も算出することが可能となっている。
なお、このときの第1、第2シード光Ls1、Ls2の第2非線形光学結晶C2への入射角度はそれぞれθ1’、θ2’であり、第2非線形光学結晶C2に入射する際に屈折して角度θ1、θ2となる。
次に、第2非線形光学結晶C2の前方にフォトディテクタPDを設置し、該フォトディテクタPDをY軸方向に移動させて、出射された上記第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2のレーザ出力が最も高くなるY軸上の位置をそれぞれ検出する。
このようにして算出した上記第2非線形光学結晶C2から出射される第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2の角度θ1’、θ2’と、検出された第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2のレーザ出力が最も高くなるY軸上の位置r1、r2とから、X軸およびY軸における交点P0の位置を算出することができる。
なお、上記交点P0の位置は、第1励起レーザ光L1、第2励起レーザ光L2の波長やこれに対応する第2非線形光学結晶C2の屈折率、並びにポンプ光Lpの出力に応じて変動するため、場合によっては上記交点P0がポンプ光Lpの光軸A上に位置することもある。
次に、図2に示したような、非線形光学結晶Cにおけるノンコリニア位相整合条件について考える。上述したように、光パラメトリック発振とは、ポンプ光Lp(第1励起レーザ光L1)として入射したフォトンを非線形光学結晶Cを介してアイドラー波Wiと電磁波Wsとに分ける現象である。
これらの光のフォトンの間には、以下に示すエネルギー保存ならびに運動量保存が成立する。ここでEは光のエネルギーを、kは光の運動量をそれぞれ示す。
Figure 0006765050
一方、ポンプ光Lp、アイドラー波Wi、電磁波Wsにおけるそれぞれのエネルギーと運動量とについては以下の式が成立する。ここでhはプランク定数、cは光の速さ、λは光の波長、nは非線形光学結晶での屈折率をそれぞれ示す。
Figure 0006765050
これら(数2)(数3)に基づいて、アイドラー波Wiとポンプ光Lpとの波長について以下の式が成立する。
Figure 0006765050
これと同様、アイドラー波Wiとポンプ光Lpとの間の角度すなわち位相整合角θについて以下の式が成立する。
Figure 0006765050
次に、図2で説明したように、非線形光学結晶Cにポンプ光Lpとシード光Lsとを入射させることで、発生した上記アイドラー波Wiの出力を高める光パラメトリック発振について考える。このとき、入射するシード光Lsと出射するアイドラー波Wiの波長は同じとなる。
さらに、光の波長に対する第2非線形光学結晶C2の屈折率の変化は緩やかであることから、以下の関係が成立する。ただし、Δλ≡λi―λp、Δn≡ni―npとし、添え字a=i、sとする。
Figure 0006765050
この(数6)の関係によれば、Δλ/λaの一次までの近似では、np=niとして考えることができる。
一方、ポンプ光Lpの波長に比べて電磁波Wsの波長は長いことから、上記(数4)においてアイドラー波Wiとポンプ光Lpとは波長が近い値をとり、ポンプ光Lpとアイドラー波Wiとの位相整合角θは1〜2°と小さいことが理解できる。
以上のことから、位相整合角δθとして以下の近似をすることができる。
Figure 0006765050
このようにして得られた(数7)を用いれば、上記(数5)を整理して以下の式が得られる。
Figure 0006765050
この(数8)に、上記(数4)を用いてλsを消去し、さらに(数6)と同様、Δλ/λp,sの一次までの近似でnp=ni≡nとしてよいことを利用して、以下の式を得ることができる。
Figure 0006765050
そして当該(数9)を、Δλ’=λ’i―λp、δλ=λ’i―λiを用いて整理するとともに、λp≒λiを用いることで、非線形光学結晶Cにおけるポンプ光Lpとアイドラー波Wiとの位相整合角δθ、換言するとポンプ光Lpとシード光Lsとの位相整合角δθに関する以下の式を得ることができる
Figure 0006765050
上記(数10)を用いることで、上記第2非線形光学結晶C2の内部における、ポンプ光Lpに対する第1シード光Ls1の位相整合角θ1と、ポンプ光Lpに対する第2シード光Ls2の位相整合角θ2とをそれぞれ以下のようにあらわすことができる。
下記(数11)の添え字pはポンプ光Lpを示し、添え字1、2は、それぞれ第1、第2シード光Ls1、Ls2を示している。また、屈折率nsについては、第2非線形光学結晶C2において第1、第2シード光Ls1、Ls2に基づいて発生する電磁波Wsが波長の変化に対して鈍感であることから、第1、第2シード光Ls1、Ls2について共通の値を使用することができる。
Figure 0006765050
従って、第2非線形光学結晶C2に入射した当該第2非線形光学結晶C2の内部における第1、第2シード光Ls1、Ls2の角度の差δθは以下の式によってあらわすことができる。但し、λiはアイドラー波Wiの波長を示し、またδλ=λ2−λ1とする。
Figure 0006765050
これらの式は第2非線形光学結晶C2の内部での現象を示しており、第1、第2励起レーザ光L1、L2は第2非線形光学結晶C2より出射する際に屈折するため、第2非線形光学結晶C2の外部に出射した第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2との角度の差δθ’は以下の式によってあらわされる。
Figure 0006765050
続いて、上記第1非線形光学結晶C1に第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2を入射させてテラヘルツ波TWを発生させる位相整合角δθについて検討する。
この第1非線形光学結晶C1においても、図2で説明したように入射した第1励起レーザ光L1から生じたアイドラー波Wiに対して所定の角度で第2励起レーザ光L2を入射させることから、(数2)と同様のエネルギー保存および運動量保存が成立する。
従って、上記(数3)〜(数13)を参照すれば、第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2との位相整合角δθについて以下の式を得ることができる。なおnsは第1非線形光学結晶C1に入射した第1励起レーザ光L1から上記テラヘルツ波TWが発生する屈折率を示している。
Figure 0006765050
このようにして、(数13)において定義した第2非線形光学結晶C2より出射した第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2とのなす角δθ’と、(数14)において定義した第1非線形光学結晶C1に入射する第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2との位相整合角δθとが得られた。
そして最後に、以下のようにして上記第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2との交点P0から上記レンズ5の中心C0までの距離Lを算出する。
まず、第2非線形光学結晶C2から出射し、レンズ5によって屈折する前の第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2の、当該レンズ5の中心C0に対するY方向の座標r1、r2を求める。この時、第1励起レーザ光L1と光軸Aとの角度θ1’と第2励起レーザ光L2と光軸Aとの角度θ2’とが小さければ、以下のようにあらわすことができる。
Figure 0006765050
従って、レンズ5を通過して屈折した第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2の光軸Aに対する傾きθ1”、θ2”は、レンズ5の焦点距離をfとした場合に、それぞれ幾何光学を用いて以下のようにあらわすことができる。但し、θ1”は、θ1’>0のときθ1”>0となるように定義した(θ2”についても同様)。
Figure 0006765050
以上のことから、第2非線形光学結晶C2より出射し、上記レンズ5によって導光された第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2とが位相整合角δθで第1非線形光学結晶C1に入射する条件は以下の式で表すことができる。
Figure 0006765050
そしてこの(数17)を下記(数18)のように変形することで、上記(数1)を得ることができる。
Figure 0006765050
上述したように、上記(数1)はレーザ光の波長(周波数)に依存しておらず、従って、屈折率の波長依存性が大きくない限り、上記第1、第2シード光Ls1、Ls2の波長を変えてもこの関係は変化しない。
つまり、第1、第2シード光Ls1、Ls2の波長を変えても、上記レンズ5の距離Lを調整せずに、異なる周波数のテラヘルツ波TWを得ることが可能であることが理解できる。
具体的に説明すると、第1、第2シード光Ls1、Ls2の波長を変えると、上記ポンプ光Lpによって発生するアイドラー波Wiの波長に適合する位相整合角θ1、θ2も変化することから、結果として上記レンズ5の中心C0と第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2の交点P0との距離Lが変化する可能性がある。
この場合、上記(数1)にかかる距離Lの変化をΔLとすると、当該ΔLに対する第1非線形光学結晶C1における位相整合角のずれは以下の式で表すことができる。
Figure 0006765050
この(数19)によれば、ΔL/αfが十分に小さい場合、すなわちレンズ5の焦点距離が大きければ、位相整合角のずれが小さくなることが理解できる。
また非線形光学結晶Cより発生するテラヘルツ波TWは角度に対して鈍感であるため、位相整合角のずれが小さい場合にはこれを無視することができる。従って、上記レンズ5の距離Lを調整しなくても、十分な強度のテラヘルツ波TWを得ることが可能であることが理解できる。
以下、上記構成を有する電磁波発生装置1における実施例について説明する。
まず上記ポンプ光照射手段2には、例えば波長λe=1.064μm(周波数=約300THz)のレーザ光を、パルス幅300ps、繰り返し周波数100Hzでパルス発振するNd:YAGレーザを用いた。
上記第1シード光照射手段3には、波長λ1=1.0692〜1.0719μm(周波数=約280.4〜279.7THz)の連続レーザ光を照射可能で、波長を変更可能な半導体レーザ発振器を用いた。
一方、上記第2シード光照射手段4は波長λ2=1.068μm(周波数=約280.7THz)の連続レーザ光を照射する半導体レーザ発振器とした。
上記第1、第2非線形光学結晶C1、C2としては素材としてMgO:LiNbOを用い、結晶温度は300Kとなっている。その場合の上記(数1)における屈折率は、ni=ni=2.145、ns=ns=5.2となる。
そして、上記レンズ5としては素材としてBK7を用い、焦点距離f=100mmの単焦点レンズを用いた。
そして、上記屈折率に基づいて、上記第1シード光照射手段3は第2非線形光学結晶C2に第1シード光Ls1を入射させ、第2非線形光学結晶C2から第1励起レーザ光L1を出射させる。
このとき、第1シード光Ls1の波長λ1=1.0692μmとした場合の第2非線形光学結晶C2への入射角度はθ1’=1.31°となり、第2非線形光学結晶C2に入射すると屈折してθ1=1.31°となる。従って、第2非線形光学結晶C2からは第1励起レーザ光L1が出射角度θ1’=1.31°で出射することとなる。
これと同様、波長λ1=1.0719μmとした場合の入射角度はθ1’=2.0°となり、第2非線形光学結晶C2に入射すると屈折してθ1=2.0°となり、第1励起レーザ光L1の出射角度はθ1’=2.0°となる。
一方、上記屈折率に基づいて、上記第2シード光照射手段4は第2非線形光学結晶C2に第2シード光Ls2を入射させ、第2非線形光学結晶C2から第2励起レーザ光L2を出射させる。
このとき、第2シード光Ls2の波長λ2=1.068μmとした場合の第2非線形光学結晶C2への入射角度はθ2’=1.01°となり、第2非線形光学結晶C2に入射すると屈折してθ2=0.48°となる。従って、第2非線形光学結晶C2からは第1励起レーザ光L1が出射角度θ2’=1.01°で出射することとなる。
そして、図3で説明した方法を用いて第1励起レーザ光L1の光軸Aと第2励起レーザ光L2の光軸Aとの交点P0を求め、さらに上記(数1)を用いることで、交点P0から上記レンズ5の中心C0までの距離L=200mmを算出した。
そして、第1非線形光学結晶C1において第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2とが入射することにより、差周波発振により周波数=0.3〜1THzのテラヘルツ波TWが得られる。
ここで、上記第1シード光Ls1の波長を変更すると、本来であれば上記第1非線形光学結晶C1に入射する第1励起レーザ光L1と第2励起レーザ光L2との位相整合角はδθ=0.29〜0.98°の範囲で変化するが、上記(数19)を用いて説明した通り、上記距離Lを設定しなおさなくても、上記テラヘルツ波TWを得ることが可能となっている。
なお、上記実施例では第1非線形光学結晶C1に上記波長を有する第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2を入射させることにより、電磁波Wsとしてテラヘルツ波TWを得るようになっているが、第1励起レーザ光L1および第2励起レーザ光L2の波長を適宜設定することで、ミリ波などの電磁波も得ることが可能となっている。
1 電磁波発生装置 2 補助ポンプ光照射手段
3 第1補助シード光照射手段 4 第2補助シード光照射手段
C1 第1非線形光学結晶 C2 第2非線形光学結晶
TW テラヘルツ波 L1 第1励起レーザ光
L2 第2励起レーザ光 Lp ポンプ光
Ls1 第1シード光 Ls2 第2シード光

Claims (3)

  1. 周波数の異なる第1励起レーザ光と第2励起レーザ光とが所要の位相整合角で入射すると、両レーザ光の差周波数の電磁波を発生させる第1非線形光学結晶を備えた電磁波発生装置において、
    上記第1励起レーザ光と第2励起レーザ光とを出射させる第2非線形光学結晶と、
    上記第2非線形光学結晶にポンプ光を照射するポンプ光照射手段と、
    上記第2非線形光学結晶に対し、上記ポンプ光の入射角度と異なる入射角度で入射するように第1シード光を照射して上記ポンプ光との間で上記第1励起レーザ光を発生させる第1シード光照射手段と、
    第2非線形光学結晶に対し、上記ポンプ光および上記第1シード光の入射角度と異なる入射角度で入射するように第2シード光を照射して上記ポンプ光との間で上記第2励起レーザ光を発生させる第2シード光照射手段と、
    上記第1非線形光学結晶と第2非線形光学結晶との間に設けられて、上記第2非線形光学結晶より出射した第1励起レーザ光と第2励起レーザ光とを第1非線形光学結晶に導光するレンズとを備え、
    上記ポンプ光および第1、第2シード光が上記第2非線形光学結晶に入射すると、当該第2非線形光学結晶から上記第1励起レーザ光および第2励起レーザ光が異なる方向に出射され、上記レンズが第1励起レーザ光および第2励起レーザ光を所要の位相整合角で第1非線形光学結晶に入射させることを特徴とする電磁波発生装置。
  2. 上記第2非線形光学結晶における第1励起レーザ光と第2励起レーザ光との交点P0から上記レンズ中心C0までの距離Lが、
    Figure 0006765050
    (ただし、n1iは第1および第2励起レーザ光の波長帯の光に対する第1非線形光学結晶の屈折率を、n1sは電磁波の波長帯の光に対する第1非線形光学結晶の屈折率を、n2iは第1および第2励起レーザ光の波長帯の光に対する第2非線形光学結晶の屈折率を、n2sは電磁波の波長帯の光に対する第2非線形光学結晶の屈折率をそれぞれ示す。)
    で規定される位置に上記レンズを配置することを特徴とする請求項1に記載の電磁波発生装置。
  3. 上記第1シード光照射手段および第2シード光照射手段のうち、少なくともいずれか一方を、照射するシード光の波長が変更可能であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の電磁波発生装置。
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