JP6764824B2 - 内燃機関の点火制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は内燃機関の点火制御装置に係り、特に筒内圧センサを用いて点火時期を制御する燃機関の点火制御装置に関するものである。
近年、自動車等の車両においては、燃料消費量(燃費)や排気ガス有害成分に関する規制が強化され、このような規制は今後もますます強化される傾向にある。特に、燃費に関する規制は、近年の燃料価格の高騰、地球温暖化への影響、エネルギー資源枯渇等の問題により、極めて関心の高い事項である。
このような状況下において、例えば自動車産業では、車両の燃費性能や排気ガス浄化性能の向上を目的とした様々な技術開発が進められている。そして、燃費性能の向上を目的とした開発技術の一つとして、例えば、内燃機関の圧縮比を上げる高圧縮比化技術が知られている。また、排気ガス浄化性能の向上を目的とした開発技術の一つとして、例えば、吸気行程時に複数回に分けて燃料を噴射し、一回当たりの燃料噴射量を低減してPN(Particulate Number)を低減する多段噴射技術が知られている。
上述した高圧縮比化技術では、内燃機関の圧縮比を上げると熱効率が向上して燃費が改善するものの、燃焼室内の温度が上昇してノックが発生し易くなることが知られている。そのため、従来の内燃機関においては、ノック発生時に特定の周波数信号レベルが上昇することを利用して、シリンダーブロックに振動型のノックセンサを取り付け、ノックセンサから出力される所定クランク期間(ノックウインドウ)の信号をFFT(高速フーリエ変換)解析してノックの発生を検出し、このノック検出情報に基づいてノックの発生後に点火時期を遅角化することで、その後のノック発生を回避するようにしている。
ところで、ノックの発生に対しては、燃焼状態から予めノックが発生する燃焼サイクルを予測し、この燃焼サイクルで点火時期を遅角制御することが有効であると考えられる。これに関連して、運転状況に応じて変化する最適な点火時期を、筒内圧とクランク角の関係に応じて燃焼サイクル毎に値が定まる燃焼状態パラメータを算出し、この燃焼状態パラメータが目標燃焼状態パラメータを実現するように、燃焼状態を最適化することで、ノック回避性能の向上を図る技術が知られている。
例えば、特開2014−136972号公報(特許文献1)には、サイクル毎に変化する特定の燃焼割合点(燃焼が進行して所定の燃焼状態に達するクランク角)の変化量を抑制し、内燃機関の出力を安定させるための技術が示されている。この技術は、混合気が空気過剰な状態や、排気再循環ガス(EGR、Exhaust Gas Recirculation)による希釈された状態における燃焼不安定な状況に対しては、点火時期の制御手法として有効である。
特開2014−136972号公報
しかしながら、特許文献1においては、点火プラグによる火花放電を起点に始まる火炎伝播による燃焼進行とは別に、まだ火炎の到達していない領域(未燃領域)にて生じる自着火を起点に発生する異常燃焼であるノックの発生により生じる燃焼状態の変化に対しては、想定している燃焼変化要因が異なるため、ノックの発生を助長させる恐れがある。
本発明の目的は、未燃領域の温度変化によるノックの発生を予測し、ノックの発生が予測される燃焼サイクルで、効果的にノックを抑制することができる内燃機関の点火制御装置を提供することにある。
本発明の特徴は、燃焼室に取り付けられた筒内圧センサの信号に基づき算出した内燃機関の冷却損失の変化(壁温変化)基づきノックの発生を予測するノック発生予測部を備え、更に、ノック発生予測部で検出される冷却損失に関連するノック予測情報に基づき内燃機関の点火時期を制御するノック制御部を備える、ところにある。
本発明によれば、冷却損失の増加に伴う壁温上昇と、これに伴う未燃領域の温度上昇によるノックの発生を予測し、ノックの発生を予測した燃焼サイクルで点火時期を遅角制御することで、ノックを効果的に抑制することができる。
本発明が適用される内燃機関の全体の構成を示した全体構成図である。 図1に示す制御装置の内部構成を示したブロック図である。 図2に示す制御装置のシステム構成図である。 燃焼期間、燃焼時期、燃焼割合を説明する説明図である。 ノック強度を説明する説明図である。 本発明の第1の実施形態になるノック発生予測部で実施する制御ステップを示すフローチャート図である。 ノック無しの場合の統計処理に基づく平均値、最頻値を説明する説明図である。 ノック有りの場合の統計処理に基づく平均値、最頻値を説明する説明図である。 図6に示すノック発生予測部の予測結果を使用してノックを抑制する制御ステップを示すフローチャート図である。 図8に示す壁温による点火時期遅角設定の制御ステップを示すフローチャート図である。 本発明の第1の実施形態を実施した場合のノック強度、燃焼期間、燃焼期間平均値。点火時期の変化を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態になるノック発生予測部で実施する制御ステップを示すフローチャート図である。 筒内圧の変化を説明する説明図である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明が適用される内燃機関の全体構成を示したものであり、例えば、燃料にガソリンを使用する火花点火式燃焼を実施する自動車用4気筒内燃機関を示したものである。
図示する内燃機関100は、吸気管6の適宜の位置に、吸入空気量を計測するエアフローセンサ1と、吸気管6の圧力を調整する電子制御スロットル2と、吸入空気温度検出器の一態様であって吸入空気温度を計測する吸気温度センサ15と、吸気管6内の圧力を計測する吸気圧センサ21と、を備えている。
また、内燃機関100は、各吸気管6と連通する気筒(♯1〜♯4)毎に、各気筒の燃焼室12の内部に燃料を噴射する燃料噴射装置(筒内直接噴射用インジェクタもしくは単にインジェクタともいう)3と、点火エネルギーを供給する点火システム4と、筒内圧を検出する筒内圧センサ26を備えている。
また、内燃機関100は、シリンダヘッド7の適宜の位置に、内燃機関100の冷却水温度を計測する冷却水温度センサ14を備えると共に、気筒内に流入する吸入ガスを調整する吸気バルブ可変装置5aと気筒内から排出される排気ガスを調整する排気バルブ可変装置5bとから構成される可変バルブ5を備えている。ここで、可変バルブ5は、吸気バルブ可変装置5aや排気バルブ可変装置5bの位相角を検出する位相角センサ(不図示)を有しており、後述するECU20によって可変バルブ5(特に吸気バルブ可変装置5aや排気バルブ可変装置5bの位相角)を調整することにより、♯1から♯4までの全気筒の吸気量およびEGR量を調整することができる。
また、内燃機関100の燃料噴射装置3には、この燃料噴射装置3に高圧燃料を供給するための高圧燃料ポンプ17が燃料配管を介して接続され、この燃料配管には、燃料圧力を計測する燃料圧力センサ18が設けられており、内燃機関100のクランク軸(不図示)には、その回転角度を算出するクランク角度センサ13が設けられており、また、内燃機関100のシリンダブロック(不図示)には、内燃機関100の振動を検出するノックセンサ25が設けられている。
更に、内燃機関100は、排気管8の適宜の位置に、排気を浄化する三元触媒10と、空燃比検出器の一態様であって三元触媒10の上流側で排気の空燃比を検出する空燃比センサ9と、排気温度検出器の一態様あって三元触媒10の上流側で排気温度を計測する排気温度センサ11と、を備えている。
内燃機関100は、内燃機関100の燃焼状態を制御する制御手段であるエンジンコントロールユニット(以下、ECUと表記する)20を備えており、上述したエアフローセンサ1、空燃比センサ9、冷却水温度センサ14、吸気温度センサ15、排気温度センサ11、クランク角センサ13、燃料圧力センサ18、吸気圧センサ21、点火システム4、筒内圧センサ26、バルブ可変装置5a、5b、ノックセンサ25等から得られる信号が、ECU20に送信される。また、ECU20には、アクセルペダルの踏み込み量、すなわちアクセル開度を検出するアクセル開度センサ16から得られる信号も送信されている。
ECU20は、アクセル開度センサ16から得られる信号に基づいて内燃機関100への要求トルクを演算する。また、ECU20は、クランク角度センサ13から得られる信号に基づいて内燃機関100の回転速度を演算する。また、ECU20は、上記した各種センサの出力から得られる信号に基づいて内燃機関100の運転状態を演算すると共に、空気流量、燃料噴射量、点火時期、スロットル開度、可変バルブの作動量、燃料圧力等といった内燃機関100に関する主要な作動量を演算する。
ECU20で演算された燃料噴射量は、開弁パルス信号に変換されて燃料噴射装置3に送信される。また、ECU20で演算された点火時期で点火されるように生成された点火信号が、ECU20から点火システム4へ送信される。また、ECU20で演算されたスロットル開度は、スロットル駆動信号として電子制御スロットル2に送信され、可変バルブの作動量は、可変バルブ駆動信号としてバルブ可変装置5a、5bへ送信され、燃料圧力は、高圧燃料ポンプ駆動信号として高圧燃料ポンプ17へ送信される。
ECU20から燃料噴射装置3へ送信された開弁パルス信号に基づいて、吸気管6から吸気バルブ(不図示)を介して燃焼室12内に流入した空気に対し燃料噴射装置3から所定量の燃料が噴射されることにより、混合気が形成される。燃焼室12内に形成された混合気は、点火信号に基づいて所定の点火時期で点火システム4の点火プラグ4a(図2参照)から発生される火花により爆発され、その燃焼圧によりピストン(不図示)が押し下げられて内燃機関100の駆動力が発生される。爆発後の排気ガスは、排気管8を介して三元触媒10に送出され、排気ガスの排気成分が三元触媒10内で浄化されて外部へ排出される。
図2は、図1に示すECU20の内部構成を示したものである。図示するECU20は、主に、入力回路20aと、入力ポートおよび出力ポートからなる入出力ポート20bと、演算処理内容を記述した制御プログラムが格納されるROM20dと、制御プログラムに従って演算処理するためのCPU20eと、制御プログラムに従って演算された各アクチュエータの作動量を示す値を格納するRAM20cと、点火プラグの作動量を示す値に基づいて点火プラグを制御する点火出力回路20fと、を備えている。
図示するように、ECU20の入力回路20aには、エアフローセンサ1、点火システム4、空燃比センサ9、排気温度センサ11、クランク角センサ13、冷却水温度センサ14、吸気温度センサ15、アクセル開度センサ16、燃料圧力センサ18、吸気圧センサ21、筒内圧センサ26、ノックセンサ25等の出力信号が入力される。尚、入力回路20aに入力される入力信号はこれらに限定されない。入力回路20aに入力された各センサの入力信号は、入出力ポート20b内の入力ポートに送信され、RAM20cに保管された後、CPU20eでROM20dに予め格納された制御プログラムに従って演算処理される。
CPU20eで制御プログラムに従って演算された各アクチュエータの作動量を示す値は、RAM20cに保管された後、入出力ポート20b内の出力ポートに送信され、点火出力回路20fを介して点火システム4に送信される。なお、ECU20内の駆動回路は、これに限定されない。また、これらの駆動回路は、ECU20の外に設けることもできる。
ここで、ECU20の入力回路20aには、上述したように筒内圧センサ26の出力信号が入力されており、ECU20は、その入力信号(ノック信号となる)に基づいて、CPU20eでROM20dに予め格納された制御プログラムに従って内燃機関100のノックの発生予兆やノックの発生を検出する。ECU20は、内燃機関100のノック発生予兆やノックの発生を検出した場合には、点火出力回路20fを介して点火システム4へ制御信号を送信してその点火時期を遅角方向制御する。
次に、ECU20による内燃機関100のノックの発生予兆の検出方法及び点火時期の制御方法について、図3〜図8を参照して説明する。尚、ノックの予兆は、ノックの予測とも言えるので、以下では、予兆、或いは予測と同義で説明することもある。
図3は、本発明の実施形態になる内燃機関の点火制御装置のECU20内で実行されるノック発生予測及びノック抑制制御の制御ロジックの概要を示す図である。制御ロジックは、少なくとも、クランク角センサ13及び筒内圧センサ26からの入力情報に基づき、燃焼室から燃焼室壁面を介して放熱される冷却損失の変化に関連する検出情報やノック発生に相関を持つ統計量(統計量平均値、統計量最頻値等)とからノックの発生を予測してノック予兆フラグを算出するノック発生予測部27と、ノック発生予測部27で設定したノック発生予兆フラグや上述のセンサ出力に基づきノックを抑制するための点火制御を実行するノック制御部28から構成されている。尚、ノック発生予測部27、ノック制御部28は、CPU20eの制御プログラムによって構築される制御機能部である。
図4は、冷却損失の関連指標である、特定燃焼割合及び特定燃焼割合の到達時期及びこれらに基づく燃焼期間を説明するための図である。燃焼割合は、筒内圧力及び筒内容積から筒内の発熱量を算出し、算出した筒内の発熱量を積算し、これを更に正規化することで計算している。尚、筒内の発熱量の算出は、以下の式で計算する。
Figure 0006764824
ここで、Qは発熱量[J]、γは比熱比[-]、Pは圧力[Pa]、Vは筒内容積[m]、θはクランク角[deg]である。
次に、任意のクランク角度における積算発熱量Q(θ)は、点火プラグ4aによる点火時期から任意のクランク角θまでの積分により計算する。具体的には以下の式で計算する。
Figure 0006764824
ここで、θADVは点火時期のクランク角度[deg]である。
更に全発熱量Q(total)は、適切な積分完了時期θENDを設定して計算する。具体的には以下の式で計算する。
Figure 0006764824
更に、発熱量の正規化は、任意のクランク角における積算発熱量Q(θ)と、全発熱量Q(total)の比(Q(θ)/Q(total))で計算し、以下では、これを燃焼割合MFB(θ)と表記する。また、燃焼状態を示す指標の一つである燃焼位相は、燃焼割合MFB(θ)が特定の値(特定燃焼割合点)に到達したクランク角として定義する。以下では、燃焼位相及び燃焼期間として、例示的に燃焼割合が10%に達したクランク角や、燃焼割合が90%に達したクランク角を用いた値で定義して説明を進める。
ここで、燃焼位相として、燃焼割合10%に達するクランク角時期をMFB10、燃焼割合90%に達するクランク角時期をMFB90と記すことにする。更に、燃焼期間としては、点火開始からMFB90までのクランク角期間である燃焼期間IG90と、MFB10からMFB90までのクランク角期間である燃焼期間MFB1090が定義できる。
本実施形態では、燃焼期間IG90を選択することで、全体の燃焼期間を扱うことが出来るのでより燃焼期間MFB1090に比べて冷却損失との相関が強くなる。尚、燃焼期間MFB1090を選択することも可能であり、この場合、MFB1090を選択することで、点火に起因する燃焼変化を除去して検討が出来るので点火時期の異なる条件を同一条件として整理することができる。
そして、燃焼期間IG90が短く燃焼が早く完了すると筒内の最高温度が高くなり、また、筒内での高温の燃焼ガスの滞留時間が長くなるため、燃焼室の壁面からの冷却損失(熱損失)は大きくなり、燃焼室の壁面温度が高くなる。この冷却損失の変化傾向を判断するには、燃焼期間全体がどのように燃焼サイクル毎に変化するかを捉えることが重要であり、このためには、燃焼期間IG90、燃焼期間MFB1090、及び燃焼割合MFB90を用いて冷却損失の変化を推定することができる。
ただし、燃焼時期及び燃焼期間としては、MFB50など冷却損失の変化と相関を持つ期間は複数あり、また、内燃機関によっても異なるので、これらの指標で置き換えることも可能である。
図5は、ノックの有無を筒内圧センサの検出値で判定するための、ノック強度を定義する図である。図5は検出した筒内圧力の高周波成分を抜き出した上で、絶対値として取り出した結果である。ここで、圧力高周波成分の絶対値の最大値をノック強度と定義して、ノック発生有無を判定する。ただし、ノック発生の有無は、筒内圧センサ26を用いた場合にも複数の検出方法があり、また、ノックセンサ25を用いた検出も可能であり、以下で示すノック検出に対しては、図5に示す方法以外も適用できる。例えば、ノックセンサの検出値をFFTによる処理で得られるパワースペクトルに基づきノック強度を定義することが出来る。
次に図3に示すノック発生予測部27で実施する演算処理について、図6を用いて説明する。図6に示す制御フローは、図4に示す燃焼期間IG90、燃焼期間MFB1090、及び燃焼割合MFB90等のパラメータを統計処理してノックの発生を予兆するものである。
≪ステップS61≫
まず、ステップS61においては、燃焼割合MFB(θ)を算出する。燃焼割合MFB(θ)は、図4及び図4の説明で示した式に基づき計算することができる。燃焼割合MFB(θ)の計算が完了すると、ステップS62に移行する。
≪ステップS62≫
ステップS62においては、燃焼期間IG90(或いは、燃焼期間MFB1090)の統計量を算出する。統計量の算出で計算するものは、統計分布及び平均値、最頻値、及び対象とする燃焼期間IG90の複数(所定回数)の燃焼サイクルの履歴である。
統計分布については、図7A、図7Bを用いて説明する。図7A、図7Bは燃焼期間の統計分布を、ノックがない、或いはノック頻度が小さい運転条件を図7Aに示し、ノックが多い運転条件を図7Bで示したものである。尚、実線で示す特性曲線は、統計分布を正規分布で近似した曲線である。
統計分布は、燃焼期間や燃焼時期毎にグループ分けをし、各グループの出現回数を割合として整理することで得られるものである。例えば、5[deg]毎に燃焼期間のグループを定義し、各グループに1番からn番まで番号をつけ、それぞれのグループに属する燃焼サイクルの出現割合をR1、R2、・・・、Rnとする。ここでR1からRnが統計分布であり、最も出現割合の大きいグループの燃焼期間が最頻値、算術平均で得られる燃焼期間が平均値である。
正規分布に近い分布では、最頻値と平均値が概ね一致するが、正規分布からずれると最頻値と平均値は異なる値となる。尚、ノックが発生しない、又は、ノック発生頻度が低い運転条件においては、図7Aに示すように、各燃焼期間の発生頻度は正規分布に近く、平均値と最頻値が概ね一致する。一方、ノックの頻度が高い運転条件では、図7Bに示すように、平均値に比べて最頻値が燃焼期間の短い側に移行している。この平均値に比べて最頻値が燃焼期間の短い側に移行する理由は、ノックを引き起こす自着火燃焼の発生に伴い、火炎伝播により燃焼が進む場合に比べて、熱発生率が増加し、全熱発生が完了するまでの時間(燃焼期間)が短くなるためである。
尚、統計量は内燃機関の回転数、機関トルクの条件により、複数の条件に区分して算出することが適切である。ただし、燃焼期間を用いることで、クランク角で数°(1°〜3°程度)の点火時期の違いは同じ条件として取り扱うことができる。ステップS62で実行する統計量の算出により、現時点での運転条件がノックの頻度が高い条件であるか、ノック発生の頻度が低い条件であるかを判定する状況を整理できる。
ステップS62においては、統計量として現在の燃焼サイクルを含む複数の燃焼サイクルの燃焼期間IG90の履歴、及び現在の燃焼サイクルの燃焼期間IG90を算出する。この燃焼期間IG90の複数の燃焼サイクルの履歴から、冷却損失の変化傾向を推定できる。
図4の説明に示したとおり、燃焼期間IG90が短い場合は、冷却損失は相対的に大きく、燃焼期間IG90が長い場合は冷却損失が相対的に小さいことを利用すると、燃焼期間IG90の変化に基づき、燃焼サイクル毎の冷却損失の変化傾向を捉えることができる。
ここで、冷却損失の増加(減少)は、壁面熱伝達量の増加(減少)に伴う壁面温度の上昇(下降)を表している。したがって、壁面温度の上昇(下降)は、次の燃焼サイクルで壁面から未燃領域が受け取る熱量の増加(減少)を意味し、更に未燃領域の温度が上昇(下降)する要因となることを意味している。
つまり、燃焼期間IG90が燃焼サイクル毎に連続的に短くなる変化を示している条件において、未燃領域の温度が燃焼サイクル毎に連続的に増加していると判断することができる。ステップS62において、燃焼期間IG90の統計分布及び複数の燃焼サイクルの履歴を用いることで、同一の指標を用いて冷却損失(未燃領域の温度)の変化やノック発生頻度を捉えることができ、計算負荷の増加を抑制できる。以上の計算を実行してステップS63に移行する。
≪ステップS63≫
ステップS63ではノック強度を算出する。ノック強度の算出は、図5及び図5の説明に示したとおり、筒内圧センサの検出値から高周波成分を取り出し、この高周波成分の絶対値の最大値から定義できる。このようにすることで、筒内圧センサの出力に基づき発生しているノックの強弱を判定する情報が得られる。次にステップS64に進み、ノック予兆フラグの設定を実行する。
≪ステップS64≫
ステップS64においては、ノック予兆フラグを設定する。ノック予兆フラグは、次の燃焼サイクルでノック発生の確率が高い場合に「1」(YES)、低い場合に「0」(NO)と設定されるフラグである。
ノックは、未燃領域で発生する自着火により引き起こされる。自着火は、未燃領域の温度上昇に伴い引き起こされる低温酸化反応の発生を経て、高温状態が維持されることや、更に温度が上昇することで発生する高温酸化反応に至ることで発生する。ノックの予兆を推定するには、ノックの一歩手前である低温酸化反応を捉え、更に、次の燃焼サイクルでさらに温度が上昇することを捉えることができれば、次の燃焼サイクルで大規模な自着火を発生する可能性が高いと推定できる。ここでは、冷却損失とこれに伴う壁温変化及び未燃領域温度の変化を想定したノック発生予測方法を用いている。
ステップS64では、ステップS62で算出した燃焼時期IG90又は燃焼期間の複数の燃焼サイクルの履歴から、次の燃焼サイクルでノック発生の可能性が高いかを判定している。燃焼サイクル毎に未燃領域の温度が増加する傾向が続いている場合、つまり、燃焼期間IG90が複数の燃焼サイクルで連続して短縮している場合にノック発生の可能性が高いと判定し、ノック予兆フラグを「1」に設定する。
連続的に燃焼サイクル毎に未燃領域の温度が増加する傾向は、次のように説明できる。つまり、壁面からの熱伝達による温度上昇に伴い燃焼期間IG90が前の燃焼サイクルに比べて短くなる。すると、現在の燃焼サイクルでの燃焼期間IG90が短いことで高温の燃焼ガスから壁面の熱伝達量が増加し、更に壁面温度が増加する。
この結果、現在の燃焼サイクルの次の燃焼サイクルで、未燃領域が壁面から受け取る熱量が増えるため、次の燃焼サイクルでの未燃領域の温度が現在の燃焼サイクルよりも高くなる。このため、次の燃焼サイクルでの燃焼期間IG90が更に短縮される。このような現象の繰り返しで、燃焼サイクル毎に燃焼期間IG90が短くなり、未燃領域の温度が燃焼サイクル毎に上昇していくようになる。
これを踏まえて、ステップS64では、燃焼期間IG90が複数の燃焼サイクルに亘って短くなることを条件に、ノック予兆フラグに「1」を設定する。このようにノック予兆フラグ設定することで、未燃領域の温度を直接的に検出することなく、次の燃焼サイクルにおけるノックの発生を予測できるため、ノック予兆フラグを利用して点火時期を制御してやればノック回避が事前に可能となる。
或いは、燃焼期間IG90が複数の燃焼サイクルで短くなり、更に、現在の燃焼サイクルの燃焼期間IG90が所定の判定閾値を超えた場合に、ノック予兆フラグに「1」を設定しても良いものである。このようにノック予兆フラグを設定することで、次の燃焼サイクルでの壁面温度の状態が、特定の判定閾値まで達した際にノックが発生すると判定できるので、ノックの発生予測精度を向上することができる。
或いは、燃焼期間IG90が複数の燃焼サイクルで短くなり、更に、現在の燃焼サイクルの燃焼期間IG90が所定の判定閾値を超えた場合で、且つステップS63でノック発生とは至らないが、僅かな燃料の自着火による圧力振動、又は低温酸化反応に起因する弱い圧力振動の振動を検出した場合に、ノック予兆フラグを「1」に設定してもよいものである。このように設定することで、ノックに至る自着火の予兆である低温酸化反応、又は弱い自着火の発生と、その発生後の温度上昇によるノックの発生を予測できるので、更にノックの発生予測精度を向上することができる。以上のノック予兆フラグの設定が完了したら、ステップS65に移行する。
≪ステップS65≫
ステップS65においては、ステップS63により検出したノック強度に基づいてノック発生フラグを設定する。ノック発生フラグは、ノック発生時に「1」、ノック未発生であれば「0」に設定されるフラグである。ステップS63で検出されたノック強度が運転条件毎に異なる所定の強度を超える場合に、ノック発生フラグを「1」に設定する。
このように、図6に示した制御フローで求められた、ノック予兆フラグとノック発生フラグは、図3に示すノック制御部28に送られて点火時期が制御されることになる。
次に図3に示すノック制御部28で実行する演算処理について、図8を用いて説明する。図8に示す制御フローは、図6に示す制御フローで求めた、ノック予兆フラグとノック発生フラグを参照して点火時期を制御する制御フローを示している。
≪ステップS81≫
ステップS81においては、現在の燃焼サイクルでノックが発生したかどうかを判定している。この判定には、ステップS65で設定したノック発生フラグに基づき判定できる。ノック判定フラグが「0」であればステップS82に移行し、ノック判定フラグが「1」であればステップS85に移行する。
≪ステップS82≫
ステップS82においては、現在の燃焼サイクルでノックの発生の予兆があるかどうかを判定している。この判定には、ステップS64で設定したノック予兆フラグに基づき判定できる。ノック予兆フラグが「1」であれば、ノックが発生すると予測してステップS83に移行し、ノック予兆フラグが「0」であれば、ノックが発生しないと予測してステップS84に移行する。
≪ステップS83≫
ステップS83においては、次の燃焼サイクルでノック発生が予測されているため、点火時期の遅角目標値を設定する。ここでは、運転条件によって決まる基準点火時期から遅角目標値を減算することによって、ノックの発生予兆要因である壁面温度の上昇を抑制することを目的とする点火時期の目標値を設定してエンドに抜ける。尚、遅角目標値は、ノックが発生された時に行う遅角制御のノック遅角目標値よりも小さい値が設定される。この設定方法は、図9で説明する。
≪ステップS84≫
ステップS82でノックの発生の予兆がないと判断されているので、ステップS84においては、ECU20のROM20dに記憶している回転/負荷マップ上に設定された、目標点火時期マップから現在の運転条件に該当する条件における点火時期を算出してエンドに抜ける。
≪ステップS85≫
ステップS81でノックが発生したと判断されているので、ステップS85においては、ノック発生頻度が高いかどうかの判定を行なう。ノック発生頻度は、現在の運転条件における、ノック発生前の複数(所定回数)の燃焼サイクルでの燃焼期間IG90の算術平均値及び最頻値の関係から決めることができる。ここでは、算術平均値と最頻値の差が所定の範囲内であれば、ノック発生頻度が低いと判定し、最頻値の方が大きく、且つ算術平均値との差が「所定値」より大きければ、ノック発生頻度が高いと判定する。
例えば、「ばらつき」の大きさを考慮して、クランク角で3°〜5°程度に「所定値」を設定すると良いものである。ここで、ノック発生頻度が低いと判定した場合は、ステップS84に移行して上述した基準点火時期を設定する。一方、ノック発生頻度が高いと判定した場合は、ステップS86に移行する。
≪ステップS86≫
ステップS85にてノック発生頻度が高いと判定した場合、ノック検出に基づく点火時期の遅角処理を実行する。この場合は、次の燃焼サイクルの点火時期を、ノックが発生しない所定のノック遅角目標値だけ大きく遅角してエンドに抜ける。ノック遅角目標値は、上述の通りノックが予兆された時の遅角目標値よりも大きい値に設定されている。尚、これに続く燃焼サイクルでは、燃焼サイクル毎に点火時期を所定量だけ順次進角させて基準点火時期まで復帰させるようにしている。
次に、図8に示すステップS83で実行する演算処理について、図9を用いて説明する。
≪ステップS91≫
ステップS91においては、壁温目標値設定処理を実行する。ここでは、ECU20のROM20dに記憶している運転条件毎の平均壁面温度マップに基づき、現在の運転条件における目標壁面温度Ttar[K]を計算する。平均目標壁面温度マップは、予め定めた運転条件での事前の実験や、シミュレーションにて決定することができる。
平均壁面温度の目標温度を、ノックの発生に至る限界で規定すると、定性的に回転数の増加方向に目標温度は高くる傾向に設定され、負荷の増加方向に対して目標温度は低くなる傾向に設定される。これは、負荷が大きい条件では筒内圧力が高いため、燃焼現象やピストン圧縮による未燃領域の筒内温度が高温化するため、壁温を低くする必要が有るためであり、回転数が大きい条件では、未燃領域の残存する時間が短くなるため、未燃領域の筒内温度が回転数の低い場合に比べて高くなることを許容するためである。目標壁面温度Ttarが設定されると、ステップS92に移行して現在の壁温を推定する。
≪ステップS92≫
ステップS92においては、現在の壁温の推定を実行する。壁温の推定は、冷却水温度Tw[K]、潤滑油温度To[K]、現在の燃焼サイクルの燃焼期間IG90[deg]、現在の燃焼サイクルのノック強度Pk[MPa]、点火時期ADV[degATDC]等の推定パラメータに基づき実行される。つまり、これらの推定パラメータを変数とする以下の関数として、壁温Twall[K]を推定できる。
Twall=f1(Tw、To、IG90、Pk、ADV)
ここで、(1)壁面温度は水温や油温の増加に伴い増加する、(2)壁面温度は燃焼期間が短くなるほど増加する、(3)壁面温度は点火時期が進角するほど増加する、(4)壁面温度は現在の燃焼サイクルのノック強度が大きい程減少する、という関係を用いて、上述の関数は以下のように表すことができる。
Twall=(K×Tw)+(K×To)−KIG90×(IG90−IG90ref)+KADV×(ADV−ADVref)−KPk(Pk−Pkref)
ここで、K、K、KIG90、KADV、KPkは正の値であり、運転条件、内燃機関によって変化する係数である。また、「IG90ref」は基準の燃焼期間[deg]、「ADVref」は基準の点火時期[degATDC]、「Pkref」は基準のノック強度[MPa]であり、これらは運転条件毎にマップとして整理され、ROM20dに格納されている。これにより現在の壁面温度Twallを推定できる。
このように、各変数に対して壁面温度Twallを推定することで、運転状況に応じて適切な壁温推定が可能になる。次にステップS93に移行して、推定した壁面温度Twallを目標壁面温度Ttarに近づけるように点火時期を制御する。
≪ステップS93≫
ステップS93においては、ステップS92で推定した壁面温度Twallを、ステップS91で求めた目標壁面温度Ttarに近づけるように、図8のステップS83で設定される点火時期の遅角目標値を求める演算を実行する。
点火時期の遅角目標値ADVret[deg]は、以下に示す壁面温度Twall及び目標壁面温度Ttarの関数として求めることができる。
ADVret=f2(Twall、Ttar)
そして、壁面温度Twallが高く、目標壁面温度Ttarとの差が大きい程、点火遅角量を増加する必要が有る関係から、上述の関数は以下のように表すことができる。
ADVret=F1(Twall−Ttar)
ここで、F1は正の係数であり、遅角目標値ADVretは現在の燃焼サイクルの壁面温度Twallと目標壁面温度Ttarとの差が大きい程大きく設定される。このため、壁面温度Twallを大きく下げることができるので、壁面温度Twallを効率的に目標壁面温度Ttarへと素早く収束させることができる。
尚、燃焼室の壁面温度Twallを上昇させる場合は点火時期を進角し、燃焼室の壁面温度Twallを下降させる場合は点火時期を遅角すれば、実際の燃焼室の壁面温度Twallを目標壁面温度Ttarに収束させることが可能となる。
図10は、第1の実施形態を用いて点火時期の制御を実行した際の燃焼サイクルの進行にしたがった点火時期の制御結果を示している。図10では、(a)ノック強度、(b)燃焼期間、(c)焼期間の平均値(実線)、燃焼期間の最頻値(一点鎖線)、(d)点火時期の燃焼サイクル毎の変化を示している。尚、点火時期については、実線にて本実施形態の動き、破線にて通常のノック遅角制御の動きを示している。
先ず、燃焼サイクルC3の以前の複数の燃焼サイクルC1、C2で燃焼期間が短くなる傾向にあり、現在の燃焼サイクルC3でも更に燃焼期間が短くなっていることから、次の燃焼サイクルで更に燃焼室の壁温の上昇に伴う未燃領域の温度増加が発生し、ノックが発生する可能性が高いと判断する。また、ノック強度が僅かに増加していることから、低温酸化反応が発生していることや、燃焼サイクルC3にて燃焼期間が所定の値よりも短くなっていることで判断することもできる。
この結果に基づき、燃焼サイクルC3の次の燃焼サイクルC4では点火時期を遅角して燃焼サイクルC4におけるノック発生を未然に抑制できる。本実施形態を使用しない従来のノック遅角制御の場合は、燃焼サイクルC3の次の燃焼サイクルC4でノックが発生し、これを検出して燃焼サイクルC3の2燃焼サイクル後(ノック発生から1燃焼サイクル後)から点火時期の遅角が開始される。このように、本実施形態では、燃焼室の壁温を推定してノックの発生を予測し、これに基づき点火時期を遅角して正規の壁温に収束させるようにしている。
また、燃焼サイクルC9においては、事前のノックの発生の予兆が見られない中でノックが発生している状態を示している。通常のノック遅角制御では、燃焼サイクルC9の次の燃焼サイクルから点火時期の遅角制御が実行される。
これに対して、本実施例においては、燃焼サイクルC4〜C8においてノックが発生していないので、図8のステップS85によってノック発生頻度に基づき、ノックサイクルの次に継続的にノックが発生する可能性が高いかを判定し、低いと判断した場合には点火時期の遅角制御を実行しないようにしている。
このように、本実施形態では、ノックが発生する可能性が高い燃焼サイクルの点火時期を遅角することや、ノックの発生頻度が低い条件ではノックが発生した場合に点火遅角制御を実行しないことで、不要な点火時期の遅角制御を避けることができ、燃費悪化を抑制することができる。また、ノックの発生を予測した燃焼サイクルにおいては、壁面温度を目標とする点火時期の遅角制御を実行することで、ノックの発生を予測した燃焼サイクルの次の燃焼サイクルでのノック発生をも抑制することができる。
尚、本実施形態では、冷却損失の変化を表す指標として燃焼期間(クランク角)を用いたが、これを燃焼位相とすることも可能である。燃焼位相を用いることで、ピストン位置と燃焼の関係がはっきりするため、より壁温の推定や、相関が強くなり、ノックの発生の推定精度や壁温推定精度の向上が見込めるようになる。
次に、本発明の第2の実施形態について、図3、図8、図9、図11を用いて説明する。図11は、図3に示すノック発生予測部27で実施する演算処理についての制御フローであり、概ね図6に示す制御フローの処理内容と同一である。ただ、第2の実施形態では、特定燃焼割合、燃焼期間の代わりに筒内圧力を用いる点で異なっている。
≪ステップS111≫
ステップS111においては、筒内圧力の最大位置(クランク角)を検出する。図12は、筒内圧力の最大位置を説明するものであり、図12にあるように筒内圧力の最大位置とは、現在の燃焼サイクルにおける筒内圧力の最大値が位置するクランク角を指すものである。
運転条件及び点火時期がそろった条件であれば、筒内圧力の最大位置は燃焼期間と相関があり、燃焼期間が短いと筒内圧力の最大位置は進角側に移動する。このように筒内圧力の最大位置は燃焼期間と相関を持つ量であることから、筒内圧力の最大位置の変化から、冷却損失の変化も抽出可能である。ステップS111で筒内圧力の最大位置を検出すると、ステップS112に移行して筒内圧力の最大位置の統計量を算出する。
≪ステップS112≫
ステップS112においては、筒内圧力の最大位置の統計量を算出する。統計量の算出で計算するものは、統計分布及び平均値、最頻値、及び対象とする筒内圧力の最大位置の複数の燃焼サイクルの履歴である。筒内圧力の最大位置においても、ノックが発生しない、又は、ノック発生頻度が低い運転条件においては、図7Aと同様に、各筒内圧力の最大位置の発生頻度は正規分布に近く、平均値と最頻値が概ね一致する。一方、ノックの頻度が高い運転条件では、図7Bと同様に、平均値に比べて最頻値が進角側に移行している。統計量の算出が終了するとステップS113に移行する。
≪ステップS113≫
ステップS113においてはノック強度の算出を実行するが、ステップS113はステップS63と同じ処理であるので、説明は省略する。ノック強度が求まるとステップS114に移行する。
≪ステップS114≫
ステップS114では、ノック予兆フラグの設定を実行する。ノック予兆フラグは、次の燃焼サイクルでノック発生の確率が高い場合に「1」、低い場合に「0」と設定されるフラグである。
現在の燃焼サイクルまで連続して冷却損失が増加している場合、筒内圧力の最大位置は複数の燃焼サイクルにおいて進角を続けている。したがって、筒内圧力の最大位置が複数の燃焼サイクルに亘って進角することを条件に、ノック予兆フラグに「1」を設定することができる。このステップS114もステップS64と実質同じ考え方である。
また、筒内圧力の最大位置が複数の燃焼サイクルで進角していき、更に、現在の燃焼サイクルの筒内圧力の最大位置が所定の判定閾値よりも進角した場合に、ノック予兆フラグに「1}を設定してもよいものである。このようにノック予兆フラグを設定することで、次の燃焼サイクルでの壁面温度の状態が、特定の判定閾値まで達した際にノックが発生すると判定できるので、ノックの発生予測精度を向上することができる。
また、筒内圧力の最大位置が複数の燃焼サイクルで進角していき、更に、現在の燃焼サイクルの筒内圧力の最大位置が所定の判定閾値よりも進角した場合で、且つステップS113でノック発生とは至らないが、僅かな燃料の自着火による圧力振動、又は低温酸化反応に起因する弱い圧力振動の振動を検出した場合に、ノック予兆フラグを「1」に設定してもよいものである」。このように設定することで、ノックに至る自着火の予兆である低温酸化反応、又は弱い自着火の発生と、その発生後の温度上昇によるノックの発生を予測できるので、更にノックの発生予測精度を向上することができる。以上のノック予兆フラグの設定が完了したら、ステップS115に移行する。
≪ステップS115≫
ステップS115においては、ステップS113により検出したノック強度に基づいてノック発生フラグを設定する。ステップS113はステップS63と同じ処理であるので、説明は省略する。
ノック予兆フラグ、及びノック発生フラグの設定は完了すると、ノック制御部28において、図8に示すノック予兆フラグとノック発生フラグを参照して点火時期を制御する制御フローを実行する。
ただ、第1の実施形態とはステップS83で実行する制御ステップの処理が異なっているものである。ステップS83で実行する処理は図9に示されており、ステップS92における壁温推定に関して、本実施形態では筒内圧力の最大値位置を用いて計算する点が異なっているものである。
壁温の推定は、冷却水温度Tw[K]、潤滑油温度To[K]、現在の燃焼サイクルの筒内圧力最大位置θpmax、現在の燃焼サイクルのノック強度Pk[MPa]、点火時期ADV[degATDC]等の推定パラメータに基づき実行される。つまり、これらの推定パラメータを変数とする以下の関数として、壁温Twall[K]を推定できる。
Twall=g1(Tw、To、θpmax、Pk、ADV)
ここで、(1)壁面温度は水温や油温の増加に伴い増加する、(2)壁面温度は筒内圧力の最大位置が進角するほど増加する、(3)壁面温度は点火時期(degATDC)が進角するほど増加する、(4)壁面温度は現在の燃焼サイクルのノック強度が大きい程減少する、との関係を用いて、上述の関数は以下のように表すことができる。
Twall=(K×Tw)+(K×To)−Kθp×(θpmax−θpmaxref)+KADV×(ADV−ADVref)−KPk(Pk−Pkref)
ここで、K、K、Kθp、KADV、KPkは正の値であり、運転条件、内燃機関によって変化する係数である。尚、「θpmaxref」は基準の筒内圧力の最大位置あり、これらは運転条件毎にマップとして整理され、ROM20dに格納されている。これにより現在の壁面温度Twallを推定できる。
このように、各変数に対して壁面温度Twallを推定することで、運転状況に応じて適切な壁温推定が可能になる。次にステップS93に移行して、推定した壁面温度Twallを目標壁面温度Ttarに近づけるように点火時期を制御する。
ステップS93においては、ステップS92で推定した壁面温度Twallを、ステップS91で求めた目標壁面温度Ttarに近づけるように、点火時期の遅角目標値を求める演算を実行する。
点火時期の遅角目標値ADVret[deg]は、以下に示す壁面温度Twall及び目標壁面温度Ttarの関数として求めることができる。
ADVret=f2(Twall、Ttar)
そして、壁面温度Twallが高く、目標壁面温度Ttarとの差が大きい程、点火遅角量を増加する必要が有る関係から、上述の関数は以下のように表すことができる。ADVret=F1(Twall−Ttar)
ここで、F1は正の係数であり、遅角目標値ADVretは現在の燃焼サイクルの壁面温度Twallと目標壁面温度Ttarとの差が大きい程大きく設定されるので、壁面温度Twallを大きく下げることができる。このため、壁面温度Twallを効率的に目標壁面温度Ttarへと素早く収束させることができる。尚、係数F1を変更することで、現在の燃焼サイクルにおける壁面温度に応じて目標壁面温度に近づける速度を変えることも可能である。
以上述べた通り本発明は、燃焼室に取り付けられた筒内圧センサの信号に基づき算出した内燃機関の冷却損失の変化(壁温変化)基づきノックの発生を予測するノック発生予測部を備え、更に、ノック発生予測部で検出される冷却損失に関連するノック予測情報に基づき内燃機関の点火時期を制御するノック制御部を備える、構成とした。
これによれば、冷却損失の増加に伴う壁温上昇と、これに伴う未燃領域の温度上昇によるノックの発生を予測し、ノックの発生を予測した燃焼サイクルで点火時期を遅角制御することで、ノックを効果的に抑制することができる。
尚、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
1…エアフローセンサ、2…電子制御スロットル、3…燃料噴射装置、4…点火システム、5…可変バルブ、5a…吸気バルブ可変装置、5b…排気バルブ可変装置、6…吸気管、7…シリンダヘッド、8…排気管、9…空燃比センサ、10…三元触媒、11…排気温度センサ、12…燃焼室、13…クランク角度センサ、14…冷却水温度センサ、15…吸気温度センサ、16…アクセル開度センサ、17…高圧燃料ポンプ、18…燃料圧力センサ、20…内燃機関コントロールユニット、20a…入力回路、20b…入出力ポート、20c…RAM、20d…ROM、20e…CPU、20f…電子制御スロットル駆動回路、20g…インジェクタ駆動回路、20h…点火出力回路、20j…可変バルブ駆動回路、20k…高圧燃料ポンプ駆動回路、20m…ノック検出部、20n…ノック回避制御部、21…吸気圧センサ、25…ノックセンサ、26…筒内圧センサ、27…ノック発生予測部、28…ノック制御部、100…内燃機関。

Claims (19)

  1. 内燃機関の燃焼室の燃焼圧力を検出する筒内圧センサからの筒内圧情報に基づきノックの発生状況を判定して点火時期を制御する点火時期制御手段と、点火時期制御手段からの点火制御信号に基づき前記燃焼室に設けられた点火プラグに駆動出力信号を送る点火出力手段とを備えた内燃機関の点火制御装置において、
    前記点火時期制御手段は、
    前記筒内圧センサの前記筒内圧情報に基づき統計処理して算出した冷却損失の変化と相関をもつ因子に基づいてノックの発生を予測してノック予兆情報を求めるノック発生予測部と、
    前記ノック発生予測部で求められたノック予兆情報に基づき点火時期を補正するノック制御部と
    を備えていることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部は、冷却損失の変化と相関をもつ因子として、前記燃焼室の壁面温度の変化に基づいてノックを予測して前記ノック予兆情報を求める
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  3. 内燃機関の燃焼室の燃焼圧力を検出する筒内圧センサからの筒内圧情報に基づきノックの発生状況を判定して点火時期を制御する点火時期制御手段と、点火時期制御手段からの点火制御信号に基づき前記燃焼室に設けられた点火プラグに駆動出力信号を送る点火出力手段とを備えた内燃機関の点火制御装置において、
    前記点火時期制御手段は、
    前記筒内圧センサの前記筒内圧情報に基づき算出した冷却損失の変化と相関をもつ因子に基づいてノックの発生を予測してノック予兆情報を求めるノック発生予測部と、
    前記ノック発生予測部で求められたノック予兆情報に基づき点火時期を補正するノック制御部とを備えていると共に
    前記ノック発生予測部は、冷却損失の変化と相関をもつ因子として、特定の燃焼状態に到達する時期の変化に基づいてノックを予測して前記ノック予兆情報を求める
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  4. 請求項3に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部によって求められる特定の燃焼状態に到達する時期は、前記筒内圧センサにより検出した特定燃焼割合点の到達時期に基づいて求められる
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  5. 請求項3に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部によって求められる特定の燃焼状態に到達する時期は、前記筒内圧センサにより検出した筒内圧が最大値に到達した時期に基づいて求められる
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  6. 内燃機関の燃焼室の燃焼圧力を検出する筒内圧センサからの筒内圧情報に基づきノックの発生状況を判定して点火時期を制御する点火時期制御手段と、点火時期制御手段からの点火制御信号に基づき前記燃焼室に設けられた点火プラグに駆動出力信号を送る点火出力手段とを備えた内燃機関の点火制御装置において、
    前記点火時期制御手段は、
    前記筒内圧センサの前記筒内圧情報に基づき算出した冷却損失の変化と相関をもつ因子に基づいてノックの発生を予測してノック予兆情報を求めるノック発生予測部と、
    前記ノック発生予測部で求められたノック予兆情報に基づき点火時期を補正するノック制御部とを備えていると共に
    前記ノック発生予測部は、冷却損失の変化と相関をもつ因子として、特定の燃焼状態に到達するまでの燃焼期間の変化に基づいてノックを予測して前記ノック予兆情報を求めることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  7. 請求項6に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部によって求められる前記燃焼期間は、前記点火プラグによる点火開始時期から特定燃焼割合点までの到達時期の期間である
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  8. 請求項6に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部によって求められる前記燃焼期間は、第1の特定燃焼割合点に到達した第1到達時期から第2の特定燃焼割合点に到達した第2到達時期までの期間である
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  9. 請求項4又は請求項5に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部は、
    特定の燃焼状態に到達する時期が複数の燃焼サイクルに亘って連続して進角側に変化した場合に前記ノック予兆情報を発生し、
    前記ノック制御部は、前記ノック予兆情報に基づいて次の燃焼サイクルで点火時期を遅角させた制御信号を発生する
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  10. 請求項4又は請求項5に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部は、
    前記特定の燃焼状態に到達する時期が複数の燃焼サイクルに亘って連続して進角側に変化した場合で、且つ現在の燃焼サイクルの点火開始時期で定まる所定の時期から前記特定の燃焼状態に到達する時期までの燃焼期間が設定値以下になった場合に前記ノック予兆情報を発生し、
    前記ノック制御部は、前記ノック予兆情報に基づいて次の燃焼サイクルで点火時期を遅角させた制御信号を発生する
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  11. 請求項4又は請求項5に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部は、
    特定の燃焼状態に到達する時期が複数の燃焼サイクルに亘って連続して進角側に変化した場合で、且つ現在の燃焼サイクルの特定の燃焼状態に到達する時期が設定値以下になった場合で、更に僅かな燃料の自着火に起因する圧力振動、又は低温酸化反応に起因する弱い圧力振動を検出した場合に前記ノック予兆情報を発生し、
    前記ノック制御部は、前記ノック予兆情報に基づいて次の燃焼サイクルで点火時期を遅角させた制御信号を発生する
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  12. 請求項7又は請求項8に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部は、前記燃焼期間が複数の燃焼サイクルに亘って連続して短縮方向に移行した場合に前記ノック予兆情報を発生し、
    前記ノック制御部は、前記ノック予兆情報に基づいて次の燃焼サイクルで点火時期を遅角させた制御信号を発生する
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  13. 請求項7又は請求項8に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部は、前記燃焼期間が複数の燃焼サイクルに亘って連続して短縮方向に移行し、且つ現在の燃焼サイクルで前記燃焼期間が設定値以下になった場合に前記ノック予兆情報を発生し、
    前記ノック制御部は、前記ノック予兆情報に基づいて次の燃焼サイクルで点火時期を遅角させた制御信号を発生する
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  14. 請求項7又は請求項8に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック発生予測部は、前記燃焼期間が複数の燃焼サイクルに亘って連続して短縮方向に移行し、且つ現在の燃焼サイクルで前記燃焼期間が設定値以下になった場合で、更に僅かな燃料の自着火に起因する圧力振動、又は低温酸化反応に起因する弱い圧力振動を検出した場合に前記ノック予兆情報を発生し、
    前記ノック制御部は、前記ノック予兆情報に基づいて次の燃焼サイクルで点火時期を遅角させた制御信号を発生する
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  15. 内燃機関の燃焼室の燃焼圧力を検出する筒内圧センサからの筒内圧情報に基づきノックの発生状況を判定して点火時期を制御する点火時期制御手段と、点火時期制御手段からの点火制御信号に基づき前記燃焼室に設けられた点火プラグに駆動出力信号を送る点火出力手段とを備えた内燃機関の点火制御装置において、
    前記点火時期制御手段は、
    前記筒内圧センサの前記筒内圧情報に基づき算出した冷却損失の変化と相関をもつ因子に基づいてノックの発生を予測してノック予兆情報を求めるノック発生予測部と、
    前記ノック発生予測部で求められたノック予兆情報に基づき点火時期を補正するノック制御部とを備えていると共に
    前記ノック発生予測部は、前記筒内圧センサによってノックの発生を検出するノック検出部と、前記筒内圧センサにより検出した特定燃焼割点の到達時期、又は点火開始時期で定まる所定の時期から特定燃焼状態に到達する時期までの燃焼期間を算出する燃焼状態算出部とを備え、
    前記ノック制御部は、
    前記ノック検出部によりノック発生を検出した場合に、ノック発生前の所定回数の燃焼サイクルにおける前記燃焼状態算出部により検出される燃焼期間、又は特定燃焼割合点の到達時期の最頻値と平均値の差が所定の値より小さい場合は、次の燃焼サイクルでの点火時期を基準点火時期に維持し、
    前記最頻値と前記平均値の差が所定の値より大きい場合に、ノックが発生した次の燃焼サイクルで点火時期を遅角する
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  16. 請求項9又は請求項12に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記ノック制御部は、
    前記内燃機関の運転状態によって定まる前記燃焼室の目標壁面温度を求める目標壁面温度推定手段と、
    前記燃焼室の実際の壁面温度を推定する壁面温度推定手段と、
    前記実際の壁面温度を前記目標壁面温度に制御する壁面温度制御手段と
    を備えることを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  17. 請求項16に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記壁面温度推定手段は、冷却水温、油温、点火時期、ノックの有無の少なくとも一つの情報に基づき壁面温度を推定する
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  18. 請求項16に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記壁面温度制御手段は、点火時期を制御して壁面温度を調整することを
    特徴とする内燃機関の点火制御装置。
  19. 請求項16に記載の内燃機関の点火制御装置において、
    前記壁面温度制御手段は、前記燃焼室の壁面温度を上昇させる場合は点火時期を進角し、前記燃焼室の壁面温度を下降させる場合は点火時期を遅角する
    ことを特徴とする内燃機関の点火制御装置。
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