JP6764778B2 - キラルアミノ酸の分離方法 - Google Patents

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Description

本発明はキラルアミノ酸、キラルジペプチド又はキラルトリペプチドの分離方法に関する。
アミノ酸は生命体を構成する主要な化合物群の1つである。グリシンを除くアミノ酸において、生体内におけるアミノ酸鏡像異性体の含量比は大きくL型に偏っており、特に哺乳類のような高等動物では、L−アミノ酸のみが存在して生理機能を有すると長い間考えられてきた。しかし、近年、解析法の進歩に伴って哺乳類の体内にもD−アミノ酸が存在することが明らかとなり、生理機能を有することが分かりつつある。
キラルアミノ酸の分離解析に関しては、混在するアミノ酸同士の分子種分離、及び各分子種におけるL型とD型のキラル分離の双方が必要となる。従来、例えば、4−フルオロ−7−ニトロ−2,1,3−ベンゾキサジアゾール(NBD−F)試薬を用いてアミノ酸をNBD誘導体とした後、逆相カラム(1次元目:分子種分離)とキラル識別子を担持した固定相を有するキラルカラム(2次元目:キラル分離)を用いた2次元液体クロマトグラフィー(LC)法による分離定量(非特許文献1)や、1本の逆相カラム(ODSカラム)を用いた1次元LC法(非特許文献2)、アミノ酸を6−アミノキノリル−N−ヒドロキシスクシイミジルカルバメート(AQC)誘導体化し、1本のキラルカラムを用いた1次元LC法(非特許文献3)が考案されている。
しかしながら、2次元LC法は、分子種分離とキラル分離を各々に適した分離条件で実施するため分離能は優れているものの、流路切替バルブやマルチループを必要とするため装置及び操作が煩雑となり、また多成分を対象とする際には1次元目で対象成分間に充分な分離時間差が求められることからスループット性の低さが課題点として挙げられている。
一方で近年報告されている、簡便的に実施可能な1次元LC法は、分子種とキラルにおける双方の分離を充分に満たすことは困難であり、アミノ酸同士或いは夾雑成分との重複によって生じる分析精度の低さが課題点として挙げられている。
Hamase K, Miyoshi Y, Ueno K, Han H, Hirano J, Morikawa A, Mita M, Kaneko T, Lindner W, Zaitsu K.,J Chromatogr A. 2010 Feb 12;1217(7):1056-62. doi: 10.1016/j.chroma.2009.09.002. Epub 2009 Sep 6. Mochizuki T, Takayama T, Todoroki K, Inoue K, Min JZ, Toyo'oka T.,Anal Chim Acta. 2015 May 22;875:73-82. doi: 10.1016/j.aca.2015.02.054. Epub 2015 Feb 23. Karakawa S, Shimbo K, Yamada N, Mizukoshi T, Miyano H, Mita M, Lindner W, Hamase K.,J Pharm Biomed Anal. 2015 Nov 10;115:123-9. doi: 10.1016/j.jpba.2015.05.024. Epub 2015 Jun 16.
本発明は、試料中のキラルアミノ酸全分子種を、簡便、高精度且つ高スループットで分離可能な方法を提供することに関する。
本発明は液体クロマトグラフィーを用いてキラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドを分離する方法について検討した結果、異なるキラル識別子を担持した固定相を有する2種のイオン交換型キラルカラムを組み合わせてクロマト分離を行うことにより、精度よく且つ簡便にキラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドを分離できることを見出した。
すなわち、本発明は、液体クロマトグラフィーを用いて、試料中のキラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドのいずれか1以上を分離する方法であって、アミノ基をAQC誘導体化した後、弱アニオン交換型の固定相を有する第一のキラルカラムと、両性イオン交換型の固定相を有する第二のキラルカラムとを接続した液体クロマトグラフィーを用いて分離する方法に係るものである。
また、本発明は、上記の方法に続き、質量分析によってキラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドのいずれか1以上を同定及び定量する工程を含む、キラルアミノ酸、キラルジペプチド又はキラルトリペプチドの分離定量方法を提供するものである。
本発明の方法によれば、試料中のキラルアミノ酸、例えばタンパク質を構成する全キラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドを高精度で簡便に、且つ高スループットで分離することが可能である。よって、キラルアミノ酸の一斉分析が可能となり、キラルアミノ酸メタボローム解析のための極めて有用なツールとなり得る。
標準品のキラルアミノ酸解析結果。 角層試料のキラルアミノ酸解析結果。 角層試料のキラルアミノ酸の定量値。 キラルカラム逆接続によるキラルアミノ酸解析結果。 各キラルカラム単独使用によるキラルアミノ酸解析結果。 キラルジペプチド標準品の解析結果。 キラルトリペプチド標準品の解析結果。
本発明の方法は、液体クロマトグラフィーを用いて、試料中のキラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドのいずれか1以上を分離する方法であって、アミノ基をAQC誘導体化した後、弱アニオン交換型の固定相を有する第一のキラルカラムと、両性イオン交換型の固定相を有する第二のキラルカラムとを接続した液体クロマトグラフィーを用いて分離するものである。
本発明において、キラルアミノ酸としては、タンパク質を構成する20種のアミノ酸や、代謝関連アミノ酸(例えば、オルニチン、シトルリン)のD型(D−アミノ酸)及びL型(L−アミノ酸)が挙げられ、タンパク質を構成する20種のアミノ酸(D型及びL型)が好適である。また、キラルジペプチド又はキラルトリペプチドとは、前記キラルアミノ酸2分子又は3分子からなるオリゴペプチドである。以下、キラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドを合わせて、「キラルアミノ酸」又は単に「アミノ酸」として、記載する。
本発明において、タンパク質又はアミノ酸を含む試料としては、例えばヒト、動物や植物等の一部であって、ヒト又は動物の場合は生体や死体から採取した皮膚、皮膚角質層、毛、臓器、血液、体液、及びそれらから再構成した細胞や組織等が挙げられる。
例えば、皮膚由来試料はテープストリッピング等で非侵襲的に収集される。
採取された試料は、水や有機溶剤(メタノール、エタノール、2−プロパノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン等)などの溶媒に浸漬され、常法によりアミノ酸やペプチドが抽出される。さらに、キラルアミノ酸解析が夾雑成分の影響を受ける可能性がある場合、夾雑成分を除去するための前処理を施してもよい。
アミノ酸4分子以上からなるペプチド及びタンパク質については、公知の方法に従いアミノ酸に加水分解した後、本発明の誘導体化・分離を行うことができる。よって、ペプチド及びタンパク質を構成するキラルアミノ酸を分析することが可能となる。
本発明の方法において、キラルアミノ酸の分離は、少なくともキラルアミノ酸の分離手段が液体クロマトグラフィー(LC)によって行われるものであればよい。分離されたキラルアミノ酸の同定及び定量手法は、特に限定されない。
キラルアミノ酸の同定及び定量手法としては、紫外可視検出器、ダイオードアレイ検出器、蛍光検出器、示差屈折率検出器、蒸発光散乱検出器、荷電化粒子検出器、質量分析計等を用いて検出・定量する方法が挙げられるが、高感度かつ高選択的検出の観点から、質量分析計(MS)を用いるのが好ましい。したがって、本発明の方法を含む分離定量方法は、液体クロマトグラフィー(LC)と質量分析(MS)を組み合わせたLC−MS、LC−MS/MS等を用いて行うのがより好ましい。
本発明においては、液体クロマトグラフィーに上記の試料を適用するに当たり、アミノ酸は、6−アミノキノリル−N−ヒドロキシスクシイミジルカルバメート(AQC)を用いて、そのアミノ基をカルバモイル化したAQC誘導体とされる。
AQC誘導体化の方法は、公知の方法に準じて行うことができ、例えば、アミノ酸標準溶液又はアミノ酸試料、ホウ酸緩衝液、AQC溶液を混合し、直ちに撹拌後、加熱することにより行われる。
斯くしてAQC誘導化されたアミノ酸を含む試料は、特に希釈されることなく調製される。
本発明において、液体クロマトグラフィーによるキラルアミノ酸の分離は、2種類の異なるクロマトグラフィー用キラルカラムを含む装置に、AQC誘導体化したアミノ酸試料を配して行われる。
ここで、用いられるキラルカラムとしては、イオン交換型キラル固定相(chiral stationary phase:CSP)を有する2種類の異なるキラル識別子を有するキラルカラムが用いられる。
第一のキラルカラムは、弱アニオン交換型(WAX)の固定相を有するものであり、例えば基材にキラル識別子として、O−9−(tert−ブチルカルバモイル)キニンを保持させたもの又はO−9−(tert−ブチルカルバモイル)キニジンを保持させたものが挙げられる(下記A参照)。
斯かるキラルカラムは、「CHIRALPAK QN−AX」及び「CHIRALPAK QD−AX」(共にDAICEL社)として市販されている。
一方、第二のキラルカラムは、両性イオン交換型の固定相を有するものであり、例えば基材にキラル識別子として、(S,S)−トランス−2−アミノシクロヘキサンスルホン酸を結合させたキニーネ(8S、9R)又は(R,R)−トランス−2−アミノシクロヘキサンスルホン酸を結合させたキニジン(8R、9S)を保持させたものが挙げられる(下記B参照)。
斯かる固定相を有するキラルカラムは、「CHIRALPAK ZWIX(+)」及び「CHIRALPAK ZWIX(−)」(共にDAICEL社)として市販されている。
斯かるキラル識別子を保持する基材(担体)(上記式中の「●」で表記)としては、多孔質有機基材又は多孔質無機基材が挙げられ、好ましくは多孔質無機基材である。多孔質有機基材として適当なものは、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリレート等からなる高分子物質であり、多孔質無機基材として適当なものは、シリカゲル、アルミナ、マグネシア、ガラス、カオリン、酸化チタン、ケイ酸塩、ヒドロキシアパタイトなどである。特に好ましい基材はシリカゲルである。
基材としてシリカゲルを使用する場合のシリカゲルの粒径は1.7μm〜10μm、好ましくは3μm〜5μmであり、平均孔径は50Å〜150Å、好ましくは100Å〜150Åである。
また、カラムは好適な寸法を有することができる。例えば、内径2.1〜20mm、長さ10〜250mmであり得、好ましくは内径2.1〜4.6mm、長さ150〜250mmである。
本発明において、第一のキラルカラムと第二のキラルカラムの接続様式は限定されるものではないが、直列に接続するのがキラルアミノ酸の一斉分離の点から好ましい。尚、直列接続の場合、その順序は特に限定されない。
本発明の方法において、液体クロマトグラフィーは種々の分離モードを選択することができる。すなわち、グラジエントモード、アイソクラティックモードの何れを選択することができる。好ましくは、アイソクラティックモードである。
アイソクラティックモードを選択する場合は、例えば高極性移動相の使用が望ましい。好ましくは優れたプロトン供与性溶媒のメタノール系であり、例えば、メタノール−水混液、メタノール単液等が挙げられる。
また、何れの分離モードにおいても、必要により、誘導体化アミノ酸の分離および/または検出を容易にするため、クロマトグラフィーのピーク形状の改善および/またはLC−MSのイオン化促進のために、移動相には1つ又はそれ以上の試薬、例えば、酸性添加剤や塩基性添加剤等を配合することができる。好ましくはギ酸及びその塩(例えば、ギ酸アンモニウム等)の緩衝液系である。
本発明の方法を含むキラルアミノ酸、キラルジペプチド又はキラルトリペプチドの分離定量方法において、液体クロマトグラフィーと質量分析を組み合わせて用いる場合、質量分析計は、前記液体クロマトグラフィーと連通し、試料中のアミノ酸を同定するための質量分析データセットを生み出すことができる。液体クロマトグラフィー−質量分析の実施に好適な装置は市販されており、例えば、Agilent Technologies製の、Triple Quadrupole LC/MS systemを使用することができる。
質量分析計は、分離されたアミノ酸分子をイオン化し、帯電したイオン分子を生成するためのイオン源を含む。イオン化の方法は、例えばエレクトロスプレーイオン化法(ESI)、大気圧化学イオン化法(APCI)、大気圧光イオン化法(APPI)、電子イオン化法(EI)、高速原子衝突(FAB)/液体二次イオン化法(LSIMS)、マトリクス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)、フィールドイオン化法、電解脱離法、熱スプレー/プラズマスプレーイオン化法、粒子ビームイオン化法等が挙げられ、このうちエレクトロスプレーイオン化法が好ましい。
イオン化によって生成した正又は負に帯電したイオンを分析し、質量電荷比(すなわちm/z)が測定される。質量電荷比を測定するのに好適な分析計には四重極型質量分析装置(Q−MS)、飛行時間型質量分析装置(TOF−MS)、イオントラップ型質量分析装置(IT−MS)、フーリエ変換型質量分析装置(FT−MS)等のシングル型の質量分析装置、Q−TOF、IT−TOF等のハイブリッド型質量分析装置、又はトリプル四重極型等のタンデム質量分析装置(MS/MS等)等があるが、四重極を用いて質量電荷比を測定するのが好ましく、トリプル四重極型を用いるのがより好ましい。
また、生成イオンの検出には、一般に選択イオンモニタリング(SIM)法や、フルスキャン法、選択リアクションモニタリング(SRM)法等があるが、本発明においては、SRM法が好適に使用できる。
本発明の例示的実施形態として、さらに以下の方法を本明細書に開示する。
<1>液体クロマトグラフィーを用いて、試料中のキラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドのいずれか1以上を分離する方法であって、アミノ基をAQC誘導体化した後、弱アニオン交換型の固定相を有する第一のキラルカラムと、両性イオン交換型の固定相を有する第二のキラルカラムとを接続した液体クロマトグラフィーを用いて分離する方法。
<2>第一のキラルカラムの弱アニオン交換型の固定相が、基材にキラル識別子として、O−9−(tert−ブチルカルバモイル)キニン又はO−9−(tert−ブチルカルバモイル)キニジンを保持させたものである<1>に記載の方法。
<3>第二のキラルカラムの両性イオン交換型の固定相が、基材に(S,S)−トランス−2−アミノシクロヘキサンスルホン酸を結合させたキニーネを保持させたもの又は(R,R)−トランス−2−アミノシクロヘキサンスルホン酸を結合させたキニジンを保持させたものである<1>又は<2>に記載の方法。
<4>第一のキラルカラムと第二のキラルカラムが直列で接続されたものである、<1>〜<3>のいずれかに記載の方法。
<5><1>〜<4>のいずれかに記載の方法に続き、質量分析によってキラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドのいずれか1以上を同定及び定量する工程を含むキラルアミノ酸、キラルジペプチド又はキラルトリペプチドの分離定量方法。
<6>質量分析がMS/MSにより行われる、<5>に記載の方法。
<7>キラルカラムの基材がシリカゲルである<1>〜<6>のいずれかに記載の方法。
<8>液体クロマトグラフィーの分離モードがアイソクラティックモードである<1>〜<7>のいずれかに記載の方法。
<9>アイソクラティックモードがアルコール系有機溶剤を含む移動相を用いる<8>に記載の方法。
<10>アルコール系有機溶剤を含む移動相がメタノール−水混液又はメタノールである<9>に記載の方法。
以下、実施例を示し、本発明をより具体的に説明する。
実施例1 皮膚角質層中のキラルアミノ酸の一斉分離解析
(1)皮膚角質層の採取及びアミノ酸の抽出
健常男性の前腕に、フィルムマスキングテープ(寺岡製作所/465#40、2.5cm幅×3cm長)を10秒間押し付けて剥離した。剥離毎に新たなテープに替え、この剥離作業を同一箇所で連続3回繰り返すことで皮膚角質層を採取した(採取面積=7.5cm×3枚)。採取後、すぐに誘導体化処理を行わない際は、サンプルを冷凍保存(−80℃)した。
(2)試料溶液及び標準品の調製
皮膚角質層を採取したテープ(合計3枚)を5mLスクリュー管(商品名:マルエム/No.2)内でメタノール:水(9:1,v/v)溶液3.0mLに浸漬させ、室温で10分間超音波処理し、アミノ酸を抽出した。抽出液を栓付試験管に移し、次いで、窒素気流下で溶媒留去後、0.2mol/Lホウ酸緩衝液(pH 8.9)、AccQ・Tag Ultra誘導体化試薬、すなわちAQC溶液(Waters製:AQC粉末を3mg/mL,すなわち10mmol/Lの濃度でアセトニトリルに溶解)を各々80μL、20μL(4:1)の順番で混合し、直ちに撹拌後、55℃で10分間加熱することにより試料溶液を調製した。
同様に、0.2mol/L ホウ酸緩衝液(pH 8.9)、各濃度100μmol/L D,L−アミノ酸標準溶液(タンパク質構成20種アミノ酸:Ala/アラニン,Arg/アルギニン,Asn/アスパラギン,Asp/アスパラギン酸,Cys/システイン,Gln/グルタミン,Glu/グルタミン酸,Gly/グリシン(D,Lの区別はない),His/ヒスチジン,Ile/イソロイシン,Leu/ロイシン,Lys/リジン,Met/メチオニン,Phe/フェニルアラニン,Pro/プロリン,Ser/セリン,Thr/トレオニン,Trp/トリプトファン,Tyr/チロシン,Val/バリン、0.2mol/L ホウ酸緩衝液に溶解)、AQC溶液を各々70μL、10μL、20μL(7:1:2)の順番で混合し、直ちに撹拌後、55℃で10分間加熱することによりアミノ酸標準溶液を調製した。
(3)LC−MS/MS分析
(2)で調製した溶液を、下記の条件下でLC−MS/MS分析し、各種キラルアミノ酸の分離検出及び定量を行った。
(装置)
LC/1200シリーズ(Agilent Technologies社)、質量分析計/G6460A 三連四重極(Agilent Technologies社)
(クロマトグラフィー分離)
分離キラルカラム:CHIRALPAK QN−AX<DAICEL社> 4.6mm内径×150mm、粒径5μm(第一のキラルカラム)及びCHIRALPAK ZWIX(+)<DAICEL社>3.0mm内径×150mm、粒径3μm(第二のキラルカラム)をこの順序で直列接続(45℃)
溶離液:0.1%(v/v)ギ酸及び55mMギ酸アンモニウム含有,メタノール:水(90:10,v/v)溶液
溶離法:アイソクラティック
移動相流量:0.25 mL/min
注入量:5μL
(質量分析)
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化法(ESI)
極性:正イオン
フラグメンター電圧:135V
コリジョンエネルギー:20V
キャピラリー電圧:3500V
ネブライザー圧力:60psi
シースガス温度:250℃
シースガス流量:12L/min
乾燥ガス温度:350℃
乾燥ガス流量:13L/min
(検出モード)
プリカーサーイオンにプロトンイオン付加分子([M+H])、プロダクトイオンにAQCフラグメントイオン(m/z=171)を設定した正イオンモードによるSRM(selected reaction monitoring) 検出及びプロダクトイオンにAQCフラグメントイオン(m/z=171)を設定した正イオンモードによるプリカーサーイオンスキャン検出
(4)データ解析
得られたデータを、保持時間とイオン強度の2軸を有するクロマトグラムに展開した。図1,2のクロマトグラムに示されるように、本発明の解析方法により、AQC誘導体化各種キラルアミノ酸が検出された。
図3に角質層中キラルアミノ酸の定量値、表1にSRMトランジションを各々示す。Q1(1段目MS)においてプリカーサーイオン、Q3(2段目MS)においてプロダクトイオンを設定した。
実施例2 キラルアミノ酸のLC−MS/MS分析(キラルカラム逆接続)
(1)標準品の調製
実施例1(2)と同様にして、アミノ酸標準溶液を調製した。
(2)LC−MS/MS分析
(1)で調製した標準溶液を、LC−MS/MS分析し、各種キラルアミノ酸の溶出順序解析を行った。すなわち、CHIRALPAK ZWIX(+)(第二のキラルカラム)、とCHIRALPAK QN−AX(第一のキラルカラム)をこの順序で直列接続させた以外は、実施例1(3)と同様にしてLC−MS/MS分析を行った。
(3)データ解析
得られたデータを、保持時間とイオン強度の2軸を有するクロマトグラムに展開した。図4のクロマトグラムに示されるように、本発明の解析方法では、第一のキラルカラムと第二のキラルカラムの接続順序が逆であっても各種キラルアミノ酸は同様に分離された。
比較例1 キラルアミノ酸の分離検出(CHIRALPAK QN−AX及びCHIRALPAK ZWIX(+)の単独使用)
(1)標準品の調製
実施例1(2)と同様にして、アミノ酸標準溶液を調製した。
(2)LC分析
(1)で調製した標準溶液を、下記の条件下で分析し、各種キラルアミノ酸の分離検出を行った。
(装置)
LC/1200シリーズ(Agilent Technologies社)、DAD/1290シリーズ(Agilent Technologies社)
(クロマトグラフィー分離)
分離キラルカラム:CHIRALPAK QN−AX<DAICEL社>4.6 mm内径×150 mm、粒径5μm又はCHIRALPAK ZWIX(+)<DAICEL社>3.0 mm内径×150 mm、粒径3μm(30℃)
溶離液:0.1%(v/v)ギ酸及び25 mMギ酸アンモニウム含有, メタノール:水(98:2, v/v)溶液
溶離法:アイソクラティック
移動相流量:0.4 mL/min
注入量:5 μL
検出:紫外吸収波長260 nm
(3)データ解析
得られたデータを、保持時間とUV吸収強度の2軸を有するクロマトグラムに展開した。 図5のクロマトグラムに示されるように、メタノール系においてChiralpak QN−AXでは分子種分離能が高かったが、キラル分離が困難であった。一方、CHIRALPAK ZWIX(+)ではキラル分離能が高かったが、分子種分離が困難であった。
実施例3 キラルジペプチドのLC−MS/MS解析
(1)標準品の調製
0.2mol/L ホウ酸緩衝液(pH 8.9)、各濃度100μmol/L D,L−ジペプチド標準溶液(DL−Ala−DL−Ala, DL−Ala−Gly, Gly−DL−Ala 0.2mol/L ホウ酸緩衝液に溶解)、AQC溶液を各々70μL、10μL、20μL(7:1:2)の順番で混合し、直ちに撹拌後、55℃で10分間加熱することによりキラルジペプチド標準溶液を調製した。
(2)LC−MS/MS分析
(1)で調製した標準溶液を、実施例1(3)と同様の条件でLC−MS/MS分析し、各種キラルジペプチドの分離検出を行った。
(3)データ解析
得られたデータを、保持時間とイオン強度の2軸を有するクロマトグラムに展開した。図6のクロマトグラムに示されるように、本発明の解析方法により、AQC誘導体化各種キラルアミノ酸解析と同一条件でキラルジペプチドが検出された。
表2にSRMトランジションを示す。
実施例4 キラルトリペプチドのLC−MS/MS解析
(1)標準品の調製
0.2mol/L ホウ酸緩衝液(pH 8.9)、各濃度100μmol/L D,L−トリペプチド標準溶液(DL−Ala−Gly−Gly, DL−Leu−Gly−Gly、0.2mol/L ホウ酸緩衝液に溶解)、AQC溶液を各々70μL、10μL、20μL(7:1:2)の順番で混合し、直ちに撹拌後、55℃で10分間加熱することによりキラルトリペプチド標準溶液を調製した。
(2)LC−MS/MS分析
(1)で調製した標準溶液を、実施例1(3)と同様の条件でLC−MS/MS分析し、各種キラルトリペプチドの分離検出を行った。
(3)データ解析
得られたデータを、保持時間とイオン強度の2軸を有するクロマトグラムに展開した。図7のクロマトグラムに示されるように、本発明の解析方法により、AQC誘導体化各種キラルアミノ酸解析と同一条件でキラルトリペプチドが検出された。
表3にSRMトランジションを示す。

Claims (8)

  1. 液体クロマトグラフィーを用いて、試料中のキラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドのいずれか1以上を分離する方法であって、アミノ基をAQC誘導体化した後、弱アニオン交換型の固定相を有する第一のキラルカラムと、両性イオン交換型の固定相を有する第二のキラルカラムとを直列で接続した液体クロマトグラフィーを用いて分離する方法。
  2. 第一のキラルカラムの弱アニオン交換型の固定相が、基材にキラル識別子として、O−9−(tert−ブチルカルバモイル)キニン又はO−9−(tert−ブチルカルバモイル)キニジンを保持させたものである請求項1記載の方法。
  3. 第二のキラルカラムの両性イオン交換型の固定相が、基材に(S,S)−トランス−2−アミノシクロヘキサンスルホン酸を結合させたキニーネを保持させたもの又は(R,R)−トランス−2−アミノシクロヘキサンスルホン酸を結合させたキニジンを保持させたものである請求項1又は2記載の方法。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の方法に続き、質量分析によってキラルアミノ酸、キラルジペプチド及びキラルトリペプチドのいずれか1以上を同定及び定量する工程を含む、キラルアミノ酸、キラルジペプチド又はキラルトリペプチドの分離定量方法。
  5. 質量分析がMS/MSにより行われる、請求項記載の方法。
  6. キラルカラムの基材がシカゲルである請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  7. 液体クロマトグラフィーの分離モードがアイソクラティックモードである請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  8. アイソクラティックモードがアルコール系有機溶剤の移動相を用いる請求項記載の方法。
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