JP6763746B2 - 熱変色性筆記具インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 - Google Patents

熱変色性筆記具インキ組成物及びそれを内蔵した筆記具 Download PDF

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Description

本発明は熱変色性筆記具インキ組成物に関する。更には、筆跡を摩擦熱により変色させる熱変色性筆記具インキ組成物とそれを内蔵した筆記具に関する。
従来、加温により変色する着色剤を用いることで、筆跡が擦過による摩擦熱で色相変化や消色等の変色を生じる筆記具が広く普及しており、技術的には、低温状態で復色することが可能な可逆タイプや、極低温状態であっても復色しない不可逆タイプの熱変色性インキが提案されている。更に、前記熱変色性インキを構成する着色成分としては、ロイコ染料や顕色剤等をインキ組成物中に直接配合するものと、顕色剤等の変色成分とともにマイクロカプセルに内包させたものとがある(例えば、特許文献1、2参照)。
前記ロイコ染料等の着色成分をインキ組成物中に直接配合するものは、経時による安定性に欠ける点から実用性に乏しいため、筆記具用インキにおいてはマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料が広く用いられている。
しかしながら、前記マイクロカプセル顔料は汎用の顔料と比べて嵩高く比重が大きいため、インキ中での分散安定性に乏しく、経時によって沈降してハードケーキ化してしまう。そこで、筆記具インキとする場合には、マイクロカプセル顔料の分散性を確保するべく、筆記具の構造に応じてインキ粘度を高くするか、金属球等の撹拌部材を併用する等の調整が必要であった(例えば、特許文献3、4参照)。
特に、インキ粘度を高くする場合には、剪断減粘性インキとしてインキ収容筒を用いたボールペン形態に限定されてしまうため、レフィル形態以外の筆記具で使用することができず、インキ粘度を低くした際には、撹拌部材を要するため、特別な構造となるとともに、ユーザーが使用時に毎回撹拌しなければならず、利便性を損なうものとなる。
特開2010−229332号公報 特開2012−219160号公報 特開2011−122010号公報 特開2001−342415号公報
本発明は、筆跡を摩擦体等で熱変色させる筆記具インキにおいて、着色剤として熱変色性のマイクロカプセル顔料を用いた場合であっても、剪断減粘性を付与してインキ粘度を高く設定する必要や、撹拌部材を用いて筆記する度に撹拌分散する必要がなく、低粘度であっても撹拌部材を用いることなくマイクロカプセル顔料の分散状態を維持できる熱変色性筆記具インキ組成物を提供するものであり、該インキによって特別な構造を設計する必要がなく、従来汎用の構造からなる筆記具を提供するものである。
本発明は、熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料と、水と、陽イオンが一価である無機塩とを含んでなり、前記マイクロカプセル顔料Aと前記無機塩BとがA/Bにおいて2〜7の範囲であるとともに、回転粘度計による20rpm時の粘度が1〜20mPa・s(20℃)の範囲にある熱変色性筆記具インキ組成物を要件とする。
更に、前記マイクロカプセル顔料の比重が1.050〜1.200の範囲にあること、比重が1.040〜1.210の範囲にあること、前記熱変色性組成物が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物であること、前記無機塩がインキ組成物全量中、3.0〜10.0質量%の範囲で配合されること、沸点130℃以上の親水性有機溶剤が、前記無機塩の配合量よりも多く配合されることを要件とする。
更には、前記いずれかに記載の熱変色性筆記具インキ組成物を内蔵した筆記具を要件とし、前記筆記具による筆跡を摩擦熱で変色する摩擦部材を備えてなることを要件とする。
本発明により、着色剤として熱変色性マイクロカプセル顔料を用いた場合であっても、剪断減粘性の付与等、非筆記時のインキ粘度を高く設定する必要や、撹拌部材を用いて筆記する度に撹拌分散する必要がなく、低粘度であっても常に分散状態を維持できる熱変色性筆記具インキ組成物を提供できるため、優れた筆記性能を長期に亘って維持できる。また、インキの種類に応じて特別な構造を設計する必要がなくなるため、従来汎用構造の様々な筆記具本体を用いた筆記具が提供できるので、製造時の汎用性が高く、使用時の利便性に優れたものとなる。
前記熱変色性筆記具インキ組成物は、熱変色性マイクロカプセル顔料と、水と、陽イオンが一価の無機塩とから少なくとも構成されており、前記マイクロカプセル顔料(A)と無機塩(B)とが、A/Bにおいて2〜7の範囲で用いられる低粘度のインキである。
前記マイクロカプセル顔料は、熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたものであれば、可逆、不可逆を問わず汎用のものが適用でき、筆跡の加温や冷却によって、筆跡の色相を変化させることや、消色、着色させることができる。前記筆跡の変化は、熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させることで、組成変化を生じることなく長期間安定して発現できるものとなる。
特に、前記マイクロカプセル顔料に内包される熱変色性組成物としては、繰り返しの使用性、温度変化の正確性等の点から、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体からなる可逆熱変色性組成物が好適である。
具体的に、前記可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を適用できる。
また、特開2006−137886号公報、特開2006−188660号公報、特開2008−45062号公報、特開2008−280523号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性を示す、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包させたマイクロカプセル顔料を用いることもできる。
前記完全消色温度tは、摩擦部材と被筆記面との擦過によって生じる摩擦熱より消色する温度、即ち、50℃〜90℃、好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜80℃の範囲にあり、前記完全発色温度tは冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち0℃以下、好ましくは−50〜−5℃、より好ましくは−50〜−10℃の範囲にあることが好適である。
以下に前記(イ)、(ロ)、(ハ)の各成分について化合物を例示する。
本発明の(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、ジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等を挙げることができ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,6−ジフェニルアミノフルオラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン、2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、
2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−g)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3−オン、3−(2−メトキシ−4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3´,6´−ビス〔フェニル(2−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、3´,6´−ビス〔フェニル(3−メチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン、3´,6´−ビス〔フェニル(3−エチルフェニル)アミノ〕−スピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9´−〔9H〕キサンテン]−3−オン等を挙げることができる。
更には、蛍光性の黄色乃至赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
(ロ)成分の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群〕、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等を挙げることができる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等がある。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
前記(ハ)成分としては下記一般式(1)で示される化合物を用いることができる。
Figure 0006763746
〔式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、mは0〜2の整数を示し、X、Xのいずれか一方は−(CHOCOR又は−(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0〜2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、Y及びYは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、又は、ハロゲンを示し、r及びpは1〜3の整数を示す。〕
前記式(1)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好適であり、更にRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好適である。
尚、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記一般式(2)で示される化合物が用いられる。
Figure 0006763746
式中のRは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示すが、好ましくは炭素数10〜24のアルキル基、更に好ましくは炭素数12〜22のアルキル基である。
前記化合物として具体的には、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として、下記一般式(3)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 0006763746
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基又はアルケニル基を示し、m及びnはそれぞれ1〜3の整数を示し、X及びYはそれぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ハロゲンを示す。)
前記化合物として具体的には、オクタン酸1,1−ジフェニルメチル、ノナン酸1,1−ジフェニルメチル、デカン酸1,1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1−ジフェニルメチルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(4)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 0006763746
(式中、Xは水素原子、炭素数1乃至4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1乃至3の整数を示し、nは1乃至20の整数を示す。)
前記化合物としては、マロン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(3−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(4−クロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2−〔4−(2,4−ジクロロベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10−デカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18−オクタデカンジカルボン酸と2−(4−ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18−オクタデカンジカルボン酸と2−〔4−(2−メチルベンジルオキシ)フェニル)〕エタノールとのジエステルを例示できる。
更に、前記(ハ)成分として下記一般式(5)で示される化合物を用いることもできる。
Figure 0006763746
(式中、Rは炭素数1乃至21のアルキル基又はアルケニル基を示し、nは1乃至3の整数を示す。)
前記化合物としては、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステルを例示できる。
前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分の配合割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の変色特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜50、好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200の範囲である(前記割合はいずれも質量部である)。
前記熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセル顔料の表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与したり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料は、平均粒子径が0.01〜5.0μm、好ましくは0.1〜4.0μm、より好ましくは0.5〜3.0μmの範囲のものが実用性を満たす。
平均粒子径が5.0μmを越えると、ボールペンに収容して実用に供する際、ボールとボール抱持部の空隙をマイクロカプセル顔料が塞いで目詰まりを生じ、インキ吐出性を損ない易くなる。一方、0.01μm未満の系では、高濃度の発色性を示し難い。
尚、粒子径の測定はレーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置〔(株)堀場製作所製;LA−300〕を用いて測定し、その数値を基に平均粒子径(メジアン径)を算出する。
前記マイクロカプセル顔料は一種又は二種以上を適宜混合して使用することができ、固形分として、インキ組成中7乃至33質量%、好ましくは10乃至30質量%、より好ましくは13乃至26質量%の範囲で用いられる。
前記マイクロカプセル顔料の比重としては1.050〜1.200の範囲のものが好適である。前記範囲においては、本発明のインキ構成において、沈降や凝集が特に生じ難い形態として分散状態を維持できる。
特に、本発明の構成においては、マイクロカプセル顔料の浮遊や沈降を生じ易い、ビヒクル成分(インキ成分からマイクロカプセル顔料を除いた組成物)との比重差を極めて小さくできるため、高い分散安定性を長期間維持できる。
前記マイクロカプセル顔料の比重は、内包する可逆熱変色性組成物の各成分の分子量やカプセル壁膜の膜厚や材質等に応じて変化するものであり、特に、前述の(ハ)成分や、(イ)成分の種類によって大きく変化する。
更に、筆跡に熱変色を伴わない所望の色相を付与するために、水性媒体に溶解もしくは分散可能な着色剤(染料及び一般顔料)を使用することが可能である。例えば、染料としては、酸性染料、塩基性染料、直接染料等を使用することができ、一般顔料としては、カーボンブラック、群青などの無機顔料や銅フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー等の有機顔料の他、予め界面活性剤等を用いて微細に安定的に水媒体中に分散された水分散顔料製品等が用いられる。更に、金属粉やパール顔料等の金属光沢顔料、蛍光顔料、蓄光性顔料、二酸化チタン等の白色顔料も適用できる。尚、これらはマイクロカプセル顔料中に内包させることもできる。
無機塩は、インキ全体の比重を高めるために添加されるものであり、インキ中の他成分との反応性が低い陽イオンが一価のものが適用される。
具体的には、リチウム、カリウム、ナトリウムの塩が適用され、これらの硝酸塩、硫酸塩、塩化物がマイクロカプセル顔料との相性がよく、より高い分散安定性を付与できることから特に好適である。中でも、溶解性、安全性、価格の面で優れる塩化ナトリウムが最も有効である。
前記無機塩はインキ組成物全量中、3.0〜10.0質量%、好ましくは4.0〜7.0質量%の範囲で用いられる。添加量が3.0質量%未満では所望の性能を発現し難く、また、10質量%を超えて配合しても更なる効果は得られないので、これ以上の添加を要しない。
前記無機塩は、マイクロカプセル顔料Aと無機塩Bとの割合がA/Bにおいて2〜7、より好ましくは3〜5の範囲で使用することが好適である。
前記範囲で使用することで、マイクロカプセル顔料の分散性が得られるとともに、極めて良好な筆記性能を発現できるインキとなる。
更に、インキ中の水分蒸発に伴って前記無機塩が析出することを抑制する目的で、沸点130℃以上の親水性有機溶剤を添加することが好ましく、特に、前記無機塩の配合量よりも多く配合することでより高い効果が得られる。
沸点130℃以上の親水性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール(197℃)、ジエチレングリコール(244℃)、プロピレングリコール(187℃)、ジプロピレングリコール(232℃)、1,3−プロパンジオール(213℃)、1,2−ブチレングリコール(190℃)、1,3−ブチレングリコール(207℃)、1,4−ブチレングリコール(235℃)、1,5−ペンタンジオール(238℃)、エチレングリコールモノエチルエーテル(136℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(202℃)、ジエチレングリコールジエチルエーテル(187℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(216℃)、2−ピロリドン(245℃)、N−メチル−2−ピロリドン(202℃)、トリエチレングリコール(287℃)、テトラエチレングリコール(327℃)、グリセリン(290℃)、モノエタノールアミン(171℃)、ジエタノールアミン(269℃)、トリエタノールアミン(360℃)等が挙げられる。
更に、前記高沸点溶剤とともに、汎用の水溶性有機溶剤を用いることもでき、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
尚、前記水溶性有機溶剤は一種又は二種以上を併用することもでき、インキ組成物中2〜60質量%、好ましくは5〜35質量%の範囲で用いられる。
その他、必要に応じて、有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系界面活性剤を使用してもよい。
更に、潤滑剤を添加することができ、金属石鹸、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、エチレンオキサイド付加型カチオン活性剤、リン酸エステル系活性剤、N−アシルアミノ酸系界面活性剤、ジカルボン酸型界面活性剤、β−アラニン型界面活性剤、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールやその塩やオリゴマー、3−アミノ−5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール、チオカルバミン酸塩、ジメチルジチオカルバミン酸塩、α−リポ酸、N−アシル−L−グルタミン酸とL−リジンとの縮合物やその塩等が用いられる。
更に、キサンタンガム、ウェランガム、サクシノグリカン、グアーガム等の剪断減粘性付与剤を添加することもできる。
また、N−ビニル−2−ピロリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピペリドンのオリゴマー、N−ビニル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、ε−カプロラクタム、N−ビニル−ε−カプロラクタムのオリゴマー等の増粘抑制剤を添加することで、出没式形態での機能を高めることもできる。
また、耐乾燥性を妨げない範疇でアルキッド樹脂、アクリル樹脂、スチレンマレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の水溶性樹脂を一種又は二種以上添加したり、尿素、ノニオン系界面活性剤、ソルビット、マンニット、ショ糖、ぶどう糖、還元デンプン加水分解物、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤を一種又は二種以上添加することもできる。
前記構成からなる水性インキ組成物は、EL型回転粘度計による20rpm時の粘度が1〜20mPa・s(20℃)の範囲に設定される。
前記低粘度とすることで、種々の筆記具本体に収容することが可能となり、収容状態であってもインキ中でマイクロカプセル顔料の分散状態を維持できるため、良好な筆跡形成が可能となる。
更に、前記水性インキ組成物は、比重が1.040〜1.210の範囲になるように調整される。
前記範囲とすることで、前述のマイクロカプセル顔料の比重と近似させることができるため、インキ中での浮遊や沈降を生じることなく高い分散安定性を長期間維持できる。
本発明の熱変色性筆記具インキ組成物は、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ、ボールペンチップを筆記先端部に装着したマーキングペンやボールペンに充填される。尚、前記マーキングペンやボールペンは、ペン先を覆うキャップを備えたキャップ式の他、ノック式、回転式、スライド式等の出没機構を有し、軸筒内にペン先を収容可能な出没式であってもよい。
マーキングペンに充填する場合、マーキングペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ等のマーキングペン用ペン先(砲弾型、チゼル型、筆ペン型等)を筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させて筆記先端部に所定量のインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容して、弁機構により筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペンが挙げられる。
また、ペン先を1本備えるものの他、太さや形状の異なるペン先を軸筒の両端に備えた両頭式形態であってもよい。尚、前記両頭式形態においては、一端をボールペンとしたものであってもよい。
ボールペンに充填する場合、ボールペン自体の構造、形状は特に限定されるものではなく、例えば、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させる構造、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面には逆流防止用の液栓が密接している構造のボールペン等が挙げられる。尚、前記液栓とともに固体栓を併用することもできる。
前記ボールペンチップについて更に詳しく説明すると、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。
また、前記ボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等が適用できる。
前記熱変色性インキを収容するインキ収容管は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が、インキの低蒸発性、生産性の面で好適に用いられる。また、前記インキ収容管として透明、着色透明、或いは半透明の成形体を用いることにより、インキ色やインキ残量等を確認できる。
前記インキ収容管にはチップを直接連結する他、接続部材を介して前記インキ収容管とチップを連結してもよい。
尚、前記インキ収容管はレフィルの形態として、前記レフィルを軸筒内に収容するものでもよいし、先端部にチップを装着した軸筒自体をインキ収容体として、前記軸筒内に直接インキを充填してもよい。
前記インキ収容管に収容したインキ組成物の後端には、インキ逆流防止体が充填される。
前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、シリコーン油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム等を添加することもできる。
また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられる。
尚、前記液状及び固体のインキ逆流防止体は併用することもできる。
更に、前記筆記具とともに、摩擦熱によって筆跡を消色又は変色させるための摩擦部材を用いることができる。
前記摩擦部材としては、弾性感に富み、摩擦時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適である。尚、消しゴムを使用して筆跡を摩擦することもできるが、摩擦時に消しカスが発生するため、前述の摩擦部材が好適に用いられる。
前記摩擦部材の材質としては、シリコーン樹脂やSEBS樹脂(スチレンエチレンブタジエンスチレンブロック共重合体)、SBS樹脂(スチレンブチレンスチレン共重合体)、ポリエステル系樹脂等が用いられる。
前記摩擦部材は筆記具と別体の任意形状の部材(摩擦体)とを組み合わせて筆記具セットを得ることもできるが、筆記具外装に摩擦部材を固着させることにより、携帯性に優れた形態となる。
キャップ式筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、キャップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、キャップ先端部(頂部)或いは軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)に摩擦部材を設けることができる。
出没式筆記具の場合、摩擦部材を設ける箇所は特に限定されるものではないが、例えば、軸筒自体を摩擦部材により形成したり、クリップを設ける場合はクリップ自体を摩擦部材により形成したり、軸筒開口部近傍、軸筒後端部(筆記先端部を設けていない部分)或いはノック部に摩擦部材を設けることができる。
以下に実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
表1に実施例及び比較例の筆記具用水性インキの組成を示す。尚、表中の組成の数値は質量部を示す。また、各インキの粘度は20℃でEL型回転粘度計〔東機産業(株)製〕を用いて20rpmで測定し、比重は20℃で浮標型比重計にて測定した。更に、マイクロカプセル顔料の比重は、比重調整したグリセリン水溶液中での挙動を観察することですることで判定した。
Figure 0006763746
表中の原料の内容について注番号に沿って説明する。
(1)(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−20℃、T:−9℃、T:40℃、T:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、比重:1.085、黒色から無色に色変化する)
(2)(イ)成分として3−(4−ジエチルアミノ−2−ヘキシルオキシフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド2.0部、(ロ)成分として2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン8.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−14℃、T:−6℃、T:48℃、T:60℃、ΔH:64℃、平均粒子径:2.3μm、比重:1.100、青色から無色に色変化する)
(3)(イ)成分として4−[2,6−ビス(2−エトキシフェニル)−4−ピリジニル]−N,N−ジメチルベンゼンアミン2.0部、(ロ)成分として、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−ヘキサフルオロプロパン6.0部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(予め−20℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を黄色に発色させたもの)。平均粒子径:2.5μm、完全消色温度:61℃、完全発色温度:−20℃、比重:1.105、温度変化により黄色から無色に変色する。
(4)C.I.アシッドレッド87
(5)C.I.ダイレクトブルー87
(6)リン酸エステル系界面活性剤、第一工業製薬(株)製、商品名:プライサーフAL
(7)ダイセルファインケム(株)製、商品名:HECダイセルSP200
筆記具用インキの調製
前記実施例及び比較例の配合量で各原料を混合し、20℃で30分間撹拌溶解した後、濾過することにより筆記具用インキ組成物を得た。
ボールペンの作製
軸筒内部に前記インキ組成物を直接収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材を介在させてなる、直径0.5mmの超硬合金製ボールを抱持するステンレススチール製切削チップを組み付けた後、先端にSEBS樹脂製の摩擦を備えてなるキャップを装着することで試料ボールペンを作製した。
マーキングペンの作製
ポリエステルスライバーを合成樹脂フィルムで被覆したインキ吸蔵体内に前記インキ組成物を含浸させ、ポリプロピレン樹脂からなる軸筒(後端にSEBS樹脂製の摩擦体を備える)内に収容し、ホルダーを介して軸筒先端部にポリエステル繊維の樹脂加工チップ(砲弾型)を接続状態に組み立てた後、キャップを装着することで試料マーキングペンを作製した。
インキ安定性試験
各インキ組成物を20mLのガラス瓶に入れて密栓した後、20℃の環境下に60日間放置した。その後、室温にてガラス瓶内のインキの状態を目視により確認した。
筆記試験
各試料ボールペン及び試料マーキングペンを、作製直後(初期)と、20℃の環境下に60日間放置した後に、室温にてJIS P3201筆記用紙Aに手書きで1行に12個の螺旋状の丸を3行連続筆記した。その際の筆跡状態を目視により確認した。
前記試験の結果を以下の表に示す。
Figure 0006763746
尚、試験結果の評価は以下の通りである。
インキ安定性試験
○:マイクロカプセル顔料の浮揚や沈降は見られず、初期と同様の状態である。
×:マイクロカプセル顔料の浮揚や沈降に伴う相分離が見られる。
筆記試験
○:良好な筆跡を示す。
△:筆跡に若干の線飛びが発生する。
×:筆跡にカスレや線割れが見られる、又は筆記不能である。

Claims (8)

  1. 熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包させたマイクロカプセル顔料と、水と、陽イオンが一価である無機塩とを含んでなり、前記マイクロカプセル顔料Aと前記無機塩BとがA/Bにおいて2〜7の範囲であるとともに、回転粘度計による20rpm時の粘度が1〜20mPa・s(20℃)の範囲にある熱変色性筆記具インキ組成物。
  2. 前記マイクロカプセル顔料の比重が1.050〜1.200の範囲にある請求項1記載の熱変色性筆記具インキ組成物。
  3. 比重が1.040〜1.210の範囲にある請求項2記載の熱変色性筆記具インキ組成物。
  4. 前記熱変色性組成物が、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱変色性筆記具インキ組成物。
  5. 前記無機塩がインキ組成物全量中、3.0〜10.0質量%の範囲で配合される請求項1乃至4のいずれかに記載の熱変色性筆記具インキ組成物。
  6. 沸点130℃以上の親水性有機溶剤が、前記無機塩の配合量よりも多く配合される請求項1乃至5のいずれかに記載の熱変色性筆記具インキ組成物。
  7. 前記請求項1乃至6のいずれかに記載の熱変色性筆記具インキ組成物を内蔵した筆記具。
  8. 前記筆記具による筆跡を摩擦熱で変色する摩擦部材を備えてなる請求項7記載の筆記具。
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