JP6762568B2 - 閉塞鍛造装置 - Google Patents
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Description
下ダイ14には軸線が鉛直方向のノックアウトピン孔14bが形成され、ノックアウトピン18が摺動するようにしてある。下ダイ14はボルスタ19に固定されている。なお、ノックアウトピン18は、鍛造加工後の製品の払い出し時に使用され、ボルスタ19の下方に設けた昇降機構(不図示)により上下動される。
スライド20は、ベースプレート22と、スライド本体24と、上ダイホルダ26とからなる。
スライド本体24は、ベースプレート22の下面に固定され、パンチピン16を固定して保持するとともに、パンチピン16の外周を囲むように内側側壁が形成され、その外側に環状シリンダ室(環状シリンダ)30が設けてある。環状シリンダ室30内には環状ピストン32が上下に摺動可能に挿入してあり、これにより環状シリンダ室30内は上部空間(上部シリンダ室)34と下部空間(下部シリンダ室)36に仕切られる。
この状態からプレス機構28でさらにスライド20を下降すると、下ダイ14に当接した上ダイ12はそれ以上下降できないので、上ダイ12が上ダイホルダ26に対して相対的に上方へ摺動するとともに、パンチピン16の軸線方向に沿ってパンチピン16が上ダイ12に対して下方に摺動するようになり、図3の右側の状態となる。これにより閉塞空間(成形空間)内の素材を押圧して鍛造することになる。
このとき、スライド20の下降に伴い、上ダイ12、押圧リング42、ピストンロッド40を介して環状ピストン32を上向きに押圧する力が働く。この押圧力により上部空間34内の作動油Wが圧縮され、アキュームレータ44側に一部が流出するとともに油圧が増大するようになり、増大した油圧による抗力が上ダイ12に加わって型割面12a、14a間を強く締め付ける型締め力が働くことで、型割れが発生することなく閉塞鍛造が行われる。
そのため、熱間閉塞鍛造が行われると潤滑水の水分が蒸発し、黒鉛の粉末が上ダイ、下ダイ周辺に拡散して周囲に付着するようになる。
また、熱間閉塞鍛造を行う素材が高温に加熱されることで、素材表面に金属酸化物のスケールが発生する。このスケールが剥がれて微粉末となることによって拡散し、周囲に付着するようになる。
これにより、シリンダ室内へのコンタミの侵入をなくすことができ、コンタミが環状ピストンの摺動面に噛み込んで作動油が下部空間に漏れ出すことを防ぐことができ、作動油の漏れによる不具合をなくすことができる。
具体的には、環状シリンダ室の下部壁(底壁)からパージガスが供給されるパージガス供給流路を設けるようにすれば、環状ピストンが下限位置で下部壁に接するまで近づくようにしてもよい。また、環状ピストンが下限位置にある状態で環状ピストンと下部壁との間にデッドスペース(下部空間の一部になる)を有していれば、このデッドスペースに面する環状シリンダ室の下部側壁部分にパージガスが供給されるパージガス供給流路を設けてもよい。
パージガス排出流路を設けていない場合は、環状ピストンが上昇位置から下降するときにパージガス供給流路からパージガスが排出されるとともに、環状シリンダ室の下部壁に設けた貫通孔とピストンロッドの間隙からパージガスを排出することになるが、パージガス排出流路を設けることにより、環状ピストンが上昇位置から下降するときにパージガスをパージガス排出流路から排出することができる。特に、環状シリンダ室の下部壁から下方に向けてパージガス排出流路を設けることで、環状シリンダ室の下部空間に異物が堆積した場合でも、パージガス排出流路から異物を排出することや、エアをパージして清掃することができる。
これにより、下部空間にパージガスが供給されて負圧状態にならないように維持されるとともに、貫通孔とピストンロッドとの間隙から常にパージガスを流し続けることができ、下部空間へのコンタミの侵入を確実に防ぐことができる。
これにより、環状ピストンが下限位置で環状シリンダ室の下部壁(底壁)に接する場合でも、下部空間にパージガスが供給されて負圧状態にならないように維持されるとともに、貫通孔とピストンロッドとの間隙から常にパージガスを流し続けることができ、下部空間へのコンタミの侵入を確実に防ぐことができる。
これにより、環状ピストンの下限位置が環状シリンダ室の下部壁(底壁)に接する位置であっても下部空間にパージガスを供給することができるようになる。しかも、パージガス供給流路から環状シリンダ室へガスを導入する開口の位置を環状シリンダ室の下部壁から側壁の任意の位置に設けることができるようになり、パージガス供給流路の開口の大きさや本数等の設計の自由度を増すことができる。
なお、連通部の形状は特に限定されない。例えば環状ピストンの外周側面の下部から下面(底面)にかけてテーパー状に切り欠いて連通部を形成してもよいし、環状ピストンの下端部分の径を小径にして段差状にした凹部を形成し、これを連通部としてもよい。また、環状シリンダ室の側壁下端部分の径を拡径して連通部としてもよい。また、環状シリンダ室の下部壁にデッドスペースとなる空間(溝)を形成し、これに流路接続するように連通部(例えば環状ピストン下端部分の径を小径にした連通部)を設けてもよい。
図1は本発明の一実施形態である閉塞鍛造装置の構造を示す半断面図である。図1において、左側の半断面は型割面が当接して素材を加圧する直前時点の断面図であり、右側の半断面は鍛造中の断面図である。なお、図3と同じ構成部分については、同符号を付すことにより説明の一部を省略する。
スライド本体24Aは、ベースプレート22の下面に固定され、パンチピン16を固定して保持するとともに、パンチピン16の外周を囲むように内側側壁が形成され、その外側に環状シリンダ室(環状シリンダ)30Aが設けてある。環状シリンダ室30A内には環状ピストン32Aが上下に摺動可能に挿入してあり、これにより環状シリンダ室30A内は上部空間(上部シリンダ室)34と下部空間(下部シリンダ室)36に仕切られる。
環状ピストン32Aには、その下面から側面にかけてテーパー状に切り欠いた連通部56が形成してあり、環状ピストン32Aが下限位置にあるときでもパージガスが下部空間36に供給できるようにしてある。
さらに、下部壁38Aの下部空間36側の壁面(下部空間36の内面)には、パージガス排出流路58及び貫通孔38aに連絡する空間60(凹部空間となる溝)が形成してある。これにより、環状ピストン32Aが下限位置となって下部壁38Aに接しても連通部56を介して下部空間36の一部である空間60にパージガスが供給され、下部空間36に負圧状態が生じることがなくなる。そして貫通孔38aにパージガスを流すことができる。なお、パージガス供給流路52とパージガス排出流路58は各1本ずつ設けていればよいが、複数本としてもよい。また、空間60は溝形状以外であってもよく、例えばパージガス排出流路58に向かって傾斜する傾斜面等としてもよい。
まず、プレス機構28で上ダイ12を上昇させて型割り状態とし、高温(例えば1200℃)に加熱した素材を下ダイ14の成形空間にセットする。
続いてプレス機構28でスライド20Aを下降していくと、やがて上ダイ12の型割面12aと下ダイ14の型割面14aとが当接し、図1の左側の状態となる。
図2は本発明の他の一実施形態である閉塞鍛造装置70の構造を示す半断面図である。図2において、左側の半断面は型割面が当接して素材を加圧する直前時点の断面図であり、右側の半断面は鍛造中の断面図である。なお、図1と同じ構成部分については、同符号を付すことにより説明の一部を省略する。
この閉塞鍛造装置70では、パージガス供給流路52に分岐流路62を形成し、逃がし弁64を設けることで、パージガス供給流路52がパージガス排出流路を兼用するようにしてある。これにより、スライド20Aにパージガス供給流路52を形成するだけでもパージガスを供給、排出することができるようになる。
12 上ダイ
14 下ダイ
16 パンチピン
18 ノックアウトピン
20A スライド
22 ベースプレート
24A スライド本体
26A 上ダイホルダ
28 プレス機構
30A 環状シリンダ室
32A 環状ピストン
34 上部空間(上部シリンダ室)
36 下部空間(下部シリンダ室)
38A 下部壁(底壁)
40 ピストンロッド
42 押圧リング
44 アキュームレータ(蓄圧装置)
50 外側側壁
52 パージガス供給流路
54 エア源(ガス源)
56 連通部
58 パージガス排出流路
60 空間(凹部空間)
62 分岐流路
64 逃がし弁
Claims (5)
- 上下に配設されてそれぞれの型割面を互いに当接することが可能な上ダイ及び下ダイと、
前記上ダイに形成されたパンチピン孔を摺動するパンチピンと、
前記パンチピンを固定保持するとともに前記上ダイを前記パンチピンの軸線方向に沿って前記パンチピンに対して上下動可能に保持するスライドと、
前記パンチピンの外周を囲むように前記スライド内に形成される環状シリンダ室と、
前記環状シリンダ室内で上下動する環状ピストンと、
前記環状ピストンの下面に当接され前記環状シリンダ室の下部壁に設けた貫通孔を摺動して前記上ダイを押圧可能に取り付けられるピストンロッドと、
前記環状シリンダ室の前記環状ピストンより上側の上部空間を満たして前記環状ピストンを下方に加圧する作動油とを備え、
前記上ダイと前記下ダイとが当接して閉塞空間が形成された状態で前記閉塞空間に入れられた素材を前記パンチピンで押圧することにより前記閉塞空間内で押し出し成形を行う閉塞鍛造装置であって、
前記環状シリンダ室の前記環状ピストンより下側の下部空間に向けてパージガスを供給可能なパージガス供給流路を設けたことを特徴とする閉塞鍛造装置。 - 前記環状シリンダ室の下部壁に、前記パージガスを排出するパージガス排出流路を設けた請求項1に記載の閉塞鍛造装置。
- 前記下部空間は、前記環状ピストンが下限位置の状態で、前記下部壁に設けた貫通孔と前記パージガス供給流路とが連通するように形成されるとともに、前記パージガス供給流路からパージガスが常時供給される請求項1または請求項2に記載の閉塞鍛造装置。
- 前記下部空間には、前記下部壁の壁面に形成される凹部空間が含まれ、前記環状ピストンが下限位置で前記下部壁に当接するとともに当該凹部空間を介して前記パージガス供給流路と前記貫通孔とが連通する請求項3に記載の閉塞鍛造装置。
- 前記パージガス供給流路と前記下部空間とを連通する連通部を前記環状ピストンまたは前記環状シリンダ室の壁面に設けた請求項1〜請求項4のいずれかに記載の閉塞鍛造装置。
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