JP6762219B2 - 内燃機関制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関制御装置に関し、特に、発電機等の汎用機や自動二輪車等の車両に適用される内燃機関制御装置に関する。
近年、内燃機関の運転中の理想的な空燃比を実現するため、内燃機関の排気通路に設けた酸素濃度センサ(Oセンサ)のセンサ出力に基づいて内燃機関の空燃比制御が実行されている。
このような状況下で、特許文献1は、多気筒エンジンの空燃比制御装置に関し、内燃機関の温度を検出する温度センサ等の各種センサを備えた構成により内燃機関の空燃比制御を実行することを開示している。
特開2008−064049号公報
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1記載の構成では、内燃機関の温度を検出する温度センサ等の各種センサが設けられているために、燃料噴射システムの構成が煩雑になる。
ここで、本発明者の検討によれば、例えば燃料噴射システムにおける温度センサは、内燃機関の暖機状態の検出のために用いられることが一般的である。このため、燃料噴射システムを採用する場合には、内燃機関に温度センサを装着する必要がある。更に、内燃機関に温度センサを設置する際には、配線用のワイヤやカプラを設置する必要がある上に、温度センサを設置する内燃機関の部位を加工する必要がある。この結果、販売価格における燃料噴射システムのコストの割合はキャブレタシステムと比較して高くなる傾向にある。
つまり、特に発電機等の汎用機や小型自動二輪車等の車両において燃料噴射システムを制御する内燃機関制御装置においては、コストダウンを目的として燃料噴射システムから温度センサを省略することが求められている現状にある。
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、内燃機関の温度を検出する温度センサを省略した簡便な構成で、内燃機関の空燃比制御を適切に開始可能な内燃機関制御装置を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するべく、本発明は、車両に搭載された内燃機関の排気通路に設けた酸素濃度センサのセンサ出力に基づいて前記内燃機関の空燃比制御を実行することにより前記内燃機関の運転状態を制御する制御部を備えると共に、前記制御部は、更に、前記内燃機関の燃料噴射に関連する機能部品から算出した温度から前記内燃機関の温度を算出する内燃機関制御装置において、前記制御部は、前記内燃機関が始動したか否かを判定する始動判定部と、前記始動判定部が前記内燃機関を始動したことを判定した場合に、前記内燃機関の燃料噴射時間を積算する燃料噴射時間積算部と、を備え、前記内燃機関の前記温度が所定温度以上であるという温度条件及び前記燃料噴射時間積算部により前記内燃機関の燃料噴射時間が積算された値である燃料噴射時間積算値が所定時間以上であるという積算時間条件の少なくとも1つを満たしたときに、前記空燃比制御を開始するものであり、前記制御部は、前記内燃機関の冷間始動時には、前記燃料噴射時間積算値が前記積算時間条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始し、前記内燃機関の温間始動時又は熱間始動時には、前記内燃機関の前記温度が前記温度条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始することを第1の局面とする。
本発明は、第1の局面に加えて、前記機能部品は、前記内燃機関の上流側に設けられるインジェクタであると共に、前記制御部は、前記インジェクタのコイル抵抗値を用いて前記内燃機関の前記温度を算出することを第2の局面とする。
本発明は、第1又は第2の局面に加えて、前記制御部は、前記内燃機関の前記温度が前記温度条件を満たしていないときには、前記燃料噴射時間積算値が前記積算時間条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始することを第3の局面とする。
本発明は、第1から第のいずれかの局面に加えて、前記制御部は、前記燃料噴射時間積算値から燃料噴射積算量を算出し、前記積算時間条件に代えて前記燃料噴射積算量が所定量以上であるという積算量条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始することを第の局面とする。
本発明は、第1から第のいずれかの局面に加えて、前記制御部は、前記温度条件及び前記積算時間条件の少なくとも1つを満たしたときであって、かつ、前記温度条件及び前記積算時間条件以外の前記空燃比制御に関する所定の条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始することを第の局面とする。
本発明の第1の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部が、内燃機関の燃料噴射に関連する機能部品から算出した温度である内燃機関の温度が所定温度以上であるという温度条件及び燃料噴射時間積算部により内燃機関の燃料噴射時間が積算された値である燃料噴射時間積算値が所定時間以上であるという積算時間条件の少なくとも1つを満たしたときに、空燃比制御を開始するものであるため、内燃機関の温度を検出する温度センサを省略した簡便な構成において、内燃機関の温度の算出時に外乱やばらつき等の原因により、内燃機関の温度が低く算出された場合であっても、空燃比制御の開始が不要に遅れることを回避することができるため、内燃機関の空燃比制御を適切に開始することができる。更に、本発明の第1の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部が、内燃機関の冷間始動時には、燃料噴射時間積算値が積算時間条件を満たしたときに、空燃比制御を開始し、内燃機関の温間始動時又は熱間始動時には、内燃機関の温度が温度条件を満たしたときに、空燃比制御を開始するものであるため、算出された内燃機関の温度が実温度と剥離して実温度よりも低い温度を示す場合であっても、空燃比制御の開始が不要に遅れることを回避することができる。
また、本発明の第2の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、機能部品が、内燃機関の上流側に設けられるインジェクタであると共に、制御部が、インジェクタのコイル抵抗値を用いて内燃機関の温度を算出するものであるため、内燃機関の温度を実用的な精度で推定することができる。
また、本発明の第3の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部が、内燃機関の温度が温度条件を満たしていないときには、燃料噴射時間積算値が積算時間条件を満たしたときに、空燃比制御を開始するものであるため、算出された内燃機関の温度が実温度と剥離して実温度よりも低い温度を示す場合であっても、空燃比制御の開始が不要に遅れることを回避することができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置にように、制御部が、燃料噴射時間積算値から燃料噴射積算量を算出し、積算時間条件に代えて燃料噴射積算量が所定値以上であるという積算量条件を満たしたときに、空燃比制御を開始するものであってもよく、かかる構成でも、第1の局面と同様の効果を奏することができる。
また、本発明の第の局面にかかる内燃機関制御装置によれば、制御部が、温度条件及び積算時間条件の少なくとも1つを満たしたときであって、かつ、温度条件及び積算時間
条件以外の空燃比制御に関する所定の条件を満たしたときに、空燃比制御を開始するものであるため、内燃機関にとって空燃比制御が必要なタイミングをより正確に判断してより適切に空燃比制御を実行することができる。
図1(a)は、本発明の実施形態における内燃機関制御装置の構成を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)中のインジェクタの構成を示す模式図である。 図2は、本実施形態における内燃機関制御装置の燃料消費量算出処理の流れを示すフローチャートである。 図3は、本実施形態における内燃機関制御装置のOF/B実施判断処理の流れを示すフローチャートである。 図4は、本実施形態における変形例の内燃機関制御装置のOF/B実施判断処理の流れを示すフローチャートである。
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における内燃機関制御装置につき、詳細に説明する。
〔内燃機関制御装置の構成〕
まず、図1を参照して、本実施形態における内燃機関制御装置の構成について説明する。本実施形態における内燃機関制御装置は、典型的には、発電機等の汎用機や自動二輪車等の車両といった内燃機関搭載体に好適に搭載されるものであるが、以下、説明の便宜上、かかる内燃機関制御装置は、自動二輪車等の車両に搭載されるものとして説明する。
図1(a)は、本実施形態における内燃機関制御装置の構成を示す模式図であり、図1(b)は、図1(a)中のインジェクタの構成を示す模式図である。
図1(a)及び図1(b)に示すように、本実施形態における内燃機関制御装置1は、いずれも図示を省略する車両に搭載されたガソリンエンジン等の内燃機関であるエンジンの機能部品の温度に基づいてエンジンの運転状態を制御するものであり、電子制御ユニット(Electronic Control Unit:ECU)10を備えている。
ECU10は、車両に搭載されたバッテリBからの電力を利用して動作するものであり、波形整形回路11、サーミスタ素子(温度検出素子)12、A/D変換器13、点火回路14、駆動回路15、抵抗値検出回路16、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)17、ROM(Read−Only Memory)18、RAM(Random Access Memory)19、タイマ20、及び中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)21を備えている。かかるECU10の各構成要素は、ECU10の筐体10a内に収容される。また、典型的には、ECU10及びエンジンは、それらの周囲が外気に触れており、かつ、ECU10は、エンジンの放射熱及びエンジンからの伝熱の影響を受けないようにそれから離間して配置されるものである。
波形整形回路11は、クランク角センサ2から出力されたエンジンのクランクシャフト3の回転角に対応するクランクパルス信号を整形してデジタルパルス信号を生成する。波形整形回路11は、このように生成したデジタルパルス信号をCPU21に出力する。
サーミスタ素子12は、ECU10の筐体10a内において、典型的には点火回路14である発熱素子から離間してECU10の雰囲気側の位置(例えば、筐体10aへの距離が数ミリメータ程度である筐体10aに近接した位置)に配置されたチップサーミスタであり、ECU10の筐体10a外の周囲の大気温度である雰囲気温度(外気温)を検出する。具体的には、サーミスタ素子12は、その雰囲気温度に対応した電気抵抗値を呈して、その電気抵抗値に応じた電圧を示す電気信号をA/D変換器13に出力する。なお、かかる電気信号を出力可能なものであれば、サーミスタ素子12を熱電対等の他の温度センサに代替してもよい。また、サーミスタ素子12が検出する温度は、エンジンの周囲の大気温度である雰囲気温度(外気温)に等しいものである。なお、サーミスタ素子12はECU10の他の構成要素と同様に図示しない回路基板に配置されるため、別途配線を設けて、これを介してサーミスタ素子12を電気的に接続する必要がない。
A/D変換器13は、スロットル開度センサ4から出力されたエンジンのスロットルバルブの開度を示す電気信号、酸素濃度センサ5から出力されたエンジンに吸気される大気中の酸素濃度を示す電気信号、及びサーミスタ素子12から出力された雰囲気温度を示す電気信号を、アナログ形態からデジタル形態に各々変換する。A/D変換器13は、このようにデジタル形態に変換したこれらの電気信号をCPU21に出力する。
点火回路14は、CPU21からの制御信号に従ってオン/オフ制御されるトランジスタ等のスイッチング素子を備え、このスイッチング素子がオン/オフ動作することによって、図示を省略する点火プラグを介してエンジン内の燃料及び空気の混合気に点火するための2次電圧を発生する点火コイル6の動作を制御する。また、点火回路14は、典型的には半導体素子であるドライバIC(Integrated Circuit)であり、筐体10a内で発熱量が最も大きい構成要素である。
駆動回路15は、CPU21からの制御信号に従ってオン/オフ制御されるトランジスタ等のスイッチング素子を備え、このスイッチング素子がオン/オフ動作することによって、エンジンに燃料を供給するインジェクタ7のコイル7aの通電/非通電状態を切り換える。ここで、インジェクタ7は、エンジンの図示を省略する吸気管やシリンダヘッドに装着され、エンジンから生じる熱が伝熱される。また、特に図1(b)に示すように、インジェクタ7のコイル7aの等価回路7bは、インダクタンス成分Lと電気抵抗成分Rとから成る直列回路で表される。かかるコイル7aは、インジェクタ7のソレノイドバルブ7cを電気的に駆動するための構成部品であり、コイル7aの通電状態においてソレノイドバルブ7cが動作することにより、インジェクタ7から燃料が噴出されるものである。
抵抗値検出回路16は、インジェクタ7のコイル7aの電気抵抗成分に依存して変動する物理量である電気抵抗値(抵抗値)をインジェクタ7の抵抗値として測定し、このように測定した抵抗値を示す電気信号をCPU21に出力する。
EEPROM17は、燃料噴射量学習値やスロットル基準位置学習値といった各種学習値に関するデータ等を記憶する。なお、このような各種学習値に関するデータ等を記憶可能なものであれば、EEPROM17をデータフラッシュ等の他の記憶媒体に代替してもよい。
ROM18は、不揮発性の記憶装置によって構成され、詳細は後述する燃料消費量算出処理用やOF/B(フィードバック)実施判断処理用等の制御プログラム、及び燃料消費量算出処理やOF/B実施判断処理において用いられるデータ(後述する燃料消費量変換値、インジェクタ温度テーブル、及びエンジン温度テーブルデータ等)等の各種制御データを格納している。
RAM19は、揮発性の記憶装置によって構成され、CPU21のワーキングエリアとして機能する。
タイマ20は、CPU21からの制御信号に従って計時処理を実行する。
CPU21は、ECU10全体の動作を制御する。本実施形態では、CPU21は、ROM18内に格納されているエンジン温度算出処理用の制御プログラムを実行することにより、インジェクタ7のコイル7aの抵抗値に対応するインジェクタ温度をエンジンの温度(エンジン温度)として算出し、このように算出したエンジン温度に基づいて点火回路14及び駆動回路15を制御することによって、エンジンの運転状態を制御する。また、この際、CPU21は、ROM18内に格納されている燃料消費量算出処理用やOF/B実施判断処理用等の制御プログラムを実行することにより、始動判定部21a及び燃料噴射時間積算部21bとして機能する。これら各部の機能の詳細については後述するが、始動判定部21aは、波形整形回路11から出力されたデジタルパルス信号に基づいてクランク角センサ2の出力がゼロであるか否かを判別することによって、エンジンが停止しているか否かを判別するものであり、燃料噴射時間積算部21bは、燃料噴射の度毎の駆動回路15によるインジェクタ7のコイル7aの通電時間(燃料噴射時間)を積算することによって、エンジンが始動されてからのインジェクタ7のコイル7aの通電時間の積算値(燃料噴射積算量に相当する噴射時間積算値)等を算出するものである。なお、エンジンの機能部品の温度としては、その測定の簡便性等の観点からインジェクタ温度が好適な例として挙げられるが、エンジンの機能部品としては、エンジン温度に対応した抵抗値が測定することができるものであればその他の機能備品を用いることができ、その機能備品の温度を、エンジンの機能部品の温度として用いてもよい。また、インジェクタ温度が相関を有するエンジン温度を取得する際には、エンジンの点火プラグ座の温度が実際のエンジン内部の温度に近いことを考慮して、エンジンの点火プラグ座の温度を実測し、これをエンジン温度として取得することが簡便である。
このような構成を有する内燃機関制御装置1は、以下に示す燃料消費量算出処理及びOF/B実施判断処理を実行することによって、内燃機関の温度を検出する温度センサを省略した簡便な構成で内燃機関の空燃比制御を開始すると共にその運転状態を制御する。以下、図2及び図3をも参照して、本実施形態における燃料消費量算出処理及びOF/B実施判断処理を実行する際の内燃機関制御装置1の動作について、より具体的に説明する。
〔燃料消費量算出処理〕
まず、図2を参照して、本実施形態における内燃機関制御装置1の燃料消費量算出処理の流れについて説明する。
図2は、本実施形態における内燃機関制御装置1の燃料消費量算出処理の流れを示すフローチャートである。
図2に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられてCPU21が稼働したタイミングで開始となり、燃料消費量算出処理はステップS1の処理に進む。かかる燃料消費量算出処理は、車両のイグニッションスイッチがオン状態でCPU21が稼働している間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
ステップS1の処理では、始動判定部21aが、波形整形回路11から出力されたデジタルパルス信号に基づいてクランク角センサ2の出力がゼロであるか否かを判別することによって、エンジンが停止しているか否かを判別する。判別の結果、クランク角センサ2の出力がゼロ(エンスト中)である場合(ステップS1:Yes)、始動判定部21aは、燃料消費量算出処理をステップS7の処理に進める。一方、クランク角センサ2の出力がゼロでない場合には(ステップS1:No)、始動判定部21aは、エンジンが始動したと判断し、燃料消費量算出処理をステップS2の処理に進める。
ステップS2の処理では、燃料噴射時間積算部21bが、燃料噴射の度毎の駆動回路15によるインジェクタ7のコイル7aの通電時間(燃料噴射時間)を積算することによって、エンジンが始動されてからのインジェクタ7のコイル7aの通電時間の積算値(噴射時間積算値TItotal)を算出する。ここで、具体的には、燃料噴射時間積算部21bは、今回のステップS2の処理が初回の燃料消費量算出処理におけるものであるときには、今回のステップS2の処理で算出された燃料噴射時間の積算値を、今回のステップS2の処理における噴射時間積算値TItotalとして算出し、今回のステップS2の処理が2回目以降の燃料消費量算出処理におけるものであるときには、今回のステップS2の処理で算出された燃料噴射時間の積算値に、EEPROM17内に記憶されている前回のステップS2の処理で算出された噴射時間積算値TItotalを加算することによって、今回のステップS2の処理における噴射時間積算値TItotalを算出する。なお、燃料噴射時間の積算値は、ステップS2の処理が実行されている間に燃料噴射が1回のみ実施された場合には、その1回の燃料噴射時間となり、ステップS2の処理が実行されている間に燃料噴射が複数回実施された場合には、それらの燃料噴射時間の積算値となる。これにより、ステップS2の処理は完了し、燃料消費量算出処理はステップS3の処理に進む。
ステップS3の処理では、燃料噴射時間積算部21bが、ステップS2の処理により算出された噴射時間積算値TItotalに対して、ROM18内に記憶されているインジェクタ7のコイル7aの通電時間を燃料消費量に変換するための変換値(燃料消費量変換値、典型的には一定値)を乗算することによって、エンジンが始動されてからの燃料消費量の積算値(燃料消費量積算値TOTALcc)を算出する。なお、燃料消費量積算値TOTALccは、燃料噴射積算量に対応する。これにより、ステップS3の処理は完了し、燃料消費量算出処理はステップS4の処理に進む。
ステップS4の処理では、燃料噴射時間積算部21bが、ステップS3の処理により算出された燃料消費量積算値TOTALccが所定値(所定量)以上であるか否かを判別する。ここで、必要に応じて、燃料噴射時間積算部21bは、ステップS2の処理により算出された噴射時間積算値TItotalが所定値(所定時間)以上であるか否かを判別してもよく、かかる場合には、ステップS3の処理が省略されるため、燃料消費量算出処理が簡素化され得る。判別の結果、燃料消費量積算値TOTALccが所定値以上である場合(ステップS4:Yes)、CPU21は、既にエンジンの温度が所定温度以上になったと判断し、燃料消費量算出処理をステップS5の処理に進める。一方、燃料消費量積算値TOTALccが所定値未満である場合には(ステップS4:No)、CPU21は、燃料消費量算出処理をステップS6の処理に進める。
ステップS5の処理では、CPU21が、Oフィードバック(OF/B)制御(空燃比制御)の実行を許可するOF/B許可フラグをセットする。これにより、ステップS5の処理は完了し、今回の一連の燃料消費量算出処理は終了する。
ステップS6の処理では、CPU21が、OF/B制御の実行を禁止するためにOF/B許可フラグをリセットする。これにより、ステップS6の処理は完了し、今回の一連の燃料消費量算出処理は終了する。
ステップS7の処理では、燃料噴射時間積算部21bが、エンジンが始動されてからのインジェクタ7のコイル7aの通電時間の積算値(噴射時間積算値TItotal)をゼロにリセットする。これにより、ステップS7の処理は完了し、燃料消費量算出処理はステップS8の処理に進む。
ステップS8の処理では、CPU21が、エンジンの温度が所定温度以上になっていないと判断し、OF/B制御の実行を禁止するためにOF/B許可フラグをリセットする。これにより、ステップS8の処理は完了し、今回の一連の燃料消費量算出処理は終了する。
〔OF/B実施判断処理〕
次に、図3を参照して、本実施形態における内燃機関制御装置1のOF/B実施判断処理の流れについて説明する。
図3は、本実施形態における内燃機関制御装置1のOF/B実施判断処理の流れを示すフローチャートである。
図3に示すフローチャートは、車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられてCPU21が稼働したタイミングで開始となり、OF/B実施判断処理はステップS11の処理に進む。かかるOF/B実施判断処理は、車両のイグニッションスイッチがオン状態でCPU21が稼働している間、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
ステップS11の処理では、まず、CPU21が、抵抗値検出回路16を介してインジェクタ7の抵抗値(INJ抵抗値)を検出し、ROM18内に記憶されているインジェクタ7の抵抗値とインジェクタ温度Tinjの値との関係を示すインジェクタ温度テーブルから、このように検出したインジェクタ7の抵抗値に対応するインジェクタ温度Tinjの値を検索する。次に、CPU21は、サーミスタ素子12を介してエンジンの雰囲気温度(サーミスタ温度Tthr)を検出する。そして、CPU21は、このように検索したインジェクタ温度Tinjの値を、このように検出したエンジンの雰囲気温度(サーミスタ温度Tthr)の値で補正すると共に、このように補正したインジェクタ温度Tinjの値とエンジン温度Tengの値との関係を規定するエンジン温度テーブルデータの検索により、エンジン温度Tengとして算出する。
そして、CPU21は、このように算出したエンジン温度TengがOF/B制御の実行を許可するOF/B実施温度(所定温度)以上であるか否かを判別する。なお、CPU21は、エンジン温度Tengの算出処理の簡素化が許容される場合には、このように検索したインジェクタ温度Tinjの値を補正することなくエンジン温度Tengの値に対応させて、エンジン温度Tengを算出してもよい。判別の結果、エンジン温度TengがOF/B実施温度以上でない場合(ステップS11:No)、CPU21は、エンジンの冷間始動時であると判断し、OF/B実施判断処理をステップS12の処理に進める。一方、エンジン温度TengがOF/B実施温度以上である場合には(ステップS11:Yes)、CPU21は、エンジンの温間始動時又は熱間始動時であると判断し、OF/B実施判断処理をステップS13の処理に進める。なお、エンジンが冷間始動時にあるか、又はエンジンが温間若しくは熱間始動時にあるかということに関する判断は、サーミスタ素子12に加えて、ECU10の筐体10a内において別の付加サーミスタ素子を点火回路14等の発熱素子に近接して配設しておき、サーミスタ素子12が検出した温度と付加サーミスタ素子が検出した温度との高低関係を参酌することにより行ってもかまわない。かかる場合には、OF/B実施温度に関する判断から切り離して、エンジンの始動時の温度の判断をより精緻に行うことができる。
ステップS12の処理では、CPU21が、燃料消費量算出処理におけるステップS5の処理、ステップS6の処理及びステップS8の処理で対応してセット又はリセットされるOF/B許可フラグがセット済みであるか否かを判別する。判別の結果、OF/B許可フラグがセット済みである場合(ステップS12:Yes)、CPU21は、OF/B実施判断処理をステップS13の処理に進める。一方、OF/B許可フラグがセット済みでない場合には(ステップS12:No)、CPU21は、OF/B実施判断処理をステップS14の処理に進める。
ステップS13の処理では、CPU21が、OF/B制御を実施する。これにより、ステップS13の処理は完了し、今回の一連のOF/B実施判断処理は終了する。なお、前回の処理におけるステップS11の処理で、エンジン温度TengがOF/B実施温度(所定温度)未満であると判別され、今回の処理におけるステップS11の処理で、エンジン温度TengがOF/B実施温度(所定温度)以上であると判別された場合には、今回のステップS13の処理で、OF/B制御が開始又は再開されることになる。また、前回の処理におけるステップS12の処理で、OF/B許可フラグがセット済みでないと判別され、今回の処理におけるステップS12の処理で、OF/B許可フラグがセット済みであると判別された場合には、今回のステップS13の処理で、OF/B制御が開始又は再開されることになる。
ステップS14の処理では、CPU21が、OF/B制御を停止する。これにより、ステップS14の処理は完了し、今回の一連のOF/B実施判断処理は終了する。
以上の説明から明らかなように、本実施形態におけるエンジン制御装置1によれば、CPU21が、エンジンの燃料噴射に関連する機能部品から算出した温度であるエンジンの温度が所定温度以上であるという温度条件及びこの温度と相関性がある燃料噴射時間積算値TItotalが所定時間以上であるという積算時間条件の少なくとも1つを満たしたときに、酸素濃度センサ5のセンサ出力に基づいて空燃比制御を開始するので、エンジンの温度を検出する温度センサを省略した簡便な構成において、エンジンの温度の算出時に外乱やばらつき等の原因により、エンジンの温度が低く算出された場合であっても、空燃比制御の開始が不要に遅れることを回避することができるため、エンジンの空燃比制御を適切に開始することができる。また、温度センサを備える燃料噴射システムに対して本実施形態における内燃機関制御装置1を適用した場合には、温度センサ故障時の燃費やドライバビリティの悪化を抑制することができる。
また、本実施形態における内燃機関制御装置1によれば、機能部品が、エンジンの上流側に設けられるインジェクタ7であると共に、CPU21が、インジェクタ7のコイル7aの抵抗値を用いてエンジンの温度を算出するものであるため、エンジンの温度を実用的な精度で推定することができる。なお、エンジンの機能部品の温度としては、その測定の簡便性等の観点からインジェクタ温度が好適な例として挙げられるが、エンジンの機能部品としては、エンジン温度に対応した抵抗値が測定することができるものであればその他の機能備品を用いることができ、その機能備品の温度を、エンジンの機能部品の温度として用いてもよい。
また、本実施形態におけるエンジン制御装置1によれば、CPU21が、エンジンの温度が温度条件を満たしていないときには、燃料噴射時間積算値TItotalが積算時間条件を満たしたときに、酸素濃度センサ5のセンサ出力に基づいて空燃比制御を開始する。ここで、インジェクタ7のコイル7aの抵抗値から推定したエンジンの温度は、始動直後には実温度と剥離して実温度よりも低い温度を示す可能性があり、かかる場合には空燃比制御を開始するまで時間がかかることになるが、このような構成によれば、空燃比制御の開始が不要に遅れることを回避することができる。
また、本実施形態におけるエンジン制御装置1によれば、CPU21が、エンジンの冷間始動時には、燃料噴射時間積算値TItotalが積算時間条件を満たしたときに、空燃比制御を開始し、エンジンの温間始動時又は熱間始動時には、エンジンの温度が温度条件を満たしたときに、酸素濃度センサ5のセンサ出力に基づいて空燃比制御を開始する。ここで、インジェクタ7のコイル7aの抵抗値から推定したエンジンの温度は、始動直後には実温度と剥離して実温度よりも低い温度を示す可能性があり、かかる場合には空燃比制御を開始するまで時間がかかることになるが、このような構成によれば、空燃比制御の開始が不要に遅れることを回避することができる。
また、本実施形態におけるエンジン制御装置1によれば、CPU21が、燃料噴射時間積算値から燃料消費量積算値TOTALccを算出し、積算時間条件に代えて燃料消費量積算値TOTALccが所定値以上であるという積算量条件を満たしたときに、酸素濃度センサ5のセンサ出力に基づいて空燃比制御を開始する。ここで、エンジンの温度の算出時に外乱やバラツキ等の原因によりエンジンの温度が低く算出された場合には、空燃比制御の開始が遅れる可能性があるが、このような構成によっても、空燃比制御の開始が不要に遅れることを回避することができる。
さて、図3を参照して説明した本実施形態における内燃機関制御装置1のOF/B実施判断処理に関しては、エンジンにとってOF/B制御が必要なタイミングをより正確に判断してより適切にOF/B制御を実行するための変形例が考えられる。そこで、以下、図4を参照して、本実施形態における変形例の内燃機関制御装置1のOF/B実施判断処理の流れについて説明する。
図4は、本実施形態における変形例の内燃機関制御装置1のOF/B実施判断処理の流れを示すフローチャートである。
本変形例では、図3を参照して説明した本実施形態における内燃機関制御装置1のOF/B実施判断処理に対して、ステップS11aの処理が追加されていることが主たる相違点であり、残余の処理は、図3を参照して説明したものと同一である。よって、本変形れについては、かかる相違点に着目して説明をすることとし、同一の構成要素や処理には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図4に示すように、本変形例のOF/B実施判断処理では、ステップS11の処理での判別の結果、エンジン温度TengがOF/B実施温度以上である場合には(ステップS11:Yes)、CPU21は、エンジンの温間始動時又は熱間始動時であると判断し、OF/B実施判断処理をステップS11aの処理に進め、また、ステップS12の処理での判別の結果、OF/B許可フラグがセット済みである場合には(ステップS12:Yes)、CPU21は、OF/B実施判断処理をステップS11aの処理に進める。
ステップS11aの処理では、CPU21は、OF/B制御の実施を許可するためのその他の条件が成立しているか否かを判別する。ここで、OF/B制御の実施を許可するためのその他の条件としては、酸素濃度センサ5が活性化済みであることやエンジン回転数が安定していること等を例示することができる。判別の結果、OF/B制御の実施を許可するためのその他の条件が成立している場合(ステップS11a:Yes)、CPU21は、OF/B実施判断処理を前述したステップS13の処理に進める。一方、OF/B制御の実施を許可するためのその他の条件が成立していない場合には(ステップS11a:No)、CPU21は、OF/B実施判断処理を前述したステップS14の処理に進める。
以上の説明から明らかなように、本変形例におけるエンジン制御装置1によれば、CPU21が、インジェクタ7のコイル7aの抵抗値から算出した温度であるエンジンの温度が所定温度以上であるという温度条件及びこの温度と相関性がある燃料噴射時間積算値TItotalが所定時間以上であるという積算時間条件の少なくとも1つを満たしたときであって、かつ、かかる温度条件及び積算時間条件以外の空燃比制御に関する所定の条件を満たしたときに、空燃比制御を開始するので、エンジンにとって空燃比制御が必要なタイミングをより正確に判断してより適切に空燃比制御を実行することができる。
また、本発明は、部材の種類、形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
以上のように、本発明は、内燃機関の温度を検出する温度センサを省略した簡便な構成で、内燃機関の空燃比制御を適切に開始可能な内燃機関制御装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から発電機等の汎用機や自動二輪車等の車両の内燃機関制御装置に広く適用され得るものと期待される。
1…内燃機関制御装置
2…クランク角センサ
3…クランクシャフト
4…スロットル開度センサ
5…酸素濃度センサ
6…点火コイル
7…インジェクタ
7a…コイル
7b…コイルの等価回路
7c…ソレノイドバルブ
10…ECU
10a…筐体
11…波形整形回路
12…サーミスタ素子
13…A/D変換器
14…点火回路
15…駆動回路
16…抵抗値検出回路
17…EEPROM
18…ROM
19…RAM
20…タイマ
21…CPU
21a…始動判定部
21b…燃料噴射時間積算部
B…バッテリ

Claims (5)

  1. 車両に搭載された内燃機関の排気通路に設けた酸素濃度センサのセンサ出力に基づいて前記内燃機関の空燃比制御を実行することにより前記内燃機関の運転状態を制御する制御部を備えると共に、前記制御部は、更に、前記内燃機関の燃料噴射に関連する機能部品から算出した温度から前記内燃機関の温度を算出する内燃機関制御装置において、
    前記制御部は、
    前記内燃機関が始動したか否かを判定する始動判定部と、
    前記始動判定部が前記内燃機関を始動したことを判定した場合に、前記内燃機関の燃料噴射時間を積算する燃料噴射時間積算部と、を備え、
    前記内燃機関の前記温度が所定温度以上であるという温度条件及び前記燃料噴射時間積算部により前記内燃機関の燃料噴射時間が積算された値である燃料噴射時間積算値が所定時間以上であるという積算時間条件の少なくとも1つを満たしたときに、前記空燃比制御を開始するものであり、
    前記制御部は、前記内燃機関の冷間始動時には、前記燃料噴射時間積算値が前記積算時間条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始し、前記内燃機関の温間始動時又は熱間始動時には、前記内燃機関の前記温度が前記温度条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始することを特徴とする内燃機関制御装置。
  2. 前記機能部品は、前記内燃機関の上流側に設けられるインジェクタであると共に、前記制御部は、前記インジェクタのコイル抵抗値を用いて前記内燃機関の前記温度を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関制御装置。
  3. 前記制御部は、前記内燃機関の前記温度が前記温度条件を満たしていないときには、前記燃料噴射時間積算値が前記積算時間条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関制御装置。
  4. 前記制御部は、前記燃料噴射時間積算値から燃料噴射積算量を算出し、前記積算時間条件に代えて前記燃料噴射積算量が所定量以上であるという積算量条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の内燃機関制御装置。
  5. 前記制御部は、前記温度条件及び前記積算時間条件の少なくとも1つを満たしたときであって、かつ、前記温度条件及び前記積算時間条件以外の前記空燃比制御に関する所定の条件を満たしたときに、前記空燃比制御を開始することを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の内燃機関制御装置。
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