JP6761320B2 - メカニカルシール - Google Patents

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Description

本発明は、ポンプ等の回転軸をシールするためのメカニカルシールに関し、詳しくは、相互に摺動する回転側密封環と静止側密封環とを効率的に冷却することのできるメカニカルシールに関する。
従来、メカニカルシールでは、流体をポンピングして自己循環させるためのパーシャルインペラが回転軸に取り付け、回転軸の外周に位置するスタッフィングボックスの内周面には、軸方向に異なる位置で、流入孔と排出孔とが設けられ、回転軸の回転により、流入孔から排出孔へと向かう軸方向流れを作り出し、回転側密封環と静止側密封環との摺動部分を冷却することができるように構成してある。(以下、「従来技術」という。例えば、特許文献1参照)
図7は、従来技術に係るメカニカルシールの回転側密封環と静止側密封環との摺動部分を冷却するための循環流体を排出する排出孔の付近を示す断面図(回転軸と直交する断面を示す断面図。)であって、シールカバー50の内周面51から外径側に向けて排出孔52が形成され、該排出孔52は排出接続孔53に連通されている。
排出孔52は、回転軸54の回転方向Rに沿う被密封流体(循環流体)の流れを向かい入れる方向に、シールカバー50の内周面51に対して傾斜して設けられ、排出孔52における回転方向Rの下流位置には、整流部材56がシールカバー50に対してボルト55などにより着脱自在に装着されている。
回転軸54を矢印R方向に回転されると、被密封流体は、回転方向Rに回転させられ、整流部材56に衝突し、強制的に排出孔52に向かわされ、排出接続孔53を介して外部配管57を通り、図示しない流入孔から内周面51内に戻される。内周面51内に戻された被密封流体は、図示しない回転側密封環および静止側密封環の外周部に至り、回転側密封環と静止側密封環との摺動による発熱を冷却する。
WO2013/001935
しかしながら、上記の従来技術のメカニカルシールにおいては、排出孔52は回転軸54の回転方向Rに沿う密封流体の流れを向かい入れる方向に、シールカバー50の内周面51に対して傾斜して設けられ、排出孔52における回転方向Rの下流位置には、整流部材56がシールカバー50に対してボルト55などにより着脱自在に装着されているため、回転軸54の回転方向が一方の場合だけに限られた構造となっている。回転軸54の反対方向の回転の場合には、回転軸54の反対方向の回転に対応するようにシールカバー50に、新たに排出孔52を設けると共に新たな排出孔52に対応する整流部材56を製作し、装着する必要があるという問題があった。
本発明は、従来技術の問題を解決するためになされたもので、回転軸が両方向に回転する機器に装着されるメカニカルシールにおいて、シールカバーに新たに排出孔を設けたり、また、新たな排出口に対応する整流部材を製作し、装着をしたりすることなく、両方向の回転に対応可能なメカニカルシールを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明のメカニカルシールは、第1に、静止部材に装着される静止側密封環と、前記静止部材に対して回転する回転体に固定されて前記回転体と共に回転し、前記静止側密封環の摺動面に対して相対摺動する摺動面を持つ回転側密封環と、を有するメカニカルシールであって、
密封される被密封流体の被密封空間が、前記両摺動面の外周に形成されるように、前記静止部材が前記両密封環の外周を覆っており、
前記静止部材には前記被密封空間の被密封流体を循環させるための排出口及び流入孔が周方向に1つ以上形成され、
前記排出孔の形成された前記静止部材の内周面には、リング状のブランクピースが回動可能に設けられ、
前記ブランクピースには、1つの排出孔に連通可能な一対の連通孔が周方向に間隔を有して設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、回転軸が両方向に回転する機器に装着されるメカニカルシールにおいて、シールカバーに新たに排出孔を設けたり、また、新たな排出口に対応する整流部材を製作し、装着をしたりすることなく、両方向の回転に対応可能な被密封流体の循環システムを備えたメカニカルシールを提供することができる。
また、静止部材の内周面にリング状のブランクピースを装着するだけであるため、被密封流体の循環システムを構成する部材を容易かつ正確に取り付けることができる。
また、本発明のメカニカルシールは、第2に、第1の特徴において、前記ブランクピースには、前記静止部材に装着されるノック部材に対応する位置に切り欠きが設けられ、前記切り欠きは前記一対の連通孔の一方が前記排出孔に連通する位置において一方の切り欠き端部が前記ノック部材に当接し、前記一対の連通孔の他方の連通孔が前記排出孔に連通する位置において他方の切り欠き端部が前記ノック部材に当接するように形成されることを特徴としている。
この特徴によれば、回転軸の回転方向に応じて連通孔が切り換えられた場合、連通孔と排出孔とが一致した位置においてブランクピースを停止させることができる。
また、ブランクピースの停止を、ノックピンと切り欠きの2つの部材だけで簡単に行うことができる。
また、本発明のメカニカルシールは、第3に、第1又は第2の特徴において、前記ブランクピースは、前記回転体の回転に伴う前記被密封流体の旋回流により周方向に回動され、前記一対の連通孔のいずれか一方が前記排出孔に連通する位置で前記ノック部材と前記切り欠き端部との当接により停止されることを特徴としている。
この特徴によれば、ブランクピースが被密封流体の旋回流により自動的に所定の位置に回動されるため、外部からの操作をすることなく、自動的に他方の連通孔を排出孔に一致させることができる。
また、本発明のメカニカルシールは、第4に、第1ないし第3のいずれかの特徴において、前記ブランクピースの内周面の前記一対の連通孔の周方向の間には、内径方向に突出して前記一対の連通孔のそれぞれに流入する被密封流体を案内する案内突部が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、ブランクピースの内周面に沿って回動される被密封流体をより多く排出孔に導入することができ、循環する被密封流体の量を増大することができるため、回転側密封環と静止側密封環との摺動による発熱を冷却する能力を増大することができる。また、回転軸の回転方向が逆転される場合において、ブランクピースが被密封流体の旋回流により自動的に所定の位置に回動される際、ブランクピースの案内突部に旋回流が衝突することによる力により、ブランクピースを旋回させる力を増大することができる。
また、本発明のメカニカルシール装置は、第5に、第1ないし第4のいずれかの特徴において、前記一対の連通孔のそれぞれは、前記被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、排出孔に流入する循環流体の量を増大することができ、回転側密封環と静止側密封環との摺動による発熱を冷却する能力を増大することができる。
また、本発明のメカニカルシール装置は、第6に、第1ないし第4のいずれかの特徴において、前記ブランクピースの軸方向の側面の少なくとも一方の側面には非当接凹部が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、ブランクピースの軸方向の側面とシールカバーと接触する接触面積が小さくなり、接触部における静止摩擦力が低減され、ブランクピースを回転させ易くすることができる。
また、本発明のメカニカルシール装置は、第7に、第6の特徴において、前記非当接凹部は、出口部分及びノックピン係合部分を除いた前記側面に設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、ブランクピースの側面は、出口部分並びに2つのノックピン係合部分の3点においてシールカバーに当接することになり、ブランクピースを回転させ易くすると共に安定した状態で保持することができる。
また、本発明のメカニカルシール装置は、第8に、第6又は第7の特徴において、前記一対の連通孔は、垂直に設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、被密封流体の旋回流が連通孔の壁面に衝突する際の衝撃力を、連通孔が被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられる場合に比較して大きくすることができ、ブランクピースに作用する回転方向の力を大きくすることができる。
また、本発明のメカニカルシール装置は、第9に、第6ないし第8のいずれかの特徴において、前記一対の連通孔の径は、前記ブランクピースの幅よりわずかに小さく設定されることを特徴としている。
この特徴によれば、被密封流体の旋回流の衝突する面積を許容限度まで大きくすることができ、ブランクピースに作用する回転方向の力を大きくすることができる。
また、本発明のメカニカルシール装置は、第10に、第6ないし第9のいずれかの特徴において、前記一対の連通孔は、それぞれ、案内突部の側面に近接して設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、被密封流体の旋回流は案内突部の側面のいずれか一方と衝突することになり、旋回流の衝突する面積がさらに増大され、ブランクピースに作用する回転方向の力をさらに大きくすることができる。
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)静止部材には前記被密封空間の被密封流体を循環させるための排出口及び流入孔が周方向に1つ以上形成され、排出孔の形成された静止部材の内周面には、リング状のブランクピースが回動可能に設けられ、ブランクピースには、1つの排出孔に連通可能な一対の連通孔が周方向に間隔を有して設けられることにより、回転軸が両方向に回転する機器に装着されるメカニカルシールにおいて、シールカバーに新たに排出孔を設けたり、また、新たな排出口に対応する整流部材を製作し、装着をしたりすることなく、両方向の回転に対応可能な被密封流体の循環システムを備えたメカニカルシールを提供することができる。
また、静止部材の内周面にリング状のブランクピースを装着するだけであるため、被密封流体の循環システムを構成する部材を容易かつ正確に取り付けることができる。
(2)ブランクピースには、静止部材に装着されるノック部材に対応する位置に切り欠きが設けられ、切り欠きは前記一対の連通孔の一方が前記排出孔に連通する位置において一方の切り欠き端部がノック部材に当接し、一対の連通孔の他方の連通孔が排出孔に連通する位置において他方の切り欠き端部がノック部材に当接するように形成されることにより、回転軸の回転方向に応じて連通孔が切り換えられた場合、連通孔と排出孔とが一致した位置においてブランクピースを停止させることができる。
また、ブランクピースの停止を、ノックピンと切り欠きの2つの部材だけで簡単に行うことができる。
(3)ブランクピースは、回転体の回転に伴う被密封流体の旋回流により周方向に回動され、一対の連通孔のいずれか一方が排出孔に連通する位置でノック部材と切り欠き端部との当接により停止されることにより、ブランクピースが被密封流体の旋回流により自動的に所定の位置に回動されるため、外部からの操作をすることなく、自動的に他方の連通孔を排出孔に一致させることができる。
(4)一対の連通孔のそれぞれは、被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられることにより、排出孔に流入する循環流体の量を増大することができ、回転側密封環と静止側密封環との摺動による発熱を冷却する能力を増大することができる。
(5)ブランクピースの内周面の一対の連通孔の周方向の間には、内径方向に突出して一対の連通孔のそれぞれに流入する被密封流体を案内する案内突部が設けられることにより、ブランクピースの内周面に沿って回動される被密封流体をより多く排出孔に導入することができ、循環する被密封流体の量を増大することができるため、回転側密封環と静止側密封環との摺動による発熱を冷却する能力を増大することができる。また、回転軸の回転方向が逆転される場合において、ブランクピースが被密封流体の旋回流により自動的に所定の位置に回動される際、ブランクピースの案内突部に旋回流が衝突することによる力により、ブランクピースを旋回させる力を増大することができる。
(6)ブランクピースの軸方向の側面の少なくとも一方の側面には非当接凹部が設けられることにより、ブランクピースの軸方向の側面とシールカバーと接触する接触面積が小さくなり、接触部における静止摩擦力が低減され、ブランクピースを回転させ易くすることができる。
(7)非当接凹部は、出口部分及びノックピン係合部分を除いた側面に設けられることにより、ブランクピースの側面は、出口部分並びに2つのノックピン係合部分の3点においてシールカバーに当接することになり、ブランクピースを回転させ易くすると共に安定した状態で保持することができる。
(8)一対の連通孔は、垂直に設けられることにより、被密封流体の旋回流が連通孔の壁面に衝突する際の衝撃力を、連通孔が被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられる場合に比較して大きくすることができ、ブランクピースに作用する回転方向の力を大きくすることができる。
(9)一対の連通孔の径は、ブランクピースの幅よりわずかに小さく設定されることにより、被密封流体の旋回流の衝突する面積を許容限度まで大きくすることができ、ブランクピースに作用する回転方向の力を大きくすることができる。
(10)一対の連通孔は、それぞれ、案内突部の側面に近接して設けられることにより、被密封流体の旋回流は案内突部の側面のいずれか一方と衝突することになり、旋回流の衝突する面積がさらに増大され、ブランクピースに作用する回転方向の力をさらに大きくすることができる。
本発明の実施例1に係るメカニカルシールの全体を示す縦断面図である。 図1のA−A断面図であって、説明の都合上、シールカバー及びブランクピースを示し、他の部材を省略している。 本発明の実施例2に係るメカニカルシールのシールカバー及びブランクピースを示す断面図である。 本発明の実施例3に係るメカニカルシールのシールカバー及びブランクピースを示す断面図である。 本発明の実施例4に係るメカニカルシールのブランクピースを示す斜視図である。 本発明の実施例4に係るメカニカルシールのブランクピースがシールカバーに取付けられた状態を示す断面図であって、ブランクピースは図5のB−B位置で切断された状態が示されている。 従来技術を示す断面図である。
本発明に係るメカニカルシールを実施するための形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明はこれに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加えうるものである。
図1及び図2を参照して、本発明の実施例1に係るメカニカルシールについて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係るメカニカルシールの全体を示す縦断面図であって、摺動面の外周から内周方向に向かって漏れようとする高圧流体である機内側の被密封流体を密封する形式のインサイド形式のものであり、右側が機内側(被密封流体側)であり、左側が機外側(大気側)である。また、図2は、図1のA−A断面図である。
装置本体(ケーシング)1の軸孔2には回転体を構成する回転軸3が貫通して配設されている。
静止部材を構成する第1シールカバー5はケーシング1の外側面1aにOリング7を介して植え込みボルト9により着脱自在に固定され、また、静止部材を構成する第2シールカバー6は第1シールカバー5の側面5aにOリング8を介して植え込みボルト9により着脱自在に固定される。
第1シールカバー5は断面が略矩形でリング状をなし、内周面5bはケーシング1の軸孔2と同程度の径を有している。また、第2シールカバー6は断面が略L字状でリング状をなし、第1シールカバー5側の第1内周面6aは第1シールカバー5の内周面5aと同程度の径を有し、第2内周面6bは回転軸3の外周面に嵌合されたスリーブ4の外周面より僅かに大きい径を有している。スリーブ4は回転軸3にセットスクリュー12により固定され、回転軸3とスリーブ4との間にはOリング11が設けられている
第1シールカバー5の内周面5b及び第2シールカバー6の第1内周面6aとスリーブ4の外周面との間には、被密封空間10が形成されている。被密封空間10は、ケーシング1の内部と連通しており、ケーシング1内部の処理流体と同じ流体が、後記するメカニカルシール本体15により被密封流体として密封される。
なお、回転軸3は軸孔2に装着されて図示省略の軸受けにより回転可能に支持されている。
メカニカルシール本体15は、固定側密封環16及び回転側密封環17を備え、固定側密封環16は第2シールカバー6の第1内周面6aとスリーブ4の外周面との間の被密封空間10に配設され、回転側密封環17は固定側密封環16にそれぞれの摺動面が対峙するようにして被密封空間10に配設される。固定側密封環16及び回転側密封環17の外周側は被密封流体側であり、内周側は大気側である。
固定側密封環16は、摺動面16aを備え、ノックピン18により第2シールカバー6に回転不能に支持されている。固定側密封環16と第2シールカバー6との間にはOリング19が設けられている。
一方、回転側密封環17は、摺動面17aを備え、コンプレスリング21を介してカラー20により支持されている。回転側密封環17とカラー20との間にはOリング22が設けられている。
また、カラー20は、セットスクリュー25によりその内周面とスリーブ4の外周面との間に設けられたOリング23を介してスリーブ4に気密に保持されている。
また、コンプレスリング21の後部には、カラー20に一端が支持された複数のコイルスプリング24の他端が接合され、回転側密封環17を軸方向に付勢するようになっている。
第1シールカバー5には、内周面5bから外方に向けて被密封空間10の被密封流体を循環させるための排出口30が、回転側密封環17の上方、かつ、軸方向の基端側に位置して周方向に1つ形成されている。
なお、排出口30は1つに限らず、周方向に複数形成されてもよい。
カラー20の回転側密封環17の外方を覆う円筒部分には、排出口30に向かう被密封流体の流れを許容する孔20aが形成されている。
排出孔30の形成されている第1シールカバー5の内周面5bには、リング状のブランクピース32が設けられている。ブランクピース32については後記において詳細に説明する。
また、第2シールカバー6には、被密封空間10の被密封流体を循環させるための流入孔31が固定側密封環16の下方に位置するように配設されている。被密封空間10の被密封流体は排出口30から外部配管33を経由し、流入孔31から被密封空間10へと循環され、その際、固定側密封環16及び回転側密封環17の摺動面の外周側(被密封流体側)の近傍を清浄化し、冷却する。
さらに、第2シールカバー6には、固定側密封環16及び回転側密封環17の摺動面の大気側にクエンチ流体を注入・排出するためのクエンチング孔34が設けられている。
ブランクピース32は、被密封空間10内において第1シールカバー5に設けられた排出孔30、外部配管33及び第2シールカバー6に設けられた流入孔31を介して循環される被密封流体を、排出孔30に流入させ易くするための部材であり、図1に示すように断面が略矩形状であって、図2に示すように全体形状がリング状をなしており、排出孔30の入口を塞ぐようにして第1シールカバー5の内周面5bに形成された収容凹部5cに嵌入されている。
ブランクピース32は、例えば、ステンレスから形成される。
収容凹部5cのケーシング1側の側面は段部5dが存在し、第2シールカバー6側の側面は開放されている。収容凹部5cの第2シールカバー6側の開放部には第2シールカバー6の突出部6cが嵌合するようになっており、内周面5b、段部5d及び突出部6cとでブランクピース32の収容凹部5cを形成している。
ブランクピース32は、第1シールカバー5に第2シールカバー6が装着される前の状態において、第1シールカバー5の収容凹部5cの開放側から嵌入され、嵌入された後、第2シールカバー6が装着されることにより、収容凹部5cに回動自在に収納される。
図2に示すように、ブランクピース32には、1つの排出孔30に連通可能な一対の連通孔35、36が周方向に角度θの間隔を有して設けられている。
図2において、回転軸3の回転方向は反時計方向である。
ブランクピース32は、収容凹部5c内において回転軸3の回転に伴う被密封流体の旋回流により周方向に回動され、一対の連通孔35、36のいずれか一方が排出孔30に連通する位置で後記する停止手段により停止される。
第1シールカバー5には、停止手段を構成するところのノックピン37がブランクピース32の側面に対応する位置に装着されている。また、ブランクピース32の両側面のうち、ノックピン37に対峙する側であってノックピン37に対応する周方向の位置には、停止手段を構成する切り欠き38が設けられている。
切り欠き38は、角度θの周方向長さを有している。そして、一対の連通孔35、36の一方、例えば、図2においては回転軸3の回転方向は反時計方向であるため、時計方向側の連通孔35が、排出孔30に連通するように回動され、連通孔35が排出孔30に連通する位置において、切り欠き38の一方の切り欠き端部38aがノックピン37に当接する。
これに対して、回転軸3の回転方向が時計方向の場合は、ブランクピース32が被密封流体の旋回流により時計方向にθだけ回動され、反時計方向側の連通孔36が排出孔30に連通され、この位置において切り欠き38の他方の切り欠き端部38bがノックピン37に当接する。
一対の連通孔35、36は、それぞれ、被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられる。
図2の場合、回転軸3の回転方向は反時計方向であるため、被密封流体の旋回流は反時計方向となり、連通孔35は反時計方向の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられる。
これに対して、連通孔36は、回転軸3の回転方向は時計方向である場合に排出孔30に連通されるため、被密封流体の旋回流は時計方向となり、連通孔36は時計方向の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられる。
このように、一対の連通孔35、36は被密封流体のの旋回流に沿う方向に傾斜して設けられるため、排出孔30に流入する循環流体の量を増大することができる。
以上説明した実施例1の構成によれば、以下のような効果を奏する。
(1)静止部材を構成する第1シールカバー5及びに第2シールカバー6に装着される静止側密封環16と、静止部材を構成する第1シールカバー5及びに第2シールカバー6に対して回転する回転体を構成する回転軸3に固定されて回転体と共に回転し、静止側密封環16の摺動面16aに対して相対摺動する摺動面17aを持つ回転側密封環17と、を有するメカニカルシールであって、
密封される被密封流体の被密封空間10が、両摺動面16a、17aの外周に形成されるように、静止部材を構成する第1シールカバー5及びに第2シールカバー6が両密封環16、17の外周を覆っており、
静止部材を構成する第1シールカバー5及びに第2シールカバー6には被密封空間10の被密封流体を循環させるための排出口30及び流入孔31が周方向に形成され、
排出孔30の形成された第1シールカバー5の内周面には、リング状のブランクピース32が回動可能に設けられ、
ブランクピース32には、排出孔30に連通可能な一対の連通孔35、36が周方向に間隔を有して設けられることにより、回転軸3が両方向に回転する機器に装着されるメカニカルシールにおいて、シールカバーに新たに排出孔を設けたり、また、新たな排出口に対応する整流部材を製作し、装着をしたりすることなく、両方向の回転に対応可能な被密封流体の循環システムを備えたメカニカルシールを提供することができる。
(2)第1シールカバー5の内周面にリング状のブランクピース32を装着するだけであるため、被密封流体の循環システムを構成する部材を容易かつ正確に取り付けることができる。
(3)ブランクピース32には、第1シールカバー5に装着されるノックピン37に対応する位置に切り欠き38が設けられ、切り欠き38は一対の連通孔35、36の一方が排出孔30に連通する位置で一方の切り欠き端部38aが記ノックピン37に当接し、一対の連通孔35、36の他方の連通孔が排出孔30に連通する位置で他方の切り欠き端部38bがノックピン37に当接するように形成されることにより、回転軸3の回転方向に応じて連通孔が切り換えられた場合、連通孔と排出孔30とが一致した位置においてブランクピース32を停止させることができる。
また、ブランクピース32の停止を、ノックピン37と切り欠き38の2つの部材だけで簡単に行うことができる。
(4)ブランクピース32は、回転体の回転に伴う被密封流体の旋回流により周方向に回動され、一対の連通孔35、36のいずれか一方が排出孔30に連通する位置でノック部材37と切り欠き端部38aとの当接により停止されることにより、回転軸3の回転方向が逆転される場合でも、ブランクピース32が被密封流体の旋回流により自動的に所定の位置に回動され、外部からの操作をすることなく、自動的に他方の連通孔36を排出孔30に一致させることができる。
(5)一対の連通孔35、36のそれぞれは、被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられることにより、排出孔30に流入する循環流体の量を増大することができ、回転側密封環17と静止側密封環16との摺動による発熱を冷却する能力を増大することができる。
図3を参照して、本発明の実施例2に係るメカニカルシールについて説明する。
実施例2に係るメカニカルシールは、ブランクピース40の形状が実施例1のブランクピース32と一部相違する点で相違するが、その他の基本的な形状は実施例1と同じであり、実施例1と同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
図3に示すように、実施例2に係るメカニカルシールは、ブランクピース40の内周面の一対の連通孔41、42の周方向の間には、内径方向に突出して一対の連通孔41、42のそれぞれに流入する被密封流体を案内する案内突部43が設けられる。
案内突部43は、連通孔41の側において、回転部材により生起される被密封流体の反時計方向の流れをせき止めるとともに、連通孔41に導入するものである。そのため、案内突部43の連通孔41の側には、連通孔41の入口部分の約180°範囲にわたって内径方向に突出した突出面43aが形成されている。また、連通孔42の側にも、連通孔42の入口部分の約180°範囲にわたって内径方向に突出した突出面43bが形成されている。
上記のように、ブランクピース40の内周面の一対の連通孔41、42の周方向の間には、内径方向に突出して一対の連通孔41、42のそれぞれに流入する被密封流体を案内する案内突部43が設けられることにより、ブランクピース40の内周面に沿って回動される被密封流体をより多く排出孔30に導入することができ、循環する被密封流体の量を増大することができるため、回転側密封環17と静止側密封環16との摺動による発熱を冷却する能力を増大することができる。また、回転軸3の回転方向が逆転される場合において、ブランクピース40が被密封流体の旋回流により自動的に所定の位置に回動される際、ブランクピース40の案内突部43に旋回流が衝突することによる力により、ブランクピース40を旋回させる力を増大することができる。
なお、一対の連通孔41、42は、それぞれ、被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられることは実施例1と同じであり、また、ブランクピース40の両側面のうち、ノックピン37に対峙する側であってノックピン37に対応する周方向の位置には、停止手段を構成する切り欠き44が設けられ、切り欠き端部44a又は44bがノックピン37に当接することにより、停止されることも実施例1と同じである。
図4を参照して、本発明の実施例3に係るメカニカルシールについて説明する。
実施例3に係るメカニカルシールは、排出孔30が複数設けられる点で実施例1と相違するが、その他の基本的な形状は実施例1と同じであり、実施例1と同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
図4に示すように、実施例3に係るメカニカルシールは、第1シールカバー5には、内周面5bから外方に向けて被密封空間10の被密封流体を循環させるための排出口30が、周方向に2つ形成されている。図4の場合、2つの排出口30、30は直近の側において周方向に120°離れて配設されており、周方向の配設位置は設計的に決められる。
なお、排出口30は、2つに限らず、周方向に3つ以上形成されてもよい。
排出孔30、30の形成されている第1シールカバー5の内周面5cには、リング状のブランクピース45が設けられている。ブランクピース45には、それぞれの排出孔30に対して連通可能な一対の連通孔46、47が周方向に角度θの間隔を有して設けられている。
上記のように、ブランクピース45には、それぞれの排出孔30に対して連通可能な一対の連通孔46、47が周方向に間隔を有して設けられることにより、ブランクピース40の内周面に沿って回動される被密封流体を2つの排出孔30を介して循環する被密封流体の量を増大することができるため、回転側密封環17と静止側密封環16との摺動による発熱を冷却する能力を増大することができる。
なお、一対の連通孔46、47は、それぞれ、被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられることは実施例1と同じであり、また、ブランクピース45の両側面のうち、ノックピン37に対峙する側であってノックピン37に対応する周方向の位置には、停止手段を構成する切り欠き48が設けられ、切り欠き端部48a又は48bがノックピン37に当接することにより、停止されることも実施例1と同じである。
図5及び6を参照して、本発明の実施例4に係るメカニカルシールについて説明する。
実施例4に係るメカニカルシールは、ブランクピースの軸方向の側面形状及び一対の連通孔の形状等が実施例2と相違するが、その他の基本的な形状は実施例2と同じであり、実施例2と同じ部材には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
図5に示すように、実施例4に係るメカニカルシールは、ブランクピース140の軸方向の側面の周方向の必要な部分を除いて凹部を設け、ブランクピース140の軸方向の側面と第1シールカバー5あるいは第2シールカバー6と接触する接触面積を小さくしている。ブランクピース140の軸方向の側面と第1シールカバー5あるいは第2シールカバー6と接触する接触面積を小さくすることにより、接触部における静止摩擦力が低減され、ブランクピース140を回転させ易くすることができる。
図5に示すブランクピース140においては、切り欠き44の設けられた側面において、一対の連通孔141、142及び被密封流体を案内する案内突部143の設けられた出口部分144並びに切り欠き44の周方向の両側のノックピン係合部分145a、145bを除いた周方向の部分に非当接凹部146a、146bが設けられている。
このため、ブランクピース140の切り欠き44の設けられた側面は、出口部分144並びにノックピン係合部分145a及び145bの3点においてシールカバーに当接することになり、接触面積が小さくなると共に安定した状態で保持される。
非当接凹部146a、146bの軸方向の深さ及び周方向の長さについては、適宜、設計的に決められる。また、非当接凹部146a、146bの形成手段についても、型成形時あるいはレーザー加工など、種々の手段を採用することができる。
なお、非当接凹部146a、146bは、ブランクピース140の軸方向の側面の少なくとも一方に設けられればよく、たとえば、第1シールカバー5に当接する側だけに向けられてもよく、あるいは、第2シールカバー6に当接する側も含む両側面に設けられてもよい。
非当接凹部146a、146bがブランクピース140の軸方向の両側面に設けられる場合、両側の非当接凹部146a、146bは周方向の同じ位置に設けられるのが望ましい。
また、図6に示すように、本例では、一対の連通孔141、142は、連通孔141、142の設けられる壁面に対して垂直に設けられている。このため、被密封流体の旋回流が連通孔141、142の壁面に衝突する際の衝撃力を、前記実施例のように被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられる場合に比較して大きくすることができ、ブランクピース140に作用する回転方向の力を大きくすることができる。
また、図5に示すように、一対の連通孔141、142の径Dは、ブランクピース140の幅Eよりわずかに小さく、すなわち、連通孔141、142の径Dをブランクピース140の幅Eぎりぎりまで大きく設定される。このため、被密封流体の旋回流の衝突する面積を許容限度まで大きくすることができ、ブランクピース140に作用する回転方向の力を大きくすることができる。
さらに、一対の連通孔141、142は、それぞれ、案内突部143の側面143a、143bに近接して設けられる。このため、被密封流体の旋回流は案内突部143の側面143a、または、143bのいずれか一方と衝突することになり、旋回流の衝突する面積がさらに増大され、ブランクピース140に作用する回転方向の力をさらに大きくすることができる。
以上説明した実施例4の構成によれば、上記した実施例の効果の他に以下のような効果を奏する。
(1)ブランクピース140の軸方向の側面の少なくとも一方の側面には非当接凹部146が設けられることにより、ブランクピース140の軸方向の側面とシールカバーと接触する接触面積が小さくなり、接触部における静止摩擦力が低減され、ブランクピース140を回転させ易くすることができる。
(2)非当接凹部146は、出口部分144並びにノックピン係合部分145a及び145bを除いた側面に設けられることにより、ブランクピース140の側面は、出口部分144並びにノックピン係合部分145a及び145bの3点においてシールカバーに当接することになり、ブランクピース140を回転させ易くすると共に安定した状態で保持することができる。
(3)一対の連通孔141、142は、垂直に設けられることにより、被密封流体の旋回流が連通孔141、142の壁面に衝突する際の衝撃力を、実施例1ないし3のように被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられる場合に比較して大きくすることができ、ブランクピース140に作用する回転方向の力を大きくすることができる。
(4)一対の連通孔141、142の径Dは、ブランクピース140の幅Eよりわずかに小さく設定されることにより、被密封流体の旋回流の衝突する面積を許容限度まで大きくすることができ、ブランクピース140に作用する回転方向の力を大きくすることができる。
(5)一対の連通孔141、142は、それぞれ、案内突部143の側面143a、143bに近接して設けられることにより、被密封流体の旋回流は案内突部143の側面143a、または、143bのいずれか一方と衝突することになり、旋回流の衝突する面積がさらに増大され、ブランクピース140に作用する回転方向の力をさらに大きくすることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、静止部材が、第1シールカバー5及び第2シールカバー6より構成され、第1シールカバー5に被密封空間10の被密封流体を循環させるための排出口30が設けられ、また、第2シールカバー6に被密封空間10の被密封流体を循環させるための流入孔31が設けられる場合について説明したが、これに限らず、静止部材を3つ以上の部材から構成してもよく、その場合、被密封流体を循環させるための排出口30及び流入孔31を、いずれの静止部材に設けるかは設計的に決められればよい。
また、例えば、前記実施例では、ブランクピース32は、ステンレスから形成される場合について説明したが、これに限らず、例えば、合成樹脂などの非金属から形成されてもよい。
また、例えば、前記実施例では、ブランクピース32は、一体的にリング状に形成される場合について説明したが、これに限らず、周方向において2つ割りでもよい。
また、例えば、前記実施例では、ブランクピース140の非当接凹部146a、146bは、ブランクピース140の軸方向の側面の一方に設けられる場合について説明したが、これに限らず、両側面に設けられてもよい。
1 装置本体(ケーシング)
2 軸孔
3 回転軸
4 スリーブ
5 第1シールカバー
5a 側面
5b 内周面
5c 収容凹部
5d 段部
6 第2シールカバー
6a 第1内周面
6b 第2内周面
6c 突出部
7 Oリング
8 Oリング
9 植え込みボルト
10 被密封空間
11 Oリング
12 セットスクリュー
15 メカニカルシール本体
16 固定側密封環
17 回転側密封環
18 ノックピン
19 Oリング
20 カラー
20a 孔
21 コンプレスリング
22 Oリング
23 Oリング
24 コイルスプリング
25 セットスクリュー
30 排出孔
31 流入孔
32 ブランクピース
33 外部配管
34 クエンチング孔
35、36 一対の連通孔
37 ノックピン
38 切り欠き
38a 一方の切り欠き端部
38b 他方の切り欠き端部
40 ブランクピース
41、42 一対の連通孔
43 案内突部
43a、43b 突出面
44 切り欠き
44a 一方の切り欠き端部
44b 他方の切り欠き端部
45 ブランクピース
46、47 一対の連通孔
48 切り欠き
48a 一方の切り欠き端部
48b 他方の切り欠き端部
140 ブランクピース
141、142 連通孔
143 案内突部
144 出口部分
145(145a、145b)ノックピン係合部分
146(146a、146b)非当接凹部









Claims (14)

  1. 静止部材に装着される静止側密封環と、前記静止部材に対して回転する回転体に固定されて前記回転体と共に回転し、前記静止側密封環の摺動面に対して相対摺動する摺動面を持つ回転側密封環と、を有するメカニカルシールであって、
    密封される被密封流体の被密封空間が、前記両摺動面の外周に形成されるように、前記静止部材が前記両密封環の外周を覆っており、
    前記静止部材には前記被密封空間の被密封流体を循環させるための排出口及び流入孔が周方向に1つ以上形成され、
    前記排出孔の形成された前記静止部材の内周面には、リング状のブランクピースが回動可能に設けられ、
    前記ブランクピースには、1つの排出孔に連通可能な一対の連通孔が周方向に間隔を有して設けられ、
    前記ブランクピースの内周面の前記一対の連通孔の周方向の間には、内径方向に突出して前記一対の連通孔のそれぞれに流入する被密封流体を案内する案内突部が設けられることを特徴とするメカニカルシール。
  2. 前記ブランクピースには、前記静止部材に装着されるノック部材に対応する位置に切り欠きが設けられ、前記切り欠きは前記一対の連通孔の一方が前記排出孔に連通する位置において一方の切り欠き端部が前記ノック部材に当接し、前記一対の連通孔の他方の連通孔が前記排出孔に連通する位置において他方の切り欠き端部が前記ノック部材に当接するように形成されることを特徴とする請求項1に記載のメカニカルシール。
  3. 前記ブランクピースは、前記回転体の回転に伴う前記被密封流体の旋回流により周方向に回動され、前記一対の連通孔のいずれか一方が前記排出孔に連通する位置で前記ノック部材と前記切り欠き端部との当接により停止されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のメカニカルシール。
  4. 前記ブランクピースの軸方向の側面の少なくとも一方の側面には非当接凹部が設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
  5. 前記非当接凹部は、出口部分及びノックピン係合部分を除いた前記側面に設けられることを特徴とする請求項4に記載のメカニカルシール。
  6. 前記一対の連通孔は、垂直に設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
  7. 前記一対の連通孔の径は、前記ブランクピースの幅よりわずかに小さく設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
  8. 前記一対の連通孔は、それぞれ、案内突部の側面に近接して設けられることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
  9. 静止部材に装着される静止側密封環と、前記静止部材に対して回転する回転体に固定されて前記回転体と共に回転し、前記静止側密封環の摺動面に対して相対摺動する摺動面を持つ回転側密封環と、を有するメカニカルシールであって、
    密封される被密封流体の被密封空間が、前記両摺動面の外周に形成されるように、前記静止部材が前記両密封環の外周を覆っており、
    前記静止部材には前記被密封空間の被密封流体を循環させるための排出口及び流入孔が周方向に1つ以上形成され、
    前記排出孔の形成された前記静止部材の内周面には、リング状のブランクピースが回動可能に設けられ、
    前記ブランクピースには、1つの排出孔に連通可能な一対の連通孔が周方向に間隔を有して設けられ、
    前記一対の連通孔のうち、前記被密封流体の旋回流の上流側に位置する連通孔は、前記被密封流体の旋回流に沿う方向に傾斜して設けられることを特徴とするメカニカルシール。
  10. 前記ブランクピースには、前記静止部材に装着されるノック部材に対応する位置に切り欠きが設けられ、前記切り欠きは前記一対の連通孔の一方が前記排出孔に連通する位置において一方の切り欠き端部が前記ノック部材に当接し、前記一対の連通孔の他方の連通孔が前記排出孔に連通する位置において他方の切り欠き端部が前記ノック部材に当接するように形成されることを特徴とする請求項9に記載のメカニカルシール。
  11. 前記ブランクピースは、前記回転体の回転に伴う前記被密封流体の旋回流により周方向に回動され、前記一対の連通孔のいずれか一方が前記排出孔に連通する位置で前記ノック部材と前記切り欠き端部との当接により停止されることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のメカニカルシール。
  12. 前記ブランクピースの軸方向の側面の少なくとも一方の側面には非当接凹部が設けられることを特徴とする請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
  13. 前記非当接凹部は、出口部分及びノックピン係合部分を除いた前記側面に設けられることを特徴とする請求項12に記載のメカニカルシール。
  14. 前記一対の連通孔の径は、前記ブランクピースの幅よりわずかに小さく設定されることを特徴とする請求項9ないし請求項13のいずれか1項に記載のメカニカルシール。
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