JP6842963B2 - 軸シール装置、回転機械 - Google Patents
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Description
また、貫通孔を通して高圧領域から低圧領域に流体が移動することで、シール部材の前後の差圧が小さくなる。すると、ロータの径方向外側の周方向において、貫通孔が設けられた部分の周囲と、それ以外の部分とで、高圧領域と低圧領域との差圧に分布が生じる。その結果、回転機械の効率等が低下する場合がある。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シール特性への影響を抑えるとともに、シール体への異物の影響を低減させることができる軸シール装置、回転機械を提供することを目的とする。
この発明の第一態様によれば、軸シール装置は、ロータと前記ロータを囲うステータとの間に設けられて、前記ロータと前記ステータとの間の空間を前記ロータの中心軸方向において高圧領域と低圧領域とに仕切る。軸シール装置は、互いに周方向の端面同士が隣接するように周方向に複数設けられたシールリング片からなるシールリングと、各前記シールリング片に固定されて前記ロータに対向するシール体と、を備える。前記シールリングは、前記ステータの径方向内側に設けられたハウジングに保持され、少なくとも前記ハウジングの内周面よりも径方向内側に配置されたベース部を有する。少なくとも一つの前記シールリング片は、前記端面から凹むように形成されて、前記シール体を迂回するように前記高圧領域と前記低圧領域とを連通させる連通溝を備える。前記中心軸方向における前記連通溝の一端部及び他端部は、それぞれ前記ベース部で前記中心軸方向に延びている。
このような連通溝は、シールリング片の端面に形成され、周方向で隣接する他のシールリング片との合わせ面に形成されている。シールリング片の端面同士が隣接する部分においては、互いに隣接するシールリング片の端面同士の隙間を通して、高圧領域と低圧領域との間で作動流体が漏れるので、高圧領域と低圧領域との差圧が小さい。このように差圧が小さい部分に設けた連通溝を通して作動流体が漏れても、そもそも差圧が小さいので、連通溝を通しての作動流体の漏れによる影響が小さくて済む。
さらに、連通溝をシールリング片の端面に形成することで、シールリング片に貫通孔を形成する場合に比較すると、連通溝を形成するための加工を容易に行うことができる。
このように構成することで、案内部材によって作動流体がシール体とロータの外周面との隙間よりも径方向外方に案内される。これにより、異物は、作動流体とともにシール体とロータの外周面との隙間よりも径方向外方に導かれ、シール体とロータの外周面との隙間に異物が侵入することを抑える。したがって、シール体まで異物が到達することを抑える。
このように構成することで、壁体によって、異物がシール体とロータの外周面との隙間に入り込むことが抑えられる。また、異物は、壁体に衝突した作動流体の流れとともに、径方向外方に案内される。
このように構成することで、傘状の案内部材によって、異物がシール体とロータの外周面との隙間に入り込みにくくなる。
このように構成することで、シール体とロータの外周面との隙間に入り込んだ異物は、案内面によって分岐溝側に案内される。これによって、異物を、より確実に分岐溝を通して連通溝に送り込むことができる。
このように構成することで、作動流体とともに周方向に沿って流れる異物が、周方向案内部材によって、連通溝に案内される。これによって、異物を、より確実に連通溝に送り込むことができる。
このように構成することで、異物を、連通溝を介して、シール体を迂回して排出することで、異物によってシール体が影響を受けることを抑える。また、高圧領域と低圧領域との差圧が小さいシールリング片の端面同士が対向する部分に連通溝を形成することで、連通溝による影響が小さくて済み、回転機械の作動効率の低下を抑えることができる。さらに、連通溝をシールリング片の端面に形成することで、連通溝を形成するための加工を容易に行うことができる。
(第一実施形態)
図1は、この発明の一実施形態における回転機械に設けられた軸シール装置の構成を、ロータの中心軸方向から見た図である。図2は、図1のX−X矢視断面図である。図3は、軸シール装置を構成するシールセグメントの端面に形成された連通溝を示す図である。図4は、連通溝が形成されたシール部材本体の斜視図である。
図1、図2に示すように、蒸気タービンやガスタービン等の回転機械100は、その車室(図示無し)に取り付けられたステータ103と、ステータ103の径方向Drの内側に配置され、軸受(図示無し)によって回転自在に設けられたロータ102と、を備えている。
図2に示すように、軸シール装置1Aは、環状空間を、ロータ102の中心軸方向Daの第一の側に形成された低圧領域S1と、中心軸方向Daの第二の側に形成された高圧領域S2とを区分する。
溝105は、収容凹部(高圧流体導入部)106と、連通部107と、を有している。収容凹部106は、断面矩形状に形成されている。連通部107は、収容凹部106とハウジング104の内周面104fとを連通する。連通部107に対し、中心軸方向Daの両側には、収容凹部106の内壁面106aよりも中心軸方向Daの内側に向かって突出する突出部108がそれぞれ形成されている。これら突出部108,108により、連通部107は、中心軸方向Daの開口寸法が、収容凹部106の中心軸方向Daの幅寸法よりも小さくなっている。
シール部材本体21は、受圧部22と、ベース部23と、連結部24と、を一体に備えている。
ここで、シール部材本体21は、周方向Dcに間隔をあけた複数個所に、切欠き35を備えている。これら切欠き35は、受圧面22fと収容凹部106の径方向Drの外側に位置する内周面106gとの間の空間106sと、高圧領域S2とを連通する。
連結部24は、連通部107を通して受圧部22とベース部23とを連結している。
薄板シール片27の基端部27aと保持部材28との間には、各薄板シール片27のがたつきを抑制するためのスペーサ29が設けられている。
また、異物がシール部材本体21の内周面21fとロータ102の外周面102fとの隙間に入り込んだ場合、複数のシールフィン26の間に設けられた分岐溝51、連通溝50を通して、異物が薄板シール25を迂回して排出される。
また、シールセグメント20Aの端面21s同士の隙間を通して、高圧領域S2と低圧領域S1との間で作動流体が漏れるため、連通溝50が設けられた部分においては、そもそも高圧領域S2と低圧領域S1との差圧が小さい。このように差圧が小さい部分に設けた連通溝50を通して作動流体が漏れても、そもそもの差圧が小さいので、連通溝50における作動流体の漏れによる影響が小さくて済む。
さらに、連通溝50をシール部材本体21の端面21sに形成することで、シール部材本体21に貫通孔を形成する場合に比較すると、連通溝50を形成するための加工を、エンドミルや放電加工等を用いて容易に行うことができる。
次に、この発明に係る軸シール装置、回転機械の第二実施形態について説明する。以下に説明する第二実施形態においては、第一実施形態で示した構成に加えて、案内部材を備える構成のみが異なるので、図1を援用するとともに、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。また第一実施形態と重複する説明は省略する。
図5に示すように、軸シール装置1Bは、環状空間を、ロータ102の中心軸方向Daの第一の側に形成された低圧領域S1と、中心軸方向Daの第二の側に形成された高圧領域S2とを区分する。
シールセグメント20Bは、シール部材本体21と、薄板シール25と、シールフィン26とを有している。
連通溝50は、端面21sに沿って延び、端面21sから周方向Dcの内方に凹む溝状に形成されている。連通溝50は、その一端部50aが低圧領域S1に向かって開口し、他端部50bが高圧領域S2に向かって開口している。連通溝50は、一端部50aと他端部50bとの間に、径方向流路50c,50dと、軸方向流路50eと、を有し、薄板シール25迂回するように形成されている。この連通溝50によって、高圧領域S2と低圧領域S1とが連通されている。
さらに、シールセグメント20Bの端面21s同士の隙間を通して、高圧領域S2と低圧領域S1との間で作動流体が漏れる部分に連通溝50を設けた。これによって、連通溝50を通して作動流体が漏れても、連通溝50による影響が小さくて済む。
さらに、連通溝50をシール部材本体21の端面21sに形成することで、シール部材本体21に貫通孔を形成する場合に比較すると、連通溝50を形成するための加工を容易に行うことができる。
第二実施形態では、案内部材60として、翼61を備えるようにしたが、これに限るものではない。
図6は、軸シール装置の第二実施形態の第一変形例における構成を示す断面図である。
この図6に示すように、軸シール装置1Cのシールセグメント(シールリング片)20Cは、シール部材本体21の内周面21fとロータ102の外周面102fとの隙間よりも径方向Drの外側に作動流体を導く案内部材60を備える。この実施形態において、案内部材60は、ロータ102の外周面102fに設けられ、径方向Drの外側に延びる壁体62である。
この壁体62は、周方向Dcに沿って連続して延びている。壁体62は、シール部材本体21の内周面21fとロータ102の外周面102fとの隙間よりも、径方向Drの外側に延びる高さに形成するようにしてもよい。
図7は、軸シール装置の第二実施形態の第二変形例における構成を示す断面図である。
この図7に示すように、軸シール装置1Dのシールセグメント(シールリング片)20Dは、シール部材本体21の内周面21fとロータ102の外周面102fとの隙間よりも径方向Drの外側に作動流体を導く案内部材60を備える。
次に、この発明に係る軸シール装置、回転機械の第三実施形態について説明する。以下に説明する第三実施形態においては、第一実施形態で示した構成に加えて、案内面を備える構成のみが異なるので、図1を援用するとともに、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。また、第一実施形態と重複する説明は省略する。
この図8に示すように、軸シール装置1Eは、環状空間を、ロータ102の中心軸方向Daの第一の側に形成された低圧領域S1と、中心軸方向Daの第二の側に形成された高圧領域S2とを区分する。
ロータ102は、案内面65を備えている。案内面65は、ロータ102の外周面102fに形成された、径方向Drの内側に凹む円環状の凹部66に形成されている。案内面65は、凹部66において、作動流体の流れFの上流側を向いて形成されている。中心軸方向Daにおいて、凹部66が形成された部分に配置されるシールフィン26は、その先端部26aが凹部66内に配置されるような長さで形成されている。
その結果、薄板シール25まで異物が到達することを抑え、薄板シール25が影響を受けることを抑えることができる。
さらに、連通溝50をシール部材本体21の端面21sに形成することで、シール部材本体21に貫通孔を形成する場合に比較すると、連通溝50を形成するための加工を容易に行うことができる。
第三実施形態では、ロータ102の外周面102fに形成した凹部66に案内面65を形成するようにしたが、これに限るものではない。
図9は、軸シール装置の第三実施形態の変形例における構成を示す断面図である。
この図9に示すように、この第三実施形態の変形例では、軸シール装置1Fのシールセグメント(シールリング片)20Fは、シール部材本体21の内周面21fから径方向Drの内側に延びるシールフィン26と、ロータ102の外周面102fから径方向Drの外側に延びるシールフィン(シール体)26Fとが、中心軸方向Daに沿って交互に配列されている。
次に、この発明に係る軸シール装置、回転機械の第四実施形態について説明する。以下に説明する第四実施形態においては、第一実施形態で示した構成に加えて、周方向案内部材を備える構成のみが異なるので、図1を援用するとともに、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明する。さらに、第一実施形態と重複する説明は省略する。
図10に示すように、シールセグメント20Gは、シール部材本体21と、薄板シール25と、シールフィン26とを備えている。
さらに、連通溝50をシール部材本体21の端面21sに形成することで、シール部材本体21に貫通孔を形成する場合に比較すると、連通溝50を形成するための加工を容易に行うことができる。
この発明は、上述した各実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
例えば、軸シール装置1A〜1Gは、薄板シール25とシールフィン26とを備えるようにしたが、高圧領域S2と低圧領域S1との間でシール機能を発揮できるのであれば、適宜他のシール構造を採用してもよい。
例えば、翼61、壁体62、傘状部材63を、ロータ102の中心軸方向に隣り合うシールフィン26の間、又はシールフィン26,26Fの間に形成して、流れFを分岐溝51側に導くようにしても良い。
5 シールリング
20A〜20G シールセグメント(シールリング片)
21 シール部材本体
21f 内周面
21s 端面
22 受圧部
22f 受圧面
23 ベース部
24 連結部
25 薄板シール(シール体)
26、26F シールフィン(シール体)
26a 先端部
27 薄板シール片
27a 基端部
27b 先端部
27c、27d 凸部
28 保持部材
28a、28b 保持リング
28c 接続部材
29 スペーサ
30 凹溝
31 外周溝部
32 内周溝部
33 板バネ
35 切欠き
50 連通溝
50a 一端部
50b 他端部
50c、50d 径方向流路
50e 軸方向流路
51 分岐溝
60 案内部材
61 翼
62 壁体
63 傘状部材
64、65、67 案内面
66 凹部
68 周方向案内部材
100 回転機械
102 ロータ
102f 外周面
103 ステータ
103f 内周面
105 溝
106 収容凹部
106a 内壁面
106g 内周面
106s 空間
107 連通部
108 突出部
Da 中心軸方向
Dc 周方向
Dr 径方向
F 方向
Ph 背面圧力
R1 回転方向
R2 方向
S1 低圧領域
S2 高圧領域
Claims (8)
- ロータと前記ロータを囲うステータとの間に設けられて、前記ロータの中心軸方向で高圧領域と低圧領域とを仕切る軸シール装置であって、
互いに周方向の端面同士が隣接するように周方向に複数設けられたシールリング片からなるシールリングと、
各前記シールリング片に固定されて前記ロータに対向するシール体と、を備え、
前記シールリングは、
前記ステータの径方向内側に設けられたハウジングに保持され、
少なくとも前記ハウジングの内周面よりも径方向内側に配置されたベース部を有し、
少なくとも一つの前記シールリング片は、前記端面から凹むように形成されて、前記シール体を迂回するように前記高圧領域と前記低圧領域とを連通させる連通溝を備え、
前記中心軸方向における前記連通溝の一端部及び他端部は、それぞれ前記ベース部で前記中心軸方向に延びている
軸シール装置。 - ロータと前記ロータを囲うステータとの間に設けられて、前記ロータの中心軸方向で高圧領域と低圧領域とを仕切る軸シール装置であって、
互いに周方向の端面同士が隣接するように周方向に複数設けられたシールリング片からなるシールリングと、
各前記シールリング片に固定されて前記ロータに対向するシール体と、を備え、
少なくとも一つの前記シールリング片は、前記端面から凹むように形成されて、前記シール体を迂回するように前記高圧領域と前記低圧領域とを連通させる連通溝を備え、
前記シールリング片に対し、少なくとも前記高圧領域側に設けられ、前記シール体と前記ロータの外周面との隙間よりも径方向外方に作動流体を導く案内部材を備え、
前記案内部材は、前記ロータの外周面に設けられ、前記ロータと一体に回転することで前記作動流体を径方向外側に導く翼を備える軸シール装置。 - ロータと前記ロータを囲うステータとの間に設けられて、前記ロータの中心軸方向で高圧領域と低圧領域とを仕切る軸シール装置であって、
互いに周方向の端面同士が隣接するように周方向に複数設けられたシールリング片からなるシールリングと、
各前記シールリング片に固定されて前記ロータに対向するシール体と、を備え、
少なくとも一つの前記シールリング片は、前記端面から凹むように形成されて、前記シール体を迂回するように前記高圧領域と前記低圧領域とを連通させる連通溝を備え、
前記シールリング片に対し、少なくとも前記高圧領域側に設けられ、前記シール体と前記ロータの外周面との隙間よりも径方向外方に作動流体を導く案内部材を備え、
前記案内部材は、前記ロータの外周面に設けられ、径方向外側に延びる壁体である軸シール装置。 - ロータと前記ロータを囲うステータとの間に設けられて、前記ロータの中心軸方向で高圧領域と低圧領域とを仕切る軸シール装置であって、
互いに周方向の端面同士が隣接するように周方向に複数設けられたシールリング片からなるシールリングと、
各前記シールリング片に固定されて前記ロータに対向するシール体と、を備え、
少なくとも一つの前記シールリング片は、前記端面から凹むように形成されて、前記シール体を迂回するように前記高圧領域と前記低圧領域とを連通させる連通溝を備え、
前記シールリング片に対し、少なくとも前記高圧領域側に設けられ、前記シール体と前記ロータの外周面との隙間よりも径方向外方に作動流体を導く案内部材を備え、
前記案内部材は、前記シールリング片に設けられ、径方向内側に延びる傘状部材である軸シール装置。 - 前記シール体は、前記中心軸方向に間隔をあけて複数設けられ、
前記連通溝は、前記中心軸方向において互いに隣接する前記シール体同士の間に連通する分岐溝を備える請求項1から4の何れか一項に記載の軸シール装置。 - 前記シール体及び前記ロータの外周面の少なくとも一方に、前記シール体と前記ロータの外周面との隙間を前記中心軸方向に沿って流れる作動流体を、前記分岐溝側に案内する案内面が形成されている請求項5に記載の軸シール装置。
- 前記連通溝に対し、前記ロータが前記中心軸周りに回転することで前記ロータの径方向外側で生じる作動流体の前記周方向の流れの下流側に、前記作動流体を前記連通溝に案内する周方向案内部材を備える請求項1から6の何れか一項に記載の軸シール装置。
- 請求項1から7の何れか一項に記載の軸シール装置を備えた回転機械。
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