JP6760878B2 - 油膜検出システム及び油膜検出方法 - Google Patents
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Description
特許文献1においては、水面を撮像装置により撮像し、撮像した撮像画像を分光処理して、その分光スペクトルの強度分布を検出している。この分光スペクトル分布に対し、スペクトル解析処理を施し、油膜及び水面の各々において反射された光の連続スペクトルおける強度分布から水面における油膜の有無や、油膜の厚さなどを測定している。
しかしながら、周囲の環境光あるいは天候状態(晴れ、曇り及び雨など)などの観察状況により、反射される分光スペクトル分布が変化することで、二値化の画像における油膜成分の判定が困難となり、油膜の有無を検出できない場合がある。
図1において、油膜検出システム100は、参照用擬似油膜11、赤外線撮像装置12、画像処理部13、輝度閾値設定部14、画像輝度比較部15、画素グルーピング部16、油膜有無判定部17及び記憶部18の各々が備えられている。
参照用擬似油膜11は、施設内の排水などを貯水するプールの水面に浮遊させ、水面における油膜を検出するための参照として用いる樹脂で生成された樹脂膜である。また、参照用擬似油膜11は、赤外光(赤外線光)の反射率が油膜と同様の樹脂膜が用いられる。
図2(a)は、通常の撮像装置で撮像した、貯めた水の水面151に油膜が存在するトレイ101の画像と、貯めた水の水面152に油膜が存在しないトレイ102の画像とを示している。通常の撮像装置で撮像した撮像画像において、水面151及び水面152の各々においては、油膜が撮像されていない。
一方、図2(b)は、赤外光を撮像する赤外線撮像装置で撮像した、貯めた水の水面151Aに油膜が存在するトレイ101の画像101Aと、貯めた水の水面152Aに油膜が存在しないトレイ102の画像102Aとを示している。図2(a)の場合と異なり、水面151Aには水面における油膜の画像200Aが撮像されており、水面152Aにおいては、油膜が撮像されていない。この実験結果から、水面及び油膜からの赤外光を撮像することにより、水面と油膜との判別が行えることが判る。
ここで、水面と油膜とにおける反射率がそれほど大きくないため、反射を検知する温度(赤外線画像の輝度)範囲を特定する必要がある。しかしながら、反射率の違いが検知可能な温度範囲が、油膜と水との温度差や、昼と夜との赤外光の光量の変化などの環境による影響を受ける。このため、本実施形態における参照用擬似油膜11を用いることにより、形状が明確であるため、赤外光を測定する温度範囲を変更させ、参照用擬似油膜11の形状を抽出することにより、いずれにその参照用擬似油膜11が存在するかが明確に判明する。この結果、この参照用擬似油膜11からの反射光を参照することで、水面における油膜からの反射を検知する精度を向上させることができる。
また、参照用擬似油膜11は、雨が降った場合など、表面に水が溜らないように、表面に撥水性を持たせる構成としてもよい。
また、参照用擬似油膜11は、雨が降った場合など、表面に水が溜らないように、赤外光に対する反射率に影響を与えない形状の範囲内において、中央部分が周縁部より高く形成された傾斜を有する形状としてもよい。
図3(a)は、油膜検出システム100の赤外線撮像装置12による、貯めた水の水面152に参照用擬似油膜11を配置したトレイ102と、貯めた水の水面302に油膜200が存在するトレイ103との撮像を示す概念図である。図3(a)においては、油膜検出システム100における赤外線撮像装置12が有線で油膜検出システム100の他の構成と接続されているが、無線により撮像画像のデータなどの送受信を行なう構成としてもよい。
図3(b)は、図2(c)に示す式で、灯油とPE(Polyethylene:ポリエチレン)との各々の屈折率n2で計算した反射率を示すテーブルである。テーブルにおいて示されるように、灯油の反射率「3.4」とPEとの反射率「4.4」との各々は、水の反射率「2.0」と比較して非常に近い値である。
画像102Aにおいては、PEで形成した参照用擬似油膜11の画像11Aと、水面301の画像301Aとが異なる輝度値の画素(あるいはピクセル)となっていることが判る。また、画像103Aにおいては、油膜200の画像200Aと、水面302の画像302Aとが異なる輝度値の画素となっていることが判る。
ここで、参照用擬似油膜11の形状は、できれば、油膜の形状としては存在しない、油膜の形状と識別できる形状とすることが望ましい。
画像処理部13は、撮像する撮像画像において、参照用擬似油膜11の形状が水面と最も区別できる、赤外光を検出する温度範囲を抽出する。すなわち、画像処理部13は、撮像画像において、参照用擬似油膜11の形状を示す参照用画像領域と、水面の画像領域との輝度値の差が最も大きく検出される、赤外光を検出する検出温度範囲を抽出する。そして、画像処理部13は、抽出した検出温度範囲内において赤外光の撮像画像を撮像し、例えば、上記参照用画像領域を枠で囲んだ後、輝度閾値設定部14に対して出力する。
画像輝度比較部15は、参照用画像領域以外の撮像画像の領域における画素の輝度値と、輝度閾値とを比較する。そして、画像輝度比較部15は、輝度閾値を超える輝度値を有する画素を検出し、例えば、輝度閾値を超える輝度値を有する第1画素と、輝度閾値以下の輝度値を有する第2画素とを二値化する。
油膜有無判定部17は、対象画像領域に含まれる第1画素の画素数が予め設定された画素数閾値を超えるか否かにより、油膜が存在するか否かの判定を行なう。すなわち、油膜有無判定部17は、対象画像領域に含まれる第1画素の画素数が予め設定された画素数閾値を超える場合に、この対象画像領域が油膜の撮像された画像であると判定する。一方、油膜有無判定部17は、対象画像領域に含まれる第1画素の画素数が予め設定された画素数閾値以下である場合に、この対象画像領域が油膜の撮像された画像でない(ノイズである)と判定する。
図4は、記憶部18に書き込まれて記憶されている画素テーブルの構成例を示す図である。図4において、画素テーブルは、レコード毎に、画素座標と、輝度値と、判定値との各々の欄が設けられている。画素座標は、撮像画像の2次元座標系における画素の各々の座標位置を示している。輝度値は、対象物で反射された赤外光を撮像した撮像画像における画素の輝度値を示している。判定値は、輝度閾値を超えるか否かにより判定した二値化の数値を示している。この判定値は、輝度閾値を超える輝度値を有する画素に対しては「1」の輝度値となり、輝度閾値以下の輝度値を有する画素に対しては「0」の輝度値となる。
また、油膜有無判定部17は、記憶部18における画素グループテーブルを参照し、グループ識別情報毎に、順次、第1画素の画素数が画素数閾値を超えるか否かの判定結果を、「油膜」あるいは「ノイズ」として、画素グループテーブルの判定結果の欄に書き込んで記憶させる。
図7は、フローチャートにおける処理を説明するための貯水槽と、貯水槽の水面を撮像する赤外線撮像装置12の位置関係を示す図である。図7において、貯水槽500には、水が貯められており、水面501には参照用擬似油膜11が配置されている。さらに、油膜及び参照用擬似油膜の赤外線画像を明瞭化するため、赤外線光源(不図示)を設け、この赤外線光源の赤外光を水面501に照射する構成としてもよい。この参照用擬似油膜を用いて、図6のフローチャートにより油膜200の検出を行なう。
以下、図6のフローチャートにおける処理の流れに従い、参照用擬似油膜を用いた水面における油膜の有無の検出の動作の説明を行なう。
画像処理部13は、赤外線撮像装置12の撮像した図8に示す撮像画像を順次入力する。このとき、画像処理部13は、赤外光を検出する温度範囲を変化させつつ、参照用擬似油膜11の画像11Aと水面501の領域との輝度値の差分が最大となる(検出感度が最大となる)赤外光の測定を赤外線撮像装置12において行なう温度範囲を抽出する。ここで、画像処理部13は、他の領域よりも輝度値の高い領域が、予め記憶されている参照用擬似油膜11の形状と類似しているか否かにより、参照用擬似油膜11の画像11Aであることを検出する。
そして、画像処理部13は、抽出された温度範囲において、赤外線撮像装置12により撮像された画像500Aを判定に用いる撮像画像とする。
画像処理部13は、参照用擬似油膜11の形状をした、他の領域よりも輝度値の高い領域を抽出する。そして、画像処理部13は、参照用擬似油膜11の画像11Aを参照用画像領域として抽出し、所定の枠で囲んだ後、輝度閾値設定部14に対して出力する。また、画像処理部13は、撮像画像における画素の各々の輝度値を、画素それぞれの画素座標に対応させて、記憶部18の画素テーブルに書き込んで記憶させる。
輝度閾値設定部14は、記憶部18の画素テーブルから、参照用画像領域における画素の各々の輝度値を抽出する。
輝度閾値設定部14は、抽出した参照用画像領域における画素の各々の輝度値を平均化し、平均化した輝度値を輝度閾値とする(輝度閾値の抽出)。
画像輝度比較部15は、輝度閾値設定部14が求めた輝度閾値と、参照用画像領域以外の領域における画素の各々の輝度値とを順次比較する。
画像輝度比較部15は、画素の輝度値が輝度閾値以下の場合、処理をステップS7へ進める。
一方、画像輝度比較部15は、画素の輝度値が輝度閾値を超えている場合、処理をステップS8へ進める。
画像輝度比較部15は、画素の輝度値が輝度閾値以下の場合、記憶部18の画素テーブルの判定値を、二値化における輝度値「0」を書き込む処理を行なう。
画像輝度比較部15は、画素の輝度値が輝度閾値を超えている場合、記憶部18の画素テーブルの判定値を、二値化における輝度値「1」を書き込み、この画素を第1画素とする処理を行なう。
画像輝度比較部15は、記憶部18の画素テーブルにおける全ての画素座標の画素の輝度値と、輝度閾値との比較が終了したか否かの判定を行なう。
このとき、画像輝度比較部15は、記憶部18の画素テーブルにおける全ての画素座標の画素の輝度値と、輝度閾値との比較が終了した場合、処理をステップS10へ進める。
一方、画像輝度比較部15は、記憶部18の画素テーブルにおける全ての画素座標の画素の輝度値と、輝度閾値との比較が終了していない場合、処理をステップS5へ進め、画素テーブルにおける次の画素座標の画素に対する比較の処理を行なう。
画素グルーピング部16は、記憶部18の画素テーブルを参照し、画素座標が隣接した輝度値「1」の第1画素をグルーピングする。
そして、画素グルーピング部16は、グルーピングされた第1画素の集合を対象画像領域として、グループ識別情報を付与する。また、画素グルーピング部16は、付与したグループ識別情報とともに、対象画像領域の中心にある中心画素座標と、対象画像領域に含まれる画素の画素座標を示す画素座標群と、対象画像領域に含まれる画素の数を示す画素数とを、記憶部18の画素グループテーブルに書き込んで記憶させる。
油膜有無判定部17は、記憶部18の画素グループテーブルを参照し、対象画像領域における第1画素の数が、予め設定されている画素数閾値を超えるか否かの判定を行なう。
ここで、画素数閾値は、対象画像領域の面積の大きさが油膜であるかノイズであるかの判定を行なうために用いる面積閾値である。
すなわち、本ステップにおいては、油膜有無判定部17が、記憶部18の画素グループテーブルを参照し、対象画像領域の面積が、予め設定されている面積閾値(油膜であると判定する面積の閾値)を超えるか否かの判定を行なうことを示している。このため、上記画素数閾値は、赤外線撮像装置12の分解能と、実験で求められた油膜と判定できる面積とにより、予め設定される。
油膜有無判定部17は、対象画像領域における第1画素の数が、予め設定されている画素数閾値を超える場合、処理をステップS13へ進める。
一方、油膜有無判定部17は、対象画像領域における第1画素の数が、予め設定されている画素数閾値以下の場合、処理をステップS14へ進める。
油膜有無判定部17は、対象画像領域における第1画素の数が、予め設定されている画素数閾値を超える場合、記憶部18の画素グループテーブルにおける判定結果の欄に「油膜」を書き込む処理を行なう。これにより、油膜有無判定部17は、図7における水面501の油膜200の画像領域(対象画像領域)を油膜と判定する。
油膜有無判定部17は、対象画像領域における第1画素の数が、予め設定されている画素数閾値以下の場合、記憶部18の画素グループテーブルにおける判定結果の欄に「ノイズ」を書き込む処理を行なう。
油膜有無判定部17は、記憶部18の画素グループテーブルにおける全てのグループ識別情報の対象画像領域の画素数と、画素数閾値との比較が終了したか否かの判定を行なう。
このとき、油膜有無判定部17は、記憶部18の画素グループテーブルにおける全てのグループ識別情報の対象画像領域の画素数と、画素数閾値と比較が終了した場合、処理をステップS16へ進める。
一方、油膜有無判定部17は、記憶部18の画素グループテーブルにおける全てのグループ識別情報の対象画像領域の画素数と、画素数閾値との比較が終了していない場合、処理をステップS11へ進め、画素グループテーブルにおける次のグループ識別情報の対象画像領域に対する比較の処理を行なう。
油膜有無判定部17は、記憶部18の画素グループテーブルを参照し、判定結果が「油膜」となっているグループ識別情報を抽出する。
そして、油膜有無判定部17は、油膜検出システムにおける表示部(不図示)の表示画面に、図8に示す判定された油膜検出画像を表示する。図8における画像200Aが上述した処理により検出された油膜として表示される。
図8は、図7において赤外線撮像装置12により撮像された貯水槽500の撮像画像かにより判定した油膜検出画像の概念図である。図8においては、貯水槽の画像500A(撮像画像)には、水面の画像501Aにおける参照用擬似油膜11の画像11Aと、油膜と判定された油膜200の画像200Aとが示されている。
これにより、複数台の赤外線撮像装置12を用いることにより、赤外線撮像装置12で水面501全体を撮像した撮像画像に比較して、画素数の多い、すなわち分解能の高い撮像画像を得ることができ、油膜の検出精度を向上させることができる。
これにより、複数台の赤外線撮像装置12を用いることにより、一台の赤外線撮像装置12で撮像した撮像画像に比較して、画素数の多い、すなわち分解能の高い撮像画像を得ることができ、油膜の検出精度を向上させることができる。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
11…参照用擬似油膜
12…赤外線撮像装置
13…画像処理部
14…輝度閾値設定部
15…画像輝度比較部
16…画素グルーピング部
17…油膜有無判定部
18…記憶部
Claims (6)
- 測定対象の水面に対して浮遊させる参照用擬似油膜と、
前記測定対象の水面から反射される赤外光の撮像画像を撮像する赤外線撮像装置と、
前記撮像画像において、前記参照用擬似油膜から反射される赤外光が撮像された参照用画像領域と、前記水面から反射される赤外光が撮像された対象画像領域とにおいて、前記対象画像領域における対象輝度値が前記参照用画像領域における輝度閾値を超えるか否かを判定する画像輝度比較部と、
前記画像輝度比較部の判定結果により、前記水面における油膜の有無を検出する油膜有無判定部と
を備えることを特徴とする油膜検出システム。 - 前記参照用画像領域における画素の輝度値の平均値を求め、当該平均値を前記輝度閾値とする輝度閾値設定部
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の油膜検出システム。 - 前記水面の撮像画像において、隣接する前記輝度閾値を超える画素をグルーピングして、前記対象画像領域を生成する画素グルーピング部を
さらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の油膜検出システム。 - 前記油膜有無判定部が、
前記対象画像領域における画素数が予め設定した画素数閾値を超える場合に、前記水面に油膜があると判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の油膜検出システム。 - 前記赤外線撮像装置が、前記測定対象の水面を複数の部分に分割して分割画像を撮像し、当該分割画像を合成して、前記撮像画像とする
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の油膜検出システム。 - 赤外線撮像装置が、測定対象の水面から反射される赤外光の撮像画像を撮像する赤外線撮像過程と、
画像輝度比較部が、前記撮像画像において測定対象の水面に対して浮遊させる参照用擬似油膜から反射される赤外光が撮像された参照用画像領域と、前記水面から反射される赤外光が撮像された対象画像領域とにおいて、前記対象画像領域における対象輝度値が前記参照用画像領域における輝度閾値を超えるか否かを判定する画像輝度比較過程と、
油膜有無判定部が、前記画像輝度比較部の判定結果により、前記水面における油膜の有無を検出する油膜有無判定過程と
を含むことを特徴とする油膜検出方法。
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