JP4654894B2 - 油膜検知装置及び方法 - Google Patents
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Description
油は拡散し易く、拡散した油は油膜となり河川の下流数キロメートルにわたって広がることから水環境に大きな影響を及ぼす。
したがって、高感度で24時間連続監視が可能な河川の油膜検知システムが望まれている。
例えば、水面に波長200〜300nmの励起光を照射し、油膜による波長300〜400nmの蛍光を選択的に受光し、その受光強度により油膜の有無を判定する蛍光分析法(特許文献1)、水に比較して油膜の反射率が高くなることを利用した反射率測定法、水面を画像で撮像しその輝度変化を油膜として検知する輝度変化検知法(特許文献2)、レーザ光源からの光ビームを二次元走査したり面状に拡散させて水面に照射し、その反射光の偏光解析を行うことにより油膜の有無を判別を行う偏光解析法(特許文献3)等が知られている。
反射率測定法は、水より反射率が高ければ油以外のものも検知してしまうため誤作動のおそれがあり、油の流出面積・流出量を測定することが困難であるという問題があった。
輝度変化検知法は、輝度変化があればその原因が油以外でも検知してしまうため、やはり誤作動のおそれがある。
さらに、偏光解析法は、投光系及び受光系の光学系が複雑になるだけでなく、検知範囲がせいぜい10cm×10cmと狭いという問題がある。
すなわち、油膜が形成されている領域では虹色の干渉パターンが形成されるので、画像には様々な色が含まれることとなり、その色のスペクトルは分散される。
一方、油膜が形成されていない領域では虹色の干渉パターンがないので、画像に含まれる色のスペクトルは背景となる水の色の近傍に集中する。
これより、色の分布状態を数値化した色分布データで表したときに、数値が大きければ油膜形成の可能性が高く、数値が小さければ油膜形成の可能性が低くなる。
したがって、色分布データに基づいて油膜の有無を判定することができる。
さらに、油膜が形成された微小領域の合計面積をこれに対応する水面の面積に換算するだけで油の流出面積を算出することができる。
なお、通常のデジタルカメラなどに用いられているカラー撮像装置で撮像された画像を処理するだけで検知可能であるので複雑な光学系が不要で、しかも、虹色パターンの有無を検知しているので誤動作が少ないという効果がある。
図1は本発明に係る油膜検知装置の一例を示す説明図、図2はその処理手順を示すフローチャート、図3は画像の処理過程を示す説明図である。
監視領域Eは、直射日光の影響を受けないように屋根などで覆われており、その水面に照明光を照射する照明装置3と、油膜Rにより形成される虹色パターンを撮像するカラー撮像装置4と、その画像を処理する画像処理装置5を備えている。なお、撮像装置4には、液面からの反射光をカットする偏光フィルタが装着されている。
照明装置3は、可視光領域の少なくとも一部に連続スペクトル分布を有する照明光を照射するもので、本例では、複数本の蛍光灯を並列に配してその正面に乳白色のアクリル製散乱板を配したものを用いている。
また、前記判定手段M3で油膜が形成されていると判定されたときに、各微小領域Auvについて油膜が形成された部分とされていない部分を識別可能にディスプレイ装置6に表示させる油膜形成領域表示手段M4と、油膜が形成された微小領域Auvの合計面積に基づき、油の流出面積を算出する流出面積算出手段M5を備えている。
油膜検知を行う場合は、照明装置3を点灯した状態でカラー撮像装置4をオンして、画像処理プログラムを実行させると、ステップSTP1で撮像装置4から画像データIMGが取り込まれ、ステップSTP2でその画像が所定の大きさの微小領域Auvに分割される。
例えば、有効撮像画素数が縦×横=2000×3000ピクセルのときに、微小領域Auvの大きさを50×50ピクセルとすると、画像データIMGは微小領域A1,1〜A40,60の2400に分割されることとなる。
色分布データKcuvは、例えば次式で求める。
これにより、微小領域Auvごとに色分布データKcuv(0≦Kcuv≦1)が算出され、色の分布がCIE色度図の広範囲にわたっているときは、Kcuvの値が1に近づき、色の分布がCIE色度図の限られた範囲内に集中している場合は、Kcuvの値が0に近づく。
これにより、色の暗いところは油膜Rが形成され,明るいところは油膜Rが形成されていないと判断できる。
なお、グレースケールの場合は、灰色で表示された部分に油膜Rがあるのかないのか判断しかねるので、ステップSTP12で色分布データKcuvを予め設定した閾値K0(例えばK0=0.2)と比較し、その大小により2値化してモノクロ表示にすれば、黒い部分があれば油膜Rがあると簡単に判断できる。
また、ステップSTP14で、予め設定された個々の微小領域Auvの水面上の面積Suvに基づき、黒く表わされた微小領域Auvの面積の総和から、油の流出面積SをS=ΣSuvで算出した後、ステップSTP1に戻り、新たに入力された次の画像データについて同様の処理を繰り返す。
まず、油膜Rが形成された水面の画像データIMGが入力されると、図3(a)に示すように微小領域Auvに分割される。
各微小領域Auvは、図3(b)に示すように50×50ピクセルの画素Pijからなり、各画素Pijから出力されるRGB出力信号(KRij,KGij,KBij)がCIE表色系のカラーデータ(xij、yij)に変換され、そのカラーデータが図3(c)及び(d)に示すようにCIE色度図上にプロットされる。
図3(c)は油膜Rが形成されていない微小領域Auvの色分布を示すCIE色度図であり、背景となる水の色のみであるので、その色分布はCIE色度図の限られた範囲内に集中し、図3(e)に示すようにCIE色度図を色分布データ測定用微小領域に分割すると、カラーデータのない部分がほとんどであるので、色分布データKcuvの値は0に近い。
また、図3(d)は油膜Rが形成されている微小領域Auvの色分布を示すCIE色度図であり、水面に虹色パターンが形成されているので、その色分布はCIE色度図の広範囲に分散され、図3(f)に示すようにCIE色度図を色分布データ測定用微小領域に分割すると、カラーデータの存在する微小領域が多いので、色分布データKcuvの値は1に近い。
このようにして算出された色分布データKcuvを、画像データIMGの微小領域Auvに対応する位置に256階調で表示すると、図3(g)に示すように、油膜Rが形成されている部分は黒く、油膜Rのない部分は白く、その中間は灰色に表示される。
そして、図3(h)に示すように、この色分布データKcuvを適当な閾値K0を用いて2値化することにより、モノクロ表示すれば、より簡単に油膜Rの有無を判断することができる。
また、個々の微小領域Auvの水面上の面積Suvを予め設定しておき、黒く表わされた微小領域Auvの面積の総和から、油の流出面積SをS=ΣSuvにより算出することができる。
3 照明装置
4 カラー撮像装置
5 画像処理装置
5 ディスプレイ装置
M1 微小領域設定手段
M2 色分布測定手段
M3 判定手段
M4 油膜形成領域表示手段
M5 流出面積算出手段
Claims (9)
- 水面上に形成される油膜の有無を検知する油膜検知装置であって、
油膜により形成される虹色パターンを撮像するカラー撮像装置と、その画像を処理する画像処理装置とを備え、
前記画像処理装置は、撮像された画像を所定の大きさの微小領域に分割する微小領域設定手段と、各微小領域中に含まれる色の分布状態を数値測定して得られる色分布データを各微小領域ごとに算出する色分布測定手段と、夫々の微小領域の色分布データに基づいて油膜の形成の有無を判定する判定手段を備えたことを特徴とする油膜検知装置。 - 前記色分布データが、微小領域に含まれる色の分散度合いを表わす数値データである請求項1記載の油膜検知装置。
- 前記判定手段が、前記色分布データを予め設定された閾値と比較することにより、油膜の有無を判定する判定手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の油膜検知装置。
- 前記カラー撮像装置の撮像エリアに可視光領域の少なくとも一部に連続スペクトル分布を有する照明光を照射する照明装置を備えた請求項1記載の油膜検知装置。
- 前記カラー撮像装置の撮像エリアに白色の照明光を照射する照明装置を備えた請求項1記載の油膜検知装置。
- 前記各微小領域について油膜が形成された部分と形成されていない部分を識別可能に表示させる油膜形成領域表示手段を備えた請求項1記載の油膜検知装置。
- 前記油膜が形成されている微小領域の合計面積に基づき、油の流出面積を算出する流出面積算出手段を備えた請求項1記載の油膜検知装置。
- 前記色分布測定手段は、前記各微小領域ごとにその領域に含まれる各画素から出力されるRGB出力信号に基づいて画素ごとの色データをCIE色度図にプロットするプロット手段と、CIE色度図を所定の色分布測定用微小領域に分割して前記色データのプロットの存在する領域の数を色分布データとして計数する色分布データ計数手段を備えた請求項1記載の油膜検知装置。
- 水面上に形成される油膜の有無を検知する油膜検知方法であって、
水面を撮像するカラー画像を所定の大きさの微小領域に分割し、各微小領域中に含まれる色の分布状態を数値測定し、夫々の微小領域について数値化された色分布データを予め設定された閾値と比較してその微小領域の油膜の有無を判定することを特徴とする油膜検知方法。
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