以下、図を参照して幾つかの具体的な例を挙げて、本発明を実施するための複数の形態を示す。各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る触覚提示装置10の側面断面図である。
触覚提示装置10は、制御部11、駆動部12、アクチュエータ20、およびタッチパネル30を備えている。アクチュエータ20とタッチパネル30とは、それぞれ厚み方向に薄手であり、互いに厚み方向に積層されている。タッチパネル30は、静電容量式のタッチキーボード等を構成するものであり、アクチュエータ20に対して厚み方向の天面側に配置されている。タッチパネル30は、ユーザによるタッチ操作を検出すると検出信号を制御部11に出力する。タッチパネル30は、特許請求の範囲に記載のタッチ検出部に相当している。
制御部11は、タッチパネル30から検出信号が入力されると、駆動部12に制御信号を出力する。駆動部12は、制御部11から制御信号が入力されると、所定の周波数で駆動電圧Vc1をアクチュエータ20に出力する。
アクチュエータ20は、可動板21と支持枠22と振動フィルム23と弾性フィルム24とを備えている。
図2(A)は、触覚提示装置10を底面側から視た平面図である。可動板21は、厚み方向から視て長さ方向(第1平面方向)と幅方向(第2平面方向)とを有する長方形状の平板であり、アクリル樹脂PMMA、金属板、PET、ポリカーボネイト(PC)、PLLA、ガラス等の材料で構成している。可動板21の天面はタッチパネル30を装着している。該可動板21は長さ方向に変位自在である。
支持枠22は、厚み方向から視て、隙間を空けて可動板21の周りを囲む矩形の枠状であり、特許請求の範囲に記載の支持部に相当している。支持枠22は、アクリル樹脂PMMA、金属板、PET、ポリカーボネイト(PC)、PLLA、ガラス等の材料で構成することができる。ここでは、支持枠22は、図1に示すように幅方向から視て、可動板21と同程度の厚みを有し、可動板21と殆ど同じ高さに配置されている。
振動フィルム23と弾性フィルム24とは、それぞれ厚み方向から視て長方形状である。振動フィルム23は、電圧の印加によって面内向に伸縮する性質を持つ材料からなるフィルム、例えば、有機圧電フィルム、電歪フィルム、エレクトレットフィルム、圧電粒子を高分子に分散させたコンポジットフィルム、電気活性高分子フィルム、それらの複合フィルム+エキサイタフィルム、圧電セラミックスを貼り付けた複合フィルム等である。ここでは、振動フィルム23は、有機圧電フィルムの両主面に図示しない電極を設けて構成している。有機圧電フィルムといては、例えばキラル高分子のL体であるL型ポリ乳酸(PLLA)や、キラル高分子のD体であるD型ポリ乳酸(PDLA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のような圧電材料で構成することができる。振動フィルム23がPLLAで構成される場合には、図2(A)中に白抜きの矢印で示す主延伸方向に延伸処理を施したフィルムから、主延伸方向に対して略45°の方向が長さ方向となるように振動フィルム23を切り出すことで、所定電圧の印加によって長さ方向に伸びまたは縮みが生じるような圧電性(逆圧電効果)を持たせることができる。また、弾性フィルム24はゴム等の弾性材料からなる。
また、振動フィルム23および弾性フィルム24は、図1に示すように幅方向から視て、可動板21および支持枠22の底面側に配置している。そして、振動フィルム23は、可動板21の長さ方向の端部に一端を連結し、可動板21との接続部から長さ方向に延びて、他端を支持枠22に連結している。弾性フィルム24は、振動フィルム23とは逆に、可動板21における長さ方向の反対側の端部に一端を連結し、可動板21との接続部から長さ方向の反対側に延びて、他端を支持枠22に連結している。
図2(B)は、アクチュエータ20の振動態様を示す平面図である。
アクチュエータ20の振動フィルム23には、駆動部12から駆動電圧Vc1が印加される。これにより、振動フィルム23には長さ方向に沿って伸びまたは縮みが生じることになる。そして、振動フィルム23の駆動に伴い、可動板21に変位が生じるとともに、可動板21の変位に追従して弾性フィルム24が弾性変形し、振動フィルム23とは逆に縮みまたは伸びが生じることになる。
ここで、振動フィルム23および弾性フィルム24は、可動板21の中心を通り長さ方向に延びる中心線(図2(A)中に破線で示す)を境に対称形になるように設けられている。このため、振動時に振動フィルム23から可動板21に作用する力の作用線と、弾性フィルム24から可動板21に作用する力の作用線とが同一直線上になる。これにより、アクチュエータ20の可動板21およびタッチパネル30は、長さ方向に沿って振動することになる。
したがって、タッチパネル30をタッチ操作する利用者の指には、可動板21およびタッチパネル30の長さ方向に沿った振動が伝わることになる。利用者は、このタッチパネル30の振動を感じることで、タッチパネル30に対するタッチ操作が受け付けられたことがわかる。このことによって利用者に触覚フィードバックが与えられ、タッチパネル30の操作感や操作性が向上する。
本実施形態に係る触覚提示装置10およびアクチュエータ20の構成では、従来の可動板を弓形に撓ませる構成のように押圧力によって可動板が潰れて振動が生じ難くなるようなことがなく、可動板21を確実に振動させられる。また、アクチュエータ20の厚みを、可動板21や支持枠22の厚みと振動フィルム23および弾性フィルム24の厚みとを足し合わせた程度の極めて薄い厚みにすることができ、アクチュエータ20および触覚提示装置10を小型に構成することができる。
図3(A)は、第1の実施形態の第1の変形例に係るアクチュエータ20Aの側面断面図である。アクチュエータ20Aにおいては、振動フィルム23Aおよび弾性フィルム24Aの天面側に可動板21Aを配置し、振動フィルム23Aおよび弾性フィルム24Aの底面側に支持枠22Aを配置している。このようにアクチュエータ20Aを構成すると、アクチュエータ20Aを直接テーブル等の天面に配置しても、振動フィルム23Aおよび弾性フィルム24Aがテーブル等の天面に接触することがなく、振動フィルム23Aおよび弾性フィルム24Aの伸縮に伴うテーブル天面とのすれや、アクチュエータ20Aの配置ずれが生じることを防ぐことができる。
図3(B)は、第1の実施形態の第2の変形例に係るアクチュエータ20Bの側面断面図である。アクチュエータ20Bにおいては、振動フィルム23Bおよび弾性フィルム24Bの底面側に可動板21Bおよび支持枠22Bを配置し、また、支持枠22Bの高さを可動板21Bの厚みよりも大きくすることにより、振動フィルム23B、弾性フィルム24B、および可動板21Bがテーブル等の天面に接触することを防いでいる。これにより、振動フィルム23Bおよび弾性フィルム24Bの伸縮に伴って、可動板21Bがテーブル等の天面とすれることや、アクチュエータ20Bの配置ずれが生じることを防ぐことができる。
図4は、第1の実施形態の第3の変形例に係るアクチュエータ20Cの側面断面図である。アクチュエータ20Cにおいては、第1の変形例で示した可動板を支持板21Cとして用い、第1の変形例で示した支持枠を可動枠22Cとして用い、可動枠22Cの天面側に更に可動板25Cを設けている。このような構成のアクチュエータ20Cにおいては、支持板21Cがテーブル等の天面と接触する面積を稼ぐことができ、アクチュエータ20Cをより安定的に支持することができるようになる。また、可動板25Cの天面側にタッチパネルを配置するスペースを稼ぐことができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る触覚提示装置10Dについて説明する。図5(A)は、触覚提示装置10Dの側面断面図である。図5(B)は、触覚提示装置10Dの底面側から視た平面図である。
触覚提示装置10Dは、第1の実施形態と同様な構成として制御部11D、およびタッチパネル30Dを備えており、第1の実施形態と異なる構成として駆動部12D、およびアクチュエータ20Dを備えている。駆動部12Dは、制御部11Dから制御信号が入力されると、同一周波数で位相を制御した複数の駆動電圧Vc1,Vc2をアクチュエータ20Dに出力する。
アクチュエータ20Dは、第1の実施形態と同様な構成として可動板21Dと支持枠22Dと振動フィルム23Dとを備えており、第1の実施形態と異なる構成として、前述の弾性フィルム24に替えて振動フィルム24Dを備えている。振動フィルム24Dは、振動フィルム23Dと同様に、厚み方向から視て長方形状であり、電圧の印加によって長さ方向に伸縮する性質を持っている。そして、振動フィルム24Dは、振動フィルム23Dとは逆に、可動板21Dにおける長さ方向の反対側の端部に一端を連結し、可動板21Dとの接続部から長さ方向の反対側に延びて、他端を支持枠22Dに連結している。振動フィルム23Dは特許請求の範囲に記載の「第1の振動フィルム」に相当し、振動フィルム24Dは特許請求の範囲に記載の「第2の振動フィルム」に相当している。
アクチュエータ20Dの振動フィルム23D,24Dに駆動部12Dから印加される駆動電圧Vc1,Vc2は、互いの位相差が180°となるように、駆動部12Dに設定されている。即ち、振動フィルム23Dに印加される駆動電圧Vc1と振動フィルム24Dに印加する駆動電圧Vc2とは互いに逆位相となっている。したがって、振動フィルム23D,24Dそれぞれには長さ方向に沿って互いに逆位相で伸びまたは縮みが生じることになる。これにより、可動板21Dおよびタッチパネル30Dは、振動フィルム23D,24Dの駆動に伴って、長さ方向に沿って振動することになる。
このように構成したアクチュエータ20Dでは、2つの振動フィルム23D,24Dから作用する力の合力によって可動板21Dが変位するために、また、第1の実施形態で設けていた弾性フィルムを省くことで可動板21Dに弾性力が作用しなくなるために、可動板21Dを振動させる力と可動板21Dの変位量とが第1の実施形態に比べて大きくなる。
なお、ここでは駆動部12Dでの駆動電圧の位相制御によって、振動フィルム23D,24Dの振動に位相差を設定する例を示したが、その他の方法で振動フィルム23D,24Dの振動に位相差を生じさせてもよい。例えば、振動フィルム23D,24Dを圧電材料で構成する場合には、基準電位を接続する振動フィルムの電極を上下逆にすることで、2つの振動フィルムに生じる振動に位相差を生じさせることもできる。また、2つの振動フィルムを構成する圧電材料の主延伸方向(分極方向)の向きを異ならせることによって、2つの振動フィルムの振動に位相差を生じさせることもできる。さらには、2つの振動フィルムを構成する圧電材料の主延伸方向の向きを同じとし、2つの振動フィルムをそれぞれキラル分子のL体、D体とすることによって、2つの振動フィルムの振動に位相差を生じさせることもできる
図6(A)は、第2の実施形態の変形例に係るアクチュエータ20Eの底面側から視た平面図である。アクチュエータ20Eにおいては、振動フィルム23Eおよび振動フィルム24EをPLLAで構成し、図6(A)中に白抜きの矢印で示す主延伸方向に延伸処理を施し、主延伸方向に対して略0°の方向が長さ方向となるように振動フィルム23E,24Eを切り出すことで、所定電圧の印加によって長さ方向および幅方向に対して交差する方向に伸びおよび縮みが生じるようにしている。
図6(B)は、アクチュエータ20Eの振動態様を示す平面図である。
振動フィルム23E,24Eは、駆動電圧の印加により長さ方向に対する略45°の方向に伸びまたは縮みが生じるとともに、長さ方向に対する略−45°の方向には略45°の方向とは逆に縮みまたは伸びが生じる。
このため、このアクチュエータ20Eでは、振動フィルム23E,24Eに印加する駆動電圧を互いに逆位相とすることにより、振動フィルム23Eと振動フィルム24Eとを幅方向に沿って延びる中心線を境に線対象な平行四辺形状に変形させることができる。これにより、振動フィルム23E,24Eにおける振動板21Eに連結される側の端部が幅方向に沿って互いに同方向に変位することになり、アクチュエータ20Eの可動板21Eは、振動フィルム23E,24Eの駆動に伴い、幅方向に沿って振動することになる。
このように構成したアクチュエータ20Eにおいては、振動フィルム23E,24Eが設けられている可動板21Eの長さ方向ではなく、振動フィルムが設けられていない可動板21Eの幅方向が、可動板21Eの振動方向となる。したがって、可動板21Eの振動方向に振動フィルムを設ける必要が無く、可動板21Eの振動方向におけるアクチュエータ20Eのサイズを抑制することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係るアクチュエータ20Fについて説明する。図7は、アクチュエータ20Fの底面側から視た平面図である。
アクチュエータ20Fは、第2の実施形態と同様な構成として可動板21Fと支持枠22Fと振動フィルム23F,24Fとを備えており、第2の実施形態と異なる構成として振動フィルム25F,26Fを備えている。
振動フィルム25Fおよび振動フィルム26Fは、それぞれ厚み方向から視て長方形状であり、所定電圧の印加によって幅方向に伸びまたは縮みが生じる性質を有している。そして、振動フィルム25Fは、可動板21Fの幅方向の端部に一端を連結し、可動板21Fとの接続部から幅方向に延びて、他端を支持枠22Fに連結している。振動フィルム26Fは、振動フィルム25Fとは逆に、可動板21Fにおける幅方向の反対側の端部に一端を連結し、可動板21Fとの接続部から幅方向の反対側に延びて、他端を支持枠22Fに連結している。したがって、振動フィルム25Fは特許請求の範囲に記載の「第3の振動フィルム」に相当し、振動フィルム26Fは特許請求の範囲に記載の「第4の振動フィルム」に相当している。
図8(A)は、アクチュエータ20Fの第1の振動態様を示す平面図である。
この第1の振動態様では、アクチュエータ20Fに対して、例えば、振動フィルム23F,24Fに駆動電圧を印加せずに(駆動電圧の振幅をゼロにし)、振動フィルム25F,26Fに互いに逆位相となる駆動電圧を印加することにより、振動フィルム25F,26Fそれぞれに逆位相で伸びまたは縮みを生じさせる。
振動フィルム25Fおよび振動フィルム26Fは、可動板21Fの中心を通り幅方向に延びる中心線(図7中に破線で示す)を境に対称形になるように設けられているため、振動フィルム25Fの振動によって振動フィルム25Fから可動板21Fに作用する力の作用線と、振動フィルム26Fの振動によって振動フィルム26Fから可動板21Fに作用する力の作用線とが同一直線上になる。これにより、可動板21Fは、振動フィルム25F,26Fの駆動に伴い、幅方向に沿って振動することになる。 なお、振動フィルム25F,26Fに駆動電圧を印加せずに(駆動電圧の振幅をゼロにし)、振動フィルム23F,24Fに印加する駆動電圧を互いに逆位相とすることにより、振動フィルム23F,24Fそれぞれに逆位相で伸びまたは縮みを生じさせ、可動板21Fを長さ方向に沿って振動させることもできる。
また、上記の第1の振動態様を生じさせる際には、長さ方向に向かい合う振動フィルム23F,24Fの駆動電圧の振幅をほぼゼロにするのではなく、振動フィルム23F,24Fに対して、幅方向に向かい合う振動フィルム25F,26Fの駆動周波数の2倍の駆動周波数を有する駆動電圧を印加し、長さ方向に向かい合う振動フィルム23F,24F同士を同位相で振動させ、幅方向に向かい合う振動フィルム25F,26Fを逆位相で振動させるようにしてもよい。図9は、この場合の振動フィルム23F,24Fの変形状態の時間変化を示す図である。
振動フィルム23F,24Fに対して、振動フィルム25F,26Fの駆動周波数の2倍の駆動周波数を有する駆動電圧を印加する場合、振動フィルム25F,26Fの駆動によって可動板21Fが幅方向に振動する1周期の間に、振動フィルム23F,24Fは長さ方向に2周期分振動する。このため、振動フィルム25Fが縮み振動フィルム25Fが伸びる際(図9(A)参照。)と、振動フィルム25Fが伸び振動フィルム25Fが縮む際(図9(C)参照。)に、振動フィルム23F,24Fが伸び、振動フィルム25F,26Fが原寸法に戻る際(図9(B)および図9(D)参照。)に、振動フィルム23F,24Fが縮むようにすることができる。このようにすれば、可動板21Fが幅方向に大きな変位量で変位する際に、可動板21Fに対して長さ方向に位置する振動フィルム23F,24Fが伸びるため、可動板21Fの幅方向の振動が、振動フィルム23F,24Fにより阻害されることを防ぐ(抑制する)ことができる。その上、可動板21Fの幅方向の振動を、振動フィルム23F,24Fの長さ方向の振動によって加振することができ、これにより可動板21Fを振動させる力と可動板21Fの変位量とをより大きくすることができる。
次に、アクチュエータ20Fの第2の振動態様について、図8(B)に基づいて説明する。図8(B)は、アクチュエータ20Fの第2の振動態様を示す平面図である。
この第2の振動態様では、アクチュエータ20Fに対して、互いに隣り合う振動フィルム23Fと振動フィルム25Fとに同位相の駆動電圧を印加し、それらに対向しつつ互い隣り合う振動フィルム24F,26Fに印加する駆動電圧の位相を、振動フィルム23F,25Fに印加する駆動電圧の位相よりも180°進ませる。即ち、振動フィルム23F,25Fと振動フィルム24F,26Fとで駆動電圧を逆位相にする。これにより振動フィルム23F,25Fと振動フィルム24F,26Fとには、互いに逆位相で伸びまたは縮みが生じる。すると、可動板21Fは、振動フィルム23F,25Fが連結される2つの辺の間の角部分と振動フィルム24F,26Fが連結される2つの辺の間の角部分との間を結ぶ右下がりの対角線方向に沿って振動することになる。
なお、振動フィルム23F,26Fと振動フィルム24F,25Fとに対して、互いに逆位相となる駆動電圧を印加するようにしてもよい。この場合には、可動板21Dを、振動フィルム23F,26Fが連結される2つの辺の間の角部分と振動フィルム24F,25Fが連結される2つの辺の間の角部分との間を結ぶ右上がりの対角線方向に沿って振動させることができる。
図8(C)は、アクチュエータ20Fの第3の振動態様を示す平面図である。
この第3の振動態様では、アクチュエータ20Fに対して、振動フィルム24Fに印加する駆動電圧の位相を振動フィルム23Fに印加する駆動信号の位相よりも90°進ませ、振動フィルム25Fに印加する駆動電圧の位相を振動フィルム23Fに印加する駆動信号の位相よりも180°進ませ、振動フィルム26Fに印加する駆動電圧の位相を振動フィルム23Fに印加する駆動信号の位相よりも270°進ませる。即ち、振動フィルム23F,24F,25F,26Fに印加する駆動信号を、図8(C)中の時計回りの順に90°の位相差を持たせる。これにより、振動フィルム23F,24F,25F,26Fに生じる伸びや縮みを時計回りにずらすことができる。これにより、アクチュエータ20Fの可動板21Fを、図8(C)中で反時計回りの周回軌道を描くように平行移動させることができる。
また逆に、振動フィルム23F,24F,25F,26Fに印加する駆動信号に、図8(C)中の反時計回りの順に90°の位相差を持たせることにより、可動板21Fを、図8(C)中で時計回りの周回軌道を描くように平行移動させることもできる。
図10は、アクチュエータ20Fの第4の振動態様を示す平面図である。
この第4の振動態様では、アクチュエータ20Fに対して、長さ方向に向かい合う振動フィルム23F,24Fに互いに逆位相の駆動電圧を印加するとともに、幅方向に向かい合う振動フィルム25F,26Fにも互いに逆位相の駆動電圧を印加する。そして、幅方向に向かい合う振動フィルム25F,26Fに印加する駆動電圧の周波数を、長さ方向に向かい合う振動フィルム23F,24Fに印加する駆動電圧の周波数の2倍とする。このようにすると、アクチュエータ20Fでは、図10(A)、図10(B)、図10(C)、図10(D)に順に示すように、各部に振動や変位が生じる。即ち、振動フィルム23F,24Fの駆動によって可動板21Fが幅方向に振動する0.5周期の間に、振動フィルム25F,26Fが長さ方向に1周期分振動し、振動板21Fが、長さ方向に対して8の字状の軌道を描いて平行移動するように変位する。このように、各振動フィルムに与える駆動電圧の位相や周波数を調整することで、振動板21Fを複雑な軌道を描くように変位させることができる。
なお、上記した2つの周波数の駆動電圧は、2よりも大きい整数倍となるような周波数関係に設定してもよい。この場合には、3連環状や4連環状などの軌道を描くように振動板21Fを平行移動させることができる。また、2つの周波数の駆動電圧は、整数倍ではないが互いに相違するような周波数関係に設定してもよい。また、向い合う振動フィルムの間や隣り合う振動フィルムの間で駆動電圧の位相や振幅を適宜異ならせてもよい。これらのようにすれば、より複雑な軌道で振動板21Fを変位させることができる。 以上に示したように、本実施形態に係るアクチュエータ20Fの構成では、各振動フィルムの振動の位相差や周波数差、振幅差などを適切に設定することによって、可動板21Fを平面内の任意の軌道で2次元的に(2自由度で)平行移動させることができる。
図11(A)は、第3の実施形態の第1の変形例に係るアクチュエータ20Gの底面側から視た平面図である。アクチュエータ20Gにおいては、振動フィルム23G,24G,25G,26GのそれぞれをPLLAで構成し、図11(A)中に白抜きの矢印で示す主延伸方向に延伸処理を施している。そして、振動フィルム23G,24G,25G,26Gのそれぞれは、主延伸方向に対して略0°の方向が長さ方向となるように切り出すことで、所定電圧の印加によって長さ方向および幅方向に対して交差する方向に伸びおよび縮みが生じるようにしている。
このように構成したアクチュエータ20Gにおいても、前述のアクチュエータ20Fと同様に、各振動フィルム23G,24G,25G,26Gに印加する駆動電圧の位相や周波数、振幅などを適宜の設定とすることで、可動板21Gを平面内の任意の軌道で2次元的に(2自由度で)平行移動させることができる。
図11(B)は、第3の実施形態の第2の変形例に係るアクチュエータ20Hの底面側から視た平面図である。アクチュエータ20Hにおいては、振動フィルム23H,24H,25H,26HのそれぞれをPLLAで構成し、図11(B)中に白抜きの矢印で示す主延伸方向に延伸処理を施している。そして、振動フィルム23H,24Hは、主延伸方向に対して略0°の方向が長さ方向となるように切り出している。一方、振動フィルム25H,26Hは、主延伸方向に対して略45°の方向が長さ方向となるように切り出している。
このように構成したアクチュエータ20Hにおいては、各振動フィルム23H,24H,25H,26Hに印加する駆動電圧の位相や周波数、振幅などを適宜の設定とすることで、前述のアクチュエータ20Fで示した第1の振動態様と同様の軌道、即ち幅方向の直線軌道で可動板21Hを変位させることができる。そして、振動フィルム25H,26Hによる可動板21Hの幅方向の振動を、振動フィルム23H,24Hの平行四辺形状の変形(振動)によって加振し、可動板21Hを振動させる力や可動板21Hの変位量を大きくすることができる。
図12は、第3の実施形態の第3の変形例に係るアクチュエータ20Jの底面側から視た平面図である。アクチュエータ20Jにおいては、振動フィルム23J,24J,25J,26Jを、それぞれ可動板21Jの角部分から可動板21Jの対角線に沿って延びるように設けている。このような構成のアクチュエータ20Jにおいても、各振動フィルムの振動の位相差や、周波数差、振幅差などを適切に設定することによって、可動板21Jを平面内の任意の軌道で2次元的に(2自由度で)平行移動させることができる。
次に、本発明の第4の実施形態に係るアクチュエータ20Kについて説明する。図13(A)は、アクチュエータ20Kの底面側から視た平面図である。
アクチュエータ20Kは、第2の実施形態と同様な構成として可動板21Kと支持枠22Kとを備えており、第2の実施形態と異なる構成として振動フィルム23K,24Kを備えている。
振動フィルム23Kおよび振動フィルム24Kは、それぞれ厚み方向から視て長方形状であり、所定電圧の印加によって長さ方向に伸びまたは縮みが生じる性質を有している。そして、振動フィルム23Kは、可動板21Kの長さ方向の端部に一端を連結し、可動板21Kとの接続部から長さ方向に延びて、他端を支持枠22Kに連結している。振動フィルム24Kは、振動フィルム23Kとは逆に、可動板21Kにおける長さ方向の反対側の端部に一端を連結し、可動板21Kとの接続部から長さ方向の反対側に延びて、他端を支持枠22Kに連結している。したがって、振動フィルム23Kは特許請求の範囲に記載の「第1の振動フィルム」に相当し、振動フィルム24Kは特許請求の範囲に記載の「第2の振動フィルム」に相当している。
そして、振動フィルム23Kは、長さ方向に延びる中心線(図13(A)中に破線で示す)よりも幅方向の一方側に寄せて設けられており、振動フィルム24Kは、長さ方向に延びる中心線よりも幅方向の他方側に寄せて設けられている。すなわち、振動フィルム23Kおよび振動フィルム24Kは、長さ方向に延びる中心線を境に非対称形になるように設けられている。
図13(B)は、アクチュエータ20Kの振動態様を示す平面図である。
この振動態様では、アクチュエータ20Kに対して、振動フィルム23K,24Kに同位相の駆動電圧を印加する。これにより、振動フィルム23K,24Kそれぞれに同位相で伸びまたは縮みを生じさせる。このような振動によって振動フィルム23Kから可動板21Kに作用する力と、振動フィルム24Kから可動板21Kに作用する力とは、振動フィルム23K,24Kが長さ方向に延びる中心線を境に非対称形に設けられているために、それぞれの作用線が幅方向にずれたものになる。このため、振動フィルム23K,24Kの振動に伴って可動板21Kにはいわゆる偶力が作用することになり、可動板21Kは厚み方向の軸周りに回転(揺動)するように振動することになる。
以上に示したように、本実施形態に係るアクチュエータ20Kの構成では、各振動フィルムの振動の位相差を適切に設定することによって、可動板21を平面内が回転させることができる。
図14は、第4の実施形態の変形例に係るアクチュエータ20Lの底面側から視た平面図である。
アクチュエータ20Lは、第4の実施形態と同様な構成として可動板21Lと支持枠22Lと振動フィルム23L,24Lとを備えており、第4の実施形態と異なる構成として振動フィルム25L,26Lを備えている。
振動フィルム25Lおよび振動フィルム26Lは、それぞれ厚み方向から視て長方形状であり、所定電圧の印加によって幅方向に伸びまたは縮みが生じる性質を有している。そして、振動フィルム25Lは、可動板21Lの幅方向の端部に一端を連結し、可動板21Lとの接続部から幅方向に延びて、他端を支持枠22Lに連結している。振動フィルム26Lは、振動フィルム25Lとは逆に、可動板21Lにおける幅方向の反対側の端部に一端を連結し、可動板21Lとの接続部から幅方向の反対側に延びて、他端を支持枠22Lに連結している。したがって、振動フィルム25Lは特許請求の範囲に記載の「第3の振動フィルム」に相当し、振動フィルム26Lは特許請求の範囲に記載の「第4の振動フィルム」に相当している。
そして、振動フィルム25Lは、可動板21Lの幅方向に延びる中心線(図14中に破線で示す)よりも一方側に寄せて設けられており、振動フィルム26Lは、可動板21Lの幅方向に延びる中心線よりも他方側に寄せて設けられている。すなわち、振動フィルム25Lおよび振動フィルム26Lは、可動板21Lの中心を通り幅方向に延びる中心線を境に非対称形になるように設けられている。
このアクチュエータ20Lでは、振動フィルム25L,26Lに印加する駆動電圧を同位相とすることにより、振動フィルム25L,26Lそれぞれに同位相で伸びまたは縮みが生じることになる。このような振動によって振動フィルム25Lから可動板21Lに作用する力と、振動フィルム26Lから可動板21Lに作用する力も可動板21Lに偶力として作用するため、可動板21Lは、やはり厚み方向の軸周りに回転(揺動)するように振動することになる。
そして、振動フィルム25L,26Lから作用する偶力によって可動板21Lが回転する方向と、振動フィルム23L,24Lから作用する偶力によって可動板21Lが回転する方向と、が一致するように、振動フィルム23L,24L,25L,26Lの振動の位相を設定することにより、可動板21Lを回転させるモーメントを大きくすることができる。これにより、強い押圧力が厚み方向から作用するような場合に、より確実に可動板21Lを振動させることが可能になる。
次に、本発明の第5の実施形態に係るアクチュエータ20Mについて説明する。図15は、アクチュエータ20Mの底面側から視た平面図である。
アクチュエータ20Mは、第4の実施形態と同様な構成として可動板21Mと支持枠22Mと振動フィルム23M,24Mとを備えており、第4の実施形態と異なる構成として振動フィルム25M,26Mを備えている。
振動フィルム25Mおよび振動フィルム26Mは、それぞれ厚み方向から視て長方形状であり、所定電圧の印加によって長さ方向に伸びまたは縮みが生じる性質を有している。そして、振動フィルム25Mは、可動板21Mの長さ方向の端部に一端を連結し、可動板21Mとの接続部から長さ方向に延びて、他端を支持枠22Mに連結している。振動フィルム26Mは、振動フィルム25Mとは逆に、可動板21Mにおける長さ方向の反対側の端部に一端を連結し、可動板21Mとの接続部から長さ方向の反対側に延びて、他端を支持枠22Mに連結している。したがって、振動フィルム25Mは、振動フィルム23Mとともに特許請求の範囲に記載の「第1の振動フィルム」に相当し、振動フィルム26Mは、振動フィルム24Mとともに特許請求の範囲に記載の「第2の振動フィルム」に相当している。
そして、振動フィルム23M,26Mとは、可動板21Mの長さ方向に延びる中心線(図15(A)中に破線で示す)よりも一方側に寄せて設けられており、振動フィルム24M,25Mとは、可動板21Mの長さ方向に延びる中心線よりも他方側に寄せて設けられている。このようにして、振動フィルム23M,25Mおよび振動フィルム24M,26Mは、可動板21Mの中心を通り長さ方向に延びる中心線を境に対称形になるように設けられている。
図15(B)は、アクチュエータ20Mの第1の振動態様を示す平面図である。
この第1の振動態様では、アクチュエータ20Mに対して、振動フィルム23M,25Mに印加する駆動電圧を互いに同位相とし、振動フィルム24M,26Mに印加する駆動電圧を、それとは逆位相にする。これにより、振動フィルム23M,25Mと振動フィルム24M,26Mとで逆位相の伸びまたは縮みが生じることになる。このような振動によって振動フィルム23M,25Mから可動板21Mに作用する力の作用線と、振動フィルム24M,26Mから可動板21Mに作用する力の作用線とは同一直線上になり、可動板21Mは、長さ方向に沿って振動することになる。
図15(C)は、アクチュエータ20Mの第2の振動態様を示す平面図である。
この第2の振動態様では、アクチュエータ20Mに対して、振動フィルム23M,24Mに印加する駆動電圧を同位相とし、振動フィルム25M,26Mに印加する駆動電圧を、それとは逆位相にする。これにより、振動フィルム23M,24Mと振動フィルム25M,26Mとで逆位相の伸びまたは縮みが生じることになる。このような振動によって振動フィルム23M,24M,25M,26Mから可動板21Mに作用する力は、可動板21Mにとっていわゆる偶力となり、可動板21Mは厚み方向の軸周りに回転(揺動)するように振動することになる。
以上に示したように、本実施形態に係るアクチュエータ20Mの構成では、各振動フィルムの振動の位相差を適切に設定することによって、可動板21Mを長さ方向に沿って振動させたり、可動板21Mを厚み方向の軸周りに揺動させたりすることができる。
図16は、第5の実施形態の変形例に係るアクチュエータ20Nの底面側から視た平面図である。
アクチュエータ20Nは、第5の実施形態と同様な構成として可動板21Nと支持枠22Nと振動フィルム23N,24N,25N,26Nとを備えており、第5の実施形態と異なる構成として振動フィルム27N,28N,29N,30Nを備えている。
振動フィルム27N,28N,29N,30Nは、それぞれ厚み方向から視て長方形状であり、所定電圧の印加によって幅方向に伸びまたは縮みが生じる性質を有している。そして、振動フィルム27N,29Nは、可動板21Nの幅方向の端部に一端を連結し、可動板21Nとの接続部から幅方向に延びて、他端を支持枠22Nに連結している。振動フィルム28N,30Nは、振動フィルム27N,29Nとは逆に、可動板21Nにおける幅方向の反対側の端部に一端を連結し、可動板21Nとの接続部から幅方向の反対側に延びて、他端を支持枠22Nに連結している。したがって、振動フィルム27N,29Nは特許請求の範囲に記載の「第3の振動フィルム」に相当し、振動フィルム28N,30Nは特許請求の範囲に記載の「第4の振動フィルム」に相当している。
そして、振動フィルム27N,30Nは、可動板21Nの幅方向に延びる中心線よりも一方側に寄せて設けられており、振動フィルム28N,29Nは、可動板21Nの幅方向に延びる中心線よりも他方側に寄せて設けられている。すなわち、振動フィルム27N,30Nおよび振動フィルム28N,29Nは、可動板21Nの中心を通り幅方向に延びる中心線を境に対称形になるように設けられている。
このアクチュエータ20Nでも、各圧電フィルムの振動の位相差や、周波数差、振幅差などを適切に設定することによって、可動板21Nを平面内の任意の軌道での平行移動と回転とを含む3自由度で変位させることができる。
例えば、振動フィルム23N,24N,25N,26Nを駆動させず、振動フィルム27N,29Nを互いに同位相で駆動させ、それとは逆位相で振動フィルム28N,30Nを駆動させることにより、可動板21Nを幅方向に沿って変位させることができる。また、逆に、振動フィルム27N,28N,29N,30Nを駆動させず、振動フィルム23N,25Nを互いに同位相で駆動させ、それとは逆位相で振動フィルム24N,26Nを駆動させることにより、可動板21Nを長さ方向に沿って変位させることができる。なお、このようなアクチュエータ20Nの振動態様は、先に図8(A)で示したアクチュエータ20Fの振動態様と同様であるが、このアクチュエータ20Nでは、各辺で隣接する振動フィルム同士の間が分離されているために、駆動させない振動フィルムによって可動板21Nの振動が阻害されることを防ぐ(抑制する)ことができる。
また、例えば、振動フィルム23N,24N,29N,30Nを駆動させず、振動フィルム26N,27Nを互いに同位相で駆動させ、それとは逆位相で振動フィルム25N,28Nを駆動させることにより、可動板21Nを右上がりの対角線に沿って変位させることができる。また、逆に、振動フィルム25N,26N,27N,28Nを駆動させず、振動フィルム23N,29Nを互いに同位相で駆動させ、それとは逆位相で振動フィルム24N,30Nを駆動させることにより、可動板21Nを右下がりの対角線に沿って変位させることができる。
また、例えば、振動フィルム23N,25N、振動フィルム27N,29N、振動フィルム24N,26N、振動フィルム28N,30Nを、順に90°の位相差を与えて駆動すれば、可動板21Nを反時計回りに平行移動させることができる。また、逆に、振動フィルム28N,30N、振動フィルム24N,26N、振動フィルム27N,29N、振動フィルム23N,25Nを、順に90°の位相差を与えて駆動すれば、可動板21Nを時計回りに平行移動させることができる。
また、例えば、振動フィルム23N,24N,25N,26Nの駆動周波数と、振動フィルム27N,28N,29N,30Nの駆動周波数とを整数倍となるような関係にすることにより、可動板21Nを連環状に平行移動させることができる。
また、例えば、振動フィルム23N,27N,24N,28Nを互いに同位相で駆動させ、それとは逆位相で振動フィルム25N,29N,26N,30Nを駆動させることにより、可動板21Nを揺動するように変位させることができる。
次に、本発明の第6の実施形態に係るアクチュエータ20Pについて説明する。図17(A)は、アクチュエータ20Pの底面側から視た平面図である。図17(B)は、アクチュエータ20Pの幅方向から視た側面断面図である。図17(C)は、アクチュエータ20Pの長さ方向から視た側面断面図である。
アクチュエータ20Pは、第2の実施形態と同様の構成として可動板21Pと支持枠22Pとを備え、第2の実施形態と異なる構成として振動フィルム23P,24P,25Pとガイド部26Pとを備えている。
ガイド部26Pは、図17(C)に示すように、支持枠22Pに付設されており、支持枠22Pの長さ方向に延びる部位における底面側から支持枠22Pの内側にリブ状に突出している。ガイド部26Pは、可動板21Pの底面と接触しており、可動板21Pが振動フィルム23P,24P,25Pによって下方に引き寄せられることを防いでいる。
振動フィルム23P,24P,25Pは、それぞれ厚み方向から視て長方形状であり、所定電圧の印加によって長さ方向に伸びまたは縮みが生じる性質を有している。そして、振動フィルム24Pおよび振動フィルム25Pは、可動板21Pの長さ方向の端部に一端を連結し、可動板21Pとの接続部から長さ方向の反対側に延びて、他端を支持枠22Pに連結している。振動フィルム23Pは、振動フィルム24Pおよび振動フィルム25Pとは逆に、可動板21Pの長さ方向の反対側の端部に一端を連結し、可動板21Pとの接続部から長さ方向に延びて、他端を支持枠22Pに連結している。そして、振動フィルム23P,24P,25Pは、可動板21Pの長さ方向に延びる中心線(図17(A)中に破線で示す)を境に対称形に設けられている。したがって、振動フィルム23Pは特許請求の範囲に記載の「第1の振動フィルム」に相当しており、振動フィルム24Pおよび振動フィルム25Pは、特許請求の範囲に記載の「第2の振動フィルム」に相当している。
そして、振動フィルム23P,24P,25Pは、それぞれ、可動板21Pの長さ方向のほぼ全長にわたって可動板21Pと対向するように、長さ方向の両サイド付近で支持枠22Pと可動板21Pとに繋いでいる。このようにすると、振動フィルム23P,24P,25Pの長さ方向の全長を長くすることができ、振動フィルム23P,24P,25Pを駆動する際の変形量を大きくすることができる。
図18(A)は、アクチュエータ20Pの第1の振動態様を示す平面図である。
この第1の振動態様では、アクチュエータ20Pに対して、振動フィルム24P,25Pに印加する駆動電圧を互いに同位相とし、振動フィルム23Pに印加する駆動電圧をそれとは逆位相にする。これにより振動フィルム24P,25Pと振動フィルム23Pとで逆位相の伸びまたは縮みが生じることになる。このような振動によって振動フィルム24P,25Pから可動板21Pに作用する力の作用線と、振動フィルム23Pから可動板21Pに作用する力の作用線とは同一直線上になり、可動板21Pは、長さ方向に沿って振動することになる。
図18(B)は、アクチュエータ20Pの第2の振動態様を示す平面図である。
この第2の振動態様では、アクチュエータ20Pに対して、振動フィルム23Pに駆動電圧を印加せず、振動フィルム24P,25Pに印加する駆動電圧を互いに逆位相にする。これにより振動フィルム24Pと振動フィルム25Pとで逆位相の伸びまたは縮みが生じることになる。このような振動によって振動フィルム24Pまたは振動フィルム25Pから可動板21Pに作用する力の作用線と、振動フィルム23Pから可動板21Pに作用する力の作用線とは、可動板21Pにとっていわゆる偶力となり、可動板21Pは、振動フィルム23Pの連結位置を支点として厚み方向の軸回りに回転(揺動)するように振動することになる。
次に、本発明の第7の実施形態に係るアクチュエータ20Qについて説明する。第7の実施形態では、前述の支持枠を可動枠として用い、可動枠とは別に固定板や固定枠を設ける場合について説明する。
図19(A)は、アクチュエータ20Qの底面側から視た平面図である。図19(B)は、アクチュエータ20Qの幅方向から視た側面断面図である。図19(C)は、アクチュエータ20Qの長さ方向から視た側面断面図である。
アクチュエータ20Qは、第2の実施形態と同様の構成として可動板21Qと支持枠22Qと振動フィルム23Q,24Qとを備え、第2の実施形態と異なる構成として振動フィルム25Q,26Qと固定板27Qを備えている。本実施形態においては、支持枠22Qは可動であり、固定板27Qが特許請求の範囲に記載の「支持部」に相当している。
固定板27Qは、厚み方向から視て長さ方向と幅方向とを有する長方形状の平板であり、可動板21Qの底面側に間隔を空けて対向するように設けられ、テーブル等の設置面上に配置される。固定板27Qが可動板21Qと対向するように設けられることにより、このアクチュエータ20Qは、支持枠22Qと別に固定板27Qを設けていても、厚み方向から視たサイズを抑制することができる。
振動フィルム25Qおよび振動フィルム26Qは、それぞれ厚み方向から視て長方形状であり、所定電圧の印加によって幅方向に伸びまたは縮みが生じるような性質を有している。そして、振動フィルム25Qは、固定板27Qの幅方向の端部に一端を連結し、固定板27Qとの接続部から幅方向に延びて、他端を支持枠22Qに連結している。振動フィルム26Qは、振動フィルム25Qとは逆に、固定板27Qにおける幅方向の反対側の端部に一端を連結し、固定板27Qとの接続部から幅方向の反対側に延びて、他端を支持枠22Qに連結している。したがって、振動フィルム25Qは特許請求の範囲に記載の「第3の振動フィルム」に相当し、振動フィルム26Qは特許請求の範囲に記載の「第4の振動フィルム」に相当している。
この構成では、幅方向に伸びや縮みが生じる振動フィルム25Q、26Qを固定板27Qと支持枠22Qとの間に繋ぎ、長さ方向に伸びや縮みが生じる振動フィルム23Q、24Qを可動板21Qと支持枠22Qとの間に繋いでいるので、振動フィルム25Q、26Qによる幅方向の振動と、振動フィルム23Q、24Qによる長さ方向の振動とが干渉することを防ぐことができる。したがって、可動板21Qの長さ方向の振動振幅や幅方向の振動振幅を大きくすることができる。
図20(A)は、第7の実施形態の第1の変形例に係るアクチュエータ20Rの底面側から視た平面図である。図20(B)は、アクチュエータ20Rの幅方向から視た側面断面図である。図20(C)は、アクチュエータ20Rの長さ方向から視た側面断面図である。
アクチュエータ20Rは、第7の実施形態と同様の構成として可動板21Rと支持枠22Rと振動フィルム23R,24Rとを備え、第7の実施形態と異なる構成として振動フィルム25R,26Rと固定枠27Rを備えている。本実施形態においては、矩形枠状の固定枠27Rを支持部として設けている。
固定枠27Rは、アクチュエータ20Rを厚み方向から視て、矩形の枠状であり、間に隙間を空けて支持枠22Rの周囲を囲んでいる。振動フィルム25Rおよび振動フィルム26Rは、それぞれ厚み方向から視て長方形状であり、所定電圧の印加によって幅方向に伸びまたは縮みが生じるような性質を有している。そして、振動フィルム25Rは、支持枠22Rの幅方向の端部に一端を連結し、支持枠22Rとの接続部から幅方向に延びて、他端を固定枠27Rに連結している。振動フィルム26Rは、振動フィルム25Rとは逆に、支持枠22Rにおける幅方向の反対側の端部に一端を連結し、支持枠22Rとの接続部から幅方向の反対側に延びて、他端を固定枠27Rに連結している。したがって、振動フィルム25Rは特許請求の範囲に記載の「第3の振動フィルム」に相当し、振動フィルム26Rは特許請求の範囲に記載の「第4の振動フィルム」に相当している。
この構成でも、振動フィルム25R、26Rによる幅方向の振動と、振動フィルム23R、24Rによる長さ方向の振動とが干渉することを防いで、可動板21Rの長さ方向の振動振幅や幅方向の振動振幅を大きくすることができる。そして、アクチュエータ20Rの厚みを第7の実施形態よりも薄くすることができる。
図21(A)は、第7の実施形態の第2の変形例に係るアクチュエータ20Sの天面側から視た平面図である。
アクチュエータ20Sは、可動板21Sと支持枠22Sと振動フィルム23S,24S,25Sと振動フィルム26S,27S,28Sと固定板29Sとを備えている。該アクチュエータ20Sは、厚み方向の中央付近に支持枠22Sが配置される。図21(B)は、アクチュエータ20Sを厚み方向の中心面で分割した状態で天面側を視た平面断面図である。図21(C)は、アクチュエータ20Sを厚み方向の中心面で分割した状態で底面側を視た平面断面図である。
可動板21Sと振動フィルム23S,24S,25Sとは、支持枠22Sよりも天面側に設けられており、前述の図17と同様に構成しており、振動フィルム23S,24S,25Sを長さ方向の両サイド付近で支持枠22Sと可動板21Sとに繋げている。また、固定板29Sと振動フィルム26S,27S,28Sとは、支持枠22Sよりも底面側に設けられており、前述の図17で説明した構成の長さ方向と幅方向とを入れ替えたように構成しており、振動フィルム26S,27S,28Sを幅方向の両サイド付近で支持枠22Sと固定板29Sとに繋げている。
このように、振動フィルム23S,24S,25Sや振動フィルム26S,27S,28Sを、長さ方向や幅方向の両サイドに引き渡すことで、振動フィルム23S,24S,25Sおよび振動フィルム26S,27S,28Sの全長を長く、変形量の大きいものにできる。そして、本変形例のように、振動フィルム23S,24S,25Sや振動フィルム26S,27S,28Sを長さ方向や幅方向に延びる中心線を境に対称形に設ける場合でも、支持枠22Sを可動に構成して、長さ方向の振動と幅方向の振動とが独立に生じるようにすると好適である。
図22(A)は、第7の実施形態の第3の変形例に係るアクチュエータ20Tの天面側から視た平面図である。
アクチュエータ20Tは、可動板21Tと支持枠22Tと振動フィルム23T,24Tと振動フィルム25T,26Tと固定板27Tとを備えている。該アクチュエータ20Tは、厚み方向の中央付近に支持枠22Tが配置される。図22(B)は、アクチュエータ20Tを厚み方向の中心面で分割した状態で天面側を視た平面断面図である。図22(C)は、アクチュエータ20Tを厚み方向の中心面で分割した状態で底面側を視た平面断面図である。
可動板21Tと振動フィルム23T,24Tとは、支持枠22Tよりも天面側に設けられており、前述の図13と同様の構成で、振動フィルム23T,24Tを長さ方向の両サイドに引き渡して、支持枠22Tと可動板21Tとに繋げている。また、固定板27Tと振動フィルム25T,26Tとは、支持枠22Tよりも底面側に設けられており、前述の図13で説明した構成の長さ方向と幅方向とを入れ替えたような構成で、振動フィルム25T,26Tを幅方向の両サイドに引き渡して、支持枠22Tと固定板27Tとに繋げている。
本変形例のように振動フィルム23T,24Tや振動フィルム25T,26Tを、長さ方向や幅方向に延びる中心線を境に非対称形に設ける場合には、支持枠22Tを可動に構成することにより、固定板27Tと支持枠22Tとの間での相対的な回転変位と、支持枠22Tと可動板21Tとの間での相対的な回転変位とが合わさって、絶対的な回転変位の変位量が大きくなる。 図23(A)は、第7の実施形態の第4の変形例に係るアクチュエータ20Uの天面側から視た平面図である。
アクチュエータ20Uは、可動板21Uと支持枠22Uと振動フィルム23U,24U,25Uと振動フィルム26U,27U,28Uと固定板29Uとを備えている。該アクチュエータ20Uは、厚み方向の中央付近に支持枠22Uが配置される。図23(B)は、アクチュエータ20Uを厚み方向の中心面で分割した状態で天面側を視た平面断面図である。図23(C)は、アクチュエータ20Uを厚み方向の中心面で分割した状態で底面側を視た平面断面図である。
可動板21Uと振動フィルム23U,24U,25Uとは、支持枠22Uよりも天面側に設けられており、前述の図17と同様の構成で、振動フィルム23U,24U,25Uを長さ方向の両サイドに引き渡して、支持枠22Uと可動板21Uとに繋げている。また、固定板29Uと振動フィルム26U,27U,28Uとは、支持枠22Uよりも底面側に設けられており、前述の図17と左右対称な構成で、振動フィルム26U,27U,28Uを長さ方向の両サイドに引き渡して、支持枠22Uと固定板29Uとに繋げている。
本変形例でも、図17の構成と同様に可動板21Uを長さ方向に往復させることや、可動板21Uを揺動させることができる。そして、この構成では、支持枠22Uを可動に構成することにより、固定板29Uと支持枠22Uとの間での相対的な変位と、支持枠22Uと可動板21Uとの間での相対的な変位とが合わさって、絶対的な変位量を大きくすることができる。
次に、本発明の第8の実施形態に係るアクチュエータ20Vについて説明する。本実施形態では、アクチュエータ20Vの厚み方向に複数の振動フィルムを並べて、厚み方向の振動を生じさせる場合について説明する。
図24はアクチュエータ20Vの幅方向から視た側面断面図である。なお、アクチュエータ20Vの天面側から視た形状は、第1乃至第5の実施形態で示したいずれのものであってもよい。
アクチュエータ20Vは、可動板21Vと支持枠22Vと振動フィルム23V,24Vと振動フィルム25V,26Vとを備えている。振動フィルム23V,24Vは、特許請求の範囲に記載の「第1の振動フィルム」であり、アクチュエータ20Vの長さ方向に延びている。振動フィルム25V,26Vは、特許請求の範囲に記載の「第2の振動フィルム」であり、長さ方向の反対側に延びている。振動フィルム23Vは、一端が可動板21Vの天面に連結され、他端が厚み方向の天面側に傾斜しながら長さ方向に延びて、他端が支持枠22Vに連結されている。振動フィルム24Vは、一端が可動板21Vの底面に連結され、他端が厚み方向の底面側に傾斜しながら長さ方向に延びて、他端が支持枠22Vに連結されている。振動フィルム25Vは、一端が可動板21Vの天面に連結され、他端が厚み方向の天面側に傾斜しながら長さ方向の反対側に延びて、他端が支持枠22Vに連結されている。振動フィルム26Vは、一端が可動板21Vの底面に連結され、他端が厚み方向の底面側に傾斜しながら長さ方向の反対側に延びて、他端が支持枠22Vに連結されている。
このアクチュエータ20Vでは、可動板21Vの天面側に配置される振動フィルム23V,25Vと、可動板21Vの底面側に配置される振動フィルム24V,26Vの駆動電圧を逆位相にすることにより、可動板21Vを厚み方向に平行移動するように振動させることができる。
また、可動板21Vの長さ方向の一方側に配置される振動フィルム23V,24Vと、可動板21Vの長さ方向の他方側に配置される振動フィルム25V,26Vのとで、駆動電圧を逆位相にすることにより、可動板21Vを長さ方向に平行移動するように振動させることができる。
また、可動板21Vを幅方向から視て長さ方向や厚み方向に隣接して配置される振動フィルム同士で駆動電圧が逆位相となるように駆動することで、可動板21Vを幅方向の軸周りに揺動させることができる。
また、可動板21Vを幅方向から視て、振動フィルム23V,24V,25V,26Vの駆動電圧を時計回り方向の順に90°ずつ位相差を生じさせると、可動板21Vを反時計回りの周回軌道を描くように平行移動させることができる。逆に、振動フィルム23V,24V,25V,26Vの駆動電圧を反時計回り方向の順に90°ずつ位相差を生じさせると、可動板21Vを時計回りの周回軌道を描くように平行移動させることができる。
なお、振動フィルム23V,25Vの可動板21Vとの連結は、可動板21Vの底面でも良い。また、アクチュエータ20Vにおいても、各振動フィルムを長さ方向の両サイド付近で可動板21Vと支持枠22Vとに繋げるようにして、各振動フィルムの全長を長くするようにしてもよい。なお、その場合には、可動板21Vの天面が振動フィルムに隠れて、可動板21Vのタッチ操作等が難しくなる場合があるので、可動板21Vの天面側に露出する別の板材などを、可動板21Vに連結して設けるとよい。例えば、可動板21Vを長さ方向に開口する矩形筒状などにすると、可動板21Vの天面側を露出させることが可能になる。
次に、本発明の第9の実施形態に係るアクチュエータ20Wについて説明する。
図25は、アクチュエータ20Wの天面側から視た平面図である。アクチュエータ20Wは、可動板21Wと支持枠22Wと振動フィルム23W,24Wと軸支部25Wとを備えている。可動板21Wは、軸支部25Wを介して支持枠22Wに連結されており、軸支部25Wは、可動板21Wを平面内で回転自在に支持している。軸支部25Wは、可動板21Wに対して、長さ方向の略中央かつ幅方向の一方の端に連結されている。振動フィルム23W,24Wは、可動板21Wに対して、長さ方向の両側の端部付近かつ幅方向の他方の端に連結され、そこから幅方向の一方側に延びて支持枠22Wに固定されている。振動フィルム23W,24Wは、自らの変形によって軸支部25Wにモーメントを作用させる。このような構成でも、振動フィルム23W,24Wを適切な位相で振動させることによって、軸支部25Wを中心にして可動板21Wを回転させることができる。そして、軸支部25Wから離れた位置に振動フィルム23W,24Wを連結して可動板21Wを動かすことで、より強い力で可動板21Wを振動させることができる。また、軸支部25Wを可動板21Wの端に連結すること、可動板21Wにおける軸支部25Wから離れた位置で、より大きい変位の振動が得られる。
なお、このような構成において、より大きい変位量で可動板21Wを振動させたい場合には、軸支部25Wにより近い位置に振動フィルム23W,24Wを連結して可動板21Wを動かすようにすればよい。
図26は、第9の実施形態の変形例に係るアクチュエータ20Xの天面側から視た平面図である。アクチュエータ20Xは、可動板21Xと支持枠22Xと振動フィルム23Xと軸支部25Xとを備えている。可動板21Xは、軸支部25Xを介して支持枠22Xに連結されており、軸支部25Xは、可動板21Xを平面内で回転自在に支持している。軸支部25Xは、可動板21Xに対して、長さ方向の一方側の端かつ幅方向の一方の端に連結されている。振動フィルム23Xは、可動板21Xに対して、長さ方向の一方側の端かつ幅方向の軸支部22Xとの連結位置よりも他方側近傍に連結され、そこから長さ方向の他方側に延びて支持枠22Xに固定されている。このように構成することで、振動フィルム23Xの長さを最大限稼いで、振動フィルム23Xに生じる変形量を大きくすることができる。
そして、可動板21Xにおいて軸支部25Xが連結される支点位置から最も遠い位置までの距離を稼ぐことができ、支点位置から最も遠い位置での振動の変位量を大きくすることができる。また、可動板21Xにおいて振動フィルム23Xの連結位置を支点位置の近傍とすることで、振動フィルム23Xの小さな振動を増幅して、可動板21Xの変位量を大きくすることができる。振動フィルム23Xは、可動板21Xにおける振動フィルム23Xの連結位置と軸支部25Xの連結位置とを結ぶ直線に対して直交する方向に延びているために、振動フィルム23Xの駆動によって可動板21Xに作用する力を、効率的に軸支部25Xにおけるトルクに変換することができ、強い力で可動板21Xを振動させることができる。
なお、このような構成において、更に強い力で可動板21Xを振動させたい場合には、軸支部25からより離れた位置に、振動フィルム23Xを連結して可動板21Xを動かすようにすればよい。 以上に説明したように本発明は実施することができるが、本発明は、特許請求の範囲の記載に該当する構成であれば、上記の他の構成であっても実施することができる。
例えば、本発明のアクチュエータは、タッチパネルを備えるキーボードや通信端末、ディスプレイを触覚提示装置として構成する場合に利用する他、触覚提示装置ではない他の装置に利用することもできる。その場合、本発明のアクチュエータは、タッチパネル以外のセンサ(例えば光センサ、音センサ、温度センサ、速度センサ、加速度センサ、角度センサ、角速度センサ、角加速度センサ、圧力センサなど)からの出力信号に基づいて、可動部を駆動するように構成するとよい。例えば、本発明のアクチュエータを、携帯端末等の表示画面に付設して、表示画面に表示されている画像や映像、音声などに応じて振動するように構成してもよい。また、本発明のアクチュエータを、携帯端末等の筐体に付設して、着信やアラーム等を通知する際に振動するように構成してもよい。また、本発明のアクチュエータを、表示部やイメージセンサ等に付設して、付着物を振り落とす際に振動するように構成してもよい。
また、本発明の支持部は、枠状に限られるものでは無く、可動部に対して間隔を空けて配置することができる構成であれば、どのような形状であってもよく、例えばコの字状や平板状であってもよい。また、支持部は、アクチュエータの専用部材として設けてもよいが、触覚提示装置等を構成する筐体やフレームなどの部材を支持部として利用することもできる。また、支持部を設置面に設置する際に支持部が動くことを抑制するために、支持部に、設置面との摩擦抵抗を大きくするゴム状の部材や、設置面に粘着する粘着部材、設置面に対して吸着する吸盤状部材、金属等からなる設置面に磁力で接着する磁石部材などを設けてもよい。また、支持部における設置面との対向面に凹凸を設けて、設置面との摩擦抵抗を大きくしてもよい。
また、本発明の可動部も、平板状に限られるものでは無く、支持部に振動フィルムを介して支持される構成であれば、どのような形状であってもよく、例えば、枠状やコの字状であってもよい。また、可動部も、アクチュエータの専用部材として設けてもよいが、タブレット端末やスマートフォン端末の表示部を覆うガラス板などの部材を利用することもできる。また、触覚提示装置をタッチ式キーボードとして構成する場合には、可動部上に複数のキーを配置するようにしてもよく、可動部上に1つのキーを配置してキー毎に可動部を設けるようにしてもよい。その場合には、単一の支持部に対して複数の可動部を連結するように構成し、振動フィルムで複数の可動部間を接続するようにしてもよい。