<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10を斜め前方から見た斜視図、図3及び図4はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図3では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場の島設備に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
この外枠11によって遊技機主部12が開閉可能な状態で支持されている。具体的には、図2に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が固定されている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図3に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15(図4参照)とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
内枠13における回動基端側の端部には、前扉枠14が回動可能に取り付けられており、同前扉枠14は正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として前方へ回動可能とされている。また、内枠13における回動基端側の端部には、図4に示すように、裏パックユニット15が回動可能に取り付けられており、同裏パックユニット15が正面視で左側を回動基端側とし右側を回動先端側として後方へ回動可能とされている。
次に、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図3及び図5を参照する。図5は前扉枠14を背面側から見た分解斜視図である。
図3に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20a及び枠体20aの前面を覆うカバー体20bを主体に構成されており、内枠13における前面側のほぼ全域を覆っている。前扉枠14の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を遊技機前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21(図1参照)が形成されており、その窓部21はガラスユニット30によって同前扉枠14の背面側から覆われている。
ガラスユニット30は、透明性を有する複数のガラスパネル31と、それらガラスパネル31を保持するガラスホルダとにより構成されている。ガラスホルダ33は、窓部21に沿って形成された環状の枠部を有しており、同枠部によって囲まれた領域にガラスパネル31が収容されている。
各ガラスパネル31は、枠部に形成された仕切り部を挟んで相対向した状態で、同仕切り部に対して接着されている。これにより、ガラスパネル31の間に所定の隙間が確保され、ガラスパネル31同士の干渉を回避しつつ、それらガラスパネル31によって遊技領域PEがパチンコ機10の正面側から2重に覆われた状態となっている。
図1に示したように、窓部21の周囲には各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部24が設けられている。環状電飾部24では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。より詳しくは、環状電飾部24の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯する機能が付与されたトップランプ部25が設けられ、窓部21の左右両側には賞球払出中に点灯する機能が付与されたサイドランプ部26が設けられている。また、トップランプ部25の左右両側には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部27が設けられている。
再び図2を参照して説明すれば、前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28には上方に開口した上皿28aが設けられており、下側膨出部29には同じく上方に開口した下皿29aが設けられている。上皿28aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導く機能を有している。また、下皿29aは、上皿28a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。
下側膨出部29と横並びとなる位置には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル45が設けられている。遊技球発射ハンドル45が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿28aに通じる前扉側上皿通路と、下皿29a(図2等参照)に通じる前扉側下皿通路とが形成されてなる。通路形成ユニット50の上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路と前扉側下皿通路の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路及び前扉側下皿通路は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路に入った遊技球は上皿28aに導かれ、前扉側下皿通路に入った遊技球は下皿29aに導かれる。
次に、図5に基づき内枠13について詳細に説明する。図5は内枠13の正面図である。なお、図5においては、図3と同様にパチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース60を主体に構成されている。樹脂ベース60の前面における回動基端側(図5の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。また、前扉枠14の背面における回動基端側(図2の左側)には、それら支持金具71,72に対応させて軸受け金具57,58が設けられている。支持金具71,72には軸部が形成されており、それら軸部が前扉枠14の軸受け金具57,58の軸受け孔に挿入されることで内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。つまり、これら支持金具71,72及び軸受け金具57,58は内枠13に対する組付機構を構成している。
内枠13の前面には施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、前扉枠14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前扉枠14の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材59が複数設けられている(図3参照)。前扉用鉤部材76が鉤受け部材59に引っ掛かることにより前扉枠14が閉じた状態で施錠される。また、図4に示すように、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
再び図7を参照して説明すれば、樹脂ベース60の右下隅部には、施錠装置75の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置75に一体化されており、その先端部分(鍵穴部分)が上記前扉枠14に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出している。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
樹脂ベース60の前面における略中央部分には、遊技盤80を収容する遊技盤収容部61が形成されている。遊技盤収容部61は、パチンコ機10の後方に凹み、遊技盤80を収容する収容空間を区画形成しており、樹脂ベース60に取り付けられた遊技盤80がその収容空間に嵌まった状態となっている。
遊技盤収容部61は、遊技盤80の背面に対向する平板状の対向板部62と、同対向板部62から遊技機前方へ起立し遊技盤80の周縁に沿って延びる周壁部63とによって構成されている。対向板部62は、その略中央に中央開口64が形成されており、内枠13の正面視において略矩形枠状をなしている。周壁部63は、遊技盤80における上下左右の各端面に対して個々に対向する上側壁部65,下側壁部66,左側壁部67,右側壁部68が連なってなり、全体として遊技盤80を囲む環状をなしている。なお、周壁部63は中央開口64を囲むようにして形成されているとも言える。
遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うセルシートとを有してなり、その前面が遊技盤収容部61の開放部分を通じて樹脂ベース60の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスユニット30(詳しくはガラスパネル31)によって覆われている。後側のガラスパネル31は、遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は木製に限定されるものではなく、合成樹脂製とすることも可能である。
以下、図6に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図6は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83b、スルーゲート84、可変表示ユニット85、メイン表示部90等がそれぞれ設けられている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83a,83bに遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口86が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口86を通って遊技領域PEから排出される。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘87が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘87や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
可変入賞装置82は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞し難い閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置82の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、同可変入賞装置82の開放が複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として繰り返されるように設定されている。
可変表示ユニット85は遊技盤80の中央上寄りに配置されており、その下方に作動口83a,83bが配置されている。より詳しくは、作動口83a,83bは、作動口83aを上側、作動口83bを下側として上下に並設されている。下側の作動口83bには、左右一対の可動片よりなるガイド片(サポート片)としての電動役物が設けられている。電動役物は、作動口83bへの入球が不可又は困難となる閉鎖状態(非サポート状態又は非ガイド状態)と、当該閉鎖状態よりも遊技球の入球が容易となる開放状態(サポート状態又はガイド状態)とに切り替え可能となっており、上記スルーゲート84への入賞に基づく抽選に当選した場合に主制御装置によって開放状態となるように制御される。電動役物の開閉態様としては、上側の作動口83aよりも下側の作動口83bへの入賞頻度が低くなるように設定された低頻度サポートモードと、上側の作動口83aよりも下側の作動口83bへの入賞頻度が高くなるように設定された高頻度サポートモードとが設定されており、各作動口83a,83bへの入球に基づく抽選によって所定の当たり結果となった場合に低頻度サポートモードから高頻度サポートモードへ移行される構成となっている。
可変表示ユニット85及び作動口83a,83bは、遊技性を司る部位であり遊技者の注意が集まりやすい。それら可変表示ユニット85及び作動口83a,83bを遊技機中央において上下に並べて配置することで両者間での視線の移動量を抑え、遊技者の目に生じる負担の低減に貢献している。
メイン表示部90は、遊技領域PEの下部側の外縁に沿って配設された装飾部材、詳しくは後述する誘導レールとともに遊技領域PEを区画形成する遊技領域区画部材に設けられている。装飾部材は、遊技盤80の盤面からパチンコ機10前方に延出している。より具体的には、装飾部材の前面は、遊技領域PEをパチンコ機10前方から視認可能とするために前扉枠14に設けられたガラスパネル31と対向しており、さらにガラスパネル31との間の距離は遊技球1個分よりも狭くなっている。これにより、装飾部材の前面の前方を遊技球が落下していくのが防止されている。
メイン表示部90は装飾部材の前面から露出するようにして設けられている。これにより、メイン表示部90を前扉枠14のガラスユニット30を通じてパチンコ機10前方から視認可能となっているとともに、当該メイン表示部90の前方を遊技球が落下していくことが抑制されている。
図示による詳細な説明は省略するが、メイン表示部90は複数の発光体を有してなり、それら発光体群によって作動口用結果表示部、役物用結果表示部、上作動口83a用の保留数表示部、下作動口83b用の保留数表示部、スルーゲート84用の保留数表示部が構成されている。
作動口用結果表示部は、各作動口83a,83bに1対1で対応させて上作動口用の表示領域と下作動口用の表示領域と有しており、これら表示領域において、上作動口83a又は下作動口83bへの入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。この場合、同表示領域では、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして、各発光体における点灯及び消灯を順次行うことによる絵柄の変動表示(可変表示)が行われ、その変動表示の停止結果として、同入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が明示される。つまり、上作動口83aへの入賞に基づく抽選結果は上作動口用の表示領域にて明示され、下作動口83bへの入賞に基づく抽選結果は下作動口用の表示領域にて明示される。
役物用結果表示部は、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果を明示するための表示部である。この場合、役物用結果表示部では、スルーゲート84への入賞をトリガとして、発光体群の点灯及び消灯を順次行うことによる絵柄の変動表示(又は、可変表示若しくは切換表示)が行われ、その変動表示の停止結果として、スルーゲート84への入賞に基づいて行われた内部抽選の結果が表示によって明示される。スルーゲート84への入賞に基づく内部抽選の結果が電役開放状態への移行に対応した当選結果であった場合には、役物用結果表示部にて所定の停止結果が表示されて変動表示が停止された後に、電役開放状態へ移行する。電役開放状態では、下作動口83bに設けられた電動役物83cが所定の態様で開放状態となる。
また、遊技球が作動口83a,83bを通過した回数は最大4回まで保留され、各作動口用の保留数表示部によってその保留個数が表示されるようになっている。同様に、遊技球がスルーゲート84を通過した回数は最大4回まで保留され、スルーゲート用の保留数表示部によってその保留個数が表示されるようになっている。
可変表示ユニット85は、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置94を備えている。図柄表示装置94は、液晶ディスプレイ(表示画面94a)を備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御されている。具体的には、表示画面94aにおいては、上段,中段及び下段に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示される。そして、大当たり発生時には、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示され、特別遊技状態へと移行される。なお、表示画面94aにおける表示態様を以下のように変更してもよい。すなわち、左,中及び右に並べて図柄を表示し、それら図柄を上下スクロールさせるようにして変動表示させてもよい。
また、可変表示ユニット85は、図柄表示装置94を囲むようにして形成されたセンターフレーム95を備えており、このセンターフレーム95によって遊技領域PEを流下する遊技球が図柄表示装置94に衝突することが回避されている。
再び図5を用いて説明すれば、樹脂ベース60における遊技盤収容部61(遊技盤80)の下方には、遊技球発射ハンドル45の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が後述する補強プレートを介して樹脂ベース60に取り付けられている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパが配されている。球ストッパよりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、上記遊技領域区画部材とともに遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分104と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分105とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分104→出口部分105)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分105の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
誘導レール100は、遊技球発射ハンドル45が遊技球を遊技領域PEに到達させることができる程度に操作された場合に、すなわち遊技球発射ハンドル45の操作量が第1の規定量を超えた場合に、発射レール112から打ち出された遊技球が当該誘導レール100の入口部分104、詳しくは外レール102において発射レール112の延長上に位置する特定部位に着地するように形成されている。
外レール102は、その特定部位における接線の向きが発射レール112のレール方向と略同一となるように形成されている。発射された遊技球の移動方向と、特定部位における接線の方向とを揃えることにより、遊技球の着地によって生じる衝撃を低減するとともに同遊技球の跳ね返りを抑え、誘導レール100によるそれら遊技球の円滑な誘導を可能としている。
なお、外レール102は、当該外レール102を遊技盤80に対して固定する固定手段として複数の固定ピンを備えている。固定ピンは外レール102に沿って配設されており、それら固定ピンの間に上記特定部位が設定されている。これにより、特定部位での外レール102の若干の撓み変形(弾性変形)を許容し、同特定部位に遊技球が着地した際の衝撃を低減することが可能となっている。
図5に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分104と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路55(図3参照)が配設されている。ファール球通路55は前扉枠14の通路形成ユニット50に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路55内に入ることとなる。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は図1等に示した下皿29aに排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
また、樹脂ベース60には、遊技盤収容部61からの遊技盤80の取り外しを不可とするロック状態と、同遊技盤80の取り外しを許容するアンロック状態とに切替可能なロック装置が複数設けられている。ロック装置はロック状態にて遊技盤80の前面に当接する当接部を有しており、同当接部が遊技盤80の前面に当接することによって遊技盤80の前扉枠14側への変位が抑えられることとなる。
樹脂ベース60において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には樹脂ベース60を前後方向に貫通する貫通孔が形成されており、この貫通孔を覆うようにして通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース60に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53(図3参照)が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置される。
樹脂ベース60において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123からの遊技球の流出を規制するシャッタ124が設けられている。シャッタ124は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能な状態で樹脂ベース60によって支持されている。また、樹脂ベース60にはシャッタ124を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられており、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ124が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により上記付勢力に抗してシャッタ124が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51と、本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52とがそれぞれ連通し、遊技球の移動が許容されることとなる。
次に、図7に基づき内枠13(樹脂ベース60及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図7は内枠13の背面図である。
樹脂ベース60の背面における回動基端側(図7の右側)には、軸受け金具132が取り付けられている。軸受け金具132には、上下に離間させて軸受け部133が形成されており、これら軸受け部133により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。また、樹脂ベース60の背面には、裏パックユニット15を内枠13に固定するための固定レバー134が複数設けられている。
既に説明したように樹脂ベース60における遊技盤収容部61の底部分(すなわち上記対向板部62)には樹脂ベース60の厚さ方向に貫通し同樹脂ベース60の背面側に開放された中央開口64が形成されており、その中央開口64が遊技盤収容部61に収容された遊技盤80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤80の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は中央開口64を通じて内枠13の背面側に露出した状態となっている。ここで、図8に基づき遊技盤80の背面の構成について詳細に説明する。図8は遊技盤80を後方から見た斜視図である。
遊技盤80の背面には、可変表示ユニット85(図6参照)を遊技盤80に対して搭載する合成樹脂製の台座部材141が固定されている。台座部材141は、遊技盤80側に開放された略箱状をなしており遊技盤80の背面のほぼ全域を覆っている。台座部材141の一部は樹脂ベース60の中央開口64を通じて同樹脂ベース60の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置94(図6参照)と、その図柄表示装置94を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置94及び表示制御装置は前後方向(樹脂ベース60の厚さ方向)に図柄表示装置が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、遊技盤80には、表示制御装置の後方に位置するようにして報知・演出制御装置ユニット142が搭載されている。報知・演出制御装置ユニット142は、報知・演出制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に報知・演出制御装置143が装着されている。
報知・演出制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る報知・演出制御基板を具備しており、報知・演出制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
報知・演出制御装置ユニット142の下方には、台座部材141を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤80の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部164は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
ボックス封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部164を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部164のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部165によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部165は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
台座部材141において遊技盤80の背面と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82,上作動口83a,下作動口83bの遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、台座部材141には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口86についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口86を介して排出通路内に導出される。
また、上記回収通路には、遊技盤80表側の一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知するカウントスイッチと、作動口83a,83bに入った遊技球を検知する作動口スイッチとが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。更に、台座部材141において可変表示ユニット85の左右両側には、スルーゲート84を通過する遊技球を検知するゲートスイッチが設けられている。これら各種スイッチは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置162に出力される構成となっている。
次に、図4及び図9に基づき裏パックユニット15について説明する。図9は裏パックユニット15の正面図である。
図4に示したように、内枠13は裏パックユニット15によって後方から覆われている。裏パックユニット15は、図9に示すように、裏パック201を備えており、当該裏パック201に対して、払出機構部202、排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。
裏パック201は透明性を有する合成樹脂により成形されており、払出機構部202などが取り付けられるベース部211と、パチンコ機10後方に突出し略直方体形状をなす保護カバー部212とを有する。保護カバー部212は左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放された形状をなし、少なくとも可変表示ユニット85を囲むのに十分な大きさを有する。
ベース部211には、その右上部に外部出力端子板213が設けられている。外部出力端子板213には各種の出力端子が設けられており、これらの出力端子を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)へ各種信号が出力される。また、ベース部211にはパチンコ機10後方からみて右端部に上下一対の掛止ピン214が設けられており、掛止ピン214を内枠13に設けられた前記軸受け部133に挿通させることで、裏パックユニット15が内枠13に対して回動可能に支持されている。ベース部211には、内枠13に設けられた固定レバー134が挿通される複数の挿通部215が形成されており、固定レバー134が挿通部215に挿通された状態にてベース部211に後方から当接することにより内枠13に対して裏パックユニット15が固定されている。
ベース部211には、保護カバー部212を迂回するようにして払出機構部202が配設されている。払出機構部202には、裏パック201の最上部に配されているとともに上方に開口したタンク221が設けられており、遊技ホールの島設備から供給される遊技球がそのタンク221に逐次補給される。タンク221の下方には、下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール222が連結され、タンクレール222の下流側には上下方向に延びるケースレール223が連結されている。ケースレール223の最下流部には払出装置224が設けられている。払出装置224より払い出された遊技球は、当該払出装置224の下流側に設けられた図示しない払出通路を通じて、裏パック201のベース部211に設けられた遊技球分配部225に供給される。
遊技球分配部225は、払出装置224より払い出された遊技球を上皿28a、下皿29a又は後述する排出通路の何れかに振り分けるための機能を有し、内側の開口部が上述した本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路を介して上皿28aに通じ、外側の開口部が本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路を介して下皿29aに通じるように形成されている。
ベース部211の下端部には、当該下端部を前後に挟むようにして排出通路盤及び制御装置集合ユニット204が取り付けられている。排出通路盤には、制御装置集合ユニット204と対向する面に後方に開放された排出通路が形成されており、当該排出通路の開放部は制御装置集合ユニット204によって塞がれている。排出通路は、遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した回収通路等から排出通路に導出された遊技球は当該排出通路を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
制御装置集合ユニット204は、横長形状をなす取付台241を有し、取付台241に払出制御装置242と電源・発射制御装置243とが搭載されている。これら払出制御装置242と電源・発射制御装置243とは、払出制御装置242がパチンコ機10後方となるように前後に重ねて配置されている。
払出制御装置242においては基板ボックス244内に払出装置224を制御する払出制御基板が収容されており、当該払出制御基板に設けられた状態復帰スイッチ245が基板ボックス244外に突出している。例えば、払出装置224における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ245が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置243は、基板ボックス246内に電源・発射制御基板が収容されており、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル45の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置243には電源スイッチ247が設けられている。電源スイッチ247を操作することにより、パチンコ機10の電源を投入状態(オン状態)又は遮断状態(オフ状態)に切り替え可能となっている。
ここで、本パチンコ機10(詳しくは主制御装置162)は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持される。上記主制御装置162には、RAM消去スイッチ166が設けられている。当該RAM消去スイッチ166を押しながら電源を投入すると、主制御装置162に記憶されているRAMデータが初期化されるようになっている。
<遊技球発射ハンドル45>
本実施の形態においては、遊技球発射ハンドル45及びそれに関連する構成が特徴的なものとなっている。そこで以下、図10及び図11を参照して、遊技球発射ハンドル45について説明する。図10(a)は図1の部分拡大図、図10(b)は遊技球発射ハンドル45の正面斜視図、図11(a)は遊技球発射ハンドル45の主要な構成を示す斜視図、図11(b)は遊技球発射ハンドル45の縦断面図である。なお、図10(b)においては遊技球発射ハンドル45を操作している手及び前扉枠14を2点鎖線によって表示し、図11(b)においては枠体20a及びカバー体20bを2点鎖線によって表示している。
図10に示すように、遊技球発射ハンドル45は、前扉枠14の前面部分(詳しくは上記カバー体20b)から遊技機前方に突出して設けられたハンドルユニット320を備えている。図10(b)に示すように、ハンドルユニット320とカバー体20bとの間には指を挿入可能な隙間が確保されており、例えばハンドルユニット320を包み込むようにして握ることが可能となっている。なお、当該隙間は後述するハンドルユニット320の位置調整を行った場合であっても指が挿入可能となるように設定されている。
ハンドルユニット320は、その外郭を形成する前部カバー321及び後部カバー322と、遊技球の発射操作に際して回動操作される回動操作部材323とを有し、前後に組み合わされたカバー321,322によって回動操作部材323が挟まれた状態でユニット化されている。
遊技球発射ハンドル45は前扉枠14(枠体20a,カバー体20b)とは別体で設けられ、当該前扉枠14に着脱可能に取り付けられている。以下、図11を参照して遊技球発射ハンドル45の取付構造について説明する。
遊技球発射ハンドル45は、前扉枠14の枠体20aに固定されるベースユニット310を備えている。ベースユニット310は、枠体20aへの固定対象としての取付ベース311を有し、この取付ベース311がネジ等の固定具を用いて枠体20aに固定されることにより当該枠体20a(前扉枠14)と一体化されている。
ベースユニット310は、当該ベースユニット310とハンドルユニット320とを連結する連結機構330を備えている。つまり、遊技機前方に突出しているハンドルユニット320は連結機構330を介してベースユニット310に取り付けられている。
連結機構330は、ベースユニット310(詳しくは取付ベース311)に固定されたベース側連結部材331と、ハンドルユニット320に固定されたハンドル側連結部材341とによって構成され、これら両連結部材331,341が連結されることによりベースユニット310とハンドルユニット320とを繋いでいる。
図11(b)に示すように、ハンドル側連結部材341は前後に延びる円筒状の軸部332を有し、その後端部が取付ベース311に固定されている。軸部332の前端部には略半球状をなす拡径部334が形成されており、この拡径部334には上記軸部332の内部空間に連通する開口部335が形成されている。
一方、ハンドル側連結部材341については、ベース側連結部材331の中心軸線CL(CLB)と中心軸線が重なるように形成された円筒状の軸部342を有しており、その後端部には、上記拡径部334に対向する半球状部344が形成されている。これら拡径部334及び半球状部344は、前扉枠14の枠体20aとカバー体20bとによって挟まれた領域内に収容されている。半球状部344が上記拡径部334に嵌ることにより、両連結部材331,341が一連となるように構成されているが、この詳細な連結構造については後述する。
カバー体20bには、遊技機前方に膨らむ膨出部48が形成されており、当該膨出部48の中央には、軸部342が挿通される貫通孔49が形成されている。軸部342については、その前端部分が貫通孔49を通じて遊技機前方に突出しており、この突出している部分がベースユニット310の取付部として機能している。
ハンドルユニット320は上述したように遊技球の発射速度(発射強度)を調整するための回動操作部材323を有しており、回動操作部材323を所望とする位置に留めることを目的として、当該回動操作部材323と各カバー321,322との隙間に硬貨等が無理矢理押し込まれることがある。このような事情から、ハンドルユニット320には変形や破損等に起因した動作不良等が生じる可能性を否定できない。
この点、本実施の形態に示すハンドルユニット320については、軸部342に固定されているため、ハンドルユニット320を着脱することが可能である。つまり、ハンドルユニット320に不具合が生じた場合に遊技球発射ハンドル45全体を換装する必要がなく、必要に応じてハンドルユニット320のみを取り外して修理したり、当該ハンドルユニット320のみを換装したりすることができる。このように、本実施の形態に示す遊技球発射ハンドル45においては、メンテナンスの容易化や遊技部品のリユース性の向上による環境面への配慮がなされている。
なお、軸部342については、各カバー321,322に形成された挿通部に挿通された状態で固定されており、両カバー321,322の相対位置が上記中心軸線CLと交差する方向にてずれることを抑制している。また、回動操作部材323は、その外殻を構成する外環部と軸部342が挿通される内環部とを有してなり、軸部342を中心として回動可能となるように軸支されている。つまり、回動操作部材323に加わる負荷については、カバー321,322及び軸部342に分散される構成となっている。
なお、ハンドル側連結部材341に対するハンドルユニット320の固定構造については任意であるが、上述した各種機能を享受する上では、ハンドルユニット320を着脱可能に固定可能となるようにネジ等の固定具を利用するとよい。
ここで、両連結部材331,341の連結構造について説明する。図11(b)に示すように、ベース側連結部材331の拡径部334の内面及びハンドル側連結部材341の半球状部344の外面は、曲率が一致し、相対向する接触面336,346となっている。接触面336,346には、拡径部334及び半球状部344を形成している合成樹脂材料よりも摩擦係数が大きいパッド337,347が固定されている。拡径部334及びパッド337からなるベース側係合部333と、半球状部344及びパッド347からなるハンドル側係合部343とが係合することにより、具体的には拡径部334の凹み部分に半球状部344が入り込んでパッド337,347同士が面接触することにより、両連結部材331,341が繋がっている。このように、摩擦係数の高い部材同士を接触させることにより、係合状態の変化を妨げる抵抗が大きくなることとなる。
このような係合態様においては、ハンドル側連結部材341がベース側連結部材331から離れるようにして遊技機前方へ変位することにより、両連結部材331,341が離間し得る。このため、場合によってはハンドルユニット320がハンドル側連結部材341ごとベースユニット310から分離又は脱落する可能性がある。そこで、本実施の形態においては、このような分離や脱落を防止するストッパ機構が採用されている。
ストッパ機構は、ハンドル側連結部材341(詳しくは半球状部344の端部)を後方に向けて押圧する押圧リング351を有している。押圧リング351は、半球状部344の縁部(前端部)に沿うように形成された環状をなしており、ハンドル側連結部材341(ハンドル側係合部343)をベース側連結部材331(ベース側係合部333)に押し付ける押圧位置と、当該押し付けを行わない退避位置とに移動可能となっている。
ここで、図12を参照してストッパ機構の動作態様について説明する。図12はストッパ機構と連結機構との関係を示す概略図であり、(1)群はロックレバー46の状態を示し、(2)群は押圧リング351の状態を示している。
図12(a1)に示すようにロックレバー46が非操作状態となっている場合には、押圧リング351によってハンドル側連結部材341(ハンドル側係合部343)がベース側連結部材331(ベース側係合部333)に押し付けられており、両係合部333,343の係合状態が維持されるように構成されている。パッド337,347は弾性変形可能に形成されており、図12(a2)に示す状態では、パッド337,347が押圧リング351の押圧力によって圧縮され、上述した摩擦抵抗によるハンドルユニット320の保持機能及び保持位置からの移動規制機能が好適に発揮されることとなる。以下、当該状態をロック状態と称する。
図12(a1)→図12(b1)に示すように、ロックレバー46が手前側に引っ張られると、その操作力がリンク機構を通じて押圧リング351に伝わり、当該押圧リング351が上記押圧位置から退避位置へと変位する。これにより、図12(b2)に示すように、押圧リング351と半球状部344の縁部との間に隙間が生じ、ハンドル側連結部材341(ハンドル側係合部343)とベース側連結部材331(ベース側係合部333)との押圧が解除されて、上述した隙間内にて両連結部材331,341の相対変位が許容されることとなる。以下、この状態をアンロック状態と称する。
アンロック状態では、上記ロック状態とはことなり、両連結部材331,341の密着が解除されることとなる。このため、ロック状態と比較して、両係合部333,343(詳しくはパッド337,347)の間に生じる摩擦抵抗が小さくなる。つまり、図12(a)に示したロック状態では、上記摩擦抵抗によって両連結部材331,341の相対位置の変化が困難又は不可となっているのに対して、アンロック状態では摩擦抵抗の発生を抑えることにより両連結部材331,341の相対位置の変化が許容されることとなる。なお、図示は省略しているが、ハンドル側連結部材341の軸部342において枠体20a及びカバー体20bの間に収容されている部分には、上下左右の4箇所にバネ部材が固定されている。これらバネ部材の付勢力は、アンロック状態にてハンドル側連結部材341(ハンドルユニット320)を初期位置、すなわち両連結部材331,341が一直線上に並ぶ位置に待機させるように設定されている。このため、図12(a)→図12(b)に示すようにロック状態からアンロック状態への切り替えを行った場合であっても、ハンドルユニット320の位置は初期位置に維持されることとなる。
遊技球発射ハンドル45(詳しくはハンドルユニット320)については、遊技者の標準的な体格等を配慮してその位置等が決定されている。しかしながら、好みとなるハンドルユニット320の握り方や位置については遊技者の体格や姿勢等に応じて相違し得る。このような事情に鑑みて、本実施の形態においては、ロック機構をロック状態とアンロック状態とに切り替え可能とし、状況に応じて遊技者がハンドルユニット320の位置を任意に変更可能としていることを特徴の1つとしている。つまり、遊技球発射ハンドル45にハンドルユニット320の位置調整機能が付与されていることを特徴の1つとしている。以下、図12及び図13を参照して、この位置調整機能及びそれに関連する構成について説明する。図13は位置調整の様子を示す遊技球発射ハンドル45の概略図である。
遊技を開始するにあたりハンドルユニット320の位置の調整を行うことができる。先ず図12(a)→図12(b)に示したように遊技球発射ハンドル45に並設されたロックレバー46を操作してロック状態からアンロック状態への切り替えを行う。これにより、ハンドルユニット320の移動規制が解除され、前扉枠14(カバー体20b)に沿ったハンドルユニット320の移動が許容される。ここで、仮にロック状態にてハンドルユニット320が初期位置とは異なる位置に配置されていた場合には、アンロック状態への切り替えに伴い上記付勢力によって初期位置への復帰が促され、初期位置への復帰後は当該初期位置に待機することとなる。
次に、遊技者がハンドルユニット320を掴んで上下左右何れかの方向に上記付勢力に抗して動かすと、両係合部333,343の係合箇所を基端としてハンドルユニット320が当該方向に移動すこととなる。
例えば、図13(a)→図13(b)に例示しているように、ハンドルユニット320を上方に持ち上げた場合には、ハンドルユニット320は中心部CPを基端としてその向きが斜め上方を向くように姿勢を変えながら上昇することとなる。また、図13(a)→図13(c)に例示しているようにハンドルユニット320を下方に押し下げた場合には、ハンドルユニット320は中心部CPを基端としてその向きが斜め下方を向くように姿勢を変えながら降下することとなる。
本実施の形態においては、凸曲面及び凹曲面を面接触させることにより、連結部材331,341を繋いでいるため、ハンドルユニット320の移動については、特定の方向に限定されず、遊技機正面視にて円状をなす範囲内での移動が許容されている。
このようにして、ハンドルユニット320の位置を決定した後は、ロックレバー46を操作してアンロック状態からロック状態への切り替えを行う。これにより、当該位置にてハンドルユニット320が移動を規制された状態で保持されることとなる。なお、図13に示すように、押圧リング351はハンドルユニット320の向きの変化に追従してその向きが変わるように、上記中心部CPを中心として回動可能な状態で保持され、ハンドルユニット320の位置調整を行った場合であっても押圧機能が低下すること、また押圧力がハンドルユニット320の位置ずれの要因になるようにして作用することが回避されている。
既に説明したように、係合部333,343は前扉枠14の内部空間に収容され、前扉枠14を構成するカバー体20bに形成された貫通孔49を通じて遊技球発射ハンドル45の一部(ハンドル側連結部材341やハンドルユニット320)が遊技機前方に突出している。再び図11(b)を参照して説明すれば、貫通孔49の孔径は、ハンドル側連結部材341(軸部342)の外形よりも大きく設定されており、遊技球発射ハンドル45の位置調整を妨げない構成となっているが、このように大きな貫通孔49が存在することは、ワイヤ等の不正具を遊技機内に侵入させる経路となり得る。そこで、軸部342の中間部分には、貫通孔49を前扉枠14の内側から覆う環状フランジ部349が形成されている。
環状フランジ部349は、その外形が上記中心部CPを中心とする曲面状をなすように形成されており、カバー体20bに形成された上記膨出部48は、その内面が環状フランジ部349と同じ曲率となるように構成されている。つまり、ハンドルユニット320の位置調整を行う場合には、環状フランジ部349と膨出部48とが対向したままとなり、上記不正具の侵入経路の発生を抑えている。
また、ロック状態においては、環状フランジ部349と膨出部48との間に僅かな前後隙が生じている。この隙間はアンロック状態における押圧リング351と半球状部344の縁部との隙間よりも僅かに小さく設定されており、アンロック状態になった場合には環状フランジ部349と膨出部48との隙間が前後方向におけるハンドルユニット320の可動域として作用する。係る構成とすることにより、仮に位置調整に伴ってハンドルユニット320が前方に引っ張られた場合であっても、その負荷が前扉枠14(詳しくはカバー体20b)に分散され、押圧リング351に過剰な負荷が加わることを抑制している。
また、環状フランジ部349の前面はハンドル側係合部343(詳しくは接触面346又はパッド347)とともに中心部CPを中心とする仮想球面RSとほぼ同一面上に位置するように配置され、膨出部48の後面についてもベース側係合部333(詳しくは接触面336又はパッド337)とともに同一仮想球面RSとほぼ同一面上に位置するように配置されている。つまり、完全な球状ではないが、枠体20aに属するベース側連結部材331とカバー体20bとの組み合わせにより球面部が形成され、その内部に半球状部344及び環状フランジ部349からなる球面部が収容される(挟み込まれる)ている。これにより、上述した防犯機能の向上、アンロック状態での位置調整機能の担保、ハンドルユニット320の脱落防止等の各種効果が発揮される構成となっている。
ここで、ハンドルユニット320には、回動操作部材323の操作量を検知する操作量検出センサが内蔵されており、このセンサから延びる配線は、ハンドル側連結部材341の軸部342の内部空間→半球状部344に形成され当該内部空間に連なる開口部345→拡径部334に形成された開口部335→ベース側連結部材331の内部空間を通じてベースユニット310の取付ベース311に到達している。取付ベース311には、中継基板313が内蔵されており、この配線は当該中継基板313に接続されている。中継基板313は電源・発射制御装置243に電気的に接続されており、操作量検出センサからの検知情報は、中継基板313を介して電源・発射制御装置243に入力されることとなる。
ここで、本実施の形態に示した開口部335,345の関係について説明する。上述したハンドルユニット320の位置調整に伴い両連結部材331,341の相対位置が変化した場合であっても、上述した開口部335,345の重なり(連通状態)が維持される構成となっている。具体的には、図13(b),(c)にはハンドルユニット320の上限位置と下限位置とが例示されているが、このように調整可能な範囲のうち限界位置に配置された場合であっても、開口部335,345の重なりが維持されることとなる。これにより、上述した配線が断線されることが回避されている。特に、アンロック状態となった場合には、上述した各パッド337,347が自身の弾性力によってもとの状態に復元することとなる。これにより、両開口部335,345の縁部間に隙間が生じることが抑制されることとなり、この隙間に配線が入り込むことが回避される。
以上詳述したように、本実施の形態に示す両連結部材331,341はその内部空間が繋がった状態となるように構成されており、配線の配設経路が確保されているが、この内部空間については遊技演出についても利用することが可能となっている。
図11(b)に示すように、ベースユニット310に設けられた上記中継基板313の前面には複数の発光素子312が実装されている。これら発光素子312は演出制御装置143からの信号を受信することで発光する。遊技の進行状況等に応じて、演出制御装置143によって発光素子312の発光制御がなされることで、発光演出が実行されることとなる。
発光素子312からの光は、上記各連結部材331,341を通じて前部カバー321に到達する。前部カバー321においてハンドル側連結部材341の端部に対峙している部分は光透過性が付与されており、発光素子312からの光はその光透過部321aを通じて遊技機前方へ照射されることとなる。ここで、各軸部332,342の内周面には鏡面加工が施されている。これにより、光の漏れを抑制し、発光素子312からの光は効率よく光透過部321aに到達するように工夫されている。
図13(b),(c)に示すように、ベース側連結部材331の中心軸線CLBとハンドル側連結部材341の中心軸線CLHとが交差した状態であっても、両連結部材331,341の内部空間は繋がっている。つまり、ハンドルユニット320の位置調整によって当該ハンドルユニット320が初期位置から外れた場合であっても上述した光の通過経路が遮断されることはなく、発光演出機能は担保されることとなる。
本実施の形態に示す遊技球発射ハンドル45においては、従来ハンドルユニット320に内蔵されていた構成の一部をベースユニット310側に移設することにより、ハンドルユニット320内の空間を遊技演出用の各種遊技部品(例えば振動体等)の配置領域として利用することを容易としている。特に、これらの電気部品については、上記各連結部材331,341に配線を通すことが可能であるため、電気的な接続機能のついても担保されている。以下、このような構成を実現すべく採用された構成について補足説明する。
上述した遊技球発射機構110(詳しくはソレノイド111)は、遊技球発射ハンドル45の回動操作部材323に遊技者の手が触れていること、当該回動操作部材323が回動されていることの2つの条件が成立していると電源・発射制御装置243にて判断された場合に、駆動制御されることとなる。
ここで、2つの条件のうち前者については、接触式のセンサ(タッチセンサ)からの検知情報に基づいて可否判定が実行される。図11に示すようにタッチセンサ314はベースユニット310の取付ベース311内に中継基板313とともに内蔵されており、この中継基板313に対して電気的に接続されている。
タッチセンサ314はハンドルユニット320から送信される電気信号に基づいて上記見情報を出力する構成となっているが、当該機能を発揮すべく、本実施の形態に示す連結機構330には電気信号を伝達する伝達経路としての機能が付与されている。
具体的には、回動操作部材323は内外二重の環状をなしており、その内側の環状部がハンドル側連結部材341の軸部342に係合している。これら回動操作部材323及びハンドル側連結部材341には導電性が付与されており、回動操作部材323の外側環状部に対して遊技者が触れた場合には、電気信号が外側の環状部→内側の環状部→ハンドル側連結部材341の軸部342に伝わることとなる。
また、上記各パッド337,347及びベース側連結部材331にも導電性が付与されている。このため、図12(a)にしめすロック状態においては少なくとも、各パッド337,347の接触状態が維持されるため、上記電気信号はハンドル側係合部343のパッド347→ベース側係合部333のパッド337→ベース側連結部材331の軸部332に伝わることとなる。
タッチセンサ314は、ハンドル側連結部材341の基端部に接続されており、回動操作部材323とタッチセンサ314とは電気的に繋がった状態となっている。つまり、タッチセンサ314はベースユニット310に配設されているが、ハンドルユニット320(回動操作部材323)への接触の有無を連結機構330を通じて把握することが可能となっている。
以上詳述した本実施の形態によれば以下の優れた効果が期待できる。
遊技者の背の高さはまちまちであり、標準的な体格を前提とした場合には、それよりも背の高い遊技者やそれよりも背の低い遊技者にとっては、標準的な体格の遊技者と比較して、発射操作に起因した負荷が大きくなりやすい。また、遊技機が設置される島設備の台座の高さや椅子の高さにも遊技ホールの設備に応じて相違し得るため、好ましいハンドルユニット320(遊技球発射ハンドル45)の高さ位置については、様々な条件に応じて変化する。そこで、本実施の形態に示したように、ハンドルユニット320の高さ位置を変更する構成とすれば、各種条件下にて好ましいハンドルユニット320の高さ位置を担保することができる。これにより、発射操作に起因した遊技者の疲れを軽減できる。これは、遊技意欲の減退を抑制する上で効果的である。
また、遊技を行う場合には、必ずしも遊技者が遊技機に正対した状態で遊技を行うとは限らない。特に長時間に亘って遊技を行う場合に、遊技者は身体の負担を軽減すべくその姿勢を変えることが多い。島設備に配置される遊技機については、横並びとなるように配列されており、遊技者は左右の遊技者に挟まれた状態で遊技を行うことが多い。このため、体の向きを正対しないように左右に傾けるには限度があるが、このような姿勢の変更は一般的に行われることである。
ここで、本実施の形態によれば、ハンドルユニット320の位置を左右に変更できるため、上述した姿勢の変更に追従するようにしてハンドルユニット320の位置を横方向にて調整することができる。これにより、発射操作に起因した遊技者の疲れを軽減できる。
遊技球発射ハンドル45は遊技機の構造上、前扉枠14の右下部に配置されやすい。腕は肩から延びており、体格に応じてその長さが異なる。ここで、例えば遊技ホールの島設備に設置された椅子については固定式となっていることが多いため、遊技機(遊技機前面部)と遊技者との距離を変更することは困難である。つまり、大柄な遊技者の場合には無理に腕を折り曲げるようにしてハンドルユニット320を把持する必要が生じたり、小柄な遊技者の場合には無理に腕を伸ばすようにしてハンドルユニット320を把持する必要が生じたりし得る。この点、上記実施の形態に示したようにハンドルユニット320を右斜め上方や左斜め下方等へ自在に位置変更可能とすれが、上述したような空間上の制約下であっても無理な腕の曲げ伸ばしを必要とせず、体格や姿勢の違いに応じて負担の少ない位置へのハンドル部の位置を変化させることが可能となる。
ハンドルユニット320の位置を変更する場合には、同ハンドルユニット320の向きが係合箇所を基端として変更される。例えばハンドルユニット320を上方に移動させた場合には、ハンドルユニット320が斜め上方を向き、ハンドルユニット320を左方へ移動させた場合には、ハンドルユニット320が斜め左方を向くこととなる。このように位置調整に併せてハンドルユニット320の向きが自動的に変更される構成とすることにより、ハンドルユニット320の操作性の更なる向上に貢献できる。
上記位置調整機能を実現するための構成として凹曲面部を構成するベース側係合部333と凸曲面部を構成するハンドル側係合部343とを採用した。両者が係合状態となることにより両曲面部の間に生じる摩擦抵抗によって保持機能を発揮させることができる。例えば、ギア等によって多段的な位置の変更を許容することで調整機能と保持機能とを両立することも可能であるが、このような構成では、ハンドルユニットへの負荷がギアにダイレクトに伝わって磨耗等が生じたり(磨耗に起因して耐久性の担保が困難になったり)、段階的な調整を余儀なくされることで微妙な位置調整が困難になったりする。
この点、上記係合方式を採用すれば、摩擦によってハンドルユニット320の位置が決まるため、仮にハンドルユニット320に大きな負荷が加わった場合には、その方向へハンドルユニット320を逃がすことができる。故に、耐久性の問題を好適に解消できる。また、上述したようなギア等の存在がなく無段階での位置調整が可能であるため細かな位置調整が可能となる。
上記位置調整機能を有している場合であっても、位置調整後の位置からのハンドルユニット320のブレ(位置ずれ)の回避を遊技者自身に委ねてしまうと、遊技者の負担が増大することで結果として位置調整機能を活用されなくなると想定される。そこで、本特徴に示すように、押圧リング351によってハンドルユニット320を調整後の位置に保持する構成とすることにより、そのような不都合の発生を好適に抑制することができる。これにより、位置調整機能の活用を促進できる。
本実施の形態では、ロックレバー46や押圧リング351を用いてロック状態/アンロック状態の切替を可能とした。これにより、ハンドルユニット320の保持機能や移動規制機能を強化と、しようとすれば位置調整を行う際の作業負荷の軽減とを好適に両立できる。
アンロック状態への切り替えに伴いハンドルユニット320が初期位置に復帰する構成とした。これにより、ハンドル部の位置調整を行う際の作業効率を向上することができる。特に、ハンドルユニット320の初期位置については、位置調整が可能範囲の中央に設定されているため、初期位置でのハンドルユニット320の偏りを抑えている。これにより上記作業効率の更なる向上が期待できる。
ハンドルユニット320にて発光演出等を行う場合、従来の遊技機ではハンドル部に発光手段を内蔵する必要があったところ、ベースユニット310側に発光手段(発光素子312)を配置しても両連結部材331,341を通じてハンドルユニット320に光を供給することが可能となる。このようにして本来ハンドルユニット320に付属し得る構成をベースユニット310側に移植可能とすることで、ハンドル部の軽量化等を促進できる。これは、ロック状態での上記保持機能等の向上を実現する上で好ましい構成である。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態に示したように、パチンコ機の遊技球発射ハンドルには、遊技を行う際に遊技者によって操作される「操作手段」としての機能が付与されている。遊技球発射ハンドルを遊技機前方に突出させて設けることにより、すなわち遊技者に対してより近い位置に配置することにより、遊技を行う際の当該遊技球発射ハンドルへのアクセスの容易化や発射操作を行う際の操作負荷の軽減等の各種効果を発揮させることができる。
しかしながら、これらの効果を発揮させるべく遊技球発射ハンドルを遊技機前方に突出させている場合には、それに起因して以下の不都合が生じ得る。例えばパチンコ機を運ぶ場合には前扉枠に存在する突出部分が作業者によって取っ手代わりに把持される可能性がある。パチンコ機の重量が嵩んでいるという実情に鑑みれば、作業者による把持部分に生じる負荷は大きくなると想定される。ここで、アクセスや把持の容易化が実現された遊技球発射ハンドルについては、必然的に作業者による把持対象になりやくなると考えられる。仮に遊技球発射ハンドルが把持対象となった場合には当該遊技球発射ハンドルに大きな負荷が加わることとなる。これは、遊技球発射ハンドルの変形等を招来し、発射操作を行う機能が損なわれる要因になり得る。
なお、遊技球発射ハンドルについては、遊技者が着座した状態で把持されることを前提として形成されているため、必ずしも遊技者の体重やパチンコ機の重量を支えるに十分な強度が確保されているとは言えない。このような前提にたち返ってみても、やはり上記不都合が生じる可能性を否定することは困難である。
本実施の形態においては、このような事情に鑑みて上記不都合の発生を抑える工夫が施されていることを特徴の1つとしている。以下、図14〜図17を参照して、本実施の形態におけるパチンコ機10Xの構成を第1の実施の形態に示したパチンコ機10との相違点を中心に説明する。図14は第2の実施の形態におけるパチンコ機10Xの部分拡大図、図15はパチンコ機10Xの前扉枠14Xを開放した状態を示す斜視図、図16は図14のA−A線部分断面図、図17は図14のB−B線部分断面図である。なお、図16及び図17においては説明の便宜上、内枠13Xを2点鎖線によって示している。
図14に示すように、下側膨出部29Xにおいては、下皿29aXが遊技球発射ハンドル45Xとは反対側(左側)にオフセットして設けられている。下皿29aXと遊技球発射ハンドル45Xとの間となる部分には、音出力手段としてのスピーカ35X(図16参照)が設けられている。具体的には、カバー体20bXにはスピーカ35Xを収容するスピーカ収容部36Xが形成されており、このスピーカ収容部36Xに収容されることでスピーカ35Xが遊技機前方への露出が抑えられた状態で前扉枠14Xに一体化されている。
図16に示すように、スピーカ収容部36Xは、前面部37Xと、左右の側壁部38Xと、それら側壁部38Xを繋ぐように形成された天井部及び底部39Xとがカバー体20bXに形成され、後方への開放部分が枠体20aXによって覆われてなる。これにより、スピーカ収容部36Xが、スピーカ35X用のエンクロージャとして機能している。なお、本実施の形態に示すスピーカ35Xは重低音タイプ(所謂ウーハー)であり、コーン紙が前面部37Xと対向するようにして設置されている。前面部37Xにはスリットが形成されており、同スリットを介して音が出力される構成となっている。
前扉枠14X(詳しくはカバー体20bX)においてスピーカ35Xと横並びとなる位置に、上記遊技球発射ハンドル45Xが配設されている(図14参照)。本実施の形態に示す遊技球発射ハンドル45Xについては、その取付対象がカバー体20bとなっており、上記第1の実施の形態に示した向き調整に係る構成が省略されている。
ここで、遊技球発射ハンドル45Xの取付構造について補足説明する。前扉枠14X(詳しくはカバー体20bX)において遊技球発射ハンドル45Xの後方となる部分には、当該遊技球発射ハンドル45Xを収容可能な収容凹部40Xが設けられている。収容凹部40Xは収容凹部40Xはスピーカ収容部36Xと横並びとなっており、当該収容凹部40Xを構成する前面部41Xには収容凹部40Xの内外に貫通するようにして開口部41aXが設けられている。前面部41Xには、開口部41aXを塞ぐようにして、略板状のベース体401Xが取り付けられている。カバー体20bX(前面部41X)にベース体401Xに固定されることにより、当該カバー体20bXに後部カバー322Xが固定された遊技球発射ハンドル45Xが前扉枠14X(詳しくはカバー体20b)と一体化されている。
より具体的には、ベース体401Xは、スピーカ収容部36Xと収容凹部40Xとの並設方向と同じ方向(左右方向)に延びる軸体405Xを有しており、この軸体405Xの左右両端部がベース体401Xから突出している。これら突出部分が前面部41Xに形成された軸受け部42Xに係合している。軸体405Xは円筒状をなしており、前面部41Xには、軸体405Xに連通する貫通孔が形成されている。この貫通孔を通じて、軸体405Xの内部空間と側壁部38b(スピーカ収容部36X)の内部空間とが繋がっている。遊技球発射ハンドル45Xから延びる配線は、軸体405Xの中間部分に形成され貫通孔を通じて当該軸体405X内に挿入されており、軸体405X→側壁部38bを通じて、内枠13に配置された電源・発射制御装置243に接続されている。
ベース体401Xは、軸体405Xの中心軸線CL2を中心として、前後に回動可能となっている。ベース体401Xが回動することにより、当該ベース体401Xに固定された遊技球発射ハンドル45Xの向きが変化することとなる。上記開口部41aXはベース体401Xの回動に追従した遊技球発射ハンドル45Xの通過を許容する大きさとなっている。つまり、ベース体401Xを回動させることにより遊技球発射ハンドル45Xが開口部41aXを通じて収容凹部40X内に収まる収容位置と、遊技機前方に突出した突出位置とに移動する構成となっている。
収容凹部40X内に遊技球発射ハンドル45Xを収容した状態では、遊技球発射ハンドル45Xの露出が回避され、更には開口部41aXがベース体401Xによって塞がれることで、同遊技球発射ハンドル45Xへの外部(例えば遊技機前方)からのアクセスが不可となる。
ここで、ベース体401Xにおいて遊技球発射ハンドル45Xが配設されている側とは反対側となる部分には、作業者が把持可能な把持部としての取っ手402Xが取り付けられており、これら遊技球発射ハンドル45X、取っ手402X及びベース体401Xによって操作ブロック400Xが構築されている。
遊技球発射ハンドル45Xと取っ手402Xとは、ベース体401Xを挟んで表裏の位置関係となるように配置されている。取っ手402Xは、その外形が遊技球発射ハンドル45Xよりも小さくなるように形成されており、遊技球発射ハンドル45Xと同様に前面部41Xの開口部41aXを通じて収容凹部40Xの内外に移動可能なっている。つまり、遊技球発射ハンドル45Xが遊技機前方に突出する操作位置に配置されることにより取っ手402Xが収容凹部40Xに収容され、遊技球発射ハンドル45Xが収容凹部40Xに収容される収容位置に配置されることにより取っ手402Xが遊技機前方に突出するようにして両構成45X,402Xが入れ替わる構成となっている。
以下説明の便宜上、操作ブロック400Xについて、遊技球発射ハンドル45Xが遊技機前方を向いている状態(取っ手402Xが遊技機後方を向いている状態)を「第1状態」、遊技球発射ハンドル45Xが遊技機後方を向いている状態(取っ手402Xが遊技機前方を向いている状態)を「第2状態」と称する。
図15に示すように内枠13X(詳しくは樹脂ベース60X)には操作ブロック400Xの回動を規制する規制手段として上下一対のストッパ部116Xが形成されている。ストッパ部116Xは、遊技機前方に突出しており、枠体20aXの膨出部43Xに形成されたスリット44Xを介して収容凹部40X内に挿入されている。スリット44Xにストッパ部116Xが挿通された状態では、当該スリット44Xが同ストッパ部116X等によって塞がれた状態となっている。詳細については後述するが、本実施の形態における収容凹部40Xにはエンクロージャとしての機能が付与されており、スリット44Xを塞ぐことにより、当該スリット44Xからの音漏れを抑制して上記機能の担保を図っている。
図16及び図17に示すように、前扉枠14Xが内枠13Xに対して閉じている場合には、ストッパ部116Xの先端部分がベース体401Xの上端部及び下端部に当接している。これにより、前扉枠14Xが閉じている場合には、中心軸線CL2を中心とする操作ブロック400Xの回動、すなわち上記第1状態/第2状態の切り替えが不可となるように規制される。ストッパ部116Xは内枠13Xに属しているため、前扉枠14Xが開放されて内枠13Xとの位置関係が変化する。つまり、前扉枠14Xが開放された場合には、ストッパ部116Xが操作ブロック400Xから離間して(収容凹部40から離脱して)、操作ブロック400Xの回動が許容されることとなる。
図17に示すように、ストッパ部116Xの先端部分はベース体401Xとカバー体20bXとの両方に跨るようにして当接しており、ベース体401X及びカバー体20bXの境界部位が収容凹部40Xの内部から覆われている。これは、当該境界部位を通じてワイヤ等の不正具が挿入されることを抑制する工夫である。
次に、図18の概略図を参照して、パチンコ機10の製造→出荷→設置の流れに基づく操作ブロック400Xの第1状態/第2状態の切り替えについて説明する。図18においては、操作ブロック400Xを第1状態→第2状態に切り替える際の流れを例示している。なお、第1状態→第2状態への切り替えと、第2状態→第1状態への切り替えとは、切替操作を行う際の操作ブロック400Xの回動方向以外は共通となっている。そこで、先ず図18を参照して操作ブロック400Xを第1状態→第2状態に切り替えに触れ、その後、第2状態→第1状態への切り替えについて説明する。
遊技機メーカ等の工場にてパチンコ機10Xの製造が完了した後は、梱包等の出荷準備が行われる。ここで、製造ラインからパチンコ機10Xを下ろす前に、以下に示す操作ブロック400Xの切替作業が行われる。
具体的には、図18(a)に示すように、前扉枠14Xが閉位置に配置されている状況下では、ストッパ部116Xによって操作ブロック400Xの状態切替が不可となっている。図18(a)→図18(b)に示すように、前扉枠14Xを所定位置まで開放させるとストッパ部116Xが収容凹部40Xから離脱する。これにより、操作ブロック400Xが回動可能となる。
図18(b)→図18(c)に示すように、操作ブロック400Xを中心軸線CL2を中心として180度回動させることにより、操作ブロック400Xが第1状態から第2状態に切り替わる。つまり、遊技球発射ハンドル45Xが収容凹部40Xに収容され、それまで収容凹部40Xに収容されていた取っ手402Xが遊技球発射ハンドル45Xに代わって遊技機先方に突出した状態となる。
その後、図18(c)→図18(d)に示すように、前扉枠14を閉位置に移動させることにより、ストッパ部116Xによって操作ブロック400Xの状態切替が阻止された状態となる。
遊技機メーカからパチンコ機10Xを出荷する際には、操作ブロック400Xを第2状態(図18(d)参照)としておくことにより、遊技ホール等にてパチンコ機10Xを運んだり島設備等に設置したりする際に、作業者に取っ手402Xの利用を促すことができる。このように、作業者が持ちやすい部分(把持対象)を予め設けておくことにより、下側膨出部29X等の前扉枠14Xに配設されている各種突出部が把持対象となることを抑制できる。
ここで、取っ手402Xが作業者によって把持された状態でパチンコ機10が持ち上げられた場合には、取っ手402Xに加わる負荷が軸体405Xやベース体401Xを通じてカバー体20bXに分散される。上述の如くベース体401Xの上端部がカバー体20bX(開口部21aX)に下側から当接する構成とすることにより、負荷の分散経路を増やすことができ、軸体405や軸受け部42Xに生じる負荷を軽減することが可能となっている。
上述した過程を経てパチンコ機10Xが島設備等に設置された後には、操作ブロック400Xを第2状態から第1状態に復帰させる作業を行う。具体的には、前扉枠14Xを開放してストッパ部116Xによる規制を解除した後、操作ブロック400Xを反転させる。操作ブロック400Xを第1状態に切り替えた後に前扉枠14Xを閉位置へ配置することにより操作ブロック400Xの第2状態への切り替りが規制される。つまり、遊技球発射ハンドル45Xが遊技機前方を向いた状態で操作ブロック400Xが固定される。これにより、遊技を行うための準備が整うこととなる。
ここで、再び図16を参照してスピーカ収容部36Xと収容凹部40Xとの関係について補足説明する。スピーカ収容部36Xと収容凹部40Xとは、右側の側壁部38bXに形成された開口を通じて連通している。これにより、収容凹部40Xがスピーカ35X用のエンクロージャの一部として機能している。
パチンコ機10Xにて遊技が行われる場合には、少なくとも遊技球発射ハンドル45Xが遊技機前方を向いた状態(第1状態)となっている必要がある。この状態では、収容凹部40Xが取っ手402X用の収容手段として機能している。上記開口は、取っ手402Xよりも十分に大きく設定されているため、収容凹部40Xに収容された取っ手402Xによって当該開口を塞がれることはない。これにより、上記エンクロージャとしての機能が担保されている。
特に、取っ手402Xの外形(収容凹部40Xにおける占有領域)は、遊技球発射ハンドル45Xの外形(収容凹部40Xにおける占有領域)よりも小さく設定されており、第2状態においては、収容凹部40Xが埋まらないように工夫されている。これにより、収容凹部40Xについては、操作ブロック400Xが第1状態となっている場合の取っ手402Xの収容機能と、エンクロージャとしての機能とが好適に両立されている。
以上詳述した第2の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
遊技球発射ハンドル45Xを遊技機前方に突出して設けることにより、遊技球の発射に係る各種構成をカバー体20bX及び枠体20aXによって囲まれている領域外に配設することができ、それら各種構成の配置領域の確保が容易となっている。しかしながら、カバー体20bXの前面よりも突出している部分については、その突出量が大きくなれば大きくなる程、当該突出部分が輸送、配置、メンテナンス作業等を行う際の邪魔になりやすくなる。また、突出部分が他の遊技機等に接触した場合には、それが突出部分を変形又は破損させる要因になり得る。このように、遊技機前方へ突出している部分については様々な要因によって外部からの影響を受けやすい。本実施の形態に示すように「突出部分」=「操作用の手段(遊技球発射ハンドル45X)」である場合には、当該影響が操作機能を阻害する要因になり得る。
この点、本実施の形態においては、状況に応じて遊技球発射ハンドル45Xが設けられた操作ブロック400Xを第1状態/第2状態に切り替えることができる。例えば、遊技ホール等への設置が完了して遊技が可能な状況下となった場合には第1状態とする一方、製造、輸送及びメンテナンス等を行う場合には突出部を第2状態とすることにより、上述した影響から遊技球発射ハンドル45Xを好適に保護することができる。
具体的には、例えば遊技機メーカ等にてパチンコ機10Xを製造し遊技ホール等へ納入する場合には、操作ブロック400Xを第2状態として遊技球発射ハンドル45Xの突出を抑えておくことにより、パチンコ機10を運ぶ際に遊技球発射ハンドル45Xが作業者による把持対象となる機会を好適に減らすことができる。これは、遊技球発射ハンドル45Xの操作機能を担保する上で好ましい。パチンコ機10Xの設置が完了した後は、操作ブロック400Xを第1状態に切り替えて遊技球発射ハンドル45Xを遊技機前方に突出した状態に復帰させておくことにより、発射操作時の利便性が低下することを好適に抑制できる。
上述したように、作業性の向上や遊技球発射ハンドル45Xの保護等の効果は、遊技中ではなく主として製造時、輸送時、設置時、メンテナンス時等に発揮されることが好ましい。前扉枠14Xの開放が主として遊技機メーカ等の従業員やホール管理者等の作業者によって行われる点に配慮すれば、前扉枠14の開放により操作ブロック400Xの切り替えが可能となる構成とすることにより、遊技者により誤って上記切り替えがなされることを未然に防ぐことができる。
操作ブロック400Xが第2状態となることにより収容凹部40Xに遊技球発射ハンドル45Xが収容されることとなる。このようにして遊技球発射ハンドル45Xの露出を抑えることにより、当該遊技球発射ハンドル45Xへのアクセスが制限されることとなり、遊技球発射ハンドル45Xの保護に好適に貢献することができる。
遊技を行う場合等に遊技球発射ハンドル45Xが遊技機前方を向いている状況下においては、当該遊技球発射ハンドル45Xが収容される収容凹部40Xがデッドスペースになり得る。この点、スピーカ35X用の音響空間(エンクロージャ)を遊技球発射ハンドル45Xを収容する収容空間として利用することにより、遊技球発射ハンドル45Xの切り替えを許容することに起因して遊技球発射ハンドル45Xに係る占有領域の拡がりを好適に抑制することができる。
本実施の形態においては特に、遊技球発射ハンドル45X、取っ手402X、ベース体401Xによって操作ブロック400Xを構成している。遊技球発射ハンドル45Xを収容凹部40Xに収容した第1状態では、遊技球発射ハンドル45Xに代わって取っ手402Xが現出することとなる。つまり、収容凹部40Xには、輸送時等に使用される取っ手402Xを収容する機能が付与されている。これにより、収容凹部40Xの有効利用が図られている。
操作ブロック400Xを第1状態→第2状態に切り替えることにより、遊技球発射ハンドル45Xに代わって取っ手402Xが遊技機前方に突出することとなる。このように、遊技球発射ハンドル45Xと取っ手402Xとを併用し、状況に応じて突出させる対象を切り替えることより、遊技球発射ハンドル45Xがパチンコ機10Xを運ぶ際の把持部として利用されることを抑制できる。特に、遊技者によって把持されることを目的として設けられた取っ手402Xについては、必然的に遊技球発射ハンドル45Xよりも掴みやすくなるように構成されている。このように遊技球発射ハンドル45Xの身代わりとして取っ手402Xを準備しておくことにより、相対的に掴みにくい遊技球発射ハンドル45Xが把持対象として選択されることを抑制することができる。なお、遊技球発射ハンドル45Xを突出させた場合には取っ手402Xが後退(退避)することとなり、遊技を行う際に取っ手402Xが邪魔になることを抑制することもできる。
なお、操作ブロック400Xが第1状態となっている場合には、遊技球発射ハンドル45Xが収容された収容凹部40Xがベース体401Xによって塞がれることとなる。これにより、遊技球発射ハンドル45Xのアクセス自体が困難となり、当該遊技球発射ハンドル45Xを好適に保護することができる。
操作ブロック400Xについては遊技球発射ハンドル45Xと取っ手402Xとが表裏の関係となるように構成されている。これにより、それら両構成の収容領域を個別に設ける必要がなくなり、収容領域を共通化することができる。故に、前扉枠14Xにて遊技球発射ハンドル45Xと取っ手402Xとを好適に共存させることができる。
ベース体401Xを回動させることにより、操作ブロック400Xを第1状態/第2状態に切り替える場合には、遊技球発射ハンドル45X,取っ手402X,ベース体401X用の配置領域(収容領域)だけでなく、第1状態/第2状態の切り替えを行うための動作領域を確保する必要が生じる。この動作領域を確保することがスピーカ35Xの配置領域やスピーカ収容部36Xを圧迫する要因となることは好ましくない。この点、本実施の形態においては、ベース体401Xの回動中心軸線CL2をスピーカ収容部36Xと収容凹部40Xとの並設方向と同じ方向としている。これにより、そのような不都合の発生を抑え、2つの収容部等を好適に共存させることができる。
<第3の実施の形態>
上記第2の実施の形態においては、前扉枠14Xの回動先端側に配設された遊技球発射ハンドル45Xを出没させる構成とすることにより、遊技球発射ハンドル45Xの保護機能等の向上を図った。本実施の形態に示すパチンコ機10Yにおいては、前扉枠14Yの回動基端側に設けられた構成(詳しくは操作ブロック)を出没させる構成となっている点で第2の実施の形態と構成が相違している。そこで以下、図19を参照して本実施の形態における特徴的な構成を第2の実施の形態との相違点を中心に説明する。図19は第3の実施の形態における上側膨出部28Y及びその周辺構造を示す概略図である。
前扉枠14Yにおいて上側膨出部28Yと横並びとなる位置、詳しくは上側膨出部28Yよりも前扉枠14Yの回動基端寄りとなる位置には、操作ブロック400Yが配設されている。操作ブロック400Yは、遊技者によって操作される演出用のボタンユニット401Yと、当該ボタンユニット401Yを保持するホルダユニット402Yとを有してなる。
操作ブロック400Yの前端位置はパチンコ機10において最も前側に位置するように上側膨出部28Y等よりも前方へ突出して設けられており、且つボタンユニット401Yはホルダユニット402Yの前側の端部に配設されている。このように操作位置が遊技者に対してより近い位置となるように構成することで、ボタンユニット401Yへの遊技機前方からのアクセスが容易化されている。
操作ブロック400Yは、前後方向にスライド移動可能となるようにして、前扉枠14Y(枠体20aY及びカバー体20bY)に取り付けられている。ここで、前扉枠14Yには操作ブロック400Yが挿通される挿通部33Yが形成されており、内枠13Y(詳しくは樹脂ベース60Y)には当該挿通部33Yに連通するようにして後方へ凹む収容凹部117Yが形成されている。操作ブロック400Yを後方へ押し込むことにより、当該操作ブロック400Yは挿通部33Yを通じて収容凹部117Yに収容される構成となる。以下の説明では、操作ブロック400Yが最も突出している状態を「突出状態」、収容凹部117Yに収容されて突出量が減少した状態(詳しくは上側膨出部28Yよりも突出が抑えられた状態)を「退避状態」と称する。
図示は省略するが、内枠13Yには操作ブロック400Yの突出状態/退避状態の切り替えを規制する規制手段としてロック機構が設けられている。ロック機構は、施錠装置75に連動しており、施錠装置75が施錠状態となっている場合には、上記切り替えを不可とし、施錠装置75による施錠が解除されることにより上記切り替えを許容するように構成されている。つまり、例えば遊技を行っている最中に遊技者によって操作ブロック400Yが押された場合であっても、操作ブロック400Yが突出状態→退避状態に切り替ることが回避され、遊技者によるボタンユニット401Yへのアクセスが妨げられることはない。
既に説明したように、遊技機メーカの工場等から遊技ホール等へパチンコ機10Yが出荷される場合には、パチンコ機10Yが梱包された状態でトラック等の輸送手段に積載されることとなる。この際、パチンコ機10Yを整列させることにより多数の遊技機をまとめて運ぶことができる。パチンコ機10Yを配送する場合には、その厚さ、高さ、幅等によってまとめて配送できる数が制限される。そこで、出荷前に操作ブロック400Y(最大突出部分)を退避状態とすることにより、遊技機の最大厚さを減縮することができる。これにより、上述した配送に係る制約を軽減することが可能となる。また、製造されたパチンコ機10Yを、工場や遊技ホール等にて保管する場合にも、パチンコ機10Yを薄型化させることにより、収容に要するスペースが嵩むことを抑制できる。このように、操作ブロック400Yを退避状態に切替可能とすることにより、当該操作ブロック400Yの保護に加え、上記スペース等に係る各種不都合の発生を好適に抑制することができる。
また、本実施の形態に示すパチンコ機10Yに示すように、前扉枠14Yの回動基端側に配設された操作ブロック400Yの前後動を許容することには以下の技術的意義がある。具体的には、前扉枠14Yの開放限界角度を大きくすることにより、例えば遊技領域PEの清掃等のメンテナンス作業を行う際の作業スペースを好適に確保できるという技術的意義がある。上記メンテナンス作業を行う場合には、前扉枠14Yの回動先端側においては当該前扉枠14の存在が邪魔になることがない。一方、回動基端側においては前扉枠14Yが邪魔になって作業が行いづらくなる。
ここで、図20を参照して前扉枠14Yの最大開放角度と操作ブロック400Yの位置(状態)との関係について説明する。図20は前扉枠14Yの最大開放角度の差を示す概略図である。なお、以下の説明では、遊技ホール等の島設備にてパチンコ機10Yが横並びとなるように設置された状況を前提として説明を行う。そこで、説明の便宜上、左側のパチンコ機10Yを「パチンコ機10L」とし、当該パチンコ機10Lに属する各種構成には識別用のインデックスとして「L」を付与しており、右側のパチンコ機10Yを「パチンコ機10R」とし、当該パチンコ機10Rに属する各種構成には識別用のインデックスとして「R」を付与している。
右側のパチンコ機10Rの前扉枠14Rを開放する場合には、左側のパチンコ機10L(詳しくは前扉枠14L)が邪魔になってそれ以上の開放が不可となる。ここで、操作ブロック400Rを突出状態に維持したまま前扉枠14Rを開放した場合には(2点鎖線参照)、当該操作ブロック400Rが左側のパチンコ機10Rの上側膨出部に当る位置が前扉枠14Rの最大開放位置となる。
一方、前扉枠14Rの操作ブロック400Rについては突出状態から退避状態に切り替えることが可能であり、操作ブロック400Rを退避状態に切り替えた後に当該前扉枠14Rを開放した場合には、操作ブロック400Rと前扉枠14Lとの干渉が回避される。これにより、前扉枠14Rを更に開放させることができる(実線参照)。
つまり、操作ブロック400Rを突出状態に維持している場合の開放角度ANG1 > 操作ブロック400Rを退避状態に維持している場合の開放角度ANG2となる。これにより、内枠13Rにおける遊技領域PE(図6等参照)の遊技機前方への露出範囲についても、操作ブロック400Rを突出状態に維持している場合の露出範囲D1 > 操作ブロック400Rを退避状態に維持している場合の露出範囲D2となる。より詳しくは、露出範囲が前扉枠14Rの回動基端側へ拡大されることとなる。これにより、前扉枠14Rの回動基端側においてもメンテナンス作業等の作業領域を好適に確保でき、作業性の向上に貢献できる。
因みに、操作ブロック400Rを突出状態としたまま前扉枠14Yを勢いよく開放した場合には、操作ブロック400Rが左側のパチンコ機10L(詳しくは前扉枠14L)に衝突する可能性が生じる。仮にこのような衝突が発生した場合であっても、操作ブロック400Rが衝突方向とは反対側に移動することにより、発生する衝撃を緩和することができる。これにより、操作ブロック400Rや衝突相手となったパチンコ機10Lを好適に保護することができる。
なお、前扉枠14R及び内枠13Rの両方を開放する場合であっても、上述の如く開放角度を拡大させることにより、内枠13Rの背面側を大きく露出させることができる。これにより、背面部分(例えば制御装置等)に係る確認作業等を行う際の作業スペースを好適に確保することできる。
<第4の実施の形態>
上記第3の実施の形態では、内枠13Y(樹脂ベース60Y)に操作ブロック400Yを収容する収容凹部117Yを形成することにより、前扉枠14Yを閉位置に配置した状態のまま操作ブロック400Yの後退を許容する構成としたが、本実施の形態に示すパチンコ機10Zにおいては操作ブロック400Zの後退を許容するための構成が上記第3の実施の形態と相違している。そこで以下、図21を参照して、本実施の形態における特徴的な構成について上記第3の実施の形態との相違点を中心に説明する。図21は、第4の実施の形態における前扉枠14Zの開放の様子を示す概略図である。
パチンコ機10Zの前扉枠14Zには、上記第3の実施の形態と同様に操作ブロック400Zが挿通される挿通部33Zが形成されており、この挿通部33Zを通じた操作ブロック400Zの移動が許容されている点では当該第3の実施の形態と構成が一致している。しかしながら、パチンコ機10Zの内枠13Zには、上記収容凹部117Yに相当する構成が存在しない。故に、パチンコ機10Zを閉じたままでは、操作ブロック400Zを退避状態にすることが不可能となっている。
ここで、図21(a)→図21(b)に示すように、施錠装置75による施錠を解除して前扉枠14Zを開放することにより、上記ロック機構による操作ブロック400Rの切替規制(移動規制)が解除される。これに併せて、前扉枠14Zと内枠13Zとの間には、操作ブロック400R用の動作領域EEが生じる。
図21(b)→図21(c)に示すように、前扉枠14Zの開放角度が凡そ90度に達すると、前扉枠14Zの背面側の動作領域EEが操作ブロック400Zを突出状態から退避状態に切り替えが許容されることとなる。ここで、操作ブロック400Zを挿通部33Zに向けて押し込むことにより、操作ブロック400Zの退避状態への切り替えが完了する。その後、図21(c)→図21(d)に示すように、前扉枠14Zを更に回動させたとしても、上記第3の実施の形態と同様に操作ブロック400Zが前扉枠14Zの回動を妨げる要因になることを回避することができる。
以上詳述したように、前扉枠14Zを開放することにより、操作ブロック400Zを後退させるための空間(収容空間)が確保されることにより、以下の効果が期待できる。すなわち、前扉枠14Zの開放によって収容空間を確保すれば、内枠13Zに操作ブロック400Zを後退させるための空間を確保する必要がなくなり、上記第3の実施の形態に示した各種効果を享受することが内枠13Zの構造を複雑にする要因になることを回避できる。
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記各実施の形態では、「連結部」としての連結機構330にベース側係合部333及びハンドル側係合部343からなる半球面状の軸受け構造を用いることにより遊技機前面に沿った何れの方向にも「ハンドル部」としてのハンドルユニット320の位置変更が可能な構成としたが、少なくとも前扉枠14の前面に沿ったハンドルユニット320の位置変更が可能であれば位置変更範囲及び方向については任意に変更してよい。
例えば、ベース側連結部材331及びハンドル側連結部材341を軸ピン等によって結合し、当該軸ピンを中心としたハンドル側連結部材341の回動を許容する構成としてもよい。この場合、軸ピンの軸線方向を左右方向とすることにより、ハンドルユニット320を上下に移動させることが可能となる。少なくともハンドルユニット320の位置を上下方向で調整可能とすれば、遊技者の体格(背の高さ)の差による操作性の低下を好適に抑制できる。
また、軸ピンの軸線方向を上下方向とすることによりハンドルユニット320を左右に移動させることが可能となる。少なくともハンドルユニット320の位置を左右方向で調整可能とすれば、遊技者の体の向き(姿勢)に起因した操作性の低下を好適に抑制できる。
更には、人間の腕が肩から延びている点及び遊技球発射ハンドル45がパチンコ機10の右下配置されている点に着目すれば、ハンドルユニット320の移動方向を右斜め上方及び左斜め下方となるようにして軸ピンを配置することにより、遊技者の体格及び姿勢への対応力を好適に発揮させることができる。
なお、本実施の形態においては、「連結機構」を構成する連結部材を2ピースとしたが、これを変更し3ピースとし且つ各連結部材のジョイント部分に上記軸ピンを適用するとともに、一方の軸ピンの向き(軸線方向)を左右方向、他方の軸ピンの向き(軸線方向)を上下方向とすることにより(すなわち各軸ピンの向きを異なる方向とることにより)、「ハンドル部」の位置調整が可能となる範囲を拡げることができる。但しこのような複雑なリンク構造においては、「ハンドル部」の保持機能の担保が困難になり、耐久性が低下し得る。故に、望ましくは連結構造には上記実施の形態に示した構成を採用することが好ましい。
(2)上記各実施の形態では、ロックレバー46を用いて「切替手段」を構成したが、当該ロックレバーによるロック状態/アンロック状態の切替機能ついては必須ではなく、常時ロック状態及びアンロック状態の中間となる状態に維持する構成、すなわち予め設定された力以上の外力が作用した場合にハンドルユニット320の位置が変更される構成とすることも可能である。
具体的には、両係合部333,343を常時圧着させて(強干渉又は強嵌合させて)両者の間にハンドルユニット320の移動に抗する摩擦力が常時作用する構成とするとよい。つまり、ハンドルユニット320の位置を少なくとも当該ハンドルユニット320の自重に抗して維持できるのであれば、ロックレバー46及びそれに付随する構成を省略することも可能である。但し、このような構成では保持機能を強化しようとすれば位置調整を行う際の作業負荷が増大し、作業負荷を抑えようとすれば保持機能を担保することが困難になる。故に、望ましくは、ロック状態/アンロック状態に切り替え可能な上記切替手段に相当する構成を採用することが好ましい。
なお、切替手段の具体的構造については上記レバー構造に限定されるものではなく、例えばプッシュボタン構造等の他の構造を採用してよい。
(3)上記各実施の形態では、初期位置復帰用の「付勢手段」としてバネ部材(図示略)を備える構成としたが、「付勢手段」としてゴムや磁石等を備える構成とすることも可能である。
また、初期位置に復帰させる場合の動力は付勢手段によって発揮される必要は必ずしもなく、例えばハンドルユニット320の自重によって初期位置に復帰させる構成としてもよい。但し、調整可能な範囲の限界位置(例えば下限位置)を初期位置として設定した場合には、初期位置からの調整幅に偏りが生じる。故に、望ましくは上記実施の形態に示したように初期位置は位置調整可能な全範囲の中央に設定することが好ましい。
(4)上記各実施の形態では、ロックレバー46の切替操作がロック状態/アンロック状態の切替用の動力として作用する構成としたが、これを以下のように変更してもよい。すなわち、電源・発射制御装置243に電気的に接続された切替用スイッチ(例えばタッチセンサ)と、切替用スイッチが操作されたことに基づいて電源・発射制御装置243から出力される信号に基づいて駆動する駆動部(例えばソレノイド)とを設け、この駆動部の動力によって、ロック状態とアンロック状態との切替を行う構成としてもよい。これにより、調整作業を行う際の遊技者の作業負荷を軽減できる。
(5)上記変形例(4)に示した構成では、電源・発射制御装置243による切替制御が可能である。そこで、以下に示す初期位置への自動復帰機能を付与してもよい。
既に説明したように好ましいハンドルユニット320の位置は遊技者ごとに相違し得る。仮に、先の遊技者が離席した場合に、ハンドルユニット320がそのままの位置で維持(放置)されると、次に遊技を遊技者について調整の手間が増えると想定される。一方、単に遊技を行っていないことを条件として、ハンドルユニット320を初期位置に復帰させる構成とすることも可能であるが、この場合には例えばトイレ休憩等で離席している間に初期位置への復帰がなされ、席に戻った遊技者は再度の調整を余儀なくされると懸念される。これでは、遊技者にハンドルユニット320の位置調整が煩わしいとの心証を与え、調整機能が上手く活用されなくなってしまう。
そこで、本変形例においては、遊技者が遊技を終えたか否かを監視する手段を設け、遊技が終了したと認識した場合に、ハンドルユニット320の初期位置への復帰を行うこととしている。具体的には、「貯留部」としての上皿28aの出口部分に遊技球を検知する検知センサを配置する。検知センサからの検知情報は電源・発射制御装置243に送信され、電源・発射制御装置243では、所定の期間に亘って検知センサにより遊技球を検知できなかった場合に、遊技者が遊技を終えたものと判定して、初期位置への復帰処理を行う。具体的には、ロック状態からアンロック状態への切り替え処理を実行する。この構成によれば上記不都合の発生を好適に回避できる。
また、所定の期間に亘って遊技球の発射操作が行われていないこと、更には当該状況下にて上皿28aに遊技球が存在していないことの2つを条件として、上記初期位置への復帰を行う構成とすることも可能である。
なお、予め設定された期間に亘って発射操作が行われていないことを初期位置への復帰条件とし、当該条件の成立によって上皿の貯留球の有無に関係なく復帰処理を行う構成とすることを否定するものではない。
(6)上記各実施の形態では、回動操作部材323の回動量(操作量)を検出するセンサをハンドルユニット320に配設したが、当該センサをベースユニット310に配設することも可能である。この場合、回動操作部材323とハンドル側連結部材341とを一体化し、回動操作部材323が回動操作された場合にハンドル側連結部材341がそれに追従して回動する構成とする。そして、ベース側連結部材331がベースユニット310によって回動可能に軸支し、ベース側連結部材331がハンドル側連結部材341との間に生じる摩擦力によってハンドル側連結部材341に連動してベース側連結部材331も回動する構成とする。当該変形例によれば、ベースユニット310にベース側連結部材331の回動量を検出するセンサを配設しておくことによりハンドルユニット320に属する構成をベースユニット310側へ移設して当該ハンドルユニット320の更なる簡素化/軽量化を実現できる。また、ハンドルユニット320に内蔵される構成が減ることにより、同ハンドルユニット320の内部スペースを振動体等の各種演出用遊技部品の配置スペースとして利用しやすくなるため、遊技機の演出機能の更なる向上にも貢献することも可能となる。
(7)上記各実施の形態では、ハンドルユニット320が両係合部333,343の係合箇所(詳しくは中心部CP)を基端として回動することにより、前扉枠14の前面に沿ったハンドルユニット320の移動を可能としたが、これに加えてハンドルユニット320を前後に移動可能とする可変機構を設けてもよい。例えば、ハンドル側連結部材341を前扉枠14のカバー体20bよりも前側で分割された2ピース構造として、一方のピースの内部に他方のピースが挿入される構成とし、両ピースの連結方向にてそれらピースの相対変位を許容する構成とするとよい。
(8)上記各実施の形態では、ハンドルユニット320が両係合部333,343の係合箇所(詳しくは中心部CP)を基端として回動させることによりハンドルユニット320の位置調整が行われる構成としたが、これに代えてベースユニット310を枠体20aにスライド移動可能に取り付けて、ハンドルユニット320の位置調整時にはハンドルユニット320及びベースユニット310が一体となって移動する構成としてもよい。
(9)上記各実施の形態では、ベースユニット310(詳しくは取付ベース311)の固定対象を枠体20aとしたが、これを変更し、ベースユニット310の固定対象をカバー体20bとすることも可能である。このような変更を行った場合であっても、「可変機構」に相当する構成については、枠体20aとカバー体20bとの間に収容する構成とすることが好ましい。
(10)上記各実施の形態では、各係合部333,343の接触面336,346を摩擦係数の比較的大きなパッド337,347(詳しくはシート材)を配設して、両係合部333,343の間に生じる摩擦力を高める構成としたが、パッド337,347の基材(台座)として機能する拡径部334及び半球状部344の表面自体の面粗度を高くすることによりこれらパッド337,347を省略することも可能である。但し、「押圧手段」を構成する押圧リング351によって両係合部333,343を密着させる場合には、接触部位がある程度変形する構成とすることにより密着力が高くなる。また、パッド337,347がハンドルユニット320→連結機構330→ベースユニット310に伝わる外力を緩和させる緩衝材として機能する。故に、望ましくは上記実施の形態に示したように、係合部333,343を基材とそれよりも変形容易且つ摩擦係数の大きい部材とを組み合わせて用いるとよい。
(11)上記各実施の形態では、ハンドルユニット320が調整位置にてロックされる構成としたが、少なくとも調整機能が付与されていればよく、ロック機能については省略することも可能である。但し、調整位置にてロックされない場合には、遊技者自身がハンドルユニット320を調整位置に保持する必要が生じ、遊技者の負担が増加する。故に、如何に調整範囲を拡げたとしても実質的には調整幅の限界位置のみでの使用が行われる程度に留まり、調整機能が付与されたことによる恩恵が上手く発揮されなくなる。故に、望ましくは、上記実施の形態に示したように、ハンドルユニット320の位置調整が行われた後は、その位置にてハンドルユニット320がロック(保持または維持)される構成とすればよい。
(12)上記各実施の形態においては、例えば図柄表示装置94の表示画面にてデモ表示等が実行されている場合や遊技開始時(始動入球発生時)等に、ハンドルユニット320の位置調整が可能である旨や調整方法等の報知を行うとよい。なお、報知態様については任意であり、例えば表示画面に表示されるメッセージ等によって上記報知をおこなってもよいし、スピーカ部27から出力される音声によって上記報知を行ってもよい。
(13)上記第2の実施の形態では、「ハンドル装置」として第1の実施の形態に示した向き可変式の遊技球発射ハンドル45とは異なる向き固定タイプの遊技球発射ハンドル45Xを備えている構成を例示したが、これに限定されるものではない。第1の実施の形態と同様の向き可変式の遊技球発射ハンドル45としてもよい。但し、背面側に取っ手402Xを配設する場合には、例えば取っ手402Xを移設する等して取っ手402Xとリンク構造との干渉を回避することが好ましい。また、以上詳述した遊技球発射ハンドル45に係る各変形例を組み合わせて第2の実施の形態における遊技球発射ハンドルに適用してもよい。
(14)上記第2の実施の形態では、「ハンドル装置」又は「操作手段」としての遊技球発射ハンドル45Xと取っ手402X(「把持部」に相当)とを表裏の関係となるように設けたが、パチンコ機10Xを運ぶ場合に遊技球発射ハンドル45Xが把持対象となることを抑制しつつ作業者の利便性を担保する上では、遊技球発射ハンドル45Xと取っ手402Xとが入れ替わりで出没する構成となっていれば足り、両者を1ブロック化する必要は必ずしもない。但し、両構成45X,402Xの収容領域や入替時の動作領域の確保を実現する上では、両者を表裏の関係となるようにして一体化することには技術的意義がある。
また、利便性の向上を実現する上では遊技球発射ハンドル45X及び取っ手402Xを併用することが好ましいが、遊技球発射ハンドル45Xの保護を重視するのであれば、遊技球発射ハンドル45Xが突出の抑えられた収容位置等に退避可能となっていれば足りる。更には、パチンコ機10Xを運ぶ際の作業者の利便性及び遊技機の見栄えの担保を重視するのであれば、取っ手402Xを出没式として、不要時には当該取っ手402Xが突出の抑えられた収容位置等に退避可能となっていればよい。
(15)上記第2の実施の形態では、遊技球発射ハンドル45Xの全体が「第1収容部」としての収容凹部40X内に収容される構成としたが、少なくとも遊技機前方への遊技球発射ハンドル45Xの突出量を減少させることができるのであれば足り、必ずしも当該遊技球発射ハンドル45X全体が収容される構成とする必要はない。
また、遊技球発射ハンドル45Xを中心軸線CL2を中心に前後に回動させることにより突出位置/退避位置へ変位させる構成としたが、突出位置/退避位置への移動態様については任意である。例えば、遊技球発射ハンドル45Xの移動態様を回動式ではなくスライド式とすることも可能である。
(16)上記第2の実施の形態では、内枠13X(樹脂ベース60X)に形成されたストッパ部116X(「規制手段」に相当)によって遊技用の状態及び運搬用の状態への操作ブロック400Xの切り替えを阻止する構成としたが、規制手段を構成するストッパ機構等を前扉枠14Xに配設してもよい。このような変更を行う場合には、ストッパ機構による阻止状態/許容状態の切り替えを行うための操作レバー等を、遊技中に遊技者が触れることができない位置(例えば前扉枠14Xの背面部分)に配設するとよい。
(17)上記第2の実施の形態では、前扉枠14Xを閉じた状態では遊技球発射ハンドル45X/取っ手402Xの切り替えが規制される構成とし、前扉枠14Xを開放することで当該規制が解除される構成とした。これに代えて、遊技機主部12Xを外枠11に対して閉じた状態では遊技球発射ハンドル45X/取っ手402Xの切り替えが規制される構成とし、遊技機主部12Xを開放することで当該規制が解除される構成とすることも可能である。
(18)上記第2の実施の形態では、「第2収容部」としてのスピーカ収容部36Xと、「第1収容部」としての収容凹部40Xとを連通させることにより、当該収容凹部40Xをスピーカ35X用のエンクロージャとして機能させる構成としたが、これに限定されるものではない。少なくとも、収容凹部40X内に遊技球発射ハンドル45Xを収容する機能が付与されているのであれば、当該遊技球発射ハンドル45Xの保護機能は担保される。
但し、遊技球発射ハンドル45Xが遊技中は基本的に遊技者によって操作可能な位置に配置されている必要がある点に着目した場合には、当該遊技球発射ハンドル45X専用の収容領域を設けて遊技球発射ハンドル45Xに係る占有領域が嵩むことは他の遊技部品の配置領域を圧迫する要因となるため好ましくない。このような事情に鑑みれば、収容凹部40Xをエンクロージャとして機能させたり、取っ手402Xを収容する収容手段として機能させたりすることには技術的意義がある。
(19)上記第2の実施の形態では、スピーカ収容部36X及び収容凹部40Xの並設方向と同じ方向に操作ブロック400Xの回動中心軸線CL2が延びる構成としたが、これに限定されるものではなく、上記並設方向と交差する方向(例えば直交する方向:上下方向に)操作ブロック400Xの回動中心軸線CL2が延びる構成とすることも可能である。但し、操作ブロック400Xを回動させる場合の動作領域とスピーカ用の設置領域を確保する上では、回動方向と並設方向とを交差させる構成とすることが好ましい。
(20)上記第2の実施の形態では、遊技球発射ハンドル45Xが遊技機前方を向いている場合、及び取っ手402Xが遊技機前方を向いている場合のいずれの場合であっても、それら両構成45X,402Xの取付対象であるベース体401Xがカバー体20b(開口部41aXの縁部)と上下に当接することにより、軸支部分にかかる負荷を軽減する構成としたが、軸支部分自体を強化することにより、そのような応力分散に係る構成を省略することも可能である。
但し、遊技球発射ハンドル45X及び取っ手402Xの配置領域が軸支部分の強化によって圧迫されることは好ましくない。故に、遊技球発射ハンドル45X及び取っ手402Xの切替機能と支持強度の担保とを両立する上では、上記第2の実施の形態に示したようにベース体401Xの上端部及び下端部が開口部41aXに当接する構成とすることが好ましい。
(21)上記第2の実施の形態では、軸体405X内を配線の収容領域として利用することにより、遊技球発射ハンドル45X及び取っ手402Xの何れが遊技機前方を向いている場合であっても、当該配線(信号の伝達経路)の露出が回避される構成とした。信号の伝達経路の露出を回避する点に鑑みれば、有線方式に限定されるものではなく無線方式とすることも可能である。
(22)上記第2及び第3の実施の形態では、前扉枠14Xを開放することにより、「突出部」としての遊技球発射ハンドル45Xや操作ブロック400の移動規制が解除される構成としたが、これを以下のように変更することも可能である。すなわち、第4の実施の形態と同様に、施錠装置75による施錠を解除することにより規制が解除される構成とすることも可能である。
(23)上記第4の実施の形態では、前扉枠14が開放されることにより、当該前扉枠14と内枠13との間に形成される空間(隙間)が操作ブロック400Z用の退避領域として機能する構成としたが、この際、操作ブロック400Zが内枠13側に留まることにより、前扉枠14と操作ブロック400Zとの相対位置が変化する構成とすることも可能である。例えば、内枠13に操作ブロック400Zに係合する係合部を設けてもよい。
(24)上記第4の実施の形態では、作業者によって操作ブロック400Zが退避位置へ押されることで、当該操作ブロック400Zと前扉枠14との相対位置が変化する構成としたが、操作ブロック400Zが前扉枠14の開放を妨げる要因になることを回避できるのであれば足り、必ずしも遊技者によって退避位置へ押されることを前提とする必要はない。例えば、隣接する他の遊技機に操作ブロック400Zが当った場合に、当該操作ブロック400Zが当接した状態を維持したまま前扉枠14が更に開放できるため、上記準備作業については省略することもできる。
(25)上記第3及び第4の実施の形態では、上側膨出部28に設けられた操作ブロック400Zを後退させる構成とした。前扉枠14を開放した場合に、その回動基端側に並設された隣の遊技機と干渉しやすい部位であることを想定して操作ブロック400Zを後退の対象としたが、どの部分を後退させるかについては任意である。開放角度を担保する上では回動基端側にて最も突出している部分を後退させる構成とすることが効果的ではあるが、前扉枠14において回動基端側に位置する前面部分の全体又は略全体を後退させる構成としてもよい。
(26)上記第2〜第4の実施の形態とは「突出部」に相当する構成と変更してもよい。具体的には、上側膨出部28(上皿28a)及び下側膨出部29(下皿29a)の少なくとも何れかを、「本体部分」としてのカバー体20bから遊技機前方に突出する突出位置と当該突出位置よりも突出が抑えられた退避位置とに移動(出没)可能としてもよい。これは、膨出部28,29を保護して、パチンコ機10の見栄えの低下を抑える上で有利である。
また、膨出部28,29の出っ張りを抑えらることにより、パチンコ機を薄型化することができる。パチンコ機を薄型化することにより、パチンコ機用の在庫管理や遊技機を輸送する場合の輸送効率の向上等の貢献することができる。
(27)上記各実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
以下の特徴A群に記載された発明は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技機本体の前面部にハンドル装置を備え、当該ハンドル装置が操作されることで発射装置が動作し、遊技領域へ遊技球が発射されるものがある(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「ここで、遊技を行う際の姿勢は遊技者によって様々となり、更には遊技者の体格についても一様ではない。このため、単に標準となる姿勢や体格に対応させてハンドル装置を設けた場合には、それから外れた姿勢で遊技を行った場合や標準から外れた大柄又は小柄な遊技者にとっては発射操作に伴う負荷が大きくなると懸念される。このような、負荷の増大は遊技意欲の減退を招く要因になるため好ましくなく、ハンドル装置には未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴A1.遊技領域(遊技領域PE)に向けて遊技球を発射すべく操作される操作手段(遊技球発射ハンドル45)を備え、
前記操作手段は、
遊技機前面部(前扉枠14)に固定されている基部(ベースユニット310)と、
前記基部の前方に配置されたハンドル部(ハンドルユニット320)と、
前記基部及び前記ハンドル部を連結する連結部(連結機構330)と
を有し、
前記連結部には、遊技機前面部に沿った前記ハンドル部の位置の変更を許容する可変機構(ベース側連結部材331及びハンドル側連結部材341)が設けられていることを特徴とする遊技機。
好みとなるハンドル部の握り方は遊技者の体格や姿勢等に応じて相違している。そこで、本特徴に示すように、好みに合わせたハンドル部の位置変更が許容される構成とすれば、一番楽な握り方に合わせてハンドル部の位置を変更することが可能となる。故に、発射操作に起因した遊技者の疲れを軽減できる。これは、遊技意欲の減退を抑制する上で効果的である。
特徴A2.前記可変機構は、前記基部側に設けられた基部側係合部(ベース側係合部333)と、前記ハンドル部側に設けられ、前記基部側係合部に係合するハンドル側係合部(ハンドル側係合部343)とを有し、前記基部側係合部と前記ハンドル側係合部との係合態様が変化することにより前記ハンドル部の位置の変更が許容されるように構成されていることを特徴とする特徴A1に記載の遊技機。
操作手段(ハンドル部)については、操作時等に遊技者の手の重みが加わる可能性がある。故に、これを支えることができる程度の強度と耐久性を確保する必要がある。本特徴に示すように連結部を構成する基部側係合部及びハンドル側係合部の係合態様の変化によりハンドル部の位置変更が許容される構成とすれば、可変機構に係る構造が過度に複雑になることを抑制して、上記強度及び耐久性の確保を容易に実現できる。
特徴A3.前記基部側係合部及び前記ハンドル側係合部は、前記係合態様の変化に基づいてそれら両係合部の係合箇所を基端とした上下方向への前記ハンドル部の位置の変更を許容するものであることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
遊技者の背の高さはまちまちであり、標準的な体格を前提とした場合には、それよりも背の高い遊技者やそれよりも背の低い遊技者にとっては、標準的な体格の遊技者と比較して、発射操作に起因した負荷が大きくなりやすい。また、遊技機が設置される島設備の台座の高さや椅子の高さにも遊技ホールの設備に応じて相違し得るため、好ましいハンドル部の高さ位置については、様々な条件に応じて変化する。そこで、本特徴に示すように、ハンドル部の高さ位置を変更する構成とすれば、各種条件下にて好ましいハンドル部の位置を担保することができ、特徴A1に示した効果を好適に発揮することが可能となる。
特徴A4.前記基部側係合部及び前記ハンドル側係合部は、前記係合態様の変化に基づいてそれら両係合部の係合箇所を基端とした左右方向への前記ハンドル部の位置の変更を許容するものであることを特徴とする特徴A2又は特徴A3に記載の遊技機。
遊技を行う場合には、必ずしも遊技者が遊技機に正対した状態で遊技を行うとは限らない。特に長時間に亘って遊技を行う場合に、遊技者は身体の負担を軽減すべくその姿勢を変えることが多い。島設備に配置される遊技機については、横並びとなるように配列されており、遊技者は左右の遊技者に挟まれた状態で遊技を行うことが多い。このため、体の向きを正対しないように左右に傾けるには限度があるが、このような姿勢の変更は一般的に行われることである。
ここで、本特徴によれば、ハンドル部の位置を左右に変更できるため、上述した姿勢の変更に追従するようにしてハンドル部の位置を横方向にて調整することができる。これにより、特徴A1に示した効果を好適に発揮することが可能となる。
特徴A5.前記操作手段は、前記遊技機前面部の右下部に配設されており、
前記基部側係合部及び前記ハンドル側係合部は、前記係合態様の変化に基づいてそれら両係合部の係合箇所を基端とした右斜め上方及び左斜め下方への前記ハンドル部の位置の変更を許容するものであることを特徴とする特徴A2乃至特徴A4のいずれか1つに記載の遊技機。
遊技球発射用の操作手段を有する遊技機においては、その構造上、遊技機前面部の右下部に操作手段が配置されることが多い。腕は肩から延びており、体格に応じてその長さが異なる。ここで、例えば遊技ホールの島設備に設置された椅子については固定式となっていることが多いため、遊技機(遊技機前面部)と遊技者との距離を変更することは困難である。つまり、大柄な遊技者の場合には無理に腕を折り曲げるようにしてハンドル部を把持する必要が生じたり、小柄な遊技者の場合には無理に腕を伸ばすようにしてハンドル部を把持する必要が生じたりし得る。この点、本特徴に示すようにハンドル部の右斜め上方/左斜め下方への位置変更を許容することにより、上述したような空間上の制約下であっても無理な腕の曲げ伸ばしを必要とせず、体格や姿勢の違いに応じて負担の少ない位置へのハンドル部の位置を変化させることが可能となる。これにより、特徴A1に示した効果を好適に発揮させることが可能となる。
特徴A6.前記可変機構は、当該可変機構により規定された可動範囲内の任意の位置に前記ハンドル部が配置されている状況下にて、その位置からの移動が規制された状態で当該ハンドル部を保持する保持手段(ロックレバー46や押圧リング351)を有していることを特徴とする特徴A1乃至特徴A5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A1に示した位置調整機能を有している場合、位置調整後のハンドル部のブレ(位置ずれ)の回避を遊技者自身に委ねてしまうと遊技者の負担が増大することになる。これでは、位置調整機能を活用されなくなると想定される。そこで、本特徴に示すように、保持手段によってハンドル部を調整後の位置に保持する構成とすることにより、そのような不都合の発生を好適に抑制することができる。これにより、位置調整機能の活用を促進できる。
特徴A7.前記基部側係合部及び前記ハンドル側係合部の一方は半球状をなす凹曲面部(接触面336)を有し、他方は前記凹曲面部と曲率が一致し当該凹曲面部に面接触する凸曲面部(接触面346)を有し、それら各曲面部が面接触することで前記係合した状態となるように構成されており、
前記可変機構は、前記両曲面部の一方が他方に沿って移動してそれら曲面部の相対角度が変化することに伴って、前記ハンドル部の向きが前記両係合部の係合箇所を基端として変わることにより同ハンドル部の位置を変更される構成となっていることを特徴とする特徴A2乃至特徴A5のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A7によれば、ハンドル部の位置を特定の方向に限定されることなく様々な位置へと変更することができる。これにより、位置調整機能を好適に強化できる。
特に、ハンドル部の位置を変更する場合には、同ハンドル部の向きが係合箇所を基端として変更される。例えばハンドル部を上方に移動させた場合には、ハンドル部が斜め上方を向き、ハンドル部を左方へ移動させた場合には、ハンドル部が斜め左方を向くこととなる。これにより、ハンドル部の位置調整に起因した操作性の低下を好適に抑制できる。
特徴A8.前記可変機構は、前記凹曲面部及び前記凸曲面部の一方を他方に押し付ける押圧手段(押圧リング351)を有し、当該押圧手段による押圧力により前記ハンドル部が少なくとも変更後の位置からの移動が規制された状態で保持されることを特徴とする特徴A7に記載の遊技機。
特徴A1に示した位置調整機能を有している場合、位置調整後のハンドル部のブレ(位置ずれ)の回避を遊技者自身に委ねてしまうと遊技者の負担が増大することになる。これでは、位置調整機能を活用されなくなると想定される。そこで、本特徴に示すように、保持手段によってハンドル部を調整後の位置に保持する構成とすることにより、そのような不都合の発生を好適に抑制することができる。これにより、位置調整機能の活用を促進できる。
特に凹曲面部と前記凸曲面部とが接触して係合状態となる構成では、両曲面部の間に生じる摩擦抵抗によって保持機能等を発揮させることができる。例えば、ギア等によって多段的な位置の変更を許容することで調整機能と保持機能とを両立することも可能であるが、このような構成では、ハンドル部への負荷がギアにダイレクトに伝わって磨耗等が生じたり(耐久性の担保が困難になったり)、段階的な調整を余儀なくされることで微妙な位置調整が難しくなったりする。
この点、本特徴に示す構成では、無段階での位置調整が可能である。また、摩擦による固定方式であるため、仮にハンドル部に大きな負荷が加わった場合、その方向へハンドル部を逃がすことができる。故に、耐久性の問題も好適に解消できる。
特徴A9.前記押圧手段は、前記両曲面部を圧着させる押圧状態と圧着させない非押圧状態とに切替可能となっており、前記非押圧状態では前記ハンドル部の保持が無効となるように構成されており、
前記押圧手段を前記押圧状態と前記非押圧状態とに切り替える切替手段を備えていることを特徴とする特徴A8に記載の遊技機。
特徴A8に示した保持機能を強化しようとすれば位置調整を行う際の作業負荷が増大し、作業負荷を抑えようとすれば保持機能を担保することが困難になる。そこで、本特徴に示す切替手段を採用することにより、上記機能を好適に両立できる。
なお、本特徴に示した技術的思想を特徴A6に適用することも可能である。この場合、本特徴の構成を「前記保持手段は、保持状態と非保持状態とに切替可能となっており、前記非保持状態では前記ハンドル部の移動規制が解除されるように構成されており、前記保持手段を前記保持状態と前記非保持状態とに切り替える切替手段を備えていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。」に変更するとよい。
特徴A10.前記連結部は、前記基部に取り付けられた基部側連結部材(ベース側連結部材331)と、前記ハンドル部に取り付けられたハンドル側連結部材(ハンドル側連結部材341)とを有し、
前記基部側連結部材は、筒状をなす基部側軸部(軸部332)を有し、
前記基部側係合部は前記基部側軸部の一端に設けられ、当該基部側軸部の中空部分に連なる開口部(開口部335)が形成されており、
前記ハンドル側連結部材は、筒状をなすハンドル側軸部(軸部342)を有し、
前記ハンドル側係合部は前記ハンドル側軸部の一端に設けられ、当該ハンドル側軸部の中空部分に連なる開口部(開口部345)が形成されており、
前記各開口部は、前記可変機構により規定された前記ハンドル部の移動範囲内では、それら開口部同士が連通した状態に維持されるように構成されていることを特徴とする特徴A8又は特徴A9に記載の遊技機。
特徴A10によれば、ハンドル部に設けられている各種電気的構成から延びる配線の配設経路を軸部及び開口部によって好適に確保することができる。
また、仮にハンドル部において発光演出等を行う場合、従来の遊技機ではハンドル部に発光手段を内蔵する必要があった。この点、本特徴によれば、基部側に発光手段を配置しても発光手段からの光を軸部及び開口部を通じてハンドル部に供給することが可能となる。このように、ハンドル部に付属する構成をベース部側に移植することを可能とすれば、ハンドル部の軽量化等を促進できる。これは、特徴A8等に示した保持機能を担保する上でも好ましい構成である。
特徴A11.前記ハンドル部を所定位置に付勢する付勢手段を有し、
前記切替手段により前記押圧手段が前記非押圧状態に切り替えられた場合には、前記付勢手段の付勢力によって前記ハンドル部が前記所定位置に復帰する構成となっていることを特徴とする特徴A9又は特徴A10に記載の遊技機。
特徴A11によれば、所定位置(例えば初期位置)にハンドル部を復帰させる構成とすることにより、ハンドル部の位置調整を行う際の作業効率を向上することができる。
特徴A12.前記切替手段は、所定の期間に亘って遊技が行われていない場合に、前記押圧手段を前記非押圧状態に切り替える手段を有し、
前記押圧手段が前記非押圧状態に切り替えられた場合には、前記付勢力によって前記ハンドル部が前記所定位置に復帰する構成となっていることを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
既に説明したように好ましいハンドル部の位置は遊技者ごとにことなる。仮に、先の遊技者が離籍した場合に、ハンドル部がそのままの位置で放置されると、次に遊技を行うものは調整の手間が増えることとなる。
この点、本特徴によれば、遊技が所定の期間に亘って行われていない場合には、自動的にハンドル部が初期位置に復帰するため、上述したような手間が増えることを好適に抑制できる。
特徴A13.前記操作手段による発射操作に基づいて遊技球を発射する発射手段(遊技球発射機構110)と、
貯留部(上皿28a)に貯留されている遊技球を前記発射手段へ遊技球を供給する供給手段(球送装置113)と、
前記貯留部に遊技球が貯留されているか否かを監視する監視手段(検知センサや電源・発射制御装置243)と
を備え、
前記切替手段は、前記監視手段により遊技球が貯留されていない状態のまま所定の期間を経過したと判定された場合に、前記非押圧状態に切り替える手段を有し、
前記押圧手段が前記非押圧状態に切り替えられた場合には、前記付勢力によって前記ハンドル部が前記所定位置に復帰する構成となっていることを特徴とする特徴A11に記載の遊技機。
既に説明したように好ましいハンドル部の位置は遊技者ごとにことなる。仮に、先の遊技者が離籍した場合に、ハンドル部がそのままの位置で放置されると、次に遊技を行うものは調整の手間が増えることとなる。一方、単に遊技を行っていないことを条件として、ハンドル部を初期位置に復帰させてしまうと例えばトイレ休憩等で離籍している間に初期位置への復帰がなされ、席に戻った遊技者は再度の調整を余儀なくされる。これでは、遊技者に煩わしいとの心証を与え、調整機能が上手く活用されなくなってしまう。
この点、本特徴に示す構成によれば、上記各種不都合の発生を回避して、調整機能を好適に発揮させることができる。
なお、特徴A11〜特徴A13に示した技術的思想を特徴A6+「前記保持手段は、前記保持状態と非保持状態とに切替可能となっており、前記非保持状態では前記ハンドル部の移動規制が解除されるように構成されており、前記保持手段を前記保持状態と前記非保持状態とに切り替える切替手段を備えていることを特徴とする特徴A6に記載の遊技機。」に適用することも可能である。
<特徴B群>
以下の特徴B群に記載された発明は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技機本体の前面部にハンドル装置を備え、当該ハンドル装置が操作されることで発射装置が動作し、遊技領域へ遊技球が発射されるものがある(例えば特許文献1参照)。」という背景技術について、「近年では、ハンドル装置に演出や報知等機能が付与され、遊技への注目度の向上が図られているものがある。但し、ハンドル装置の内部にこのような構成を内蔵しようとした場合には、そのスペースが限られている点やハンドル装置が片持ちになっている(強度担保)点等に配慮して上記機能を充実させる上でその構造に未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴B1.遊技機前面部を構成する遊技機前面体(前扉枠14)と、
前記遊技機前面体に設けられ、遊技領域(遊技領域PE)に向けて遊技球を発射すべく操作される操作手段(遊技球発射ハンドル45)と
を備えた遊技機であって、
前記遊技機前面体は、
枠部(枠体20a)と、
当該枠部を遊技機前方から覆うカバー部(カバー体20b)と
を有してなり、
前記操作手段は、
遊技枠部に固定されている基部(ベースユニット310)と、
前記カバー部の前方に配置されたハンドル部(ハンドルユニット320)と、
前記カバー部に形成された開口部(貫通孔49)を介して前記基部及び前記ハンドル部を連結する連結部(連結機構330)と
を有し、
前記操作を検知する検知手段(タッチセンサ314)が、前記基部に配置されていることを特徴とする遊技機。
従来の遊技機においてはハンドル部に内蔵されていた構成(検知手段)を、ハンドル部ではなく基部に配設することにより、すなわち遊技機前面体を構成する枠部とカバー部との間に収容することにより、ハンドル部に属する構成を減らすことができる。これは、片持ちとなるハンドル部の支持強度の担保や、ハンドル部に発光等の各種演出装置を内蔵する際の空間的な余裕を確保する上で好ましい構成である。
なお、本特徴を「遊技機前面部を構成する遊技機前面体(前扉枠14)と、前記遊技機前面体に設けられ、遊技領域(遊技領域PE)に向けて遊技球を発射すべく操作される操作手段(遊技球発射ハンドル45)とを備えた遊技機であって、前記遊技機前面体は、枠部(枠体20a)と、当該枠部を遊技機前方から覆うカバー部(カバー体20b)とを有してなり、前記操作手段は、遊技枠部に固定されている基部(ベースユニット310)と、前記カバー部の前方に配置されたハンドル部(ハンドルユニット320)と、前記カバー部に形成された開口部(貫通孔49)を介して前記基部及び前記ハンドル部を連結する連結部(連結機構330)とを有していることを特徴とする遊技機。」とすることも可能である。
特徴B2.前記開口部は、前記連結部に当接することにより、前記連結部の変位を規制する規制手段として機能することを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
ハンドル部を片持ちとする構造においては、遊技者がハンドル部に手を掛けることによって発生する負荷が操作手段の基端部(基部)に集中しやすい。これでは、ハンドル部の支持強度を向上することが困難になる。
この点、本特徴に示す構成によれば、ハンドル部に加わった上記負荷については、基部の固定対象である枠部だけでなく、連結部と当接するカバー部にも伝わることとなる。このような構成とすることにより、上記負荷を操作手段の取付対象である遊技機前面体に好適に分散させることができ、支持機能を好適に向上できる。
特に、枠部に基部を固定して、連結部を用いて基部とハンドル部とを繋ぐ構成では、固定端から自由端までのスパンが長くなりやすい。この点、本特徴に示す構成によれば、固定端と自由端との間に支持位置を設けることができるため、上記固定端の負荷を好適に軽減できる。
なお、本特徴については「前記開口部が前記連結部に対して少なくとも下側から当接することにより、前記連結部の変位を規制する」構成とすることも可能である。
特徴B3.前記ハンドル部は前記連結部を介して前記検知手段に電気的に繋がっており、それらハンドル部、連結部によって前記検知手段用の信号伝達経路が構成されていることを特徴とする特徴B1又は特徴B2に記載の遊技機。
特徴B3によれば、ハンドル部及び連結部自体が信号伝達機能を有していることにより(例えば導電性を有する部材で構成するとよい)、電気的構成(検知手段)を基部側に配置することによるデメリットを好適に解消できる。
特徴B4.前記連結部は導電性部材によって形成されており、前記カバー部は非導電性部材によって形成されていることを特徴とする特徴B3に記載の遊技機。
特徴3に示す効果を享受する上では、信号伝達機能を担保する必要がある。ここで、カバー部によって信号の伝達が遮られることは好ましくない。特に、特徴B2に示した効果を発揮する上では信号がカバー部側に逃げてしまうことは信頼性の向上の妨げとなるため好ましくない。そこで、本特徴に示すように、連結部を導電性部材によって形成しカバー部については非導電性部材(絶縁性部材)によって形成すれば、そのような不都合の発生を好適に回避できる。
なお、特徴B1〜特徴B4に対して、上記特徴A群に示した技術的思想を適用することも可能である。
<特徴C群>
以下の特徴C群に記載された発明は、「パチンコ機等の遊技機には、遊技機本体を前面側から覆う扉体等によって遊技機前面部が構成されているものがある。遊技機前面部には、その本体部分よりも遊技機前方に突出するようにして操作手段等の突出部が形成されている(例えば特許文献1参照)。遊技機前方となる領域を突出部の配設領域として利用することにより、本体部分における占有領域等の配置に係る制約を軽減することができる。」という背景技術について、「しかしながら、この種の突出部については、例えばその突出量が大きくなることにより以下の不都合が生じやすくなる。すなわち、遊技機メーカにおける製造工程や、遊技機メーカから遊技ホール等への輸送工程、更には遊技機ホール等のメンテナンス作業を行う際に各種作業を妨げる要因や変形や破損の不具合の発生対象になりやすくなる。このように、各種状況下にて作業を行う上で突出部に係る構成には未だ改善の余地がある。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特にハンドル装置に係る発明群については、「パチンコ機等の遊技機には、遊技者によって操作されるハンドル装置を備え、当該ハンドル装置の操作に基づいて発射装置が動作し、遊技領域へ遊技球が発射されるものがある(例えば特許文献1参照)。ハンドル装置を遊技機前方に突出させて設けることにより、ハンドル装置へのアクセスの容易化等の遊技者の利便性への配慮がなされている。」という背景技術について、「ハンドル装置を突出して設けることには技術的意義がある反面、当該構成は以下の不都合が発生する要因にもなり得る。例えば遊技機を運ぶ場合には遊技機前面部に存在する突出部分が作業者によって取っ手代わりに把持される可能性がある。遊技機の重量が嵩んでいるという実情に鑑みれば、ハンドル装置が把持対象となった場合に当該ハンドル装置に生じる負荷が多大なものになると懸念される。これは、ハンドル装置の変形等を招来し、発射操作を行う機能が損なわれる要因になり得る。」という発明が解決しようとする課題をもってなされたものである。
特徴C1.遊技機の前面部分を構成する遊技機前面体(前扉枠14X)と、
前記遊技機前面体の本体部分よりも遊技機前方に突出する突出部(例えば遊技球発射ハンドル45X)と、
前記本体部分に設けられ、前記突出部を保持する保持部(例えばカバー体20b)と
を備え、
前記突出部は、第1状態と当該第1状態よりも突出量が少ない第2状態に切り替え可能となっていることを特徴とする遊技機。
特徴C1に示すように、遊技機前面体の本体部分に突出部を設けることにより、本体部分における当該突出部の配置等に係る制約等を軽減することができる。しかしながら、本体部分からの突出量が大きくなれば大きくなる程、当該突出部が輸送、配置、メンテナンス作業等を行う際の邪魔になりやすくなる。また、突出部が他の遊技機等に接触した場合には、それが突出部を変形又は破損させる要因になり得る。
この点、本特徴においては、状況に応じて突出部を第1状態/第2状態に切り替えることができる。例えば、遊技ホール等への設置が完了して遊技が可能な状況下となった場合には第1状態とする一方、製造、輸送及びメンテナンス等を行う場合には突出部を第2状態とすることにより、上記不都合の発生を抑えることができる。
なお、本特徴に示す構成を「遊技機の前面部分を構成する遊技機前面体(前扉枠14X)と、前記遊技前面体の本体部分よりも遊技機前方に突出して設けられ、遊技者によって発射操作が行われるハンドル装置(例えば遊技球発射ハンドル45X)とを備え、前記ハンドル装置は、第1状態と当該第1状態よりも突出量が少ない第2状態に切り替え可能となっていることを特徴とする遊技機。」とすることも可能である。例えば遊技機メーカ等にて遊技機を製造し遊技ホール等へ納入する場合には、ハンドル装置を第2状態としておくことにより、遊技機を運ぶ際にハンドル装置が作業者による把持対象となる機会を好適に減らすことができる。これは、ハンドル装置の操作機能を担保する上で好ましい。遊技機の設置が完了した後は、当該ハンドル装置を第1状態に切り替えることにより、発射操作時の利便性が低下することを好適に抑制できる。
特徴C2.遊技者によって遊技が行われている遊技状態では前記突出部の前記第1状態及び前記第2状態への切り替わりが規制され、遊技者によって遊技が行われていない非遊技状態では前記突出部の前記第1状態及び前記第2状態への切り替わりが許容されることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。
特徴C2によれば、遊技が行われている最中に突出部が第2状態に切り替ることが規制される。これにより、特徴C1等に示した効果を発揮させつつ、当該切替機能が遊技進行を妨げる要因になることを抑制することができる。
なお、「突出部」が「ハンドル装置」である場合には、本特徴に示す構成を「遊技者によって遊技が行われている遊技状態では前記ハンドル装置の前記第1状態及び前記第2状態への切り替わりが規制され、遊技者によって遊技が行われていない非遊技状態では前記ハンドル装置の前記第1状態及び前記第2状態への切り替わりが許容されることを特徴とする特徴C1に記載の遊技機。」とすることも可能である。
特徴C3.前記遊技機前面体を開閉可能に支持する支持枠(内枠13)と、
前記突出部の前記第1状態及び前記第2状態での切り替わりを規制する規制手段(内枠13Xのストッパ部116X)と
を備え、
前記遊技機前面体の開放に基づいて前記規制手段による規制が解除されるように構成されていることを特徴とする特徴C1又は特徴C2に記載の遊技機。
特徴C1等に示したように、作業性の向上や突出部の保護等の効果は、遊技中ではなく主として製造時、輸送時、設置時、メンテナンス時等に発揮されることが好ましい。遊技機前面体の開放が遊技機メーカ等の従業員やホール管理者等の作業者によって行われる点に配慮すれば、遊技機前面体の開放により突出部の切り替えが可能となる構成とすることにより、遊技者により誤って上記切り替えがなされることを未然に防ぐことができる。
なお、「突出部」が「ハンドル装置」である場合には、本特徴に示す構成を「前記遊技機前面体を開閉可能に支持する支持枠と、前記ハンドル装置の前記第1状態及び前記第2状態での切り替わりを規制する規制手段とを備え、前記遊技機前面体の開放に基づいて前記規制手段による規制が解除されるように構成されていることを特徴とする特徴C1又は特徴C2に記載の遊技機。」とすることも可能である。
特徴C4.前記本体部分には、前記突出部が前記第2状態となった場合に当該突出部を収容する第1収容部(収容凹部40X)が設けられていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴C4によれば、突出部が第2状態となることにより本体部分(詳しくは第1収容部)に突出部が収容されることとなる。このようにして突出部の露出を抑えることにより、当該突出部へのアクセスが制限され、突出部の保護に貢献することができる。
なお、「突出部」が「ハンドル装置」である場合には、本特徴に示す構成を「前記本体部分には、前記ハンドル装置が前記第2状態となった場合に当該突出部を収容する第1収容部が設けられていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C3のいずれか1つに記載の遊技機。」とすることも可能である。
特徴C5.前記本体部分には、スピーカ(スピーカ35X)が収容される第2収容部(スピーカ収容部36X)が設けられており、
前記第1収容部及び前記第2収容部は連通しており、少なくとも前記突出部が前記第1状態となっている場合には、それら両収容部が前記スピーカ用のエンクロージャとして機能するように構成されていることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
遊技を行う場合等に突出部が第1状態となっている状況下においては、当該突出部を収容する第1収容部がデッドスペースになり得る。この点、スピーカ用の音響空間(エンクロージャ)を突出部を収容する収容空間として利用することにより、突出部の切り替えを許容することに起因して突出部に係る占有領域の拡がりを好適に抑制することができる。
なお、「突出部」が「ハンドル装置」である場合には、本特徴に示す構成を「前記本体部分には、スピーカ(スピーカ35X)が収容される第2収容部(スピーカ収容部36X)が設けられており、前記第1収容部及び前記第2収容部は連通しており、少なくとも前記ハンドル装置が前記第1状態となっている場合には、それら両収容部が前記スピーカ用のエンクロージャとして機能するように構成されていることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。」とすることも可能である。
特徴C6.前記突出部として、遊技者によって操作される操作手段(遊技球発射ハンドル45X)と作業者が把持可能な取っ手(取っ手402X)とを有し、
前記操作手段及び前記取っ手は、一方が前記第1状態となることで、他方が第2状態となるように構成されていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C5のいずれか1つに記載の遊技機。
操作手段を突出すれば取っ手が後退し、取っ手を突出させれば操作手段が後退することとなる。このように、操作手段と取っ手とを併用し、状況に応じて突出させる対象を切り替えることにより、操作手段が遊技機を運ぶ際の把持部として利用されることを抑制できる。特に、遊技者によって把持されることを目的として設けられた取っ手については、必然的に操作手段よりも掴みやすくなる。故に、このように操作手段の身代わりとして取っ手を準備しておくことにより、相対的に掴みにくい操作手段が把持対象として選択されることを抑制することができる。また、操作手段を突出させた場合には取っ手が後退(退避)することとなり、遊技を行う際に取っ手が邪魔になることを抑制することもできる。
なお、「突出部」が「ハンドル装置」である場合には、本特徴に示す構成を「前記遊技機前面体に設けられ、作業者が把持可能な第1位置と当該第1位置よりも前記本体部分からの突出が抑えられた第2位置とに変位可能な取っ手(取っ手402X)を備え、前記取っ手は、前記ハンドル装置が前記第1状態となることで前記第2位置に配置され、前記ハンドル装置が前記第2状態となることで前記第1位置に配置されるように構成されていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C5のいずれか1つに記載の遊技機。」とすることも可能である。
特徴C7.前記操作手段及び前記取っ手はベース体(ベース体401X)を挟んで表裏となるように配置されており、
前記ベース体が回動することにより、前記操作手段及び前記取っ手の一方が遊技機前方を向き他方が遊技機後方を向くようにして入れ替わる構成となっていることを特徴とする特徴C6に記載の遊技機。
特徴C7によれば、操作手段と取っ手とが入れ替わる構成とすることにより、アクセス対象を一方に限定することができる。これにより、操作手段の保護機能や遊技機の見栄えの低下を好適に抑制することができる。また、操作手段及び取っ手を表裏の関係とし、ベース体を回動させることにより操作手段及び取っ手の入れ替えを可能とすることにより、それら両構成の収容領域を個別に設ける必要がなくなり、収容領域を共通化することができる。故に、遊技機前面体にて操作手段及び取っ手を好適に共存させることができる。
なお、「突出部」が「ハンドル装置」である場合には、本特徴に示す構成を「前記ハンドル装置及び前記取っ手はベース体(ベース体401X)を挟んで表裏となるように配置されており、前記ベース体が回動することにより、前記ハンドル装置及び前記取っ手の一方が遊技機前方を向き他方が遊技機後方を向くようにして入れ替わる構成となっていることを特徴とする特徴C6に記載の遊技機。」とすることも可能である。
特徴C8.前記本体部分には、
前記突出部が前記第2状態となった場合に当該突出部を収容する第1収容部(収容凹部40X)と、
スピーカ(スピーカ35X)が収容される第2収容部(スピーカ収容部36X)と
が設けられており、
前記第1収容部及び前記第2収容部は連通しており、少なくとも前記突出部が前記第1状態となっている場合には、それら両収容部が前記スピーカ用のエンクロージャとして機能するように構成されており、
前記第1収容部及び前記第2収容部は、前記ベース体の回動中心軸線方向に並べて配置されていることを特徴とする特徴C7に記載の遊技機。
特徴C7に示したように、ベース体を回動させることにより、第1状態/第2状態の切り替えを行う場合には、操作手段,取っ手,ベース体用の配置領域(収容領域)だけでなく、第1状態/第2状態の切り替えを行うための動作領域を確保する必要が生じる。この動作領域を確保することがスピーカの配置領域や第2収容部を圧迫する要因となることは好ましくない。この点、本特徴に示すようにベース体の回動方向を規定すれば、そのような不都合の発生を抑え、両収容部等を好適に共存させることができる。
特徴C9.前記本体部分には、スピーカ(スピーカ35X)が収容される第2収容部(スピーカ収容部36X)が設けられており、
前記第1収容部及び前記第2収容部は連通しており、少なくとも前記突出部が前記第1状態となっている場合には、それら両収容部が前記スピーカ用のエンクロージャとして機能するように構成されており、
前記突出部として、遊技者によって発射操作が行われる発射ハンドル(遊技球発射ハンドル45X)と作業者が把持可能な取っ手(取っ手402X)とを有し、
前記発射ハンドル及び前記取っ手は、一方が前記第1収容部内に配置されて前記第1状態となることで、他方が前記第1収容部外に配置されて第2状態となるように構成されており、
前記取っ手が前記第1収容部に配置された場合の当該第1収容部における占有領域は、前記発射ハンドルが前記第1収容部に配置された場合の当該第1収容部における占有領域よりも小さくなるように構成されていることを特徴C4に記載の遊技機。
遊技を行う際には発射ハンドル及び取っ手のうち後者が第1収容部内に配置される。この状態では、第1収容部がエンクロージャとして機能することとなるが、取っ手の大きさを発射ハンドルよりも小さくしておくことにより、当該発射ハンドルの存在が上記機能を低下させる要因となることを好適に抑制することができる。
なお、取っ手については、「前記第1収容部に配置された場合に前記第2収容部との連通部分を塞がないようにして収容される構成」とすることが好ましい。
特徴C10.前記遊技機前面体は、支持枠(内枠13X)によって回動可能に支持されており、
前記突出部は、前記遊技機前面体の回動基端側となる部分に配されていることを特徴C1乃至特徴C9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴C10に示すように、遊技機前面体の回動基端側となる部分(例えば回動基端側の端部)に突出部が設けられている場合には、この突出部が遊技機前面体の回動範囲を制限する要因となり得る。特に、遊技機が遊技ホール等に設置された状態では、隣に並べて配置されている遊技機によってその回動範囲が制限されやすくなると想定される。
そこで、この種の遊技機に対して特徴C1等に示した技術的思想を適用し、突出部を退避(例えば後退)させる構成とすれば、上記回動範囲に係る制約を抑えることができる。回動範囲を大きくすることにより、遊技領域(遊技領域PE)に配設された各種遊技部品の清掃等のメンテナンス作業が行いづらくなることを抑制することができる。
特徴C11.前記遊技機前面体を開放不可となるように施錠する施錠装置(施錠装置75)を備え、
前記施錠装置による施錠が解除されること又は前記遊技機前面体が開放されることにより、前記突出部の前記第2状態への切り替わりが許容されるように構成されていることを特徴とする特徴C10に記載の遊技機。
特徴C11によれば、遊技機前面体を開放する場合には、施錠装置による施錠を解除する必要がある。そこで、施錠の解除又は遊技機前面体が開放されることで、突出部の第2状態への切り替えを許容することにより、必要に応じて突出部を第2状態にすることが可能となる。このような構成とすれば、第2状態への切り替えに伴う予備的作業が煩雑になることを好適に抑制することができる。
特徴C12.前記支持枠には、前記突出部が挿入される挿入部が形成されていることを特徴とする特徴C10又は特徴C11に記載の遊技機。
特徴C12に示すように、支持枠に突出部に対応する挿入部を形成しておくことにより、遊技機前面体を開放する前に予め突出部を後退させておくことが可能となる。
特徴C13.前記遊技機前面体を開放することにより、当該遊技機前面体と前記支持枠との間に形成された空間によって前記突出部の収容空間の少なくとも一部が確保されるように構成されていることを特徴とする特徴C10乃至特徴C12のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴C13によれば、遊技機前面体を開放することにより、突出部を後退させるための空間(収容空間)が確保されることとなる。このように、遊技機前面体の開放によって収容空間を確保すれば、支持枠に突出部を後退させるための空間を確保する必要がなくなり、特徴C1等に示した各種機能を発揮させることが支持枠の構造を複雑にする要因になることを回避できる。
特徴C14.前記突出部は、前記第1状態では前記遊技機前面体における遊技機前方への突出量が最大となる部分であり、前記第2状態に切り替ることにより前記遊技機前面体における他の部分よりも突出量が抑えられる構成となっていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C13のいずれか1つに記載の遊技機。
遊技機を配送する場合には、その厚さ、高さ、幅等によってまとめて配送できる遊技機の数が制限される。この点、最大突出部分を後退させる構成とすることにより、遊技機の最大厚さを減縮することができ、上述した制限を抑制することが可能となる。また、製造された遊技機を、工場や遊技ホール等にて保管する場合にも、遊技機を薄型化させることにより、収容に要するスペースが嵩むことを抑制できる。
特徴C15.前記突出部は、遊技者によって操作される操作手段であることを特徴とする特徴C1乃至特徴C14のいずれか1つに記載の遊技機。
上述の如く、遊技機前方へ突出している部分(突出部)については様々な要因によって外部からの影響を受けやすい。ここで、本特徴に示すように「突出部」=「操作手段」である場合には、当該影響が操作機能を阻害する要因になり得る。この点、本特徴に示す構成に特徴C1等に示した技術的思想を適用すれば、この種の影響から操作手段を好適に保護することができる。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル45)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘87等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(一般入賞口81等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用ベルト式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。