JP6760248B2 - スラグのフォーミング抑制方法及び溶鉄の精錬方法 - Google Patents
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Description
スラグのフォーミングを抑制する方法としては、滓鍋内や精錬容器内に水を吹き付ける方法がある(例えば、特許文献1〜3)。また、スラグのフォーミングを抑制する方法としては、滓鍋内や精錬容器内に水分を含んだフォーミング抑止剤を投入する方法がある(例えば、特許文献4,5)。
そこで、本発明は、上記の課題に着目してなされたものであり、スラグのフォーミングを抑えることでスラグを効率良く排出することができる、スラグのフォーミング抑制方法及び溶鉄の精錬方法を提供することを目的としている。
図1を参照して本発明の一実施形態に係るスラグのフォーミング抑制方法について説明する。本実施形態に係るスラグのフォーミング抑制方法は、精錬容器である転炉1で溶鉄2を精錬する際に適用されるものであり、具体的には、転炉1で溶鉄2を精錬処理した後に、精錬処理により生じたスラグ3を滓鍋4へと排出する際に適用されるものである。
そして、精錬処理工程が行われた後、転炉1の炉体に溶鉄2を収容した状態で、図1に示すように転炉1が傾動(図1における左周りに傾転)することで、比重差によって溶鉄2の浴面上に浮いているスラグ3が炉口11から滓鍋4へと排出される(排滓工程)。
ホッパー51には、鎮静剤6が収容される。本実施形態では、一例として、ホッパー51の容量を2.3m3とする。
鎮静剤6には、製鋼工程の精錬処理(脱珪処理や脱燐処理、脱炭処理など)で発生したスラグを粉状にしたスラグ粉を含むものが用いられる。また、鎮静剤6は、水分を含むことが好ましく、スラグ粉と水とが混合したものであることがより好ましい。さらに、鎮静剤6の水分の混合率は、50質量%以下であることが好ましい。水分の混合率が50質量%超となる場合、吹込み管53等の配管内での詰まりが生じる可能性が高くなる。さらに、鎮静剤6は、投射前にあらかじめ物質粉と水とを混合したスラリーとすることがのぞましい。あらかじめ鎮静剤をスラリーとすることで、投射した際に鎮静剤6に与えられる推進力が十分に増大され、より多くの鎮静剤6がフォーミングしたスラグ3の中心部まで到達するようになる。さらに、スラグ粉には、最大粒径が10mm以下で、且つ粒径が1.6mm以下のものを5質量%以上80質量%以下含むものが用いられることが好ましい。スラグ粉の最大粒径が10mm超となる場合、または粒径が1.6mm以下のものが5質量%以上80質量%以下含まれない場合、配管内での詰まりが生じる可能性が高くなる。なお、スラグ3のリサイクルを考えると、鎮静剤6に含まれるスラグ粉には、本実施形態の精錬工程の精錬処理と同様な処理によって、発生したスラグが用いられることが好ましい。
吹込み管53は、ディスペンサータンク52に接続され、ディスペンサータンク52に接続されていない側の先端が、滓鍋4の内部に向けて配される。このような鎮静剤投射装置5では、鎮静剤6がホッパー51からディスペンサータンク52に切り出された後、ディスペンサータンク52にガスが供給される。そして、ディスペンサータンク52の下端の吹込み管53への接続部(不図示)が開くことで、吹込み管53を通じて、滓鍋4内に鎮静剤6と搬送用のガスとが投射される。鎮静剤6の投射速度としては、50kg/min以上1500kg/min以下であることが好ましい。鎮静剤6の投射速度を50kg/min以上とすることで、所望するフォーミングの鎮静効果を確保することができる。一方、一般的な投射設備の投射速度の制約を考慮すると、投射速度を1500kg/min以下とすることが、設備導入のコストの観点からは好ましい。
以上で、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、これら説明によって発明を限定することを意図するものではない。本発明の説明を参照することにより、当業者には、開示された実施形態の種々の変形例とともに本発明の別の実施形態も明らかである。従って、特許請求の範囲は、本発明の範囲及び要旨に含まれるこれらの変形例または実施形態も網羅すると解すべきである。
また、上記実施形態では、排滓工程では溶鉄2を転炉1内に収容した状態で、スラグ3を排出するとしたが本発明はかかる例に限定されない。例えば、精錬処理工程の後、溶鉄2を転炉1の出湯孔から溶鉄用の収容容器(例えば、取鍋や溶銑鍋など)へ排出し、転炉1内にスラグ3のみを収容した状態から、スラグ3を炉口11から排出する排滓工程を行ってもよい。
さらに、上記実施形態では、スラグ粉には製鋼工程で発生するスラグが用いられるとしたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、製銑工程などの他の精錬処理によって生じたスラグが用いられてもよい。
(1)本発明の一実施形態に係るスラグ3のフォーミング抑制方法は、精錬処理により発生したスラグ3を精錬容器(例えば、転炉1)から滓鍋4に排出する際に、滓鍋4に、物質粉を含む鎮静剤6を投射し、物質粉に、水よりも比重が大きく、常温で粉状化可能な物質の粉を用いる。
上記(1)の構成によれば、物質粉を含む鎮静剤6が滓鍋4内のスラグ3に投射されることで、鎮静剤6が十分な推進力を持つようになる。このため、鎮静剤6をスラグ3の表面だけでなく内部にまで添加することができるようになり、スラグ3のフォーミングが十分に抑制され、スラグ3を効率よく排出することができるようになる。
上記(2)の構成によれば、製鉄所で発生するスラグを鎮静剤6として再利用することができ、また鎮静剤6を含むスラグ3を、通常の精錬処理により発生したスラグと同様に処理することができる。
(3)上記(1)または(2)の構成において、鎮静剤6には水分が含まれる。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、鎮静剤6として、投射前にあらかじめ物質粉と水とを混合したスラリーを用いる。
(5)上記(4)の構成において、鎮静剤6の水分の混合割合を、0質量%超、50質量%以下とする。
上記(3)〜(5)の構成によれば、鎮静剤6に水分が含まれることで、より効率的にフォーミングを抑制することができる。このため、用いる鎮静剤6の使用量を低減させることができる。
上記(6)の構成によれば、スラグ粉の粒径を上記の範囲に適正化することで、よりスラグ粉がスラグ3の内部にまで入り込むことができ、スラグ3のフォーミングを効率的に抑制することができる。
上記(7)の構成によれば、スラグ3のフォーミングが十分に抑制され、スラグ3を効率よく排出することができるようになる。このため、排滓工程に要する時間が決められている場合には、排出されるスラグ3の量が増大することで、精錬処理を効率よく行うことができる。また、排滓工程においてスラグ3を転炉1から完全に排出しないといけない場合には、排滓工程にかかる時間を短縮することができ、能率を向上させることができる。
以上の結果から、本発明によればスラグ3のフォーミングを抑えられることで、スラグ3を効率良く排出することができることが確認できた。
2 溶鉄
3 スラグ
4 滓鍋
5 鎮静剤投射装置
51 ホッパー
52 ディスペンサータンク
53 吹込み管
6 鎮静剤
Claims (6)
- 精錬処理により発生したスラグを精錬容器から滓鍋に排出する際に、
前記滓鍋に、物質粉を含む鎮静剤を投射し、
前記物質粉に、水よりも比重が大きく、常温で粉状化可能な物質の粉であって、最大粒径が10mm以下、かつ粒径が1.6mm以下のものを5質量%以上80質量%以下含み、スラグ粉、砂、使用済み耐火物の破砕粉及び鉄粉の少なくとも一つを含むものを用いることを特徴とするスラグのフォーミング抑制方法。 - 前記物質粉に、スラグ粉を用いることを特徴とする請求項1に記載のスラグのフォーミング抑制方法。
- 前記鎮静剤には水分が含まれることを特徴とする請求項1または2に記載のスラグのフォーミング抑制方法。
- 前記鎮静剤として、投射前にあらかじめ物質粉と水とを混合したスラリーを用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスラグのフォーミング抑制方法。
- 前記鎮静剤の前記水分の混合割合を、0質量%超、50質量%以下とすることを特徴とする請求項4に記載のスラグのフォーミング抑制方法。
- 精錬容器で溶鉄を精錬処理する精錬処理工程と、
精錬処理により発生するスラグを前記精錬容器から滓鍋へ排出する排滓工程と
を備え、
前記排滓工程では、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスラグのフォーミング抑制方法を用いて、前記滓鍋に排出される前記スラグのフォーミングを抑制することを特徴とする溶鉄の精錬方法。
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