JP6757932B2 - 転がり軸受装置 - Google Patents

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Description

本発明は、転がり軸受装置に関する。
例えば、人工衛星の姿勢制御用フライホイールやジャイロスコープ、又は太陽電池パドル駆動機構やアンテナ駆動機構(低速アプリケーション)等に使用される転がり軸受は、トルクを低く抑えたりトルクの変動を小さく抑えたりする必要があるため、潤滑剤の使用量を最小限に留めることが要求される。そのような要求に応えるため、従来、転がり軸受の保持器に潤滑剤を含浸させることによって微量ずつ潤滑剤を供給する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−349136号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、保持器に含浸させることができる潤滑剤の量は僅かであるため、転がり軸受の潤滑寿命が制限されるという欠点がある。
本発明は、転がり軸受の潤滑寿命を向上させることができる転がり軸受装置を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受装置は、固定輪、回転輪、前記固定輪と前記回転輪との間に配置された複数の転動体、および、前記複数の転動体を保持する保持器を有する転がり軸受と、前記固定輪に対して軸方向に隣接して配置され、内部に潤滑剤を貯留するための貯留室を有する潤滑剤貯留部材と、前記潤滑剤貯留部材に設けられ、前記固定輪及び前記回転輪の間に挿入されるとともに、前記保持器の回転を案内する案内面を有する案内部材と、少なくとも一部が前記貯留室に配置され、自身に浸透させた前記貯留室内の潤滑剤を前記案内面とこれに対向する前記保持器の被案内面との間に供給する浸透部材と、を備え、前記潤滑剤貯留部材には、前記貯留室の内部と、前記固定輪と前記回転輪との間の環状空間とを連通させ、かつ気体が通過可能な連通孔が形成され、前記連通孔の前記貯留室側の開口は、前記貯留室における前記浸透部材が収容されている領域と前記浸透部材が収容されていない領域とに跨って形成されている。
上記構成の転がり軸受装置によれば、貯留室に充填された潤滑剤を浸透部材に浸透させ、この浸透部材から案内部材の案内面と保持器の被案内面との間に潤滑剤を微量ずつ供給することができる。また、転がり軸受装置は、潤滑剤貯留部材の貯留室に潤滑剤を貯留することができるので、従来のように保持器に潤滑剤を含浸させる場合に比べて、多くの潤滑剤を保有することができ、転がり軸受の潤滑寿命を向上させることができる。
前記案内部材は、前記案内面と面一の状態で前記案内面に隣接して形成された供給面を備え、この供給面の少なくとも一部に前記浸透部材が接触していることが好ましい。
このような構成によって、浸透部材に浸透された潤滑剤を案内部材の供給面から案内面へ向けてスムーズに供給することができる。
前記供給面における前記浸透部材が接触する部分と前記案内面とに、潤滑剤の通路となる溝部が形成されていることが好ましい。
このような構成によって、浸透部材に浸透された潤滑剤を、溝部を介して案内面と被案内面との間に好適に供給することができる。また、案内面と被案内面との間に供給された潤滑剤が消費されても、浸透部材に浸透された潤滑剤が表面張力によって溝部内に補給されるため長期間にわたり継続して潤滑を行うことができる。
前記溝部は、軸方向に沿って形成することができる。
このような構成によって、浸透部材から溝部を介して案内面と被案内面との間へ最短距離で潤滑剤を供給することができる。
また、前記溝部は、軸方向に対して傾斜して形成されていてもよい。
このような構成によって、保持器の被案内面が案内面上を摺動するときの溝部による抵抗を少なくし、案内面上で被案内面をスムーズに摺動させることができる。また、溝部の長さを可及的に長くすることができ、溝部内により多くの潤滑剤を保持することができる。
前記供給面及び前記案内面には、増ちょう剤を含む潤滑剤が供給されていてもよい。
このような構成によって、供給面及び案内面上の潤滑剤が転がり軸受に供給されて減少すると、浸透部材に浸透された潤滑剤が増ちょう剤に吸引されることにより供給面を介して案内面と被案内面との間に供給される。したがって、転がり軸受装置の使用開始当初から円滑な潤滑を行うことができる。
前記案内部材は、前記貯留室を形成する壁を構成していることが好ましい。
このような構成によって、案内部材を活用して貯留室を形成することができる。
上記構成において、前記潤滑剤貯留部材は、円筒状の外周壁と、前記外周壁の径方向内側に前記外周壁と間隔をあけて配置された円筒状の内周壁と、前記外周壁と前記内周壁との間に配置された環状の第1側壁と、前記第1側壁よりも前記転がり軸受側に配置された環状の第2側壁とを有し、前記貯留室が、前記外周壁、前記内周壁、前記第1側壁、及び前記第2側壁によって囲まれた空間により形成され、
前記外周壁又は前記内周壁が、前記固定輪と前記回転輪との間に挿入されて前記案内部材を構成していることが好ましい。
前記潤滑剤貯留部材には、前記貯留室の内部と、前記固定輪と前記回転輪との間の環状空間とを連通させ、かつ気体が通過可能な連通孔が形成されていることが好ましい。
例えば転がり軸受装置が人工衛星に適用される場合、打ち上げまでの間に部品の評価やメンテナンス等の作業が行われるが、これらの作業には、転がり軸受の内部を真空引きする工程が含まれることがある。しかし、この工程において、貯留室の内部に含まれる空気が案内部材の案内面と保持器の被案内面との間への潤滑剤の供給経路を介して貯留室の外部へ排出されると、潤滑剤浸透部材に浸透された潤滑剤までも外部へ流出させてしまい、貯留室内の潤滑剤が減少してしまう可能性がある。したがって、上記構成のように、前記潤滑剤貯留部材に連通孔を形成することによって、転がり軸受の内部が真空引きされたときに貯留室内の空気を連通孔を介して排出することができ、浸透部材に浸透した潤滑剤が空気とともに流出してしまうのを好適に抑制することができる。
前記潤滑剤貯留部材の前記第2側壁には、前記貯留室の内部と、前記固定輪と前記回転輪との間の環状空間とを連通させ、かつ気体が通過可能な連通孔が形成されていることが好ましい。
このような構成によって、上記のように転がり軸受内を真空引きするときに、環状空間により近い位置から空気を排出することができる。
前記連通孔は、前記貯留室の内部のうち少なくとも前記浸透部材が収容されていない領域と、前記環状空間との間を連通することが好ましい。
このような構成によって、浸透部材が収容されていない領域に含まれる空気を連通孔を介して好適に貯留室から排出することができる。
前記連通孔は、前記貯留室の内部のうち少なくとも前記浸透部材が収容されている領域と、前記環状空間との間を連通することが好ましい。
このような構成によって、浸透部材に含まれる空気を連通孔を介して好適に貯留室から排出することができる。
2つの前記転がり軸受が、軸方向に間隔をあけて設けられ、2つの前記転がり軸受の間に1つの前記潤滑剤貯留部材が設けられ、前記潤滑剤貯留部材には、前記各転がり軸受に対応する2つの貯留室と、前記各転がり軸受の前記保持器を案内する2つの案内部材とが設けられていてもよい。
このような構成によって、2つの転がり軸受の双方を1つの潤滑剤貯留部材を用いて好適に潤滑することができる。
前記潤滑剤貯留部材が、前記固定輪の軸方向の位置を設定する間座により構成されていることが好ましい。
このような構成によって、間座を潤滑剤貯留部材としても活用できる。
前記案内部材が、前記保持器の内周面を案内するものであり、前記保持器は、軸方向一端部の内周面に、前記案内面によって案内される被案内面を有しており、前記被案内面の軸方向両側には、前記被案内面から軸方向へ離れるに従い漸次内径が増大する傾斜面が形成され、前記転がり軸受の内部側の傾斜面が、前記転がり軸受の外部側の傾斜面よりも大きい傾斜角度で形成されていることが好ましい。
このような構成によれば、転がり軸受の外部側の傾斜面により案内面と被案内面との間に潤滑剤を供給し易くすることができ、転がり軸受の内部側の傾斜面により案内面と被案内面との間の潤滑剤を転がり軸受の内部に排出し易くすることができる。特に、転がり軸受の内部側の傾斜面が、転がり軸受の外部側の傾斜面よりも大きい傾斜角度で形成されているので、保持器の回転による遠心力で、案内面と被案内面との間の潤滑油を積極的に転がり軸受の内部に排出することができる。
本発明の転がり軸受装置によれば、転がり軸受の潤滑寿命を向上させることができる。
第1の実施形態に係る転がり軸受装置を示す断面図である。 転がり軸受と潤滑剤貯留部材とを拡大して示す断面図である。 保持器と案内部材とを拡大して示す断面図である。 第2の実施形態に係る転がり軸受装置を示す断面図である。 第3の実施形態に係る転がり軸受装置の一部を示す断面図である。 第4の実施形態に係る転がり軸受装置の断面図である。 第5の実施形態に係る転がり軸受装置の断面図である。 外輪間座を示す斜視図である。 外輪間座の一部を拡大して示す断面図である。 第6の実施形態に係る転がり軸受装置の外輪間座を示す斜視図である。 第7の実施形態に係る転がり軸受装置の外輪間座を示す斜視図である。 第8の実施形態に係る転がり軸受装置の外輪間座の一部を拡大して示す断面図である。 第9の実施形態に係る転がり軸受装置の外輪間座の一部を拡大して示す断面図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の転がり軸受装置の実施形態を詳細に説明する。
[第1の実施形態]
[転がり軸受の全体構成]
図1は、第1の実施形態に係る転がり軸受装置を示す断面図である。図2は、転がり軸受と潤滑剤貯留部材とを拡大して示す断面図である。図3は、保持器と案内部材とを拡大して示す断面図である。
転がり軸受装置10は、軸方向に間隔をあけて配置された2個(複列)の転がり軸受11と、2個の転がり軸受11の間に設けられた間座12,13とを備えている。この転がり軸受装置10は、宇宙で使用される機器、例えば人工衛星において、姿勢制御用のフライホールやジャイロスコープ等で用いられる軸を回転自在に支持するために用いられる。
転がり軸受11は、外輪21と、内輪22と、複数の転動体23と、保持器24とを備えている。外輪21及び内輪22は、円環状に形成されている。内輪22は、外輪21の径方向内側に同心状に配置されている。外輪21の内周面には、外輪軌道面21aが形成されている。内輪22の外周面には、内輪軌道面22aが形成されている。外輪軌道面21aと内輪軌道面22aとは径方向に対向して配置されている。
転動体23は、玉により構成されている。複数の転動体23は、外輪軌道面21aと内輪軌道面22aとの間に転動可能に配置されている。複数の転動体23は、周方向に間隔をあけて配置され、保持器24によってその間隔が保持されている。
本実施形態の転がり軸受11は、内輪軌道面22aが転動体23に対して斜めに接し、軸方向に予圧を付与して使用されるアンギュラ玉軸受とされている。また、内輪22は、その内周面が回転運動する軸Sに嵌合されることによって、軸Sに固定されている。外輪21は、その外周面が転がり軸受装置10が適用される機器のハウジングHに嵌合されることによって、ハウジングHに固定されている。したがって、外輪21は固定輪を構成し、内輪22は回転輪を構成している。2個のアンギュラ玉軸受11は、背面合わせの関係で配置されている。
転がり軸受11の外輪21、内輪22、及び転動体23は、いずれも金属製とすることができる。例えば、外輪21、内輪22、及び転動体23は、SUS440C等のステンレスにより形成することができる。転動体23は、金属製以外であってもよい。例えば、転動体23は、窒化ケイ素等のセラミックス製とすることができる。
保持器24は、円環状に形成され、径方向に貫通するポケット24aが周方向に間隔をあけて複数形成されている。各ポケット24aには、転動体23が収容されている。保持器24の軸方向一端部の内周面は、後述する案内面32bによって案内される被案内面24bとされている。
保持器24は、合成樹脂製とすることができる。例えば、保持器24は、フェノール樹脂により形成することができる。フェノール樹脂は、内部に潤滑剤を取り込むことが可能である。
間座12,13は、外輪間座12と内輪間座13とからなる。
外輪間座12は、2個の転がり軸受11の外輪21の間に配置されている。2個の外輪21は、外輪間座12によって、互いに軸方向に接近する方向へ移動が規制されている。言い換えると、2個の外輪21は、外輪間座12によって軸方向の位置が設定され、互いの間隔が保持されている。また、外輪間座12は、転がり軸受11に軸方向の予圧を付与するために用いられる。
外輪間座12は、外輪21と同様にその外周面がハウジングHに嵌合されることによって、ハウジングHに固定されている。外輪間座12は、後述するように潤滑剤貯留部材と案内部材とを構成する。
内輪間座13は、2個の転がり軸受11の内輪22の間に配置されている。2個の内輪22は、内輪間座13によって互いに軸方向に接近する方向への移動が規制されている。したがって、2個の内輪22は、内輪間座13によって間隔が保持される。内輪間座13は、円筒形状に形成されている。内輪間座13は、内輪22と同様に、回転軸Sの外周面に嵌合されることによって回転軸Sに固定されている。
[外輪間座12の具体的構成]
図1に示すように、外輪間座12は、外周壁31と、内周壁32と、第1側壁33と、第2側壁34とを有している。また、外輪間座12は、潤滑剤を貯留するための貯留室35を有している。
外周壁31は、断面形状が平板状とされた円筒形状に形成されている。外周壁31の外径は、外輪21の外径とほぼ同一である。外周壁31の外周面は、ハウジングHに嵌合されている。外周壁31の軸方向寸法は、2個の転がり軸受11の外輪21の間隔よりも小さく形成されている。
内周壁32は、断面形状が平板状とされた円筒形状に形成されている。内周壁32は、外周壁31の径方向内側に間隔をあけて配置されている。また、内周壁32は、内輪間座13の径方向外側に間隔をあけて配置されている。内周壁32の軸方向寸法は、2個の転がり軸受11の外輪21の間隔よりも大きい。したがって、内周壁32の軸方向寸法は、外周壁31の軸方向寸法よりも大きくなっている。内周壁32の軸方向両端部32aは、外周壁31よりも軸方向外側に突出している。
図2に示すように、内周壁32の軸方向両端部32aは、転がり軸受11の外輪21と内輪22との間の環状空間に挿入されている。内周壁32の軸方向両端部32aは、保持器24の内周側に配置されている。そして、内周壁32の軸方向両端部32aにおける外周面は、保持器24の内周面(被案内面)24bに接触し、保持器24の回転を案内する案内面32bを構成している。したがって、外輪間座12の内周壁32は、保持器24を案内する案内部材を構成している。
図2及び図3に示すように、内周壁32の外周面には、周方向に沿って延びる凹溝32cが形成されている。この凹溝32cは、外周壁31と第2側壁34とが接触する位置の径方向内側に位置している。本実施形態では、凹溝32cと案内面32bとの間の内周壁32の外周面が、案内面32bへ潤滑剤を導いて供給するための供給面32dとされている。この供給面32dは、案内面32bと面一に形成されている。もっとも、案内面32bを除く内周壁32の外周面全体が、案内面32bへ潤滑剤を導いて供給するための供給面32dとされていてもよい。供給面32dの具体的な作用については後述する。
なお、内周壁32の外周面は、旋盤等による切削加工で形成されるが、凹溝32cよりも転がり軸受11側の供給面32d及び案内面32bは、さらに、研削加工によって表面が仕上げられる。研削加工が施される領域(研削領域)は、外周壁31よりも軸方向外側に突出しているので、内周壁32の径方向外側から供給面32d及び案内面32bを研削することができ、研削作業性を向上させることができる。
図1に示すように、第1側壁33は、円環状に形成されている。第1側壁33の断面形状は、径方向寸法よりも軸方向寸法の方が小さい略長方形状に形成されている。第1側壁33は、外周壁31の内周面の軸方向中央部と、内周壁32の外周面の軸方向中央部とを接続している。外周壁31と内周壁32と第1側壁33とは1つの部材で一体に成形され、全体として「工」形状を呈している。
第2側壁34は、円環状に形成され、外周壁31と転がり軸受11の外輪21との間に配置されている。また、第2側壁34は、内周壁32の軸方向両端部32aの径方向外側に配置されている。第2側壁34の断面形状は、径方向寸法よりも軸方向寸法の方が小さい、略長方形状に形成されている。第2側壁34の外径は、外周壁31の外径とほぼ同一である。第2側壁34の外周面は、ハウジングHに嵌合されている。
第2側壁34の断面における径方向寸法(厚さ)は、外周壁31の断面における径方向寸法(厚さ)よりも大きい。そのため、第2側壁34は、外周壁31の内周面よりも径方向内方へ突出している。
また、第2側壁34の内径は、内周壁32の外径よりも大きい。そのため、第2側壁34の内周面と内周壁32の外周面とは間隔をあけて配置されている。
外輪間座12の内部には、潤滑剤を貯留するための貯留室35が形成されている。具体的に、外周壁31と内周壁32と第1側壁33と第2側壁34とによって囲まれる空間が貯留室35とされている。したがって、外輪間座12は、本発明の潤滑剤貯留部材を構成している。本実施形態の外輪間座12には、2個の転がり軸受11に対応して2個の貯留室35が形成されている。第2側壁34の内周面と内周壁32の外周面との間に形成された間隔は、貯留室35を転がり軸受11側に開放する開口部36とされている。したがって、貯留室35は、内周側の領域が転がり軸受11側に開放している。
貯留室35の内部には、潤滑剤を浸透させる浸透部材40が設けられている。浸透部材40は、多数の連続気孔を有する多孔質体により構成されている。例えば、浸透部材40は、焼結ポリエチレン等の樹脂焼結体により形成することができる。
図2に示すように、浸透部材40は、第1部分41と第2部分42とを有している。第1部分41は、貯留室35内に配置されている。第2部分42は、開口部36内に配置されている。第1部分41及び第2部分42は、いずれも円環状に形成されている。第1部分41及び第2部分42は、それぞれ断面長方形状に形成されている。
第1部分41と第2部分42とは、同一の内径を有している。第1部分41の内径及び第2部分42の内径は、内周壁32の外径とほぼ同一である。第1部分41と第2部分42は、内周壁32の外周面に嵌合されている。
第1部分41の外径は、第2部分42の外径よりも大きい。第1部分41の軸方向寸法は、貯留室35の軸方向寸法とほぼ同一である。第1部分41の断面における径方向寸法は、貯留室35の断面における径方向寸法よりも小さい。第1部分41は、貯留室35の容積の半分以上を占める範囲で設けられている。貯留室35は、内周側の領域が第1部分41で埋め尽くされ、外周側の領域が空間とされ、この空間内に潤滑剤が充填される。
第2部分42の断面における径方向寸法は、開口部36の径方向寸法(内周壁32と第2側壁34との間隔)とほぼ同一である。したがって、第2部分42は、開口部36の全体を塞ぐように設けられる。また、第2部分42は、外輪間座12の第2側壁34の内周面によって径方向外側から押さえられている。そのため、浸透部材40の第2部分42の内周面は、内周壁32の外周面、特に供給面32dに圧接されている。
外輪間座12の貯留室35の内部には、グリース又は潤滑油等の潤滑剤が充填される。浸透部材40は、連続気孔を有する多孔質体であるので、貯留室35内の潤滑剤は、浸透部材40に浸透する。潤滑剤がグリースの場合には、グリースに含まれる基油が浸透部材40に浸透する。図3に示すように、浸透部材40の第1部分41を経て第2部分42に浸透した潤滑剤は、内周壁32の供給面32dを伝って開口部36から流出し、内周壁32に形成された案内面32bと、保持器24に形成された被案内面24bとの間に供給され、案内面32b及び被案内面24bを潤滑する。また、案内面32b及び被案内面24bの間に供給された潤滑剤は、転がり軸受11の内部に侵入し、転動体23、内輪軌道面22a、及び外輪軌道面21aを潤滑する。
以上のように、外輪間座(潤滑剤貯留部材)12には貯留室35が形成されているので、転がり軸受装置10により多くの潤滑剤を保持させることが可能となり、また、貯留室35に配設した浸透部材40によって微量ずつ潤滑剤を排出し、転がり軸受11に供給することができる。そのため、長期にわたって転がり軸受11を潤滑することができ、転がり軸受11の潤滑寿命を向上させることができる。
特に、人工衛星の打ち上げ時等のように大きな加速度がかかる状況では、貯留室35の内部に潤滑剤としてグリースのみが貯留されていると、グリースに位置ずれが生じて貯留室35からグリースが飛び出してしまう可能性がある。また、衝撃によってグリースに割れが生じると基油の移動経路が分断されてしまい、貯留室35内にグリースが存在するにも関わらず、基油の供給が途絶えてしまう可能性がある。この点、本実施形態の転がり軸受装置10においては、貯留室35の内部に浸透部材40が設けられており、しかも浸透部材40は、貯留室35の開口部36側に配置され、貯留室35の内部側(奥側)にグリースが貯留されているので、浸透部材40が蓋としての役割を果たし、大きな加速度がかかる状況であっても、グリースの位置ずれを抑制することができる。また、貯留室35の内部は、グリースと浸透部材40とによって満たされるので、グリースに割れが生じても浸透部材40に浸透している基油を潤滑に用いることができる。また、グリースと浸透部材40とは接しているので、部分的な割れが生じたとしても各々が接触している面を介して基油が浸透部材40に移動するため、基油の供給が途切れてしまうのを抑えることができる。さらに、浸透部材40は、グリースと比べて空隙の寸法が大きいため、案内面32bへグリースの基油を容易に供給することができる。以上より、転がり軸受の潤滑寿命を高めることができる。
また、浸透部材40の第2部分42は、案内面32bと面一に形成された内周壁32の供給面32dに直接接触しているので、浸透部材40に浸透された基油を供給面32dを介して案内面32bへとスムーズに供給することができる。
なお、転がり軸受装置10の使用開始時には、図3に示すように、供給面32d及び案内面32bに予め増ちょう剤を含むグリースが塗布される。そして、塗布されたグリースの基油が転がり軸受11の内部側へ排出されることによって減少すると、浸透部材40の第2部分42に浸透した基油が、供給面32d上の増ちょう剤に毛細管現象によって吸引され、案内面32bと被案内面24bとの間に供給される。このような作用によって、転がり軸受装置10の使用開始時点から継続した潤滑を行うことができる。なお、グリースは、案内面32b及び供給面32dだけでなく内周壁32の外周面全体に塗布してもよい。
保持器24の被案内面24bの軸方向両側には、被案内面24bから離れるほど内径が増大する傾斜面24d,24eが形成されている。転がり軸受11の外部側(外輪間座12側)の傾斜面24dは、浸透部材40から供給面32dを伝う基油を、案内面32bと被案内面24bとの間に入り込みやすくすることができる。転がり軸受11の内部側(ポケット24a側)の傾斜面24eは、転がり軸受11の外部側の傾斜面24dよりも、傾斜角度が大きくなっている。そのため、案内面32bと被案内面24bとの間から転がり軸受11の内部側に入り込んだ基油を保持器24の回転による遠心力で径方向外方へ積極的に導くことができる。そのため、転動体23に対して好適に基油を供給することができ、転動体23と外輪軌道面21a及び内輪軌道面22aとの間の潤滑を促進することができる。被案内面24bに対する傾斜面24dの傾斜角度は、例えば、45°未満とすることができ、被案内面24bに対する傾斜面24eの傾斜角度は、例えば、45°以上(90°未満)とすることができる。
図3に示すように、内周壁32の外周面において、凹溝32cよりも転がり軸受11側の研削領域は、切削領域に比べて外径が僅かに小さくなり、両者の間にはわずかな段差h(0.2mm程度)が生じることがある。浸透部材40は、切削領域と研削領域とに跨って配置されるが、第2側壁34によって径方向外側から押さえられることによる変形(弾性変形又は塑性変形)で段差hを吸収し、浸透部材40の内周面の略全体が、内周壁32の外周面に接触するようになっている。そのため、浸透部材40に浸透した基油を内周壁32の外周面(供給面32d)を介して案内面32bと被案内面24bとの間に好適に供給することができる。
図1及び図2に示すように、転がり軸受11を構成する外輪21及び内輪22と、転動体23とがいずれも同一の金属により形成されている場合、外輪間座12もこれらと同一の金属により形成することができる。しかし、転動体23が、外輪21及び内輪22とは線膨張係数が異なる材質である場合、外輪間座12も、外輪21及び内輪22とは異なる材質の金属により形成することが好ましい。具体的には、外輪21及び内輪22が金属製であり、転動体23がセラミックス製である場合には、外輪21及び内輪22よりも転動体23の方が線膨張係数が小さくなる。そのため、温度上昇による転動体23の膨張量が外輪21及び内輪22の膨張量よりも小さくなり、転がり軸受11に付与される予圧が小さくなるおそれがある。このような場合、外輪間座12の材料として、外輪21及び内輪22よりも線膨張係数の大きな金属を用いることによって、温度上昇による外輪間座12の膨張量を外輪21及び内輪22の膨張量よりも大きくすることができ、転がり軸受11に付与される予圧の低下を抑制することができる。例えば、外輪21及び内輪22が、SUS440Cで形成され、転動体23がセラミックス製である場合、外輪間座12は、SUS304により形成することができる。
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態に係る転がり軸受装置を示す断面図である。
本実施形態は、2個のアンギュラ玉軸受11が、正面合わせの関係で配置されている。そして、外輪間座12の内周壁(案内部材)32を、外輪21と内輪22との間の環状空間に挿入させるため、内輪22の外周面には、凹部22bが形成されている。この凹部22bは、軸方向の外側(外輪間座12側)ほど外径が小さくなる傾斜面を有している。内周壁32の軸方向端部の内周側には、凹部22bの傾斜面に対向する傾斜面が形成されている。
その他の構成は、第1の実施形態と同様であり、本実施形態においても第1の実施形態と同様の作用効果を奏するため、詳細な説明は省略する。
[第3の実施形態]
図5は、第3の実施形態に係る転がり軸受装置の一部を示す断面図である。
本実施形態の転がり軸受装置10は、保持器24の軸方向一端部の外周面に被案内面24cが形成されている。また、外輪間座12のうち、第2側壁34が案内部材として構成されている。具体的に、第2側壁34には、転がり軸受11側に突出する案内部34aが形成され、この案内部34aが、外輪21と内輪22との間の環状空間に挿入されている。そして、案内部34aの内周面が、被案内面24cに対向して保持器24の回転を案内する案内面34cとされている。また、第2側壁34の内周面34dのうち案内面34cを除く部分は、浸透部材40の第2部分42が直接的に接触し、案内面34cと被案内面24cとの間へ潤滑油を供給するための供給面とされている。外輪21の内周面には、第2側壁34の案内部34aを挿入させるための凹部21bが形成されている。第2側壁34の内周面34dは、全体が研削加工によって仕上げられる。一方、第1の実施形態において案内部材を構成していた内周壁32は、本実施形態では外周面の研削加工が不要となり、外周面全体を切削加工のみにより形成することができる。そのため、図3に示すような研削領域と切削領域との境界を設定する凹溝32cも不要となる。
本実施形態においても、貯留室35に貯留された潤滑剤が浸透部材40に浸透し、浸透部材40から供給面を伝って第2側壁34の案内面34cと保持器24の被案内面24cとの間に潤滑剤が供給され、案内面34cと被案内面24cとの間を潤滑するとともに、転動体23、外輪軌道面21a、内輪軌道面22aを潤滑することができる。
[第4の実施形態]
図6は、第4の実施形態に係る転がり軸受装置を示す断面図である。
上記各実施形態の転がり軸受装置10は、転がり軸受11が複列に設けられ、潤滑剤貯留部材を構成する外輪間座12が、複列の転がり軸受11に対応して2個の貯留室35を備えていたが、第4の実施形態の転がり軸受装置10は、1つの転がり軸受11に対応する1つの貯留室35が外輪間座12に形成されたものとなっている。
本実施形態においても、貯留室35に貯留された潤滑剤が浸透部材40に浸透し、浸透部材40から供給面32dを伝って案内面32bと保持器24の被案内面24bとの間に潤滑剤が供給される。その他の構成及び作用効果は上記第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
[第5の実施形態]
図7は、第5の実施形態に係る転がり軸受装置を示す断面図である。
本実施形態では、外輪間座12における内周壁32の外周面に溝部50が形成されている。この溝部50には、浸透部材40に浸透された潤滑剤が流入し、保持される。また、外輪間座12における第2側壁34には、貯留室35の内部と、転がり軸受11における外輪21と内輪22との間の環状空間とを連通し、気体を通過させることができる連通孔55が形成されている。
図8は、外輪間座を示す斜視図である。溝部50は、内周壁32の外周面の軸方向の幅全体にわたる範囲で軸方向に沿って(軸方向と平行に)延びている。したがって、溝部50は、供給面32dにおける浸透部材40が接触する部分と、案内面32bとにわたる範囲で形成される。溝部50は、内周壁32の外周面に形成された凹溝32cに交差している。また、溝部50は、周方向に間隔をあけて複数形成されている。したがって、複数の溝部50は、凹溝32cによって互いに連通されている。溝部50の深さは、凹溝32cの深さと同じか、あるいは凹溝32cの深さよりも深く又は浅く形成されている。
本実施形態において、浸透部材40に浸透された潤滑剤(例えば、グリースの基油)は、溝部50内に流入し、保持される。溝部50は、案内面32bにまで延びているので、浸透部材40から案内面32bまでの潤滑剤の通路となり、溝部50内の潤滑剤が案内面32bと被案内面24bとの間に供給される。また、案内面32bと被案内面24bとの間から転がり軸受11内に潤滑剤が供給されることによって溝部50内の潤滑剤が消費されると、溝部50内には、浸透部材40に浸透した潤滑剤が表面張力によって常に補給される。したがって、溝部50を介して案内面32bと被案内面24bとの間に長期間に渡って継続的に潤滑剤を供給することができる。また、複数の溝部50は、凹溝32cによって互いに連通されているので、複数の溝部50間で潤滑剤を流通させることができる。そのため、溝部50全体においてバランスよく潤滑剤を保持し、案内面32bと被案内面24bとの間に対して周方向に関して均一に潤滑剤を供給することができる。
また、上記第1〜第4の実施形態のように案内面32bと供給面32dとにグリースを塗布しておく場合、そのグリースが長時間の使用で少なくなると、浸透部材40から案内面32bへの潤滑剤の供給が途切れてしまうおそれがあるが、本実施形態では、そのような不都合が生じることなく継続した潤滑剤の供給が可能となる。
なお、本実施形態の外輪間座12は、単列の転がり軸受11に対応する1つの貯留室35を備えたものとなっているが、上述の第1の実施形態のように複列の転がり軸受11に対応する2つの貯留室35を備えたものであってもよい。
第2側壁34に形成された連通孔55は、図9に示すように、一定の内径で第2側壁34を軸方向に貫通している。連通孔55の一端側の開口55aは、浸透部材40が収容されている貯留室35の径方向内側の領域と、浸透部材40が収容されていない径方向外側の領域とに跨って形成されている。したがって、開口55aの一部は、浸透部材40に重なるように配置されている。また、連通孔55は、第2側壁34に対して周方向に間隔をあけて複数箇所(例えば、2,3箇所)に形成されている。
連通孔55は、貯留室35内に含まれる空気を抜くために設けられている。人工衛星等に適用される転がり軸受装置10においては、打ち上げまでの間に、転がり軸受11の内部を真空引きして窒素等の気体を充填する操作を行い、部品を評価したりメンテナンスをしたりする場合がある。この場合に、本実施形態のような連通孔55が設けられていなければ、貯留室35の内部に含まれる空気は、浸透部材40を通り抜けて開口部36から外部へ排出されることになる。このとき、浸透部材40に浸透している潤滑剤が空気とともに外部へ流出してしまい、貯留室35内の潤滑剤が減少するおそれがある。
本実施形態では、第2側壁34に連通孔55が形成されているので、貯留室35内の空気は、開口部36からではなく連通孔55から外部へ排出される。そのため、浸透部材40に浸透された潤滑剤が外部へ流出してしまうのを抑制することができる。また、連通孔55は、開口55aの一部が浸透部材40に重なるように配置されているため、浸透部材40に含まれる空気をも排出することができる。
[第6の実施形態]
図10は、第6の実施形態に係る転がり軸受装置の外輪間座を示す斜視図である。
本実施形態では、外輪間座12の内周壁32には、第5の実施形態と同様に複数の溝部50が形成されているが、この溝部50は、軸方向に対して傾斜しており、螺旋形状に形成されている。複数の溝部50は互いに平行に並べられている。
本実施形態においても、第5の実施形態と同様に、浸透部材40に浸透された潤滑剤が溝部50内に流入し、保持される。そして、溝部50内の潤滑剤は、案内面32bと被案内面24bとの間に供給される。したがって、第5の実施形態と同様の作用効果を奏する。
また、溝部50が軸方向に対して傾斜して形成されているので、案内面32b上を保持器24の被案内面24bが摺動したときに、当該被案内面24bが溝部50を垂直に横切らず、斜めに横切ることになる。そのため、溝部50による抵抗が少なくなり、案内面32b上で被案内面24bを円滑に摺動させることができる。
また、溝部50が軸方向に対して傾斜して形成されているので、外輪間座12の内周壁32により長い溝部50を形成することができる。したがって、溝部50により多くの潤滑剤を保持することができ、案内面32bと被案内面24bとの間に確実に潤滑剤を供給することができる。
[第7の実施形態]
図11は、第7の実施形態に係る転がり軸受装置の外輪間座を示す斜視図である。
本実施形態では、第6の実施形態と同様に、外輪間座12の内周壁32に複数の溝部50a,50bが形成されているが、この溝部50a,50bは、軸方向に対して一方向に傾斜し螺旋形状に形成された複数の第1の溝部50aと、軸方向に対して他方向に傾斜し螺旋形状に形成された複数の第2の溝部50bとからなる。複数の第1の溝部50aは互いに平行に並べられ、複数の第2の溝部50bは互いに平行に並べられている。第1の溝部50aと第2の溝部50bとは互いに交差している。
本実施形態においても、第6の実施形態と同様に、浸透部材40に浸透された潤滑剤が溝部50a,50b内に流入し、保持される。そして、溝部50a,50b内の潤滑剤は、案内面32bと被案内面24bとの間に供給される。したがって、第5及び第6の実施形態と同様の作用効果を奏する。
また、本実施形態では、第1及び第2の溝部50a、50bが軸方向に対して傾斜して形成されているので、案内面32b上を保持器24の被案内面24bが摺動したときに、当該被案内面24bが溝部50を垂直に横切らず、斜めに横切ることになる。そのため、溝部50による抵抗が少なくなり、案内面32b上で被案内面24bを円滑に摺動させることができる。
また、本実施形態では、第1及び第2の溝部50a、50bが軸方向に対して傾斜して形成されているので、外輪間座12の内周壁32により長い溝部50a、50bを形成することができる。したがって、溝部50a,50bにより多くの潤滑剤を保持することができ、案内面32bと被案内面24bとの間に確実に潤滑剤を供給することができる。
さらに、本実施形態では、案内面32b上を保持器24の被案内面24bが周方向一方側に摺動したときは、一方の溝部50a内の潤滑剤が当該溝部50aの傾斜によって転がり軸受11の内部側へ積極的に導かれ、保持器24の被案内面24bが周方向他方側に摺動したときは、他方の溝部50b内の潤滑剤が当該溝部50bの傾斜によって転がり軸受11の内部側へ積極的に導かれる。したがって、転がり軸受11が正逆いずれの方向に回転したとしても好適に転がり軸受11に潤滑剤を供給することができる。
上記第5〜第7の実施形態では、溝部50、50a、50b内に潤滑剤を保持することができるため、案内面32b及び供給面32d、又は内周壁32の外周面全体に予めグリースを塗布しなくてもよいが、塗布することも可能である。しかし、案内面32bと被案内面24bとの間にグリースが存在すると保持器24の回転抵抗が増大するため、グリースの塗布を省略することがより好適である。
また、浸透部材40の内周面にも、軸方向に延びる溝部を形成し、この溝部と、内周壁32の溝部50、50a、50bとによって潤滑剤を保持し、保持した潤滑剤を案内面32bと被案内面24bとの間に供給してもよい。
上記第5〜第7の実施形態において、溝部50、50a、50bは、内周壁32の外周面の軸方向幅全体に形成されていなくてもよく、浸透部材40が接触する一部分と案内面32bとにわたる範囲で形成されていればよい。
[第8の実施形態]
図12は、第8の実施形態に係る転がり軸受装置の外輪間座の一部を拡大して示す断面図である。本実施形態の転がり軸受装置の外輪間座12は、上記第5の実施形態と同様に、第2側壁34に連通孔55が形成されている。本実施形態の連通孔55は、テーパー状に形成され、一端側(貯留室35側)の開口55aよりも他端側(転がり軸受側)の開口55bが小さく形成されている。また、一端側の開口55aは、一部が貯留室35内の浸透部材40に重なるように配置されている。
本実施形態においても、第5の実施形態と同様に、転がり軸受装置10を真空引きした場合に、貯留室35内の空気を連通孔55から排出することができ、浸透部材40に浸透した潤滑剤が外部へ流出してしまうのを抑制することができる。
また、連通孔55は、転がり軸受11側の開口55bが貯留室35側の開口55aよりも小さく形成されているので、貯留室35内の潤滑剤が連通孔55に入り込んだとしても外部へ排出され難くなっている。
[第9の実施形態]
図13は、第9の実施形態に係る転がり軸受装置の外輪間座の一部を拡大して示す断面図である。本実施形態の転がり軸受装置は、上記第5の実施形態と同様に、外輪間座12の第2側壁34に連通孔55が形成されている。本実施形態の連通孔55は、一方の開口55a側にフィルター部材56が設けられている。このフィルター部材56は、空気の通過を許容し、潤滑剤の通過を抑制するものである。フィルター部材56は、例えば網状に形成されたものを使用することができる。フィルター部材56は、浸透部材40の連続気孔よりも目の粗いもの(気孔率が大きなもの)が用いられる。
本実施形態では、連通孔55にフィルター部材56が設けられているので、貯留室35内の潤滑剤が連通孔55から外部へ排出されてしまうのを防止することができる。
なお、フィルター部材56は、連通孔55の他方の開口55b側に設けられていてもよいし、連通孔55の中間部に設けられていてもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において種々の変更が可能である。
例えば、貯留室35を有する外輪間座12は、外周壁31、内周壁32、及び第1側壁33が一体に形成されていたが、これらの一部又は全てを別体で形成し、適宜、溶接等の結合手段によって一体的に形成してもよい。また、第2側壁34を外周壁31と一体的に形成してもよい。ただし、第2側壁34を外周壁31と別体とすることによって、貯留室35内に浸透部材40を挿入し易くすることができる。また、第2側壁34は、一体化された外周壁31、内周壁32、及び第1側壁33と比べて構造が簡単であるため、第2側壁34の軸方向寸法を調整することによって、アンギュラ玉軸受の予圧調整を容易に行うことができる。
浸透部材40は、潤滑剤を浸透させて微量ずつ排出することができる材質であれば特に限定されない。
上記第1〜第3の実施形態において、潤滑剤貯留部材は、2つの転がり軸受11に対応して2つの貯留室35を備えているが、2つの転がり軸受に対応する1つの貯留室35を備えていてもよい。
上記第5、第8,及び第9の実施形態においては、連通孔55の開口55aが、貯留室35における浸透部材40が収容されている領域と収容されていない領域とに跨って形成されていたが、浸透部材40が収容されている領域のみに対応して開口55aが形成されていてもよく、浸透部材40が収容されていない領域のみに対応して開口55aが形成されていてもよい。また、浸透部材40が収容されている領域と、収容されていない領域とのそれぞれに対応して個別に連通孔55が形成されていてもよい。
また、連通孔55は、外輪間座12の第2側壁34に形成されていたが、他の部分、例えば第1側壁33や内周壁32に形成されていてもよい。
上記実施形態では、外輪21を固定輪とし、内輪22を回転輪としていたが、外輪21を回転輪とし、内輪22を固定輪としてもよい。この場合、内輪間座13によって、潤滑剤貯留部材と案内部材とを構成すればよい。この場合の潤滑剤貯留部材は、第1の実施形態における潤滑剤貯留部材(外輪間座)の内径側と外径側とを反転させた形態とすることができ、潤滑剤貯留部材の外周壁を案内部材として外輪21と内輪22との間に挿入すればよい。
本発明は、宇宙で使用される機器に用いられる転がり軸受装置に限らず、地球上において使用される機器に用いられる転がり軸受装置にも適用することができる。
また、本発明は、アンギュラ玉軸受以外の転がり軸受11、例えば、深溝玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心軸受等にも適用することができる。
10:転がり軸受装置、11:転がり軸受、12:外輪間座、21:外輪(固定輪)、22:内輪(回転輪)、23:転動体、24:保持器、24b:被案内面、24c:被案内面、24d:傾斜面、24e:傾斜面、31:外周壁、32:内周壁、32b:案内面、32d:供給面、33:第1側壁、34:第2側壁、34c:案内面、34d:供給面、35:貯留室、36:開口部、40:浸透部材、55:連通孔

Claims (11)

  1. 固定輪、回転輪、前記固定輪と前記回転輪との間に配置された複数の転動体、および、前記複数の転動体を保持する保持器を有する転がり軸受と、
    前記固定輪に対して軸方向に隣接して配置され、内部に潤滑剤を貯留するための貯留室を有する潤滑剤貯留部材と、
    前記潤滑剤貯留部材に設けられ、前記固定輪及び前記回転輪の間に挿入されるとともに、前記保持器の回転を案内する案内面を有する案内部材と、
    少なくとも一部が前記貯留室に配置され、自身に浸透させた前記貯留室内の潤滑剤を前記案内面とこの案内面に対向する前記保持器の被案内面との間に供給する浸透部材と、を備え、
    前記潤滑剤貯留部材には、前記貯留室の内部と、前記固定輪と前記回転輪との間の環状空間とを連通させ、かつ気体が通過可能な連通孔が形成され、
    前記連通孔の前記貯留室側の開口は、前記貯留室における前記浸透部材が収容されている領域と前記浸透部材が収容されていない領域とに跨って形成されている、転がり軸受装置。
  2. 前記案内部材は、前記案内面と面一の状態で前記案内面に隣接して形成された供給面を備え、この供給面の少なくとも一部に前記浸透部材が接触している、請求項1に記載の転がり軸受装置。
  3. 前記供給面における少なくとも前記浸透部材が接触する部分と前記案内面とに、潤滑剤の通路となる溝部が形成されている、請求項2に記載の転がり軸受装置。
  4. 前記溝部が、軸方向に沿って形成されている、請求項3に記載の転がり軸受装置。
  5. 前記溝部が、軸方向に対して傾斜して形成されている、請求項3に記載の転がり軸受装置。
  6. 前記供給面及び前記案内面には、増ちょう剤を含む潤滑剤が塗布されている、請求項2〜5のいずれか1項に記載の転がり軸受装置。
  7. 前記案内部材が、前記貯留室を形成する壁として構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の転がり軸受装置。
  8. 前記潤滑剤貯留部材は、円筒状の外周壁と、前記外周壁の径方向内側に前記外周壁とは間隔をあけて配置された円筒状の内周壁と、前記外周壁と前記内周壁との間に配置された環状の第1側壁と、前記第1側壁よりも前記転がり軸受側に配置された環状の第2側壁とを有し、前記貯留室が、前記外周壁、前記内周壁、前記第1側壁、及び前記第2側壁によって囲まれた空間により形成され、
    前記外周壁又は前記内周壁が、前記固定輪と前記回転輪との間に挿入されて前記案内部材を構成している、請求項7に記載の転がり軸受装置。
  9. 2つの前記転がり軸受が、軸方向に間隔をあけて設けられ、
    2つの前記転がり軸受の間に1つの前記潤滑剤貯留部材が設けられ、
    前記潤滑剤貯留部材には、前記各転がり軸受に対応する2つの前記貯留室と、前記各転がり軸受の前記保持器を案内する2つの前記案内部材とが設けられている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の転がり軸受装置。
  10. 前記潤滑剤貯留部材が、前記固定輪の軸方向の位置を設定する間座により構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の転がり軸受装置。
  11. 前記案内部材が、前記保持器の内周面を案内するものであり、前記保持器は、軸方向一端部の内周面に、前記案内面によって案内される被案内面を有しており、
    前記被案内面の軸方向両側には、前記被案内面から軸方向へ離れるに従い漸次内径が増大する傾斜面が形成され、前記転がり軸受の内部側の傾斜面が、前記転がり軸受の外部側の傾斜面よりも大きい傾斜角度で形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載の転がり軸受装置。
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