JP6757509B2 - 光加工方法 - Google Patents
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Description
本実施形態のレーザパターニング装置における加工対象物は、タッチパネルに利用される基材上にITO薄膜が形成されたワークであり、このワーク上のITO薄膜にレーザ光(加工光)を照射して部分的にITO薄膜を除去することにより、ITO薄膜をパターニング加工するものである。ただし、本発明に係る光加工装置は、本実施形態に係るレーザパターニング装置に限定されるものではなく、銀ペースト加工などの他のパターニング加工を行う装置、切削加工(導光板加工等)などの他の加工処理を行う装置、非レーザ光を加工光として用いて加工する装置などにも、適用可能である。
本実施形態のレーザパターニング装置は、主に、照射光学系10と、走査光学系20と、ワーク搬送部30と、光源部40と、制御部50とから構成されている。
第一光源41Aと第二光源41Bは、偏光方向が互いに90°異なっている直線偏光の状態のレーザ光LA,LBをそれぞれ出射する。本実施形態のビームスプリッタ14は、第一光源41Aから出射される第一レーザ光LAの偏光方向をもつ光を透過し、かつ、第二光源41Bから出射される第二レーザ光LBの偏光方向をもつ光を反射する。そのため、第一光源41Aから出射した第一レーザ光LAは、ビームスプリッタ14を透過して直進して、走査光学系20へ向かう。一方、第二光源41Bから出射した第二レーザ光LBは、ビームスプリッタ14で反射して光路を90°折り曲げられ、第一レーザ光LAと平行に走査光学系20へ向かう。ビームスプリッタ14を通った第一レーザ光LA及び第二レーザ光LBは、λ/4板16を通過する。これにより、いずれのレーザ光LA,LBも、円偏光に変換される。
走査光学系20において、ポリゴンミラー21よりも光源側には、シリンドリカルレンズ23が配置され、ポリゴンミラー21よりもワーク側には、走査レンズ22、面倒れ補正レンズ24などが配置されている。また、走査光学系20には、加工データに基づく露光データに応じて露光(レーザ加工)がなされる有効走査領域から外れた位置に配置される折り返しミラー25と、折り返しミラー25で反射したレーザ光LA,LBを受光する同期検知センサ26とを備えている。
シリンドリカルレンズ23は、副走査方向のみにレンズ作用を与え、入射してくるレーザ光LA,LBを副走査方向だけに集光して、ポリゴンミラー21の反射面に結像させる。
走査レンズ22は、主に、ポリゴンミラー21の回転によって走査されるレーザ光LA,LBがワーク35上で等速に走査されるように補正する1又は2以上のレンズで構成される。ポリゴンミラー21は等角速度運動で回転駆動するため、走査レンズ22を設けないと、ワーク35上における像高をHとし、走査レンズ22の焦点距離をfとし、ポリゴンミラー21の回転角をθとしたとき、像高Hは、H=f×tanθとなってしまう。すなわち、ワーク35上の走査ライン中心位置から離れて像高が高くなるほど、ワーク35上におけるレーザ光LA,LBの走査速度が速くなってしまう。これに対し、本実施形態では、H=f×θの関係となるように走査レンズ22により補正し、ポリゴンミラー21の回転角θに比例した主走査方向位置にレーザ光LA,LBを集光させることができる。
光源駆動部42は、主に、制御回路部42Aと、光源駆動回路部42Bとから構成される。制御回路部42Aは、基準クロック生成回路43、画素クロック生成回路44、光源変調データ生成回路45、光源分配回路46、露光タイミング信号生成回路47から構成されている。
画素クロック生成回路44は、主に位相同期回路から構成され、同期検知センサ26からの同期信号s1および基準クロック生成回路からの高周波クロック信号に基づいて、画素クロック信号を生成する。画素クロック信号は、高周波クロック信号と同じ周波数をもち、位相が同期信号s1と一致したものとなる。したがって、この画素クロック信号に加工データ(加工画像データ)を同期させることで、走査ラインごとの加工位置(主走査方向位置)を揃えることができる。ここで生成される画素クロック信号は、光源駆動回路部42Bへ供給されるとともに、光源変調データ生成回路45へ供給されて露光データs3のクロック信号として使われる。
第一光源41A及び第二光源41Bは、まず、同期検知センサ26から同期検知信号s1の入力タイミングを基準して決定される走査終端タイミングでいずれも点灯する。その後、第一光源41A及び第二光源41Bからのレーザ光LA,LBがポリゴンミラー21の次の反射面(ポリゴン面)に入射し、そのレーザ光LA,LBが同期検知センサ26に検知されると、新しい同期検知信号s1が入力される。同期検知信号s1が入力されると、画素クロック生成回路44で画素クロック信号が生成され、光源変調データ生成回路45は、対応する2つの走査ラインについての加工データで画素クロック信号を変調し、2つの走査ライン分の露光データs3を生成する。
図7は、本実施形態において、2つの光源41A,41Bからのレーザ光LA,LBが走査されたときのワーク35上の走査ラインを示す説明図である。
なお、図6及び図7において、ワーク35上におけるレーザ光の照射領域の形状(スポット形状)は、加工データに対応する画像データの一画素に相当し、便宜的に円形で示されている。
次に、本実施形態におけるレーザパターニング装置の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
本実施形態のようなパルスレーザ光によるレーザ加工では、レーザ光がワーク35に照射されることによってプラズマが発生することがある。このプラズマが発生しているときにワーク35に照射されるレーザ光は、プラズマの電子がレーザ光を吸収してしまうため、エネルギー利用効率が悪い。また、プラズマの発生によりレーザ光がワーク35に直接届かずに間接的にワーク35をたたくため、加工品質が落ちるという問題も生じ得る。そのため、2つの光源41A,41Bからのレーザ光LA,LBが照射されるワーク上の各照射領域が互いに同時刻に重なっていると、一方のレーザ光について、他方のレーザ光による加工時に発生したプラズマによって、エネルギー利用効率が低下したり、加工品質が低下したりするおそれがある。本変形例1は、2つの光源41A,41Bからのレーザ光LA,LBが照射されるワーク上の各照射領域が互いに同時刻に重ならないようにしたものである。
なお、図8において、ワーク35上におけるレーザ光LA,LBのスポット形状は便宜的に円形で示され、その中の数字は露光時刻を示している。
本変形例1においては、図8に示すように、第二光源41Bによる第二レーザ光LBの照射領域が、第一光源41Aによる第一レーザ光LAの照射領域よりも、主走査方向へ走査方向上流側に一画素分だけズレている。したがって、時刻2における第二レーザ光LBの照射領域は、時刻1における第一レーザ光LAの照射領域と同じ主走査方向位置をとる。
走査ラインL1,L2のライン間隔Pが、各レーザ光LA,LBのスポット径(直径)BSよりも小さい場合、上述した実施形態のように2つのレーザ光LA,LBが同時に照射される照射領域の主走査方向位置が同じであると、これらの照射領域が互いに同時刻に重複することになる。このような場合、これらの照射領域が互いに同時刻に重複しないようにするには、2つのレーザ光LA,LBが同時に照射される照射領域を互いに主走査方向へズレた位置に設定することが好ましい。
BS2 ≦ P2 + ΔD2 ・・・(1)
次に、本実施形態におけるレーザパターニング装置の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
上述した実施形態では、互いに独立して変調可能な光源の数が2つの例であったが、互いに独立して変調可能な光源の数が3つ以上であってもよい。本変形例2では、互いに独立して変調可能な光源の数が3つ以上である例について説明する。
なお、図10において、ワーク35上におけるレーザ光LA,LB,LC,LDのスポット形状は便宜的に円形で示され、その中の数字は露光時刻を示している。
本変形例2においては、1回の走査で露光(レーザ加工)できる走査ラインの数が4つであるため、走査の回数はワーク35のレーザ加工に必要な走査ライン数の1/4で済み、更なる加工時間の短縮化を実現できる。
(ΔDm−(m−2)×v/f)2 ≧ BP2 − P2 ・・・(2)
なお、図11の例は、互いに独立して変調可能な光源の数が3つの例である。
第一光源41Aと第二光源41B及び第三光源41Cとは、偏光方向が互いに90°異なっている直線偏光の状態のレーザ光LA,LB,LCをそれぞれ出射する。本変形例2のビームスプリッタ14は、上述した実施形態のものと同様、第一光源41Aから出射される第一レーザ光LAの偏光方向をもつ光を透過し、かつ、第二光源41Bから出射される第二レーザ光LB及び第三光源41Cから出射される第三レーザ光LCの偏光方向をもつ光を反射する。そのため、第一光源41Aから出射した第一レーザ光LAは、ビームスプリッタ14を透過して直進して、走査光学系20へ向かう。
(態様A)
レーザ光LA,LB等の加工光を走査してワーク35等の加工対象物を加工するレーザパターニング装置等の光加工装置において、前光源41A,41Bから出力される光を加工データに基づいて互いに独立して変調した複数の加工光LA,LBを生成する光源駆動部42等の加工光生成手段を有することを特徴とする。
従来の光加工装置は、加工対象物上の加工箇所と関連づけられた加工データから生成される変調信号を用いて、光源から出射される光を点灯、消灯させるタイミングを制御するなどの変調制御を行う。そして、このように変調された加工光を光走査手段により走査することで1つの走査ラインずつ加工対象物を加工していき、最終的に、加工対象物を当該加工データに従って加工する。従来の光加工装置では、各加工箇所に応じて変調された単一の加工光を走査して、すべての加工箇所を順次加工していくので、加工箇所全体にわたって加工光が走査し終わるだけの加工時間がかかる。
本態様によれば、加工光生成手段により光源から出力される光を互いに独立して変調した複数の加工光を用いて加工を行うので、互いに異なる加工箇所(例えば、複数の走査ライン、あるいは、同一走査ライン上の異なる箇所)を同時に加工することができ、加工時間を短縮することができる。
また、本態様によれば、異なる変調がなされた複数の加工光で同一箇所(同一走査ライン上の同じ箇所)を同時に走査することも可能である。したがって、従来、単一の加工光で同じ走査ラインを異なる変調で2回以上走査する必要があった加工処理についても、加工時間を短縮することが可能である。
このような態様であれば、短パルスレーザーによる微細加工で、レーザーパワーも上げずにスループットを上げることが可能である。
前記態様Aにおいて、前記複数の加工光が前記加工対象物上の互いに異なる箇所へ照射されるように、該複数の加工光を該加工対象物へ案内する照射光学系10及び走査光学系20等の光案内手段を有することを特徴とする。
これによれば、互いに異なる変調がなされた加工光によって、加工対象物上の互いに異なる箇所を同時に加工することができる。
前記態様Bにおいて、前記異なる箇所は、前記複数の加工光の走査方向(主走査方向)に対して直交する方向(副走査方向)の位置が異なる箇所であることを特徴とする。
これによれば、互いに異なる変調がなされた加工光によってそれぞれ加工される2以上の走査ラインを同時に加工することができる。
前記態様B又はCにおいて、前記光案内手段は、前記複数の加工光が照射される前記加工対象物上の各照射領域が互いに同時刻に重ならないように、該複数の加工光を該加工対象物へ案内することを特徴とする。
これによれば、一の加工光について、他の加工光による加工時に発生したプラズマによってエネルギー利用効率が低下したり加工品質が低下したりする不具合を抑制できる。
このような態様であれば、タッチパネルで利用されるITO電極のパターニング加工や銀ペースト加工、導光板加工といった微小サイズで加工面積率が高く、目標加工深さが揃っており、なおかつ孤立点が多い加工対象物を高速かつ高精細に加工することが可能である。
前記態様Dにおいて、前記光案内手段は、前記複数の加工光による走査ラインのライン間隔をPとし、該複数の加工光の前記加工対象物上のスポット径をBSとしたとき、P<BSであって、かつ、該複数の加工光の該加工対象物上の走査方向へのズレ量ΔDが下記の条件式(1)を満たすように、該複数の加工光を該加工対象物へ案内することを特徴とする。
BS2 ≦ P2 + ΔD2 ・・・(1)
これによれば、走査ラインのライン間隔Pが各加工光のスポット径BSよりも小さい場合でも、各加工光が照射される加工対象物上の各照射領域が互いに同時刻に重複しないようにすることができる。
このような態様であれば、短パルスレーザーによる微細加工で、同一時刻にビームが重ならない構成とする最適な複数ビームの主走査方向間距離を設定することが可能となる。その結果、スループットを上げてなおかつ加工品質が向上させることが可能となる。
前記態様B〜Eのいずれかの態様において、前記光案内手段は、前記複数の加工光をポリゴンミラー21等の同じ光走査部材の異なる位置へ同時に入射させることにより、該複数の加工光を前記加工対象物へ案内することを特徴とする。
これにより、複数の加工光を1つの光走査部材で走査することができる。
前記態様Fにおいて、前記光案内手段は、異なる方向から入射してくる前記複数の加工光を前記光走査部材の異なる位置へ出射させるビームスプリッタ14等の光学部材を有することを特徴とする。
これにより、複数の加工光を1つの光走査部材で走査する構成の実現が容易になる。
前記態様Gにおいて、前記光学部材は、一の方向から入射してくる第一加工光を透過させるとともに、他の方向から入射してくる第二加工光を反射させるビームスプリッタ14等の光学部材であり、前記光学部材を前記第二加工光が入射してくる方向へ変位させることにより、前記加工対象物上における前記第一加工光の照射領域と前記第二加工光の照射領域との間隔を調整するビームスプリッタ移動部15等の間隔調整手段を有することを特徴とする。
これにより、加工対象物上における第一加工光の照射領域と第二加工光の照射領域との間隔を容易に調整することができる。
前記態様A〜Hのいずれかの態様において、前記光源として、パルスレーザ光からなる加工光を出射する複数のレーザ光源を有することを特徴とする。
これによれば、レーザ加工の加工時間の短縮化を実現できる。
レーザ光LA,LB等の加工光を走査してワーク35等の加工対象物を加工するレーザ加工方法等の光加工方法において、光源41A,41Bから出力される光を加工データに基づいて互いに独立して変調して、複数の加工光を生成し、前記複数の加工光を前記加工対象物に照射することを特徴とする。
本態様によれば、光源から出力される光を加工光生成手段により互いに独立して変調した複数の加工光により加工を行うことができる。よって、加工時間を短縮化できる。
12A,12B コリメートレンズ
13A,13B アパーチャ
14 ビームスプリッタ
15 ビームスプリッタ移動部
16 λ/4板
20 走査光学系
21 ポリゴンミラー
22 走査レンズ
23 シリンドリカルレンズ
24 補正レンズ
25 折り返しミラー
26 同期検知センサ
30 ワーク搬送部
31 テーブル
32 移動ステージ
33 ステージ駆動部
35 ワーク
40 光源部
41A,41B 光源
42 光源駆動部
42A 制御回路部
42B 光源駆動回路部
43 基準クロック生成回路
44 画素クロック生成回路
45 光源変調データ生成回路
46 光源分配回路
47 露光タイミング信号生成回路
50 制御部
Claims (6)
- 加工光を走査して加工対象物を加工する光加工方法において、
光源から出力される光を加工データに基づいて互いに独立して変調した複数の加工光を、該複数の加工光の走査方向に対して直交する方向の位置をずらして該加工対象物へ案内するにあたり、
前記複数の加工光による走査ラインのライン間隔をPとし、該複数の加工光の前記加工対象物上のスポット径をBSとしたとき、P<BSであって、かつ、互いに同時刻に照射される該複数の加工光の該加工対象物上の各照射領域間の走査方向へのズレ量ΔDが下記の条件式(1)を満たし、更に、前記加工対象物上の互いに重なる領域に該複数の加工光をそれぞれ照射する照射期間が、当該照射によって発生するプラズマの発生時間以上の時間だけずれるように、該複数の加工光を該加工対象物へ案内することを特徴とする光加工方法。
BS 2 ≦ P 2 + ΔD 2 ・・・(1) - 請求項1に記載の光加工方法において、
前記複数の加工光を受光する同期検知センサの検知結果に基づいて、前記複数の加工光による走査ラインの加工開始位置を互いに揃え、
ポリゴンミラーを用いたラスター走査方式の走査光学系によって、前記複数の加工光を前記加工対象物へ案内することを特徴とする光加工方法。 - 請求項1又は2に記載の光加工方法において、
前記複数の加工光を同じ光走査部材の異なる位置へ同時に入射させることにより、該複数の加工光を前記加工対象物へ案内することを特徴とする光加工方法。 - 請求項3に記載の光加工方法において、
異なる方向から入射してくる前記複数の加工光を、光学部材により、前記光走査部材の異なる位置へ出射させることを特徴とする光加工方法。 - 請求項4に記載の光加工方法において、
前記光学部材は、一の方向から入射してくる第一加工光を透過させるとともに、他の方向から入射してくる第二加工光を反射させる光学部材であり、
前記光学部材を前記第二加工光が入射してくる方向へ変位させることにより、前記加工対象物上における前記第一加工光の照射領域と前記第二加工光の照射領域との間隔を調整することを特徴とする光加工方法。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光加工方法において、
前記光源として、パルスレーザ光からなる加工光を出射する複数のレーザ光源を用いることを特徴とする光加工方法。
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