以下に、本願にかかる広告装置、調整方法および調整プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態により本願にかかる広告装置、調整方法および調整プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
〔1.広告処理〕
以下では、図1を用いて、実施形態にかかる広告処理の一例について説明する。図1は、実施形態にかかる広告処理の一例を示す図である。図1では、広告装置200によって広告処理が行われる例を示す。
まず、図1に示す広告システム1は、端末装置10と、コンテンツサーバ100と、広告装置200とを含む。端末装置10、コンテンツサーバ100、広告装置200は、ネットワークを介して有線または無線により通信可能に接続される。なお、図1に示す広告システム1には、複数台の端末装置10や、複数台のコンテンツサーバ100や、複数台の広告装置200が含まれてもよい。
端末装置10は、ユーザによって利用される端末装置である。図1では、端末装置10は、ユーザU1によって利用される例を示す。また、端末装置10は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機や、タブレット端末や、PDA(Personal Digital Assistant)や、デスクトップ型PC(Personal Computer)や、ノート型PC等である。
端末装置10は、ユーザに指示されたウェブページを取得するためのページリクエストをコンテンツサーバ100に送信する。また、端末装置10は、ページリクエストに応じてコンテンツサーバ100により配信されたウェブページに広告取得命令が含まれている場合には、広告コンテンツを取得するための広告リクエストを広告装置200に送信する。そして、端末装置10は、広告リクエストに応じて広告装置200により配信された広告コンテンツを表示する。
コンテンツサーバ100は、コンテンツ(例えば、ウェブページ)を配信するサーバ装置である。具体的には、コンテンツサーバ100は、端末装置10から受け付けたページリクエストに応じたウェブページを端末装置10に配信する。
広告装置200は、広告コンテンツの配信を行うサーバ装置である。具体的には、広告装置200は、端末装置10から広告リクエストを受け付けると、配信候補の広告コンテンツの入稿元に対応する広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツの評価値が相対的に下がるように調整する。そして、広告装置200は、配信候補の広告コンテンツの評価値に基づき抽出した配信対象の広告コンテンツを端末装置10に配信する。
ここで、広告装置200の有する広告情報記憶部221について説明する。図1に示す広告情報記憶部221は、各広告主に対応付けて、「キャンペーン」、「キャンペーン予算残高/1日」、「広告コンテンツ」、「入札価格」、「クリック率」といった項目を有する。
「キャンペーン」は、広告主によって指定された広告のキャンペーンを識別する識別情報であって、キャンペーン対象の広告コンテンツ群を識別するための識別情報である。例えば、キャンペーンCP11は、広告コンテンツAD111およびAD112を含む広告群であることを示す。「キャンペーン予算残高/1日」は、キャンペーン1日当たりの広告予算である「キャンペーン予算/1日」の残高を示す。例えば、広告主は、「キャンペーン予算/1日」を設定することで、対応するキャンペーンに含まれる広告コンテンツの1日における広告配信を、その「キャンペーン予算/1日」内で行うよう指定する。つまり、実施形態にかかる「キャンペーン予算残高/1日」は、広告主に設定された「キャンペーン予算/1日」が、広告配信により消費されることで残った残高を示す。
「広告コンテンツ」は、広告主により入稿された広告コンテンツを示す。すなわち、図1では、広告主C1が、広告コンテンツAD111とAD112とを含む広告群を広告キャンペーンC11として設定している例を示す。また、広告主C1によりキャンペーンCP11に設定された1日当たりの広告予算である「キャンペーン予算/1日」が、広告コンテンツAD111およびAD112の広告配信によって消費され、残り残高である「キャンペーン予算残高/1日」が「100円」である例を示す。
「入札価格」は、広告主が広告コンテンツを入稿する際に指定する広告料金を示す。例えば、「入札価格」は、広告コンテンツがユーザに1回クリックされた際に、広告装置200が広告主に対して請求する課金額の単価である課金額単価(CPC:Cost Per Crick)を算定する際に用いられる。また、実施形態にかかる「入札価格」は、広告主が支払い可能な課金額単価の上限を示す。つまり、広告装置200は、「入札価格」より高い課金額単価を算定した場合には、「入札価格」を課金額単価とする。
また、広告装置200は、このように広告コンテンツがクリックされる度に、クリックされた広告コンテンツに対して算定した課金額単価を「キャンペーン予算残高/1日」から差し引く。このため、例えば、1日の中で時間が経過するほど「キャンペーン予算残高/1日」は少なくなる可能性が高い。
「クリック率」(CTR:Crick Through Rate)は、広告コンテンツがクリックされた回数を広告コンテンツの表示回数によって除算した値を示す。以下では、実施形態にかかる広告処理について具体的に説明する。
まず、ユーザU1が、端末装置10を操作して、ウェブページP1を表示するよう指定したとする。これに応じて、端末装置10は、ウェブページP1のページリクエストをコンテンツサーバ100に送信する(ステップS1)。例えば、かかるページリクエストには、ウェブページP1を示すURLが含まれており、コンテンツサーバ100は、かかるURLに対応するHTMLデータ、すなわちウェブページP1のデータを記憶部から抽出し、リクエスト元の端末装置10に配信する(ステップS2)。
次に、端末装置10は、コンテンツサーバ100から受け付けたウェブページP1に広告枠F1が含まれていることから、広告枠F1に表示する広告コンテンツを取得するための広告リクエストを広告装置200に送信する(ステップS3)。
広告装置200は、広告リクエストを受け付けると、広告情報記憶部221を参照し、ターゲティング処理を行うことで、広告情報記憶部221に格納されている広告コンテンツの中から配信候補の広告コンテンツを特定する(ステップS4)。
図示しないが、各広告コンテンツには、例えば、どのような広告リクエスト(例えば、ユーザ属性「女性」が対応付けられるユーザによって利用される端末装置10からの広告リクエスト)に応じて、広告コンテンツを配信させるかといった条件情報であるターゲティング条件が、広告主により設定されているものとする。このような場合、広告装置200は、受け付けた広告リクエストとターゲティング条件とのマッチングを行い、ターゲティング条件を満たす広告コンテンツを配信候補の広告コンテンツとして特定する。図1では、広告装置200により、広告コンテンツAD111、AD211およびAD311が配信候補の広告コンテンツとして特定された例を示す。
なお、広告装置200は、ターゲティング条件を用いたマッチングに限らず、例えば、広告コンテンツが表示されるコンテンツ(図1の例では、ウェブページP1)の内容に応じた広告コンテンツを配信候補の広告コンテンツとして特定する、いわゆるコンテンツマッチングを行ってもよい。
次に、広告装置200は、特定した配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311のうち、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツを特定する特定処理を実行する(ステップS5)。図1の例では、広告コンテンツAD111の現時点での「キャンペーン予算残高/1日」が「100円」であり、広告コンテンツAD111の入札価格が「200円」であるため、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格の方が高い。一方、広告コンテンツAD211およびAD311については、現時点での「キャンペーン予算残高/1日」の方が入札価格より高い。
したがって、図1の例では、広告装置200は、配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311のうち、広告コンテンツAD111が「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高いと特定する。なお、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツを、以下では、「予算超え広告コンテンツ」と表記する場合がある。
次に、広告装置200は、予算超え広告コンテンツAD111の評価値が下がるように調整する調整処理を実行する(ステップS6)。本実施形態において広告コンテンツの評価値は、広告コンテンツが表示されることにより期待される収益期待値(eCPM:effective Cost Per Mille)であり、かかる収益期待値は、入札価格とクリック率とを乗じることにより算出される。つまり、本実施形態における広告コンテンツの評価値は、入札価格およびクリック率に基づく値である。
具体的には、広告装置200は、予算超え広告コンテンツAD111について、入札価格「200円」を「キャンペーン予算残高/1日」の「100円」まで下げることにより、広告コンテンツAD111の評価値を下げる。
例えば、広告装置200は、入札価格「200円」を用いた場合、広告コンテンツAD111の評価値である収益期待値を、入札価格「200円」とクリック率「0.08」を乗じて「16」と算出することになる。しかし、広告装置200は、入札価格「200円」を「キャンペーン予算残高/1日」の「100円」まで下げることにより、入札価格「100円」とクリック率「0.08」を乗じて収益期待値「8」を算出する。
つまり、広告装置200は、入札価格「200円」を「キャンペーン予算残高/1日」の「100円」まで下げることにより、広告コンテンツAD111の評価値である収益期待値を「16」から「8」へと下げる。なお、「キャンペーン予算残高/1日」まで下げられた入札価格を、以下では、「調整後入札価格」と表記する場合がある。
そして、広告装置200は、配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311それぞれに順位付けする順位付け処理を実行する(ステップS7)。具体的には、広告装置200は、配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311それぞれの評価値を算出し、算出した評価値に基づいて順位付けする。例えば、広告装置200は算出した評価値が高い配信候補の広告コンテンツほど、高い順位を設定する。
図1の例では、広告装置200は、配信候補であるとともに予算超えの広告コンテンツAD111については、上記のように、「キャンペーン予算残高/1日」まで下げた調整後入札価格「100円」とクリック率「0.08」を乗じて収益期待値「8」を算出する。また、広告装置200は、広告コンテンツAD211については、入札価格「100円」とクリック率「0.15」を乗じて収益期待値「15」を算出する。また、広告装置200は、広告コンテンツAD311については、入札価格「100円」とクリック率「0.02」を乗じて収益期待値「2」を算出する。
そして、広告装置200は、最も収益期待値の高い広告コンテンツAD211に「1位」、次に、広告コンテンツAD111に「2位」、最も収益期待値の低い広告コンテンツAD311に「3位」といった順位付けを行う。そして、広告装置200は、最も収益期待値の高い広告コンテンツAD211を、配信対象の広告コンテンツとして決定する。
また、広告装置200は、配信対象として決定した広告コンテンツAD211について、広告コンテンツAD211がユーザU1に1回クリックされた際に、広告コンテンツAD211の入稿元である広告主C2に対して請求する課金額単価(CPC)を算定する算定処理を実行する(ステップS8)。
本実施形態では、広告装置200は、配信対象の広告コンテンツの順位よりも低い順位の広告コンテンツの評価値に基づいて、配信対象の広告コンテンツの入稿元に対して請求する課金額単価を算定する。図1の例では、広告装置200は、広告コンテンツAD211の順位より1つ順位の低い広告コンテンツAD111の収益期待値「8」を、広告コンテンツAD211のクリック率「0.15」で除算することにより、広告コンテンツAD211の入稿元である広告主C2に対して請求する課金額単価「53円」を算定する。
こうして広告装置200は、課金額単価を算定すると、配信対象の広告コンテンツAD211のデータを広告情報記憶部211から抽出し、抽出した広告コンテンツAD211のデータを端末装置10に配信する(ステップS9)。
また、図示しないが、例えば、広告装置200は、配信した広告コンテンツAD211がユーザU1によってクリックされた旨の情報を端末装置10から受け付けると、広告コンテンツAD211の現在の「キャンペーン予算残高/1日」から課金額単価「53円」を差し引く。
ここで、比較例について説明する。例えば、図1の例において、広告装置200は、予算超え広告コンテンツAD111の入札価格を「キャンペーン予算残高/1日」まで下げることなく、当初広告主C1に設定された入札価格「200円」を用いるものとする。かかる場合、広告装置200は、広告コンテンツAD111について、入札価格「200円」とクリック率「0.08」とを乗じることにより、評価値「16」を算出する。また、広告装置200は、上記のように、広告コンテンツAD211については、収益期待値「15」を算出し、広告コンテンツAD311については、収益期待値「2」を算出する。そして、広告装置200は、最も収益期待値の高い広告コンテンツAD111を「1位」とすることにより、広告コンテンツAD111を配信対象として決定することになる。
そして、かかる場合、広告装置200は、配信対象の広告コンテンツAD111について、広告コンテンツAD111より1つ順位の低い広告コンテンツAD211の収益期待値「15」を、広告コンテンツAD111のクリック率「0.08」で乗算することにより、課金額単価「188円」を算定する。
ここで、広告コンテンツAD111が配信され、そして、ユーザにクリックされたとすると、広告装置200は、本来であれば、課金額単価「188円」を課金するよう広告主C1に請求する。しかしながら、図1に示すように広告主C1の「キャンペーン予算残高/1日」が「100円」の場合には、広告装置200は、超過の「88円」分を請求することができないため、広告収益が低下してしまう。
そして、「キャンペーン予算残高/1日」が、課金額単価より低いために課金額単価を全額請求することができなくなるといった状況は、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツにより起こり易いと考えられる。
したがって、実施形態にかかる広告装置200は、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い配信候補の広告コンテンツについて、その入札価格を「キャンペーン予算残高/1日」まで下げた調整後入札価格を用いることにより、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い配信候補の広告コンテンツの評価値(収益期待値)を下げる。
すなわち、実施形態にかかる広告装置200は、ステップS7で示した順位付け処理において、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い配信候補の広告コンテンツの順位が、「キャンペーン予算残高/1日」が入札価格より高い配信候補の広告コンテンツの順位より下がり易くする。言い換えれば、実施形態にかかる広告装置200は、「キャンペーン予算残高/1日」が入札価格より高い配信候補の広告コンテンツの順位を相対的に上げ、配信対象としてより抽出され易くする。
例えば、図1の例では、広告コンテンツAD211に対応する「キャンペーン予算残高/1日」が「250円」であり、入札価格「100円」より高い。したがって、広告コンテンツAD211が配信対象であれば、広告装置200が広告主C2に請求可能な上限額である入札価格「100円」を課金額単価として算出した場合であっても、課金額単価「100円」を全額請求することができる。
以上により、実施形態にかかる広告装置200は、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツの評価値(収益期待値)を下げることで、課金額単価を全額請求することができる広告コンテンツを配信対象として抽出され易くすることができるため、広告収益を高めることができる。
〔2.広告装置の構成〕
次に、図2を用いて、実施形態にかかる広告装置200の構成について説明する。図2は、実施形態にかかる広告装置200の構成例を示す図である。図2に示すように、広告装置200は、通信部210と、記憶部220と、制御部230とを有する。
通信部210は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部210は、ネットワークと有線または無線で接続され、端末装置10、コンテンツサーバ100との間で情報の送受信を行う。
記憶部220は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。図2に示すように、記憶部220は、広告情報記憶部221を有する。
広告情報記憶部221は、広告主から受け付けた広告コンテンツに関する各種情報や、広告コンテンツが配信やクリックされたことによる実績情報等を記憶する。ここで、図3は、実施形態にかかる広告情報記憶部221の一例を示す図である。図3の例では、広告情報記憶部221は、「広告主ID」、「広告予算残高」、「キャンペーンID」、「キャンペーン予算残高/1日」、「広告ID」、「広告データ」、「入札価格」、「クリック率」といった項目を有する。
「広告主ID」は、広告主または広告主によって広告コンテンツ入稿等に利用される広告主端末を識別するための識別情報を示す。
「広告予算残高」は、広告主が、自身の広告コンテンツを広告装置200に配信させるために、広告装置200の管理者により指定された所定の口座に入金した「広告予算」の残高を示す。例えば、広告主は、「広告予算」を、かかる所定の口座に入金することで、入金した「広告予算」内で広告配信を行うよう指定する。つまり、本実施形態にかかる「広告予算残高」は、広告主に入金された「広告予算」が、広告配信により消費されることで残った残高を示す。
例えば、後述する入稿受付部231は、広告主により「広告予算」が入金されたことを確認すると、入金された「広告予算」を「広告予算残高」として広告情報記憶部221に格納する。これは、広告主により「広告予算」が入金された時点では、対応する広告コンテンツの配信が行われておらず、「広告予算」が消費されていないためである。そして、後述する課金部236は、広告コンテンツが1回クリックされる度に、その広告コンテンツについて算定された課金額単価を現時点の「広告予算残高」から差し引く。
「キャンペーンID」は、広告主によって指定された広告のキャンペーンを識別するための識別情報を示す。なお、広告のキャンペーンには、例えば、特定の商品やサービスを宣伝するために、広告主によって複数の広告コンテンツが設定される。すなわち、「キャンペーンID」は、キャンペーン対象の広告コンテンツ群を識別するための識別情報を示すともいえる。
「キャンペーン予算残高/1日」は、広告主が、各広告キャンペーンにつき1日当たりに広告配信者に支払う広告料金の上限値である「キャンペーン予算/1日」の残高を示す。例えば、広告主は、「キャンペーン予算/1日」を設定することで、対応する広告キャンペーンに含まれる広告コンテンツの1日における広告配信を、その「キャンペーン予算/1日」内で行うよう指定する。つまり、実施形態にかかる「キャンペーン予算残高/1日」は、広告主に設定された「キャンペーン予算/1日」が、広告配信により消費されることで残った残高を示す。
例えば、後述する入稿受付部231は、広告主から受け付けた「キャンペーン予算/1日」を「キャンペーン予算残高/1日」として広告情報記憶部221に格納する。これは、「キャンペーン予算/1日」を広告主から受け付けた時点では、対応する広告コンテンツの配信が行われておらず、「キャンペーン予算/1日」が消費されていないためである。そして、後述する課金部236は、広告コンテンツが1回クリックされる度に、その広告コンテンツについて算定された課金額単価を現時点の「キャンペーン予算残高/1日」から差し引く。
「広告ID」は、広告コンテンツを識別するための識別情報を示す。本実施形態では、例えば、広告ID「AD111」によって識別される広告コンテンツを、広告コンテンツAD111と表記する。図3では、「広告データ」として、例えば、「XX1」といった概念的な記号を用いているが、実際には「広告データ」は、画像、動画、テキストデータ、URLまたはこれらの格納場所を示すファイルパス名等である。
「入札価格」は、広告主が広告コンテンツを入稿する際に指定する広告料金を示す。例えば、「入札価格」は、広告コンテンツがユーザに1回クリックされた際に、広告装置200が広告主に対して請求する課金額の単価である課金額単価(CPC)を算定する際に用いられる。また、「入札価格」は、広告主が支払い可能な課金額単価の上限を示す。つまり、広告装置200は、「入札価格」より高い課金額単価を算定した場合には、「入札価格」と同等の価格を課金額単価とする。
「クリック率」(CTR)は、広告コンテンツがクリックされた回数を広告コンテンツの表示回数によって除算した値を示す。なお、端末装置10に配信されたことがない広告コンテンツのクリック率には、予め決められている固定値や、全ての広告コンテンツにおけるクリック率の平均値や、同一の広告カテゴリ(例えば、車、旅行)に属する全ての広告コンテンツにおけるクリック率の平均値等が記憶される。また、「クリック率」には、クリック率の予測モデル等から予測される予測クリック率が記憶されてもよい。このような予測クリック率は、例えば、広告コンテンツの種別や、広告コンテンツが表示されるウェブページの種別等によって予測される。
すなわち、図3では、広告主ID「C1」によって識別される広告主が設定した「広告予算」が消費され、「広告予算残高」が「100,000円」である例を示す。また、広告主ID「C1」によって識別される広告主が、キャンペーンID「CP11」によって識別されるキャンペーン対象の広告コンテンツ群を入稿した例を示す。そして、かかるキャンペーンID「CP11」の広告コンテンツ群には、広告コンテンツAD111およびAD112が含まれている例を示す。
また、広告主ID「C1」によって識別される広告主が設定した「キャンペーン予算/1日」が消費された結果、「キャンペーン予算残高/1日」が「100円」となった例を示す。また、広告主ID「C1」によって識別される広告主が、広告コンテンツAD111に対して、入札価格「200円」を指定した例を示す。さらに、広告装置200が、広告コンテンツAD111に対して、クリック率「0.08」を算出した例を示す。
図2に戻り、制御部230は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、広告装置200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部230は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
図2に示すように、制御部230は、入稿受付部231と、要求受付部232と、調整部233と、算定部234と、配信部235と、課金部236とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。制御部230の内部構成は、図2に示した情報に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、制御部230が有する各処理部の接続関係は、図2に示した接続関係に限られず、他の接続関係であってもよい。
入稿受付部231は、広告主から広告コンテンツの入稿を受け付け、受け付けた広告コンテンツを広告情報記憶部221に格納する。具体的には、入稿受付部231は、入札価格の指定とともに広告コンテンツの入稿を受け付け、広告コンテンツの入稿元である広告主に対応する広告主IDに対応付けて、入札価格、広告コンテンツを広告情報記憶部221に格納する。また、このとき、入稿受付部231は、広告主からの「広告予算」の入金を確認すると、広告主IDに対応付けて、入金された「広告予算」を「広告予算残高」として広告情報記憶部221に格納する。
また、入稿受付部231は、広告主からキャンペーン対象の広告コンテンツ群の入稿を受け付ける。具体的には、入稿受付部231は、キャンペーン対象の広告コンテンツ群を形成する複数の広告コンテンツと、各広告キャンペーンにつき1日当たりに広告配信者に支払う広告料金の上限値である「キャンペーン予算/1日」の設定とを受け付ける。そして、入稿受付部231は、広告主IDおよびキャンペーンIDに対応付けて、「キャンペーン予算/1日」、入札価格、広告コンテンツを広告情報記憶部221に格納する。また、このとき、入稿受付部231は、広告主により「広告予算」の入金を確認すると、広告主IDに対応付けて、入金された「広告予算」を「広告予算残高」として広告情報記憶部221に格納する。
ここで、本実施形態にかかる「広告予算」と「キャンペーン予算/1日」について説明する。上述してきた通り、「広告予算」は、広告主が広告配信のために実際に入金した金額である。一方、「キャンペーン予算/1日」は、対応する広告キャンペーンに含まれる広告コンテンツの1日における広告配信を、その「キャンペーン予算/1日」内で行うよう広告主が指定した金額である。
また、例えば、広告主により「キャンペーン予算/1日」として「10,000円」が設定されていたとすると、広告配信により「キャンペーン予算/1日」が消費されることで、「キャンペーン予算残高/1日」は、「10,000円」から「9,500円」、「9,000円」・・・と1日の中での時間経過に応じて少なくなる。しかし、例えば、24時を過ぎた時点で、課金部236により現時点の「キャンペーン予算残高/1日」がリセットされ、再び、広告主により「キャンペーン予算/1日」として設定された「10,000円」が「キャンペーン予算残高/1日」とされる。
要求受付部232は、端末装置10から広告リクエストを受け付ける。例えば、要求受付部232は、広告リクエストとして、HTTPリクエストを受け付ける。また、かかる広告リクエストには、例えば、広告リクエスト送信元のユーザのユーザ属性(例えば、年齢、性別、位置情報等)や、広告枠を含むウェブページの属性情報(例えば、カテゴリ等)が含まれる。
調整部233は、配信候補の広告コンテンツのうち、当該配信候補の広告コンテンツの入稿元に対応する広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツの評価値が相対的に下がるように調整する。例えば、調整部233は、広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツの入札価格を、かかる広告予算の残高以下まで下げることにより、当該広告コンテンツの評価値である収益期待値を下げる。なお、本実施形態では、広告予算の残高の一例として「キャンペーン予算残高/1日」を用いる。しかし、この例に限らず、広告予算の残高として、上記「広告予算残高」を用いることもでき、この点については後ほど詳述種る。なお、上記のように、調整部233は、入札価格を、広告予算の残高以下まで下げるもの、すなわち広告予算の残高まで、あるいは、広告予算の残高より低い値まで下げてよいものであるが、本実施形態では、調整部233は、入札価格を、広告予算の残高まで下げるものとして説明する。
ここで、図1および図3を用いて、調整部233による調整処理の一例について説明する。例えば、要求受付部232により端末装置10から送信された広告リクエストが受け付けられたとする。かかる場合、調整部233は、広告情報記憶部221を参照し、例えば、ユーザ属性やウェブページの属性情報を用いたターゲティング処理を行うことで、広告情報記憶部221に格納されている広告コンテンツの中から配信候補の広告コンテンツを特定する。ここでは、調整部233は、広告コンテンツAD111、AD211およびAD311を配信候補の広告コンテンツとして特定したものとする。
次に、調整部233は、特定した配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311のうち、現時点での「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツを特定する。図1および図3に示す広告情報記憶部221の例では、広告コンテンツAD111の現時点での「キャンペーン予算残高/1日」が「100円」であり、広告コンテンツAD111の入札価格が「200円」であるため、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格の方が高い。一方、広告コンテンツAD211およびAD311については、現時点での「キャンペーン予算残高/1日」の方が入札価格より高い。
このため、調整部233は、配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311のうち、広告コンテンツAD111が「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高いと特定する。
次に、調整部233は、特定した予算超え広告コンテンツAD111について、入札価格「200円」を「キャンペーン予算残高/1日」の「100円」まで下げることにより、広告コンテンツAD111の評価値である収益期待値を下げる。
上述したように、収益期待値は、入札価格とクリック率とを乗じることにより算出される。このため、調整部233は、予算超え広告コンテンツAD111について、当初の入札価格「200円」から「100円」に下げた調整後入札価格と、クリック率「0.08」とを乗じて収益期待値「8」を算出することになる。このような収益期待値は、入札価格「200円」を用いた場合の収益期待値「16」より低い。したがって、調整部233は、入札価格を「キャンペーン予算残高/1日」まで下げることにより、広告コンテンツAD111の収益期待値を下げることができる。
予算超え広告コンテンツは、後述する算定部234により「キャンペーン予算残高/1日」より高い課金額単価が算定される可能性が高くなる。そして、「キャンペーン予算残高/1日」より高い課金額単価が算定された予算超え広告コンテンツが、実際に配信され、ユーザに1回クリックされたとすると、広告装置200は、「キャンペーン予算残高/1日」が課金額単価に足りていないため、課金額単価を広告主に全額請求することができず、広告収益が低下してしまう。
そこで、調整部233は、予算超え広告コンテンツの入札価格を「キャンペーン予算残高/1日」まで下げることにより、予算超え広告コンテンツの評価値を下げ、以下に示す順位付け処理において、より下位の順位となり易くする。すなわち、調整部233は、予算超え広告コンテンツの入札価格を「キャンペーン予算残高/1日」まで下げることにより、予算超え広告コンテンツが配信対象となり難く、「キャンペーン予算残高/1日」が入札価格より高い広告コンテンツが配信対象となり易くする。
「キャンペーン予算残高/1日」が入札価格より高い広告コンテンツは、課金額単価を全額請求可能な広告コンテンツである。広告装置200は、このような広告コンテンツが配信対象となり易くすることができるため、広告収益を高めることができる。
さて、ここまで、調整部233による調整処理について説明してきたが、調整部233は、さらに、配信候補の広告コンテンツに順位付けする順位付け処理も行ってよい。例えば、調整部233は、配信候補の広告コンテンツそれぞれについて収益期待値を算出し、算出した収益期待値に基づいて、配信候補の広告コンテンツに順位付けする。以下では、調整部233による順位付け処理の一例について説明する。
例えば、調整部233は、上記例のように、配信候補として広告コンテンツAD111、AD211およびAD311を特定し、また、このうち予算超え広告コンテンツAD111について、入札価格を下げることにより評価値を下げる調整処理を行ったものとする。
ここで、調整部233は、配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311それぞれについて、収益期待値を算出し、算出した収益期待値に基づいて、広告コンテンツAD111、AD211およびAD311それぞれに順位付けする。
調整部233は、配信候補であるとともに予算超えの広告コンテンツAD111については、上記例のように、入札価格「200」円を「キャンペーン予算残高/1日」まで下げた入札価格である調整後入札価格「100円」と、クリック率「0.08」を乗じて収益期待値「8」を算出する。また、調整部233は、広告コンテンツAD211については、入札価格「100円」とクリック率「0.15」を乗じて収益期待値「15」を算出する。また、調整部233は、広告コンテンツAD311については、入札価格「100円」とクリック率「0.02」を乗じて収益期待値「2」を算出する。
そして、調整部233は、最も収益期待値の高い広告コンテンツAD211に「1位」、次に、広告コンテンツAD111に「2位」、最も収益期待値の低い広告コンテンツAD311に「3位」といった順位付けを行う。そして、調整部233は、最も収益期待値の高い広告コンテンツAD211を、配信対象の広告コンテンツとして決定する。
図2に戻り、算定部234は、課金額単価を算定する。具体的には、算定部234は、調整部233の順位付け処理によって決定された配信対象の広告コンテンツが1回クリックされた際に、配信対象の広告コンテンツの入稿元(広告主)に対して請求する課金額の単価である課金額単価(CPC)を算定する。例えば、算定部234は、配信対象の広告コンテンツの順位よりも低い順位の広告コンテンツの評価値に基づいて、配信対象の広告コンテンツの入稿元に請求する課金額単価を算定する。なお、以下では、「配信対象の広告コンテンツの入稿元(広告主)に請求する課金額単価」を、「配信対象の広告コンテンツに対する課金額単価」と表記する場合がある。
例えば、上記例のように、調整部233により、順位1位の広告コンテンツAD211が配信対象として決定されたとする。かかる場合、算定部234は、広告コンテンツAD211の順位より1つ順位の低い2位の広告コンテンツAD111の収益期待値「8」を、広告コンテンツAD211のクリック率「0.15」で除算することにより、広告コンテンツAD211の入稿元である広告主C2に請求する課金額単価「53円」を算定する。また、算定部234は、配信対象の広告コンテンツAD211の広告ID「AD211」と、課金額単価「53円」とを対応付けて配信部235へ出力する。
このように、算定部234は、配信対象の広告コンテンツ(例えば、評価値1位の広告コンテンツ)より順位の低い広告コンテンツ(例えば、評価値2位の広告コンテンツ)の収益期待値を、配信対象の広告コンテンツのクリック率で除算することにより算出した値を、配信対象の広告コンテンツに対する課金額単価として算定する。
しかし、この例に限らず、算定部234は、算定した値に所定値(例えば「1」)を加算した値を配信対象の広告コンテンツに対する課金額単価としてもよい。例えば、算定部234は、上記例では、「53円」に「1」を加算した「54円」を広告コンテンツAD211に対する課金額単価としてもよい。
配信部235は、配信対象の広告コンテンツを広告リクエスト送信元の端末装置10に配信する。具体的には、配信部235は、算定部234から配信対象の広告コンテンツに関する情報を受け付けると、配信対象の広告コンテンツのデータを広告情報記憶部221から抽出する。そして、配信部235は、抽出した配信対象の広告コンテンツのデータを広告リクエスト送信元の端末装置10に配信する。このため、配信部235は、抽出部に対応する処理部である。
例えば、配信部235は、算定部234から配信対象の広告コンテンツAD211の広告ID「AD211」と、課金額単価「53円」とを受け付けたとすると、広告情報記憶部221を参照し、広告ID「AD211」に対応付けられる広告データ「XX5」を抽出する。そして、配信部235は、課金額単価「53円」を含む広告データ「XX5」を広告リクエスト送信元の端末装置10に配信する。
端末装置10は、配信部235から受け付けた広告データに基づいて広告コンテンツを表示する。例えば、端末装置10は、配信部235から広告データ「XX5」を受け付けると、広告データ「XX5」を広告枠に配置したウェブページを表示する。これにより、端末装置10は、広告コンテンツAD211を表示する。
また、端末装置10は、表示した広告コンテンツがクリックされるとクリックされた旨の情報であるクリック情報を広告装置200に送信する。例えば、端末装置10は、広告コンテンツAD211がクリックされると、広告ID「AD211」と課金額単価「53円」を含むクリック情報を広告装置200に送信する。
課金部236は、算定部234により算定された課金額単価に基づいて、広告配信を行った対価として広告料金を広告主に請求する。請求処理の一例として、例えば、課金部236は、端末装置10からクリック情報を受け付けると、受け付けたクリック情報に基づいて、広告予算残高から課金額単価を差し引く。
例えば、広告コンテンツAD211が1回クリックされた場合には、課金部236は、端末装置10から広告ID「AD211」と課金額単価「53円」を含むクリック情報を受け付ける。そして、図3の例では、課金部236は、広告情報記憶部221を参照し、広告ID「AD211」に対応する広告予算残高「100,000円」から課金額単価「53円」を差し引く。また、課金部236は、広告ID「AD211」に対応する「キャンペーン予算残高/1日」から課金額単価「53円」を差し引く。
また、課金部236は、広告予算残高がゼロになると、ゼロになった広告コンテンツの配信を停止するよう制御部230に指示する。また、上述したように、「キャンペーン予算/1日」は、単に広告主に指定された額であるため、例えば、24時を過ぎた時点で、現時点の「キャンペーン予算残高/1日」を、当初広告主に指定された「キャンペーン予算/1日」にリセットする。
〔3.処理手順〕
次に、図4を用いて、実施形態にかかる広告装置200が実行する広告処理の手順について説明する。図4は、実施形態にかかる広告装置200による広告処理手順を示すフローチャートである。
まず、広告装置200の要求受付部232は、端末装置10から広告リクエストを受け付けたか否かを判定する(ステップS101)。要求受付部232により広告リクエストが受け付けられた場合には(ステップS101;Yes)、調整部233は、ターゲティング処理により、広告情報記憶部221に格納されている広告コンテンツの中から配信候補の広告コンテンツを特定する(ステップS102)。一方、要求受付部232は、広告リクエストを受け付けていない場合には(ステップS101;No)、受け付けるまで待機する。
そして、調整部233は、特定した配信候補の広告コンテンツの中に、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツを特定する(ステップS103)。「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツが特定できた場合には(ステップS103;Yes)、調整部233は、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツである予算超え広告コンテンツの入札価格を「キャンペーン予算残高/1日」まで下げる(ステップS104)。
また、調整部233は、ステップS102で特定した配信候補の広告コンテンツに順位付けする(ステップS105)。例えば、調整部233は、各配信候補の広告コンテンツについて収益期待値を算出し、算出した収益期待値に基づいて、配信候補の広告コンテンツに順位付けする。なお、このとき調整部233は、配信候補であるとともに予算超えの広告コンテンツについては、ステップS104において「キャンペーン予算残高/1日」まで下げた調整後入札価格を用いて収益期待値を算出する。
そして、調整部233は、順位付けした順位情報に基づいて、例えば、順位1位の配信候補の広告コンテンツを配信対象の広告コンテンツとして決定する(ステップS106)。また、調整部233は、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツが特定できなかった場合には(ステップS103;No)、ステップS105へと処理を移行する。
次に、算定部234は、ステップS105において順位付けされた順位情報に基づいて、配信対象の広告コンテンツの入稿元(広告主)に対して請求する課金額の単価である課金額単価(CPC)を算定する(ステップS107)。例えば、算定部234は、配信対象の広告コンテンツ(例えば、1位の広告コンテンツ)より順位の低い広告コンテンツ(例えば、2位の広告コンテンツ)の収益期待値を、配信対象の広告コンテンツのクリック率で除算することにより課金額単価を算定する。
そして、算定部234により課金額単価が算定されると、配信部235は、配信対象の広告コンテンツのデータを広告情報記憶部211から抽出し、広告リクエスト送信元の端末装置10に配信する(ステップS108)。
〔4.変形例〕
上述した実施形態は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、他の実施形態について説明する。
〔4−1.調整処理(1)〕
上記実施形態では、広告装置200の調整部233が、配信候補の広告コンテンツのうち、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツの入札価格を、かかる「キャンペーン予算残高/1日」まで下げることにより、当該広告コンテンツの評価値である収益期待値を下げる例について説明した。しかし、調整部233は、配信候補の広告コンテンツのうち、「広告予算残高」より入札価格が高い広告コンテンツの入札価格を、かかる「広告予算残高」まで下げることにより、当該広告コンテンツの評価値である収益期待値を下げてもよい。この点について、図5を用いて説明する。
図5は、変形例にかかる広告情報記憶部221の一例を示す図(1)である。具体的には、図5に示す広告情報記憶部221は、図3に示す広告情報記憶部221の状態から時間経過したことにより、「広告予算残高」や「キャンペーン予算残高/1日」が変化したものである。なお、時間経過に応じてクリック率も変化することが考えられるが、ここでは説明を簡単にするためにクリック率の変化はないものとする。また、以下では、「広告予算残高」より入札価格が高い広告コンテンツについても、「予算超え広告コンテンツ」と表記する場合がある。
例えば、要求受付部232により端末装置10から送信された広告リクエストが受け付けられたとする。かかる場合、調整部233は、広告情報記憶部221を参照し、例えば、ユーザ属性やウェブページの属性情報を用いたターゲティング処理を行うことで、広告情報記憶部221に格納されている広告コンテンツの中から配信候補の広告コンテンツを特定する。ここでは、調整部233は、広告コンテンツAD111、AD211およびAD311を配信候補の広告コンテンツとして特定したものとする。
次に、調整部233は、特定した配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311のうち、現時点での「広告予算残高」または「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツを特定する。図5の例では、広告コンテンツAD111の現時点での「広告予算残高」が「100円」であり、広告コンテンツAD111の入札価格が「200円」であるため、「広告予算残高」より入札価格の方が高い。一方、広告コンテンツAD211およびAD311については、「広告予算残高」、「キャンペーン予算残高/1日」ともに入札価格より高い。
このため、調整部233は、配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311のうち、広告コンテンツAD111が「広告予算残高」より入札価格が高いと特定する。なお、調整部233は、「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツを特定した場合には、かかる広告コンテンツについて、上記実施形態で示した調整処理を行う。
次に、調整部233は、「広告予算残高」より入札価格が高いものと特定した広告コンテンツAD111について、入札価格「200円」を「広告予算残高」の「100円」まで下げることにより、広告コンテンツAD111の評価値である収益期待値を下げる。
「キャンペーン予算残高/1日」より入札価格が高い広告コンテンツと同様に、「広告予算残高」より入札価格が高い広告コンテンツは、算定部234により「広告予算残高」より高い課金額単価が算定される可能性が高くなる。そして、「広告予算残高」より高い課金額単価が算定された予算超え広告コンテンツが、実際に配信され、ユーザに1回クリックされたとすると、広告装置200は、「広告予算残高」が課金額単価に足りていないため、課金額単価を広告主に全額請求することができず、広告収益が低下してしまう。
そこで、調整部233は、「広告予算残高」より入札価格が高い広告コンテンツの入札価格を「広告予算残高」まで下げることにより、「広告予算残高」より入札価格が高い広告コンテンツの評価値を下げ、順位付け処理において、より下位の順位となり易くする。すなわち、調整部233は、「広告予算残高」より入札価格が高い広告コンテンツの入札価格を「広告予算残高」まで下げることにより、配信対象となり難くする。言い換えれば、調整部233は、「広告予算残高」および「キャンペーン予算残高/1日」ともに、入札価格より高い広告コンテンツが配信対象となり易くする。
「広告予算残高」および「キャンペーン予算残高/1日」ともに、入札価格より高い広告コンテンツが配信対象となった場合には、広告装置200は、かかる配信対象の広告コンテンツの広告主に課金額単価を全額請求することができる。このため、広告装置200は、広告収益を高めることができる。
〔4−2.調整処理(2)〕
さて、これまで、調整部233が、「キャンペーン予算残高/1日」または「広告予算残高」のどちらか一方より入札価格が高い広告コンテンツについて、入札価格を予算残高まで下げることにより評価値を下げる例を示した。しかし、広告配信により予算残高が減ってゆくことで、「キャンペーン予算残高/1日」および「広告予算残高」の双方より入札価格が高い配信候補の広告コンテンツが現れる場合がある。
このような場合、調整部233は、「キャンペーン予算残高/1日」および「広告予算残高」の双方より入札価格が高い広告コンテンツの入札価格を、「キャンペーン予算残高/1日」または「広告予算残高」のうち低い方の残高まで下げる。この点について、一例を用いて説明する。
例えば、調整部233は、配信候補の広告コンテンツの中に、入札価格「200円」、現時点の「キャンペーン予算残高/1日」が「100円」、現時点の「広告予算残高」が「50円」といった広告コンテンツADx1を特定したとする。広告コンテンツADx1は、「キャンペーン予算残高/1日」および「広告予算残高」の双方より入札価格が高い。また、「広告予算残高」の方が、「キャンペーン予算残高/1日」より低い。したがって、調整部233は、広告コンテンツADx1の入札価格「200円」を「広告予算残高」の「50円」まで下げることにより、広告コンテンツADx1の収益期待値を下げる。
このようにして、広告装置200は、「キャンペーン予算残高/1日」および「広告予算残高」の双方より入札価格が高い広告コンテンツ、すなわち課金額単価を全額請求できない可能性の高い広告コンテンツを配信対象となりにくくすることができるため、広告収益を高めることができる。
〔4−3.調整処理(3)〕
これまで、調整部233が、予算超え広告コンテンツの入札価格を予算残高まで下げることにより、評価値に基づく順位付けにおいてより下位の順位となるように調整することで、予算超え広告コンテンツが配信対象となり難くする例を示した。しかし、入札価格を下げたとしても、予算超え広告コンテンツが配信対象となる場合がある。この一例について、図6を用いて説明する。
図6は、変形例にかかる広告情報記憶部221の一例を示す図(2)である。具体的には、図6に示す広告情報記憶部221は、図3に示す広告情報記憶部221に対応するものであるが、説明の便宜上一部(特に入札価格、クリック率)に図3とは異なる値を用いている。
ここで、例えば、要求受付部232により端末装置10から時刻t1に送信された広告リクエストが受け付けられたとする。そして、調整部233は、図6の例において、ターゲティング処理を行うことにより、広告コンテンツAD111およびAD311を配信候補として特定したとする。
図6の例では、広告コンテンツAD111が予算超え広告コンテンツであるため、調整部233は、順位付け処理として、広告コンテンツAD111の入札価格「200円」を、「キャンペーン予算残高/1日」の「100円」まで下げることにより、調整後入札価格「100円」とクリック率「0.09」とを乗じて収益期待値「9」を算出する。また、調整部233は、広告コンテンツAD311について、入札価格「100円」とクリック率「0.07」とを乗じて収益期待値「7」を算出する。
そして、調整部233は、予算超え広告コンテンツAD111の方が広告コンテンツAD113より収益期待値が高いために、予算超え広告コンテンツAD111を配信対象として決定する。このように、調整部233は、予算超え広告コンテンツについて、入札価格を下げることにより評価値を下げたとしても、その下げた評価値が他の配信候補の広告コンテンツよりも高いために、予算超え広告コンテンツを配信対象として決定する場合がある。
また、算定部234は、配信対象となった予算超え広告コンテンツAD111について、2位の広告コンテンツAD311の収益期待値「7」を、予算超え広告コンテンツAD111のクリック率「0.09」で除算することにより、課金額単価「78円」を算定する。
ここで、図6の例では、予算超え広告コンテンツAD111に対応する「キャンペーン予算残高/1日」は「100円」であり、算定部234により算定された課金額単価「78円」は、「100円」のおよそ80%に相当する。現時点での「キャンペーン予算残高/1日」が「100円」であるということは、課金部236は、少なくとも広告主C1に対し、「キャンペーン予算残高/1日」である「100円」に相当する課金額単価「100円」まで請求可能である。しかし、算定部234により算定された課金額単価は、その80%に相当する「78円」であるため、差額の「22円」分を広告収益として得る機会を失うことになる。
このような広告収入を得られない機会をなるべく少なくするために、調整部233は、広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツに対する課金額の履歴情報に基づいて、当該広告コンテンツの入札価格を下げることにより、当該広告コンテンツの評価値を下げる。例えば、調整部233は、広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツの順位よりも下位の順位の広告コンテンツの評価値に基づいて決定される課金額の履歴情報に基づいて、当該広告コンテンツの入札価格を下げる。なお、広告予算の残高は、上述してきた「キャンペーン予算残高/1日」であってもよいし、「広告予算残高」であってもよい。かかる変形例では、「キャンペーン予算残高/1日」を例に用いて説明する。
まず、広告装置200は、図2に示す記憶部220において、課金情報記憶部222をさらに有するものとする。課金情報記憶部222は、配信対象の広告コンテンツについて算定された課金額単価の履歴情報を記憶する。具体的には、課金情報記憶部222は、評価値(収益期待値)に基づく順位付け処理によって決定された配信対象の広告コンテンツについて、算定部234により算定された課金額単価を記憶する。
図7は、変形例にかかる課金情報記憶部222の一例を示す図である。図7の例では、課金情報記憶部222は、「広告ID」、「配信日時」、「入札価格」、「課金額単価」、「課金率」といった項目を有する。
「広告ID」は、配信対象として決定された広告コンテンツを識別するための識別情報を示す。「配信日時」は、配信対象の広告コンテンツが配信された日時を示す。「入札価格」は、広告主が広告コンテンツを入稿する際に指定する広告料金を示す。例えば、「入札価格」は、広告コンテンツがユーザに1回クリックされた際に、広告装置200が広告主に対して請求する課金額の単価である課金額単価(CPC)を算定する際に用いられる。また、「入札価格」は、広告主が支払い可能な課金額単価の上限を示す。
「課金額単価」は、配信対象の広告コンテンツの順位よりも下位の順位(例えば、2位)の配信候補の広告コンテンツの評価値に基づいて、算定部234により算定された課金額単価である。また、「課金額単価」は、広告コンテンツがユーザに1回クリックされた際に、広告装置200が広告主に対して請求する課金額の単価である。「課金率」は、「入札価格」に対する「課金額単価」の割合を示す。
すなわち、図7の例では、広告ID「AD111」によって識別される配信対象の広告コンテンツに対し、入札価格「200円」が設定されている例を示す。また、広告ID「AD111」によって識別される配信対象の広告コンテンツに対して課金額単価「156円」が算定されたことにより、入札価格「200円」に対する課金額単価「156円」の割合である課金率「78%」が算出された例を示す。以下では、図6および図7を用いて、調整部233による調整処理の一例について説明する。
例えば、要求受付部232により端末装置10から時刻t2に送信された広告リクエストが受け付けられたとする。そして、調整部233は、図6の例において、ターゲティング処理を行うことにより、広告コンテンツAD111、AD211およびAD311を配信候補として特定したとする。
図6の例では、広告コンテンツAD111が予算超え広告コンテンツである。ここで、これまでに示した調整処理では、調整部233は、広告コンテンツAD111の入札価格「200円」を、「キャンペーン予算残高/1日」の「100円」まで下げることにより、広告コンテンツAD111の評価値を下げる。しかし、このように評価値を下げても、上記のように、順位が下がりきらず、結果として予算超え広告コンテンツが配信対象となる場合がある。また、かかる場合、2位の配信候補の広告コンテンツの評価値に基づいて算出された課金額単価と、予算超え広告コンテンツに対応する「キャンペーン予算残高/1日」との差額が大きくなればなるほど、その差額分を広告収益として得る機会を失うことになる。
そこで、調整部233は、予算超え広告コンテンツAD111の入札価格を「キャンペーン予算残高/1日」まで下げるのではなく、予算超え広告コンテンツAD111に対する課金額の履歴情報に基づいて、予算超え広告コンテンツAD111の入札価格を下げることにより、当該広告コンテンツの評価値を下げる。
例えば、調整部233は、課金情報記憶部222を参照し、広告コンテンツAD111の課金率を取得し、取得した課金率の平均値(平均課金率)を算出する。図7の例では、調整部233は、広告コンテンツAD111の課金率として、「78%」、「80%」、「78%」、「82%」を取得し、これらの課金率を平均して平均課金率「80%」を算出する。
そして、調整部233は、平均課金率「80%」に基づいて、「80%」に相当する値が予算超え広告コンテンツAD111の現時点での「キャンペーン予算残高/1日」の「100円」となるような値、すなわち「125円」を算出する。言い換えれば、「125円」の80%は、「100円」である。そして、調整部233は、予算超え広告コンテンツの入札価格「200円」を「125円」にまで下げることにより、予算超え広告コンテンツAD111の評価値を下げる。
また、調整部233は、順位付け処理として、調整後入札価格「125円」とクリック率「0.09」とを乗じて収益期待値「11.25」を算出する。また、調整部233は、広告コンテンツAD211について、入札価格「108円」とクリック率「0.08」とを乗じて収益期待値「8.64」を算出する。また、調整部233は、広告コンテンツAD311について、入札価格「100円」とクリック率「0.07」とを乗じて収益期待値「7」を算出する。
そして、調整部233は、収益期待値の最も高い予算超え広告コンテンツAD111を配信対象として決定する。また、算定部234は、広告コンテンツAD111について、2位の広告コンテンツAD112の収益期待値「8.64」を、広告コンテンツAD111のクリック率「0.09」で除算することにより、広告コンテンツAD111に対する課金額単価「96円」を算出する。
ここで、図7の例では、予算超え広告コンテンツAD111について、これまでの課金額の履歴情報に基づき、入札価格「200円」に対するおよそ80%に相当する価格が課金額単価として算出される傾向にあることがわかる。したがって、例えば、広告コンテンツAD111が予算超えとなり、さらに、配信候補となった場合であっても同様に、広告コンテンツAD111の調整後入札価格に対するおよそ80%に相当する価格が課金額単価となる可能性が高い。
このため、調整部233は、予算超え広告コンテンツにおける課金額単価の履歴情報に基づき、平均課金率(課金額単価の推移の傾向)を算出する。そして、調整部233は、算出した平均課金率を適用することにより、予算超え広告コンテンツに対応する広告予算の残高となるような値を算出し、算出した値まで入札価格を下げることにより、予算超え広告コンテンツの評価値を下げる。この結果、広告装置200は、例えば、上記例のように、予算超え広告コンテンツAD111について算出した調整後入札価格「125円」のおよそ80%であり、かつ、予算超え広告コンテンツAD111の現時点での「キャンペーン予算残高/1日」である「100円」により近い「96円」が課金額単価となるような状況を増やすことができる。つまり、広告装置200は、「キャンペーン予算残高/1日」と課金額単価がより近くなるような状況を増やすことができる。
「キャンペーン予算残高/1日」と課金額単価とが近い値であるほど、差額は小さくなるため、差額分を広告収益として得られなくなる機会が減る。したがって、広告装置200は、広告収益を高めることができる。
なお、調整部233は、予算超え広告コンテンツのカテゴリ(例えば、「自動車」に関する広告)に属する広告コンテンツそれぞれの課金率を課金情報記憶部222から取得し、取得した課金率を用いて、平均課金率を算出してもよい。
〔4−4.調整処理(4)〕
ここまで、調整部233が、予算超え広告コンテンツの入札価格を下げることにより、予算超え広告コンテンツの評価値を下げる例を示してきた。しかし、調整部233は、予算超え広告コンテンツに対してユーザが起こした行動の指標値である行動率を下げることにより、予算超え広告コンテンツの評価値を下げてもよい。例えば、調整部233は、予算超え広告コンテンツの行動率として、予算超え広告コンテンツのクリック率(CTR)を下げる。この点について、図3を用いて説明する。
例えば、調整部233は、ターゲティング処理により広告コンテンツAD111、AD211およびAD311を配信候補として特定したとする。かかる場合、これまで説明してきたとおり、調整部233は、予算超え広告コンテンツとして広告コンテンツAD111を特定する。
また、これまで説明してきた例では、調整部233は、予算超え広告コンテンツAD111について、入札価格「200円」を「キャンペーン予算残高/1日」の「100円」まで下げることにより、広告コンテンツAD111の収益期待値を「8」(100×0.08)に下げる。しかし、調整部233は、予算超え広告コンテンツAD111のクリック率「0.08」を1/2の「0.04」まで下げる。このため、調整部233は、予算超え広告コンテンツAD111について、クリック率「0.08」から下げたクリック率「0.04」と、入札価格「200円」とを乗じて収益期待値「8」を算出することになる。
つまり、調整部233は、予算超え広告コンテンツについて、入札価格に対する広告予算の残高の割合(かかる例では「1/2」)を、予算超え広告コンテンツのクリック率に適用することで、入札価格ではなくクリック率を下げることにより収益期待値を下げる。クリック率を下げることにより算出される収益期待値は、入札価格を下げた場合と同じになる。
また、調整部233は、順位付け処理において、予算超え広告コンテンツAD111では、入札価格「200円」とクリック率「0.04」を乗じて収益期待値「8」を算出する。また、調整部233は、広告コンテンツAD211については、入札価格「100円」とクリック率「0.15」を乗じて収益期待値「15」を算出する。また、調整部233は、広告コンテンツAD311については、入札価格「100円」とクリック率「0.02」を乗じて収益期待値「2」を算出する。そして、調整部233は、最も収益期待値の高い広告コンテンツAD211を、配信対象の広告コンテンツとして決定する。
ここで、例えば、調整部233が、ターゲティング処理において、広告コンテンツA11およびA311を配信候補として特定したとする。上記のように、調整部233は、順位付け処理について、予算超え広告コンテンツAD111の収益期待値「8」を算出し、広告コンテンツAD311について、収益期待値「2」を算出する。このため、調整部233は、予算超え広告コンテンツAD111を、配信対象の広告コンテンツとして決定する。
かかる場合、算定部234は、配信対象の広告コンテンツAD111について、2位の配信対象の広告コンテンツAD311の収益期待値「2」を、調整処理により下げた広告コンテンツAD111のクリック率「0.04」で除算することにより、課金額単価「50」を算定する。一方、例えば、調整部233が、調整処理において、これまで説明してきたように、広告コンテンツAD111の入札価格「200円」を「100円」に下げたとすると、算定部234は、2位の配信対象の広告コンテンツAD311の収益期待値「2」を、広告コンテンツAD111のクリック率「0.08」で除算することにより、課金額単価「25円」を算定することになる。
このように、クリック率を下げることにより、予算超え広告コンテンツの評価値を下げたにも拘らず、予算超え広告コンテンツが配信対象となった場合、予算超え広告コンテンツに対して算出される課金額単価は、入札価格を下げた場合より高くなる。したがって、広告装置200は、広告収益をより高めることができる。
なお、かかる変形例では、調整部233が、予算越え広告コンテンツのクリック率を下げる例を示した。しかし、調整部233は、例えば、予算越え広告コンテンツのこれまでのコンバージョン率を下げることにより、予算超え広告コンテンツの評価値を下げてもよい。
〔4−5.調整処理(5)〕
調整部233は、配信候補の広告コンテンツのうち、当該配信候補の広告コンテンツの入稿元に対応する広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツの評価値が相対的に下がるように調整する。この一例として、これまで、調整部233が、広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツそのものの評価値を下げる例を示してきた。しかし、調整部233は、例えば、広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツ以外の配信候補の広告コンテンツの評価値を上げることにより、広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツの評価値を相対的に下げてもよい。
例えば、調整部233は、ターゲティング処理により特定した配信候補の広告コンテンツAD111、AD211およびAD311において、予算超え広告コンテンツAD111を除く広告コンテンツAD211およびAD311の評価値を上げることにより、予算超え広告コンテンツAD111の評価値が、広告コンテンツAD211およびAD311に対して相対的に下がるように調整する。
例えば、調整部233は、配信候補の広告コンテンツAD211およびAD311それぞれの評価値に「1」以上の所定値を乗じることにより、配信候補の広告コンテンツAD211およびAD311それぞれの評価値を上げる。
〔4−6.抽出処理を行うタイミング(1)〕
これまで、調整部233が、配信候補の広告コンテンツのうち、予算越え広告コンテンツについて、入札価格を予算残高まで下げることにより評価値を下げ、配信部235が、調整部233により調整された評価値に基づき順位付けされた順位情報に基づいて、配信対象の広告コンテンツを抽出する例を示した。つまり、調整部233により、配信候補の広告コンテンツに対する調整処理が行われた後に、配信部235により、配信対象の広告コンテンツを抽出する抽出処理が行われる例を示した。しかしながら、配信候補の広告コンテンツを抽出する抽出処理(第1抽出処理とする)が以下に示すような所定のタイミングで行われてもよい。
例えば、広告装置200は、まず、配信候補の広告コンテンツを抽出する抽出処理(第1抽出処理)を行い、抽出した配信候補の広告コンテンツについて、調整処理を行い、調整処理により調整した評価値に基づき、配信対象の広告コンテンツを抽出する抽出処理(第2抽出処理)を行ってもよい。この点について、具体的に説明する。例えば、図3に示すように、広告情報記憶部221に複数の広告コンテンツが記憶されている状態において、まず、配信部235は、各広告コンテンツのクリック率に基づいて、予め定められた所定数の広告コンテンツ抽出する(第1抽出処理)。例えば、配信部235は、広告情報記憶部221に記憶されている広告コンテンツのうち、クリック率の高いものを優先的に所定数抽出する。なお、このような抽出処理は、配信部235ではなく、専用の処理部(例えば、抽出部)により行われてもよい。
ここで、上記のように配信部235により抽出された広告コンテンツ(配信候補の広告コンテンツ)について、調整部233は、ターゲティングを行うことにより、配信候補の広告コンテンツの数を絞り込む。そして、調整部233は、絞り込んだ配信候補の広告コンテンツのうち、当該配信候補の広告コンテンツの入稿元に対応する広告予算の残高より入札価格が高い広告コンテンツの評価値が下がるように調整する。そして、調整部233は、調整した評価値に基づいて、配信候補の広告コンテンツに順位付けする。
そして、配信部235は、調整部233により順位付けされた順位情報に基づいて、配信候補の広告コンテンツから配信対象の広告コンテンツを抽出する(第2抽出処理)。
〔4−7.抽出処理を行うタイミング(2)〕
また、広告装置200は、上記例とは異なるタイミングで、配信候補の広告コンテンツを抽出する抽出処理(第1抽出処理とする)を行ってもよい。例えば、広告装置200は、まず、広告情報記憶部221に記憶されている広告コンテンツについて、上述してきた調整処理を行い、調整処理した広告コンテンツから配信候補の広告コンテンツを抽出し(第1抽出処理)、調整処理により調整された評価値に基づき、第1抽出処理で抽出した配信候補の広告コンテンツから配信対象の広告コンテンツを抽出する(第2抽出処理)。この点について、具体的に説明する。例えば、図3に示すように、広告情報記憶部221に複数の広告コンテンツが記憶されている状態において、まず、調整部233は、予算越え広告コンテンツを特定する。そして、調整部233は、特定した予算越え広告コンテンツの評価値が下がるように調整する。このような調整処理は、上述してきた通りであるため、詳細な説明を省略する。
そして、配信部235は、広告情報記憶部221に記憶されている配信候補の広告コンテンツについて、ターゲティングを行うことにより、配信候補の広告コンテンツを所定数抽出する(第1抽出処理)。次に、配信部235は、調整部233により評価値に基づき順位付けされた順位情報に基づいて、第1抽出処理で抽出した配信候補の広告コンテンツから配信対象の広告コンテンツを抽出する(第2抽出処理)。
〔4−8.プログラム〕
また、上述してきた実施形態にかかる広告装置200は、例えば図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。図8は、広告装置200の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を有する。
CPU1100は、ROM1300又はHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、通信網50を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを、通信網50を介して他の機器へ送信する。
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを、入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
例えば、コンピュータ1000が実施形態にかかる広告装置200として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部230の機能を実現する。また、HDD1400には、記憶部220内のデータが格納される。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを、記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から、通信網50を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
〔4−9.その他〕
上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
また、上述してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。