以下、図面に従って、本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法、乾式分離装置、細骨材及び火山ガラス材の実施形態を、火山噴出物堆積鉱物の一種である普通シラスを原料に用いた例で説明する。
(実施形態1)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法及び装置の一実施形態を説明する。
図1は、本発明の乾式分離方法に用いて好適な乾式分離装置の一例を示す概略図である。
図1に示す乾式分離装置は、気流分級装置10を備えている。この気流分級装置10は、粗粒回収用のサイクロン分級機群12〜14と、細粒回収用のサイクロン分級機15と、サイクロン分級機に連結した微粉回収用のバグフィルタ16とを有している。
図示した乾式分離装置において、普通シラスは、ベルトフィーダ3からふるい4に供給され、ふるい4により、粒径5mm超の礫分が、ふるい上として除去され、残部がふるい下として気流分級装置10に供給される。図示した例では、粒径5mm超の礫分の除去のためにふるい4を用いているが、ふるい4の代わりに、原料である普通シラスの粒径を5mm以下に粉砕する機械を用いることもできる。また、5mm以下に粉砕する機械を用いて粉砕することにより、普通シラスに含まれる軽石の内部が露出し、分離されて回収された軽石製品の白色度が向上するという利点もある。粉砕された軽石が回収された、小さな軽石や火山ガラス粒子は、軽石粒子内部のガラス表面が露出しており、焼成して膨張発泡させて製造した発泡軽石や、概ね0.15mm以上のパーライト同等品や、概ね0.15mm以下のシラスバルーンの白色度が、粉砕工程を経ていない軽石や火山ガラス粒子起源の発泡軽石やパーライト相当品やシラスバルーン相当品に比べて白色度が高くなるという利点がある。
気流分級装置10は、複数のサイクロン解砕機11A、11B、11Cと複数のサイクロン分級機12〜15と、バグフィルタ16とを備えるとともに、これらを接続する管路17A〜17Iを備えている。
気流分級装置10において、ふるい下として分級された粒径5mm以下の普通シラスを、まずサイクロン解砕機11Aに導き、サイクロン解砕機11Aから管路17Aを経由してサイクロン解砕機11Bに導き、サイクロン解砕機11Bから管路17Bを経由してサイクロン解砕機11Cに導く。サイクロン解砕機11Aの投入口では、排気ブロワ18に起因する管路17A〜17Iへの吸引力が働き、大量の吸気Gが、サイクロン解砕機11Aの最外周に設置された角パイプの引き込み口から導入されて下方向への螺旋状の旋回流となり、上方から少量の吸気と共にシラス原料が投下されると、螺旋状の下方向への気流の流れに乗って凝集体が分散されて配管内壁をなぞるようにして次のサイクロン解砕機11Bに送られ、詰まりのないスムーズな、大量の原料投入が可能となっている。原料の搬送及び乾燥、単粒子化、分離に必要な主なエネルギーは、排気ブロワ18の吸引力を動力源としており、サイクロン解砕機とサイクロン分級機を立体的に組み合わせて、コンパクトながら経路の直線距離以上に原料粒子の移動距離を最大化する構造を有しており、原料と空気の接触が多くなることにより、気流乾燥と粒子の単粒子化を効率よく発現できる。
サイクロン解砕機11A〜11Cは、普通シラス粒の凝集を遠心力により分散するためのサイクロンである。サイクロン解砕機11A〜11Cを経て分散された普通シラスを、管路17Cを経てサイクロン分級機12に導く。11A〜11Cを経るサイクロン解砕機とそれらを繋ぐ管路内では、付着粒子や凝集粒子のサイクロン解砕機内壁面や管路内壁への衝突、摩擦、接触やそれら粒子同士の衝突、摩擦、接触が強制的に働き、粗粒に付着した細粒や微粉の剥離、解離と凝集体の解砕が促進され、粒子に付着した水分や粒子間に介在している水分が空気との接触により空気へ移動し、粒子の乾燥が進む。したがって、原料の普通シラスが概ね4パーセント以上の水分を含んでいる場合には、サイクロン解砕機11A〜11Cを有しサイクロン解砕機11A〜11Cにて乾燥させる本実施形態の乾式分離装置を用いることが好ましい。
サイクロン解砕機11A〜11Cによる剥離、解砕、乾燥の相乗効果により、粗粒、細粒及び微粉の単粒子化が促進する。サイクロン解砕機11Cに接続しているサイクロン分級機12は、普通シラスから粗粒と、粗粒以外とに分級する。粗粒、細粒及び微粉の単粒子化を促進するため、図3や図5に示すようにサイクロン解砕機を合計4個や5個やそれを超える数のサイクロン解砕機を設けてもよい。
サイクロン分級機12により粗粒はサイクロン分級機12の下方に接続する管路から回収される。粗粒は、粒径が0.30〜5mmであり、ベルトフィーダ5を経由して後述する比重差選別装置21に供給される。サイクロン分級機12による粗粒の回収量に比べて比重差選別装置21の選別能力が大きい場合、サイクロン分級機12による粗粒を一旦貯蔵し、比重差選別装置21にバッチ式で供給することもできる。なお、サイクロン分級機12により分級された粗粒の粒径の値0.30〜5mmは、概略値である。また、後述するように吸気調整手段としてサイクロン分級機12の下側の管路に備えられた開口12aの大きさを調整することにより、粗粒の粒径の値又は回収率は調整可能である。
サイクロン分級機12の上部は円錐形状を有し、この円錐形状の頂部で管路17Dと接続している。サイクロン分級機12の上部は円錐形状を有していることにより、サイクロン分級機12から上方へ上昇する旋回気流の流れをスムーズにして、所定の粒径の粗粒をサイクロン分級機12の下方に落下させ、粗粒よりも小さな粒径のものはサイクロン分級機12から上方へ上昇する気流に乗って管路17Dに搬送されるようにしている。
サイクロン分級機12の下方に接続する管路には、開口12aを備えている。この開口12aは吸気調整手段であり、開口12aの大きさを調整することにより、開口12aを備える管路内の上昇気流の流速を調整することができる。より具体的には開口12aを大きくしてサイクロン分級機12の下方から上方に向かう上昇気流の流速を速くすることにより、ひいては粗粒中における密度2.5g/cm3以上のものの割合を向上させることができる。開口12aは、例えばフランジ継手の間の隙間であり、この隙間の間隔を厚さの異なるワッシャー等で調整することにより、開口12aから取り込まれる吸気Hの空気量を調整し、サイクロン分級機12の下方から上方に向かう上昇気流の流速を調整することができる。
サイクロン分級機12の下方に接続する管路には、開口12aよりも下方に、2個の開閉弁12bを有している。図示した乾式分離装置の作業中に、粗粒はサイクロン分級機12の下方に接続する管路内に堆積する。この粗粒を作業中に回収するために、まず上側の開閉弁12bを開いて下側の開閉弁12bを閉じ、これにより粗粒を上側の開閉弁12bと下側の開閉弁12bとの間に落下させ、次に上側の開閉弁12bを閉じて下側の開閉弁12bを開き、これにより上側の開閉弁12bと下側の開閉弁12bとの間の粗粒を回収する。ここで、開閉弁12bの代わりに同じ機能を有するロータリーバルブを用いることもできる。
単粒子化した粗粒の収率を高めるために、サイクロン分級機13及び管路17D、管路17Eを設け、サイクロン分級機12のオーバーフロー分を、管路17Dを経由してサイクロン分級機13に導き、このサイクロン分級機13のアンダーフロー分を、管路17Cに接続した管路17Eを経由してサイクロン分級機12に導く一番目の循環経路を形成している。また、単粒子化した粗粒の収率を更に高めるために、サイクロン分級機14及び管路17F、管路17Gを設け、サイクロン分級機13のオーバーフロー分を、管路17Fを経由してサイクロン分級機14に導き、このサイクロン分級機14のアンダーフロー分を、管路17Dに接続した管路17Gを経由してサイクロン分級機13に導く二番目の循環経路を形成している。これらの気流の循環経路内を循環することにより、付着粒子や凝集粒子のサイクロン分級機内壁面や管路内壁への衝突、摩擦、接触やそれら粒子同士の衝突、摩擦、接触が強制的に働き、粗粒に付着した細粒や微粉の剥離と凝集体の解砕が促進され、粒子に付着した水分や粒子間に介在している水分が空気との接触により空気へ移動し、粒子の乾燥が進む。これらの剥離、解砕、乾燥の相乗効果により、粗粒、細粒及び微粉の単粒子化が促進する。以上の効果により、管路内及びサイクロン分級機内が常温の気流であっても普通シラスは水分が低減されて乾燥する。サイクロン解砕機11Aに導入される吸気Gが、乾燥した空気又は温風であれば、更にシラスの乾燥と単粒子化が促進する。
図1に示した本実施形態では、2つの循環経路を形成するためにサイクロン分級機13及びサイクロン分級機14を設けているが、循環経路を3個や4個やそれを超える数で形成し、そのために図4や図5に示すように合計3個や4個やそれを超える数のサイクロン分級機を設けてもよい。
サイクロン分級機14のオーバーフロー分を、管路17Hを経由してサイクロン分級機15に導く。サイクロン分級機15は、サイクロン分級機14のオーバーフロー分から細粒と、細粒以外の微粉とに分級する。細粒は、粒径が0.05〜0.30mmであり、後述するふるいに供給される。なお、サイクロン分級機15により分級された細粒の粒径の値0.05〜0.30mmは、概略値である。また、吸気調整手段としてサイクロン分級機15の下側の管路に備えられた開口15aの大きさを調整することにより、細粒の粒径の値又は回収率は調整可能である。
サイクロン分級機15の下方に接続する管路には、開口15aを備えている。この開口15aは吸気調整手段であり、開口15aの大きさを調整することにより、開口15aを備える管路内の上昇気流の流速を調整することができ、ひいては細粒の粒度分布又は平均粒径又は回収率を調整することができる。開口15aは、例えばフランジ継手の隙間であり、この隙間の間隔を厚さの異なるワッシャー等で調整することにより、開口15aから取り込まれる吸気Iの空気量を調整し、サイクロン分級機15の下方から上方に向かう上昇気流の流速を調整することができる。
サイクロン分級機15の下方に接続する管路には、開口15aよりも下方に、2個の開閉弁15bを有している。図示した乾式分離装置の作業中に、細粒はサイクロン分級機15の下方に接続する管路内に堆積する。この細粒を作業中に回収するために、まず上側の開閉弁15bを開いて下側の開閉弁15bを閉じ、これにより細粒を上側の開閉弁15bと下側の開閉弁15bとの間に落下させ、次に上側の開閉弁15bを閉じて下側の開閉弁15bを開き、これにより上側の開閉弁15bと下側の開閉弁15bとの間の細粒を回収する。ここで、開閉弁15bの代わりに同じ機能を有するロータリーバルブを用いることもできる。
回収された細粒を、ふるい19によりふるい分けする。ふるいの網目は300μmであり、粒径0.3mmを超える細粒はふるい上に、粒径0.3mm以下の細粒はふるい下に分離される。サイクロン分級機15のアンダーフロー分として分級された細粒は、主に火山ガラスであり、粒径0.3mm以上の軽石を含んでいる。この粒径0.3mm以上の軽石は、軽量骨材として有用である。そこで、ふるい19により粒径0.3mmでふるい分けすることで、軽量骨材を回収することができる。
また、ふるい19のふるい下は、粒径0.3mm未満の火山ガラス材である。特に火山噴出物堆積鉱物が本実施形態のようにシラスである場合には、粒径0.3mm未満の火山ガラス材は、加熱により発泡するので、パーライト原料又はシラスバルーン原料として有用である。また、粒径0.3mm未満の火山ガラス材を粉砕することにより混和材として用いることができる。本実施形態の乾式分離方法は、粒径が0.05mm以下の微粉をサイクロン分級機15のオーバーフロー分として分級していることから、ふるい19のふるい下は微粉をほとんど含んでいない。したがって、ふるい19のふるい下は粒径が概略0.05mm〜0.3mmの、粒径が整った火山ガラス材B2を得ることができる。
サイクロン分級機15のオーバーフロー分として、細粒以外の微粉を、管路17Iを経由してバグフィルタ16に導く。バグフィルタ16は、微粉Cを回収する。微粉Cは、粒径が0.05mm以下である。なお、微粉Cの粒径の値0.05mm以下は、概略値である。微粉Cは、主に火山ガラスよりなり、ポゾラン効果を有する混合セメント原料、より具体的には混和材又はその原料として有用である。ここで、バグフィルタ16の部分は、電気集塵装置に取り替えても同様に機能する。
バグフィルタ16には排気ブロワ18が接続され、バグフィルタ16のろ布を通過した気流は、排気ブロワ18で排気Jが排出される。また、サイクロン解砕機11A、11B、11C及びサイクロン分級機12〜15は、この排気ブロワ18により駆動され、搬送気流は排気ブロワ18より外部に排出される。
図1に示した本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置によれば、普通シラスを粗粒Aと細粒Bと微粉Cとに分離することができ、更に細粒Bを粒径0.3mm超え(B1)と粒径0.3mm以下(B2)に分離することができる。密度2.5g/cm3以上の細骨材は粗粒A中に含まれているから、粗粒Aを回収することにより密度が2.5g/cm3以上の細骨材の収率を高めることができる。
(実施形態2)
火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法及び装置の別の実施形態を説明する。
図2は、本発明の乾式分離方法に用いて好適な乾式分離装置の一例を示す概略図である。なお、図2において、図1と同一部材については同一符号を付している。したがって、本実施形態において、先に実施形態1で説明したのと同一の部材についての重複する説明は省略する。また、図示したふるい4の代わりに、原料である普通シラスの粒径を5mm以下に粉砕する機械を用いることもできる。
図2に示した乾式分離装置が図1に示した乾式分離装置と相違する点は、粗粒回収用のサイクロン分級機群12〜14に普通シラスを供給するロータリーフィーダ20を有している点である。原料の普通シラスの水分が概ね4パーセント未満である場合には、サイクロン解砕機11A〜11Cを経由して乾燥させなくても、粗粒回収用のサイクロン分級機群12〜14内をスムーズに循環させることができ、粗粒回収用のサイクロン分級機群12〜14内を循環する過程で乾燥させることができる。そこで、定量的に供給が可能なロータリーフィーダ20により普通シラスを、サイクロン分級機13の頂部に供給する。
ロータリーフィーダ20は、密閉性が高く、空気による搬送を必要とせずにシラス原料を定量的に供給できる。ロータリーフィーダ20からサイクロン分級機13の上部に投入された普通シラスは、管路17Fから気流に乗って、サイクロン分級機14に送られる。サイクロン分級機14で遠心分離により単粒子化した微粉は、オーバーフロー分として上方の管路17Hに搬送される。細粒と微粉が分離しきれず、それらが付着した粗粒や凝集体は、解砕した単粒子とともに管路17Dを経て、サイクロン分級機13で遠心分離される。サイクロン分級機13において、下方に落下した粗粒は、サイクロン解砕機11Aの吸気口から導入されてサイクロン解砕機11A〜11Cを経て流れてきた気流と接触し、管路17Cを経て、サイクロン分級機12に送られる。その後は、実施形態1で述べたのと同様に、サイクロン分級機の循環経路システムにより、管路中で普通シラスの解砕と分離を繰り返してサイクロン分級機12から細骨材が分離される。
原料の普通シラスの水分が概ね4パーセント未満である場合に、普通シラスの供給はロータリーフィーダ20に限るものではない。普通シラスの一部又は全部を、サイクロン解砕機群11A〜11Cを経由させることもできる。また、原料の普通シラスの水分が概ね4パーセント以上である場合に、普通シラスはサイクロン分級機群12〜14を経由させることに限るものではない。普通シラスの一部をロータリーフィーダ20から供給することもできる。
図2に示した本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置によれば、図1に示した実施形態1の乾式分離方法及び乾式分離装置と同様に、普通シラスを粗粒と細粒と微粉とに分離することができ、更に細粒を粒径0.3mm超えと粒径0.3mm以下に分離することができる。
図3は、図1の変形例であり、サイクロン解砕機を、サイクロン解砕機11A、11B、11C、11D及び11Eの合計5個を有する例である。図1及び図3から分かるように本発明の乾式分離装置において、サイクロン解砕機の個数は問わない。
図4は、図2の変形例であり、サイクロン分級機を、サイクロン分級機12、13、14、31及び32の合計5個を有する例である。図2及び図4から分かるように本発明の乾式分離装置において、サイクロン分級機の個数は2個以上であれば問わない。
図5は、図3の変形例と図4の変形例との組み合わせの例であり、サイクロン解砕機を、サイクロン解砕機11A、11B、11C、11D及び11Eの合計5個を有し、サイクロン分級機を、サイクロン分級機12、13、14、31及び32の合計5個を有する例である。
(実施形態3)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法の一実施形態を説明する。
図6は、本発明の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置の一例を示す概略図である。図6において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
図6に示す乾式分離装置は、エアテーブル式の比重差選別装置21を備えている。比重差選別装置21は、多孔板21a及び振動装置21gを有し、水平方向から所定の角度で傾斜させた多孔板21aを振動装置21gにより振動させつつ下方から多孔板21aに向けて風胴21h内の送風ファン21bにより送風するエアテーブル式の比重差選別装置である。比重差選別装置21の原理を図7に示す模式図を用いて説明する。
多孔板21aは、水平方向から所定の角度で傾斜している。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は、おおよそ3〜10mmである。また多孔板21aには所定形状の孔を多数有している。多孔板21aは、偏心クランクによる振動装置21gにより下手側から上手側に向けてサイクロイド又はそれに近似した曲線状に送り出してすぐ引っ込めるような独特の前後長±3〜7mmの独特な振動運動が可能であり、鋸刃状の凹部に引っかかった重比重分を上方に押し出す力を加えることが可能になっている。振動装置21gにより多孔板21aを振動させつつ多孔板21aの孔に向けて風胴21h内の送風ファン21bにより送風可能になっている。多孔板21aの上面に複数比重粉の混合物が供給されると、比重の重たい粉(図7中黒丸印で示す)、多孔板21aの上面の鋸刃状の凹凸に引っ掛かりつつ、振動装置21gによる多孔板21aの振動により多孔板21aの上手に向かって移動する。比重の軽い粉は多孔板21aの孔を通した気流により舞い上がる。舞い上がった比重の軽い粉のうち、比較的比重が重たい粉(図7中白丸印で示す)は多孔板21aの下手に向かって移動する。舞い上がった比重の軽い粉のうち、比較的比重が軽い粉(図7中点で示す)は気流に乗って比重差選別装置21外に搬送される。
したがって、比重差選別装置21に、普通シラスを供給して、多孔板21aを振動させつつ下方から多孔板21aに向けて送風することにより、多孔板21aの上手側に重比重分を、下手側に軽比重分を選別することができる。また、多孔板21aに供給された普通シラスのうちの粒度が小さいもの(以下「集塵分」という。)は、送風により多孔板21aから浮上する。また、多孔板21aに供給された普通シラスの一部は多孔板21aの孔を通って落下する。
多孔板21aは、普通シラスのうち密度2.5g/cm3以上のものを重比重分として選別するように作業条件を設定する。作業条件の設定は、例えば時間当たりの原料供給量、送風量、多孔板21aの傾斜角度、多孔板21aの孔の大きさ、孔の形状、孔の数、多孔板の凹凸の形状、多孔板21aの振動数、排出口21eに係る吸出風量等の少なくとも一つを調整することにより行う。
多孔板21aで選別された重比重分を、比重差選別装置21の排出口21cから排出させて回収する。回収された重比重分は、密度2.5g/cm3以上である。この重比重分は、JIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm3以上を満たし、そのまま細骨材として使用することができる。
多孔板21aで選別された多孔板落下分は、排出口21fから排出させて回収する。回収された多孔板落下分は、原料や作業条件によって密度2.5g/cm3以上とすることができる。この多孔板落下分は、JIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm3以上を満たす場合には、そのまま細骨材として使用することができる。
多孔板21aで選別された多孔板落下分が、密度2.5g/cm3以下である場合には、JIS A5308の「砂」で規定する細骨材として使用することはできない。この場合には、後述するように、多孔板落下分を更に比重差選別装置で比重分離を行うことができる(図9、10参照)。
多孔板21aで選別された軽比重分を、比重差選別装置21の排出口21dから排出させる。排出された軽比重分は、ベルトコンベア6及びベルトフィーダ9を経由して後述するふるい23にかけられる。
多孔板21aから浮上した集塵分を、比重差選別装置21の排出口21eに接続する管路7Aを経てサイクロン分級機22に導く。サイクロン分級機22は、集塵分から、より軽量な微粉をオーバーフロー分として分級する。アンダーフロー分のサイクロン回収分を、シラスバルーン原料または混和材原料として回収する。また、サイクロン分級機22のオーバーフロー分の微粉を、管路7Iを経てバグフィルタ16に導いて回収する。バグフィルタ16については、既に説明したとおりである。
ふるい23は、所定の網目の大きさを有している。ふるい23の網目は例えば300μmとすることができる。ふるい23に、比重差選別装置21の軽比重分を導いて、ふるい上とふるい下とに分ける。
比重差選別装置21の軽比重分は粒径0.3mm以上の軽石を含んでいる。この粒径0.3mm以上の軽石は、軽量骨材として有用である。そこで、ふるい23により粒径0.3mmでふるい分けすることで、軽量骨材を回収することができる。
また、ふるい23のふるい下は、粒径0.3mm未満の火山ガラス材である。特に火山噴出物堆積鉱物が本実施形態のようにシラスである場合には、粒径0.3mm未満の火山ガラス材は、加熱により発泡するので、パーライト原料又はシラスバルーン原料として有用である。本実施形態の乾式分離方法は、比重差選別装置21により粒径が0.05mm以下の微粉を予め分級していることから、ふるい23のふるい下は微粉をほとんど含んでいない。したがって、ふるい23のふるい下は発泡性が良好なシラスバルーン原料を得ることができる。
比重差選別装置21の軽比重分における粒径0.3mm未満の火山ガラスを活用するに当たり、必ずしもふるい23にかけることを要しない。図8は、図6の変形例である。図8に示す乾式分離装置は、ふるい23を有してない。
図8に示すように、軽比重分は、ふるい23により粒径0.3mmでふるい分けしなくても、JIS A5002「構造用軽量コンクリート骨材」の規格に適合する場合には、ふるい23を省いて、簡素化して軽量骨材を回収することができる。
図6及び図8に示した本実施形態の乾式分離方法によれば、比重差選別装置21を用いて普通シラスを重比重分Dと軽比重分Eとを微粉Fとに分離することができ、更に軽比重分をふるい23により例えば粒径0.3mm超え(E1)と粒径0.3mm以下(E2)に分離することができる。密度2.5g/cm3以上の細骨材は重比重分D中に含まれているから、重比重分Dを回収することにより密度が2.5g/cm3以上の細骨材の収率を高めることができる。
本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置は、実施形態1や実施形態2の乾式分離方法で用いたサイクロン解砕機やサイクロン分級機を有していないため、サイクロン解砕機やサイクロン分級機による原料の乾燥は期待できない。もっとも、原料をふるい4で礫分を分離する前に、乾燥機による強制乾燥により多大なコストを費やして含水率を概ね2%未満に乾燥させなくても、太陽光の差し込む屋内に数cm敷き詰めて数日以上放置して、一定間隔をおいて天地返しをして乾燥させるなど、別の経済的な乾燥手段により原料をある程度乾燥させ、原料の普通シラスの含水率を概ね2%以下に低減することにより、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置を効率よく実施することができる。ここで、原料の普通シラスの含水率が2%を超す場合でも、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置を実施することができるが、十分に乾燥した普通シラスの原料に比べて、分離効率は低減し、原料の普通シラスの含水率が多いほど、それらの分離効率は低減する。
(実施形態4)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法の一実施形態を、図9を用いて説明する。
図9は、本発明の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置の一例を示す概略図である。図9において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
図9に示す乾式分離装置は、一段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Aと二段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Bとの合計2台の比重差選別装置を備えている。一段目の比重差選別装置21Aは実施形態3で説明した比重差選別装置21と同じ構造及び作業条件とすることができる。
一段目の比重差選別装置21Aの多孔板21aの孔を通って落下した粗粒は、その孔径以下に粒径制御されているが、密度2.5g/cm3以上の重鉱物を含む重比重分を主成分とする場合が多く、火山ガラス分と若干の軽石分と微粉を含んでいるので、原料や分離条件によって密度2.5g/cm3以下となる場合がある。
この場合、この多孔板落下分から密度2.5g/cm3以上の重鉱物を選別するために、二段目のエアテーブルで比重選別する。
一段目の比重差選別装置21Aの多孔板21aから落下した多孔板落下分を、ベルトフィーダ8を経由して二段目の比重差選別装置21Bに供給して選別する。二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aは、普通シラスのうち密度2.5g/cm3以上のものを重比重分として選別するように作業条件を設定する。もっとも、二段目の比重差選別装置21Bは、一段目の比重差選別装置21Aとは、作業条件を異ならせることができる。例えば時間当たりの原料供給量、送風量、多孔板21aの傾斜角度、多孔板21aの孔の大きさ、孔の形状、孔の数、多孔板の凹凸の形状、多孔板21aの振動数、排出口21eに係る吸出風量等の少なくとも一つを一段目の比重差選別装置21Aとは異ならせることができる。具体的に、本実施形態では一段目の多孔板の孔径を1mm(1mmメッシュ)としているのに対して、二段目の多孔板の孔径を105μm(150メッシュ)としている。
ただし、一段目の多孔板に関しては、1mmの孔径に限定されるものでなく、2〜0.5mmの孔径を選択することができる。また、二段目の多孔板の孔径に関しても、105μmに限定されるものでなく、75〜500μmの孔径を選択することができる。
本実施形態の乾式分離方法は、二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aで選別された重比重分を、比重差選別装置21Bの排出口21cから排出させて回収する。回収された重比重分は、密度2.5g/cm3以上である。この重比重分は、JIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm3以上を満たし、そのまま細骨材として使用することができる。
二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aで選別された軽比重分を、比重差選別装置21Bの排出口21dから排出させる。排出された軽比重分は、ベルトフィーダ9を経由して後述するふるい23にかけられる。
二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aから浮上した集塵分を、比重差選別装置21Bの排出口21eに接続する管路7Bを経てサイクロン分級機22に導く。サイクロン分級機22は、既に説明したとおりである。
二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aの孔を通って落下した細粒を、比重差選別装置21Bの排出口21fから排出させて、シラスバルーン原料または混和材原料として回収する。二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aの孔径などの作業条件の違いや原料の種類によっては、多孔板21aの孔を通って落下し、排出口21fから排出した細粒が、JIS A5002「構造用軽量コンクリート骨材」の規格に適合する場合があり、この場合には、当該細粒を軽量骨材として回収することができる。
二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aの孔を通って排出口21fから排出された多孔板落下分は、原料や作業条件によっては、密度2.5g/cm3以上のものが回収される場合がある。この場合は、多孔板落下分を細骨材Dに混ぜて使用することができる。
ふるい23は、所定の網目の大きさを有している。ふるい23の網目は例えば300μmとすることができる。ふるい23に、一段目の比重差選別装置21Aの軽比重分と、二段目の比重差選別装置21Bの軽比重分とを導いて、ふるい上とふるい下とに分ける。
一段目の比重差選別装置21Aの軽比重分及び二段目の比重差選別装置21Bの軽比重分は粒径0.3mm以上の軽石を含んでいる。この粒径0.3mm以上の軽石は、軽量骨材として有用である。そこで、ふるい23により粒径0.3mmでふるい分けすることで、軽量骨材を回収することができる。
また、ふるい23のふるい下は、粒径0.3mm未満の火山ガラスである。特に火山噴出物堆積鉱物が本実施形態のようにシラスである場合には、粒径0.3mm未満の火山ガラスは、加熱により発泡するので、パーライト原料又はシラスバルーン原料として有用である。本実施形態の乾式分離方法は、一段目の比重差選別装置21Aと二段目の比重差選別装置21Bの排出口21eにより粒径が概ね0.05mm以下の微粉を予め多く分級していることから、ふるい23のふるい下は微粉をほとんど含んでいない。したがって、ふるい23のふるい下は発泡性が良好なパーライト原料又はシラスバルーン原料を得ることができる。
一段目の比重差選別装置21Aの軽比重分及び二段目の比重差選別装置21Bの軽比重分における粒径0.3mm未満の火山ガラスを活用するに当たり、必ずしもふるい23にかけることを要しない。図10は、図9の変形例である。図10に示す乾式分離装置は、ふるい23を有してない。
図10に示すように、軽比重分は、ふるい23により粒径0.3mmでふるい分けしなくても、JIS A5002「構造用軽量コンクリート骨材」の規格に適合する場合には、ふるい23を省いて、簡素化して軽量骨材を回収することができる。
図9及び図10に示した本実施形態の乾式分離方法によれば、図6、図8で示した実施形態3の効果を有するばかりでなく、一段目の比重差選別装置21A及び二段目の比重差選別装置21Bを使用することにより、収率及び選別能力を高めることができる。よって回収された重比重分Dの割合を向上させることができ、ひいては密度が2.5g/cm3以上の細骨材の収率をより高めることができる。
二段目の比重差選別装置21Bは、必ずしも別個の装置である場合に限られない。一段目の比重差選別装置21Aを用いて所定量の乾式分離作業を行ったのち、その比重差選別装置21Aの多孔板を交換して、二段目の比重差選別装置21Bの代わりに用いることもできる。
(実施形態5)
本実施形態の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置は、図9に示した例では一段目の比重差選別装置21Aの多孔板21aから浮上した集塵分と二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aから浮上した集塵分を、排出口21eに接続する管路7A及び7Bを経て一つのサイクロン分級機22に導き、火山ガラス材細粒E2を分離回収し、バグフィルタ16により火山ガラス材微粉Fを分離回収している。
一段目の比重差選別装置21Aと二段目の比重差選別装置21Bは、同じ性能の装置を図9のように2段連結して用いる場合もあるが、投入する原料の性質や装置として多孔板21aの傾斜角度、多孔板21aの孔の大きさ、孔の形状、孔の数、多孔板の凹凸の形状、多孔板21aの振動数、排出口21eに係る吸出風量等の少なくとも1つ以上の作業条件を変更して用いる場合が多い。そのため、二段式の比重差選別装置からなる比重分離をより高精度に行うためには、上記の作業条件を細かく高精度に制御する必要がある。
比重差選別装置における分離性能は、排出口21eに係る吸出風量にも影響を受けることが分かっている。図9における排出口21eに係る管路7Aと管路7Bに係る吸出風量は、サイクロン分級機22とバグフィルタ16及び排気ブロワ18の性能と運転条件により、配管内に設置されたバタフライバルブなどで7Aまたは7Bに係る吸出風量をいずれか調整しようとするとお互いに影響してしまい、一段目と二段目の吸出風量の微調整が困難な場合がある。そこで、一段目と二段目でそれぞれ独立してサイクロン分級機とバグフィルタ及び排気ブロワが操作できれば、高精度な比重分離が可能となる。そこで、図9の二段式の比重分離装置に、サイクロン分級機22とバグフィルタ16と排気ブロワ18を1セット追加した本実施形態の変形例を図10に示す。
図10において、一段目の比重差選別装置を21D、二段目の比重差選別装置を21Eとしている。一段目の比重差選別装置21Dの軽比重分及び二段目の比重差選別装置21Eの軽比重分は、粒径0.3mm以下の火山ガラスを含んでいるが、図10においては、ふるい23によるふるい分けをしていない。ふるい23により粒径0.3mmでふるい分けしなくても、JIS A5002「構造用軽量コンクリート骨材」の規格に適合する場合には、ふるい23を省いて、図10に示した変形例のように簡素化して軽量骨材E1を回収することができる。もっとも、図10において、ふるい23により例えば粒径0.3mmでふるい分けをしてもよい。
また、図9、図10において、二段目の比重差選別装置21Eの作業条件によっては、排出口21fから排出される多孔板落下分の排出量をゼロにすることも可能であり、この場合、二段目の比重差選別装置21Eでは多孔板落下分を選別する必要がなく、二段目の比重差選別装置21Eとそれに連結させたサイクロン分級機22Bとバグフィルタ16Bにより、重比重分、軽比重分、集塵分(サイクロン回収分、バグフィルタ回収分)の合計4分割の選別にして簡素化することができる。
(実施形態6)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法の一実施形態を、図11を用いて説明する。
図11は、本発明の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置の一例を示す概略図である。図11において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
図11に示す乾式分離装置は、一段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Dと二段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Eとの合計2台の比重差選別装置を備えている。一段目の比重差選別装置21Dは実施形態3で説明した比重差選別装置21と同じ構造及び作業条件とすることができる。
原料や作業条件によって、一段目の比重差選別装置21Dの排出口21dから排出される軽比重分に、密度2.5g/cm3以上の細骨材が混入している場合がある。この場合には、図11に示した本実施形態のように、一段目の比重差選別装置21Dで選別された軽比重分を、二段目の比重差選別装置21Eに供給して、当該比重差選別装置21Eで、重比重分、多孔板落下分、軽比重分、集塵分(サイクロン回収分、バグフィルタ回収分)に分離回収することができる。
また、図11において、二段目の比重差選別装置21Eの作業条件によっては、排出口21fから排出される多孔板落下分の排出量をゼロにすることも可能であり、この場合、二段目の比重差選別装置21Eでは多孔板落下分を選別する必要がなく、二段目の比重差選別装置とそれに連結させたサイクロン分級機22Bとバグフィルタ16Bにより、重比重分、軽比重、集塵分(サイクロン回収分、バグフィルタ回収分)の合計4分割の選別にして簡素化することができる。
ここで、二段目の比重差選別装置21Eは実施形態3で説明した比重差選別装置21と同じ構造及び作業条件とすることができる。
(実施形態7)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法の一実施形態を、図12を用いて説明する。
図12は、本発明の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置の一例を示す概略図である。図12において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
図12に示す乾式分離装置は、一段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Dと二段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Eとの合計2台の比重差選別装置を備えている。一段目の比重差選別装置21Dは実施形態3で説明した比重差選別装置21と同じ構造及び作業条件とすることができる。
原料や作業条件によって、一段目の比重差選別装置21Dの排出口21eから排出されるサイクロン回収分に、粒径0.3mm以上の軽石が混入している場合がある。この場合には、図12に示した本実施形態のように、一段目の比重差選別装置21Dで選別された集塵分のうちサイクロン分級機で回収されたサイクロン回収分を、二段目の比重差選別装置21Eに供給して、当該二段目の比重差選別装置21Eで、重比重分、多孔板落下分、軽比重分、集塵分(サイクロン回収分、バグフィルタ回収分)に分離回収することができる。
また、二段目の比重差選別装置21Eの作業条件によっては、排出口21fから排出される多孔板落下分の排出量をゼロにすることも可能であり、二段目の比重差選別装置とそれに連結させたサイクロン分級機22Bとバグフィルタ16Bにより、重比重分、軽比重、集塵分(サイクロン回収分、バグフィルタ回収分)の合計4分割の選別にして簡素化することができる。
本実施形態の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置は、図9に示した例では一段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Aと二段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Bとの合計2台の比重差選別装置21を備えている。
図10から図12に示した例では一段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Dと二段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Eとの合計2台の比重差選別装置21を備えている。
もっとも、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置は、比重差選別装置が合計2台に限定されず、合計3台以上であってもよい。例えば、1段目の比重差選別装置による重比重分Dの密度が2.5g/cm3以上にならなかった場合や、2段目の比重差選別装置による重比重分Dまたは多孔板落下分の密度が2.5g/cm3以上にならなかった場合等においては、3段目の比重差選別装置によって重比重分Dの密度を2.5g/cm3を確実にすることができるので好ましい。また、原料の水分が多い場合や、1段目又は2段目の比重差選別装置において重比重分と軽比重分との分離が不十分な場合や、原料の鉱物組成(結晶質と火山ガラス質の比率)が実施例と大きく異なる場合等においても、3段目の比重差選別装置又はそれ以上の比重差選別装置を備える乾式分離装置を用いて乾式分離方法を行うことができる。
(実施形態8)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法及び乾式分離装置の一実施形態を説明する。図13は、本発明の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置の一例を示す概略図である。図13において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
図13に示す乾式分離装置は、気流分級装置10を備えている。この気流分級装置10は、粗粒回収用のサイクロン分級機群12〜14と、細粒回収用のサイクロン分級機15と、サイクロン分級機に連結した微粉回収用のバグフィルタ16とを有している。より詳しくは、気流分級装置10は、複数のサイクロン解砕機11A、11B、11Cと複数のサイクロン分級機12〜15と、バグフィルタ16とを備えるとともに、これらを接続する管路17A〜17Iを備えている。この乾式分離装置は、更に一段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Aと二段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Bとの合計2台の比重差選別装置21を備えている。
図13に示した気流分級装置10は、実施形態1及び実施形態2で説明した気流分級装置10と同じである。なお、サイクロン解砕機の個数は図示した3個に限られず、また、粗粒回収用のサイクロン分級機群のサイクロン分級機の個数も図示した3個に限られない。
気流分級装置10は、ロータリーフィーダ20を有していて、普通シラスの水分に応じて、ロータリーフィーダ20からサイクロン分級機13に普通シラスを供給するか、サイクロン解砕機11Aに普通シラスを供給するか、又は両方から普通シラスを供給するかを選択できるようにしている。普通シラスは乾燥させない場合、20%程度の水分を有している。原料の普通シラスが10〜20%程度の水分を有する場合には、サイクロン解砕機11Aに普通シラスを供給して、サイクロン解砕機11A〜11Cで解砕及び乾燥させるのが好ましい。原料の普通シラスが10〜4%程度の水分を有する場合には、サイクロン解砕機11A〜11Cを用いたり、ロータリーフィーダ20とサイクロン解砕機11A〜11Cとを併用したりすることができる。原料の普通シラスが4%未満の水分を有する場合には、ロータリーフィーダ20から普通シラスを供給してサイクロン分級機13に供給することができる。
図示したふるい4により粒径5mm超の礫分が、ふるい上として除去され、残部がふるい下として気流分級装置10に供給される。ふるい4の代わりに、原料である普通シラスの粒径を5mm以下に粉砕する機械を用いることもできる。
気流分級装置10による普通シラスの分級は、実施形態1及び実施形態2で説明した気流分級装置10と同じであり、サイクロン分級機12により粒径0.3〜5mm程度(平均粒径0.4mm程度)の粗粒を回収し、サイクロン分級機15により粒径が0.05〜0.3mm程度(平均粒径0.1mm程度)の細粒を回収し、バグフィルタ16により粒径0.05mm以下(平均粒径0.033mm程度)の微粉を回収する。
粗粒は、一段目の比重差選別装置21Aに供給する。一段目の比重差選別装置21Aと二段目の比重差選別装置21Bは、実施形態4で説明した一段目の比重差選別装置21A及び二段目の比重差選別装置21Bと同様の構造及び作業条件とすることができる。
本実施形態の乾式分離方法に用いられる乾式分離装置は、図13に示した例では一段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Aと二段目のエアテーブル式の比重差選別装置21Bとの合計2台の比重差選別装置21を備えている。もっとも、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置は、比重差選別装置が合計2台に限定されず、合計3台以上であってもよい。例えば、1段目の比重差選別装置による重比重分Dの密度が2.5g/cm3以上にならなかった場合や、2段目の比重差選別装置による重比重分Dの密度が2.5g/cm3以上にならなかった場合等においては、3段目の比重差選別装置によって重比重分Dの密度を2.5g/cm3を確実にすることができるので好ましい。また、原料の水分が多い場合や、1段目又は2段目の比重差選別装置において重比重分と軽比重分との分離が不十分な場合や、原料の鉱物組成(結晶質と火山ガラス質の比率)が実施例と大きく異なる場合等においても、3段目の比重差選別装置又はそれ以上の比重差選別装置を備える乾式分離装置を用いて乾式分離方法を行うことができる。
一段目の比重差選別装置21Aの多孔板21aで選別された重比重分を、比重差選別装置21Aの排出口21cから排出させて回収する。回収された重比重分Dは、密度2.5g/cm3以上である。この重比重分Dは、JIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm3以上を満たし、そのまま細骨材として使用することができる。
一段目の比重差選別装置21Aの多孔板21aで選別された軽比重分を、比重差選別装置21Aの排出口21dから排出させる。排出された軽比重分は、ベルトコンベア6及びベルトフィーダ9を経由して後述するふるい23にかけられる。
一段目の比重差選別装置21Aの多孔板21aから浮上した集塵分を、比重差選別装置21Aの排出口21eに接続する管路7Aを経てサイクロン分級機22に導く。サイクロン分級機22は、集塵分から、より軽量な微粉をオーバーフロー分として分級する。アンダーフロー分のサイクロン回収分を、シラスバルーン原料又は混和材原料E2として回収する。また、サイクロン分級機22のオーバーフロー分の微粉を、管路17Iに接続する管路7Cを経てバグフィルタ16に導いて回収する。バグフィルタ16については、既に説明したとおりである。
一段目の比重差選別装置21Aの多孔板21aから落下した普通シラスを、二段目の比重差選別装置21Bに供給して選別する。
二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aで選別された重比重分Dを、比重差選別装置21Bの排出口21cから排出させて回収する。回収された重比重分Dは、密度2.5g/cm3以上である。この重比重分は、JIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm3以上を満たし、そのまま細骨材として使用することができる。
二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aで選別された軽比重分を、比重差選別装置21Bの排出口21dから排出させる。排出された軽比重分は、ベルトフィーダ9を経由して後述するふるい23にかけられる。
二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aから浮上した集塵分を、比重差選別装置21Bの排出口21eに接続する管路7Bを経てサイクロン分級機22に導く。サイクロン分級機22は、既に説明したとおりである。サイクロン分級機22のオーバーフロー分の微粉を、管路17Iに接続する管路7Cを経てバグフィルタ16に導き、バグフィルタ16により微粉Fを回収する。微粉Fは、主に火山ガラスよりなり、ポゾラン効果を有する混合セメント原料、より具体的には混和材又はその原料として有用である。
二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aの孔を通って落下した細粒を、比重差選別装置21Bの排出口21fから排出させて、シラスバルーン原料又は混和材原料E2として回収する。二段目の比重差選別装置21Bの多孔板21aの孔径によっては、多孔板21aの孔を通って落下し、排出口21fから排出した細粒が、JIS A5002「構造用軽量コンクリート骨材」の規格に適合する場合があり、この場合には、当該細粒を軽量骨材として回収することができる。
ふるい23は、所定の網目の大きさを有している。ふるい23の網目は例えば300μmとすることができる。ふるい23に、気流分級装置10のサイクロン分級機15のアンダーフロー分の細粒と、一段目の比重差選別装置21Aの軽比重分と、二段目の比重差選別装置21Bの軽比重分とを導いて、ふるい上とふるい下とに分ける。
気流分級装置10のサイクロン分級機15のアンダーフロー分として分級された細粒は、主に火山ガラスであり、粒径0.3mm以上の軽石を含んでいる。この粒径0.3mm以上の軽石は、軽量骨材E1として有用である。また、一段目の比重差選別装置21Aの軽比重分及び二段目の比重差選別装置21Bの軽比重分もまた、粒径0.3mm以上の軽石を含んでいる。この粒径0.3mm以上の軽石は、軽量骨材E1として有用である。そこで、ふるい23により粒径0.3mmでふるい分けすることで、軽量骨材E1を回収することができる。
また、ふるい23のふるい下は、粒径0.3mm未満の火山ガラスである。特に火山噴出物堆積鉱物が本実施形態のようにシラスである場合には、粒径0.3mm未満の火山ガラスは、加熱により発泡するので、パーライト原料又はシラスバルーン原料又は混和材原料E2として有用である。本実施形態の乾式分離方法は、気流分級装置10により粒径が0.05mm以下の微粉を予め分級していることから、ふるい23のふるい下は微粉をほとんど含んでいない。したがって、ふるい23のふるい下は発泡性が良好なシラスバルーン原料E2を得ることができる。パーライト原料又はシラスバルーン原料E2は、更に粉砕して微粉Fにして、混和材に使用することができる。
本実施形態の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法は、普通シラスを気流分級装置10により粗粒と、細粒と、微粉とに分級し、次いで当該粗粒をエアテーブル式の一段目の比重差選別装置21Aにより重比重分と、軽比重分と、多孔板落下分と集塵分とに選別し、次いで二段目の比重差選別装置21Bにより重比重分と、軽比重分と、多孔板落下分と集塵分とに選別し、細粒とに軽比重分とをふるい分けすることにより、普通シラスを重比重分Dと、ふるい上E1と、ふるい下E2と、微粉Fとの4つに分離することができる。重比重分Dは、主に結晶鉱質よりなり、火山ガラスをほとんど含んでいない。したがって、重比重分Dは、密度が高く、2.5g/cm3を超える。また、ふるい上E1と、ふるい下E2と、微粉Fとは、主に火山ガラスよりなり、結晶鉱質をほとんど含んでいない。したがって、重比重分となり得る結晶鉱質が、ふるい上E1と、ふるい下E2と、微粉Fとに、ほとんど混入していない。よって、本実施形態の乾式分離方法によれば、密度が2.5g/cm3以上の細骨材の収率を高めることができる。また、重比重分は、粒径0.150mm以下の集塵分の含有量が少なく、JIS A5308の「砂」に規定された、0.15mm〜5mmの幅広い粒度分布の要求を満たしている。更に、重比重分は、吸水率の高い軽石のような多孔質粒子をほとんど含んでいないので、吸水率が細骨材として求められるJIS A5308の「砂」の基準を満たしている。
また、本実施形態の乾式分離方法によれば、重比重分Dは、細骨材として、ふるい上E1は火山ガラスのうちの軽量骨材として、ふるい下E2は火山ガラスのうちのパーライト原料又はシラスバルーン原料として、微粉Fは火山ガラスのうちの混和材又はポゾラン効果を有する混合セメント原料として、それぞれ有効活用でき、換言すれば、不要残分がない。
本実施形態の乾式分離方法によれば、比重差選別装置21で選別する前に、予め気流分級装置10により表面乾燥した粗粒と、細粒と、微粉とに分級していることから、比重差選別装置21に供給する粗粒には、多孔板21aの目詰まりを招く微粉がほとんど含まれておらず、よって目詰まりによる操業トラブルの発生を抑制することができる。また、比重差選別装置21による比重差選別は、選別する粉粒物の粒度分布幅が狭いほど選別し易いところ、本実施形態の乾式分離方法によれば、予め気流分級装置10により分級された粗粒のみを当該比重差選別装置21による比重差選別で選別することから、比重差選別装置21の選別能を高めることができる。
従来技術では、普通シラスの整粒に関して、2006年発行の「シラスを細骨材として用いるコンクリートの施工マニュアル(案)」でも、実用上、普通シラスの整粒が困難である理由が記載され、粒径0.15mm以下の集塵分を除去しない普通シラスの利用方法を提案していることからも、普通シラスの整粒は採算が合わないものであることが半ば常識化していたが、本発明により、低コストで高付加価値の整粒物を同時に多種類生産できた。
(細骨材)
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により得られた粗粒A又は重比重分Dは、密度が2.5g/cm3以上であり、細骨材に使用することができる。
なお、本発明の方法により得られた粗粒A又は重比重分Dが、細骨材として従来公知の川砂や海砂と相違する点は、粗粒A又は重比重分Dは、水棲生物の痕跡が無いことである。指標生物の水生植物またはプランクトン、微生物、貝類、両生類、甲殻類、魚の卵、鱗などの痕跡が全くないのが、本発明で得られる細骨材(砂)であり、水棲生物や植物の生態系の環境を破壊せずに環境負荷が少ないという利点を有している。シラスは、山砂の一種であるが、火砕流堆積物が天然の水で移動せず、入戸火砕流の発生した約3万年間前から陸上に整然と堆積し、一度も水の淘汰作用を受けていない、乱されていない状態で750億立方メートルという莫大な量存在している。これに対して鹿児島の川砂や海砂は、シラス台地が水の作用で、淘汰されてシラス中の磁鉄鉱、長石、石英、角閃石、輝石などの重鉱物粒子を中心に川底または海底に堆積したものであり、粘土分や微粉分は流失して環境に拡散してしまっている。よって起源は一緒であるが、生態系の環境負荷への影響が異なる。このような痕跡が有るか無いかを、生物学的又は植物学的に判定すれば、違いが明確である。
また、従来公知の海砂は、軽石を少し含む場合があり、塩分を含んでいるのに対して、本発明の方法により得られた細骨材(砂)は、約3万年前に地表に堆積した火砕流堆積物を乾式分離して得た重比重分である塩分を含まない無塩砂であり、塩分の有無でも海砂との違いは明確である。
更に、従来公知の川砂との違いは、淡水生物、淡水植物の痕跡があるかないかで、本発明の「砂」か否かの違いは明確である。
本発明の方法で得られた細骨材だけでなく、軽石や火山ガラス、微粉も同様な違いで判別できる。
(火山ガラス材)
また、本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により細骨材を分離して得られた残余の火山ガラス材は、ふるい分け及び集塵によって粒径別に0.3mm超え、0.05mm〜0.3mm、0.05mm未満の3種に分離することができる。このうち0.3mm超えのものは軽量骨材として使用でき、0.05mm〜0.3mmのものはパーライト原料又はシラスバルーン原料として又は更に粉砕して混和材として使用でき、0.05mm未満のものは、混和材として又は更に粉砕して超微細な混和材して使用できる。0.05mm〜0.3mmのものを更に粉砕した混和材や、0.05mm未満のものを更に粉砕した混和材は、よりポゾラン効果を有している。これらの粒径の火山ガラス材の粉砕をする装置は、振動ミルを例示することができる。振動ミルの他、ローラミル、JETミルなどの各種ミルを用いることもできる。
火山ガラス材のうち微粉回収用のバグフィルタによって回収された粒径0.05mm未満のものは、密度が2.30g/cm3以上であり、かつ、強熱減量が3.5%以下である。
また、上述した混和材、すなわち、火山噴出物堆積鉱物を本発明に従う乾式分離方法により分離して得られた粒径0.05mm未満のもの、分離して得られた粒径0.05mm〜0.3mmのものを粉砕したもの、得られた粒径0.05mm未満のものを更に粉砕して超微細にしたものと、ポルトランドセメントを混合した混合セメントは、普通セメントより耐海水性、耐温泉性、耐化学薬品性、緻密性、長期耐久性に優れ、また、ポゾラン効果を有している。混合セメントは、火山ガラス材とポルトランドセメントを混合したものを粉砕して製造した方が、2種類の粒子同士が均一に混合して乾燥し、更に、メカノケミカル反応と微粉末化の効果により反応性が高まり、より高強度を発現する混合セメントとなる。混合セメントに用いるために、粒径0.05mm〜0.3mmの火山ガラス材を粉砕したり、粒径0.05mm未満の火山ガラス材を更に粉砕して超微細にしたりするときの粉砕をする装置は、振動ミルを例示することができる。振動ミルの他、ローラミル、JETミルなどの各種ミルを用いることもできる。
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により細骨材を分離して得られた残余の火山ガラス材であって、分離された粒径0.05mm以上の火山ガラス材を、そのまま又は粉砕した後、焼成膨張させてパーライトを得ることができる。粒径0.05mm以上の火山ガラス材は、火山ガラス材のうちバグフィルタ16により回収された粒径0.05mm以下の微粉を除いた分であり、具体的には、気流分級装置10により回収された細粒や、比重差選別装置21により選別された軽比重分などである。かかるパーライト原料は、前述したふるい23のふるい下E2に限られず、ふるい上E1の「軽石」を、ふるい下E2とは別途に又はふるい下E2と一緒に、用いることができる。ふるい上E1の「軽石」を焼成発泡することにより、軽量骨材よりも軽量化した、大粒のJIS A5007相当の軽石「パーライト」になる。
この粒径0.05mm以上の火山ガラス材は、ふるい23によりふるい上とふるい下とにふるい分けしてもよいし、ふるい分けをしなくてもよい。また、粒径0.05mm以上の火山ガラス材は、必要に応じて粉砕してもよい。更に、0.105mm以上のものを原料に使用してパーライトを得るように、0.105mm以上と0.105mm未満とを、ふるい分け等の選別手段により選別してもよい。
分離された粒径0.05mm以上の火山ガラス材をそのまま、又は粉砕した後、焼成することにより膨張させて、パーライトが得られる。火山ガラス材は、火炎中または高温雰囲気下の焼成で膨張・発泡し、平均粒径が1.5倍ほど増加する。例えば、0.105mmの火山ガラス材は焼成により膨張して粒径0.15mm程になる。焼成により得られたパーライトは、JIS A5007に規定する粒度を満たしたパーライトである。
パーライトを得る際の焼成は、静置式竪型炉や水平回転炉(ロータリーキルン)を用いることができる。
本発明の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法により細骨材を分離して得られた残余の火山ガラス材のうちの粒径0.05mm以上のものを、そのまま又は粉砕した後、焼成膨張させて得られたパーライトは、発泡しない重比重分の結晶質(磁鉄鉱、長石、石英、輝石、角閃石など)が、取り除かれた高純度火山ガラスであるため、不良品となる無駄な結晶質に焼成時にエネルギーを加えるロスを無くして、化石燃料を効率よく使って無駄のないパーライトが製造できる。また、不良品の混入が最小限なので、JIS A5007相当の「パーライト」製品としての品質が向上する。更に、焼成炉として例えば移動が容易で、構造が簡単で、低コストである静置式竪型炉を用いることができ、この静置式竪型炉の直下バーナーの火炎の上から、高純度火山ガラス材(0.105mm以上+軽石)を直接流し込むだけの簡単な方法で、JIS A5007相当のパーライトが製造できる。また更に、僅かに含まれる重比重物(結晶鉱物)や未発泡(発泡の程度が小さい)の火山ガラス原料などの不良品は、焼成炉の直火バーナーの下に重力分離されるので、排気ガスとともにサイクロンで回収されるシラスパーライト製品の品質が向上する竪型炉との組み合わせ効果が、より発揮できる。
次に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(参考例1)
図1に示した実施形態1の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラス(含水率4.6%)を目の開き5mmのふるい4で選別したものを用いた。普通シラスである串良シラスの5mmふるい下は、密度が2.37g/cm3であった。
ふるい4で選別した串良シラスを、サイクロン解砕機11Aの投入口から27.3kg/hの投入速度で投入したところ、投入口では排気ブロワ18に起因する管路17A〜17Iへの吸引力が働き、詰まりのないスムーズかつ大量の原料投入が可能であった。
普通シラスはサイクロン解砕機11A〜11Cを経て、サイクロン分級機12で粗粒Aを回収した。粗粒Aの平均粒径は1.52mm、含水率は3.5%、比重は2.50であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する密度2.50g/cm3以上の粗粒Aの質量百分率は12.0%であった。これは、細骨材に使用できる密度2.50g/cm3以上の粗粒の収率が12.0%であったことを意味する。
粗粒以外はサイクロン分級機13、14及び管路17D〜17Hを経てサイクロン分級機15に送られた。サイクロン分級機15において、細粒を回収した。細粒を網目300μmのふるい19によりふるい分けした。ここで、開口12aのフランジ継手の間の隙間は1.8mm、開口15aのフランジ継手の間の隙間は0mmとした。細粒のうち、ふるい上の部分B1は、含水率は2.3%、密度は1.54g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい上の部分B1の質量百分率は8.4%であった。
また、ふるい下の部分B2は、平均粒径は0.16mm、含水率は1.2%、比重は2.40g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい下の部分B2の質量百分率は74.4%であった。
細粒以外の微粉は、気流に搬送されて、管路17Iを経てバグフィルタ16において、微粉Cを回収した。バグフィルタ16のろ布を通過した搬送気流は、排気ブロワ18で排出された。
この微粉Cの平均粒径は0.0033mm、含水率は3.0%、密度は2.48g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する微粉Cの質量百分率は2.4%であった。
なお、粗粒Aの質量百分率と、ふるい上の部分B1の質量百分率と、ふるい下の部分B2の質量百分率と、微粉Cの質量百分率を合計しても100%にならないのは、装置内に2.8%が残留したからである。
(参考例2)
図2に示した実施形態2の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラスを乾燥させたもの(含水率2.3%)を目の開き5mmのふるい4で選別したものを用いた。普通シラスである串良シラスの5mmふるい下は、密度が2.37g/cm3であった。
ふるい4で選別した串良シラスを、ロータリーフィーダ20からサイクロン分級機13に20.4kg/hの投入速度で投入した。この普通シラスは含水率が低かったためサイクロン解砕機群を経なくてもサイクロン分級機で分級できた。ここで、開口12aのフランジ継手の間の隙間は1.8mm、開口15aのフランジ継手の間の隙間は0mmとした。
普通シラスはサイクロン分級機12で粗粒Aを回収した。粗粒Aの密度は2.51g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する密度2.50g/cm3以上の粗粒Aの質量百分率は11.0%であった。これは、細骨材に使用できる密度2.50g/cm3以上の粗粒の収率が11.0%であったことを意味する。
粗粒以外はサイクロン分級機13、14及び管路17D〜17Hを経てサイクロン分級機15に送られた。サイクロン分級機15において、細粒を回収した。細粒を網目300μmのふるい19によりふるい分けした。細粒のうち、ふるい上の部分B1は、含水率は1.7%、密度は1.53g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい上の部分B1の質量百分率は8.6%であった。
また、ふるい下の部分B2は、平均粒径は0.173mm、含水率は0.8%、密度は2.40g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい下の部分B2の質量百分率は75.1%であった。
細粒以外の微粉は、気流に搬送されて、管路17Iを経てバグフィルタ16において、微粉Cを回収した。バグフィルタ16のろ布を通過した搬送気流は、排気ブロワ18で排出された。
この微粉Cの平均粒径は0.0036mm、含水率は1.8%、密度は2.47g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する微粉Cの質量百分率は3.0%であった。
なお、粗粒Aの質量百分率と、ふるい上の部分B1の質量百分率と、ふるい下の部分B2の質量百分率と、微粉Cの質量百分率を合計しても100%にならないのは、装置内に2.3%が残留したからである。
(実施例1)
図6に示した実施形態3の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラスを105℃で24時間乾燥させたもの(含水率0.1%)を目の開き5mmのふるい4で選別したものを用いた。
この普通シラスをエアテーブル式の比重差選別装置21により重比重分と、軽比重分と、集塵分と、多孔板落下分とを選別した。作業条件は、普通シラスの供給速度が240kg/h、多孔板の孔径が1mm(1mmメッシュ)、振動装置による振動の振幅が±5mmで、振動させる偏心クランクの回転速度が495rpm、送風ファンの流量を37m3/min、多孔板の傾きを12.5°とした。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は5mmである。
比重差選別装置21の重比重分は、排出口21cから排出され、そのまま回収した。その乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する密度2.50g/cm3以上の重比重分のその質量百分率は0.6%であった。また、多孔板21aから落下した分は、排出口21fより排出され、重比重分に加えた。多孔板21aから落下した分は、乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する密度2.50g/cm3以上の質量百分率は19.3%であった。この重比重分に多孔板落下分を合わせた重比重分Dの、乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する質量百分率は19.9%であった。これは、細骨材に使用できる密度2.50g/cm3以上の粗粒の収率が19.9%であったことを意味する。
比重差選別装置21の軽比重分は、排出口21dから排出された。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する軽比重分の質量百分率は35.8%であった。軽比重分はふるい23にかけてふるい上E1とふるい下E2とにふるい分けした。ふるいの網目は300μmであった。
ふるい上の部分E1は、密度は1.43g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい上の部分E1の質量百分率は7.6%であった。
また、ふるい下の部分E2は、密度は2.33g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい下の部分E2の質量百分率は28.2%であった。
比重差選別装置21の集塵分は、排出口21eから排出された。集塵分は管路7Aを経てサイクロン分級機22により分級してから、オーバーフロー分を、管路7Iを経てバグフィルタ16に導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22のアンダーフロー分のサイクロン回収分はふるい下E2に加えた。微粉Fは、密度2.41g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する微粉Fの質量百分率は40.9%であった。
なお、重比重分Dの質量百分率と、ふるい上の部分E1の質量百分率と、ふるい下の部分E2の質量百分率と、微粉Fの質量百分率を合計しても100%にならないのは、装置内に3.4%が残留したからである。
(実施例2)
図9に示した実施形態4の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラスを105℃で24時間乾燥させたもの(含水率0.1%)を目の開き5mmのふるい4で選別したものを用いた。
この普通シラスを一段目の比重差選別装置21Aにより重比重分と、軽比重分と、集塵分と、多孔板落下分とを選別した。作業条件は、普通シラスの供給速度が355kg/h、多孔板の孔径が1mm(1mmメッシュ)、振動装置による振動の振幅が±5mmで、振動させる偏心クランクの回転速度が505rpm、送風ファンの流量を36m3/min、多孔板の傾きを13.5°とした。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は7mmである。
比重差選別装置21Aの重比重分は、排出口21cから排出され、そのまま回収した。その乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する密度2.50g/cm3以上の重比重分のその質量百分率は6.1%であった。
比重差選別装置21Aの軽比重分は、排出口21dから排出された。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する軽比重分の質量百分率は22.9%であった。軽比重分はベルトコンベア6及びベルトフィーダ9を経由してふるい23にかけてふるい上E1とふるい下E2とにふるい分けした。ふるいの網目は300μmであった。
比重差選別装置21Aの集塵分は、排出口21eから排出された。集塵分は管路7Aを経てサイクロン分級機22により分級してから、オーバーフロー分を、管路7Iを経てバグフィルタ16に導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22のアンダーフロー分はふるい下E2に加えた。微粉Fは、密度2.40g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する微粉Fの質量百分率は17.9%であった。
比重差選別装置21Aの多孔板落下分は、排出口21fより排出された。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する多孔板落下分の質量百分率は43.1%であった。
なお、比重差選別装置21Aに供給された粗粒に対して、比重差選別装置21A内に10.0%が残留した。
多孔板21aから落下した分を、ベルトフィーダ8を経由して二段目の比重差選別装置21Bに供給し、この二段目の比重差選別装置21Bにより重比重分と、軽比重分と、集塵分と、多孔板落下分とを選別した。作業条件は、原料(多孔板落下分)の供給速度が153kg/h、多孔板の孔径が105μm(150メッシュ)の金属ワイヤー製の織網、振動装置による振動の振幅が±5mm、振動させる偏心クランクの回転速度が493rpm、送風ファンの流量を28m3/min、多孔板の傾きを9°とした。
比重差選別装置21Bの重比重分は、排出口21cから排出され、一段目の比重差選別装置21Aより選別された重比重分Dに加えた。比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対する比重差選別装置21Bの重比重分の質量百分率は54.8%であった。
比重差選別装置21Bの軽比重分は、排出口21dから排出された。比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対する軽比重分の質量百分率は11.4%であった。
この軽比重分は排出口21dから排出され、ベルトフィーダ9を経由して一段目の軽比重分と共にふるい23にかけてふるい上E1とふるい下E2とにふるい分けした。ふるいの網目は300μmであった。
比重差選別装置21Bの集塵分は、排出口21eから排出された。集塵分は管路7Bを経てサイクロン分級機22により分級してから、オーバーフロー分を、管路7Iを経てバグフィルタ16に導いて微粉Fを回収した。比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対する微粉Fの質量百分率は15.6%であった。
サイクロン分級機22のアンダーフロー分はふるい下E2に加えた。二段目の比重差選別装置21Bの多孔板落下分は、排出口21fより排出され、ふるい下E2に加えた。比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対する比重差選別装置21Bの多孔板落下分の質量百分率は0.3%であった。
なお、比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対して、比重差選別装置21B内に17.9%が残留した。
一段目の比重差選別装置21Aの重比重分と二段目の比重差選別装置21Bの重比重分とを合わせた重比重分Dの密度は2.53g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する比重2.50g/cm3以上の重比重分Dの質量百分率は29.8%であった。これは、細骨材に使用できる比重2.50g/cm3以上の重比重分の収率が29.8%であったことを意味する。
ふるい上の部分E1は、密度は1.44g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい上の部分E1の質量百分率は8.8%であった。
また、ふるい下の部分E2は、密度は2.29g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい下の部分E2の質量百分率は19.0%であった。
微粉Fは、密度2.40g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する微粉Fの質量百分率は24.7%であった。
なお、重比重分Dの質量百分率と、ふるい上の部分E1の質量百分率と、ふるい下の部分E2の質量百分率と、微粉Fの質量百分率を合計しても100%にならないのは、装置内に17.7%が残留したからである。
(実施例3)
図13に示した実施形態8の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラス(含水率4.7%)を目の開き5mmのふるい4で選別したものを用いた。普通シラスである串良シラスの5mmふるい下は、密度が2.37g/cm3であった。
ふるい4で選別した串良シラスの一部を、サイクロン解砕機11Aの投入口から65.0kg/hの投入速度で投入したところ、投入口では排気ブロワ18に起因する管路17A〜17Iへの吸引力が働き、詰まりのないスムーズかつ大量の原料投入が可能であった。ここで、開口12aのフランジ継手の間の隙間は0mm、開口15aのフランジ継手の間の隙間は0.8mmとした。
普通シラスはサイクロン分級機12で粗粒Aを回収した。粗粒以外はサイクロン分級機12、13、14及び管路17D〜17Hを経てサイクロン分級機15に送られた。サイクロン分級機15において、細粒Bを回収した。細粒B以外の微粉は、気流に搬送されて、管路17Iを経てバグフィルタ16において、微粉Cを回収した。バグフィルタ16のろ布を通過した搬送気流は、排気ブロワ18で排出された。
粗粒Aの回収率は、71.2%、細粒Bの回収率は18.9%、微粉Cの回収率は9.9%であった。細粒Bは、ベルトフィーダ9を通じて、2段式のエアテーブル式の比重差選別装置における軽比重分と合わされて300μmのふるい23で、選別される。細粒Bの18.9%に限ってのふるい23によるふるい選別の内割は、その粒径0.3mm以上の軽石の回収率は2.5%、粒径0.3mm以下の火山ガラスの回収率は16.4%であった。
粗粒Aを一段目の比重差選別装置21Aにより重比重分と、軽比重分と、集塵分と、多孔板落下分とを選別した。作業条件は、粗粒Aの供給速度が300kg/h、多孔板の孔径が1mm(1mmメッシュ)、振動装置による振動の振幅が±5mm、振動させる偏心クランクの回転速度が505rpm、送風ファンの流量を28m3/min、多孔板の傾きを13°とした。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は7mmである。
比重差選別装置21Aの重比重分は、排出口21cから排出され、そのまま回収した。比重差選別装置21Aに供給された粗粒に対する重比重分のその質量百分率は10.4%であった。
比重差選別装置21Aの軽比重分は、排出口21dから排出された。比重差選別装置21Aに供給された粗粒に対する軽比重分の質量百分率は18.4%であった。軽比重分はベルトコンベア6及びベルトフィーダ9を経由してふるい23にかけてふるい上E1とふるい下E2とにふるい分けした。ふるいの網目は300μmであった。
比重差選別装置21Aの集塵分は、排出口21eから排出された。集塵分は管路7Aを経てサイクロン分級機22により分級してから、オーバーフロー分を、管路7Cを経てバグフィルタ16に導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22のアンダーフロー分はふるい下E2に加えた。微粉Fは、密度2.46g/cm3であった。比重差選別装置21Aに供給された粗粒Aに対する微粉Fの質量百分率は14.0%であった。
比重差選別装置21Aの多孔板落下分は、排出口21fより排出された。比重差選別装置21Aに供給された粗粒Aに対する多孔板落下分の質量百分率は46.4%であった。
なお、比重差選別装置21Aに供給された粗粒Aに対して、比重差選別装置21A内に10.8%が残留した。
多孔板21aから落下した分を、ベルトフィーダ8を経由して二段目の比重差選別装置21Bに供給し、この二段目の比重差選別装置21Bにより重比重分と、軽比重分と、集塵分と、多孔板落下分とを選別した。作業条件は、原料(多孔板落下分)の供給速度が160kg/h、多孔板の孔径が105μm(150メッシュ)の金属ワイヤー製の織網、振動装置による振動の振幅が±5mm、振動させる偏心クランクの回転速度が493rpm、送風ファンの流量を28m3/min、多孔板の傾きを9°とした。
比重差選別装置21Bの重比重分は、排出口21cから排出され、一段目の比重差選別装置21Aの重比重分Dに加えた。比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対する比重差選別装置21Bの重比重分の質量百分率は73.1%であった。
比重差選別装置21Bの軽比重分は、排出口21dから排出された。比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対する軽比重分の質量百分率は6.3%であった。
この軽比重分は排出口21dから排出され、ベルトフィーダ9を経由してサイクロン分級機15からの細粒及び一段目の軽比重分と共にふるい23にかけてふるい上E1とふるい下E2とにふるい分けした。ふるいの網目は300μmであった。
比重差選別装置21Bの集塵分は、排出口21eから排出された。集塵分は管路7Bを経てサイクロン分級機22により分級してから、オーバーフロー分を、管路7Cを経てバグフィルタ16に導いて回収した。比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対する微粉Fの質量百分率は4.5%であった。
サイクロン分級機22のアンダーフロー分はふるい下E2に加えた。二段目の比重差選別装置21Bの多孔板落下分は、排出口21fより排出され、ふるい下E2に加えた。比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対する比重差選別装置21Bの多孔板落下分の質量百分率は0.8%であった。
なお、比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対して、比重差選別装置21B内に15.3%が残留した。
比重差選別装置21Bに供給された多孔板落下分100%に対する比重差選別装置21Bの重比重分の質量百分率は73.1%であった。
サイクロン分級機12により回収した粗粒Aに対する一段目の比重差選別装置21Aの重比重分と二段目の比重差選別装置21Bの重比重分とを合わせた重比重分Dの質量百分率は44.3%であった。
サイクロン分級機12により回収した粗粒Aを100%に対する、サイクロン分級機15からの細粒と一段目の軽比重分と二段目の軽比重分とを合わせたふるい上E1の質量百分率は8.2%であった。
サイクロン分級機12により回収した粗粒Aを100%に対する、サイクロン分級機15からの細粒と一段目の軽比重分と二段目の軽比重分とを合わせたふるい下E2の質量百分率は13.1%であった。
サイクロン分級機12により回収した粗粒Aを100%に対する、バグフィルタ16で回収した微粉Fの質量百分率は16.1%であった。
なお、サイクロン分級機12により回収した粗粒Aを100%に対する、一段目の比重差選別装置21Aと二段目の比重差選別装置21Bとに残留した合計の質量百分率は18.3%であった。
一段目の比重差選別装置21Aの重比重分と二段目の比重差選別装置21Bの重比重分とを合わせた重比重分Dの密度は2.53g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する比重2.50g/cm3以上の重比重分Dの質量百分率は31.6%であった。これは、細骨材に使用できる比重2.50g/cm3以上の重比重分の収率が31.6%であったことを意味し、投入シラス原料の含水率が4.7%と他に比べて水分を多く含んだ原料であったにも係わらず、他の実施例に比べて最も優れた収率であった。
この重比重分Dの密度は2.53g/cm3であり、2.50g/cm3を超えていた。JIS A1109による吸水率は1.85%であった。実施例3により得られた重比重分Dの、ふるいを通るものの質量分率を図14にグラフで示す。本実施例で得られた重比重分は、JIS A5308の「砂」で規定する標準粒度分布の範囲内に含まれていた。これらの特性から、重比重分は、細骨材として適切であることが分かった。
ふるい上の部分E1は、密度は1.45g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい上の部分E1の質量百分率は8.4%であった。
また、ふるい下の部分E2は、密度は2.33g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対するふるい下の部分E2の質量百分率は37.1%であった。
微粉Fは、比重2.46g/cm3であった。乾式分離装置に投入前の普通シラスに対する微粉Fの質量百分率は9.9%であった。
なお、重比重分Dの質量百分率と、ふるい上の部分E1の質量百分率と、ふるい下の部分E2の質量百分率と、微粉Fの質量百分率を合計しても100%にならないのは、装置内に13.0%が残留したからである。この装置内に残留した割合は、未使用の気流分級装置、未使用の一段目の比重差選別装置21A、未使用の二段目の比重差選別装置21Bで初めて作業したときの値であって、これらの装置に残留する量はそれぞれ一定であるため、最初に使用した時以外は既に装置内に一定量が残留しているため、装置に供給した普通シラスからの減分は問題とならない。
参考例1〜2、実施例1〜3の原料、作業条件及び分離結果について表1及び表2に示す。
(実施例4〜9)
実施例3で得られた微粉Fと、この微粉Fを更に粉砕して得られた粉砕微粉F2を普通ポルトランドセメントに混合した混合セメントの強度を測定した。
微粉Fは平均粒径0.033mmであった。粉砕微粉F2は、微粉Fを中央化工機製のBMC−15型の振動ミルにより4.4kg/hで供給して粉砕したものであり、平均粒径0.012mmであった。
比較例として、普通ポルトランドセメントと標準砂と水との重量比が1:3:1のセメント材45gを用意した。実施例4〜9として、混合セメントの原料として上記の微粉F及び/又は粉砕微粉F2を用いたもの(各試料45g)を用意した。
比較例及び実施例4〜9は、原料をペーストミキサーにて混合した。ペーストミキサーはジャパンユニックス社製のUM102であった。混合条件は直径8mmのアルミナボールを混合媒体として投入して回転速度2000rpmで30秒間混練した。
混合後、生モルタルの各試料を非接触赤外線温度計で温度測定した。その後、油を薄く塗布した2cm角のプラスティック型の3個にそれぞれ流し込んで成形した。
成形後、飽和水蒸気デシケータにて4週間経過させた後、室温で乾燥させ、3日後にプラスティック型から脱型して室温で放置した。その後、端面仕上加工して圧縮試験用試料を作製し、圧縮試験を行った。
比較例及び実施例4〜9の組成及び圧縮試験の結果を表3に示す。また、図15に圧縮結果を棒グラフで示す。
表3及び図15から、微粉F及び/又は粉砕微粉F2を添加することにより、圧縮強度が向上した。本発明の分級により得られた微粉Fよりも、この微粉Fを粉砕した粉砕微粉F2の方が、圧縮強度が、より向上した。微粉Fと粉砕微粉F2を等量ずつ普通ポルトランドセメントに混合した混合セメントを用いたモルタルが、最大の平均圧縮強度を発現した。
(実施例10)
図8に示した実施形態3の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラス(含水率5.7%)を目の開き5mmのふるい4で選別したものを用いた。
この普通シラスを一段目の比重差選別装置21Dにより重比重分と、軽比重分と、集塵分と、多孔板落下分とを選別した。作業条件は、普通シラスの供給速度が93.4kg/h、多孔板の孔径1mm(一辺1mmの角の丸いルーローの三角形)、振動装置による振動の振幅が±5mmで、振動させる偏心クランクの回転速度が304rpm、送風ファンの流量を16m3/min、多孔板の傾きを12.6°とした。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は10mmである。
比重差選別装置21Dの重比重分は、21cから排出され、回収された。重比重分の質量百分率は11.9%であり、密度2.62g/cm3、含水率0.3%であった。21fから排出された多孔板落下分は、質量百分率は20.9%であり、密度2.52g/cm3、含水率0.5%であった。この多孔板落下分は、JIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm3以上を満たすため、そのまま細骨材として使用できた。これらの重比重分と多孔板落下分を合わせた細骨材の質量百分率は32.8%であった。
比重差選別装置21Dの軽比重分は、21dから排出された。軽比重分の質量百分率は19.2%であり、密度1.54g/cm3、含水率0.9%であった。
比重差選別装置21Dの集塵分は、21eから排出された。集塵分は管路7Aを経てサイクロン分級機22により分級してから、オーバーフロー分を、管路7Iを経てバグフィルタ16に導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22のアンダーフロー分の質量百分率は46.2%であり、密度2.35g/cm3、含水率0.3%であった。
バグフィルタ16に回収された微粉Fの質量百分率は1.8%であり、密度2.37g/cm3、含水率3.5%あった。
なお、比重分離のサンプリングを行う前に、同じシラス原料と同じ比重分離条件で平衡状態に達するまで予備運転させてから、測定用のシラス原料供給を開始した。これは、測定用のシラス原料投入前に多孔板21aの上に残留する細骨材相当分などからなる数cm厚さのベッド層を予め形成させておくことで、シラス原料投入初期からの分離効率を向上させることができることと、投入量と回収量の差分となる装置内残留分のロスを最小限にすることを目的として行った。
(実施例11)
図10に示した実施形態4の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラス(含水率5.7%)を目の開き5mmのふるい4で選別したものを用いた。
この普通シラスを一段目の比重差選別装置21Dにより重比重分と、軽比重分と、集塵分と、多孔板落下分とを選別した。作業条件は、普通シラスの供給速度が96.9kg/h、多孔板の孔径1mm(一辺1mmの角の丸いルーローの三角形)、振動装置による振動の振幅が±5mmで、振動させる偏心クランクの回転速度が304rpm、送風ファンの流量を12m3/min、多孔板の傾きを12.6°とした。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は10mmである。
比重差選別装置21Dの重比重分は、21cから排出され、回収された。重比重分の質量百分率は17.8%であり、密度2.54g/cm3、含水率0.9%あった。
比重差選別装置21Dの軽比重分は、21dから排出された。軽比重分の質量百分率は8.6%であり、密度1.38g/cm3、含水率1.3%であった。この軽比重分は、JIS A5002「構造用軽量コンクリート骨材」の規格に適合するものであった。
比重差選別装置21Dの集塵分は、21eから排出された。集塵分は管路7Aを経てサイクロン分級機22Aにより分級してから、オーバーフロー分を、管路7Iを経てバグフィルタ16Aに導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22Aのアンダーフロー分の質量百分率は45.5%であり、密度2.31g/cm3、含水率0.6%であった。
バグフィルタ16Aに回収された微粉Fの質量百分率は1.9%、密度2.36g/cm3、含水率3.5%であった。
なお、比重分離のサンプリングを行う前に、同じシラス原料と同じ比重分離条件で平衡状態に達するまで予備運転させてから、測定用のシラス原料供給を開始した。これは、実施例10で述べた同じ理由による。
排出口21fから排出された多孔板落下分は、質量百分率は26.2%であり、密度2.36g/cm3、含水率0.7%であった。
この多孔板落下分を、ベルトフィーダ5を経由して二段目の比重差選別装置21Eに供給し、この二段目の比重差選別装置21Eにより重比重分と、多孔板落下分と、軽比重分と、集塵分(サイクロン回収分、バグフィルタ回収分)とに選別した。作業条件は、原料(多孔板落下分)の供給速度が23.9kg/h、多孔板の孔径が105μm(150メッシュ)の金属ワイヤー製の織網、振動装置による振動の振幅が±5mm、振動させる偏心クランクの回転速度が303rpm、送風ファンの流量を39m3/min、多孔板の傾きを10.8°とした。
比重差選別装置21Eの重比重分は、21cから排出され、一段目の比重差選別装置21Dより選別された重比重分Dに加えた。この重比重分の質量百分率は44.6%であった。比重差選別装置21Eの軽比重分は、21dから排出された。軽比重分の質量百分率は52.6%、密度1.79g/cm3、含水率0.5%であった。この軽比重分は、JIS A5002「構造用軽量コンクリート骨材」の規格に適合するものであった。
比重差選別装置21Eの集塵分は、21eから排出された。集塵分は管路7Bを経てサイクロン分級機22Bにより分級してから、オーバーフロー分を、管路7Dを経てバグフィルタ16Bに導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22Bで分離されたサイクロン回収分は、1.9%であった。微粉Fの質量百分率は0.8%であった。
二段目の比重差選別装置21Eの多孔板21aから落下した多孔板落下分は、ごく僅か回収され0.1%であった。
一段目の比重差選別装置21Dの重比重分と二段目の比重差選別装置21Eの重比重分とを合わせた重比重分Dの一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は29.5%であった。これは、比重2.50g/cm3以上の細骨材の収率が29.5%であったことを意味する。
軽比重分E1の一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は22.4%であった。これは、軽量骨材の収率が22.4%であったことを意味する。
また、火山ガラス材細粒E2の一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は46.0%であった。これは、シラスバルーン原料または混和材原料の収率が46.0%であったことを意味する。
火山ガラス材微粉Fの一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は2.1%であった。これは、混和材または混合セメント原料の収率が2.1%であったことを意味する。
(実施例12)
図11に示した実施形態6の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラス(含水率5.5%)を目の開き5mmのふるい4で選別したものを用いた。
この普通シラスを一段目の比重差選別装置21Dにより重比重分と、軽比重分と、集塵分と、多孔板落下分とを選別した。作業条件は、普通シラスの供給速度が98.3kg/h、多孔板の孔径1mm(一辺1mmの角の丸いルーローの三角形)、振動装置による振動の振幅が±5mmで、振動させる偏心クランクの回転速度が304rpm、送風ファンの流量を20m3/min、多孔板の傾きを12.6°とした。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は10mmである。
比重差選別装置21Dの重比重分は、21cから排出され、回収された。重比重分の質量百分率は0.8%であり、密度2.65g/cm3であった。21fから排出された多孔板落下分は、質量百分率は7.9%であり、密度2.58g/cm3であった。この多孔板落下分は、JIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm3以上を満たすため、そのまま細骨材として使用できた。
比重差選別装置21Dの集塵分は、21eから排出された。集塵分は管路7Aを経てサイクロン分級機22Aにより分級してから、オーバーフロー分を、管路7Iを経てバグフィルタ16Aに導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22Aのアンダーフロー分であるサイクロン回収分の質量百分率は60.5%であり、密度2.36g/cm3であった。
バグフィルタ16Aに回収された微粉Fの質量百分率は1.9%であった。
なお、比重分離のサンプリングを行う前に、同じシラス原料と同じ比重分離条件で平衡状態に達するまで予備運転させてから、測定用のシラス原料供給を開始した。これは、実施例10で述べた同じ理由による。
比重差選別装置21Dの軽比重分は、21dから排出された。軽比重分の質量百分率は28.9%であり、密度1.94g/cm3であった。
この軽比重分を、ベルトフィーダ5を経由して二段目の比重差選別装置21Eに供給し、この二段目の比重差選別装置21Eにより重比重分と、軽比重分と、多孔板落下分、集塵分(サイクロン回収分、バグフィルタ回収分)とに選別した。作業条件は、原料(軽比重分)の供給速度が96.7kg/h、多孔板の孔径1mm(一辺1mmの角の丸いルーローの三角形)、振動装置による振動の振幅が±5mmで、振動させる偏心クランクの回転速度が304rpm、送風ファンの流量を16m3/min、多孔板の傾きを12.6°とした。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は10mmである。
比重差選別装置21Eの重比重分は、21cから排出され、一段目の比重差選別装置21Dより選別された重比重分Dに加えた。この重比重分の質量百分率は44.2%であった。比重差選別装置21Eの軽比重分は、21dから排出された。軽比重分の質量百分率は45.7%、密度1.73g/cm3であった。
比重差選別装置21Eの集塵分は、21eから排出された。集塵分は管路7Bを経てサイクロン分級機22Bにより分級してから、オーバーフロー分を、管路7Dを経てバグフィルタ16Bに導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22Bで分離されたサイクロン回収分は、1.2%であった。微粉Fの質量百分率は0.4%であった。
二段目の比重差選別装置21Eの多孔板21aから落下した多孔板落下分の質量百分率は8.5%、密度2.67g/cm3であった。
一段目の比重差選別装置21Dの重比重分と多孔板落下分及び二段目の比重差選別装置21Eの重比重分と多孔板落下分を合わせた重比重分Dの一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は24.0%であった。これは、比重2.50g/cm3以上の細骨材の収率が24.0%であったことを意味する。
二段目の比重差選別装置21Eの軽比重分E1の一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は13.2%であった。これは、軽量骨材の収率が13.2%であったことを意味する。
また、火山ガラス材細粒E2の一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は60.8%であった。
火山ガラス材微粉Fの一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は2.0%であった。これは、混和材または混合セメント原料の収率が2.0%であったことを意味する。
(実施例13)
図12に示した実施形態7の装置及び方法を用い、原料の火山噴出物堆積鉱物である普通シラスとしては、鹿児島県鹿屋市串良町に産出する串良シラスを室内乾燥させたもの(含水率1.6%)を目の開き5mmのふるい4で選別したものを用いた。
この普通シラスを一段目の比重差選別装置21Dにより重比重分と、軽比重分と、集塵分と、多孔板落下分とを選別した。作業条件は、普通シラスの供給速度が103kg/h、多孔板の孔径1mm(一辺1mmの角の丸いルーローの三角形)、振動装置による振動の振幅が±5mmで、振動させる偏心クランクの回転速度が304rpm、送風ファンの流量を16m3/min、多孔板の傾きを12.6°とした。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は10mmである。
ここで、排気ブロワの能力を高めて管路7Aの吸出風量を実施例10よりも多い120m3/minにして、サイクロン回収物の回収率向上を図った。
比重差選別装置21Dの重比重分は、21cから排出され、回収された。重比重分の質量百分率は0.4%であり、密度2.69g/cm3であった。21fから排出された多孔板落下分は、質量百分率は11.1%であり、密度2.64g/cm3であった。この多孔板落下分は、JIS A5308の「砂」で規定する密度2.5g/cm3以上を満たすため、そのまま細骨材として使用できた。
比重差選別装置21Dの軽比重分は、21dから排出された。軽比重分の質量百分率は11.8%であった。
比重差選別装置21Dの集塵分は、21eから排出された。集塵分は管路7Aを経てサイクロン分級機22Aにより分級してから、オーバーフロー分を、管路7Iを経てバグフィルタ16Aに導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22Aのアンダーフロー分であるサイクロン回収分の質量百分率は73.8%であり、密度2.32g/cm3であった。
バグフィルタ16Aに回収された微粉Fの質量回収率は、2.9%であり、密度2.38g/cm3あった。
なお、比重分離のサンプリングを行う前に、同じシラス原料と同じ比重分離条件で平衡状態に達するまで予備運転させてから、測定用のシラス原料供給を開始した。これは、実施例10で述べた同じ理由による。
サイクロン分級機22Aのアンダーフロー分であるサイクロン回収分には、0.3mm以上の軽石分などが含まれており、このサイクロン回収分を、ベルトフィーダ5を経由して二段目の比重差選別装置21Eに供給し、この二段目の比重差選別装置21Eにより重比重分と、多孔板落下分と、軽比重分と、集塵分(サイクロン回収分、バグフィルタ回収分)とに選別した。作業条件は、原料(サイクロン回収分)の供給速度が21.8kg/h、多孔板の孔径が105μm(150メッシュ)の金属ワイヤー製の織網、振動装置による振動の振幅が±5mm、振動させる偏心クランクの回転速度が303rpm、送風ファンの流量を39m3/min、多孔板の傾きを10.8°とした。
比重差選別装置21Eの重比重分は、21cから排出され、一段目の比重差選別装置21Dより選別された重比重分Dに加えた。この重比重分の質量百分率は5.1%であった。比重差選別装置21Eの軽比重分は、21dから排出された。軽比重分の質量百分率は31.3%であった。
比重差選別装置21Eの集塵分は、21eから排出された。集塵分は管路7Bを経てサイクロン分級機22Bにより分級してから、オーバーフロー分を、管路7Dを経てバグフィルタ16Bに導いて微粉Fを回収した。サイクロン分級機22Bのアンダーフロー分として分離されたサイクロン回収分は、60.2%、密度2.35g/cm3であった。微粉Fの質量百分率は3.4%であった。
二段目の比重差選別装置21Eの多孔板21aから落下した多孔板落下分は、ごく僅か回収され0.05%未満であった。
二段目のサイクロン分級機22Bで回収された火山ガラス材細粒E2の一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は44.4%であった。これは、シラスバルーン原料または混和材原料の収率が44.4%であったことを意味する。
火山ガラス材微粉Fの一段目に投入した普通シラスに対する質量百分率は2.9%であった。これは、混和材または混合セメント原料の収率が2.9%であったことを意味する。
実施例10〜13の原料供給量及び分離結果については、表4に示す。
(実施例14〜16)
実施例10で得られた微粉F3と、実施例10で得られた火山ガラス材細粒E2を更に粉砕して得られた粉砕微粉F4と、実施例3で得られた微粉Fを更に粉砕して得られた粉砕微粉F5とを、それぞれ普通ポルトランドセメントに混合した混合セメントの強度を測定した。
微粉F3は、平均粒径0.0041mmであった。粉砕微粉F4は、微粉F3をIHI製のIS−150型のローラミルにより5kg/hで供給して粉砕したものであり、平均粒径0.0051mmであった。粉砕微粉F5は、実施例3で得られた微粉Fを日本ニューマチック製のDSF−2型のJETミルに5kg/hで供給して粉砕したものであり、平均粒径0.0011mmであった。
比較例2として、宇部三菱セメント製の普通ポルトランドセメントと標準砂と水との重量比が1:1.4:0.6のセメント材60gを用意した。実施例14〜16として、混合セメントの原料として上記の微粉F3又は粉砕微粉F4又は粉砕微粉F5を用いたもの(各試料60g)を用意した。
比較例2及び実施例14〜16は、原料をペーストミキサーにて混合した。ペーストミキサーはジャパンユニックス社製のUM102であった。混合条件は直径8mmのアルミナボールを混合媒体として投入して回転速度2000rpmで30秒間混練した。
混合後、生モルタルの各試料を非接触赤外線温度計で温度測定した。その後、油を薄く塗布した2cm角のプラスティック型の3個にそれぞれ流し込んで成形した。
成形後、飽和水蒸気デシケータにて半日放置し、湿布を被せてから更に1日放置後、プラスティック型から脱型して、水中にて4週間経過させた後、端面仕上加工して圧縮試験用試料を作製し、圧縮試験を行った。その結果を表5に示す。
表5の普通ポルトランドセメントの10%を微粉F3又は粉砕微粉F4又は粉砕微粉F5で置換した圧縮強度を比較すると、実施例14では比較例2に比べて普通ポルトランドセメントが10%少ないにも係わらず1.5MPaの強度低下に収まっており、実施例15では0.3MPaとごく僅かな低下で、実施例16では3.3MPaも上回る結果となった。
これらの混和材の普通ポルトランドセメントに対する圧縮強度発現率を比較した。実施例14から実施例16は、比較例2に比べて普通ポルトランドセメント配合比が90%であるので、普通ポルトランドセメント90%の圧縮強度として、56.5MPaの90%に相当する50.85MPaを基底値とする。また、普通ポルトランドセメント10%当たり圧縮強度発現効果は、56.5MPaの10%である5.65MPaとする。
実施例14から実施例16の圧縮強度から基底値50.85MPaを差し引いた値を、5.65MPaで除して百分率とした値を、普通ポルトランドセメントに対する混和材の圧縮強度発現率とする。
その結果、圧縮強度発現率は、微粉F3が73.5%、粉砕微粉F4が94.7%、粉砕微粉F5が158.4%となる。本発明の高純度の火山ガラス材は、混合セメントの原料となる混和材として、粉砕することによって、強度発現率が高くなり、平均粒径0.001mm程度にまで粉砕すると普通ポルトランドセメントを大きく上回る強度発現率を示した。
また、本発明のこれらの混和材は、普通ポルトランドセメントと異なり自硬性は無いので、ポゾラン効果を発現したものと考えられ、4週強度の向上に寄与するだけでなく、長期強度発現や耐水性、塩害抵抗性、耐酸性などの優れた効果が期待できる。
(実施例17)
実施例10で得られた火山ガラス材細粒E2は、平均粒径0.0789mm、かさ比重1.13であった。この火山ガラス材細粒E2を、県工業技術センターで開発した炉内径130mmの媒体流動層炉において、ムライト粒子を熱媒体として、原料供給量20kg/hにて1050℃で焼成した。炉に直結したサイクロン分級機により分離回収した結果、平均粒径0.0985mm、かさ比重0.34の焼成発泡体が得られた。