JP2019006610A - 火山噴出物配合物、その製造方法、コンクリート組成物及び硬化物 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造時に多量の二酸化炭素を排出せずに地球環境に優しく、重金属を含まないでモルタル、コンクリートのリサイクルを可能とし、安価な無機質の硬化材として火山噴出物配合物を提供する。【解決手段】 火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末と、消石灰粉末との混合物であり、前記火山噴出物由来粉末の配合割合が重量換算で5%から90%である火山噴出物配合物。【選択図】図1
Description
本発明は、火山噴出物配合物、その製造方法、コンクリート組成物及び硬化物に関するものである。
現在、建築物の硬化材として使われているセメントは、その製造過程においてクリンカーを得るためにセメント原料を1400℃以上の高温で長時間焼成していることから、多量の二酸化炭素を発生している。地球温暖化の抑制のために、セメント製造時の二酸化炭素排出の低減策が求められ、例えば、クリンカー焼成時の排熱を回収しセメント原料の予備加熱に用いることで、燃料使用量を抑え発生する二酸化炭素量を削減するなどのセメント製造上の技術開発がなされている。しかし、クリンカーの焼成は本質的に避けられない。
また、セメントはその原材料に由来した重金属及び焼成過程で混入した重金属を含有しているため、リサイクルが困難で、埋め立てなどにより廃棄処理されている。
また、セメントはその原材料に由来した重金属及び焼成過程で混入した重金属を含有しているため、リサイクルが困難で、埋め立てなどにより廃棄処理されている。
このような多くの問題を抱えるセメントに代わり、地球環境にやさしい完全リサイクル可能な無機質の硬化材が求められている。
セメント量を低減し、又はセメントを含まずに高強度コンクリートまたは超高強度コンクリートに相当する強度のコンクリートを得る水硬性組成物に関し、フライアッシュと高炉スラグ微粉末を合計で、全体の40〜90重量%配合するものがある(特許文献1)。しかし、シリカ源に用いられるフライアッシュや高炉スラグは、製鉄等の副産物であり、製鉄等で排出される副産物を利用する点ではリサイクルに貢献しているといえるが、重金属を含むために上記水硬性組成物を用いたコンクリートそれ自体は、リサイクルに不向きであった。
また、セメント100重量部に対し、石灰石系微粉末を5〜150重量部添加してなり、該石灰石系微粉末が石灰石粉末100重量部と平均粒径1μm以下のシリカフュームとを混合したものである水硬性材料がある(特許文献2)。しかし、シリカフュームは、セメントに比べて高価な材料であるため、シリカフュームを添加するのはコストアップを招く。
更に、ポルトランドセメント等に非晶質シリカ質材料を5重量部〜30重量部を含有させた水硬性材料がある(特許文献3)。しかし、非晶質シリカ質材料は、シリカゾル、エアロゾル、シリカゲル、シリカフューム又はシリカフラワーであり、これらの非晶質シリカ質材料は、セメントに比べて高価な材料であるため、水硬性材料のコストアップを招く。
本発明は、製造時に多量の二酸化炭素を排出せずに地球環境に優しく、重金属を含まないでモルタル、コンクリートのリサイクルを可能とし、安価な無機質の硬化材として火山噴出物配合物、その製造方法、コンクリート組成物及び硬化物を提供することを目的としている。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、シラスを代表例とする火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末が、ポゾラン反応性を有し、当該火山噴出物由来粉末と、消石灰粉末又は水硬性石灰粉末とを混合した配合物が、セメントに代替し得る無機質の硬化材であることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
本発明の火山噴出物配合物は、火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末と、消石灰粉末との混合物であり、前記火山噴出物由来粉末の配合割合が重量換算で5%から90%であることを特徴とする。
また、本発明の火山噴出物配合物は、火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末と、水硬性石灰粉末との混合物であることを特徴とする。
また、本発明の火山噴出物配合物は、火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末と、水硬性石灰粉末との混合物であることを特徴とする。
本発明の火山噴出物配合物においては、前記火山噴出物由来粉末が、前記火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された火山ガラス材の粉砕粉末であり、平均粒径4.3μm以下であることが好ましく、平均粒径0.1μm以上、1.8μm以下であることがより好ましく、前記火山噴出物堆積鉱物が、シラスであることが好ましく、前記消石灰粉末が、平均粒径13μm以下、5μm以上であることが好ましく、前記水硬性石灰粉末が、天然水硬性石灰NHLであることが好ましく、人工水硬性石灰であることが好ましく、火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された火山ガラス材と石灰とを、加熱して合成されたものであることが好ましく、前記水硬性石灰粉末が、火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された粘土質と石灰とを、加熱により合成されたものであることが好ましく、更に、石膏を含むことが好ましい。
本発明の火山噴出物配合物の製造方法は、火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末と、消石灰粉末とを、前記火山噴出物由来粉末が重量換算で5%から90%の配合割合で混合して粉砕することを特徴とする。
本発明の火山噴出物配合物の製造方法においては、前記火山噴出物堆積鉱物を乾式分離して回収された火山ガラス材を、平均粒径4.3μm以下であることが好ましく、平均粒径0.1μm以上、1.8μm以下に粉砕して前記火山噴出物由来粉末を得ることがより好ましく、前記火山噴出物堆積鉱物が、シラスであることが好ましい。
本発明のコンクリート組成物は、上記の火山噴出物配合物と、骨材とを含むことを特徴とし、また、更に水を含むことができ、更にコンクリートを含むことができる。
また、本発明の硬化物は上記のコンクリート組成物を硬化したものである。
また、本発明の硬化物は上記のコンクリート組成物を硬化したものである。
本発明によれば、製造時に多量の二酸化炭素を排出せずに地球環境に優しく、重金属を含まないでモルタル、コンクリートのリサイクルを可能とし、安価な無機質の硬化材として火山噴出物配合物、その製造方法、コンクリート組成物及び硬化物を得ることができる。
以下、本発明の火山噴出物配合物、その製造方法、コンクリート組成物及び硬化物を、実施形態を用いてより具体的に説明する。
本発明の火山噴出物配合物は、火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末と、消石灰粉末との混合物であり、前記火山噴出物由来粉末の配合割合が重量換算で5%から90%である。この火山噴出物由来粉末に消石灰粉末を混合させた火山噴出物配合物は、気硬性及び水硬性を有している。
また、本発明の別の態様の火山噴出物配合物は、上記火山噴出物由来粉末と、水硬性石灰粉末との混合物である。この火山噴出物由来粉末に水硬性石灰粉末を混合させた火山噴出物配合物は、水硬性を有している。
本発明の火山噴出物配合物の各成分について説明する。
また、本発明の別の態様の火山噴出物配合物は、上記火山噴出物由来粉末と、水硬性石灰粉末との混合物である。この火山噴出物由来粉末に水硬性石灰粉末を混合させた火山噴出物配合物は、水硬性を有している。
本発明の火山噴出物配合物の各成分について説明する。
(火山噴出物由来粉末)
火山噴出物由来粉末は、火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去されたものである。火山噴出物堆積鉱物は、火山噴出物及びその二次堆積物を含む。火山噴出物堆積鉱物は、シラスが例示される。以下では、火山噴出物堆積鉱物としてシラスを代表例に説明する。
火山噴出物由来粉末は、火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去されたものである。火山噴出物堆積鉱物は、火山噴出物及びその二次堆積物を含む。火山噴出物堆積鉱物は、シラスが例示される。以下では、火山噴出物堆積鉱物としてシラスを代表例に説明する。
シラスは、一般に、南九州に多量に存在する火砕流堆積鉱物の総称である。その量は750億立方メートルともいわれ、量的には約3万年前に姶良カルデラから噴火した入戸火砕流堆積物(以下、入戸シラスと称す)が最も多い。そのため、入戸シラスを普通シラスともいう。入戸シラスは、約6割の火山ガラス質と約4割の結晶質からなり、微量の粘土質を含む。火山ガラス質には軽石も含まれ、結晶質は各種の結晶鉱物からなる。火山ガラス質、軽石及び結晶質は共に粒子サイズが幅広いので、シラスを活用し、製品化するのが難しいとされ、選別コストや性能面での課題があった。
入戸シラスは、選別コストの低減が図れる乾式比重選別機及びそれに付帯する設備によって結晶質、火山ガラス質及び粘土質を高能率で分離することができる。選別された火山ガラス質、特にそれを粉砕して得られた微粉末である火山噴出物由来粉末は、後述する実施例で分かるように、セメントに代わる硬化物の原料になり得る。
入戸シラス等の火山噴出物堆積鉱物を分離するのに好適な乾式分離装置10の一例を、図1に示す概略図を用いて説明する。
図1に示す乾式分離装置10は、エアテーブル式の比重差選別装置21を備えている。比重差選別装置21は、多孔板21a及び振動装置21gを有し、水平方向から所定の角度で傾斜させた多孔板21aを振動装置21gにより振動させつつ下方から多孔板21aに向けて風胴21h内の送風ファン21bにより送風するエアテーブル式の比重差選別装置である。比重差選別装置21の原理を図2に示す模式図を用いて説明する。
図1に示す乾式分離装置10は、エアテーブル式の比重差選別装置21を備えている。比重差選別装置21は、多孔板21a及び振動装置21gを有し、水平方向から所定の角度で傾斜させた多孔板21aを振動装置21gにより振動させつつ下方から多孔板21aに向けて風胴21h内の送風ファン21bにより送風するエアテーブル式の比重差選別装置である。比重差選別装置21の原理を図2に示す模式図を用いて説明する。
多孔板21aは、水平方向から所定の角度で傾斜している。また多孔板21aの上面は断面が鋸刃状の凹凸を有し、その凹凸の高低差は、おおよそ3〜10mmである。また多孔板21aには所定形状の孔を多数有している。多孔板21aは、偏心クランクによる振動装置21gにより下手側から上手側に向けてサイクロイド又はそれに近似した曲線状に送り出してすぐ引っ込めるような独特の前後長±3〜7mmの独特な振動運動が可能であり、鋸刃状の凹部に引っかかった重比重分を上方に押し出す力を加えることが可能になっている。振動装置21gにより多孔板21aを振動させつつ多孔板21aの孔に向けて風胴21h内の送風ファン21bにより送風可能になっている。多孔板21aの上面に比重の異なる複数の粒粉の混合物が供給されると、比重の重たい粒(図2中黒丸印で示す)は、多孔板21aの上面の鋸刃状の凹凸に引っ掛かりつつ、振動装置21gによる多孔板21aの振動により多孔板21aの上手に向かって移動する。比重の軽い粒は多孔板21aの孔を通した気流により、流動化しながら浮き上がったような状態になる。浮き上がった比重の軽い粒のうち、比較的比重が重たい粒(図2中白丸印で示す)は多孔板21aの下手に向かって移動する。浮き上がった比重の軽い粒のうち、比較的比重が軽い粒(図2中点で示す)は気流に乗って比重差選別装置21外に搬送される。
したがって、比重差選別装置21に、粒径5mm以下の普通シラスを供給して、多孔板21aを振動させつつ下方から多孔板21aに向けて送風することにより、多孔板21aの上手側に重比重分を、下手側に軽比重分を選別することができる。また、多孔板21aに供給された普通シラスのうちの粒度が小さいもの(以下「集塵分」という。)は、送風により多孔板21aから浮上する。また、多孔板21aに供給された普通シラスの粒径1mm以下の比較的比重が重い粒の一部は多孔板21aの孔を通って落下する。
重比重分は主に粒度の大きな結晶質であり、軽比重分は主に粒度の大きな火山ガラス質の軽石であり、集塵分は、主に粒度の小さな火山ガラス質であり、結晶質を落下分は主に粒度の小さな結晶質である。本発明の火山噴出物由来粉末は、集塵分を原料とし、更に集塵分から粒度が非常に細かい粘土質を、次に説明するサイクロン分級機22で分離して得られる。
多孔板21aから浮上した集塵分を、比重差選別装置21の排出口21eに接続する管路7Aを経てサイクロン分級機22に導く。サイクロン分級機22は、集塵分から、より軽量な微粉をオーバーフロー分として分級する。サイクロン分級機22による分級により、集塵分から粘土質の大部分を分離することができる。アンダーフロー分のサイクロン回収分を、本発明の火山噴出物由来粉末の原料として用いる。普通シラスから乾式分離装置10を用いて分離した、アンダーフロー分のサイクロン回収分E2は、一例では平均粒径が83.5μmであり、以下の説明では「S80」ともいう。
また、サイクロン分級機22のオーバーフロー分の微粉を、管路7Iを経てバグフィルタ16に導いて回収する。オーバーフロー分のバグフィルタ回収分Fは、一例では平均粒径が4.3μmであり、以下の説明では「S4」ともいう。
S80のガラス含有率を調べたところ、一例では87.7%であり、入戸シラスを単にふるい分けした粒径0.15mmのもののガラス含有率83%よりも高かった。S80をX線回析測定したところ、ガラス(非晶質)特有のハローピークを示した。またS4のガラス含有率は、一例では62.2%であり、S80が、S4に比べて高純度の火山ガラス質であった。また、S4には風化した粘土質が含まれていた。図3にS80の化学組成を、図4にS4の化学組成をそれぞれ円グラフで示す。S80は、SiO2含有率が73.1%と高く、高純度火山ガラス質ケイ酸塩として選別されていた。また有害とされる重金属は含まれていなかった。そこで、このS80を粉砕して本発明の火山噴出物由来粉末とする。その粉砕装置及び粉砕方法の一例を次に説明する。
上記したS80を図5に示すローラミルで粉砕する。図示したローラミル30は、一例では直径150mmの鋼鉄製のローラ31を2個有し、モーター32直結の減速機33により回転する鋼鉄製テーブルライナ34に油圧35と直動ベアリング36で押しつけられたローラ31が回転し、その隙間にスクリューフィーダ37から原料を投入して粉砕する装置である。粉砕室内で噴き上った粉砕物は、高速回転式のエアセパレータ38で微粒分が選別され集塵機に回収され排出される。粗粒分は、落下してローラ部分に戻され、繰り返し粉砕される。排出された粉末は、一例では、平均粒径が5.1μmであり、以下の説明では「SR5」という。また、ローラミル30では、S80を平均粒径約3μmまで粉砕することが可能であった。
SR5を図6に示すジェットミルで粉砕する。ジェットミル40の配管内に定量供給された原料は、旋回気流を利用した特殊な構造のセパレータ41で下部に分離され、高圧空気のベンチュリー効果でジェット気流に引き込まれて、アルミナ衝突板42に衝突して粉砕される。粗粒分は、細かくなるまで粉砕室と配管内を循環しながら粉砕される。粉砕された微粒子として「SR5J3」は、平均粒径が約3μmであり、セパレータ41からサイクロン43に送られ遠心力で分離されアンダーフロー分として回収される。サイクロンで分離しきれなかったオーバーフロー分の約2割の超微粒子は集塵機(バグフィルタ)で回収される。バグフィルタで回収された超微粒子は、一例では平均粒径が約1μmであり、以下の説明では「SR5J1」ともいう。
このSR5J1は、本発明の火山噴出物由来粉末として用いて好適である。また、ジェットミル以外の粉砕装置としては、ボールミルやビーズミルを用いることができる。
このSR5J1は、本発明の火山噴出物由来粉末として用いて好適である。また、ジェットミル以外の粉砕装置としては、ボールミルやビーズミルを用いることができる。
本発明の火山噴出物由来粉末は、4.3μm以下が好ましく、平均粒径0.1μm以上、1.8μm以下であることがより好ましい。JISA6207の試験方法により各種粒度の火山噴出物由来粉末の活性度指数を測定し、その活性度指数と粒径の関係を最小自乗法で算定した結果、平均粒径4.3μm以下であると活性度指数がセメントと同等性能の100%以上を示し、平均粒径が1.8μm以下であると活性度指数がシリカフュームのJIS規格値である105%以上を示した。ポゾラン反応とは、消石灰成分Ca(OH)2と火山灰が反応して硬化することが起源とされ、これまでの実験で、本発明の火山噴出物由来粉末の粒径が細かいほど高いポゾラン反応性を発現することを確認している。すなわち、平均粒径0.1μm以上、1.8μm以下であることにより、ポゾラン反応性が高まり、硬化物の強度発現率が高くなる。1.8μm以下にすれば十分にその効果が得られ、平均粒径0.1μm未満というあまりに微粒の火山噴出物由来粉末を製造しようとすると、粉砕装置からのコンタミネーションによる不純物の混入量が増して性能が落ちる欠点があり、生産量が落ちて製造コストが嵩むので実用的でない。
本発明の火山噴出物由来粉末を得るための乾式分離装置は、図1に示した装置に限定されない。図7に、本発明の火山噴出物堆積鉱物を分離するのに好適な、別の乾式分離装置1を概略図で示す。
図7の乾式分離装置1は、風力選別機11と、比重差選別装置21とを備えている。この風力選別機11は、送風機で風を送りつつ選別コラムに被選別物を投入し、その風速より浮遊速度が大きいものと小さいものとを分離する装置である。選別コラムとは、円形又は四角又は長方形の菅内の断面積を一定にした空間で、風の脈流を極力少なくした一定速度の上昇気流で、粒子の浮遊速度の違いを利用して選別する部分を指す。一般に、風力選別機には循環式風力選別機、吹上式風力選別機、吸引式風力選別機等があり、本発明の乾式分離方法は、粗粒分と、粗粒分以外とに二分し得る風力選別機であれば、基本的にはその種類を問わず用いることができる。もっとも、風力選別機のうち、吸引式風力選別機は、吹上式風力選別機の約2倍の動力が必要であり、乾式分離のコストが増すおそれがある。その一方で、循環式風力選別機及び吹上式風力選別機は、共に送風に多翼扇のシロッコファンが用いられていて、このシロッコファンは、脈流の少ない気流を選別コラムに生じさせることができるので、高精度の選別が可能である。したがって、本発明における風力選別機は、循環式風力選別機及び吹上式風力選別機から選ばれる少なくとも一種の風力選別機としている。なお、本発明における循環式風力選別機又は吹上式風力選別機の送風ファンは、シロッコファンに限定されるものでなく、脈流の少ない気流を発生させる装置であればよい。また、選別コラム内での気流の均一な面速度を実現する整流装置を付属した送風ファンでもよい。
図7に示す本実施形態の風力選別機11は循環式風力選別機の例である。循環式風力選別機は、シロッコファン11aで送風され、選別コラム11bと拡散室11cとの循環経路を有する選別機である。一般に、被選別物が選別コラムと拡散室とで循環経路を有しない吹上式風力選別機と比べて、循環式風力選別機は、動力を少なくできるので、コストの面では本発明の乾式分離方法に用いて好ましい。循環式風力選別機は、内蔵するシロッコファンで外気を導入しない密閉型と内蔵するシロッコファンで外気を導入する外気導入型とがあり、本発明では密閉型と外気導入型のいずれも用いることができる。図7は、密閉型の循環式風力選別機の例を示している。
礫分を除去した普通シラスの残部を供給口11dから風力選別機11に定量供給して、粗粒分と、粗粒分以外とに二分し、粗粒分を第1の排出口11eから排出し、粗粒分以外を第2の排出口11fから排出する。風力選別機11に供給される前に除去される礫分は、およそ粒径5mm超のものであることが、風力選別機11の操業能率、操業安定性の観点から好ましい。具体的には、図示した乾式分離装置において、普通シラスは、ベルトフィーダ3aからふるい4aに供給され、ふるい4aにより、粒径5mm超の礫分が、ふるい上として除去され、残部がふるい下としてベルトフィーダ5aによって風力選別機11に供給される。図示した例では、粒径5mm超の礫分の除去のためにふるい4aを用いているが、ふるい4aの代わりに、原料である普通シラスの粒径を5mm以下に粉砕する機械を用いることもできる。また、5mm以下に粉砕する機械を用いて粉砕することにより、普通シラスに含まれる軽石の内部が露出し、分離されて回収された軽石製品の白色度が向上するという利点もある。粉砕された軽石が回収された、小さな軽石や火山ガラス粒子は、軽石粒子内部のガラス表面が露出しており、焼成して膨張発泡させて製造した発泡軽石や、概ね0.15mm以上のパーライト同等品や、概ね0.15mm以下のシラスバルーンの白色度が、粉砕工程を経ていない軽石や火山ガラス粒子起源の発泡軽石やパーライト相当品やシラスバルーン相当品に比べて白色度が高くなるという利点がある。
原料をふるい4aで礫分を分離する前に、原料の含水率を概ね2%以下に低減することにより、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置を効率よく実施することができる。例えば、原料の含水率の低減は、例えば乾燥機による強制乾燥が考えられる。この強制乾燥により多大なコストを費やして含水率を概ね2%未満に乾燥させなくても、太陽光の差し込む屋内に数cm敷き詰めて数日以上放置して、一定間隔をおいて天地返しをして乾燥させるなど、別の経済的な乾燥手段により原料をある程度乾燥させ、原料の普通シラスの含水率を概ね2%以下に低減することにより、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置を効率よく実施することができる。ここで、原料の普通シラスの含水率が2%を超す場合でも、本実施形態の乾式分離方法及び乾式分離装置を実施することができるが、十分に乾燥した普通シラスの原料に比べて、分離効率は低減し、原料の普通シラスの含水率が多いほど、それらの分離効率は低減する。
風力選別機11による粗粒分と、粗粒分以外とに二分する選別は、シロッコファン11aによる風速を、回転数等で調整することにより行うことができる。ここにおいて、粗粒分以外とは、粒径が略0.30mm未満のものであり、粗粒分とは、粗粒分以外よりも粒径が大きいもの、具体的には略0.3mm以上のもの、より具体的には粒径略0.30〜5mmのものである。つまり、風力選別機11は、礫分が除去された普通シラスを、粒径が略0.30mmを基準として、それ以上を粗粒に、それ未満を粗粒分以外とに二分するように風速等を調整する。そうすれば、細骨材になり得る成分の略全量が粗粒分に含まれると共に、普通シラスに含まれている微細粒の大半を、上記細骨材になり得る成分から分離することができる。なお、風力選別機11によって、普通シラスを粒径が略0.30mm未満のものと、略0.30mm以上のものに厳密に分級する必要はなく、粗粒分に略0.30mm未満のものが多少含まれていてもよい。特に0.30mm未満でも比重の大きい重鉱物は、粗粒分に分配されやすく、細骨材成分として有効である。風力選別機11では完全に粒径選別することは不可能であり、粗粒分にもわずかな微細粒が混入する。粗粒分に含まれる略0.30mm未満の微細粒は、後述する比重差選別装置21により分離される。要するに風力選別機11は、後述する比重差選別装置21の分離効率を向上させるためと、多孔板の目詰まりを防止するために、微細粒の大半を普通シラスから除去する処理に活用している。
風力選別機11により選別された粗粒分は、ベルトフィーダ6を経由して後述する比重差選別装置21に供給される。風力選別機11による粗粒分の回収量に比べて比重差選別装置21の選別能力が大きい場合、風力選別機11による粗粒分を一旦貯蔵し、比重差選別装置21に別ラインで供給することもできる。
また、図8に、変形例の乾式分離装置2で示すように、風力選別機11による粗粒分の回収量と、比重差選別装置21の選別能力とを同じにすることにより、ベルトフィーダ6を省略することもできる。
粗粒分には、細骨材になり得る成分の略全量が含まれている。粗粒分以外は火山ガラス材からなり、細粒と微粉を分離して本発明の火山噴出物由来粉末を得るために、後述するサイクロン式分級機で分級する。
図7に示す乾式分離装置は、エアテーブル式の比重差選別装置21を備えている。比重差選別装置21は、図1に示した比重差選別装置21と同様の構造とすることができる。図7に示す乾式分離装置においては、比重差選別装置について図1と同じ符号を付しており、以下の説明では、図1を用いて既に説明したのと重複する説明は省略する。
多孔板21aから浮上した集塵分を、比重差選別装置21の排出口21eに接続する管路7Aを経てサイクロン式分級機22に導く。また、先に風力選別機11で選別した粗粒分以外を、その風力選別機11の排出口11fから周囲の空気と共に吸引して管路17を経由してサイクロン式分級機22に導く。
なお、その風力選別機11の排出口11fとサイクロン式分級機22とを、管路17により直結してもよい。図8に示すように、風力選別機11の排出口11fを菅路17に直結する場合は、菅路17への吸引量を調整するための流量調節弁17aを設置し、吸引量を調整することで、風力選別機11の分離効率を維持することができる。
なお、その風力選別機11の排出口11fとサイクロン式分級機22とを、管路17により直結してもよい。図8に示すように、風力選別機11の排出口11fを菅路17に直結する場合は、菅路17への吸引量を調整するための流量調節弁17aを設置し、吸引量を調整することで、風力選別機11の分離効率を維持することができる。
図7、図8に示すサイクロン式分級機22は、比重差選別装置21からの集塵分と、風力選別機11からの粗粒分以外とを、細粒と、細粒以外の微粉とに分級する。細粒は、粒径が0.05〜0.30mmである。なお、サイクロン式分級機22により分級された細粒の粒径の値0.05〜0.30mmは、概略値である。
サイクロン式分級機22の下方に接続する管路には、2個の開閉弁22bを有している。図示した乾式分離装置の作業中に、細粒はサイクロン式分級機22の下方に接続する管路内に堆積する。この細粒を稼働中に連続回収するために、まず上側の開閉弁22bを開いて下側の開閉弁22bを閉じ、これにより細粒を上側の開閉弁22bと下側の開閉弁22bとの間に落下させ、次に上側の開閉弁22bを閉じて下側の開閉弁22bを開き、これにより上側の開閉弁22bと下側の開閉弁22bとの間の細粒を回収する。ここで、開閉弁22bの代わりに同じ機能を有するロータリーバルブ又はロッカーバルブを用いることもできる。
回収された細粒は、粒径0.3mm未満の主に火山ガラスであり、前述したS80と同等である。この細粒を、本発明の火山噴出物由来粉末の原料として用いることができる。回収された細粒を、図5に示したローラミル、図6に示したジェットミルで粉砕して本発明の火山噴出物由来粉末が得られる。
粉砕装置としては、ローラミルやジェットミル以外にも、ボールミルやビーズミルなどの微粉砕装置を用いることができる。
粉砕装置としては、ローラミルやジェットミル以外にも、ボールミルやビーズミルなどの微粉砕装置を用いることができる。
なお、サイクロン式分級機22のオーバーフロー分として、細粒以外の微粉を、管路17Iを経由してバグフィルタ16に導く。バグフィルタ16は、微粉を回収する。微粉は、粒径が0.05mm以下である。なお、微粉の粒径の値0.05mm以下は、概略値である。微粉は、主に火山ガラスよりなり、前述したS4と同等である。ここで、バグフィルタ16の部分は、電気集塵装置に取り替えても同様に機能する。このバグフィルタ回収分の微粉を、稼働中に連続回収するためにバグフィルタ16の下に開閉弁16bを設置している。開閉弁16bは、上記開閉弁22bと同様な機能を有する。開閉弁16bの代わりに同じ機能を有するロータリーバルブ又はロッカーバルブを用いることもできる。
バグフィルタ16には排気ブロワ18が接続され、バグフィルタ16のろ布を通過した気流は、排気ブロワ18で排気Jとして排出される。
バグフィルタ16には排気ブロワ18が接続され、バグフィルタ16のろ布を通過した気流は、排気ブロワ18で排気Jとして排出される。
図9に、本発明の火山噴出物堆積鉱物を分離するのに好適な、別の乾式分離装置3の一例を概略図で示す。図9において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
図9に示す乾式分離装置3は、風力選別機11の粗粒分以外を、その風力選別機11の排出口11fから周囲の空気と共に吸引して管路17を経て第1のサイクロン式分級機22Aに導き、比重差選別装置21の多孔板21aから浮上した集塵分を、比重差選別装置21の排出口21eに接続する管路7Aを経て第2のサイクロン式分級機22Bに導く。なお、その風力選別機11の排出口11fとサイクロン式分級機22Aとを、管路17により直結してもよい。直結する場合は、菅路17への吸引量を調整するための流量調節弁17aを設置し、吸引量を調整することで、風力選別機11の分離効率を維持することができる。サイクロン式分級機22A、22Bは、既に説明したサイクロン式分級機22と同様の構造とすることができる。
風力選別機11において、選別コラム11bで気流の脈流を少なくするためには、サイクロン式分級機22に繋がる菅路17への吸気量を高精度に制御する必要がある。また、比重差選別装置21における分離性能は、排出口21eに係る吸出風量にも影響を受けることが分かっている。そこで、風力選別機11と比重差選別装置21とでそれぞれ独立してサイクロン式分級機22A、22Bとバグフィルタ16A、16B及び排気ブロワ18A、18Bが操作できれば、高精度な比重分離が可能となる。そこで、本実施形態は、図7の比重差選別装置21に、サイクロン式分級機22Bとバグフィルタ16Bと排気ブロワ18Bを1セット追加している。これにより、高精度な選別、分離が可能となる。
図10に、本発明の火山噴出物堆積鉱物を分離するのに好適な、別の乾式分離装置4の一例を概略図で示す。図10において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
本実施形態の乾式分離装置は、風力選別機が外気導入型の循環式風力選別機12である点で、密閉型の循環式風力選別機11を用いていた実施形態1、2とは相違している。シロッコファン11aにより外気を導入することから、循環式風力選別機12は原料供給口12d及び排出口12eに、それぞれロッカーバルブ12gが配置されている。
本実施形態のように、風力選別機として外気導入型の循環式風力選別機12を用いていても先に述べた実施形態と同様に本発明の効果が得られる。
なお、図10は、サイクロン式分級機22とバグフィルタ16が一セットの例を示しているが、先に図9に示したように、サイクロン式分級機22Bとバグフィルタ16Bと排気ブロワ18Bを1セット追加して、合計2セットとしてもよい。
本実施形態のように、風力選別機として外気導入型の循環式風力選別機12を用いていても先に述べた実施形態と同様に本発明の効果が得られる。
なお、図10は、サイクロン式分級機22とバグフィルタ16が一セットの例を示しているが、先に図9に示したように、サイクロン式分級機22Bとバグフィルタ16Bと排気ブロワ18Bを1セット追加して、合計2セットとしてもよい。
図11に、本発明の火山噴出物堆積鉱物を分離するのに好適な、別の乾式分離装置5の一例を概略図で示す。図11において、先に図面を用いて説明したのと同じ部材については同一符号を付しており、以下では重複する説明を省略する。
本実施形態の乾式分離装置5は、風力選別機がシロッコファン13aを有する吹上式風力選別機13である点で、密閉型の循環式風力選別機11を用いていた実施形態1、2とは相違している。
本実施形態のように、風力選別機として吹上式風力選別機13を用いていても、先に述べた実施形態と同様に本発明の効果が得られる。
本実施形態のように、風力選別機として吹上式風力選別機13を用いていても、先に述べた実施形態と同様に本発明の効果が得られる。
本発明の火山噴出物配合物において、上記火山噴出物由来粉末の配合割合は、重量換算で5%から90%の範囲内で硬化物の用途や特性に合わせて適宜調整することができる。火山噴出物由来粉末が5%未満とあまりに少ないと硬化物の強度が得られず、90%超とあまりに多いと単独の消石灰程度の強度しか発現せず、硬化させるのが難しい。
(消石灰)
消石灰は、平均粒径13μm以下、5μm以上であることが好ましい。平均粒径13μm以下であることにより、消石灰粉末を活性化し、硬化物の強度発現率が高くなる。平均粒径が5μm以下では、製造コストが嵩む。
消石灰は、平均粒径13μm以下、5μm以上であることが好ましい。平均粒径13μm以下であることにより、消石灰粉末を活性化し、硬化物の強度発現率が高くなる。平均粒径が5μm以下では、製造コストが嵩む。
本発明の火山噴出物配合物の一例は、上記火山噴出物由来粉末と上記消石灰を混合させたものである。混合方法は特に限定されず、遊星ミキサなどで乾式混合することができる。好ましくはボールミル、ビーズミル等を使って、上記火山噴出物由来粉末と上記消石灰とを粉砕混合する。この乾式粉砕混合により、消石灰と火山ガラスとのメカノケミカル反応が起こり、硬化材としての性能が高まる。
本発明の火山噴出物配合物は、上記火山噴出物由来粉末と上記消石灰以外の成分を含有させることができる。そのような成分としては、例えば石膏がある。
本発明の火山噴出物配合物の別の一例は、上記火山噴出物由来粉末と、水硬性石灰粉末とを混合させたものである。水硬性石灰粉末は、天然水硬性石灰でもよく、人工水硬性石灰でもよい。人工水硬性石灰としては、火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された火山ガラス材と石灰とを、加熱して合成されたものがあり、また、火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された粘土質と石灰とを、加熱により合成されたものがある。前者の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された火山ガラス材は、図1に示した乾式分離装置10で分離されたS80や、当該S80を粉砕したもの、例としてSR5、SR5J3、SR5J1を用いることができる。後者の火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された粘土質と石灰は、図1に示した乾式分離装置10で分離されたS4や、当該S4を粉砕したものを用いることができる。
S80や、当該S80を粉砕したもの、例としてSR5、SR5J3、SR5J1と、石灰とを900〜1150℃で焼成することにより、また、S4や、当該S4を粉砕したものや、更にこれらに必要に応じて石灰を加えたものを900〜1150℃で焼成することにより、遊離CaO、ビーライト、ワラストナイト及びゲーレナイトから選ばれる少なくとも1種を含有する水硬性石灰、好ましくはビーライトを3〜35質量%含有する水硬性石灰が得られる。石灰と火山噴出物堆積鉱物との配合割合は、重量比で85:15〜45:55の範囲が好ましい。
石灰と火山噴出物堆積鉱物との配合物の焼成温度は900〜1150℃の範囲が好ましい。900℃に満たないとビーライトを所定量で含む焼成物が得られず、1150℃を超えると焼成物が硬い塊状になるおそれがある。焼成時間は石灰と火山噴出物堆積鉱物との配合物の量にもよるが、電気炉を用いる場合は、概ね1〜104時間程度とすることができる。電気炉以外にもロータリーキルンや流動床炉を用いることができ、焼成炉の性能や仕様に影響されるので、焼成時間は1〜104時間に限定されるものでない。
出発原料はいずれも天然素材であり、リサイクル可能な水硬性石灰である。したがって、天然水硬性石灰NHLのように産地が限定されず、普通シラスを出発素材とするため安価に水硬性石灰が得られる。そして、天然水硬性石灰NHLと同等以上の強度を有する白色系の硬化体が得られる。
また、シラスは、巨大火砕流の堆積物であり、均質な巨大マグマが一気に噴出し、マグマのマトリックス(基地)をなす成分を反映した化学組成や屈折率など物性の安定した火山ガラスを主成分としている。その火山ガラスは、幅広い粒度分布を特徴とし、大きなガラス泡が破裂した平板状が主体をなし、易粉砕性となっているため、結晶質に比べて粉砕に要するエネルギーが少なくてすむ。シラスは天然の資源であり、有害物質を含まず、リサイクルが可能である。シラスは比表面積の大きく、粒径が小さな粒子を使うことで反応性が高くなるので、低い温度で水硬性物質の合成が可能となり、加熱に必要なエネルギーが低減され、また、地球温暖化の原因となるCO2の発生が抑えられる。これに対し、現行ポルトランドセメントの製造においては1450℃での加熱焼成が行われており、地球温暖化対策としてCO2発生抑制のために低温化が検討されているが進んでいない。
更に、上記した900〜1150℃という低温で合成するため合成物は硬い塊状物とはならず、粉砕が容易である。したがって、合成物粉砕時において、粉砕機から混入する重金属(Cr、Niなど)の混入が少ない。現在使われているセメントは1400℃以上の温度にて焼成しクリンカーを生成させているが、このクリンカーを微粉砕してセメントの製品が造られている。この粉砕および微粉回収にも多大なエネルギーが使われている。また、高温焼成時の耐火材および粉砕機の構造材からの剥離や摩耗成分の混入は避けられない。また、セメントによっては、有害重金属を含む産業廃棄物を原料の一部として使用しているものがあり、セメントからの有害重金属の除去による無害化は非常に困難であるとされている。
本発明の火山噴出物配合物は、上記火山噴出物由来粉末と上記水硬性石灰以外の成分を含有させることができる。そのような成分としては、例えば石膏がある。石膏の配合割合は1〜20%の範囲とすることができる。石膏の配合割合は、1%未満であると添加した効果が認められず、20%を超えると水硬性が阻害され耐久性が低下する。
(コンクリート組成物)
本発明の火山噴出物配合物を用いて、従来のコンクリートを代替し得る本発明のコンクリート組成物の一例は、上記の火山噴出物配合物と、骨材とを含むものである。
また、本発明のコンクリート組成物の別の例は、上記の火山噴出物配合物と、骨材と、水とを含むものである。
更に、本発明のコンクリート組成物の別の例は、上記の火山噴出物配合物と、上記の骨材の他にセメントを含むことができる。つまり、本発明のコンクリート組成物は、従来のコンクリートの組成を一部代替する態様を含む。本発明の火山噴出物配合物の火山噴出物由来粉末は、粘土質が除去されているため、化学混和剤の添加量が少なくて済む利点がある。
本発明の火山噴出物配合物を用いて、従来のコンクリートを代替し得る本発明のコンクリート組成物の一例は、上記の火山噴出物配合物と、骨材とを含むものである。
また、本発明のコンクリート組成物の別の例は、上記の火山噴出物配合物と、骨材と、水とを含むものである。
更に、本発明のコンクリート組成物の別の例は、上記の火山噴出物配合物と、上記の骨材の他にセメントを含むことができる。つまり、本発明のコンクリート組成物は、従来のコンクリートの組成を一部代替する態様を含む。本発明の火山噴出物配合物の火山噴出物由来粉末は、粘土質が除去されているため、化学混和剤の添加量が少なくて済む利点がある。
上述の本発明のコンクリート組成物は、気硬性又は水硬性を有しているため、空気中で又は加えられた水により硬化して硬化物が得られる。水硬性のコンクリート組成物の場合は、流し込み成形してもよいが、加圧しながら成形するのが好ましい。成形圧力は、例えば2.5〜235.4MPaとするのが好ましい。成形圧力は、高い方が硬化体の強度が向上する傾向があるが、2.5Mpa未満であると加圧の効果が小さい。236MPa以上であると加圧成形装置が巨大になり、大面積の硬化体の成形が不可能になるので、目的とする強度と硬化体の大きさで成形圧力を調整する必要がある。また、加圧形成の代わりに高温で促進養生することもできる。このときの養生温度は、20〜200℃とすることができる。養生期間を短縮するために養生温度を高くするが、温度を高くするほど養生コストも高くなるので、目的とする強度、養生期間に応じて最適な養生温度を選択する必要がある。また、湿潤養生を行う場合は、湿度は100%に近い方が硬化反応が進み、圧力容器を用いない場合の養生温度は100℃未満となる。圧力容器を用いる場合は、オートクレーブ養生と呼ばれ180℃前後の温度で促進養生を行う。
本発明の火山噴出物配合物を用いて、硬化物の硬化実験を行った。
ポゾラン材としての火山噴出物由来粉末は、シラスの比重分級により回収した火山ガラス粉S80をローラミルで5μmに粉砕し(SR5)、更にジェットミルにて1μmまで粉砕したSR5J1を用いた。平均粒径は1.055μmであった。
ポゾラン材としての火山噴出物由来粉末は、シラスの比重分級により回収した火山ガラス粉S80をローラミルで5μmに粉砕し(SR5)、更にジェットミルにて1μmまで粉砕したSR5J1を用いた。平均粒径は1.055μmであった。
消石灰は粒径の違いによる反応性を評価するために、粒径の異なる次の消石灰1、消石灰2を用いた。
・消石灰1:Ca(OH)2 96%以上、和光純薬 平均粒径12.6μm
・消石灰2:Ca(OH)2 消石灰1をジェットミル粉砕したサイクロン回収物であり、平均粒径5.6μm
・消石灰1:Ca(OH)2 96%以上、和光純薬 平均粒径12.6μm
・消石灰2:Ca(OH)2 消石灰1をジェットミル粉砕したサイクロン回収物であり、平均粒径5.6μm
水硬性石灰は、シラスの乾式比重分級により回収した平均粒径約4μm粒子(S4)と徳之島コーラルの混合粉を1000℃で20時間焼成合成した後、遊星ミルで粉砕したものを用いた。
細骨材は豊浦標準砂を用いた。
比較のためのポルトランドセメントは、市販普通ポルトランドセメント 宇部三菱セメント製を用いた。
細骨材は豊浦標準砂を用いた。
比較のためのポルトランドセメントは、市販普通ポルトランドセメント 宇部三菱セメント製を用いた。
各実施例、比較例の試料を、次の要領で作成し、得られた試料の強度評価を行った。
1.消石灰と火山噴出物由来粉末を配合表に基づきポットに秤量し乾式混合した。
2.ポットの細骨材と水を配合表に基づき添加した。
3.ペーストミキサーにて混合した。ペーストミキサーは、ジャパンユニックス社製 Uni−Cyclone UM−118型であり、公転回転数1500rpm 公自転比20% 混合時間30秒とした。
4.ポット内の塊を薬匙で解きほぐした。
5.目開き2mmのメッシュを通し、成形用顆粒とした。
6.15×50mmのパンチ面金型に20g充填し、成形圧13MPaで30秒加圧した。
7.成形した角柱成形体を3日間湿潤環境で保管した後、2グループに分け、一方は水中、もう片方は気中(室内)にて養生開始した。
8.強度評価を、次のように行った。
成形から1週、2週、4週経過後、曲げ強度を測定し、その破断試料で圧縮強度を測定した。測定は、島津製作所製 AG-100型強度試験機を用いて、曲げ強度については、試験速度1mm/min、スパン間隔30mmの条件とし、圧縮強度については、試験速度1mm/minの条件とした。
1.消石灰と火山噴出物由来粉末を配合表に基づきポットに秤量し乾式混合した。
2.ポットの細骨材と水を配合表に基づき添加した。
3.ペーストミキサーにて混合した。ペーストミキサーは、ジャパンユニックス社製 Uni−Cyclone UM−118型であり、公転回転数1500rpm 公自転比20% 混合時間30秒とした。
4.ポット内の塊を薬匙で解きほぐした。
5.目開き2mmのメッシュを通し、成形用顆粒とした。
6.15×50mmのパンチ面金型に20g充填し、成形圧13MPaで30秒加圧した。
7.成形した角柱成形体を3日間湿潤環境で保管した後、2グループに分け、一方は水中、もう片方は気中(室内)にて養生開始した。
8.強度評価を、次のように行った。
成形から1週、2週、4週経過後、曲げ強度を測定し、その破断試料で圧縮強度を測定した。測定は、島津製作所製 AG-100型強度試験機を用いて、曲げ強度については、試験速度1mm/min、スパン間隔30mmの条件とし、圧縮強度については、試験速度1mm/minの条件とした。
水中養生した場合の各実施例、各比較例の曲げ強度、圧縮強度を表1〜4に示す。
以下、表中では本発明の火山噴出物由来粉末を本願粉末と略称する。
以下、表中では本発明の火山噴出物由来粉末を本願粉末と略称する。
表1から表3の枝番−1は、水中養生を行ったことを示す。表1は消石灰1を、表2は消石灰2を用いた。表3の比較例5−1は、バインダー成分としてポルトランドセメントを用いた。
表1の実施例1−1は、標準砂を用いない火山噴出物由来粉末60%と消石灰40%のみの加圧成形体であり、水中養生で材齢3週間の圧縮強度は27.3MPaであった。比較例1−1は、平均粒径12.6μmの消石灰100%と標準砂と水を用いた加圧成形体であり、水中養生で材齢2週間の曲げ強度は0.2MPa、圧縮強度は2.1MPaであり、強度が非常に弱く、水硬性を発現していない。平均粒径5.6μmの消石灰を用いた表2の比較例3−1も同様に強度が非常に弱く、水硬性を発現していない。比較例2−1は、消石灰を用いず火山噴出物由来粉末100%用いた加圧成形体であり、水中で硬化せず強度測定ができなかった。
実施例2−1から5−1については、平均粒径12.6μmの消石灰を火山噴出物由来粉末で20〜80%置換した場合の加圧成形体であり、水中養生で材齢2週間の曲げ強度と圧縮強度が比較例1−1に比べて著しく向上していることが分かる。実施例4−1では、材齢2週間で曲げ強度4.5MPa、圧縮強度20.3MPaを示し、表中に記載していないが、材齢4週間で曲げ強度5.0MPa、圧縮強度28.7MPaを示した。実施例5−1では、材齢2週間で曲げ強度3.6MPa、圧縮強度17.7MPaを示し、表中に記載していないが、材齢4週間で曲げ強度4.5MPa、圧縮強度22.5MPaを示した。
表1の実施例1−1は、標準砂を用いない火山噴出物由来粉末60%と消石灰40%のみの加圧成形体であり、水中養生で材齢3週間の圧縮強度は27.3MPaであった。比較例1−1は、平均粒径12.6μmの消石灰100%と標準砂と水を用いた加圧成形体であり、水中養生で材齢2週間の曲げ強度は0.2MPa、圧縮強度は2.1MPaであり、強度が非常に弱く、水硬性を発現していない。平均粒径5.6μmの消石灰を用いた表2の比較例3−1も同様に強度が非常に弱く、水硬性を発現していない。比較例2−1は、消石灰を用いず火山噴出物由来粉末100%用いた加圧成形体であり、水中で硬化せず強度測定ができなかった。
実施例2−1から5−1については、平均粒径12.6μmの消石灰を火山噴出物由来粉末で20〜80%置換した場合の加圧成形体であり、水中養生で材齢2週間の曲げ強度と圧縮強度が比較例1−1に比べて著しく向上していることが分かる。実施例4−1では、材齢2週間で曲げ強度4.5MPa、圧縮強度20.3MPaを示し、表中に記載していないが、材齢4週間で曲げ強度5.0MPa、圧縮強度28.7MPaを示した。実施例5−1では、材齢2週間で曲げ強度3.6MPa、圧縮強度17.7MPaを示し、表中に記載していないが、材齢4週間で曲げ強度4.5MPa、圧縮強度22.5MPaを示した。
表2の実施例6−1から10−1については、平均粒径5.6μmの消石灰を火山噴出物由来粉末で20〜80%置換した場合の加圧成形体であり、水中養生で材齢2週間の曲げ強度と圧縮強度が比較例3−1に比べて著しく向上していることが分かる。実施例8−1では、曲げ強度4.7MPa、圧縮強度25.5MPaを示し、実施例9−1では、曲げ強度4.4MPa、圧縮強度19.7MPaを示した。材齢4週間では圧縮強度が、それぞれ31.9MPa、24.8MPaと材齢が長くなるに従って強度が向上し、水硬性が発現していることが分かる。比較例4−1については、火山噴出物由来粉末の消石灰との置換率が95%であり、消石灰100%の比較例3−1よりも強度は高くなっているが、水硬性の発現が弱くなった。実施例10−1に示すとおり火山噴出物由来粉末の消石灰との置換率が90%であると比較例3−1に比べて曲げ強度が12.5倍と圧縮強度が4倍の強度向上を示し水硬性を発現した。
表3の比較例5−1は、ポルトランドセメント100%と標準砂と水を用いた加圧成形体であり、水中養生で材齢2週間の曲げ強度は6.1MPaで圧縮強度は32.4MPaであった。実施例1−1〜10−1は、ポルトランドセメントには及ばないものの水中養生の材齢2週間で、実施例8−1がポルトランドセメントの78.7%の圧縮強度を発現した。材齢4週間を超える長期材齢においては、優れたポゾラン効果によりポルトランドセメントと同等以上の強度発現が期待できる。
表4の比較例6は、火山噴出物由来粉末を用いない水硬性石灰と標準砂のみの加圧成形体であり、水中養生で材齢2週間の曲げ強度は0.6MPa、圧縮強度は5.8MPaであった。ここで用いた水硬性石灰は、シラスの乾式比重分級により回収した平均粒径約4μm粒子(S4)と徳之島コーラルの混合粉を1000℃で20時間焼成合成した後、遊星ミルで粉砕したものである。実施例11では、その水硬性石灰を火山噴出物由来粉末で20%置換しており、材齢2週間の比較例6と比べて曲げ強度は4.0MPaと6.7倍に、圧縮強度は19.0MPaと3.3倍の強度向上を示し、水硬性向上の優れた効果を示した。
また、気中養生した場合の各実施例、各比較例の曲げ強度、圧縮強度を表5〜7に示す。成形した角柱成形体は3日間湿潤環境で保管した後、気中(室内)にて養生開始した。表5から表7の枝番−2は、気中養生を行ったことを示す。
表5の実施例1−2は、標準砂を用いない火山噴出物由来粉末60%と消石灰40%のみの加圧成形体であり、気中養生で材齢3週間の圧縮強度は31.0MPaであった。比較例1−2は、平均粒径12.6μmの消石灰100%と標準砂と水を用いた加圧成形体であり、気中養生で材齢2週間の曲げ強度は1.2MPa、圧縮強度は7.9MPaであり、水中養生よりも強度が高くなり気硬性を発現している。平均粒径5.6μmの消石灰を用いた表6の比較例3−2も同等な強度を示しており気硬性を発現している。比較例2−2は、消石灰を用いず火山噴出物由来粉末100%用いた加圧成形体であり、気中での硬化は見られなかった。
実施例2−2から5−2については、平均粒径12.6μmの消石灰を火山噴出物由来粉末で20〜80%置換した場合の加圧成形体であり、気中養生の材齢2週間で曲げ強度と圧縮強度が比較例1−2に比べて著しく向上していることが分かる。材齢2週間の実施例3−2では、曲げ強度4.4MPa、圧縮強度25.4MPaを示した。
実施例2−2から5−2については、平均粒径12.6μmの消石灰を火山噴出物由来粉末で20〜80%置換した場合の加圧成形体であり、気中養生の材齢2週間で曲げ強度と圧縮強度が比較例1−2に比べて著しく向上していることが分かる。材齢2週間の実施例3−2では、曲げ強度4.4MPa、圧縮強度25.4MPaを示した。
表6の実施例6−2から10−2については、平均粒径5.6μmの消石灰を火山噴出物由来粉末で20〜80%置換した場合の加圧成形体であり、気中養生で材齢2週間の曲げ強度と圧縮強度のいずれかが比較例3−2に比べて向上することが分かる。実施例7−2では、曲げ強度3.9MPa、圧縮強度24.8MPaを示し、実施例8−2では、曲げ強度3.0MPa、圧縮強度25.1MPaを示した。比較例4−2については、火山噴出物由来粉末の消石灰との置換率が95%であり、消石灰100%の比較例3−2よりも強度が弱くなっており気硬性をほとんど発現しなかった。実施例10−2に示すとおり火山噴出物由来粉末の消石灰との置換率が90%であると比較例3−2に比べて曲げ強度が1.7倍と強度向上を示した。
表7の比較例5−2は、ポルトランドセメント100%と標準砂と水を用いた加圧成形体であり、気中養生で材齢2週間の曲げ強度は6.6MPaで圧縮強度は33.4MPaであった。実施例1−2〜10−2は、ポルトランドセメントには及ばないものの気中養生の材齢2週間で、実施例8−2がポルトランドセメントの75.2%の圧縮強度を発現した。
更に、加圧成形することなく流し込み成形を行い、60℃、湿度100%で30時間および90時間養生した高温養生の場合の各実施例、各比較例の圧縮強度を表8、表9に示す。表9の実施例12〜15では、平均粒径5.6μmの消石灰2を用い、火山噴出物由来粉末は平均粒径は1.100μmのSR5J1を用いた。細骨材としては、石灰砕砂を用いた。
比較例7は、ポルトランドセメントと石灰砕砂と水を用いた流し込み成形体であり、60℃30時間養生後の圧縮強度は、23.3MPa、60℃90時間後の圧縮強度は、29.7MPaであった。
実施例12〜15については、消石灰を火山噴出物由来粉末で20〜80%置換した流し込み成形体であり、60℃で30時間及び60時間において、置換率が高いほど高強度化を示した。実施例15では、60℃30時間養生後の圧縮強度は、25.5MPa、60℃90時間後の圧縮強度は、28.1MPaであり、比較例7のポルトランドセメントとほぼ同等の強度発現を示した。
更に、モルタル組成に石膏を加えて加圧することなく流し込み成形を行い20℃で3日間の封緘養生を行った実施例と、石膏を加えないでポルトランドセメントを用いて流し込み成形を行った比較例との材齢3日の圧縮強度を表10、表11に示す。表11の実施例16は、平均粒径5.6μmの消石灰2を用い、火山噴出物由来粉末は平均粒径は1.100μmのSR5J1を用いた。
比較例8は、ポルトランドセメントと石灰砕砂と水を用いた流し込み成形体であり、20℃3日間の封緘養生後の圧縮強度は、12.2MPaであった。
実施例16については、消石灰を火山噴出物由来粉末で80%置換し、バインダー成分に対して石膏を内割りで10%添加した流し込み成形体である。流動性を確保するためにAE減水剤を少量添加した。20℃で3日間の封緘養生を行った後の圧縮強度は、6.6MPaであった。材齢が3日間と短く.ポルトランドセメントを用いた比較例に比べると本発明の効果は必ずしも大きくなかったが、石膏を添加しない場合よりも硬化が進んでいることを確認しており、これまでの実験結果から長期強度において高い強度発現が期待できる。
地球温暖化を食い止めるために二酸化炭素排出量の抑制が求められている。日本全体の二酸化炭素排出量の4%を占めるとも言われているセメント製造時の二酸化炭素の排出量を減らすことが命題となっている。我々は、生コンクリート製造時のポルトランドセメントの使用量を削減するために天然ポゾランに着目した。古代から人類は、消石灰に火山灰を添加することによって長期耐久性が発現することを発見し、経験的に用いてきたが、1850年頃からポルトランドセメントが製造されるようになって、火山灰の存在意義が薄れていった。しかし、1880年代から海水によるコンクリートの劣化が、軍事用や商業用の港湾施設で発生し、世界的な大問題となった。当時のポルトランドセメントの性能では解決できなかったが,その決定的な解決法が火山灰の添加にあることが実証され、耐海水性の改善が明治期の日本でも確認され、小樽港など100年以上の高耐久性を実現する手法として官業を中心に広く用いられた。しかし、火山灰は産地によって結晶質や粘土質など不純物の含有量など物性が異なるので、工業資源としての安定性に欠ける面があったので、昭和初期以降は殆ど使われなくなった。
我々は、火山灰のポゾラン反応性を評価する指標として、火山ガラス含有量と粒度の着目し、火山灰を含む火山噴出物堆堆積鉱物からの火山ガラスの精製と粉砕について研究を行った。その結果、少ない動力で火山ガラス質を乾式比重分離できることを確認し、粉砕することによって、ポルトランドセメントと同等の活性度指数を発現することを明らかにした。更に、ポルトランドセメントフリーのセメント代替物質の実験を開始し、消石灰と本発明の火山噴出物由来粉末とを配合することによって、水硬性と気硬性を兼ね備えた硬化材になることを確認した。
よって、世界中に無尽蔵とも言える火山噴出物堆積鉱物を用いて、製造時の二酸化炭素排出量を抑制し、しかも天然素材からなり、無害でリサイクル可能であり、硬化反応時に二酸化炭素の吸収も期待できるので、環境性能に優れた硬化材およびそれを用いた硬化物として、建築資材や建築物としての幅広い用途と世界レベルの広域での展開が期待できる。
我々は、火山灰のポゾラン反応性を評価する指標として、火山ガラス含有量と粒度の着目し、火山灰を含む火山噴出物堆堆積鉱物からの火山ガラスの精製と粉砕について研究を行った。その結果、少ない動力で火山ガラス質を乾式比重分離できることを確認し、粉砕することによって、ポルトランドセメントと同等の活性度指数を発現することを明らかにした。更に、ポルトランドセメントフリーのセメント代替物質の実験を開始し、消石灰と本発明の火山噴出物由来粉末とを配合することによって、水硬性と気硬性を兼ね備えた硬化材になることを確認した。
よって、世界中に無尽蔵とも言える火山噴出物堆積鉱物を用いて、製造時の二酸化炭素排出量を抑制し、しかも天然素材からなり、無害でリサイクル可能であり、硬化反応時に二酸化炭素の吸収も期待できるので、環境性能に優れた硬化材およびそれを用いた硬化物として、建築資材や建築物としての幅広い用途と世界レベルの広域での展開が期待できる。
10 乾式分離装置
21 比重差選別装置
21a 多孔板
21b 送風ファン
21c、21d、21f、21e 排出口
21g 振動装置
21h 風胴
22 サイクロン分級機
D1 重比重分
D2 落下分
E1 軽比重分
E2 集塵分
F 微粉
J 排気
21 比重差選別装置
21a 多孔板
21b 送風ファン
21c、21d、21f、21e 排出口
21g 振動装置
21h 風胴
22 サイクロン分級機
D1 重比重分
D2 落下分
E1 軽比重分
E2 集塵分
F 微粉
J 排気
Claims (17)
- 火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末と、消石灰粉末との混合物であり、前記火山噴出物由来粉末の配合割合が重量換算で5%から90%であることを特徴とする火山噴出物配合物。
- 火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末と、水硬性石灰粉末との混合物であることを特徴とする火山噴出物配合物。
- 前記火山噴出物由来粉末が、前記火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された火山ガラス材の粉砕粉末であり、平均粒径4.3μm以下である請求項1又は2記載の火山噴出物配合物。
- 前記火山噴出物由来粉末が、前記火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された火山ガラス材の粉砕粉末であり、平均粒径0.1μm以上、1.8μm以下である請求項1又は2記載の火山噴出物配合物。
- 前記火山噴出物堆積鉱物が、シラスである請求項1〜4のいずれか一項に記載の火山噴出物配合物。
- 前記消石灰粉末が、平均粒径13μm以下、5μm以上である請求項1、3、4又は5記載の火山噴出物配合物。
- 前記水硬性石灰粉末が、火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された火山ガラス材と石灰とを、加熱して合成されたものである請求項2、3、4又は5記載の火山噴出物配合物。
- 前記水硬性石灰粉末が、火山噴出物堆積鉱物の乾式分離により回収された粘土質と石灰とを、加熱により合成されたものである請求項2、3、4又は5記載の火山噴出物配合物。
- 更に、石膏を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載の火山噴出物配合物。
- 火山噴出物堆積鉱物から結晶質及び粘土質が除去された火山噴出物由来粉末と、消石灰粉末とを、前記火山噴出物由来粉末が重量換算で5%から90%の配合割合で混合して粉砕することを特徴とする火山噴出物配合物の製造方法。
- 前記火山噴出物堆積鉱物を乾式分離して回収された火山ガラス材を、平均粒径4.3μm以下に粉砕して前記火山噴出物由来粉末を得る請求項10記載の火山噴出物配合物の製造方法。
- 前記火山噴出物堆積鉱物を乾式分離して回収された火山ガラス材を、平均粒径0.1μm以上、1.8μm以下に粉砕して前記火山噴出物由来粉末を得る請求項10記載の火山噴出物配合物の製造方法。
- 前記火山噴出物堆積鉱物が、シラスである請求項10〜12のいずれか一項に記載の火山噴出物配合物の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の火山噴出物配合物と、骨材とを含むことを特徴とするコンクリート組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の火山噴出物配合物と、骨材と、水とを含むことを特徴とするコンクリート組成物。
- 更に、セメントを含む請求項14又は15記載のコンクリート組成物。
- 請求項14〜16のいずれか一項に記載のコンクリート組成物を硬化した硬化物。
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JP2017120918A JP2019006610A (ja) | 2017-06-20 | 2017-06-20 | 火山噴出物配合物、その製造方法、コンクリート組成物及び硬化物 |
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JP2020183330A (ja) * | 2019-05-07 | 2020-11-12 | 株式会社プリンシプル | 火山ガラス微粉末、その製造方法及び製造装置 |
JP2023507274A (ja) * | 2019-12-23 | 2023-02-22 | サイマー リミテッド ライアビリティ カンパニー | レーザー放電チャンバ内で金属フッ化物塵埃をトラップするための充填層フィルタ |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016209868A (ja) * | 2015-04-28 | 2016-12-15 | 鹿児島県 | 火山噴出物堆積鉱物の乾式分離方法、火山噴出物堆積鉱物の乾式分離装置、細骨材及び火山ガラス材 |
-
2017
- 2017-06-20 JP JP2017120918A patent/JP2019006610A/ja active Pending
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