JP6754517B2 - 道路トンネル換気制御装置 - Google Patents

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本発明は、道路トンネルの換気のためにジェットファンや立坑送排気ファンの運転を制御する道路トンネルの換気制御装置に関する。
道路トンネルにおいては、人体に対して有害な自動車のエンジンからの排出物質や塵埃などが浮遊しており、そのままではトンネル内の汚染物質濃度が高まってゆく。そこで、トンネル内の一酸化炭素等有害ガスの排出や排気ガス中の煤煙によるビジビリティ(透視率)の低下を防ぎ、トンネル内の良好な環境を確保するためトンネル内の汚染物質を排気するため、ジェットファンと立坑送排気ファン装置などにより換気制御を行っている。トンネル内の汚染物質を排気するには自然換気力や交通換気力による換気では不十分であり、このようにトンネル内に設置された複数の換気装置を用いた強制換気が行われている。
トンネルの換気にはさまざまな方式がある。わが国に非常に多い3000m以下の中小の対面通行の道路トンネルの換気方式として「縦流換気方式」や「立抗換気方式」と呼ばれる換気方式が標準採用される場合が多い。
「縦流換気方式」とは、トンネル断面全体を換気ダクトとして利用する方式の換気方式であり、用いる換気装置としては、道路トンネル内の空気をトンネル外に押し出すジェットファン装置や道路トンネル内の空気を浄化する電気集塵機などがあり、適宜これらを組み合わせてトンネルの入口から出口に向かう空気流を形成して排気する。
「立抗換気方式」とは、道路トンネルの出口付近に立抗を大気に向けて設け、上方に向けてトンネル内の空気を送排気する立坑送排気ファン装置を設け、道路トンネル内の空気を道路トンネル外の空気と交換するものである。なお、長距離の場合は出口付近以外にも道路トンネルの途中にも適宜立坑を設けて送排気ファン装置を設置することもある。
図13は、従来の一般的なジェットファンを用いた縦流換気方式と立抗換気方式を組み合わせた道路トンネルおよびトンネル内の交通を示した図である。このトンネルは、交通方向が一方向通行の片側通行トンネルと呼ばれるタイプである。このような片側通行道路トンネルでは、内部に縦流方向の換気を行なうジェットファン装置群20毎にジェットファンが複数台配設されている。図13の例ではジェットファン装置群20A、20A、20Cの3群が描かれている。道路トンネル内には図左から図右にかけて縦流の空気流Aが発生し、左から右にかけてトンネル内の汚染空気が排気される。換気制御装置30によりジェットファン装置群20の運転を制御する。また、道路トンネル内10には出口付近に設置された立抗換気ファン装置21により送排気の空気流Bが発生し、トンネル内から大気に向けてトンネル内の汚染空気が排気される。換気制御装置30はこれらジェットファン装置群20および立抗換気ファン装置21の運転を制御する。
図13の例ではトンネル内の入口近く、中央部近く、出口近くの各場所にトラフィックカウンタ(TC)、風向風速計(AV)がそれぞれ設置されており、その他適宜、汚染濃度計である煙霧透過率計(VI)や一酸化炭素濃度計(CO)が設置されている。
なお、トラフィックカウンタ(TC)は設置個所を通過する車の交通量を計測する装置であり、風向風速計(AV)は設置個所での風速を計測する装置であり、煙霧透過率計(VI)は物質中を透過する光の割合から設置個所の汚染濃度を計測する装置であり、また、一酸化炭素濃度計(CO)は設置個所の一酸化炭素の濃度を測定する装置である。
従来のジェットファンを用いた縦流換気方式では、道路トンネル内部のトラフィックカウンタ(TC)、風向風速計(AV)、煙霧透過率計(VI)、一酸化炭素濃度計(CO)から得られた各種環境成分値に基づいて、換気制御装置30により道路トンネル内部に設置されたジェットファン装置群20A〜20Cのジェットファンの運転台数を調整することが行われている。すなわち、道路トンネル内部には、例えば、煤煙、一酸化炭素、交通量、または風向風速等の環境成分値を測定する環境成分測定器が設置され、これらの環境成分測定器の計測値に基づいて、必要な換気量を確保するのに必要な台数だけジェットファン装置群20A〜20Cのジェットファンを台数運転し、これによって汚染物質濃度を予め設定されている許容値以下にして、トンネル利用者の安全性、快適性を確保している。このように、従来の道路トンネルではジェットファンの運転台数でトンネル内部の風速を制御してきたが、消費電力が大きくなる問題がある。
ここで、インバータ制御方式が注目されている。近年は、可変速制御が可能なインバータ制御方式の実用化が進み、ジェットファン装置の運転について無段階の風速制御が可能になった。そこで、消費電力を削減するため、インバータ駆動による運転速度の制御方式が普及しつつある。
インバータ制御方式の利点を最大にするには、1日の交通量変化に応じて、入路と出路の風速制約を満たしジェットファン装置群と立坑送排気ファン装置の総消費電力を最小にする道路トンネル換気制御装置が必要である。
特開2004−19250号公報
日本では都市部の高速道路では、図13に示すような、車の入路と出路の総数が4以上となる複雑な一方通行トンネルが増えている。その一例を図3に示す。トンネル外部への汚染空気の流出を防ぐため、全ての入路と出路から空気を吸い込み、立坑送排気ファンで集中排気する換気方式が一般に用いられる。つまり、全ての入路と出路に内側へ引き込む負圧が生じる範囲で風速を設定すれば、トンネルの入路および出路から外部へトンネル内の空気が排出されず、立坑送排気ファン装置で所定の箇所において上方に放出することとなる。例えば、図3の構成では、入路1、入路2とも0.5m/s以上の範囲で風速制約が設定されており、出路1では−1.0m/s、出路2では−0.5m/s以下の範囲で風速制約が設定されている(風速は車の進行方向を正方向とする)。図3の構成例では、ジェットファン装置群が3グループ(JFG1、JFG2、JFG3)あり、JFG1に2台、JFG2に10台、JFG3に1台のジェットファンがあり、ジェットファンの総数は13台であり、立坑排気ファン装置は1台であり、それらの換気装置を制御してトンネル内の風速が制御される。
このように、車の入路と出路の総数が4以上あり、制御対象となる換気装置としてジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置の総数が4以上ある場合において、入路と出路それぞれに設定された範囲で風速を確保できるよう、それら換気装置の運転を制御する必要があるが、トンネル換気制御装置においてそのような制御を行う上では以下の問題がある。
第1の問題は、従来技術の道路トンネル換気制御装置では、そのように制御対象と制御目標が多い複雑な条件にて制御する技術は確立されておらず、総消費電力量は常に最適化されているとは限らなかった。
従来技術では、いわゆる直接の制御対象であるジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置が取り得る風速値および風量値のすべての組み合わせについて全数探索をしらみつぶしに試行するしかなかった。つまり、ジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置が取り得る値のすべての組み合わせの一つ一つについて、その結果得られる道路トンネル内の環境条件、入路、出路の風速を計算し、仕様条件を満たすか否かチェックし、満たしたものは総消費電力を計算し、すべての結果を突き合わせてもっとも少ない総消費電力となるケースを最適値として決定するしかなかった。
第2の問題は、計算コストの問題である。
上記したように、日本では都市部の高速道路では、図13に示すような、車の入路と出路の総数が4以上、制御対象となる換気装置としてジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置の総数が4以上ある複雑な一方通行トンネルが増えており、その結果、上記した従来技術におけるジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置が取り得る値のすべての組み合わせを対象とした全数探索によるしらみつぶしの試行を行うと、制御に際して考慮すべき試行数が多くなり、消費電力量の最適化制御を行うためにはその計算量が級数的に増加してゆくこととなり、交通量に応じた30分毎のリアルタイム制御は困難となる。
図14は、従来技術におけるすべての制御対象である換気装置について取り得る値を全数探索する場合を想定した、道路トンネル換気制御装置における制御処理のステップを示すフローチャートである。図14に示すように、下記の5つのステップから処理される。
ステップ1は、ジェットファン装置群の風速VJ1、VJ2、VJ3と立坑送排気ファン装置の風量QEの組み合わせを選択する。なお、後述するようにすべての組み合わせを調べるとすると、各変数を最小値からスタートして順に増加させてすべての組み合わせを当たることが考えられる。
ステップ2は、上記ステップ1で想定した設定値にてすべての換気装置が稼働した場合に生じるトンネル内の風速分布(V1〜V6)を計算する。
ステップ3は、ステップ2で計算された入路風速(V1、V5)と出路風速(V4、V6)を調べ、その値がそれぞれの入路、出路に設定された風速制約の範囲内であれば総消費電力量を計算する。範囲外であれば候補から外す。
ステップ4は、上記ステップ1における、ジェットファン装置群の風速VJ1、VJ2、VJ3と立坑送排気ファンの風量QEの組み合わせのすべてが試行されたか否かを判断するステップであり、組み合わせのすべてが試行された場合、ステップ5に進み、まだ未試行の組み合わせが残っていれば上記のステップ1に戻る。
ステップ5は、組み合わせのすべてが試行されたことを受け、候補として記憶されているもののうち、ジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置による総消費電力が最小となるものを最適解として選定する。
上記処理の計算量をざっくりと評価してみる。インバータ制御方式ではジェットファン装置の風速VJや立坑送排気ファン装置の風量QEを無段階で制御できるが、例えばそれぞれの風速を100段階で変化させるものと仮定すると、ジェットファン装置群は3つ、立坑送排気ファン装置が1つあるので、組み合わせの数は108にもなり、計算コストが大きくなる。なお、ジェットファン装置群の数および立坑送排気ファン装置の数はもっと多いものが想定され、事実上、108よりさらに多くなることが考えられ、交通量に応じた30分毎のリアルタイム制御が困難となる。
なお、上記のステップ1において、最初に荒い探索をかけて、ステップ3にて制約条件を満たす制御変数の組み合わせの見込みを得ておき、その得られた見込みの範囲内にあるものを詳細に計算してゆくという改善策を用いれば、計算コストをある程度回避できるが、ステップ1で最初の荒い探索により絞られた制御変数の組み合わせについて、すべて範囲内での計算が終了したものとステップ5で判断されれば、ステップ6で最適解(ローカルな最適解)が選択されるが、ステップ1で行った荒い探索において、真の最適解が存する範囲を見落としてしまった場合には真の最適解が求まらないことがある。
さらに、この計算を1日あたり所定時間経過ごとに行わねばならない事情がある。道路トンネル内を走行する車の交通量とその交通風の風速が時間経過、気候変動、季節変動により変化する。図15は、図13の道路トンネルの本線(区間2)の一日の交通量変化を3日間にわたって示した図である。図15に示すように一日の間でも時間経過とともに交通量が変動しており、また、同じ時間帯であっても日が変わると交通量が変動していることが分かる。図15から言えることは、あらかじめ交通量について時間帯で固定値を設定することはできないということである。交通量について実際の交通量より少なく見積もっていれば道路トンネル内の汚染濃度は想定値より大きくなってしまうし、交通量について実際の交通量より多く見積もっていれば換気装置の総消費電力は無駄に多く消費してしまっていることとなる。
上記問題点に鑑み、本発明は、車の入路と出路の総数が4以上、制御対象となる換気装置としてジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置の総数が4以上あり複雑な一方通行トンネルでその制御目標とする風速制約が複数設定された複雑な制御システムについて、計算コストが少なく総消費電力を最小化できる制御処理をリアルタイムで実行できる道路トンネル換気制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明にかかる道路トンネル換気制御装置は、入路と出路の総数が4以上あり、制御対象となる換気装置としてジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置の総数が4以上あり、制御目標とする風速制約が複数設定された条件下、それら前記換気装置の運転を制御する道路トンネル換気制御装置において、各々の前記入路および前記出路が所定の風速制約範囲内でとり得る値の組み合わせの中からサンプル風速値の組み合わせ候補を選定するサンプル風速値選定処理手段と、前記サンプル風速値に基づいて前記道路トンネル内の各区間に生じる風速を計算し、当該風速を実現するジェットファン装置群のファンの回転速度と消費電力量を計算するジェットファン装置群計算処理手段と、前記サンプル風速値に基づいて計算されるすべての前記入路と前記出路を介した総流入風量から前記立坑送排気ファン装置のファンの回転速度と消費電力量を計算する立坑送排気ファン装置計算処理手段と、前記各ジェットファン装置群の前記消費電力量と前記立坑送排気ファン装置の前記消費電力量より、仮定した前記サンプル風速値ごとの総消費電力を計算する総消費電力計算処理手段と、前記サンプル風速値を前記風速制約範囲内にて様々に変化させ、前記総消費電力が最小となる前記サンプル風速値を最適サンプル風速値に選定する最適サンプル風速値選定処理手段と、前記最適サンプル風速値となるよう各前記ジェットファン装置群の前記ファンの回転速度および各前記立坑送排気ファン装置の前記ファンの回転速度を制御する運転制御手段を備え、前記換気装置群である前記ジェットファン装置群の一部または全部、あるいは前記立坑送排気ファン装置が、インバータ駆動運転される状況において、前記サンプル風速値を、前記出路の風速値は風速制約範囲内のうちの絶対値が最小の値に固定し、前記入路の風速値は前記風速制約範囲内から選ぶことにより前記最適サンプル風速値選定処理手段の演算量を削減することを特徴とする道路トンネル換気制御装置である。
上記構成により、入路と出路の総数が4以上あり、制御対象となる換気装置としてジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置の総数が4以上あり、制御目標とする風速制約が複数設定された条件下でも、理論的に総消費電力が最小となる最適サンプル風速値を計算し、換気装置に対する制御実行が可能となる。
本発明では、従来技術の図14に示した制御処理の流れとは根本的に逆になっており、先に制御の結果である入路の風速と出路の風速の組み合わせを定め、それらの結果を生じせしめるジェットファン装置群の風速と立坑送排気ファン装置の風量の組み合わせを求めるという逆の流れで計算してゆく探索方法である。
つまり、前記トンネル内の各種の検出器による検出データに基づく予測計算や前記トンネル内の環境制約条件から定まる計算式に基づいて前記ジェットファン装置群および前記立坑送排気ファン装置の風速を計算して最適な風速を決定するのではなく、前記サンプル風速値の組み合わせ候補を選定することで総消費電力の優劣から前記最適サンプル風速値を決めて道路トンネル内の換気制御を行うものである
ここでは、この最適化法を“発見的探索法”と呼ぶことにする。
一般にジェットファン装置群や立坑送排気ファン装置の総数Nに比べ、道路トンネルの入路と出路の総数Mは少なく、入路の総数M1はさらに少ない。従って発見的探索法の探索空間10Mは、従来技術の全数探索法の探索空間10Nに比べて遙かに小さくなる。これが発見的探索法で複雑性を低減でき、計算時間が大幅短縮できる理由である。
なお、発見的探索法を用いた制御処理の可制御性について述べる。発見的探索法を用いた制御処理では、入路と出路の風速を先に決めて、それを基にトンネル内の風速を決め、このトンネル内風速になるようにジェットファンの風速を制御するというアプローチをとる。交通量により交通換気力が変化するので、ジェットファン装置群の風速制御を介してトンネル内風速の制御ができるという可制御性が前提となる。通常の道路トンネルではジェットファン装置群が適切に配置されているので、可制御性が問題になることは少ない。
次に、発明者が“発見的探索法”の研究を進めた結果、さらに改良が可能なことに気付いた。
まず、交通量の少ない時間帯について、最適解として得られた組み合わせを調べると、入路の風速および出路の風速は、それぞれ風速制約範囲で風速の絶対値が最小の値になっていることが分かった。このことは、トンネル内の風速分布はこの時間帯では一定であるので、交通換気力の影響は小さく、ジェットファン装置群や立坑送排気ファン装置により生成される風速により制御する必要がある。入路の風速も交通量に応じて発生する交通換気力(車のピストン効果)だけでは足りない。
次に、交通量がある程度以上の時間帯について、最適解として得られた組み合わせを調べると、出路の風速は風速制約範囲の絶対値が最小の値になっているが、入路の風速は風速制約範囲の絶対値が最小の値よりも大きな数値となっていることが分かった。この場合は入路の交通換気力を利用した方がジェットファン装置群の消費電力が下がることを意味している。しかし出路では交通換気力を利用すれば逆に消費電力が上がることを意味している。
このことから、発明者は、サンプル風速値選定処理手段において、各々の出路のサンプル風速値を風速制約範囲内のうちの絶対値が最小の値に固定し、各々の入路のサンプル風速値は風速制約範囲内から自由に選ぶという制御処理が有効であることを見い出した。
つまり、計算試行する入路風速および出路風速として取り得る値の組み合わせすべてではなく、出路風速は固定として入路風速として取り得る値のみを探索する。ここでは、この最適化法を“改良型発見的探索法”と呼ぶことにする。
つまり、前記サンプル風速値選定処理手段において、各々の出路のサンプル風速値を風速制約範囲内のうちの絶対値が最小の値に固定し、各々の入路のサンプル風速値は風速制約範囲内から選んだ組み合わせ候補を『改良型サンプル風速値』とする。
次に、道路トンネル内に立坑送排気ファン装置の設置個所が複数存在する場合の処理について述べる。この場合、上記した立坑送排気ファン装置計算処理手段において、各々の立坑送排気ファン装置の総運転風量がすべての入路と出路からの総流入風量と等しくなるように決め、その風量配分があらかじめ定めた幾つかの配分比の中から総消費電力が最小となる配分比を選択すれば良い。
次に、道路トンネルが長大な場合などにおいて、道路トンネル全体を複数のサブトンネルに分割して制御する工夫について述べる。
道路トンネル全体を複数のサブトンネルに分割し、分割点から車が流入する流入サブトンネルでは分割点を入路とし、分割点から車が流出する流出サブトンネルでは分割点を出路と見立てる。このように分割点を入路や出路と見立てることにより上記した改良型発見的探索法を適用することができる。
つまり、上記の改良型発見的探索法を適用すれば、前記道路トンネル全体を複数のサブトンネルに分割する1または複数の分割点について、前記分割点の風速が所定の風速制約範囲内でとり得る値の中から分割サンプル風速値またはその組み合わせを選定する分割サンプル風速値選定処理手段と、前記分割サンプル風速値選定処理手段が選定した前記分割点における前記分割サンプル風速値の条件で、前記分割点から見て車が流入する流入サブトンネルでは前記分割点を前記入路とし、前記分割点から車が流出する流出サブトンネルでは前記分割点を前記出路と見立て、前記サンプル風速値選定処理手段、前記ジェットファン装置群計算処理手段、前記立坑送排気ファン装置計算処理手段、前記総消費電力計算処理手段により、それぞれの総消費電力を計算し、前記サンプル風速値選定処理手段により前記サンプル風速値を前記風速制約範囲内で様々に変化させ、さらに、前記分割サンプル風速値選定処理手段により前記分割点における風速を前記風速制約範囲内で様々に変化させ、前記総消費電力が最小となる前記道路トンネル全体の前記最適サンプル風速値を求めることができる。運転制御手段はサブトンネルごとに求められた最適サンプル風速値となるようジェットファン装置群および各立坑送排気ファン装置の運転を制御することができる。
本発明の道路トンネル換気制御装置によれば、入路と出路の総数が4以上あり、制御対象となる換気装置としてジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置の総数が4以上あり、制御目標とする風速制約が複数設定された条件下でも、理論的に総消費電力が最小となる最適サンプル風速値を計算し、換気装置に対する制御実行が可能となる。
また、本発明の道路トンネル換気制御装置において、出路の風速を風速制約範囲の絶対値が最少の値(トンネル内に引き込まれる風速の最小値)に固定し、入路の風速の組み合わせから探索してゆく発見的探索法を適用した制御処理とすれば、発見的探索法の探索空間は小さくなり、計算時間が大幅短縮できる。
実施例1にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100の基本的構成を説明するブロック図である。 実施例1にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100の処理の流れを示すフローチャートである。 トンネル内の様子を模式的に示した図である。 実施例2にかかる道路トンネル換気制御装置100の改良型発見的探索法を用いた処理の流れを示すフローチャートである。 本発明の改良型発見的探索法を用いた制御処理を用いて最適サンプル風速値として選択された入路風速と出路風速の一日の変化を示す図である。 最適サンプル風速値として選択された入路風速と出路風速を生成するために必要とされるジェットファン風速と排気ファン風量の一日の変化を示す図である。 本発明の改良型発見的探索法を用いた制御処理による総消費電力と排気ファン風量の一日の変化を示す図である。 道路トンネル内の一つの区間内に複数のジェットファン装置群が存在する場合の例を示す図である。 道路トンネル内に立坑送排気ファンが複数の場合の例を示す図である。 複雑な道路トンネルの例を分割処理して改良型発見的探索法を用いた道路トンネル換気の制御処理を適用する考え方を示す図である。 実施例5にかかる道路トンネル換気制御装置100aの基本的構成を説明するブロック図である。 実施例5にかかる道路トンネル換気制御装置100aの改良型発見的探索法を用いた処理の流れを示すフローチャートである。 従来の一般的なジェットファンを用いた縦流換気方式と立抗換気方式を組み合わせた道路トンネルおよびトンネル内の交通を示した図である。 従来技術におけるすべての制御対象である換気装置について取り得る値に関して全数探索を用いた処理の流れを示すフローチャートである。 道路トンネルの本線(区間2)の一日の交通量変化を3日間にわたって示した図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の道路トンネル換気制御装置の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
実施例1にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100の例を示す。
図1は、実施例1にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100の基本的構成を説明するブロック図である。
図2は、実施例1にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100の処理の流れを示すフローチャートである。
図3は、トンネル内の様子を模式的に示した図である。
図1には、道路トンネル換気制御装置100のほか、トンネル内に配置された各種センサとセンサ部110、換気装置であるジェットファン装置群200、立坑送排気ファン装置210が示されている。
まず、センサ部110を説明する。
センサ部110は、実測データを収集する各種センサや計測器を備えており、トンネル内の煙霧透過率データと、汚染ガス濃度データと、断面風速データと、トンネル内の車両交通量データとを含むトンネル内データを計測・収集する部分である。この構成例では、トラフィックカウンタ(TC)111、風向風速計(AV)112、煙霧透過率データ計測器(VI)113、一酸化炭素濃度データ計測器(CO)114を備えている。
トラフィックカウンタ111は、トンネルを通過する車両の台数や速度を計測するセンサであり、トラフィックカウンタ111によりトンネルを通過する車両に関して必要なデータを得ることができる。設置個所としてはトンネルに対する車両の出入りを管理するために適切な箇所であれば良く、この例ではすべての入路近くおよびすべての出口路近くに設置される。
風向風速計112は、縦流換気の流れを計測するために適した位置、例えば、トンネル200の入路、トンネル内部の適宜な区間ごと、出口近くに設置されている。この例では、入路が入路1、入路2の2つがあるのでそれら2カ所、出路が出路1、出路2の2つがあるのでそれら2カ所、トンネル内部としてジェットファン装置群200が設置された区間が3区間あるので、それぞれに設置した例となっている。
煙霧透過率データ計測器113は、レーザー照射部とレーザー受光部を備え、レーザー照射部とレーザー受光部間の空気中を透過するレーザー光の割合から塵などによる汚染濃度を計測する装置である。設置個所としてはトンネル内部の適宜な区間ごとであれば良く、この例では、ジェットファン装置群200が設置された区間が3区間あるので、それぞれに設置した例となっている。
一酸化炭素濃度データ計測器114は、トンネル200内の一酸化炭素の濃度を測定する装置である。設置個所としてはトンネル内部の適宜な区間ごとであれば良く、この例では、ジェットファン装置群200が設置された区間が3区間あるので、それぞれに設置した例となっている。
次に、道路トンネル換気制御装置100の各構成要素を説明する。
道路トンネル換気制御装置100は、道路トンネル内の換気装置であるジェットファン装置200、立坑送排気ファン装置210の制御を通じて換気制御を行うものである。
道路トンネル換気制御装置100は、サンプル風速値選定処理手段101、ジェットファン装置群計算処理手段102、立坑送排気ファン装置計算処理手段103、総消費電力計算処理手段104、最適サンプル風速値選定処理手段105、運転制御手段106を備えた構成例となっている。
サンプル風速値選定処理手段101は、道路トンネルにおける交通量に応じて各々の入路および出路に対する所定の風速制約範囲内でとり得る値の組み合わせの中からサンプル風速値の組み合わせを選定するものである。道路トンネルにおける交通量は、トラフィックカウンタにより計測された数値から決めることとし、例えば、30分ごとに交通量を把握するものとする。
サンプル風速値選定処理手段101は各々の入路および出路として取り得る値の組み合わせの中からサンプル風速値を選択するもので、後述する図2に示したフローチャートで説明するように、入路および出路として取り得る値のすべての組み合わせが選択されて計算処理がされるまで、ループ処理が繰り返される。
ジェットファン装置群計算処理手段102は、サンプル風速値選定処理手段101が選択したサンプル風速値に基づいて道路トンネル内の各区間に生じる風速を計算し、当該風速を実現するジェットファン装置群200の回転速度を計算するものである。
立坑送排気ファン装置計算処理手段103は、サンプル風速値選定処理手段101が選択したサンプル風速値に基づいて計算されるすべての入路と出路を介した総流入風量から立坑送排気ファン装置の回転速度を計算するものである。
総消費電力計算処理手段104は、ジェットファン装置群計算処理手段102が計算した各ジェットファン装置群の回転速度から消費電力量を計算し、立坑送排気ファン装置計算処理手段103が計算した立坑送排気ファン装置の回転速度から消費電力量を計算し、仮定したサンプル風速値ごとの総消費電力を計算するものである。
最適サンプル風速値選定処理手段105は、サンプル風速値選定処理手段101が選択するサンプル風速値を風速制約範囲内にて様々に変化させ、その結果、総消費電力計算処理手段104が計算した総消費電力が最小となるサンプル風速値を最適サンプル風速値に選定するものである。
運転制御手段106は、最適サンプル風速値選定処理手段105が選定した最適サンプル風速値を実現する各々のジェットファン装置群200および立坑送排気ファン装置210の回転速度となるよう、それら換気装置に対して運転制御信号を出して制御するものである。
以上の構成を備えた道路トンネル換気制御装置100による制御処理の流れを具体的な例を挙げつつ説明する。
図3の道路トンネルのモデルで考察する。なお、対比説明するため、この図3の道路トンネルモデルは、図13の道路トンネルモデルと同じものとなっている。
図3に示すように、この構成例では、トンネルはトンネル区間1から6までの6つの区間を想定する。
ジェットファン装置群は、JFG1、JFG2、JFG3の3グールプに分けられており、本線のトンネル区間1、2、3にそれぞれ、ジェットファン装置群200A,B,Cが配置されている。また、トンネル区間3と4の間に立坑送排気ファン装置210が1台配置された例となっている。
なお、ジェットファン装置群内の各ジェットファン装置は等速度で運転するものとする。なぜならばジェットファン装置群で群体として一定の風速を得る場合、各ジェットファン装置が同じ等速度での運転とする方がその消費電力が最小となるからである。
次に、図3に示した例において、各々の入路、出路に設定されている風速制約範囲として、入路1の風速V1の風速制約範囲は、V1≧0.5m/s、入路2の風速V5の風速制約範囲は、V5≧0.5m/s、出路1の風速V4の風速制約範囲は、V4≦−1.0m/s、出路2の風速V6の風速制約範囲は、V6≦−0.5m/sの例となっている。
ここで、入路1、2および出路1、2の風速制約を満たし、ジェットファン装置群と立坑送排気ファン装置の総消費電力を最小にする運転風速VJ1、VJ2、VJ3と運転風量QEを決める問題は定式化すると、(数2)〜(数5)の風速制約下で、(数1)で表される総消費電力を最小化する、制約付き非線形最適化問題となる。





ここで、VJiはJiの風速、QEは立坑送排気ファン装置の風量である。また(数2)は入路1の風速、(数3)は入路2の風速、(数4)は出路1の風速、(数5)は出路2の風速制約を示すものである。
この例では、道路トンネル換気制御装置100による制御処理は、30分間ごとに更新するものとする。つまり、30分間の平均交通量に応じて、出力はジェットファングループの運転風速と立坑送排気ファンの運転風量となる制御系である。この最適化計算を一日の交通量変化に応じて48回繰り返し、一日の最適運転パターンを得れば良いこととなる。
発明にかかる道路トンネル換気制御装置100における制御処理の概略を説明する。
図2は、本発明の道路トンネル換気制御装置100による発見的探索法を用いた制御処理手順を示すフローチャートである。
図2に示すように、下記の各ステップから処理される。
図2のステップ201は、サンプル風速値選定処理手段101による入路の風速値および出路の風速値としてとり得る組み合わせの中から或る組み合わせ(サンプル風速値)を選択するステップである。例えば、入路風速や出路風速の絶対値が5.0m/sを越えることはないものとし、変化しうる値は0.05m/sずつとする。
ここでは、すべての組み合わせが順次選択されてゆくよう、例えば、入路1、2、出路1、2の風速値を最小値からスタートして総当たりとなるよう順に増加させて行けばすべての組み合わせを当たることができる。
なお、後述するように、ステップ206からステップ201へのループを繰り返すことにより、下記の入路、出路の風速の組み合わせが順次選択されてゆくこととなる。
入路: V1[m/s]= 0.50, 0.55, 0.60, ……,5.00(91Case)
V5[m/s]= 0.50, 0.55, 0.60, ……,5.00(91Case)
出路: V4[m/s]= −1.00, −1.05, −1.10, ……,−5.00(81Case)
V6[m/s]= −0.50, −0.55, −0.60, ……,−5.00(91Case)
つまり、91×91×81×91=6103万9251の組み合わせが順次選択されてゆくこととなるが、まず、選択された1つの組み合わせが入路および出路のサンプル風速値として選定され、ステップ202へ移行する。
ステップ202は、上記ステップ1でサンプル風速値選定処理手段101が想定した入路および出路のサンプル風速値をもとに、ジェットファン装置群計算処理手段102によってトンネル内の風速分布(V1〜V6)を計算するステップである。
入路および出路のサンプル風速値とその風量が決まれば、トンネル内の風速分布(V1〜V6)も計算することができる。
ステップ203は、ステップ202で得られた各区間の風速分布(V1〜V6)より、ジェットファン装置群計算処理手段102によってジェットファン装置群200A,B,Cの風速VJ1、VJ2、VJ3を計算するステップである。トンネル内の風速が可制御であればこれらは理論的に計算できる。
ステップ204は、上記ステップ1でサンプル風速値選定処理手段101が想定した入路および出路のサンプル風速値をもとに、立坑送排気ファン装置計算処理手段103によって立坑送排気ファン風量QEおよび風速VEを計算するステップである。
立坑送排気ファン風量QEはQE=Q1+Q5−Q4−Q6より求まり、立坑送排気ファン装置の風速VEは、立坑送排気ファン風量QEと立坑送排気口の面積SQにより求まる。
ここで、Q1は入路1を介して区間1に吹き込む風量であり、入路1の断面積S1と風速V1より求まる。同様に、Q5は入路2を介して区間5に吹き込む風量であり、入路2の断面積S5と風速V5より求まる。Q4は出路1を介して区間4に吹き込む風量であり、出路1の断面積S4と風速V4より求まる。Q6は出路2を介して区間6に吹き込む風量であり、出路2の断面積S6と風速V6より求まる。
ステップ205は、ステップ103で計算されたジェットファン装置群の風速VJおよびステップ204で計算された立坑送排気ファン風速VEより、総消費電力計算処理手段104がそれらの運転に必要な総消費電力を計算するステップである。
ジェットファン装置群の風速VJおよび立坑送排気ファン風速VEがそれぞれ決まれば、その風速でモータを回転させる消費電力が各々決まり、それらの総合計をすれば総消費電力が決まる。
ステップ206は、サンプル風速値選定処理手段101または最適サンプル風速値選定処理手段105が、上記ステップ101における入路の風速および出路の風速の組み合わせのすべてが試行されたか否かを判断するステップであり、組み合わせのすべてが試行された場合(ステップ206:Y)、ステップ107に進み、まだ未試行の組み合わせが残っていれば(ステップ206:N)上記のステップ101に戻る。このステップ201→202→203→204→205→206→ステップ201へのループを繰り返すことにより、6103万9251の組み合わせがすべて計算される。
ステップ207は、最適サンプル風速値選定処理手段105が、組み合わせのすべてが試行されたことを受け、総消費電力計算処理手段104が候補として計算したもののうち、ジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置による総消費電力が最小となるものを最適解として選定するステップである。
ステップ208は、運転制御手段106が、最適サンプル風速値選定処理手段105が決定した入路1、2、出路1、2の最適風速値をもたらす、ジェットファン装置群の風速VJ1、VJ2、VJ3、立坑送排気ファン装置210の風速VEとなるよう、ジェットファン装置群200および立坑送排気ファン装置210の運転制御を行うステップである。
以上の処理ステップにより、実施例1にかかる発見的探索法を用いた制御処理が実行できる。
上記の本発明の道路トンネル換気制御装置100による発見的探索法を用いた制御処理の計算量をざっくりと評価してみる。
上記したモデルでは、本発明の道路トンネル換気制御装置100による発見的探索法を用いた制御処理によれば6103万9251の組み合わせを計算するが、従来の全数探索法を用いた制御処理では108(10000万)と想定されているため、計算量が低減する。
さらに、トンネルの入路の風速、出路の風速の変化をもっと少ないステップに減らして考えることも可能である。
また、ジェットファン装置群や立坑送排気ファン装置の数が多くなれば、本発明の道路トンネル換気制御装置100による発見的探索法を用いた制御処理では、試行する組み合わせ数は変動しないが、従来の全数探索法ではジェットファン装置群200および立坑送排気ファン装置210の数に応じて大きく増加する。
さらに、本発明の道路トンネル換気制御装置100による発見的探索法を用いた制御処理では、風速制約範囲を満たす場合しか探索しないので効果的な探索が可能となる。
実施例2にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100の例を示す。
実施例2にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100では、改良型発見的探索法を用いた制御処理を行うものである。
実施例2の改良型発見的探索法では、出路の風速を風速制約範囲の絶対値が最小の値に固定するものとし、選択される組み合わせは、入路の風速として取り得る組み合わせの数に限定した組み合わせの中から選択される。ここではこれを“改良型サンプル風速値”とする。
本発明の道路トンネル換気制御装置100の構成要素は実施例1と同じであるが、サンプル風速値選定処理手段101が改良型サンプル風速値を選定する。
図4は、実施例2にかかる道路トンネル換気制御装置100の改良型発見的探索法を用いた処理の流れを示すフローチャートである。
図4に示すように、下記の各ステップから処理される。
ステップ401は、入路の風速および出路の改良型サンプル風速値の組み合わせを選択する。
例えば、入路風速や出路風速の絶対値が5.0m/sを越えることはないものとし、変化しうる値は0.05m/sずつとすると、出路1は−1.0m/s、出路2は−0.5m/sの固定値であり、その上で、すべての組み合わせが順次選択されてゆくよう、入路1、2の風速値を最小値からスタートして総当たりとなるよう順に増加させて行けば、“改良型サンプル風速値”に該当するすべての組み合わせを当たることができる。
なお、後述するように、ステップ406からステップ401へのループを繰り返すことにより、下記の入路、出路の風速の組み合わせが順次選択されてゆくこととなる。
入路: V1[m/s]= 0.50, 0.55, 0.60, ……,5.00(91Case)
V5[m/s]= 0.50, 0.55, 0.60, ……,5.00(91Case)
出路: V4[m/s]= −1.00(1Case)
V6[m/s]= −0.50(1Case)
つまり、91×91×1×1=8281の組み合わせが順次選択されてゆくこととなるが、まず、選択された1つの組み合わせが入路および出路の“改良サンプル風速値”として選定され、ステップ402へ移行する。
ステップ402は、上記ステップ401でサンプル風速値選定処理手段101が選択した改良型サンプル風速値をもとに、ジェットファン装置群計算処理手段102によってトンネル内の風速分布(V1〜V6)を計算するステップである。図2ステップ202と同様の処理となる。
ステップ403は、ステップ402で得られた各区間の風速分布(V1〜V6)より、ジェットファン装置群計算処理手段102によってジェットファン装置群200A,B,Cの風速VJ1、VJ2、VJ3を計算するステップである。
ステップ404は、立坑送排気ファン装置計算処理手段103によって立坑送排気ファン風量QEおよび風速VEを計算するステップである。
ステップ405は、ステップ403で計算されたジェットファン装置群の風速VJおよび立坑送排気ファン風速VEより、総消費電力計算処理手段104がそれらの運転に必要な総消費電力を計算するステップである。
ステップ405は、ステップ403で計算されたジェットファン装置群の風速VJおよびステップ404で計算された立坑送排気ファン風速VEより、総消費電力計算処理手段104がそれらの運転に必要な総消費電力を計算するステップである。
ジェットファン装置群の風速VJおよび立坑送排気ファン風速VEがそれぞれ決まれば、その風速でモータを回転させる消費電力が各々決まり、それらの総合計をすれば総消費電力が決まる。
ステップ406は、サンプル風速値選定処理手段101または最適サンプル風速値選定処理手段105が、上記ステップ401において“改良型サンプル風速値”に該当する組み合わせのすべてが試行されたか否かを判断するステップであり、ここでは、改良型サンプル風速値となる組み合わせのすべてが試行された場合(ステップ406:Y)、ステップ407に進み、まだ未試行の組み合わせが残っていれば(ステップ406:N)上記のステップ401に戻る。
ステップ407は、最適サンプル風速値選定処理手段105が、改良型サンプル風速値となる組み合わせのすべてが試行されたことを受け、総消費電力計算処理手段104が候補として計算したもののうち、ジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置による総消費電力が最小となるものを最適解として選定するステップである。
ステップ408は、運転制御手段106が、最適サンプル風速値選定処理手段105が決定した入路1、2、出路1、2の最適風速値をもたらす、ジェットファン装置群の風速VJ1、VJ2、VJ3、立坑送排気ファン装置210の風速VEとなるよう、ジェットファン装置群200および立坑送排気ファン装置210の運転制御を行うステップである。
以上の処理ステップにより、実施例2にかかる改良型発見的探索法を用いた制御処理が実行できる。
上記の本発明の道路トンネル換気制御装置100による改良型発見的探索法を用いた制御処理の計算量をざっくりと評価してみる。
上記したモデルでは、本発明の道路トンネル換気制御装置100による改良型発見的探索法を用いた制御処理によれば8281の組み合わせを計算するが、従来の全数探索法を用いた制御処理では108(10000万)と想定されているため、計算量が劇的に低減している。
さらに、トンネルの入路の風速、出路の風速の変化をもっと少ないステップに減らして考えることも可能である。
実施例1の発見的探索法を用いた制御処理の計算量に比べても、実施例2の改良型発見的探索法を用いた制御処理の計算量は低減されている。実施例1の発見的探索法を用いた制御処理では、入路は2つ、出路は2つあり、6103万9251通りの計算が必要であるが、実施例2の改良型発見的探索法を用いた制御処理では、入路は2つ、出路は固定であるので8281通りの組み合わせに削減され、計算時間が約1/104になる。また、交通量が少ない場合は探索も必要無く解が一意に決まるというメリットがある。
次に、実際のトンネルでのシミュレーション結果を示す。
図5は、本発明の改良型発見的探索法を用いた制御処理を用いて最適サンプル風速値として選択された入路風速と出路風速の一日の変化を示す図である。
図6は、最適サンプル風速値として選択された入路風速と出路風速を生成するために必要とされるジェットファン風速と排気ファン風量の一日の変化を示す図である。
図7は、本発明の改良型発見的探索法を用いた制御処理による総消費電力と排気ファン風量の一日の変化を示す図である。
このように、総消費電力量を最小化しつつ、良好かつ安定した運転が可能となる。
実施例3にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100の例を示す。
実施例3として、道路トンネル内の一つの区間内に複数のジェットファン装置群が存在する場合の処理について述べる。
図8は、道路トンネル内の一つの区間内に複数のジェットファン装置群が存在する場合の例を示す図である。
この場合、ジェットファン装置群計算処理手段102において、当該区間の風速が所定風速となり、かつその総消費電力の和が最小となるように各々のジェットファン装置群の運転速度を決めるようにすれば良い。
道路トンネル内の一つの区間内に複数のジェットファン装置群が存在する場合に、ジェットファン装置群計算処理手段102における処理の妥当性について検証する。
トンネル内の区間iでは、交通量に応じた交通換気力(ピストン効果)Ftiと、空気流と壁面間の壁面摩擦力Friとジェットファンの回転による昇圧力Fjiが働き、トンネル断面積をAi、区間iの入口と出口間の圧力差をPiとすれば、(数6)の関係が成り立つ。

また区間iの風速をvi、車速をvt、ジェットファン風速をvjiとすると(数7)で表される。a,b,cは定数である。

ジェットファングループが図8のように2グループになると、(数6)が(数8)で表され、(数7)が(数9)で表され、交通換気力と壁面抵抗、区間の圧力差は変わらない。

従って、区間内にジェットファン装置群が1グループの場合のFjiに代えて、区間内にジェットファン装置群が2グループの場合は、Fji=Fji1+Fji2となり、昇圧力を2グループで発生させてその総和となれば良い。
従って、風速viの区間iに必要なジェットファン昇圧力Fji=Fji1+Fji2を最小の消費電力で発生させるジェットファン風速vji1とvji2の値を求めれば良い。
ジェットファンが3グループ以上になっても、同様に消費電力が最小となる各ジェットファングループの運転風速を求めることができる。
実施例4にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100の例を示す。
実施例4として、道路トンネル内に立坑送排気ファンが複数の場合について述べる。
図9は、道路トンネル内に立坑送排気ファンが複数の場合の例を示す図である。
このように、道路トンネル内に立坑送排気ファン装置の設置個所が複数存在する場合、立坑送排気ファン装置計算処理手段103において、各々の立坑送排気ファン装置の総運転風量がすべての入路と出路からの総流入風量と等しくなるように決め、その風量配分があらかじめ定めた幾つかの配分比の中から総消費電力が最小となる配分比を選択すればよい。
立坑送排気ファン装置の風量QEはすべての入路と出路からトンネル流れ込む風量に等しい。立坑送排気ファン装置が図9のように2台になると、(数10)に示すように、2台の排気ファンの風量QE1とQE2の和(総風量)がすべての入路と出路からトンネル流れ込む風量に等しくなる。

従って(数10)を満たし、消費電力の和が最小となるQE1、QE2の配分を求め、これらを運転風量とすれば良い。しかし、実施例3と異なり立坑送排気ファン装置の風量配分を変えると区間風速も変わるので、計算が複雑になる。そこで、あらかじめ決めたQE1とQE2の配分比の中から総消費電量が最小となる配分比を選択することも可能である。
また、立坑送排気ファン装置も風速が逆向きの入路と見なし、入路の数を1つ増やして、実施例2に示した改良型発見的探索を行いて最適解を得る方法もある。
立坑送排気ファンが3以上になっても、同様に消費電力が最小となる各立坑送排気ファンの運転風量を求めることができる。
実施例5にかかる本発明の道路トンネル換気制御装置100aの例を示す。
実施例5として、トンネルをいくつかのサブトンネルに分割して、サブトンネル毎に実施例2に示した改良型発見的探索法を用いた道路トンネル換気の制御処理を適用する工夫について述べる。
図10は、複雑な道路トンネルの例を分割処理して改良型発見的探索法を用いた道路トンネル換気の制御処理を適用する考え方を示す図である。
トンネルが図10上図のようにさらに複雑になった場合は、図10下図のようにトンネルをいくつかのサブトンネルに分割して、サブトンネル毎に実施例2に示した改良型発見的探索法を適用すれば、計算コストを低減することができる。
図10の例では、トンネル全体に分割点1、2を設けて3個のサブトンネルに分割して処理する場合を示している。
サブトンネル1とサブトンネル2は、区間4と区間7の間の分割点1で分割する。
同様にサブトンネル1とサブトンネル3は区間6と区間13の間の分割点2で分割する。
まず、この分割点1,2の風速V4、V6を想定する。
分割点1,2とも道路トンネル全体の中途にあるため、道路トンネル換気制御装置100aの運用によって風速V4、V6は変動し得る。ここで、V4、V6の風速としてとり得る値を想定し、その想定下、サブトンネル1の区間4は出路と見立て、サブトンネル2の区間7は入路と見立てるとともに、サブトンネル1の区間6は出路と見立て、サブトンネル3の区間13は入路と見立てる。その上で、各サブトンネル1、2、3について、個別に改良型発見的探索法を適用し、その結果から、想定した分割点1,2の風速V4、V6の風速の組み合わせについて、改良型発見的探索法を用いた総消費電力を計算する。次に、分割点1,2の風速V4、V6の風速の組み合わせを変えてこの処理を行い、分割点1,2の風速V4、V6の風速の組み合わせのすべてを試行し、最小の総消費電力を決めれば良い。
図11は、実施例5にかかる道路トンネル換気制御装置100aの基本的構成を説明するブロック図である。
実施例5にかかる道路トンネル換気制御装置100aは、サンプル風速値選定処理手段101、ジェットファン装置群計算処理手段102、立坑送排気ファン装置計算処理手段103、総消費電力計算処理手段104、最適サンプル風速値選定処理手段105、運転制御手段106のほか、分割サンプル風速値選定処理手段107を備えた構成例となっている。
サンプル風速値選定処理手段101から運転制御手段106は実施例1で説明したものと同様で良いのでここでの説明は省略する。
分割サンプル風速値選定処理手段107は、道路トンネル全体を複数のサブトンネルに分割する1または複数の分割点について、道路トンネルの交通量に応じて分割点の風速が所定の風速制約範囲内でとり得る値の中から分割サンプル風速値またはその組み合わせを選定するものである。つまり、まず、分割点における風速をとり得る値のうち或る値を“分割サンプル風速値”として選択する。その後、分割サンプル風速値選定処理手段107が選定した分割点における“分割サンプル風速値”の条件で、分割点から見て車が流入する流入サブトンネルでは分割点を入路とし、分割点から車が流出する流出サブトンネルでは分割点を出路と見立て、実施例2で説明した手順により、サンプル風速値選定処理手段101、ジェットファン装置群計算処理手段102、立坑送排気ファン装置計算処理手段103、総消費電力計算処理手段104により、それぞれの総消費電力を計算する。その後、分割点における風速をとり得る値のうち別の値を“分割サンプル風速値”として選択し、同様の処理を繰り返し、分割点における風速としてとり得るすべての風速値を計算すれば、図10のような複雑な道路トンネルについても最適値計算が効率よく実行できる。
以下、図12のフローチャートを参照しつつ、道路トンネル換気制御装置100aによる処理の流れを具体的な実例を示しつつ説明する。
まず、分割点をさだめて改良型発見的探索法を適用しやすいサブトンネルごとに分割する。この分割点の選定自体も自動処理することも原理的にはできるが、ここでは、道路トンネル換気制御装置構築の設計段階で決めて固定しておくものとする。
まず、分割サンプル風速値選定処理手段107により、“分割サンプル風速値”を選択する(ステップ1201)。
道路トンネルの内部においても風速の絶対値が5.0m/sを越えることはないものとし、変化しうる値は1m/sきざみで風速V4、V6の風速の組み合わせを試行するものとする。
V4[m/s]=V7=-5.00,-4.00,-3.00,-2.00,-1.00,0.00,1.00,2.00,3.00,4.00,5.00(11Case)
V6[m/s]=V13=-5.00,-4.00,-3.00,-2.00,-1.00,0.00,1.00,2.00,3.00,4.00,5.00(11Case)
なお、後述するように、ステップ1208からステップ1201へのループを繰り返すことにより、上記の合計121の組み合わせのそれぞれについて改良型発見的探索法で最適解を求めることとなる。
ここでは、例えばV4=V7=1.00m/s, V6=V13=2.00m/sの組み合わせが選択されたものとして説明を続ける。
次に、各々のサブトンネルごとに改良型発見的探索法を適用してゆく。
サンプル風速値選定処理手段101により、“改良型サンプル風速値”を選択する(ステップ1202)。
改良型発見的探索法を適用すれば、分割点1と分割点2について、出路と見立てたものは風速値が固定できる。
下記の入路、出路の風速の組み合わせが順次選択されてゆくこととなる。
入路: V1[m/s]= 0.50, 0.55, 0.60, ……,5.00(91Case)
V5[m/s]= 0.50, 0.55, 0.60, ……,5.00(91Case)
V11[m/s]= 0.50, 0.55, 0.60, ……,5.00(91Case)
V18[m/s]= 0.50, 0.55, 0.60, ……,5.00(91Case)
出路: V10[m/s]= 1.00(1Case)
V12[m/s]= 1.00(1Case)
V16[m/s]= 1.00(1Case)
V17[m/s]= 1.00(1Case)
分割点:V4[m/s]=V7= 1.00(1Case)
V6[m/s]= V13=2.00(1Case)
サブトンネル1では、91×91×1×1=8281の組み合わせが順次選択されてゆくこととなるが、まず、選択された1つの組み合わせが入路および出路の“改良サンプル風速値”として選定され、ステップ1203へ移行する。
なお、サブトンネル2、サブトンネル3についても同様の処理が行われる。
ステップ1203は、上記ステップ1202でサンプル風速値選定処理手段101が選択した改良型サンプル風速値をもとに、ジェットファン装置群計算処理手段102によってトンネル内の風速分布(V1〜V6)を計算するステップである。図4ステップ202と同様の処理となる。
以下、ステップ1204、ステップ1205、ステップ1206が処理され、各々のサブトンネルごとに改良型発見的探索法を適用した結果、すべての改良サンプル風速値について総消費電力が求められる。なお、このステップ1204、ステップ1205、ステップ1206は、実施例2の図4で示したステップ403、ステップ404、ステップ405と同様の処理である。
ステップ1207は、サンプル風速値選定処理手段101または最適サンプル風速値選定処理手段105が、上記ステップ1202において“改良型サンプル風速値”に該当する組み合わせのすべてが試行されたか否かを判断するステップであり、ここでは、改良型サンプル風速値となる組み合わせのすべてが試行された場合(ステップ1207:Y)、ステップ1208に進み、まだ未試行の組み合わせが残っていれば(ステップ1207:N)上記のステップ1202に戻る。
すべてのサブトンネルについてこのステップ1202、ステップ1203、ステップ1204、ステップ1205、ステップ1206が処理される。
サブトンネル1では、91×91×1×1=8281の組み合わせが順次選択されて総消費電力最小のものが特定できる。同様に、サブトンネル2、サブトンネル3についても総消費電力最小のものが特定できる。
この例では、V4=V7=1.00m/s, V6=V13=2.00m/sの組み合わせに関する最適解となる。
ステップ1208は、分割サンプル風速値選定処理手段107または最適サンプル風速値選定処理手段105が、上記ステップ1201において“分割サンプル風速値”に該当する組み合わせのすべてが試行されたか否かを判断するステップであり、ここでは、分割サンプル風速値となる組み合わせのすべてが試行された場合(ステップ1208:Y)、ステップ1209に進み、まだ未試行の組み合わせが残っていれば(ステップ1208:N)上記のステップ1201に戻る。
ステップ1209は、最適サンプル風速値選定処理手段105が、分割サンプル風速値となる組み合わせのすべてが試行されたことを受け、総消費電力計算処理手段104が候補として計算したもののうち、ジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置による総消費電力が最小となるものを最適解として選定するステップである。
これで試行すべきすべてのケースについての総消費電力が最小となるもの最適解が得られたこととなる。
ステップ1210は、運転制御手段106が、最適サンプル風速値選定処理手段105が決定した入路、出路の最適風速値をもたらす、ジェットファン装置群JFG1からJFG9の風速、立坑送排気ファン装置EF1からEF3の風速となるよう、各々のジェットファン装置群200および立坑送排気ファン装置210の運転制御を行うステップである。
以上の処理ステップにより、実施例5にかかるトンネル分割処理をした上で改良型発見的探索法を用いた制御処理が実行できる。
ここで、本実施例5にかかる道路トンネル換気制御装置100aによるトンネル分割処理をした上で改良型発見的探索法を用いた制御処理の計算量をざっくりと評価してみる。
分割点1,2の風速を上記のように11通りとした場合、計算コストは(8281+91+91)×121=1024023(約106)となる。
もし分割点1,2の風速を50通りに拡張すれば、風速V4、V6の風速の組み合わせは2500通りに増える。つまり、この場合の計算コストは(8281+91+91)×2500=21157500(約107)に増える。
もし、トンネル分割を行わない場合、全ての入路の数が4であるので、各入路で91通り変更するとすれば、計算コストの総数は約108となる。つまり、トンネル分割処理により計算コストの総数の削減が可能であることが分かる。特に分割点の風速がある範囲に限定される場合は、トンネル分割処理は有効である。
ちなみに、従来技術における全数探索により計算した場合を比較する。本トンネルのジェットファングループの数は9で、排風機の数は3である。各ジェットファングループと排風機の風速の変動のきざみを100通り、つまり102変えて従来の全数探索すると計算コストの総数が1024通りとなり、事実上計算不可能である。それに対して、実施例2に説明した改良型発見的探索法を用いれば制御変数の数が入路の数4に削減され、計算コストが約108に削減され、さらに本実施例5にかかるトンネル分割処理を組み合わせれば、計算コストが約106に削減されることが分かる。
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、道路トンネルの換気装置を制御する道路トンネル換気制御装置として広く適用することができる。
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
100 道路トンネル換気制御装置
101 サンプル風速値選定処理手段
102 ジェットファン装置群計算処理手段
103 立坑送排気ファン装置計算処理手段
104 総消費電力計算処理手段
105 最適サンプル風速値選定処理手段
106 運転制御手段
107 分割サンプル風速値選定処理手段
110 センサ部
111 トラフィックカウンタ
112 風向風速計(AV計)
113 煙霧透過率データ計測器(VI計測器)
114 一酸化炭素濃度データ計測器(CO計測器)114
200 ジェットファン装置群
210 立坑送排気ファン装置

Claims (5)

  1. 入路と出路の総数が4以上ある一方向の道路トンネルにおいて、制御対象となる換気装置としてジェットファン装置群および立坑送排気ファン装置の総数が4以上あり、それら前記換気装置の運転を制御する道路トンネル換気制御装置において、
    各々の前記入路および前記出路が所定の風速制約範囲内でとり得る値の組み合わせの中からサンプル風速値の組み合わせ候補を選定するサンプル風速値選定処理手段と、
    前記サンプル風速値に基づいて前記道路トンネル内の各区間に生じる風速を計算し、当該風速を実現するジェットファン装置群のファンの回転速度と消費電力量を計算するジェットファン装置群計算処理手段と、
    前記サンプル風速値に基づいて計算されるすべての前記入路と前記出路を介した総流入風量から前記立坑送排気ファン装置のファンの回転速度と消費電力量を計算する立坑送排気ファン装置計算処理手段と、
    前記各ジェットファン装置群の前記消費電力量と前記立坑送排気ファン装置の前記消費電力量より、仮定した前記サンプル風速値ごとの総消費電力を計算する総消費電力計算処理手段と、
    前記サンプル風速値を前記風速制約範囲内にて様々に変化させ、前記総消費電力が最小となる前記サンプル風速値を最適サンプル風速値に選定する最適サンプル風速値選定処理手段と、
    前記最適サンプル風速値となるよう各前記ジェットファン装置群の前記ファンの回転速度および各前記立坑送排気ファン装置の前記ファンの回転速度を制御する運転制御手段を備え、
    前記換気装置群である前記ジェットファン装置群の一部または全部、あるいは前記立坑送排気ファン装置が、インバータ駆動運転される状況において、
    前記サンプル風速値を、前記出路の風速値は風速制約範囲内のうちの絶対値が最小の値に固定し、前記入路の風速値は前記風速制約範囲内から選ぶことにより前記最適サンプル風速値選定処理手段の演算量を削減することを特徴とする道路トンネル換気制御装置。
  2. 前記サンプル風速値選定処理手段において、各々の前記出路のサンプル風速値をゼロまたは負とするとともに、前記入路のサンプル風速値は前記風速制約範囲内から選んだ改良型サンプル風速値とすることを特徴とする請求項1に記載の道路トンネル換気制御装置。
  3. 前記道路トンネル内を前記入路、前記出路、分岐部、前記立坑送排気ファン装置の設置個所で区分される複数の区間に分割した場合に、ひとつの区間内に複数のジェットファン装置群が存在するときは、前記ジェットファン装置群計算処理手段において、当該区間内の風速が所定風速となり、かつ前記ジェットファン装置群の前記総消費電力の和が最小となるように各々のジェットファン装置群の前記ファンの回転速度を決めることを特徴とする請求項1または2に記載の道路トンネル換気制御装置。
  4. 前記道路トンネル内に前記立坑送排気ファン装置の設置個所が複数存在する場合、前記立坑送排気ファン装置計算処理手段において、各々の前記立坑送排気ファン装置の総運転風量がすべての前記入路と前記出路からの総流入風量と等しくなるように決め、その風量配分があらかじめ定めた幾つかの配分比の中から前記総消費電力が最小となる配分比を選択することを特徴とする請求項1または2に記載の道路トンネル換気制御装置。
  5. 前記道路トンネル全体を複数のサブトンネルに分割する1または複数の分割点について、前記分割点の風速が所定の風速制約範囲内でとり得る値の中から分割サンプル風速値またはその組み合わせを選定する分割サンプル風速値選定処理手段と、
    前記分割サンプル風速値選定処理手段が選定した前記分割点における前記分割サンプル風速値の条件で、前記分割点から見て車が流入する流入サブトンネルでは前記分割点を前記入路とし、前記分割点から車が流出する流出サブトンネルでは前記分割点を前記出路と見立て、前記サンプル風速値選定処理手段、前記ジェットファン装置群計算処理手段、前記立坑送排気ファン装置計算処理手段、前記総消費電力計算処理手段により、それぞれの総消費電力を計算し、
    前記サンプル風速値選定処理手段により前記サンプル風速値を前記風速制約範囲内で様々に変化させ、さらに、前記分割サンプル風速値選定処理手段により前記分割点における風速を前記風速制約範囲内で様々に変化させ、前記総消費電力が最小となる前記道路トンネル全体の前記最適サンプル風速値を求め、
    前記運転制御手段が、前記サブトンネルごとに求められた前記最適サンプル風速値となるよう前記ジェットファン装置群の前記ファンの回転速度および各前記立坑送排気ファン装置の前記ファンの回転速度を制御することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の道路トンネル換気制御装置。
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