JP6752234B2 - Rna分子の翻訳効率を高めるutr - Google Patents

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Description

本発明は、以下を含むRNA分子に関する:(a)ポリペプチドをコードするコード領域;ならびに(b)前記コード領域の上流の、配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);および/または(c)前記コード領域の下流の、配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);前記コード領域によってコードされる前記ポリペプチドは、シトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)ではない。さらに、本発明は、本発明のRNA分子をコードする核酸分子に関する。さらに、本発明は、本発明の核酸分子を含むベクターおよび本発明のベクターを含む宿主細胞に関する。さらに、本発明は、本発明のRNA分子および任意に薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、本発明のRNA分子を含むキットに関する。最後に、本発明は、RNA分子のコード領域の、前記コード領域によってコードされるポリペプチドもしくはタンパク質への翻訳効率を高めるための、(b)で定めた1つ以上のUTR(単数もしくは複数)および/または(c)で定めた1つ以上のUTR(単数もしくは複数)の使用に関する。
近年、メッセンジャーRNA(mRNA)は、新薬の実体としてますます重要になってきている。DNAベースの遺伝子療法とは対照的に、mRNAは核内に輸送される必要はないが、細胞質においてタンパク質に直接翻訳される(1、2)。このため、DNA遺伝子医薬品の可能性は低いが実在するリスクである潜在的な挿入突然変異誘発を避けるのに、mRNAがより安全となる。結果として、mRNA療法は、広範な種々の医学的徴候における遺伝子およびタンパク質補充療法の有望な代替として浮上しつつある(1〜4)。しかしながら、その臨床的適用性をさらに確立するために、従来のmRNAの強い免疫原性ならびに限られた安定性を克服しなければならない。これに関して、mRNA安定性、特にmRNAの翻訳速度は、例えばmRNA薬物の投与量および投与間隔を決定するため、想定される医療用途にとって重要なパラメーターである。
いくつかの戦略は、安定性の増加および細胞または生物に投与されたmRNAによって引き起こされる免疫原性応答の低下の両方に成功していることを証明してきた。これらの中には、化学修飾されたヌクレオチドが含まれている(5)。Kormannらは、ウリジンおよびシチジン残基のわずか25%を2-チオウリジンおよび5-メチル-シチジンで置換すれば、mRNA安定性を増加させるだけでなく、in vitroで外部投与されたmRNAによって誘発される先天性免疫の活性化を減少させるのに十分であることを示した(特許文献1;特許文献2)。
また、mRNAの非翻訳領域(UTR)は、mRNAの安定性およびmRNAの翻訳の両方の調節において中心的な役割を果たすことが報告されている。UTRは、RNA結合タンパク質との相互作用を介して、翻訳開始、伸長、および終結、ならびにmRNAの安定化および細胞内局在に影響することが知られている(6、7)。UTR内の特定の誘因に応じて、mRNAの代謝回転を増強または減少させることができる(8〜11)。近年、mRNA半減期および対応するUTR配列に関するデータが公開されている(12、43)。
したがって、先行技術には、mRNAの安定性を増加させ、細胞または生物に投与されるmRNAによって誘発される免疫原性応答を低下させ、翻訳効率を高めるための手段および方法が既に説明されているが、翻訳効率は、例えばmRNA薬物の投与量および投与間隔を決定し、最終的に、最終産物、すなわちコードされたペプチドまたはタンパク質の生物学的利用能を決定するため、想定される医療用途にとって重要なパラメーターであることから、特に翻訳効率を高めるためのさらなる手段または代替手段に関してさらに改善が必要である。
国際公開第2012/0195936号 国際公開第2007/024708号 国際公開第2011/012316号 国際公開第2013/182683号
Trends in Biotechnology, 2013, 31 (7), 397-405 Nat. Biotechnol., 2014, 32(4):347-355 Sambrook et al., Molecular Cloning, A laboratory manual, 2nd Ed, 1989 Gossen and Bujard, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 (1992), 5547-5551) Gossen, Trends Biotech. 12 (1994), 58-62 Crook, EMBO J. 8 (1989), 513-519 Charron, J. Biol. Chem. 270 (1995), 25739-25745 Pagano, Science 255 (1992), 1144-1147 Gyuris, Cell 75 (1995), 791-803 Sambrook and Russell (2001), Molecular Cloning: A Laboratory Manual, CSH Press, Cold Spring Harbor, NY, USA Methods in Yeast Genetics, A Laboratory Course Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1990 Methods Mol. Biol. 703 (2011):29-41 Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., 1985, Mack Publishing Co.
本出願は、特許請求の範囲で定めた実施形態を提供することによってこの必要性に対処する。
特に、本出願は、驚くべきことに、特定のUTRが、所与の(外因性)mRNAに融合した際に翻訳効率を高めることを見出した。UTRは、ヒトシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)遺伝子のmRNAに由来する。CYBA遺伝子は特異的5'および3'UTRを含む。一般に、上流オープンリーディングフレーム(uORF)または内部リボソーム進入部位(IRES)などの5'UTR誘因は、遺伝子調節、特に翻訳開始に関与することが知られている(13)。3'UTRは、5'UTRよりもさらに多くの調節機能を含むことができ、そのうちのいくつかはmRNA翻訳を妨げさえする(14)。
先行技術では、CYBA 5'UTRユニットに関して調節誘因は説明されていないため、本発明の知見はさらに驚くべきものである。CYBAの3'UTRは2つの調節誘因を含有することが知られているが、これらの2つの誘因は、mRNAの安定性に照らして説明されているが、翻訳効率の増加に照らしては説明されていないため、CYBA UTRが所与のmRNAと融合した際に翻訳効率を高めるという本発明の知見は、それでもなお驚くべきものである。より具体的には、CYBAの3'UTRは、細胞質ポリアデニル化エレメント結合タンパク質(CPEB)、ならびに切断およびポリアデニル化シグナル伝達因子(CPSF)と相互作用することが知られているポリアデニル化シグナル(PAS)を保持することが知られている(11)。CPEBは、細胞質におけるポリA尾部の伸長に関与することが知られているが、CPSFは、ポリAの後の添加のための特定部位での切断を通じてmRNA前駆体をプライミングする(11、14)。CYBA 3'UTRに含まれる第2の調節モチーフは、インスリン3'UTR安定エレメント(INS_SCE)である(15)。INS_SCE配列は、還元条件下でポリピリミジントラクト結合タンパク質(PTB)に結合し、インスリンのmRNA半減期を増加させることが示されている(15)。したがって、CYBAの3'UTRの両方の調節誘因は、主にmRNA安定性と関連している。
ヒトCYBA遺伝子のコード鎖上に存在するヒトCYBA遺伝子の5'および3'UTRのヌクレオチド配列を表すDNA配列を以下のテーブル1に示す。
テーブル1は、ヒトCYBA遺伝子UTRの正確な遺伝コードを示す。DNA配列は、5'から3'末端に示されている。3'UTRのポリアデニル化シグナル(PAS)を太字で示し、インスリン3'UTR安定エレメント(INS_SCE)に下線を付した。5'UTRは71塩基対からなり、一方3'UTRは70塩基対を含有する。どちらのUTRも平均ヒトUTRよりも短く、5'UTRの場合約200ヌクレオチド、3'UTRの場合約1000ヌクレオチドからなる。
上記のテーブル1では、ヒトCYBA遺伝子5'-および3'UTRを表すDNA配列は、それぞれ配列番号5および配列番号6として示されている。
本発明が主にRNA分子に関するという事実を考慮して、以下に対応するRNA配列を参照する。
上記のDNA配列に由来する配列番号5は、RNAレベルで以下のUTR配列に対応する:
5'-CGCGCCUAGCAGUGUCCCAGCCGGGUUCGUGUCGCC-3'(配列番号1)。
この5'UTR配列は、ヒトCYBA遺伝子の開始コドンの直前にある。
上記のDNA配列に由来する配列番号6は、RNAレベルで以下のUTR配列に対応する:
5'-CCUCGCCCCGGACCUGCCCUCCCGCCAGGUGCACCC
ACCUGCAAUAAAUGCAGCGAAGCCGGGA-3'(配列番号2)。
mRNA翻訳効率に影響を及ぼす別の重要な特徴は、3'末端に位置するポリA尾部である。推定上、mRNA分解に対する長いポリA尾部の保護効果のために、120ヌクレオチドに及ぶポリA尾部の伸長がタンパク質発現に有益な効果があることが示されている(16)。長いポリA尾部とは対照的に、50ヌクレオチドより短いポリA尾部を有するmRNAは、全く翻訳されないといわれている(11、17)。したがって、mRNA療法において、組み換えmRNA構築物は、有利には、120ヌクレオチド以上のポリA尾部を備えるべきである。真核細胞における大部分のmRNA転写物の分解は、3'から5'へのエキソヌクレアーゼによる脱アデニル化で始まり、ポリA尾部の大部分が除去される。続いて、残りのmRNA本体の分解に関与する2つの主要な経路が作用し始めることが知られている。一方では、5'末端はDcp1/Dcp2複合体によって脱キャップされ、その後にXrn1pによって触媒される5'-3'エキソヌクレアーゼ分解が続く。他方では、エキソソームは、5'キャップを保持した状態で3'-5'エキソヌクレアーゼ分解を可能にする(18)。さらに、3'ポリA尾部との5'キャップ相互作用がmRNAの環状形態をもたらすことが知られている。mRNAの環状形態は、最初の終止コドンを翻訳した後にリボソームの開始速度を上昇させ、またmRNAを分解から保護すると推定される(19)。
本出願は、とりわけ、驚くべきことに、天然のCYBA mRNAの増加した翻訳効率を外因性mRNAに、そのコード配列を短縮されたCYBA 5'-および3'-UTRの組み合わせと隣接することにより付与できることを発見した。配列番号1および配列番号2にそれぞれ示される本発明の5'UTRおよび3'UTRはいずれも、ヒトCYBA遺伝子の5'-および3'UTRがそれぞれ配列番号5および配列番号6として示されていることを表している上記DNA配列よりも短い点に注意が必要である。
これは、個々の発現時間経過を評価することができると近年示されたmRNAトランスフェクション微速度撮影動画の単細胞分析によって行われてきたが(26)、規則的な微細パターンを用いて、細胞を接着部位の規則的なグリッド上に置くことが可能であると報告されている(27)。
したがって、本出願は、この技術が、外因性mRNA上の異なるUTRの組み合わせを迅速にスクリーニングおよび比較するための解決策を提供することを実証した。これに対処するために、不安定化緑色蛍光タンパク質(d2EGFP)のコード配列が選択され、細胞内のレポータータンパク質のライフサイクルが人為的に短くされている(28)。組み合わせには、それぞれのCYBA UTRの、5'もしくは3'末端それぞれの、5'末端および3'末端両方での、3'末端の3'UTRの2つの反復と組み合わせた5'末端での、または5'UTRなしで3'UTRの2つの反復の挿入が含まれる。これらの全てを、UTRを含まない対照構築物と比較した。タンパク質および機能的mRNAの寿命ならびに比較転写物の各々からの発現率を評価した。mRNAトランスフェクション後の遺伝子発現の動態の単細胞分析を、集団ベースの方法(フローサイトメトリー、蛍光顕微鏡画像法、およびルシフェラーゼ活性の生物発光測定)と比較した。驚くべきことに、対照と比較した全てのUTRの組み合わせについての3日間にわたる総タンパク質発現が改善されることが示された。
この知見は、特許請求の範囲において特徴づけられる実施形態の提供をもたらす。したがって、本発明は以下を含むRNA分子に関する:
(a)ポリペプチドをコードするコード領域;ならびに
(b)前記コード領域の上流の、配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);および/または
(c)前記コード領域の下流の、配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);
前記コード領域によってコードされる前記ポリペプチドは、シトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)ではない。
本発明に従って使用されるリボ核酸(RNA)分子は、G、A、U、およびCと呼ばれるヌクレオチドの鎖として集合したポリマー分子に関する。RNAの各ヌクレオチドは、1'〜5'の番号が付けられた炭素を有するリボース糖を含む。窒素塩基は、通常、アデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、またはウラシル(U)の1'位に結合している。ポリマーRNA分子では、リン酸基は、1つのリボースの3'位および次の5'位に結合している。したがって、ポリマーRNA分子のヌクレオチドは互いに共有結合しており、一方のヌクレオチドからのリン酸基は、後続のヌクレオチドの3'炭素に結合し、それによってホスホジエステル結合を形成する。したがって、RNA鎖は5'末端および3'末端を有し、そのためリボース環上の炭素にちなんで命名される。慣例により、上流および下流は、RNA転写が起こる5'から3'方向に関連する。好ましくは、RNA分子はメッセンジャーRNA(mRNA)分子である。mRNAは、遺伝情報を、DNAから、遺伝子発現のタンパク質産物のアミノ酸配列を特定するリボソームへ伝達する大きなRNA分子ファミリーである。RNAポリメラーゼによる一次転写物mRNA(mRNA前駆体として知られている)の転写に続いて、プロセシングされた成熟mRNAは、分子生物学のセントラルドグマに要約されるように、アミノ酸のポリマー:タンパク質に翻訳される。DNAの場合と同様に、mRNAの遺伝情報はヌクレオチド配列内にあり、それらは3つの塩基からそれぞれなるコドンに配列される。各コドンは、タンパク質合成を終結させる終止コドンを除いて、特定のアミノ酸をコードする。
以下にさらに詳細に概説するように、本発明のリボ核酸(RNA)分子は、2つまたはさらには3つの主要モジュール、すなわち、(a)ポリペプチドをコードするコード領域、(b)前記コード領域の上流の、1つ以上のUTR、および/または(c)前記コード領域の下流の、モジュール(b)のUTR(単数または複数)とは異なる1つ以上のUTRを含む。したがって、本発明のRNA分子は、その構造に関して、コード領域ならびに(5'および3')非翻訳領域(UTR)ならびに任意にポリA尾部を持つ、天然に存在する「正常」mRNA分子に似ている。
本発明に従って使用される用語「コード領域」は、「遺伝コード」によって提供される情報に従いリボソームによって解読され、タンパク質に翻訳されるコドンから構成されるポリマーRNA分子に関する。コード領域は、通常開始コドンで始まり、終止コドンで終わる。一般に、開始コドンはAUGトリプレットであり、終止コドンはUAA、UAG、またはUGAである。タンパク質コードであることに加えて、コード領域の一部は、mRNA前駆体の調節配列として、エキソンスプライシングエンハンサーまたはエキソンスプライシングサイレンサーとして機能し得る。本発明に従って使用されるポリペプチドまたはタンパク質をコードする遺伝子のコード領域は、コード配列またはCDS(coding DNA sequenceに由来)としても知られており、遺伝子のDNAまたはRNAの一部であり、エキソンからなり、ポリペプチドまたはタンパク質をコードする。言及したように、この領域は、開始コドンにより5'末端近くで境界され、終止コドンにより3'末端近くで境界される。mRNAのコード領域は、エキソンの一部でもある5プライム非翻訳領域(5'UTR)および3プライム非翻訳領域(3'UTR)に隣接している。コード領域すなわちCDSは、mRNA転写物の一部、すなわち、本発明に従って使用されるポリペプチドをコードするコード領域の一部であって、リボソームによってポリペプチドまたはタンパク質に翻訳される。
本発明に従って使用される用語「非翻訳領域」すなわち「UTR」は、翻訳されていないmRNAの上流の開始コドンおよび下流の終止コドンの区域に関し、したがって、5プライム非翻訳領域(5'UTR)および3プライム非翻訳領域(3'UTR)とそれぞれ称される。これらの領域はコード領域で転写され、したがって、それらが成熟mRNA中に存在するためエキソンである。
本発明において使用されるように、3'非翻訳領域(3'-UTR)は、翻訳終止コドンのすぐ後に続くメッセンジャーRNA(mRNA)の区域に関する。mRNA分子はDNA配列から転写され、後にタンパク質に翻訳される。mRNA分子のいくつかの領域は、5'キャップ、5'UTR、3'UTR、およびポリA尾部を含むタンパク質に翻訳されない。
本発明で使用されるように、5'非翻訳領域(5'UTR)(リーダー配列またはリーダーRNAとしても知られている)は、開始コドンのすぐ上流にあるmRNAの領域である。5'UTRは、転写開始部位で始まり、コード領域の開始コドン(通常はAUG)の1ヌクレオチド(nt)前で終結する。原核生物では、5'UTRの長さは3〜10ヌクレオチド長である傾向があり、一方で真核生物では長く、一般に100〜数千ヌクレオチド長である傾向があるが、短いUTRが真核生物で生じる場合もある。
本発明で使用されるように、3'UTRは、ポリアデニル化およびmRNAの安定性に影響することが知られている3'-非翻訳領域内の調節領域を含み得る。多くの3'-UTRにはAUリッチエレメント(ARE)も含まれている。さらに、3'UTRは、ポリ(A)尾部と呼ばれる数百のアデニン残基のmRNA転写物の末端への付加を指示する配列AAUAAAを含む。
以下により詳細に概説されるように、本発明に従って使用されるRNA分子は、ポリA尾部も含み得る。ポリA尾部は、ポリアデニル化と呼ばれるプロセスによってmRNA前駆体の3'末端に付加されたアデニンヌクレオチド(しばしば数百)の長い配列である。この尾部は、核からの輸出および翻訳を促進し、mRNAを分解から保護する。ポリアデニル化は、ポリ(A)尾部をメッセンジャーRNAに付加することである。ポリ(A)尾部は、複数のアデノシン一リン酸からなる;換言すれば、それはアデニン塩基のみを有する一続きのRNAである。真核生物では、ポリアデニル化は、翻訳のための成熟メッセンジャーRNA(mRNA)を産生するプロセスの一部である。
上述のように、本発明のRNA分子は、好ましくは、2つまたは3つの主要モジュール、すなわち、(a)ポリペプチドをコードするコード領域;ならびに(b)前記コード領域の上流の、配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);および/または(c)前記コード領域の下流の、配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数)を含む。
したがって、本発明のRNA分子は、2つの主要モジュール、すなわち上記のモジュール(a)ならびにモジュール(b)、および任意にモジュール(c)も含むことが必須である。
別の好ましい実施形態では、本発明のRNA分子は、3つの主要モジュール、すなわち上記のモジュール(a)およびモジュール(b)およびモジュール(c)を含む。しかし、モジュール(a)は必須であるが、RNA分子はモジュール(b)または(c)の1つを欠く場合もあることも想定される。
RNA分子の1つのモジュール、すなわち「ポリペプチドをコードするコード領域」(モジュール(a))は、特に限定されず、所与の細胞において発現される任意の所望のコード領域であってよい。したがって、このモジュールは、所望のポリペプチド、すなわち所望の最終産物をコードするコード領域であり得る。本発明は、コード領域の性質が細胞内で産生される所望の産物に依存するため、「ポリペプチドをコードするコード領域」について限定されない。そのようなコード領域は、既知の天然配列とは異なり、突然変異(すなわち、点変異、挿入変異、欠失およびそれらの組み合わせ)を含むヌクレオチド配列でもあり得る。さらに、そのようなコード領域は、部分的にまたは全体的に、モジュール(a)として使用される天然配列に由来するコドン最適化配列であり得る。コドン最適化は、目的の遺伝子の翻訳効率を高めることによってタンパク質発現を最大にする技術である。天然遺伝子は、利用可能なコドンをランダムに使用するのではなく、特定のコドンを同じアミノ酸に対してある程度優先することが知られている。したがって、遺伝コードの縮退 - 1つのアミノ酸が複数のコドンによってコードされ得ること - のために、目的の遺伝子のヌクレオチド配列を同一または別の種の好ましいコドンのセットに変換する。しかし、シトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)遺伝子のコード領域(モジュール(a))は除外されており、したがって、本発明のRNA分子は、モジュール(a)、すなわちポリペプチドをコードする領域を含むRNA分子であるが、(a)のポリペプチドをコードする前記コード領域は、シトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするコード領域ではない。シトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするコード領域ならびに対応するアミノ酸配列は、当該技術分野で知られている。シトクロムb-245アルファポリペプチドは、スーパーオキシドを産生できることが知られており、食作用に関与することが知られている。シトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするコード領域の例を配列番号9に示す。したがって、好ましい実施形態では、本発明のRNA分子は、モジュール(a)、すなわちポリペプチドをコードする領域を含むRNA分子であって、(a)のポリペプチドをコードする前記コード領域は、配列番号9として示されるシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするコード領域でもなく、配列番号9と少なくともx%同一であり、xが90〜100の間の整数、好ましくは95、96、97、98または99であるアミノ酸配列を示すコード領域でもない。一例として、DNAレベルでは、シトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするポリペプチドのコード領域を表す配列は配列番号8に示される。
上述したように、モジュール(a)は、特に限定されず、所与の細胞において発現される任意の所望のコード領域であってよい。したがって、本発明の文脈において、「コード領域」は、細胞に導入された際、ポリペプチド/タンパク質またはそれらの断片に翻訳可能である任意のポリリボヌクレオチド分子を意味することが理解されるべきである。用語「ポリペプチド」および「タンパク質」は、ここで、任意の種類のアミノ酸配列、すなわちペプチド結合を介してそれぞれ連結された2つ以上のアミノ酸の鎖を包含し、ペプチドおよび融合タンパク質も含む。
好ましい実施形態では、「ポリペプチドをコードするコード領域」は、細胞内または細胞近傍でのその機能が必須または有益であるポリペプチド/タンパク質またはそれらの断片、例えば、その欠陥型もしくは欠損型が疾患もしくは病気のトリガーであり、その提供が疾患もしくは病気を軽減もしくは予防することができるタンパク質、または細胞内もしくは細胞近傍において身体に有益なプロセスを促進することができるタンパク質をコードするリボヌクレオチド配列を含む。コード領域は、完全なタンパク質またはその機能的変異体の配列を含み得る。さらに、コード領域のリボヌクレオチド配列は、因子、誘導因子、調節因子、刺激因子もしくは酵素、またはそれらの機能的断片として作用するタンパク質をコードすることができ、ここでこのタンパク質は、障害、特に新陳代謝障害を治療するために、または新生血管、組織、その他の形成などのin vivoでのプロセスを開始するために、その機能が必須のものである。ここで、機能的変異体は、細胞内におけるその機能が必須のものであるか、またはその欠陥型もしくは欠損型が病原性であるタンパク質の機能を細胞内で担う断片を意味することが理解される。
好ましい実施形態では、「ポリペプチドをコードするコード領域」は、治療的もしくは予防的効果を有する治療的もしくは薬学的に活性なポリペプチドまたはタンパク質をコードする。このように、前記「ポリペプチドをコードするコード領域」を含む本発明のRNA分子は、核酸療法および関連する用途において使用され得る。これに関連して、本発明によれば、RNA分子のコード領域を、導入された外因性RNA分子の前記コード領域によってコードされるポリペプチドまたはタンパク質に翻訳する効率の増加は、特に、内因性遺伝子が欠損またはサイレントであり、遺伝子発現の産物をもたらさない、不十分な産物もしくは欠陥のある産物、または機能不全の産物をもたらす場合に、例えば、数例を挙げると嚢胞性線維症、血友病または筋ジストロフィーのような多くの代謝および遺伝子疾患の場合などで、内因性遺伝子発現を補うか、または補完することを目的とし得る。RNA分子のコード領域を、本発明の導入された外因性RNA分子のポリペプチドに翻訳する効率の増加は、遺伝子発現の調節、シグナル伝達および他の細胞プロセスなどの内因性細胞プロセスと発現産物を相互作用または干渉させることも目的とし得る。RNA分子のコード領域を、導入された外因性RNA分子のポリペプチドに翻訳する効率の増加は、トランスフェクトされた細胞または形質導入された細胞が存在するかまたは存在するように作製された生物において免疫応答を生じさせることも目的とし得る。例は、樹状細胞などの抗原提示細胞の、ワクチン接種目的でそれらに抗原を提示させるための遺伝子組み換えである。もう1つの例は、RNA分子のコード領域をポリペプチドに翻訳する効率の増加であって、前記コード領域はサイトカインをコードする。これは、例えば、腫瘍特異的免疫応答を誘発するために腫瘍において望ましいとされ得る。さらに、RNA分子のコード領域を外因性RNA分子のポリペプチドに翻訳する効率の増加は、組み換えT細胞もしくは前駆体もしくは幹細胞もしくは他の細胞などの細胞療法のためにまたは再生医療のために、一時的に遺伝子組み換えされた細胞をin vivoまたはex vivoで生成することも目的とし得る。
他の好ましい実施形態では、「ポリペプチドをコードするコード領域」は、成長プロセスおよび血管形成に関与するタンパク質をコードしてもよく、それらは、例えば制御された再生において必須のものであり、続いて本発明のRNA分子の導入によって特異的に形成され得る。これは、例えば、成長プロセスにおいて、または骨欠損、組織欠損の処置、ならびに埋め込みおよび移植において有用であり得る。
言及したように、「ポリペプチドをコードするコード領域」を含む本発明のRNA分子は、ポリペプチドまたはタンパク質が、遺伝子欠損または疾患のために、体内に天然に存在するはずだが存在しないか、欠陥型で存在するか、またはあまりにも少量で存在するために体内に提供される必要がある場合に、適切に使用され得る。タンパク質およびそれらをコードする遺伝子、その不全または欠損は、疾患と関連していることが知られている。インタクトなポリペプチドまたはタンパク質をコードするコード領域のそれぞれインタクトなバージョンは、本発明に従って使用され得る。
単一遺伝子の突然変異によって引き起こされる多数の遺伝子疾患が知られており、mRNA治療アプローチの候補となる。嚢胞性線維症、血友病およびその他多くの単一遺伝子突然変異によって引き起こされる疾患は、ある種の形質が子孫に現れる可能性に関して優性または劣性であり得る。優性対立遺伝子は、対立遺伝子のコピーを1つしか持たない個体で表現型を発現するが、劣性対立遺伝子が発現するには、個体は、それぞれの親から1つずつ、2つのコピーを持たなければならない。対照的に、多遺伝子性疾患は2つ以上の遺伝子によって引き起こされ、それぞれの疾患の発現はしばしば流動的であり、環境要因と関連する。多発性疾患の例は、高血圧、コレステロールレベルの上昇、がん、神経変性疾患、精神病などである。これらの場合においても、これらの遺伝子の1つ以上を表す治療用mRNAは、これらの患者にとって有益となり得る。さらに、遺伝子疾患は、親の遺伝子から受け継がれていないはずであっても、新しい突然変異によっても引き起こされ得る。これらの場合においても、正しい遺伝子配列を表す治療用mRNAが患者にとって有益となり得る。
現在、22,993件のヒト遺伝子および遺伝子疾患の登録を、それぞれの遺伝子およびその表現型の記述と共に含むオンラインカタログが、ONIM(オンライン版ヒトメンデル遺伝)ウェブページ(http://onim.org)で入手できる;それぞれの配列はUniprotデータベース(http://www.uniprot.org)から入手できる。非限定的な例として、以下のテーブル2は、いくつかの先天性疾患および対応する遺伝子(単数または複数)を列挙する。細胞シグナル伝達経路の高度な相互作用のために、特定遺伝子の突然変異は病原性症状の多重化を引き起こし、そのうちの特徴的なもののみをテーブル2に列挙する。
本発明のいくつかの実施形態では、治療用タンパク質は、テーブル2に列挙する細胞タンパク質から選択される。したがって、本発明の組成物は、治療用細胞タンパク質をコードするmRNAを含んでいてもよく、ここで、コードされた治療用タンパク質は、テーブル2に列挙したものまたはそのホモログである。
本発明の別の実施形態では、治療用タンパク質は、テーブル2に列挙した分泌タンパク質から選択される。したがって、本発明の組成物は、治療用融合タンパク質をコードするmRNAを含んでいてもよく、ここで、コードされた治療用タンパク質またはそのホモログは、テーブル2に列挙したものであり、第2のタンパク質は治療用タンパク質の分泌を可能にするシグナルペプチドである。シグナルペプチドは、前記治療タンパク質のN末端に存在する、典型的には5〜30アミノ酸長の短いアミノ酸配列であって、特定の細胞小器官(すなわち、小胞体、ゴルジ体またはエンドソーム)を介して融合タンパク質を細胞の分泌経路に導く。したがって、そのような融合タンパク質は、細胞から、もしくは細胞小器官から分泌されるか、または細胞区画もしくは細胞表面の細胞膜(例えば、マルチスパン膜貫通タンパク質)に挿入される。
したがって、本発明の好ましい実施形態では、「ポリペプチドをコードするコード領域」(モジュール(a))は、限定されないが、疾患を引き起こす、疾患にかかりやすくする、または疾患から守る以下の遺伝子をコードし得る。治療(または予防)され得るそのような疾患の非限定的な例には、前記ポリペプチド、タンパク質またはペプチドが、以下のテーブル2に概説されるものからなる群より選択されるものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、「ポリペプチドをコードするコード領域」は、天然タンパク質のレベル以上のレベルの細胞活性を含む部分長または全長タンパク質に翻訳され得る。いくつかの実施形態では、「ポリペプチドをコードするコード領域」は、治療的もしくは予防的効果を有する治療的もしくは薬学的に活性なポリペプチド、タンパク質またはペプチドをコードし、前記ポリペプチド、タンパク質またはペプチドは、以下のテーブル2に概説されるものからなる群より選択される。「ポリペプチドをコードするコード領域」を使用して、天然タンパク質のレベル以下のレベルの細胞活性を有する部分長または全長タンパク質が発現され得る。これは、RNA分子の投与が望まれ得る疾患の治療を可能にし得る。
上記テーブル2は、欠損が、本発明のRNA分子で治療できる疾患に至る遺伝子の例を示し、ここでRNA分子は、上記に開示された欠損遺伝子のインタクトなバージョンのタンパク質またはその機能的断片をコードする「ポリペプチドをコードするコード領域」を含む。特に好ましい実施形態では、以下の遺伝子疾患を挙げることができる:例えば、SPB(サーファクタントタンパク質B)欠損症、ABCA3欠損症、嚢胞性線維症およびα1-アンチトリプシン欠損などの肺に影響する遺伝子疾患、または血漿タンパク質に影響する遺伝子疾患(例えば、先天性ヘモクロマトーシス(ヘプシジン欠乏症)、血栓性血小板減少性紫斑病(TPP、ADAMTS13欠損症)および凝固障害(例えば血友病aおよびb)および補体障害(例えばプロテインC欠乏症)を引き起こす遺伝子疾患、免疫欠如、例えばSCID(例えば、RAG1、RAG2、JAK3、IL7R、CD45、CD3δ、CD3εなどの異なる遺伝子における突然変異によって引き起こされる)または例えばアデノシンデアミナーゼの欠乏による不全による(ADA-SCID)、敗血性肉芽腫症(例えば、gp-91-phox遺伝子、p47-phox遺伝子、p67-phox遺伝子またはp33-phox遺伝子の突然変異によって引き起こされる)、ならびにゴーシェ病、ファブリー病、クラッベ病、MPS I、MPS II(ハンター症候群)、MPS VI、糖原病II型またはムコ多糖症などの蓄積症。
「ペプチドをコードするコード領域」を含む本発明が有用となり得る他の疾患には以下が挙げられる:SMN1関連脊髄性筋萎縮症(SMA);筋萎縮性側索硬化症(ALS);GALT関連ガラクトース血症;嚢胞性線維症(CF);シスチン尿症を含むSLC3A1関連障害;アルポート症候群を含むCOL4A5関連障害;ガラクトセレブロシダーゼ欠損;X連鎖副腎白質ジストロフィーおよび副腎脊髄神経症;フリードライヒ失調症;ペリツェウス・メルツバッハー病;TSC1およびTSC2関連結節硬化症;サンフィリッポB症候群(MPS IIIB);CTNS関連シスチン症;脆弱性X症候群、脆弱性X関連性振戦/運動失調症および脆弱性X早発卵巣不全症候群を含むFMR1関連障害;プラダー・ウィリー症候群;遺伝性出血性毛細血管拡張症(AT);ニーマン・ピック病C1型;若年性ニューロンセロイドリポフスチン症(JNCL)、青年バッテン病、サンタヴォリ・ハルチア病、ジャンスキー・ビールスコフスキー病、ならびにPTT-1およびTPP1欠損症を含むニューロンセロイドリポフスチン関連疾患;EIF2B1、EIF2B2、EIF2B3、EIF2B4およびEIF2B5関連の中枢神経系の髄鞘形成不全/白質質消失を伴う小児運動失調;CACNA1AおよびCACNB4関連一過性運動失調2型;クラシックレット症候群、MECP2関連重症新生児脳症およびPPM-X症候群を含むMECP2関連障害;CDKL5関連非定型レット症候群;ケネディ病(SBMA);Notch-3関連の皮質梗塞および白質脳症を伴う脳常染色体優性動脈疾患(CADASIL);SCN1AおよびSCN1B関連発作障害;アルパーズ・フッテンロッハー症候群、POLG関連感覚性運動失調性神経障害、構音障害および眼麻痺、およびミトコンドリアDNA欠失を伴う常染色体優性および劣性進行性外眼筋麻痺を含むポリメラーゼG関連障害;X連鎖副腎低形成;X連鎖無ガンマグロブリン血症;ファブリー病;ならびにウィルソン病。
全てのこれらの疾患では、タンパク質、例えば酵素が欠損しており、それは本発明のRNAでの治療によって治療され、欠損遺伝子によってコードされるタンパク質またはその機能的断片が利用可能となり得る。転写物置換療法/酵素置換療法は、根底にある遺伝子欠損に影響を与えないが、患者が不足している酵素の濃度を増加させる。例として、ポンペ病では、転写置換療法/酵素補充療法が欠損リソソーム酵素酸アルファ-グルコシダーゼ(GAA)に取って代わる。
したがって、本発明のモジュール(a)の「ポリペプチドをコードするコード領域」によってコードされ得るタンパク質の非限定的な例は、エリスロポエチン(EPO)、成長ホルモン(ソマトトロピン、hGH)、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)、GM-SCF、G-CSF、MPS、プロテインC、ヘプシジン、ABCA3およびサーファクタントタンパク質Bなどの成長因子である。本発明のRNAで治療できる疾患のさらなる例は、血友病A/B、ファブリー病、CGD、ADAMTS13、ハーラー病、X染色体媒介性A-γ-グロブリン血症、アデノシンデアミナーゼ関連免疫不全症およびSP-Bと関連する新生児の呼吸窮迫症候群である。特に好ましくは、本発明のRNA分子の「ポリペプチドをコードするコード領域」は、サーファクタントタンパク質B(SP-B)またはエリスロポエチンの配列を含有する。本発明のRNA分子の「ポリペプチドをコードするコード領域」によってコードされ得るタンパク質のさらなる例は、ヒト成長ホルモンhGH、BMP-2または血管新生因子などの成長因子である。
あるいは、核酸は、全長抗体または小抗体(例えば、重鎖および軽鎖の両方)をコードし、被験体に免疫を付与し得る。別の実施形態では、「ポリペプチドをコードするコード領域」は、機能的モノクローナルまたはポリクローナル抗体をコードしてもよく、これは、生物学的標的(例えば、腫瘍壊死因子などの刺激性サイトカイン)を標的とするおよび/または不活性化するために有用であり得る。同様に、「ポリペプチドをコードするコード領域」は、例えば、膜性増殖性糸球体腎炎II型もしくは急性溶血性尿毒症症候群の治療に有用な機能性抗ネフローゼ因子抗体をコードしてもよく、または、がんなどのVEGF媒介性疾患の治療に有用な抗血管内皮成長因子(VEGF)抗体をコードしてもよい。
モジュール(a)、すなわち「その5'末端に開始コドンを含み、ポリペプチドをコードするコード領域」は、ゲノム編集技術において使用され得るポリペプチドまたはタンパク質をコードするコード領域であり得る。ゲノム編集は、ヌクレアーゼを用いて生物のゲノムにDNAを挿入、欠失または置換する遺伝子工学の一種である。これらのヌクレアーゼは、ゲノムの所望の位置に部位特異的切断を生じさせる。誘導された切断は、非相同末端結合または相同組み換えによって修復され、ゲノムに標的突然変異をもたらし、それによりゲノムを「編集する」。切断は、一本鎖切断または二本鎖切断(DSB)のいずれかであり得るが、二本鎖切断(DSB)が好ましい。異なるポリペプチドまたはタンパク質を利用する多数のゲノム編集システム、すなわち、例えばCRISPR-Casシステム、メガヌクレアーゼ、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)および転写活性化因子様エフェクターベースのヌクレアーゼ(TALEN)が当該技術分野で知られている。ゲノム工学の方法は、非特許文献1に概説されている。
したがって、好ましい実施形態では、「その5'末端に開始コドンを含み、ポリペプチドをコードするコード領域」は、Cas(CRISPR関連タンパク質)タンパク質ファミリーのポリペプチドまたはタンパク質、好ましくはCas9(CRISPR関連タンパク質9)をコードするヌクレオチド配列を含有する。Casタンパク質ファミリーのタンパク質、好ましくはCas9は、CRISPR/Cas9ベースの方法および/またはCRISPR/Cas9ゲノム編集技術において使用され得る。ゲノムの編集、制御および標的化のためのCRISPR-Casシステムは、非特許文献2に概説されている。
別の好ましい実施形態では、「その5'末端に開始コドンを含み、ポリペプチドをコードするコード領域」は、メガヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列を含む。メガヌクレアーゼは、「従来の」エンドデオキシリボヌクレアーゼとは対照的に、大きな認識部位(例えば、12〜40塩基対の二本鎖DNA配列)を認識するエンドデオキシリボヌクレアーゼである。結果として、それぞれの部位は、数回のみ、好ましくは1回のみ、任意の所与のゲノムに生じる。そのため、メガヌクレアーゼは、最も特異的な天然に存在する制限酵素であると考えられ、したがって、ゲノム編集技術における適切なツールである。
別の好ましい実施形態では、「その5'末端に開始コドンを含み、ポリペプチドをコードするコード領域」は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)をコードするヌクレオチド配列を含有する。ZFNは、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインに融合することによって生成される人工制限酵素である。ジンクフィンガードメインを操作し、特定の所望のDNA配列を標的とすることができ、これによりジンクフィンガーヌクレアーゼは、複雑なゲノム内の特有の配列を標的とすることができる。内因性DNA修復機構を利用することにより、ZFNを使用して高等生物のゲノムを正確に改変することができるため、ZFNはゲノム編集技術に適したツールである。
別の好ましい実施形態では、「その5'末端に開始コドンを含み、ポリペプチドをコードするコード領域」は、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)をコードするヌクレオチド配列を含有する。TALENは、DNAの特定の配列を切断するように操作することができる制限酵素である。TALENは、TALエフェクターDNA結合ドメインがヌクレアーゼのDNA切断ドメインに融合している融合タンパク質である。転写活性化因子様エフェクター(TALE)を操作し、実際に任意の所望のDNA配列に結合させることができる。したがって、ヌクレアーゼと結合させた場合、特定の所望の位置でDNAを切断することができる。
第2のモジュール(b)は、配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数)である。
この文脈における「1つ以上」は、RNA分子のモジュール(b)が、配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、本発明の配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つのUTRを有し得ることを意味する。RNA分子は、本発明のこれらのUTRの2つ、3つまたは4つを有していてもよい。あるいは、RNA分子は、本発明のこれらのUTRの5つまたはそれ以上を有していてもよい。
第3のモジュール(c)は、配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数)(すなわち、上記モジュール(c))である。
この文脈における「1つ以上」は、RNA分子のモジュール(c)が、配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、本発明の配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つのUTRを有し得ることを意味する。RNA分子は、本発明のこれらのUTRの2つ、3つまたは4つを有していてもよい。あるいは、RNA分子は、本発明のこれらのUTRの5つまたはそれ以上を有していてもよい。
天然のヒトシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)mRNAの全長配列は、当該技術分野で知られており、配列番号7に示される配列を有する。添付の実施例では、天然ヒトシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)mRNAのヌクレオチド36〜71の配列は、CYBA mRNAの5'UTR断片(すなわち、ヌクレオチド配列5'-CGCGCCUAGCAGUGUCCCAGCCGGGUUCGUGUCGCC-3'(配列番号1))として使用され、天然ヒトシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)mRNAのヌクレオチド657〜723の配列は、CYBA mRNAの3'UTR(すなわち、ヌクレオチド配列5'-CCUCGCCCCGGACCUGCCCUCCCGCCAGGUGCACCC
ACCUGCAAUAAAUGCAGCGAAGCCGGGA-3'(配列番号2))として使用されてきた。
しかし、本発明で用いられるUTRは、配列番号1の上記特定の配列に特に限定されず、配列番号1と比較して1〜4個の置換を示す配列を含むUTR配列であってもよい。あるいは、UTR配列は、配列番号1と比較して1〜3個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。UTR配列は、配列番号1と比較して1〜2個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。最も好ましくは、UTR配列は、配列番号1と比較して1個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。
好ましくは、配列番号1と比較した上記ヌクレオチド置換の位置は、配列番号1の配列の32位で行われる。好ましくは、この位置のヌクレオチド「U」は「C」で置換される。この置換は、配列番号1に(部分的に)存在するCYBAのコザックエレメントを、脊椎動物のコザック共通配列に近づけるため、好ましい。脊椎動物のコザック共通配列はGCCRCCAUGGの配列を有する(開始コドンには下線が引かれ、「R」は任意のプリンを示す)が、CYBAのコザックエレメントはGuCGCCAUGGの配列を有する(開始コドンには下線が引かれ、脊椎動物の共通配列からのずれは小文字「u」で示されている)。
配列番号1と比較して上記置換の1つ以上を有するUTR配列(単数または複数)は、翻訳効率の点で配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかまたは類似の能力のRNA分子をもたらすことができ、好ましくは翻訳効率の点で配列番号1を含むUTRを含むRNA分子より高い能力のRNA分子をもたらすことができる。所与の組み換えUTR配列の、翻訳効率の点で配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と翻訳効率に関して比較した特性/能力は、当業者によって、当該技術分野で知られている方法および添付の実施例に概説されている方法によって決定することができる。
翻訳効率は、細胞内ポリペプチドまたはタンパク質へのmRNA翻訳の速度である。所与のmRNAの翻訳効率は、単位時間当たりのmRNA当たりで翻訳されるタンパク質またはポリペプチドの数として測定される。翻訳とは、細胞リボソームがタンパク質を生成するプロセスであって、当業者によく知られている。簡潔に言えば、翻訳では、DNAからの転写によって産生されたメッセンジャーRNA(mRNA)がリボソームによって解読され、特定のアミノ酸鎖またはポリペプチドもしくはタンパク質を産生する。
したがって、組み換えUTR配列を有する所与のRNA分子の翻訳効率は、好ましくは、同じ所与のRNAであるが配列番号1のUTRを有するRNAの翻訳効率と比較して高い。したがって、単位時間当たりのRNA当たりで翻訳される組み換えUTR配列を有するRNA分子のコード領域によってコードされるタンパク質またはポリペプチドの数は、単位時間当たりのRNA当たりで翻訳される配列番号1のUTRを有するRNA分子のコード領域によってコードされるタンパク質またはポリペプチドの数よりも多い。
組み換えUTR配列を有する所与のRNA分子の翻訳効率が、同じ所与のRNAであるが配列番号1のUTRを有するRNAの翻訳効率と比較して類似または同じである場合、単位時間当たりのRNA当たりで翻訳される組み換えUTR配列を有するRNA分子のコード領域によってコードされるタンパク質またはポリペプチドの数は、単位時間当たりのRNA当たりで翻訳される配列番号1のUTRを有するRNA分子のコード領域によってコードされるタンパク質またはポリペプチドの数と類似または同じである。
「翻訳効率」は、例えば、添付の実施例に記載の方法により、以下に概説されるように決定することができる。
翻訳効率は、本発明の文脈において、ある時点において細胞内タンパク質に翻訳されたmRNAの、同じ時点における前記細胞内のそれぞれのタンパク質をコードするmRNAの量に対する割合である。したがって、翻訳効率は、ある時点において細胞内タンパク質に翻訳されたmRNAと、それぞれのタンパク質をコードするmRNAの量との商である。両方のパラメーター、すなわちタンパク質に翻訳されたmRNAならびにそれぞれのタンパク質をコードするmRNAの量は、当該技術分野で知られている方法によって決定することができる。添付の実施例において行われたように、非限定的な例として、細胞内タンパク質に翻訳されたmRNAの量は、例えば、フローサイトメトリー(FC)によって決定されるように決定することができ、一方、それぞれのタンパク質をコードするmRNAの量は、例えば、qPCRによって測定することができる。
本発明で使用される、配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含むUTR(単数もしくは複数)は、上記特定の配列および上記の置換に特に限定されないが、配列番号1と比較してヌクレオチド(単数または複数)の付加(単数または複数)を示す配列を含むUTR配列(単数または複数)にも関する。ヌクレオチド(単数または複数)の付加は、隣接していてもよい。したがって、付加的ヌクレオチド(単数または複数)は、本発明のUTR(単数または複数)の3'末端または5'末端に付加され得る。付加的ヌクレオチド(単数または複数)は、0(変化なし)、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10ヌクレオチドまで、好ましくは20ヌクレオチドまで、またはさらにより好ましくは30ヌクレオチドまでのポリヌクレオチド鎖を含む。ヌクレオチドの付加が、本発明のUTR(単数または複数)の上記機能的特性を変化させない可能性が高いという理論的根拠に照らして、これらの配列が配列番号1と同様の能力(上記の翻訳効率に関して)を有し、好ましくは上記で定めた配列番号1より高い翻訳効率を有する限り、ヌクレオチドの付加は、40、50、60、70、80、90、もしくはさらには100ヌクレオチド、またはさらには、200、300、400もしくは500ヌクレオチドまでの長さも含み得る。
あるいは、もしくはヌクレオチド(単数または複数)のこれらの隣接付加(単数または複数)に加えて、ヌクレオチド(単数または複数)の付加は散在的であることができる。したがって、付加的ヌクレオチド(単数または複数)が、本発明のUTR(単数または複数)のヌクレオチド配列内に付加/挿入され得る。これらのヌクレオチド(単数または複数)挿入は、これらの配列が配列番号1と同様の能力(上記の翻訳効率に関して)を有し、好ましくは上記で定めた配列番号1より高い翻訳効率を有する限り、1、2、または3ヌクレオチドを含む。
本発明で用いられるUTRは、配列番号1の上記特定の配列およびその変更形態に特に限定されない。むしろ、配列番号1の特定の配列およびその変更形態は、単にCYBA5'コア領域を定めるに過ぎない。したがって、好ましい実施形態では、配列番号1に示されるUTRは、5'末端(すなわち上流)に少なくとも1ヌクレオチドだけ伸長される。別の好ましい実施形態では、配列番号1に示されるUTRは、5'末端(すなわち上流)に1〜20ヌクレオチドだけ伸長される。したがって、好ましい実施形態では、配列番号1の配列は、配列番号1に相対する配列番号10のヌクレオチド配列(または配列番号11の対応するRNA配列)に示されるように、20ヌクレオチドだけ5'末端(すなわち、上流)に伸長する。他の好ましい実施形態では、配列番号1の配列は、配列番号1に相対する配列番号10のヌクレオチド配列(または配列番号11の対応するRNA配列)に示されるように、18、15、13、10、7または5ヌクレオチドだけ5'末端(すなわち、上流)に伸長する。他の好ましい実施形態では、配列番号1の配列は、配列番号1に相対する配列番号10のヌクレオチド配列(または配列番号11の対応するRNA配列)に示されるように、4、5または2ヌクレオチドだけ5'末端(すなわち、上流)に伸長する。他の好ましい実施形態では、配列番号1の配列は、配列番号1に相対する配列番号10のヌクレオチド配列(または配列番号11の対応するRNA配列)に示されるように、1ヌクレオチドだけ5'末端(すなわち、上流)に伸長する。
配列番号10は、配列番号5(DNAレベルで定義される)として上に示されたヒトCYBA遺伝子5'UTRの遺伝子コードの一部であり、一方で配列番号11は対応するRNA配列である。
5'末端(すなわち、上流)で伸長されたこれらのUTR配列は、配列番号1について上記で定めたように修飾もされ得る。したがって、配列番号1のUTRの文脈で上述のように、上記で定めたように5'末端で伸長されたUTRについても同様に準用する。
さらに、本発明で用いられるUTRは、配列番号2の上記特定の配列にも特に限定されず、配列番号2と比較して1〜7個の置換を示す配列を含むUTR配列であってもよい。あるいは、UTR配列は、配列番号2と比較して1〜6個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。UTR配列は、配列番号2と比較して1〜5個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。UTR配列は、配列番号2と比較して1〜4個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。UTR配列は、配列番号2と比較して1〜3個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。UTR配列は、配列番号2と比較して1〜2個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。UTR配列は、配列番号2と比較して1〜3個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。最も好ましくは、UTR配列は、配列番号2と比較して1個の置換を示す配列を含む配列であってもよい。
配列番号2と比較して上記置換の1つ以上を有するUTR配列(単数または複数)は、翻訳効率の点で配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかまたは類似の能力のRNA分子をもたらすことができ、好ましくは翻訳効率の点で配列番号2を含むUTRを含むRNA分子より高い能力のRNA分子をもたらすことができる。所与の組み換えUTR配列の、翻訳効率の点で配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と翻訳効率に関して比較した特性/能力は、当業者によって、当該技術分野で知られている方法および添付の実施例に概説されている方法によって決定することができる。
翻訳効率は、細胞内ポリペプチドまたはタンパク質へのmRNA翻訳の速度である。所与のmRNAの翻訳効率は、単位時間当たりのmRNA当たりで翻訳されるタンパク質またはポリペプチドの数として測定される。翻訳は、細胞リボソームがタンパク質を生成するプロセスであって、当業者によく知られている。簡潔に言えば、翻訳では、DNAからの転写によって産生されたメッセンジャーRNA(mRNA)がリボソームによって解読され、特定のアミノ酸鎖またはポリペプチドもしくはタンパク質を産生する。
したがって、組み換えUTR配列を有する所与のRNA分子の翻訳効率は、好ましくは、同じ所与のRNAであるが配列番号2のUTRを有するRNAの翻訳効率と比較して高い。したがって、単位時間当たりのRNA当たりで翻訳される組み換えUTR配列を有するRNA分子のコード領域によってコードされるタンパク質またはポリペプチドの数は、単位時間当たりのRNA当たりで翻訳される配列番号2のUTRを有するRNA分子のコード領域によってコードされるタンパク質またはポリペプチドの数よりも多い。
組み換えUTR配列を有する所与のRNA分子の翻訳効率が、同じ所与のRNAであるが配列番号2のUTRを有するRNAの翻訳効率と比較して類似または同じである場合、単位時間当たりのRNA当たりで翻訳される組み換えUTR配列を有するRNA分子のコード領域によってコードされるタンパク質またはポリペプチドの数は、単位時間当たりのRNA当たりで翻訳される配列番号2のUTRを有するRNA分子のコード領域によってコードされるタンパク質またはポリペプチドの数と類似または同じである。
「翻訳効率」は、例えば、添付の実施例に記載の方法により、以下に概説されるように決定することができる。
本発明で使用される、配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含むUTR(単数もしくは複数)は、上記特定の配列および上記の置換に特に限定されないが、配列番号2と比較してヌクレオチド(単数または複数)の付加(単数または複数)を示す配列を含むUTR配列(単数または複数)にも関する。ヌクレオチド(単数または複数)の付加は、隣接していても散在的であってもよい。したがって、付加的ヌクレオチド(単数または複数)は、本発明のUTR(単数または複数)の3'末端または5'末端に付加され得る。あるいは、もしくはこれらの隣接する付加的ヌクレオチド(単数または複数)に加えて、付加的ヌクレオチドは、本発明のUTR(単数または複数)のヌクレオチド配列内にあってもよい。付加的ヌクレオチド(単数または複数)は、0(変化なし)、1、2、3、4、5、6、7、8、9もしくは10ヌクレオチドまで、好ましくは20ヌクレオチドまで、またはさらにより好ましくは30ヌクレオチドまでのポリヌクレオチド鎖を含む。ヌクレオチドの付加が、本発明のUTR(単数または複数)の上記機能的特性を変化させない可能性が高いという理論的根拠に照らして、これらの配列が配列番号2と同様の能力(上記の翻訳効率に関して)を有し、好ましくは上記で定めた配列番号2より高い翻訳効率を有する限り、ヌクレオチドの付加は、40、50、60、70、80、90、もしくはさらには100ヌクレオチド、またはさらには、200、300、400もしくは500ヌクレオチドまでの長さも含み得る。
本発明のUTR(単数または複数)ならびにそのようなUTR(単数または複数)を含むRNA分子は、当業者に知られている方法によって組み換えにより(例えば、in vivoもしくはin vitro系で)または合成的に生成/合成され得る。
より具体的には、本発明のUTRおよびそのようなUTR(単数または複数)を含むRNA分子は、どちらも当業者に知られている方法によってin vivo系で組み換えにより産生され得る。
あるいは、本発明のUTRおよびそのようなUTR(単数または複数)を含むRNA分子は、例えばin vitro転写系を用いて、in vitro系で産生されてもよい。In vitro転写系は一般に知られており、通常、以下にさらに詳細に概説するように、モジュール(b)および/またはモジュール(c)を「コードする」DNA配列を含む精製された直鎖状DNA鋳型を必要とし、ここで前記DNA配列は適切なプロモーターの制御下にある。さらに、in vitro転写系は、一般に、リボヌクレオシド三リン酸、DTTおよびマグネシウムイオンを含む緩衝系、ならびに、モジュール(b)および/または(c)を「コードする」DNA配列の、本発明のUTR(単数または複数)へのin vitro転写のための酵素活性を提供する適切なRNAポリメラーゼも必要とする。
さらに、本発明のUTRおよびそのようなUTR(単数または複数)を含むRNA分子は、例えば、固相支持体および標準技術を用いる自動ヌクレオチド配列合成装置での従来の化学合成によって、またはそれぞれのDNA配列の化学合成および後に続くそのin vitroもしくはin vivo転写によって、化学的に合成され得る。
上記によれば、本発明は、RNA分子/ポリリボ核酸分子、好ましくは修飾ポリリボ核酸分子を提供し、前記RNA分子の1つのモジュール、すなわち「その5'末端に開始コドンを含むコード領域」(モジュール(a))は、ポリペプチドをコードする。用語核酸およびポリヌクレオチドは互換可能に使用され、ヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物および/または物質を含む。用語ヌクレオチドは、デオキシヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを含む。用語リボ核酸およびポリリボヌクレオチドは互換可能に使用され、特定の実施形態では、ヌクレオチドの50%より多くがリボヌクレオチドであるヌクレオチドのポリマーを含む任意の化合物および/または物質を含む。特定の実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、ヌクレオチドの60%、70%、75%、80%、90%、95%超、99%超または100%がリボヌクレオチドであるヌクレオチドポリマーを含む。1つ以上のヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであるポリリボヌクレオチドは、修飾ポリリボヌクレオチドと称され得る。しかしながら、用語ポリリボヌクレオチドは、修飾ポリリボヌクレオチドを含み得る。
RNA分子/ポリリボヌクレオチドの配列は、例えば、目的の遺伝子の遺伝情報を含む任意の適切な核酸に由来し得る。核酸の例には、目的の遺伝子(単数または複数)を含む任意の細菌または古細菌細胞由来のゲノムDNA、RNA、またはcDNAが挙げられる。ポリヌクレオチドは、突然変異遺伝子および多型を保有する核酸から得ることができる。本発明のRNA分子/ポリリボヌクレオチドは、特に限定されないが、モジュールAとして、所与の細胞で発現される任意の所望のコード領域を含み得る配列を含む。好ましい実施形態では、前記配列は、上記で概説した所望のポリペプチド/タンパク質をコードするコード領域であり得る。好ましくは、上記に従って、RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、モジュールAの開始コドンの上流(5')に位置する非翻訳配列、モジュールAの停止コドンの下流(3')に位置する非翻訳配列、またはモジュールAの開始コドンの上流(5')に位置する非翻訳配列とモジュールAの停止コドンの下流(3')に位置する非翻訳配列との両方をさらに含む。好ましい実施形態では、本発明のRNA分子/ポリリボヌクレオチドは、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドであり得る。
4つの典型的リボヌクレオチド、すなわち、アデノシン、グアノシン、シチジンおよびウリジンに加えて、これらの核酸塩基の各々の類似体が多数存在する。場合によっては、文献を通しておよび文献中、これらの類似体、またはこれら類似体の1つ以上を含むRNA分子/ポリリボヌクレオチドは、修飾されている(例えば、修飾ヌクレオチドまたは修飾リボヌクレオチド)と呼ばれる。いくつかの類似体は、上記の標準的な核酸塩基とは異なるが、自然界に存在し得る。他の類似体は天然に存在しない。いずれのタイプの類似体も考えられる。
特定の実施形態では、本発明のRNA分子/ポリリボヌクレオチドはヌクレオチド類似体を含む(例えば、ポリリボヌクレオチドは修飾ポリリボヌクレオチドを含む)。例示的なヌクレオチド類似体を以下に示す(例えば、Uの類似体;Cの類似体;Aの類似体;Gの類似体)。加えて、特定の実施形態では、本開示のRNA分子/ポリリボヌクレオチドまたは他の核酸は、ホスホジエステル骨格または核酸塩基間の結合に(付加的または代替的に)修飾を含むこともできる。本開示のRNA分子/ポリリボヌクレオチドの一部または全部を形成することができる例示的な核酸には、限定されないが、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックされた核酸(LNA、ベータ-D-リボ立体配置を有するLNA、アルファ-L-リボ立体配置を有するアルファ-LNA(LNAのジアステレオマー)、2'-アミノ官能化を有する2'-アミノ-LNA、および2'-アミノ官能化を有する2'-アミノ-アルファ-LNA)またはそれらのハイブリッドが挙げられる。
特定の実施形態では、修飾は、1つ以上のヌクレオシド(単数もしくは複数)または核酸/ポリヌクレオチド分子の骨格上にあってもよい。特定の実施形態では、修飾は、ヌクレオシドおよび骨格結合の両方にあり得る。特定の実施形態では、修飾は、in vitroでポリヌクレオチド内に操作され得る。特定の実施形態では、修飾リボヌクレオチド/ヌクレオチドは、典型的/天然ヌクレオチド/リボヌクレオチドの共有結合修飾によって、転写後に合成されてもよい。
本発明のRNA分子/ポリリボヌクレオチドは、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドであってもよく、特定の実施形態では、プリンの類似体および/またはピリミジンの類似体を含み得る。特定の実施形態では、本発明の修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、ウリジンの類似体および/またはシチジンの類似体などのピリミジン類似体を含む。特定の実施形態では、本発明の修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、ウリジンの類似体およびシチジンの類似体を含む。特定の実施形態では、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、アデノシンの類似体および/またはグアノシンの類似体を含まない。特定の実施形態では、RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、ウリジンの単一タイプの類似体およびシチジンの単一タイプの類似体を含む(例えば、1つのタイプの類似体であって、単一分子の類似体ではない - 単一類似体は、本明細書に記載のいくつかのパーセンテージのいずれかで存在し得る)。他の実施形態では、RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、ウリジンおよび/またはシチジンの類似体の1つより多くのタイプ、ならびに任意に存在する場合には、アデノシンおよび/またはグアノシンの1つ以上の類似体(またはいずれでもないもしくは両方)を含む。
一部の例では、修飾ウリジン(例えば、ウリジンの類似体)は、2-チオウリジン、5'-メチルウリジン、シュードウリジン、5-ヨードウリジン(I5U)、4-チオウリジン(S4U)、5-ブロモウリジン(Br5U)、2'-メチル-2'-デオキシウリジン(U2'm)、2'-アミノ-2'-デオキシウリジン(U2'NH2)、2'-アジド-2'-デオキシウリジン(U2'N3)、および2'-フルオロ-2'-デオキシウリジン(U2'F)から選択される。一部の例では、修飾シチジン(例えば、シチジンの類似体)は、5-メチルシチジン、3-メチルシチジン、2-チオ-シチジン、2'-メチル-2'-デオキシシチジン(C2'm)、2'-アミノ-2'-デオキシシチジン(C2'NH2)、2'-フルオロ-2'-デオキシシチジン(C2'F)、5-ヨードシチジン(I5C)、5-ブロモシチジン(Br5C)および2'-アジド-2'-デオキシシチジン(C2'N3)から選択される。類似体に言及する場合、上記は、それらの5'三リン酸型の類似体も指すことに留意されたい。特定の実施形態では、シチジン類似体は5-ヨードシチジンであり、ウリジン類似体は5-ヨードウリジンである。
いくつかの実施形態では、RNA分子/ポリリボヌクレオチドは修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドである。一部の例では、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、非修飾(または無修飾)RNA分子/ポリリボヌクレオチドと比較して、少なくとも25%より安定である。一部の例では、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、非修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドと比較して、少なくとも30%より安定、少なくとも35%より安定、少なくとも40%より安定、少なくとも45%より安定、少なくとも50%より安定、少なくとも55%より安定、少なくとも60%より安定、少なくとも65%より安定、少なくとも70%より安定、少なくとも75%より安定、少なくとも80%より安定、少なくとも85%より安定、少なくとも90%より安定、または少なくとも95%より安定であり得る。特定の実施形態では、安定性はin vivoで測定される。特定の実施形態では、安定性はin vitroで測定される。特定の実施形態では、安定性は、ポリリボヌクレオチドの半減期を測定することによって定量化される。
本発明のRNA分子/ポリリボヌクレオチドは、同じ形態で修飾されたヌクレオチド、または異なる修飾ヌクレオチドの混合物を有することができる。修飾ヌクレオチドは、メッセンジャーRNAにおいて天然に存在するか、または天然に存在しない修飾を有することができる。種々の修飾ヌクレオチドの混合物を使用することができる。例えば、RNA分子/ポリリボヌクレオチド内の1つ以上の修飾ヌクレオチドは天然の修飾を有することができ、別の部分はmRNAに天然に見られない修飾を有する。さらに、いくつかの修飾ヌクレオチドは塩基修飾を有することができ、他の修飾ヌクレオチドは糖修飾を有する。同様に、全ての修飾が塩基修飾であるか、または全ての修飾が糖修飾またはそれらの任意の適切な混合である可能性がある。一部の例では、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドの安定性は、修飾ポリリボヌクレオチド内の修飾塩基の性質を変えることによって選択的に最適化することができる。
特定の実施形態では、類似体(例えば、修飾ヌクレオチド)は、以下を含む群から選択され得る:ピリジン-4-オンリボヌクレオシド、5-ヨードウリジン、5-ヨードシチジン、5-アザ-ウリジン、2'-アミノ-2'-デオキシシチジン、2'-フルオロ-2'-デオキシシチジン、2-チオ-5-アザ-ウリジン、2-チオウリジン、4-チオ-シュードウリジン、2-チオ-シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、3-メチルウリジン、5-カルボキシメチル-ウリジン、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、5-プロピニル-ウリジン、1-プロピニル-シュードウリジン、5-タウリノメチルウリジン、1-タウリノメチル-シュードウリジン、5-タウリノメチル-2-チオ-ウリジン、1-タウリノメチル-4-チオ-ウリジン、5-メチル-ウリジン、1-メチル-シュードウリジン、4-チオ-l-メチル-シュードウリジン、2-チオ-l-メチル-シュードウリジン、1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードウリジン、ジヒドロウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2-チオ-ジヒドロウリジン、2-チオ-ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、5-アザ-シチジン、シュードイソシチジン、3-メチル-シチジン、N4-アセチルシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メチルシチジン、N4-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、1-メチル-シュードイソシチジン、ピロロ-シチジン、ピロロ-シュードイソシチジン、2-チオ-シチジン、2-チオ-5-メチル-シチジン、4-チオ-シュードイソシチジン、4-チオ-l-メチル-シュードイソシチジン、4-チオ-1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、1-メチル-1-デアザ-シュードイソシチジン、ゼブラリン、5-アザ-ゼブラリン、5-メチル-ゼブラリン、5-アザ-2-チオ-ゼブラリン、2-チオ-ゼブラリン、2-メトキシ-シチジン、2-メトキシ-5-メチル-シチジン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-アデニン、7-デアザ-8-アザ-アデニン、7-デアザ-2-アミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2-アミノプリン、7-デアザ-2,6-ジアミノプリン、7-デアザ-8-アザ-2,6-ジアミノプリン、1-メチルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6-イソペンテニルアデノシン、N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、2-メチルチオ-N6-(シス-ヒドロキシイソペンテニル)アデノシン、N6-グリシニルカルバモイルアデノシン、N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、2-メチルチオ-N6-トレオニルカルバモイルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノシン、7-メチルアデニン、2-メチルチオ-アデニン、2-メトキシ-アデニン、イノシン、1-メチル-イノシン、ワイオシン、ワイブトシン、7-デアザ-グアノシン、7-デアザ-8-アザ-グアノシン、6-チオ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-グアノシン、6-チオ-7-デアザ-8-アザ-グアノシン、7-メチル-グアノシン、6-チオ-7-メチル-グアノシン、7-メチルイノシン、6-メトキシ-グアノシン、1-メチルグアノシン、N2-メチルグアノシン、N2,N2-ジメチルグアノシン、8-オキソ-グアノシン、7-メチル-8-オキソ-グアノシン、1-メチル-6-チオ-グアノシン、N2-メチル-6-チオ-グアノシン、およびN2,N2-ジメチル-6-チオ-グアノシン。
特定の実施形態では、本発明の修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、シュードウリジンを含まない。特定の実施形態では、本発明の修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、5-メチルシチジンを含まない。特定の実施形態では、本発明の修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、5-メチルウリジンを含まない。特定の実施形態では、本発明の修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、Uの類似体およびCの類似体を含み、そのようなUの類似体は全て同じ類似体であっても、または異なる類似体(例えば、1つより多くのタイプの類似体)であってもよく、そのようなCの類似体は全て同じ類似体であっても、または異なる類似体(例えば、1つより多くのタイプの類似体)であってもよい。特定の実施形態では、本発明の修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、アデノシンの類似体およびグアノシンの類似体を含まない。
本明細書で詳細に記載するように、RNA分子/ポリリボヌクレオチドが修飾ポリリボヌクレオチドを含む場合、類似体は、化合物中でヌクレオチドの特定の割合として存在し得る(例えば、所与の核酸塩基の所与のパーセンテージは、本明細書に記載のように、類似体であってもよい)。
少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含むRNA分子/ポリリボヌクレオチドは、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドである。ある実施形態では、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドの少なくとも約5%は、本明細書に記載の類似体クレオチドなどの、修飾もしくは非天然(例えば、類似体もしくは修飾)アデノシン、シチジン、グアノシン、またはウリジンを含む。一部の例では、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドの少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%は、修飾もしくは非天然(例えば、類似体もしくは修飾)アデノシン、シチジン、グアノシン、またはウリジンを含む。一部の例では、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドの多くとも約50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、1%は、修飾もしくは非天然アデノシン、シチジン、グアノシン、またはウリジンを含む。
好ましい実施形態では、本発明のRNA分子は、修飾ヌクレオチドと非修飾ヌクレオチドの組み合わせを含む。好ましくは、本発明のRNA分子は、特許文献3に記載のように、修飾および非修飾ヌクレオチドの組み合わせを含む。そのようなRNA分子は、「SNIM(登録商標)-RNA」としても知られており、市販されている。特許文献3に記載のRNA分子は、安定性の増大および免疫原性の減少を示すことが報告されている。好ましい実施形態では、そのような修飾RNA分子において、シチジンヌクレオチドの5〜50%およびウリジンヌクレオチドの5〜50%が修飾される。アデノシンおよびグアノシン含有ヌクレオチドは非修飾でもよい。アデノシンおよびグアノシンヌクレオチドは非修飾でも部分修飾でもよく、好ましくは非修飾型で存在する。好ましくは、シチジンおよびウリジンヌクレオチドの10〜35%が修飾され、特に好ましくは修飾シチジンヌクレオチドの含有量は7.5〜25%の範囲にあり、修飾ウリジンヌクレオチドの含有量は7.5〜25%の範囲にある。実際、比較的低い含有量、例えば、それぞれわずか10%の修飾シチジンおよびウリジンヌクレオチドが所望の特性を達成できることが発見されている。修飾シチジンヌクレオチドが5-メチルシチジン残基であり、修飾ウリジンヌクレオチドが2-チオウリジン残基であることが特に好ましい。最も好ましくは、修飾シチジンヌクレオチドの含有量および修飾ウリジンヌクレオチドの含有量は、それぞれ25%である。
特定の他の実施形態では、そのような修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチド分子において、シチジンの5〜50%がCの類似体であり、ウリジンの5〜50%がUの類似体である。特定の実施形態では、そのような修飾ポリリボヌクレオチド分子において、シチジンの5〜40%がCの類似体であり、ウリジンの5〜40%がUの類似体である。特定の実施形態では、そのような修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチド分子において、シチジンの5〜30%がCの類似体であり、ウリジンの5〜30%がUの類似体である。特定の実施形態では、そのような修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチド分子において、シチジンの10〜30%がCの類似体であり、ウリジンの10〜30%がUの類似体である。特定の実施形態では、そのような修飾ポリリボヌクレオチド分子において、シチジンの5〜20%がCの類似体であり、ウリジンの5〜20%がUの類似体である。特定の実施形態では、そのような修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチド分子において、シチジンヌクレオチド5〜10%およびウリジンヌクレオチドの5〜10%が修飾される。特定の実施形態では、そのような修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチド分子において、シチジンヌクレオチドの25%およびウリジンヌクレオチドの25%が修飾される。特定の実施形態では、アデノシンおよびグアノシン含有ヌクレオチドは非修飾でもよい。特定の実施形態では、アデノシンおよびグアノシンヌクレオチドは非修飾でも部分修飾でもよく、好ましくは非修飾型で存在する。
上記のように、特定の実施形態では、Uの類似体は、Uの単一タイプの類似体をいう。特定の実施形態では、Uの類似体は、Uの2つ以上のタイプの類似体をいう。特定の実施形態では、Cの類似体は、Cの単一タイプの類似体をいう。特定の実施形態では、Cの類似体は、Cの2つ以上のタイプの類似体をいう。
特定の実施形態では、シチジンの類似体であるRNA分子/ポリリボヌクレオチド中のシチジンのパーセンテージは、ウリジンの類似体であるRNA分子/ポリリボヌクレオチド中のウリジンのパーセンテージと同じではない。特定の実施形態では、シチジンの類似体のパーセンテージは、ウリジンの類似体のパーセンテージよりも低い。上記のように、これは、アデノシンおよびグアノシンの類似体の存在または非存在下であり得るが、ある実施形態では、アデノシンの類似体およびグアノシンの類似体の非存在下である。特定の実施形態では、本開示のポリリボヌクレオチドは、15%未満、10%未満、5%未満または2%未満のアデノシン類似体、グアノシン類似体またはその両方を含む。
特定の実施形態では、本発明のRNA分子/ポリリボヌクレオチドは、シチジンの類似体およびウリジンの類似体を含み、シチジンの5〜20%がシチジンの類似体であり、ウリジンの25〜45%がウリジンの類似体である。言い換えれば、RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、修飾および非修飾シチジンならびに修飾および非修飾ウリジンを含み、シチジンの5〜20%はシチジンの類似体を含み、ウリジンの25〜45%はウリジンの類似体を含む。他の実施形態では、RNA分子/ポリリボヌクレオチドは、5〜10%のシチジン類似体および30〜40%のウリジン類似体を含み、例えば約7、7.5または8%などの7〜9%のシチジン類似体、および例えば約33、34、35、36%などの32〜38%のウリジン類似体を含む。
特定の実施形態では、任意の本明細書に記載のウリジン類似体およびシチジン類似体を使用することができ、必要に応じてシュードウリジンを除く。特定の実施形態では、シチジンの類似体は5-ヨードシチジンを含むか、または5-ヨードシチジンからなり(例えば、からなるの場合、使用されているのは単一の類似体タイプである )、ウリジンの類似体は5-ヨードウリジンを含むか、または5-ヨードウリジンからなる(例えば、からなるの場合、使用されているのは単一の類似体タイプである)。
上記の任意の特定の実施形態では、所与のヌクレオチドの類似体のパーセンテージは、投入パーセンテージ(例えば、in vitro転写反応の開始などの開始反応における類似体のパーセンテージ)を指す。上記の任意の特定の実施形態では、所与のヌクレオチドの類似体のパーセンテージは、産生(例えば、合成または転写された化合物におけるパーセンテージ)を指す。
本発明のRNA分子/ポリリボヌクレオチド分子は、以下により詳細に記載される当業者に知られている方法によって、in vivo系で組み換え的に産生され得る。
あるいは、本発明の修飾ポリリボヌクレオチド分子は、例えば以下にさらに詳細に記載されるin vitro転写系を用いてin vitro系で産生され得る。RNA分子/ポリリボヌクレオチドを産生することができるin vitro転写系は、本発明の所望の特性を有する修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチドを産生するために、修飾および非修飾ヌクレオシド三リン酸の投入混合物を必要とする。特定の実施形態では、シチジンの5〜50%はそのような投入混合物中のシチジンの類似体であり、ウリジンの5〜50%はそのような投入混合物中のウリジンの類似体である。特定の実施形態では、シチジンの5〜40%はそのような投入混合物中のシチジンの類似体であり、ウリジンの5〜40%はそのような投入混合物中のウリジンの類似体である。特定の実施形態では、シチジンの5〜30%はそのような混合物中のシチジンの類似体であり、ウリジンの5〜30%はそのような投入混合物中のウリジンの類似体である。特定の実施形態では、シチジンの5〜30%はそのような混合物中のシチジンの類似体であり、ウリジンの10〜30%はそのような混合物中のウリジンの類似体である。特定の実施形態では、シチジンの5〜20%はそのような投入混合物中のシチジンの類似体であり、ウリジンの5〜20%はそのような投入混合物中のウリジンの類似体である。特定の実施形態では、シチジンの5〜10%はそのような投入混合物中のシチジンの類似体であり、ウリジンの5〜10%はそのような投入混合物中のウリジンの類似体である。特定の実施形態では、シチジンの25%はそのような投入混合物中のシチジンの類似体であり、ウリジンの25%はそのような投入混合物中のウリジンの類似体である。特定の実施形態では、投入混合物は、アデノシンおよび/またはグアノシンの類似体を含まない。他の実施形態では、任意に、投入混合物は、アデノシンおよび/もしくはグアノシン(またはいずれかもしくは両方)の1つ以上の類似体を含む。
特定の実施形態では、シチジンの類似体である投入混合物中のシチジンのパーセンテージは、ウリジンの類似体である投入混合物中のウリジンのパーセンテージと同じではない。特定の実施形態では、投入混合物中のシチジン類似体のパーセンテージは、投入混合物中のウリジン類似体のパーセンテージよりも低い。上記のように、これは、投入混合物中のアデノシンおよびグアノシンの類似体の存在または非存在下であり得るが、ある実施形態では、投入混合物中のアデノシンの類似体およびグアノシンの類似体の非存在下である。
特定の実施形態では、本発明のRNA分子/ポリリボヌクレオチドを産生するin vitro転写系のヌクレオチドの投入混合物は、シチジンの類似体およびウリジンの類似体を含み、投入混合物のシチジンの5〜20%はシチジンであり、投入混合物のウリジンの25〜45%はウリジンの類似体である。言い換えれば、投入混合物は、修飾および非修飾シチジンならびに修飾および非修飾ウリジンを含み、投入混合物のシチジンの5〜20%はシチジンの類似体を含み、投入混合物のウリジンの25〜45%はウリジンの類似体を含む。他の実施形態では、投入混合物は、5〜10%のシチジン類似体および30〜40%のウリジン類似体を含み、例えば約7、7.5または8%などの7〜9%のシチジン類似体、および例えば約33、34、35、36%などの32〜38%のウリジン類似体を含む。
特定の実施形態では、任意の本明細書に記載のウリジン類似体およびシチジン類似体を使用することができ、必要に応じてシュードウリジンを除く。特定の実施形態では、シチジンの類似体は5-ヨードシチジンを含むか、またはそれからなる(例えば、使用されているのが単一のC類似体タイプである)5-ヨードシチジンを含み、ウリジンの類似体は5-ヨードウリジンを含むか、またはそれからなる(例えば、使用されているのが単一のU類似体タイプである)。
例示的な類似体は、上記のテーブルに記載されている。所望のポリペプチド(モジュール(a))をコードする修飾ポリリボヌクレオチドについては、類似体および修飾レベルは、別段に示されない限り、5'および3'非翻訳領域を含む所望のポリペプチド(モジュール(a))をコードするポリリボヌクレオチド全体にわたって考慮されている(例えば、修飾レベルは、転写位置に類似体が組み込まれ得るようなin vitro転写反応における類似体の投入比に基づく)。
さらに、修飾RNA分子/ポリリボヌクレオチド分子は、例えば、固相支持体および標準技術を用いる自動ヌクレオチド配列合成装置での従来の化学合成によって、またはそれぞれのDNA配列の化学合成および後に続くそのin vitroもしくはin vivo転写によって、化学的に合成され得る。
分子生物学および遺伝学において、上流および下流は、両方ともRNA分子における相対位置を指す。本発明の文脈において、上流はRNA分子の5'末端に向かっており、下流は分子の3'末端に向かっている。
したがって、一実施形態では、UTRモジュール(b)(すなわち、上記で定めたように、配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を有し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数))は、モジュール(a)のコード領域の上流に位置する。さらに、一実施形態では、UTRモジュール(c)(すなわち、上記で定めたように、配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数))は、モジュール(a)のコード領域の下流に位置する。しかし、好ましくは、ポリペプチドをコードするコード領域(すなわち、モジュール(a))は、UTRモジュール(b)とUTRモジュール(c)との間に位置し、したがって、RNA分子は、好ましくは5'-(b)-(a)-(c)-3'の配列を有する。
RNA分子が1つのUTRモジュールのみを収容する場合(すなわち、モジュール(b)(すなわち、上記で定めたように、配列番号1に示される配列もしくは配列番号1と比較して1〜4個の置換を有し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数))またはモジュール(c)(すなわち、上記で定めたように、配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数))のいずれか)、RNA分子は、好ましくは5'-(b)-(a)-3'、または5'-(a)-(c)-3'の配列を有する。
RNA分子は、モジュール(a)、(b)および/または(c)の融合RNA配列の形態、すなわち、前記モジュールをコードする少なくとも2つのヌクレオチド配列を組み合わせることによって作製されたハイブリッド遺伝子の発現によって形成される(融合)RNA分子で存在してもよい。典型的には、以下にさらに詳細に説明するように、これは、RNA分子の翻訳を可能にする発現ベクターにcDNAをクローニングすることによって達成することができる。したがって、本発明のRNA分子をコードするDNA分子は、融合DNA配列であり、すなわち、2つ以上のポリヌクレオチドを、別のヌクレオチド上の3'炭素に結合した1つのヌクレオチドからのリン酸基を介して連結させ、一方のモジュールのそれぞれの末端と別の分子の末端との間にホスホジエステル結合を形成することにより形成されるキメラ分子である。このようにして、前記の少なくとも2つのモジュール、好ましくは3つのモジュール全てをコードする上記DNA分子は、本発明に関してDNA分子の形態で連結される。フレーム内でクローニングされると、そのような組み換えDNA分子はその後、前記タンパク質、ポリペプチドまたは酵素分子をコードするその対応するRNA核酸配列に転写される。
あるいは、少なくとも2つのモジュール、好ましくは3つのモジュール全てを、化学的コンジュゲートによって共有結合させることもできる。したがって、以下にさらに詳細に概説されるように、RNA分子のモジュールは、上記で概説したように、個々に化学的に合成され、その後ホスホジエステル結合によって共有結合で結合され得る。
以下では、コード領域(a)に関する本発明のUTRモジュール(b)および/または(c)の好ましい構成について説明するが、UTRモジュール(b)(上記で定めたCYBA mRNAの5'UTR断片に対応する)は、コード領域の上流(すなわち、コード領域の5'末端)に位置し、および/またはUTRモジュール(c)(上記で定めたCYBA mRNAの3'UTRに対応する)は、コード領域の下流(すなわち、コード領域の3'末端)に位置する。
したがって、好ましい実施形態では、および上記によれば、本発明は以下を含むRNA分子に関する:(a)ポリペプチドをコードするコード領域;ならびに(b)配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);(a)においてポリペプチドをコードする前記コード領域は、上記で定めたシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするコード領域ではなく、(b)で定めた前記UTR(単数または複数)は、(a)で定めたコード領域の5'末端に位置する。
好ましい実施形態では、および上記によれば、本発明は以下を含むRNA分子に関する:(a)ポリペプチドをコードするコード領域;ならびに(c)配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);(a)においてポリペプチドをコードする前記コード領域は、上記で定めたシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするコード領域ではなく、(c)で定めた前記UTR(単数または複数)は、(a)で定めたコード領域の3'末端にある。
好ましい実施形態では、および上記によれば、本発明は以下を含むRNA分子に関する:(a)ポリペプチドをコードするコード領域;ならびに(b)配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);ならびに(c)配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);(a)においてポリペプチドをコードする前記コード領域は、上記で定めたシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするコード領域ではなく、(b)で定めた前記UTR(単数または複数)は、(a)で定めたコード領域の5'末端に位置し、(c)で定めた前記UTR(単数または複数)は、(a)で定めたコード領域の3'末端に位置する。
好ましい実施形態では、および上記によれば、本発明は以下を含むRNA分子に関する:(a)ポリペプチドをコードするコード領域;ならびに(b)配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つのUTR;ならびに(c)配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む2つのUTR;(a)においてポリペプチドをコードする前記コード領域は、上記で定めたシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするコード領域ではなく、前記RNA分子は(b)で定めた前記の1つのUTRを(a)で定めたコード領域の5'末端に含み、(c)で定めた前記の2つのUTRを(a)で定めたコード領域の3'末端に含む。
好ましい実施形態では、および上記によれば、本発明は以下を含むRNA分子に関する:(a)ポリペプチドをコードするコード領域;ならびに(c)配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む2つのUTRであって、(a)においてポリペプチドをコードする前記コード領域は、上記で定めたシトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)をコードするコード領域ではなく、前記RNA分子は(c)で定めた前記の2つのUTRを(a)で定めたコード領域の3'末端に含む。
上記のように、本発明のRNA分子は、ポリA尾部も有し得る。本明細書で使用されるポリA尾部は、RNAの3'末端に位置するアデニンヌクレオチドの配列に関する。ポリA尾部は、ポリアデニル化と呼ばれるプロセスによってRNAの3'末端に一般に付加される。したがって、本発明は、任意の上記のRNAであって、ポリA尾部を3'末端に含むRNA分子に関する。
ポリA尾部の長さは特に限定されない。さらに、好ましい実施形態では、本発明のRNA分子は3'末端にポリA尾部を含み、ポリA尾部は少なくとも50、60、70、80、90、100または110ヌクレオチドの長さを有する。より好ましい実施形態では、本発明のRNA分子は3'末端にポリA尾部を含み、ポリA尾部は少なくとも120ヌクレオチドの長さを有する。他の好ましい実施形態では、本発明のRNA分子は3'末端にポリA尾部を含み、ポリA尾部は少なくとも150、200、250、300、350、400、500、600、700、800、900または1000ヌクレオチドの長さを有する。
本発明のRNA分子が、本明細書の以下に記載されるin vitro転写方法によって産生される場合、ポリA尾部は、RNA構築物の3'末端でUTRに隣接するRNAの3'末端に位置し、in vitroで転写されたRNA分子が前記ポリA尾部を確実に含むように、本発明のRNA分子を有するプラスミドはポリA尾部の下流でin vitro転写の前に線形化される。
本発明による構築物は、上記の3つの主要モジュール(a)、(b)および/または(c)を含むだけでない可能性がある。むしろ、個々のモジュール間に(a)リンカー部位(単数または複数)および/または(a)マルチクローニングサイト(単数または複数)が配置され、例えば構築物の構築を容易にし得ることが望ましい場合がある。適切なリンカー部位およびマルチクローニングサイトは、当業者に知られている。
好ましくは、本発明の構築物は、プラスミドpVAX1(Invitrogen)に由来するマルチクローニングサイトを有する。実施例の節で概説される全ての構築物は、特許文献4において以前から記載されている構築物pVAX A120に由来する。
モジュール(a)(すなわち、コード領域)に対する本発明のRNA分子内のUTRモジュール(b)および/または(c)の位置は、特に限定されず、したがって、本発明のRNA分子の個々のモジュール間に、主要モジュール(a)、(b)および/または(c)の一部ではない1つ以上のヌクレオチドG、A、Uおよび/またはCで満たされた間隔またはギャップが存在し得る。
この文脈における「1つ以上のヌクレオチドG、A、Uおよび/またはC」は、本発明のRNA分子の個々のモジュール間の間隔またはギャップが、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10ヌクレオチドのG、A、Uおよび/またはCで満たされることを意味する。他の好ましい実施形態では、本発明のRNA分子の個々のモジュール間の間隔またはギャップは、20、30、40、50、60、70、80、90、100もしくは110またはそれ以上のヌクレオチドのG、A、Uおよび/またはCで満たされる。
さらに、好ましい実施形態では、モジュール(a)(すなわち、コード領域)に対する本発明のRNA分子内のUTRモジュール(b)または(c)は、その間にいかなる間隔またはギャップもなしに、モジュール(a)のコード領域の開始コドンに直接隣接して配置される、すなわち、モジュール(a)のコード領域の開始コドンのすぐ上流に配置される。
別の好ましい実施形態では、モジュール(a)(すなわち、コード領域)に対する本発明のRNA分子内のUTRモジュール(b)または(c)は、その間にいかなる間隔またはギャップもなしに、モジュール(a)のコード領域の終止コドン(停止コドン)に直接隣接して配置される、すなわち、モジュール(a)のコード領域の終止コドン/停止コドンのすぐ下流に配置される。
好ましい実施形態では、モジュール(a)(すなわち、コード領域)に対する本発明のRNA分子内のUTRモジュール(b)は、その間にいかなる間隔またはギャップもなしに、モジュール(a)のコード領域の開始コドンに直接隣接して配置され、すなわち、モジュール(a)のコード領域の開始コドンのすぐ上流に配置され、モジュール(a)(すなわち、コード領域)に対する本発明のRNA分子内のUTRモジュール(c)は、その間にいかなる間隔またはギャップもなしに、モジュール(a)のコード領域の終止コドン(すなわち、停止コドン)に直接隣接して配置される、すなわち、モジュール(a)のコード領域の終止コドン/停止コドンのすぐ下流に配置される。
上記のように、RNA分子は、モジュール(a)、(b)および/または(c)の融合RNA配列の形態、すなわち、前記モジュールをコードする少なくとも2つのヌクレオチド配列を組み合わせることによって作製されたハイブリッド遺伝子の転写によって形成される(融合)RNA分子で存在してもよい。典型的には、これは、RNA分子全体の転写を可能にする発現ベクターにcDNAをクローニングすることによって達成される。本発明のRNA分子を「コードする」合成二本鎖核酸分子を産生する核酸合成、ハイブリダイゼーションおよび/または増幅を含む融合構築物を作製するための様々な方法が知られている。そのような二本鎖核酸分子(すなわち、DNA分子)は、一方の鎖(すなわち、コード鎖)上に本発明のRNA分子に対応するDNA配列を保持する、したがって、本発明のRNA分子を「コードする」。言い換えれば、そのような二本鎖核酸/DNA分子は、遺伝情報を鎖上に含み、転写された際には、本明細書上記で定めた本発明のRNA分子が含む。本発明の文脈における用語「コード」または「コードする」は、その従来の意味、すなわち、タンパク質をコードする遺伝子のDNA(および、したがって、ポリペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列に翻訳され得る遺伝情報)に関して使用されるだけでない。むしろ、本発明に関して、モジュール(a)、(b)および/または(c)をコードする個々のDNA配列が単一の(キメラ)DNA分子に「融合」または連結されている構築物において、構築物はタンパク質に翻訳されない成分(すなわち、モジュール(b)および/またはモジュール(c))も含む。それでもなお、モジュール(b)および/またはモジュール(c)に対応するDNA配列は、本発明のUTRの構造の情報、すなわち「コード」を提供し、したがって、本発明における用語「コードする」は、発現され得る、すなわち転写され得るUTRの遺伝情報にも、例えば、一方の鎖に本発明のRNA分子を有する二本鎖核酸分子中に存在する場合に関連する。したがって、本発明の文脈における用語「コードする」は、一般にタンパク質のコード/発現に関連してのみ使用されるが、核酸分子が、タンパク質またはポリペプチドをコードする部分(すなわち、モジュール(a))ならびにUTRを「コードする」部分(すなわち、モジュール(b)および/または(c))を有する本発明のRNA分子に転写され得ると理解されるべきであり、ここでUTRはタンパク質またはポリペプチドに翻訳されないため、後者は発現された場合の最終産物を表す。そのような二本鎖核酸は、標準的な分子生物学的技法(例えば、非特許文献3を参照)によって、融合タンパク質産生用の発現ベクターに挿入され得る。本発明の意味における「発現ベクター」または「クローニングベクター」などの用語「ベクター」は、細胞内で染色体DNAとは独立して複製し、遺伝物質を細胞に運ぶための運搬体として使用され、そこで複製および/または発現され得る(すなわち、RNAに転写され、アミノ酸配列に翻訳される)環状二本鎖のDNA単位として理解される。外来DNAを含むベクターは、組み換えDNAと呼ばれる。ベクターそれ自体は、一般に、典型的には、挿入物(すなわち、タンパク質に翻訳されないモジュール(b)および/またはモジュール(c)ならびにモジュール(a)コード領域)と、ベクターの「骨格」として機能する大きな配列とからなるDNA配列である。本発明の意味におけるプラスミドは、細菌で最も頻繁に見られ、細胞間で遺伝子を移入するための組み換えDNA研究に用いられ、それ自体は本発明の意味で使用される「ベクター」の亜集団である。
したがって、本発明は、本発明のRNA分子をコードする核酸分子にも関する。
核酸は、例えば、本発明のRNA分子の3つの主要モジュール(すなわち、モジュール(a)およびモジュール(b)またはモジュール(c))のうちの2つをコードするDNAである。あるいは、核酸、好ましくはDNAは、3つ全ての主要モジュール(すなわち、モジュール(a)およびモジュール(b)およびモジュール(c))をコードする。本発明の上記核酸分子は、好ましくは、組み換え核酸分子であるが、天然に存在する核酸分子も含み得る。したがって、本発明の核酸分子は、天然起源、合成または半合成であってもよい。それは、DNA、RNA、ロックされた核酸ならびにPNAを含んでいてもよく、それはそれらのハイブリッドであってもよい。
RNA分子をコードする本発明の核酸分子に調節配列が付加され得ることは、当業者には明らかである。例えば、本発明のポリヌクレオチド、すなわちRNA分子の誘導性発現を可能にするプロモーター、転写エンハンサーおよび/または配列を用いることができる。適切な誘導系は、例えば、非特許文献4および非特許文献5に記載のようなテトラサイクリン調節遺伝子発現、または非特許文献6に記載のようなデキサメタゾン誘導性遺伝子発現系である。
さらに、前記核酸分子は、例えば、チオエステル結合および/またはヌクレオチド類似体を含み得る。前記修飾は、細胞内のエンドヌクレアーゼおよび/またはエキソヌクレアーゼに対する核酸分子の安定化に有用であり得る。前記核酸分子は、細胞内で前記核酸分子の転写を可能にするキメラ遺伝子を含む適切なベクターから転写され得る。本発明の文脈では、前記核酸分子は標識されてもよい。核酸の検出方法、例えば、サザンブロッティングおよびノーザンブロッティング、PCRまたはプライマー伸長は、当技術分野で知られている。
本発明の核酸分子(単数または複数)は、上記の核酸分子のいずれかを単独または組み合わせて含む組み換え産生キメラ核酸分子であってもよい。好ましくは、本発明の核酸分子はベクターの一部である。
したがって、本発明は、本発明の核酸分子を含むベクターにも関する。したがって、本発明はベクターに関し、好ましくは本発明の核酸を含む発現ベクターに関する。
本発明のベクターは、例えば、プラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージまたは例えば遺伝子工学において従来用いられている他のベクターであってもよく、適切な宿主細胞中および適切な条件下で前記ベクターの選択を可能にするマーカー遺伝子などのさらなる遺伝子を含んでいてもよい。
さらに、本発明のベクターは、本発明のRNA分子をコードする核酸分子の配列に加えて、適切な宿主におけるコード領域の適切な発現を可能にする発現調節エレメントを含み得る。そのような調節エレメントは当業者に知られており、プロモーター、スプライスカセット、翻訳開始コドン、挿入をベクターに導入するための翻訳および挿入部位を含み得る。好ましくは、本発明の核酸分子は、発現調節配列に作動可能に連結され、真核細胞または原核細胞での発現を可能にする。したがって、本発明は、本発明の核酸分子を含むベクターに関し、核酸分子は、真核および/または原核(宿主)細胞がベクターでトランスフェクトされる際に宿主細胞によって認識される調節配列に作動可能に連結される。
真核および原核(宿主)細胞における発現を確実にする調節エレメントは、当業者によく知られている。本明細書中で先に述べたように、それらは通常、転写の開始を確実にする調節配列、ならびに任意に、転写の終結および転写物の安定化を確実にするポリAシグナルを含む。しかし、本発明によれば、ベクター自体がポリA尾部の配列を有することは重要ではない。上記のように、本発明のRNA分子が、本明細書において以下に記載のようなin vitro転写方法によって産生される場合、上記ポリA尾部は、本発明の構築物の一部であり(必ずしもクローニングベクター上にもともと位置するとは限らない)、RNA構築物の3'末端でUTRに隣接するRNAの3'末端に位置する。本発明のRNA分子がin vitro転写方法によって産生される場合、in vitroで転写されたRNA分子が前記ポリA尾部を確実に含むように、本発明のRNA分子を有するプラスミドはポリA尾部の下流でin vitro転写の前に線形化される。
さらなる調節エレメントには、転写ならびに翻訳エンハンサー、および/または天然に会合するまたは異種のプロモーター領域が含まれ得る。例えば哺乳動物宿主細胞における発現を可能にする考えられる調節エレメントは、CMV-HSVチミジンキナーゼプロモーター、SV40、RSVプロモーター(ラウス肉腫ウイルス)、ヒト伸長因子1αプロモーター、グルココルチコイド誘導性MMTVプロモーター(マウス乳腺腫瘍ウイルス)、メタロチオネインもしくはテトラサイクリン誘導性プロモーター、またはCMVエンハンサーもしくはSV40エンハンサーなどのエンハンサーを含む。神経細胞における発現のために、神経フィラメント、PGDF、NSE、PrP、またはthy1プロモーターが使用され得ることが想定される。前記プロモーターは当該分野で知られており、とりわけ、非特許文献7に記載されている。原核細胞における発現のために、例えばtac-lac-プロモーターまたはtrpプロモーターを含む多数のプロモーターが説明されてきた。転写の開始に関与するエレメントに加えて、そのような調節エレメントは、ポリヌクレオチドの下流にあるSV40ポリA部位またはtkポリA部位などの転写終結シグナルも含み得る。この文脈において、Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(In-vitrogene)、pSPORT1(GIBCO BRL)、pX(非特許文献8)、pEG202およびdpJG4-5(非特許文献9)などの酵母2ハイブリッドベクター、またはラムダgt11もしくはpGEXなどの原核生物発現ベクター(Amersham-Pharmacia)などの適切な発現ベクターが知られている。
さらに、本発明のベクターは、発現ベクターであってもよい。本発明の核酸分子およびベクターは、細胞への直接導入、または、リポソーム、ウイルスベクター(例えばアデノウイルス、レトロウイルス)、電気穿孔法、バリスティック(例えば、遺伝子銃)もしくは他の送達系を介した導入のために設計され得る。さらに、バキュロウイルス系を、本発明の核酸分子の真核生物発現系として使用することができる。
本発明は、本発明のベクターを含む宿主細胞にも関する。したがって、本発明は、本発明のベクターまたは本発明のベクターを保有する非ヒト宿主でトランスフェクトもしくは形質転換された宿主に関し、すなわち、本発明による核酸分子もしくはそのような核酸分子を含むベクターで遺伝子組み換えされた宿主細胞または宿主に関する。用語「遺伝子組み換えされた」は、宿主細胞または宿主が、その天然ゲノムに加えて、細胞もしくは宿主またはその先祖/親の1つに導入された本発明の核酸分子またはベクターを含むことを意味する。核酸分子またはベクターは、遺伝子組み換えされた宿主細胞または宿主中に、ゲノムの外側の独立した分子として、好ましくは複製可能な分子として存在していてもよく、または宿主細胞もしくは宿主のゲノムに安定に組み込まれていてもよい。本発明のベクターでの宿主細胞の形質転換は、例えば、非特許文献10;非特許文献11に記載のような標準的方法によって行うことができる。宿主細胞は、特にpH値、温度、塩濃度、通気、抗生物質、ビタミン、微量元素等に関して、使用される特定の宿主細胞の要件を満たす栄養培地で培養される。
本発明の宿主細胞は、任意の原核細胞または真核細胞であり得る。適切な原核細胞は、大腸菌または枯草菌のような、クローニングに一般に使用されるものである。さらに、真核細胞は、例えば、真菌細胞または動物細胞を含む。適切な真菌細胞の例は、酵母細胞、好ましくはサッカロミセス属のもの、最も好ましくはサッカロミセス・セレビシエ種のものである。適切な動物細胞は、例えば、昆虫細胞、脊椎動物細胞、好ましくは哺乳動物細胞、例えば、HEK293、NSO、CHO、COS-7、MDCK、U2-OSHela、NIH3T3、MOLT-4、Jurkat、PC-12、PC-3、IMR、NT2N、Sk-n-sh、CaSki、C33Aなどである。当該技術分野で知られているさらに適切な細胞株は、例えば、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)またはAmerican Type Culture Collection(ATCC)などの細胞株保管所から入手可能である。本発明によれば、初代細胞/細胞培養物は宿主細胞として機能し得ることがさらに想定される。前記細胞は、特に、昆虫(ショウジョウバエ種またはゴキブリ種の昆虫など)または哺乳動物(ヒト、ブタ、マウスもしくはラットなど)に由来する。前記宿主細胞は、神経芽細胞腫細胞株のような細胞株からの細胞および/またはそれに由来する細胞も含み得る。上記の初代細胞は、当該技術分野でよく知られており、とりわけ、初代星状膠細胞、(混合)脊髄培養物または海馬培養物を含む。
本発明は、本発明の個々のモジュールまたは本発明のRNA分子全体をコードする発現ベクターを有する宿主細胞を培養培地で培養し、RNA分子を宿主細胞または培養培地から回収することにより、本発明のRNA分子を産生する方法にも関する。本発明は、本発明の宿主細胞の培養および任意に培養物からRNA分子を回収することを含む、本発明のRNA分子の産生方法にも関する。本発明のRNA分子を回収する方法および/またはその後に精製する方法は、当業者に知られている。
本発明は、当業者に知られている方法によって本発明のRNA分子をin vitro反応で産生する方法にも関する。より具体的には、本発明のRNA分子は、in vitro転写系を用いてin vitroで産生され得る。in vitro転写系は一般に知られており、通常、上記で概説したように、モジュール(b)および/またはモジュール(c)を「コードする」DNA配列を含む精製された直鎖状DNA鋳型を必要とし、ここで前記DNA配列は適切なプロモーターの制御下にある。さらに、in vitro転写系は、一般に、リボヌクレオチド三リン酸、DTTおよびマグネシウムイオンを含む緩衝系、ならびにDNA配列の本発明のRNA分子へのin vitro転写のための酵素活性を提供する適切なRNAポリメラーゼも必要とする。
In vitro転写を使用してRNA分子を産生するために一般に使用される方法は当業者によく知られており、例えば、非特許文献12に記載されている。
上記のように、本発明のRNA分子が、本明細書において以下に記載のようなin vitro転写方法によって産生される場合、上記ポリA尾部は、本発明の構築物の一部であり(必ずしもクローニングベクター上にもともと位置するとは限らない)、RNA構築物の3'末端でUTRに隣接するRNAの3'末端に位置する。本発明のRNA分子がin vitro転写方法によって産生される場合、in vitroで転写されたRNA分子が前記ポリA尾部を確実に含むように、本発明のRNA分子を有するプラスミドはポリA尾部の下流でin vitro転写の前に線形化される。
あるいは、本発明のRNA分子は、例えば、固相支持体および標準技術を用いる自動ヌクレオチド配列合成装置での従来の化学合成によって、化学的に合成することもできる。
本発明は、当業者に知られている方法および上記に概説された方法によって本発明のRNA分子をin vitro反応で産生し、RNA分子を反応から回収する方法にも関する。
本発明のRNA分子を回収する方法および/またはその後に精製する方法は、当業者に知られている。
上記で定めたようなRNA分子は、医療機関および特定の疾患の治療、特にRNAベースの療法において特に有用である。したがって、本発明は、本発明のRNA分子、本発明の核酸分子、本発明のベクターまたは本発明の宿主細胞および任意に薬学的に許容される担体を含む医薬組成物にも関する。
用語「治療」などは、本明細書では一般に、所望の薬理学的および/または生理学的効果を得ることを意味するために使用される。したがって、本発明の治療は、特定の疾患の(急性)状態の治療に関連し得るが、その疾患または症状を完全にまたは部分的に予防する点で、予防的治療にも関連し得る。好ましくは、用語「治療」は、疾患および/または疾患に起因する有害作用および/または症状を部分的にまたは完全に治癒するという観点から、治療的であると理解されるべきである。この点で「急性」は、被験体が疾患の症状を示すことを意味する。言い換えれば、治療される被験体は治療を実際に必要としており、本発明の文脈における用語「急性治療」は、疾患の発症または疾患の発生の後に疾患を実際に治療するためにとられる措置に関する。治療は、予防的または予防的処置、すなわち、疾患予防のために、例えば感染症および/または疾患の発症を予防するためにとられる措置であってもよい。
本発明の医薬組成物は、当業者に知られている広範囲の種類の投与形態により投与され得る。投与は、全身的、局所的、経口的、エアロゾル経由であってよく、限定されないが、錠剤、注射、吸入器の使用、クリーム、泡、ゲル、ローションおよび軟膏を含む。
上記のように、本発明は、上記の本発明のRNA分子(または核酸分子、ベクターもしくは宿主細胞)の有効量および少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤または担体を含む医薬組成物に関する。
賦形剤または担体は、強力な活性成分を含有する増量製剤の目的のために、活性成分、すなわち上記の本発明の構築物と一緒に製剤化される不活性物質である。賦形剤は、しばしば「増量剤」、「充填剤」、または「希釈剤」と呼ばれる。増量は、剤形を製造する際に、薬剤物質の簡便で正確な分配を可能にする。それらはまた、薬物吸収もしくは溶解性の促進、または他の薬物動態学的考察などの、様々な治療強化目的にも役立ち得る。賦形剤はまた、予想される貯蔵期間にわたる変性の防止などのin vitro安定性を援助することに加えて、粉末流動性または非粘着特性を促進することによってなどで、関連する活性物質の取り扱いを助けるために、製造過程において有用であり得る。適切な賦形剤の選択は、投与経路および剤形、ならびに有効成分および他の要因にも依存する。
したがって、上記に沿って、有効量の本発明の核酸を含む医薬組成物は、固体、液体または気体の形態であってよく、とりわけ、粉末(単数または複数)、錠剤(単数または複数)、溶液(単数または複数)またはエアロゾル(単数または複数)の形態であってよい。前記医薬組成物は、任意に薬学的に許容される担体および/または希釈剤を含むことが好ましい。
適切な医薬担体、賦形剤および/または希釈剤の例は、当該技術分野でよく知られており、リン酸緩衝生理食塩水、水、油/水エマルジョンなどのエマルジョン、様々なタイプの湿潤剤、滅菌溶液などが含まれる。そのような担体を含む組成物は、よく知られている従来の方法によって製剤化することができる。これらの医薬組成物は、適切な用量で、すなわち当業者により当該技術分野で知られている方法により容易に決定することができる「有効量」で被験体に投与することができる。投薬計画は主治医および臨床学的因子によって決定される。医学分野においてよく知られているように、任意の1人の患者への投薬量は、患者または被験体のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間および経路、一般的な健康状態、ならびに同時投与される他の薬物を含む多くの因子に依存する。
したがって、好ましくは、本発明の構築物は、有効量で含まれる。用語「有効量」は、医薬組成物が投与される被験体において検出可能な治療応答を誘導するのに十分な量を指す。上記によれば、医薬組成物中の本発明の構築物の含有量は、上記のように治療に有用である限り限定されないが、好ましくは、全組成物に対して0.0000001〜10重量%を含む。さらに、本明細書に記載の構築物は、好ましくは担体に用いられる。一般に、適切な量の薬学的に許容される塩が、組成物を等張にするために担体中で使用される。担体の例としては、限定されないが、生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液が挙げられる。好ましくは、許容される賦形剤、担体、または安定剤は、使用される用量および濃度で非毒性であり、クエン酸塩、リン酸塩および他の有機酸などの緩衝剤;塩形成対イオン、例えば、ナトリウムおよびカリウム;低分子量(>10アミノ酸残基)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、またはゼラチン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;ヒスチジン、グルタミン、リジン、アスパラギン、アルギニンまたはグリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む炭水化物;単糖類;二糖類;その他の糖、例えばスクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトール;キレート剤、例えばEDTA;非イオン性界面活性剤、例えばTween、プルロニックまたはポリエチレングリコール;メチオニン、アスコルビン酸およびトコフェロールを含む抗酸化剤;および/または保存料、例えば塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルまたはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;m-クレゾール)を含む。適切な担体およびそれらの製剤は、非特許文献13に詳細に記載されている。
治療の進行は、定期的な評価によって監視することができる。本発明のRNA分子または本発明の医薬組成物は、滅菌水性または非水性溶液、懸濁液、およびエマルジョン、ならびにクリームおよび坐剤であり得る。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油などの植物油、およびオレイン酸エチルなどの有機エステルである。水性担体には、水、アルコール/水溶液、エマルジョンまたは懸濁液が挙げられ、生理食塩水および緩衝媒体が含まれる。防腐剤およびその他の添加剤、例えば抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなども存在し得る。さらに、本発明の医薬組成物は、医薬組成物の意図される用途に応じて、さらなる薬剤を含み得る。前記薬剤は、例えば、商品名Tweenで市場で入手可能なポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、プロピレングリコール、EDTA、クエン酸塩、スクロース、ならびに医薬組成物の意図された用途に適した他の薬剤であってよく、当業者には明らかである。
本発明によれば、用語「医薬組成物」は、患者、好ましくはヒト患者に投与するための組成物に関する。
本発明の医薬組成物は、RNAベースの療法に使用され得る。上記のように、「ポリペプチドをコードするコード領域」を含む本発明のRNA分子は、RNAベースの療法に使用することができ、ここで「ポリペプチドをコードするコード領域」は、治療的または予防的効果を有する治療的もしくは薬学的に活性なポリペプチドまたはタンパク質をコードする。したがって、好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、上記のテーブル2に列挙された疾患の治療または予防におけるRNAベースの療法に使用され得る。したがって、本発明によるRNAベースの療法は、上記のテーブル2に列挙された疾患の治療または予防に使用され得る。
したがって、上記のテーブル2に記載の遺伝子欠損が転写物置換療法/酵素補充療法によって本発明のRNA分子で治療または予防できる疾患を導く場合には、本発明の医薬組成物はRNAベースの治療に使用されてもよく、ここでRNA分子は、開示の欠陥遺伝子を代償するインタクトなバージョンのタンパク質またはその機能的断片をコードする「ポリペプチドのコード領域」を含む。特に好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、ゴーシェ病、ファブリー病、MPS I、MPS II(ハンター症候群)、MPS VIなどのリソソーム病および糖原病、例えば糖原病I型(フォン・ギールケ病)、II型(ポンペ病)、III型(コリ病)、IV型(アンダースン病)、V型(マッカードル病)、VI型(ハース病)、VII型(垂井病)、VII型、IX型、X型、XI型(ファンコニ・ビッケル症候群)、XI型、または0型の治療または予防におけるRNAベースの療法に使用され得る。転写置換療法/酵素置換療法は、有益なことに根底にある遺伝的欠陥に影響を与えないが、患者が不足している酵素の濃度を増加させる。例として、ポンペ病では、転写置換療法/酵素補充療法が、欠損したリソソーム酵素酸アルファグルコシダーゼ(GAA)に取って代わる。
他の好ましい実施形態では、本発明の医薬組成物は、本発明のRNAベースの療法に使用することができ、ここで「ポリペプチドをコードするコード領域」は、治療効果または予防効果を有する治療的または薬学的に活性なポリペプチド、タンパク質またはペプチドをコードし、前記ポリペプチド、タンパク質またはペプチドは、テーブル2に概説されるような遺伝子によってコードされる群から選択される。
他の好ましい実施形態では、本発明によるRNAベースの療法は、がん、心臓血管疾患、ウイルス感染、免疫機能障害、自己免疫疾患、神経障害、遺伝性代謝障害もしくは遺伝病または細胞内で産生されたタンパク質、またはタンパク質断片がその特許に有益な効果を有し得る任意の疾患の治療に使用するためのものであってもよい。がんの例には、頭頸部がん、乳がん、腎がん、膀胱がん、肺がん、前立腺がん、骨がん、脳腫瘍、子宮頸がん、肛門がん、結腸がん、結腸直腸がん、虫垂がん、眼がん、胃がん、白血病、リンパ腫、肝臓がん、皮膚がん、卵巣がん、陰茎がん、膵臓がん、精巣がん、甲状腺がん、膣がん、外陰がん、子宮体がん、心臓腫瘍および肉腫が挙げられる。
心臓血管疾患の例には、アテローム性動脈硬化症、冠動脈心疾患、肺心疾患および心筋症が挙げられる。
免疫不全および自己免疫疾患の例には、限定されないが、リウマチ性疾患、多発性硬化症および喘息が挙げられる。
ウイルス感染の例には、限定されないが、ヒト免疫不全ウイルス、単純ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルスならびにB型肝炎ウイルスおよびC型肝炎ウイルスによる感染が挙げられる。
神経障害の例には、限定されないが、パーキンソン病、多発性硬化症、および認知症が挙げられる。
遺伝性代謝障害の例には、限定されないが、ゴーシェ病およびフェニルケトン尿症が挙げられる。
本発明は、RNAベースの療法の方法にも関する。したがって、本発明は、がん、心臓血管疾患、ウイルス感染、免疫機能障害、自己免疫疾患、神経障害、遺伝性代謝障害または遺伝病などの疾患の、RNAベースの療法による治療方法に関する。治療方法の好ましい実施形態に関しては、RNA分子または上記で定めたRNAベースの療法における使用のための医薬組成物の文脈において上記で説明したものを同様に準用する。
本発明において、被験体は、好ましい実施形態では、例えばイヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、げっ歯類、例えばラット、マウスおよびモルモット、または霊長類、例えばゴリラ、チンパンジー、およびヒトなどの哺乳動物である。最も好ましい実施形態では、被験体はヒトである。
本発明は、本発明のRNA分子、本発明の核酸分子、本発明のベクターまたは本発明の宿主細胞を含むキットにも関する。好ましい実施形態に関しては、本発明によるRNA分子、核酸分子、ベクターまたは宿主細胞の文脈において上記で説明したものを同様に準用する。有利には、本発明のキットは、任意に緩衝液(単数または複数)、保存溶液ならびに/または上記および下記の使用および方法の実施に必要な残りの試薬もしくは物質をさらに含む。さらに、本発明のキットの部品は、バイアルもしくはボトルに個々に、またはコンテナもしくはマルチコンテナ単位で一緒に梱包され得る。本発明のキットは、とりわけ、本発明の方法、本発明のRNA分子の調製を実施するために有利に使用することができ、本明細書で言及される様々な用途に、例えば、上記および下記で概説される使用に採用することができる。キットに含めることができる別の成分は、キットを使用する人へのその使用のための取扱説明書である。キットの製造は、好ましくは、当業者に知られている標準的な手順に従う。
最後に、本発明は、配列番号1に示される配列もしくは配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数);および/または配列番号2に示される配列もしくは配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR(単数もしくは複数)を、RNA分子のコード領域の前記コード領域によってコードされるポリペプチドまたはタンパク質への翻訳効率を上記で定めたように高めるために使用することにも関する。使用の好ましい実施形態に関しては、本発明のRNA分子の文脈において上記で説明したものを同様に準用する。
A549細胞の蛍光顕微鏡法およびフローサイトメトリーデータを示す図である。(A)5'キャップ、5'UTR、コード領域、3'UTRおよびポリA尾部からなる治療用mRNAの概略図。(B)倍率4倍(JULY(商標))でトランスフェクションの24時間後に撮影した蛍光顕微鏡写真。全構築物が、対照と比較して改善されたタンパク質発現レベルを示した。(C)FCによって決定されるd2EGFP陽性細胞のパーセンテージは、全構築物について同様である。ヨウ化プロピジウムを用いて死細胞を検出した。適用されたゲートは、死細胞およびトランスフェクトされていない細胞の排除を確実にした。(D)トランスフェクションの48時間後、持続したタンパク質発現は、対照と比較して安定化構築物でより高かった。 FCによって決定されるA549細胞(A)およびHuh7細胞(B)についてのタンパク質発現の時間経過を示す図である。対照に対して正規化された平均蛍光強度を対数-線形プロットで時間に対してプロットした。トランスフェクション後の時間が増加するにつれて、安定化構築物のタンパク質発現レベルの上昇がますます明らかになる。対照、5'UTRおよび3'UTR構築物、ならびに構築物5'+3'、5'+2x3'および2x3'にそれぞれ対応する棒線は、図の右側に示すように、異なる陰影をつけている。 異なって安定化されたmRNA構築物を試験するための平行単細胞アッセイ用の微細構造マルチチャネルスライドを示す図である。(A)細胞忌避性PEG領域を間に有する細胞接着性の微細構造タンパク質パターンは、規則正しい細胞配列を可能にする。蛍光標識したフィブロネクチンを用いて、マイクロパターンを可視化した。(B)マイクロチャネル内のフィブロネクチンパターンに接着する蛍光A549細胞(播種後3時間)。(C)mRNAリポフェクションの模式図(左図)および本発明者らの解析解の基礎をなす反応図(右図)。(D)A549細胞におけるmRNA仲介性d2EGFP発現の例示的な時間経過。黒い線は、理論的変換モデルの代表的な適合例である。 発現率K、mRNA寿命、およびd2EGFP寿命の分布および対応する平均値を構築物の略図と共に示す図である。(A)mRNA分子の初期数と翻訳速度の積である発現率Kの分布。分布が同様の形状であるという事実は、トランスフェクションの動態および翻訳速度が非常に類似していることを示している。(B)mRNAの半減期の分布は、それらの広汎性に大きな変化を示す。見た目の指標として、点線は対照の平均半減期を示す。(C)d2EGFP半減期の分布。予想通り、異なる構築物の分布も同様に形作られ、同等の平均値を示す。見た目の指標として、測定された全半減期に基づくd2EGFPの全体的な平均半減期を点線で示す。(D)適合率の平均値および対応する標準偏差(std)。対照構築物は両方の細胞型において高い平均K値を生じるが、この構築物の短いmRNA半減期は、安定化構築物と比較して小さいAUC値をもたらす。これは図6に見ることができる。構造体の模式図は右側に見ることができる。全ての構築物は、同一の5'キャップおよびポリA尾部を有する。895個の単一A549および1355個のHuh7細胞からのデータを分析した。 異なる構築物のマスター曲線。発症時間がゼロにシフトしたA549(A)およびHuh7(B)細胞の母平均。濃い灰色、中間灰色および薄い灰色の曲線は、それぞれ対照/5'UTR/3'UTR構築物に対応する。曲線は、右側に対応して示されている構築物に対応する。 異なる構築物のAUCおよびmRNA寿命延長因子。(A)mRNA翻訳ならびにmRNAおよびタンパク質の分解との間の相互作用を説明するためのAUCの概略図。(B)および(C)t→∞について分析した異なる構築物のAUC。十字は、異なる実験の相対的なAUCを示し、棒線は全ての単細胞AUCの平均に対応する。(D)および(E)mRNA寿命延長因子。全ての修飾は、対照と比較してmRNA寿命時間を延長させる。同様の傾向がA549(D)およびHuh7(E)細胞で観察される。(D)と(E)のエラーバーは標準偏差を示す。 Huh7細胞の蛍光顕微鏡法およびフローサイトメトリーデータを示す図である。(A)倍率4倍(JULY(商標))でトランスフェクションの24時間後に撮影した蛍光顕微鏡写真。全構築物が、対照と比較して改善されたタンパク質発現レベルを示した。(B)FCによって決定されるd2EGFP陽性細胞のパーセンテージは、全構築物について同様である。ヨウ化プロピジウムを用いて死細胞を検出した。適用されたゲートは、死細胞およびトランスフェクトされていない細胞の排除を確実にした。(C)トランスフェクションの48時間後、持続したタンパク質発現は、対照と比較して安定化構築物でより高かった。 qRT-PCRによるA549およびHuh7細胞におけるmRNA半減期の決定を示す図である。材料および方法の部に記載のプロトコルに従い、細胞をトランスフェクトした。全mRNA構築物についての4、8、24、36、48、60、72時間での絶対的mRNA定量を、A549(図8A参照)およびHuh7(図8B参照)において決定した。このデータのうち、mRNA半減期を計算した。物理的半減期を対照に対して標準化した。 微細構造基質上のトランスフェクション効率を示す図である。リポフェクタミン(商標)2000またはDOGTORを用いて、SNIM RNAでトランスフェクトされたA549細胞およびHuh7細胞についてのトランスフェクト細胞および対応する標準偏差のパーセンテージ。リポフェクタミン(商標)2000でトランスフェクションした細胞でより高いトランスフェクション効率が見られた。 直接測定したd2EGFP半減期の分布を示す図である。(A)Huh7細胞におけるシクロヘキシミド誘導性d2EGFP分解の例示的な時間経過。黒線は、タンパク質分解の単純な指数関数的適合例である。(B)A549細胞で測定したd2EGFP半減期の分布、平均半減期2.46時間(標準0.71時間)をもたらした。(C)Huh7細胞で測定したd2EGFP半減期の分布、平均半減期4.04時間(標準1.82時間)をもたらした。 単細胞AUCの分布を示す図である。AUCは以下の式3に従って計算した。A549のデータは左列に示されており、Huh7のデータは右列に示されている。 テーブル5に示される異なる遺伝子のUTRを有する構築物#2または#5のCYBA-UTR#1構築物との比較を示す図である。
本発明の他の態様および利点は以下の実施例で説明されるが、これらは例示の目的で与えられたものであり、限定するものではない。本出願に引用される各刊行物、特許、特許出願または他の文書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
・ 材料および方法
プラスミドベクター
pd2EGFP-N1(Clonetech)から不安定化高感度緑色蛍光タンパク質(d2EGFP)を切り取り、pVAXA120(3)にクローニングしてpVAXA120-d2EGFPを作製した。以前に公表されたmRNA安定性に関するデータに基づいて、CYBA遺伝子の予め選択された5'および3'UTR配列をEurofins MWG(ドイツ)によって合成し、pVAXA120-d2EGFP中のd2EGFPの上流(5'UTR)および/または下流(3'UTRもしくは2x3'UTR )をクローニングし、それにより構築物をそれぞれのUTRの組み合わせで作製する。
mRNA生産
In vitro転写されたmRNA(IVT mRNA)を生成するために、プラスミドをNotI消化によってポリA尾部の下流で線形化し、クロロホルム抽出およびエタノール沈殿により精製した。精製した線状プラスミドを、RiboMax Large Scale RNA production System-T7(Promega、ドイツ)を用いるin vitro転写の鋳型として用いた。Anti-Reverse Cap Analog(ARCA)を反応混合物に加えて5'キャップ化mRNAを生成した。さらに、SNIM mRNAの産生のために、化学修飾されたヌクレオチド、すなわちメチル-CTPおよびチオ-UTP(Jena Bioscience、ドイツ)を加え、ATP:CTP:UTP:メチル-CTP:チオ-UTP:GTPの最終濃度を7.57mM:5.68mM:5.68mM:1.89mM:1.89mM:1.21mMにした。完全IVT混合物を37℃で2時間インキュベートし、その後DNアーゼIでの20分間37℃でのDNA消化を続けた。RNAを酢酸アンモニウム(最終濃度2.5M)で沈殿させ、70%EtOHで洗浄した。洗浄工程を2回行った。最後に、RNAペレットをRNアーゼを含まない水に再懸濁した。全mRNAを1%アガロースゲルで確認した。例示的なmRNA構築物の略図は、図1Aで見ることができる。UTRの正確な配列は、上記テーブル1の下の文章に示されている。

テーブル3:二次構造(mfold)
テーブル3には、最小自由エネルギー(ΔG)ならびに両端およびUTR内に見られる二次構造などのmRNA構築物の特徴が列挙されている。フォールディングプラットフォームmfoldを使用してmRNA二次構造を予測した(40)。各構築物について、最も高い自由エネルギーを有する8つの二次構造を比較した。最も高い自由エネルギー値が、2×3'UTRおよび3'UTR構築物について予測される。各mRNA構築物の5'末端は、コード配列(cds)に結合する対照構築物を除いて、3'UTRまたは5'UTRと部分的に結合する。興味深いことに、2x3'mRNA構築物の5'末端は、それ自身と安定化ヘアピンを形成する。しかし、5'末端近くのヘアピンループもタンパク質翻訳を妨げる可能性がある(41)。もう1つの特徴は、3'UTRおよび5'+3'UTR mRNA構築物の3'末端に見られた:3'末端は5'末端と結合し、互いからの距離を最小限にし、したがって翻訳の開始をより速くすることができる。5'UTRとは異なり、各mRNA構築物の3'UTRは、それ自身と少なくとも1つのヘアピンを形成する。
フローサイトメトリー(FC)
実験設定は以下のように見える:150μl培地中の20.000個の細胞を、96ウェルプレートにウェルごとに播種し、播種後24時間トランスフェクトした。市販のトランスフェクション試薬リポフェクタミン(商標)2000を使用して、細胞を5pg mRNA/細胞の用量でトランスフェクトした。複合体は、1μg mRNA当たり2.5μlリポフェクタミン(商標)2000の比で調製した。リポプレックスの形成のために、リポフェクタミン(商標)2000およびmRNAをOptiMEMトランスフェクション培地に、それぞれ50μlの総容量で別々に希釈した。これらの混合物を室温で5分間インキュベートした。次いで、mRNA溶液をリポフェクタミン(商標)2000溶液と混合し、続いて室温でさらに20分間インキュベートした。インキュベーション後、900μlのOptiMEMをリポプレックス溶液に添加した。最後に、複合体溶液50μlを細胞に添加し、1時間インキュベートした。mRNA構築物ごとに、生物学的トリプリケートを調製した。インキュベーション後、リポプレックス溶液を捨て、新しい150μl培地を各ウェルに添加した。FCを用いて、8、24、36、48、60および72時間後にd2EGFP発現を測定した。これらの時点のそれぞれにおいて、蛍光顕微鏡画像を撮影した。FC測定のために、細胞培養培地を捨て、細胞を1xDPBS(Gibco Life Technology)で洗浄した。続いて、20μlのTrypLE Express(Gibco Life Technology)をウェルごとに加え、5分間37℃でインキュベートした。2%FBSを補充した80μlの1xPBSを加えることによって反応を中和した。細胞をピペッティングにより混合し、フローサイトメトリー測定に適した96ウェルプレートに移した。最後に、5μlのヨウ化プロピジウム(最終濃度1μg/ml)をウェルごとに加え、Attune Auto Sampler(Applied Biosystems)で測定した。蛍光画像を、JULY(商標)顕微鏡でのFC分析の前に撮影した。
定量的リアルタイムPCR
qRT-PCR分析を用いて、d2EGFP mRNA量を、4、8、24、36、48、60および72時間間隔でA549およびHuh7細胞において測定した。さらに、mRNA発現動態そのものを用いて各UTRのmRNA半減期を計算した。ここでは、上記のプロトコル(FCを参照)と同様に細胞をトランスフェクトした。200.000細胞/ウェルの細胞密度がRNA単離に十分であることが判明した。RNA単離は、製造業者のプロトコルに従って、NucleoSpin RNA(Macherey Nagel)を使用して行った。単離した全RNAを、分光光度測定およびゲル分析によってRNA濃度および品質について試験した。さらに、First Strand cDNA合成キット(Thermo Scientific)のOligo(dT)を用いたcDNA合成のために、各UTR構築物および対照の0.5μgの全RNAを用いた。当量のcDNA(1:50に希釈)を、125nMの各d2EGFP-プライマー(フォワードプライマー:5'-CAA CCA CTA CCT GAG CAC CC-3'(配列番号3);リバースプライマー:5'-GTC CAT GCC GAG AGT GAT CC-3'(配列番号4)で、SsoAdvanced(商標) UniversalSYBR(登録商標)Green Supermix(BioRad)を使用して試験した。絶対的定量の標準として、IVTによって産生された純粋なd2EGFP mRNAをcDNAの合成に使用した。絶対的mRNA定量は、Lightcycler 96装置(Roche)で行った。
表面パターニングおよび試料調製
微細構造表面は、選択的酸素プラズマ処理(Femto Diener、40Wで3分間)を上部に基質(ibidi GmbH)として形成し、続いて不動態化した。選択性は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)スタンプ(フォトリソグラフィーによって製造されたマスターからのキャスト)をマスクとして用いて達成した。プラズマにさらされた部分を、PLL(20k-g(3.5)-PEG(2k)で、水性緩衝液(10mM HEPES pH7.4および150mM NaCl)中1mg/mlの濃度で30分間インキュベートすることによって不動態化した。その後、試料をPBSですすぎ、PDMSスタンプを除去した。次いで、箔を接着性6チャネルスライド(粘着性μスライドVI)に固定した。各チャネルを50μg/mlフィブロネクチンPBS溶液で1時間満たし、残りのセクターを細胞接着性にした。プローブをPBSで3回すすいだ。試料を細胞播種前に室温で細胞培地に保存した。この研究では、このサイズがA549細胞およびHuh7細胞の単細胞接着に合理的であることが判明したため、30μm×30μmの正方形接着部位を使用した。細胞を1チャネルあたり10,000細胞の密度で播種し、おおよそ1つの細胞が各細胞接着島に接着できるようにした。図3Aに示すような蛍光マイクロパターンを得るために、20μg/mlのフィブロネクチンおよびAlexa Fluor488と接合した30μg/mlのフィブリノーゲンの混合物を使用した。
材料
FBS、リーボビッツL-15培地(Gibco)、リポフェクタミン(商標)2000、およびOptiMEM(Gibco)は、ドイツのInvitrogenから購入した。無菌PBSを社内調製した。ハムF-12K、DMEM、およびトリプシン-EDTAは、ドイツのc.c.pro GmbHから購入した。チャネルスライドは、ドイツのibidiから購入した。フィブロネクチンは、スウェーデンのYo Proteinsから購入した。PLL-g-PEGは、スイスのSuSoS AGから購入した。Alexa Fluor 488は、ドイツのLife Technologiesから購入した。プラスミドpd2EGFP-N1は、ドイツのBD Biosciences Clontechから購入した。
細胞培養
ヒト肺胞腺癌細胞株(A549、ATCC CCL-185)を、10%FBSを補充したハムF12K培地で増殖させた。ヒト肝細胞腫上皮細胞株(Huh7、JCRB0403、JCRB細胞バンク、日本)を、10%ウシ胎仔血清を補充したDMEM培地で培養した。全細胞株を、加湿雰囲気中5%CO2レベルで増殖させた。
In vitroトランスフェクション
トランスフェクションの3時間前に、1チャネルあたり10.000細胞を6チャネルスライドに播種した。市販のトランスフェクション試薬リポフェクタミン(商標)2000を使用して、細胞を5pg mRNA/細胞の用量で、1μg mRNA当たり2.5μlリポフェクタミン(商標)2000の比でトランスフェクトした。複合体形成は、以下のようにして調製した:リポフェクタミン(商標)2000およびmRNAをOptiMEMトランスフェクション培地で別々に希釈し、各々合計45μlの容量にした。これらの混合物を室温で5分間インキュベートした。その後、リポフェクタミン(商標)2000溶液をmRNA溶液と混合し、続いてさらに20分間室温でインキュベートした。その後の全てのすすぎ工程中にマイクロチャネルが空にならないように注意:トランスフェクションの直前に、細胞をPBSで洗浄した。最後に、異なるmRNA構築物を含むリポプレックス溶液を6つのチャネルに充填した。したがって、5つ全ての異なるmRNA構築物および参照構築物は、同じ実験条件下で測定され得る。細胞を総トランスフェクション容量90μlで、37℃(5%CO2レベル)で1時間インキュベートした。その後、トランスフェクション培地を除去し、細胞をPBSで洗浄した。その後、細胞を、10%FBSを含むリーボビッツL-15培地と再インキュベートした。d2EGFP発現の顕微鏡観察の前に、1滴の抗蒸発油(ibidi GmbH、ドイツ)を各培地リザーバーの上部に添加した。
データ取得および定量的画像解析
生細胞画像化は、対物レンズ(CFI PlanFluor DL-10x、Phase1、NA 0.30; Nikon)および顕微鏡ステージ用温度制御マウントフレームを備えた電動倒立顕微鏡(Nikon、Eclipse Ti-E)で行った。温度調節器付きのibidi加熱システム(Ibidi GmbH、ドイツ)を使用し、測定中試料の温度を37℃(±2℃)に安定させた。細胞画像を得るために、冷却CCDカメラ(CLARA-E、Andor)を使用した。水銀光源(C-HGFIE Intensilight、Nikon)を照明に使用し、フィルターセット41024(Chroma Technology Corp.、BP450-490、FT510、LP510-565)付きフィルターキューブをd2EGFP検出に使用した。照明シャッター制御を使用し、漂白を防止した。画像を、10倍の倍率で、600msの一定のばく露時間で、トランスフェクション後少なくとも25時間、10分間間隔で撮影した。蛍光画像を単一画像シーケンスファイルに統合した。単細胞発現動態の特性パラメーターの定量的分析は、種々のベクター性能の発現効率および安定性の点での比較を可能にする。画像解析はいくつかの工程で構成され、ImageJに基づいた社内開発のソフトウェアを使用して行った。最初に、長方形グリッドに元の微速度撮影動画を重ね合わせ、その下にある細胞パターンのサイズおよび向きに調整した。次に、ソフトウェアは、全ての正方形の蛍光強度を読み取ることによって、d2EGFP発現細胞を自動的に検出した。バックグラウンド補正には空いている正方形を使用した。ソフトウェアは、全配列にわたる細胞の蛍光を計算し、対応する強度を細胞当たりの蛍光の時間経過に結び付ける。最後に、正方形ごとの単細胞蛍光強度を取得した。
次に、mRNAおよびd2EGFPの微分方程式の解であるIgorProソフトウェアを使用して、近年説明されたように各時間経過をmRNA誘導性タンパク質発現の分析溶液に適合させることによりデータを分析した(式1を参照)。
(式4)
(式5)
mRNA誘導性タンパク質発現について想定される根底にある単純化モデルの略図を図3Cに示す。
II. (実施例1)
フローサイトメトリー(FC)による蛍光顕微鏡法および分析
異なるUTR組合せの導入遺伝子発現動態に対する効果を評価するために、リポフェクタミン(商標)2000を用いて、5'UTR単独、3'UTR、5' +3'UTR、3'UTRの2つのコピー、および5'+2×3'UTRを含む異なるd2EGFP mRNA構築物で、2つの異なる細胞株をトランスフェクトした。全構築物のビルディングブロックの略図は、図1Aで見ることができる。
トランスフェクションの3日後までの異なる時点で、d2EGFP発現をFCを用いて定量した。A549生細胞のd2EGFP発現レベルを示す、t=24時間の例示的なドットプロットを図1Cに示す(対応するHuh7データについては図7Bを参照)。さらに、蛍光顕微鏡を用いて細胞を画像化した(図1BおよびDならびに図7AおよびCを参照)。トランスフェクションの24時間後に、全mRNA構築物について同等のトランスフェクション効率が確認された(図1Bおよび図8A)。それにより、観察された発現動態差の原因となる異なる伝達効率が排除され得る。蛍光顕微鏡画像に基づいて、トランスフェクション後48時間で全構築物についてのd2EGFP発現の劇的な減少が検出された(図1BおよびD、ならびに図7AおよびCを参照)。しかしながら、対照に関してより高いEGFP発現レベルが、全てのUTR安定化mRNAについて見られた。より具体的には、3'UTRを含むmRNA構築物は、3'UTRを含まない構築物よりも発現を増強するようであった。これは、A549およびHuh7細胞について観察された(それぞれ図1および図を参照)。48時間より後の時点で、この効果はさらに顕著であった(データは示されていない)。図2AおよびBでは、FCによって決定される平均蛍光強度(MFI)の時間経過が、全構築物について両細胞型で示されている。
また、ここでは、全てのUTR含有mRNA構築物は、対照構築物よりも高いMFI値を両細胞系において全ての時点で示した。まとめると、蛍光顕微鏡検査およびFCデータは、CYBA UTRを備えたmRNA分子が24時間以上持続的なd2EGFP発現を示すことを示唆している。
III.(実施例2)
定量的リアルタイムPCR
さらなるアプローチとしてqRT-PCR測定を実施し、異なる構築物の「物理的」mRNA半減期を決定した。選択したプライマーのd2EGFPへの結合は、開始コドンの600nt下流で起こった。したがって、物理的mRNAの半減期の測定は、インタクトmRNAと、脱キャップされているがまだ分解されていないか、またはデカップリングされて塩基599まで分解されたmRNAとの両方を調整する。また、翻訳プールから除去され、P体に保存されたmRNAも含まれる(29〜32)。インタクトmRNAはd2EGFP発現に寄与するが、脱キャップおよび/または部分的に分解された転写物の後者の群、およびP体内のものはいずれの発現ももたらさない。物理的mRNA半減期の決定は、A549およびHuh7細胞における対照と比較して、UTRの有意な寿命延長を示さなかった(図8AおよびBをそれぞれ参照)。興味深いことに、それどころか、5'、3'、5'+2×3'および2×3'UTR構築物についてのmRNAの物理的半減期の減少が両細胞株で観察された。
A549およびHuh7細胞におけるqRT-PCRによるmRNA半減期の決定
さらなる実験では、従来のアプローチであるqRT-PCRでの異なるmRNA構築物のmRNA半減期を調べた(図8AおよびBを参照)。したがって、mRNA構築物を本明細書に記載されるようにトランスフェクトした。最終的に、各特定の時点での絶対的mRNA量を得て、UTRを備えた各mRNAのmRNA半減期を計算した。対照と比較して、選択されたmRNA構築物のいずれについても有意なmRNA安定化効果は観察されなかった。
IV. (実施例3)
単細胞発現アレイ
図3AおよびBに示される微細構造の細胞接着性基質を、単細胞微速度撮影顕微鏡法用のプラットフォームとして作製した。
長方形四角は細胞外マトリックスタンパク質フィブロネクチンで機能化し、周囲の暗い領域は細胞忌避剤であるPLL-g-PEGで不動態化する。約3時間後に細胞が長方形四角に接着するように、細胞を適切に希釈した細胞密度で播種した。この細胞の自己組織化過程は、以前に詳細に研究されている(27)。単細胞の最適な充填のために、正方形のサイズは30μmであった。正方形間の距離は、同時に1つより多くの正方形に付着する細胞の架橋効果を最小にするのに十分な大きさ(60μm)であった。微速度撮影蛍光顕微鏡法および正方形ごとの蛍光シグナルの自動画像分析は、数百の個々の時間経過を生じる。バックグラウンド補正された生データの典型的なセットを図3Dに示す。黒い線は、mRNA翻訳の数学的表現への典型的な適合例を表す(材料および方法の節も参照)。データは、近年説明されたように(26)各時間経過をmRNA誘導性タンパク質発現用の分析溶液に適合させることにより、
(式1)

IgorProソフトウェアを使用して分析した。ここで、Gはタンパク質量、Kは発現率、δはmRNA分解速度、βはレポータータンパク質d2EGFPの分解速度である。発現率k=m0・TLは、細胞内mRNA分子の初期量(m0)と翻訳速度kTLとの積である。式1によって記述される時間経過は、以下の節「タンパク質発現のマスター曲線」で詳細に議論する。
V.(実施例4)
細胞アレイ上のin vitroトランスフェクション
典型的な実験では、トランスフェクションの3時間前に細胞をマイクロパターンに接着させた。6つのマイクロチャネルの各々を、目的の構築物の1つを含有する異なるリポプレックス溶液で満たした。初期の実験では、2つの異なる市販のトランスフェクション試薬(すなわち、リポフェクタミン(商標)2000およびDOGTOR)を比較した。リポフェクタミン(商標)2000について、DOGTORよりも高いトランスフェクション効率が見られた(図9を参照)。リポフェクタミン(商標)2000で80%を超える高い細胞生存率がさらに得られたため(データは示していない)、全てのさらなるトランスフェクション実験をリポフェクタミン(商標)2000を使用して行った。トランスフェクション直後にmRNA介在性タンパク質発現が開始するため、インキュベーション時間を最小限に抑えた。したがって、mRNA投与量とインキュベーション時間との比を調整し、高いトランスフェクション効率(図9も参照)およびレポータータンパク質の過剰発現によって引き起こされる無視できる毒性効果を達成した。5pg/細胞のmRNA投与量では、1時間のインキュベーション時間が最適であることが判明した。
微細構造基質上でのトランスフェクション効率
トランスフェクションに成功した細胞のパーセンテージを評価し、2つの異なるトランスフェクション剤を比較し、トランスフェクション効率が微細構造細胞増殖によって妨げられないことを確認した(図9を参照)。ここでは、全細胞が微細構造タンパク質アレイ上で増殖した。リポフェクタミン(商標)2000のトランスフェクション効率が、DOGTORと比較して高かった。市販の生/死細胞生存率アッセイ(Molecular Probes、ドイツ)を使用して、80%を超える高い細胞生存率を見出した(データは示していない)。
VI.(実施例5)
発現率
2つの細胞型の全ての結果は、同じ実験条件下での4つの独立した測定値に基づく。約1000個のA549細胞および1000個のHuh7細胞の微速度撮影データを分析した。得られた発現率Kの分布を図4Aに示し、対応する平均値は図4Dに見られる。
平均発現率およびそれらの分布の形状は、異なる構築物についてかなり類似していることが判明した。
VII.(実施例6)
mRNA半減期
適合mRNA分解速度δを、
(式2)
に従ってmRNA半減期に変換した。
図4Bは、異なる安定化mRNA構築物のそれぞれA549細胞およびHuh7細胞における半減期分布を示す。ここでは、安定化構築物について、平均構築半減期および基礎となる分布の広がりの両方が参照構築物と比較して増加することが明らかになる。
全ての決定された半減期の概要を図4Dに示す。A549細胞およびHuh7細胞の両方で、UTRエレメントによって安定化されたmRNAについて、安定化UTRを含まない対照構築物(A549細胞については5.8時間およびHuh7細胞については7.8時間)と比較してより長い半減期が見られた。寿命延長効果は、A549細胞においてより顕著であった。
VIII.(実施例7)
タンパク質の半減期
タンパク質(d2EGFP)分解寿命の分布を図4Cに示す。予想されるように、発現タンパク質の半減期は、異なるmRNA構築物について変化しない。決定された平均寿命は、図4Dに示されるように、A549細胞については4.2〜4.9時間、Huh7細胞については5.6〜8.5時間である。変動係数は約0.29(A549)および0.45(Huh7)であり、したがって、mRNA寿命の分布について見られた最大0.6の変動係数よりも有意に小さい。対照として、トランスフェクション後の所与の時点t0でシクロヘキシミドの添加によって翻訳が阻害される、別のアプローチにおける半減期も測定した(図10を参照)。この場合、タンパク質発現がしばらくの間誘導され、その後停止される。阻害後の蛍光の指数関数的減衰は、タンパク質寿命をもたらす。これらの半減期は、阻害のない上記の実験と比較して、約2倍小さいことが判明した。しかし、両方の実験において、Huh7細胞におけるタンパク質寿命の相対比は、A549細胞のものと比較して同じである。
レポータータンパク質の分解速度
適合d2EGFP分解速度を調べるために、A549およびHuh7細胞内でのd2EGFPの分解速度を、微細構造化6チャネルスライドで独立して測定した。タンパク質合成は、ペプチジルトランスフェラーゼ活性を妨害する抗生物質シクロヘキシミドによって阻害された(42)。単細胞蛍光強度時間経過を、約20時間モニターした(図10参照)。対照実験は、蛍光強度の減少が発色団の光退色によるものではないことを確実にした。単細胞時間経過は、単一指数関数的適合によって適合され、タンパク質分解速度の分布を生じた。平均分解速度は、A549細胞で0.28/時間(標準0.08/時間)、Huh7細胞で0.17/時間(標準0.08/時間)であり、それぞれ2.46時間および4.04時間のタンパク質寿命に対応することが判明した。これらの寿命は、mRNA仲介性タンパク質発現の単細胞時間経過分析によって決定される寿命よりも有意に短いが、Huh7細胞とA549細胞内でのd2EGFPの平均寿命の間の比は同じである(mRNA発現用の分析溶液を適合することによって決定される7.4時間/4.5時間=1.64と比較して、翻訳阻害によって測定される4.04時間/2.46時間=1.64)。
IX. (実施例8)
タンパク質発現のマスター曲線
図5A(A549)およびB(Huh7)に示すように、mRNA誘導性タンパク質発現の特徴は、いわゆるタンパク質発現のマスター曲線において明らかになる。
マスター曲線は、発現-時間補正単細胞トレースの母平均であり、すなわち、全ての発現-時間は時点ゼロに移されている。蛍光強度を、文献(26)に以前に記載されているようにd2EGFPの実際の数に変換した。3'および5'+3'安定化mRNA構築物の優れた特性は、マスター曲線プロットに示されている。これらの構築物は、他の構築物と比較して、より高いタンパク質発現値に加えて、経時的なタンパク質発現の最も浅い減少、したがって最も長い半減期を示した。
X.(実施例9)
曲線下面積(AUC)
薬物動態学において、薬物の総ばく露は、「曲線下面積」として知られている。遺伝子治療における類似の発現は、経時的な人工的に発現されたタンパク質の量、すなわち曲線(発現対時間)下面積(AUC)の積分である。AUCは、mRNA構築物の翻訳効率および安定性を同時に定量する手段である。これは、mRNAにコードされるタンパク質の累積時間投与量として解釈され、したがって、選択されたmRNA構築物の有効性を説明する。生化学的速度モデル(図3Aを参照)が与えられれば、AUCは明示的に計算することができる:
(式3)
したがって、最適な治療用mRNA構築物は、望ましくは、長いmRNA、τmRNA、ならびにタンパク質半減期、τd2EGFP、および高い翻訳効率kTLの両方を有する必要がある。さらに、治療用mRNAの初期量m0を決定する伝達効率は、AUCに正比例する。タンパク質発現の理論的時間経過および計算されたAUCの説明的な説明は、図6Aで見ることができる。
タンパク質分解がない(β=0)場合、細胞内のタンパク質の量は、mRNA翻訳およびmRNA分解のバランスのとれたフラックスの結果として定常状態レベルに達するであろう。この場合、表現力学はK/δ(1-e-δt)に従う。δがゼロに等しい場合の類似の方法でも同じことが言える。これを、d2EGFPタンパク質の永続的な指数関数的減衰(e-β1)に従う)と重ね合わせると、図6Aに示すようなAUCの特徴的な形状が得られる。図6BおよびCは、全体的な平均相対AUCならびに対照の平均AUCに対して標準化した「実験ごとの」相対AUCを示し、後者は対照構築物でのトランスフェクション後のタンパク質発現のAUCである。両細胞型において、最も高い相対AUCが、3'UTR-および5'+3'UTR-安定化構築物について見られた。これは、式3に見られるようにAUCに寄与するため、これらの構築物の観察された長い半減期と一致する。詳細な単細胞AUC分布を図11に示す。
より具体的には、図3Cによる翻訳および分解の生化学的速度方程式(4)および(5)を仮定すると、mRNAトランスフェクション後のタンパク質発現量は、
(式1)
で与えられる。
発現が長時間(t→∞)に設定された場合、発現レベルGd2EGFP(t)をt0から積分することによって、曲線下面積(AUC)を算出する:
Gd2EGFP(t)の経時変化およびAUCを図6Aに模式的に示す。
実験的単細胞AUC分布は、図11に見ることができる。AUCはmRNAおよびタンパク質寿命に線形に依存するため、単細胞AUC分布は、本文の図4Bおよび4Cに示されるmRNAおよびタンパク質半減期分布と密接に関連する。
XI. (実施例10)
寿命延長因子
A549およびHuh7細胞の寿命延長因子を、それぞれ図6DおよびEに示す。予想通り、全ての安定化構築物は1よりも高い寿命延長因子を得て、いずれかの末端でのUTRの挿入がmRNA安定化を引き起こすことを意味している。しかしながら、3'UTR mRNA構築物は、2x3'UTR構築物よりも長いmRNA寿命を示す。同様に、5'+3'UTR構築物は、5'+2×3'構築物よりも安定である。これらの結果は、両細胞型に当てはまる。興味深いことに、安定化効果は、全ての場合においてHuh7細胞よりもA549細胞で有意に顕著である。
XI.(実施例11)
CYBA-UTR構築物と比較して異なる遺伝子のUTRを有する構築物の比較
以下のテーブル4に示す異なる遺伝子のUTRを有する構築物#2〜#5を、安定性および生産性の点でmRNA構造を最適化するためにCYBA-UTR構築物#1と比較した。遺伝子の5つの異なる細胞性UTRを、長いmRNA半減期を特徴とする公開データ(Hoenら、2010)に基づいて選択した。これらの細胞性UTRは、CYBA、DECR1、GMFG、MAPBPIPおよびMYL6Bである。各細胞遺伝子の5'および3'非翻訳領域の配列は、UTRデータベース(http://utrdb.ba.itb.cnr.it/search)から得て、5'UTR単独、3'UTR単独、5'+3'UTR、5'+2×3'UTRおよび2×3'UTRである5つの異なる組合せにクローニングした。
最初に、非翻訳領域配列を骨格pVAX1-A120にクローニングした。5'UTRの場合、クローニングは、5'末端のHindIII制限部位および3'末端のBamHI制限部位を介して起こり、メトリジアルシフェラーゼ(MetLuc)をコードするレポーター遺伝子の上流に挿入された。3'UTRの制限部位はEcoRI(5'末端)およびPstI(3'末端)であり、MetLucの下流でクローニングした。Eurofins MWG Operonによって、各細胞UTRについて5'UTR単独および5'+3'UTRを含有するプラスミドを作製した。これらのプラスミドを、電気穿孔法により大腸菌細菌(DH10B)に形質転換した。3'UTR単独、5'+2×3'UTRおよび2×3'UTRを含む他の組み合わせを、社内でクローニングした。プラスミドの3'UTRでのクローニングは、HindIII(平滑末端)およびBamHI(平滑末端)消化を介して骨格の5'UTRを単に切断することによって行った。3'UTR(BamHI/PstI平滑末端)を含むMetLucを5'+3'UTRを含むpVAX1-A120 MetLucの骨格に挿入することにより、5'UTR +2x3'UTRを含む構築物をクローニングし、それによってMetLucを置換し、第2の3'UTRを骨格のそれぞれの3'UTRの前に挿入した。最後に、5'+2×3'UTRを含有するプラスミドから5'UTR(HindIIIおよびBamHI、両方とも平滑末端)を除去することによって、2x3'UTRを含む構築物を生成した。クローニング後、電気穿孔後、全てのプラスミドを大腸菌細菌(DH10B)中で増幅した。
第二に、化学修飾されたmRNAを、in vitro転写によって産生した。その目的のために、プラスミドをXbaI消化で線形化し、クロロホルム/エタノール沈殿で精製した。In vitro転写キット(Promega)には、必要なT7ポリメラーゼ酵素ミックスならびに適切な緩衝液が含まれていた。転写ミックスには、未修飾ヌクレオチドアデノシン-三リン酸(ATP)、グアノシン-三リン酸(GTP)、ウリジン-三リン酸(UTP)およびシトシン-三リン酸(CTP)ならびに化学修飾されたヌクレオチドメチル-CTPおよびチオ-UTP(Jena Bioscience、GmbH、イエナ、ドイツ)も、ATP:GTP:UTP:CTP:メチル-CTP:チオUTP=7.13mM:1.14mM:5.36mM:5.36mM:0.536mM:0.536mMの最終濃度で含まれていた。さらに、キャップ構造の類似体ARCA(抗リバースキャップ類似体)をミックスに加え、5'-キャップの正しい方向への取り込みを確実にした。最後に、線形化DNAを反応ミックスに加えた。IVTミックスを37℃で2時間インキュベートした。残りのDNAの消化は、DNアーゼIの添加および37℃でのもう20分間のさらなるインキュベーションによって可能になった。予め冷却した酢酸アンモニウムを最終濃度2.5Mになるように加え、RNA沈殿を行った。RNAペレットを70%エタノールで洗浄した。洗浄工程を2回行った。最後に、RNアーゼを含まない水にRNAを再懸濁した。RNA濃度を分光光度計で測定し、純度をアガロースゲルで試験した。
IVT後、異なるmRNAを2つの異なる細胞株、すなわちNIH3T3およびA549において試験した。スクリーニング実験のために、リポフェクションのような非ウイルス核酸送達システムを使用した。第1のトランスフェクション実験では、異なるトランスフェクション剤を試験し、タンパク質発現および細胞生存率を比較した(データは示していない)。次に、用量滴定を含むスクリーニング実験を行い、用量依存効果を評価した。実験設定は以下の通りである:150μlのDMEM完全培地中の5000個の細胞(NIH3T3)を、96ウェルプレートに1ウェルごとに播種し、播種後24時間トランスフェクトした。市販のトランスフェクション試薬Dreamfect Gold(DFG)を使用し、500ng/ウェル(100pg mRNA/細胞)の開始用量で細胞をトランスフェクトした。複合体を、1μg mRNAあたり4μl Dreamfect Goldの比で調製した。リポプレックスの形成のために、mRNA(3.6μg)を、総量340μlの補充のないDMEM中で各mRNAについて別々に希釈した。96ウェルプレートにおいて、14.4μlのDFGを、各mRNA希釈用に調製した1つのウェル中の5.6μlの水と混合した。複合体の形成は、mRNA希釈液をDFGに添加し、上下にピペッティングさせることで混合したときに起こった。混合物を室温で20分間インキュベートした。その間に、希釈系列を調製した。複合体混合物の下にある残りの7つのウェルに、補充のない180μlのDMEMをウェルごとに添加した。インキュベーション時間の後、180μlの複合溶液を取り出し、希釈系列の第1ウェルに加えた。この手順を最後の希釈工程まで実施した。最後に、50μlの複合体溶液を細胞に添加し、4時間インキュベートした。mRNA構築物ごとに、生物学的トリプリケートを調製した。4時間後、測定のために細胞培養プレートから完全な上清を除去し、新しい150μl培地を各ウェルに添加した。マルチラベルプレートリーダーを使用し、4、24、48、72、96、120および144時間後に生物発光を測定した。これに50μlの上清を20μlのセレンテラジンと混合し、発生した光を測定した。最後に、経時的なタンパク質量を観察し、曲線下面積(AUC)として描写する。
結果を図12に示す。
XIII.
討論
mRNA安定性およびその発現の決定は、新しいmRNA治療法を開発する際に考慮すべき2つの主要な要因である。ここでは、UTR、5'UTR、3'UTR、5'+3'UTR、5'+2×3'UTR、および2コピー3'UTRの異なる組み合わせを使用して、安定性およびその発現の点でmRNAを改善した。全タンパク質発現が持続的な治療効果に関連するため、d2EGFP時間経過のAUCも評価される。詳細な時間分解データを得て、タンパク質発現動態を単細胞レベルでモニターするために、mRNA安定性および翻訳効率の平行定量測定のための微細構造単細胞アレイを使用した。細胞の規則的な配置は、再現可能な微小環境を保証し、高速で自動化された画像分析を可能にし、これは、比較のハイスループット単細胞研究の前提条件である。アプローチは、(i)タンパク質半減期、(ii)発現率、および(iii)機能的mRNA半減期についての分布関数の決定を可能にする。
A549およびHuh7細胞の両方において、d2EGFPの平均タンパク質半減期は狭く分布し、UTR配列とは無関係であった。A549細胞では4.5時間およびHuh7細胞では7.4時間の計算された半減期の値は、比較された細胞株間の細胞型特異的差異に起因する可能性がある。d2EGFP半減期におけるそのような細胞特異的差異は以前から公開されている。同様の画像化サイトメトリーアプローチを用いたNIH3T3細胞の研究は、12時間の測定ウィンドウ内で2.8時間の半減期を記録した(33)。2時間未満のさらに短い半減期が、LiらによってCHO細胞について報告されている(34)。ここでは、ウェスタンブロッティングおよびフローサイトメトリーによってタンパク質分解を3時間のみ測定した。
単細胞データ解析から本発明者らの知見を検証するために、シクロヘキシミドを用いた直接測定におけるd2EGFP寿命をさらに決定した(図10を参照)。単細胞データ分析から観察された値と比較してより短い寿命が見出された。これは、単細胞データ解析において、mRNA分子の一定数が、複合発現率k=m0・TLの一部として仮定されたことによると考えられる(式1を参照)。しかしながら、細胞が1時間のインキュベーション時間後に洗浄されたにもかかわらず、mRNA分子の数は、観察の開始から一定ではない可能性が依然としてある。結果として、後に翻訳に利用可能であり、タンパク質発現に至るmRNA分子は、単細胞発現時間経過適合から得られるより長い半減期の値をもたらし得る。A549細胞について決定された平均半減期をHuh7細胞について決定された平均半減期と比較すると、両方の測定方法について約1.64の同じ比率が見出される。また、mRNAおよびタンパク質半減期の考えられる系統的過剰推定でさえ、mRNA性能の定性的順序は変化しない。
発現率は、mRNA分子の初期数m0ならびに翻訳速度KTLに依存する。送達に成功したmRNA分子の数は、送達プロセスの本質的な偶然性のために変化することに留意されたい。しかし、mRNA分子の平均数は、トランスフェクションプロトコルが全ての実験で慎重に維持されているため、同じであると予想される。対照的に、様々なUTR構築物の翻訳活性(KTL)は異なる可能性がある。それでも、発現率Kの分布ならびに平均値が、全構築物でかなり類似しているという事実(図3AおよびDを参照)は、翻訳速度が単に挿入されたUTRの影響を受けることを示している。
最も重要なパラメーターはmRNA半減期である。ここで機能的mRNA半減期を物理的mRNA半減期と比較した。単細胞トランスフェクション研究の結果は、任意の5'または3'UTRのmRNA配列への挿入がその機能的mRNA半減期を増加させることを示唆している。この研究で試験された全ての修飾は、mRNA半減期の延長をもたらし(図2および3を参照)、それにより、蛍光顕微鏡画像およびFCによって測定されるように、発現の延長がもたらされた(図1参照)。機能的mRNA半減期とは対照的に、qRT-PCRによって決定された物理的mRNA半減期は、両細胞株において5'、3'、5'+2×3'および2×3'UTRのmRNA安定性の低下を示した(図8AおよびBを参照)。1つの大きな違いは、両方の方法で測定されたmRNAごとの翻訳能力である。機能的mRNA半減期を測定する場合、mRNAは活性翻訳に関与するが、物理的mRNA半減期は、検出されたmRNAの翻訳状態にかかわらずモニターされる。同様の所見がGallieらによって報告されている(35)。物理的mRNA半減期は、mRNAの翻訳能力の適切な指標ではないと考えられている。mRNAの翻訳能力は、その機能的半減期(発現の寿命)および産生されたタンパク質の総量(曲線下面積)から判断することができる。治療用mRNAについては、分子が可能な限り長く機能し、可能な限り最大限のタンパク質を産生することが不可欠である。これは、機能的mRNA半減期および産生されたタンパク質の総量の両方が、mRNA治療薬の同定、比較および試験のためのより良い尺度であるという結論に至る。さらに、半減期のヘテロジェネティックな分布は、アンサンブル測定ではこれらの影響が不明瞭であるため、単細胞測定技術の重要性を指摘する(図2、4、および8AおよびB参照)。
興味深いことに、CYBA 5'UTRの既知のモチーフはこれまでに発見されていないが、タンパク質発現に対する正の効果が5'UTR単独で観察された。初めて、両末端のCYBA UTRが両細胞株におけるタンパク質発現のピークと持続との両方を増加させるのに十分であることが示された。これらの所見は、5'UTRおよび3'UTRの個別または相乗的挙動を主張する刊行物と一致する(14)。Holtkampら(16)とは対照的に、1つの単一3'UTRと比較して、3'UTRの2つの連続したコピーでタンパク質発現またはmRNA安定性のさらなる増加は観察されなかった(図4参照)。逆に、5'+3'対5'+2×3'UTR挿入および3'対2×3'UTR挿入の両方について、寿命時間も短くなった。これは、異なる型の細胞(すなわち、樹状細胞)がHoltkampらの研究で使用されたという事実によると考えられる。肝細胞についても、同様の細胞型特異的効果が報告されている(39)。mRNA安定性およびその翻訳効率の両方に影響を与える別の寄与因子は、異なるmRNAの二次構造であり得る。遺伝子発現の調節におけるmRNA二次構造のそのような効果は、以前に報告されている(36、37)。
現在の研究で使用されているmRNA構築物の最小自由エネルギーと共に重要な構造特性をテーブル3に要約する。
5'+3'UTR安定化構築物の持続的なタンパク質発現は、mRNAの環状化を促進する5'末端の3'末端への結合によるものであり得る(19)。5'UTR内の安定した二次構造が見いだされないため、この特徴は早期発現発生を可能にすると考えられる(38)。対照的に、3'UTR内の二次構造が同定された。これらは、mRNAを3'-5'分解経路から保護する可能性がある。2つの3'UTRは、最少自由エネルギーのより多くの二次構造(2つのヘアピン)をも示し、より持続的な発現を示した。まとめると、これらの知見は、5'UTRと比較して2x3'UTRの劣性発現、および3'UTRを含むmRNA構築物の遅い時点での持続的発現の説明となり得る。
タンパク質半減期に応じて、より長い半減期の値が、UTRで安定化されたmRNAで得られた。これは両細胞株で観察され、細胞特異的差異は絶対値に最も影響を与える可能性が最も高い。A549細胞では、UTRを有する構築物のmRNA半減期は、対照の5.8時間と比較して、13.0時間〜23.0時間に及んだ。Huh7細胞では、対照mRNAの半減期7.8時間とは対照的に、9.9時間〜13.6時間の半減期がUTR含有構築物について測定された。A549細胞における3'UTR安定化mRNAの半減期は、以前に報告された、同様に安定化されたmRNAのmRNA寿命とよく一致している(16、26)。異なる細胞型においてmRNAならびにタンパク質の安定性および減衰速度が異なるという事実は、細胞型依存性が非常に高い可能性のあるmRNAとタンパク質との相互作用の複雑なネットワークの違いに起因する可能性が最も高い。
まとめると、A549およびHuh7細胞の両方における本発明者らの結果は、分析方法(FCまたは単細胞分析)とは無関係に、持続的で高レベルのタンパク質発現がCYBA UTR安定化mRNAによって誘導され得ることを示唆している。UTRの組み合わせの選択は、適用実験の必要性に依存する。mRNA崩壊の減少を伴う持続的タンパク質発現が所望される場合、3'UTR単独で安定化されたmRNAがこの目的に役立つ可能性がある。しかし、5'+3'UTRの組み合わせは、早期発症、高ピークおよび累積タンパク質発現のさらなる望ましい特徴をもたらす。
ここでは、mRNA誘導タンパク質発現の単細胞分析が、mRNA構築物の薬物動態特性を特性評価し、向上させる手段であることが実証されている。このアプローチを使用して、異なるmRNA構築物の細胞内生物学的利用能を体系的に評価し、持続的なタンパク質発現をもたらす配列を同定することが可能である。タンパク質発現の長期の持続性が、UTR挿入によって安定化された構築物について、2つの細胞型における単細胞モデルおよびFC分析を用いて見られた。この知見は、mRNA治療薬を開発する場合に望ましい。一定期間にわたる持続的なタンパク質発現(AUC)を有するメッセンジャーRNA構築物が望ましく、最終治療結果を有する患者への適切な投与量の減少を可能にする。

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43. Friedel CC, D

Claims (12)

  1. (a)ポリペプチドをコードするコード領域ならびに
    (b)前記コード領域の上流の、配列番号1に示される配列または配列番号1と比較して1〜4個の置換を示し、配列番号1を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTRおよび/または
    (c)前記コード領域の下流の、配列番号2に示される配列または配列番号2と比較して1〜7個の置換を示し、配列番号2を含むUTRを含むRNA分子と同じかそれ以上の翻訳効率を有するRNA分子をもたらす配列を含む1つ以上のUTR、を含むRNA分子であって、
    前記(b)で定めた前記UTRが、前記(a)で定めたコード領域の5'末端に位置し、前記(c)で定めた前記UTRが、前記(a)で定めたコード領域の3'末端に位置し、
    前記コード領域によってコードされる前記ポリペプチドは、シトクロムb-245アルファポリペプチド(CYBA)ではない、RNA分子。
  2. 前記(a)で定めたコード領域の5'末端に前記(b)で定めた1つのUTRを含み、前記(a)で定めたコード領域の3'末端に前記(c)で定めた2つのUTRを含む、請求項1に記載のRNA分子。
  3. 前記(a)で定めたコード領域の3'末端に前記(c)で定めた2つのUTRを含む、請求項1またはに記載のRNA分子。
  4. 前記RNA分子が3'末端にポリA尾部を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載のRNA分子。
  5. 前記ポリA尾部が少なくとも120ヌクレオチドの長さを有する、請求項1〜のいずれか一項に記載のRNA分子。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載のRNA分子をコードする核酸分子。
  7. 請求項に記載の核酸分子を含むベクター。
  8. 請求項に記載のベクターを含む宿主細胞。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載のRNA分子、請求項に記載の核酸分子、請求項に記載のベクターまたは請求項に記載の宿主細胞および任意に薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
  10. RNAベースの療法において使用するための、請求項に記載の医薬組成物。
  11. 請求項1〜のいずれか一項に記載のRNA分子、請求項に記載の核酸分子、請求項に記載のベクターまたは請求項に記載の宿主細胞を含むRNA分子調製用キット。
  12. RNA分子のコード領域の、該コード領域によってコードされるポリペプチドもしくはタンパク質への翻訳効率を高めるための、請求項1の(b)で定めた1つ以上のUTRおよび/または請求項1の(c)で定めた1つ以上のUTRの使用。
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