JP6751673B2 - 導電性高分子分散液及びその製造方法、並びに帯電防止フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Description
従来の帯電防止フィルムの製造方法として、フィルム基材の少なくとも一方の面に、π共役系導電性高分子及びポリアニオンを含む帯電防止層を設け、必要に応じて延伸する方法が提案されている(例えば特許文献1)。
[2] 前記導電性高分子分散液に含まれる水の含有量が、前記導電性高分子分散液の総質量に対して、50質量%以上である、[1]に記載の導電性高分子分散液。
[3] 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、[1]又は[2]に記載の導電性高分子分散液。
[4] 前記導電性高分子分散液に、さらに塩基性化合物が含まれる、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
[5] 前記塩基性化合物がイミダゾールである、[4]に記載の導電性高分子分散液。
[6] 前記導電性高分子分散液に、さらにバインダ成分が含まれる、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
[7] 前記バインダ成分が水分散性エマルションである、[6]に記載の導電性高分子分散液。
[8] 前記水分散性エマルションが水分散性ポリエステルエマルションである、[7]に記載の導電性高分子分散液。
[9] 前記導電性高分子分散液に、さらに高導電化剤が含まれる、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
[10] 前記高導電化剤がプロピレングリコールである、[9]に記載の導電性高分子分散液。
[11] スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、及び水系分散媒を含む混合液中で、π共役系導電性高分子のモノマーを重合することによって、前記π共役系導電性高分子、前記スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、及び前記ポリスチレンスルホン酸を有する導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる水系分散媒とを含有する導電性高分子分散液を得る、導電性高分子分散液の製造方法。
[12] スルホン酸塩基含有ポリビニルアルコールを陽イオン交換樹脂に接触させることより、前記スルホン酸基含有ポリビニルアルコールを得る、[11]に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
[13] π共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸を含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる導電性高分子分散液を、非晶性フィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗工フィルムを得る塗工工程と、前記塗工フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、を有する、帯電防止フィルムの製造方法。
[14] π共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸を含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる導電性高分子分散液を、非晶性フィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗工フィルムを得る塗工工程と、前記塗工フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、前記延伸フィルムを加熱した後に冷却して前記非晶性フィルム基材を結晶化させて結晶化フィルムを得る結晶化工程と、を有する、帯電防止フィルムの製造方法。
[15] 前記結晶化工程における前記延伸フィルムの加熱温度を200℃以上にする、[14]に記載の帯電防止フィルムの製造方法。
[16] 前記非晶性フィルム基材が非晶性ポリエチレンテレフタレートフィルムである、[13]〜[15]のいずれか一項に記載の帯電防止フィルムの製造方法。
[17] フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された導電層と、を有する帯電防止フィルムであって、前記導電層にπ共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、及びポリスチレンスルホン酸が含まれる、帯電防止フィルム。
本発明の帯電防止フィルムは優れた耐光性及び帯電防止性を有する。また、延伸処理を経た後、及びフィルム基材を結晶化するための加熱処理を経た後においても、その表面抵抗値の上昇が抑制され、良好な帯電防止性及び耐熱性を有する。
本発明の導電性高分子分散液は、延伸工程を有する帯電防止フィルムの製造に好適に用いられる。
本発明の導電性高分子分散液の製造方法によれば、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸を含む導電性複合体が含まれた目的の分散液を容易に得ることができる。
本発明の第一態様は、π共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸を有する導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる水系分散媒とを含有する導電性高分子分散液である。
前記導電性高分子分散液は、必要に応じて、塩基性化合物、前記塩基性化合物以外の高導電化剤、バインダ成分、その他の添加剤を含有してもよい。
ポリピロール系導電性高分子としては、ポリピロール、ポリ(N−メチルピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−n−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−デシルピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−ヘキシルオキシピロール)が挙げられる。
ポリアニリン系導電性高分子としては、ポリアニリン、ポリ(2−メチルアニリン)、ポリ(3−イソブチルアニリン)、ポリ(2−アニリンスルホン酸)、ポリ(3−アニリンスルホン酸)が挙げられる。
上記π共役系導電性高分子のなかでも、導電性、透明性、耐熱性の点から、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。
前記π共役系導電性高分子は1種単独でもよいし、2種以上でもよい。
導電性複合体に含まれるポリスチレンスルホン酸は、π共役系導電性高分子に対するドーパントとして機能し、π共役系導電性高分子の導電性を向上させる。この際、ポリスチレンスルホン酸のスルホン酸基の少なくとも一部は、π共役系導電性高分子に配位していると考えられる。
本明細書における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
ポリスチレンスルホン酸の含有割合が前記下限値以上であると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が高まり、導電性が向上する。また、導電性高分子分散液における導電性複合体の分散性が高くなる。
ポリスチレンスルホン酸の含有割合が前記上限値以下であると、π共役系導電性高分子の相対的な含有量が高まり、充分な導電性が得られ易い。
導電性複合体に含まれるポリスチレンスルホン酸の種類は、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
スルホン酸基含有ポリビニルアルコールのスルホン酸基は、水素原子が結合した中性状態{−S(=O)2−OH}であってもよいし、水素原子が解離して負電荷を有する荷電状態{−S(=O)2−O−}であってもよい。スルホン酸基のpKaは負であるため、通常の水系溶媒中では、荷電状態にあると考えられる。
前記導電性複合体において、スルホン酸基含有ポリビニルアルコールとπ共役系導電性高分子との結合力を高める観点から、スルホン酸基含有ポリビニルアルコールのスルホン酸基が荷電状態にあり、スルホン酸基含有ポリビニルアルコールがポリアニオンの形態であることが好ましい。
なお、前記導電性複合体において、荷電状態のスルホン酸基の一部に、ナトリウムイオンやカリウムイオン等の陽イオンがカウンターカチオンとして結合し、スルホン酸塩基が部分的に存在していても構わない。
原料として用いるポリビニアルコールは、ポリ酢酸ビニルのアセチル基を鹸化することによって製造されることがあり、この場合、一部のアセチル基が鹸化されずに残ることがある。このため、スルホン酸基含有ポリビニルアルコールには、酢酸ビニル単位が含まれることがある。原料として用いるポリビニルアルコールの鹸化度は、70%以上100%以下であることが好ましい。
原料として用いるポリビニルアルコールの質量平均分子量は、1000以上100000以下であることが好ましく、1300以上60000以下であることがより好ましい。ポリビニルアルコールの質量平均分子量が1000以上であると、導電層の延伸性を充分に向上させることができ、10万以下であると、水への溶解性を向上させることができる。
本明細書における質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定し、標準物質をポリスチレンとして求めた値である。
スルホン酸基の前記含有割合が0.1モル%以上であると、π共役系導電性高分子に対する結合力が高まり、導電性複合体の導電性をより向上させることができる。
スルホン酸基の前記含有割合が20モル%以下であると、導電性複合体を含む導電性高分子分散液を塗布してなる導電層のフィルム基材に対する密着性をより向上させることができる。
前記質量平均分子量が1,000以上であると、導電層の延伸性をより向上させることができる。
前記質量平均分子量が1000,000以下であると、水系分散媒水に対する分散性をより向上させることができる。
スルホン酸基含有ポリビニルアルコールの含有割合が前記下限値以上であると、π共役系導電性高分子へのドーピング効果が強くなり、導電性が高まり易くなる。また、導電性高分子分散液における導電性複合体の分散性がより向上する。
スルホン酸基含有ポリビニルアルコールの含有割合が前記上限値以下であると、π共役系導電性高分子の含有量とのバランスが良好になり、充分な導電性が得られ易くなる。
導電性複合体に含まれるスルホン酸基含有ポリビニルアルコールは、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
水系分散媒における水の含有割合は、水系分散媒の総質量(100質量%)に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。水系分散媒における水の含有割合が前記下限値以上であると、導電性高分子分散液における導電性複合体の分散性がより向上する。
ここで、後述するバインダ成分の水分散性エマルションが導電性高分子分散液に含まれる場合、水分散性エマルションを構成する水分と前記導電性高分子を分散する水分とは区別されない。つまり、導電性高分子分散液に含まれる水分は全て水系分散媒を構成する。また、その水系分散媒がバインダ成分のエマルションを形成していても構わない。
前記有機溶剤は1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノール、アリルアルコール等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロプレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、例えば、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン、アセトン、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン等が挙げられる。
前記高分子の具体例としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテル樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
バインダ成分は、導電性高分子分散液中に分散可能な水分散性樹脂が好ましく、分散媒中でエマルションにされた水分散性エマルションであることがより好ましい。
水分散性エマルションとしては、前記水分散性樹脂がエマルションにされたものが挙げられる。
導電性高分子分散液をポリエステルフィルム基材に塗布する場合には、塗膜の密着性が高くなることから、バインダ成分はポリエステルエマルションであることが好ましい。
バインダ成分は、1種単独でもよいし、2種以上でもよい。
バインダ成分の含有割合が前記下限値以上であると、製膜性と膜強度を向上させることができる。バインダ成分の含有割合が前記上限値以下であると、充分な導電性が得られ易い。
高導電化剤は、糖類、窒素含有芳香族性環式化合物、2個以上のヒドロキシ基を有する化合物、1個以上のヒドロキシ基および1個以上のカルボキシ基を有する化合物、アミド基を有する化合物、イミド基を有する化合物、ラクタム化合物、グリシジル基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
高導電化剤は、1種単独であってもよいし、2種以上であってもよい。
ここで「塩基性化合物」とは、プロトンを結合可能な孤立電子対(ローンペア)を有する炭素原子以外の原子(ヘテロ原子)を含む化合物をいう。
塩基性化合物としては、窒素含有化合物が好ましく、窒素含有芳香族性環式化合物がより好ましい。
アミド化合物の具体例としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、フマルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、フタルアミド、イソフタルアミド、テレフタルアミド、ニコチンアミド、イソニコチンアミド、2−フルアミド、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、プロピオンアミド、プロピオルアミド、ブチルアミド、イソブチルアミド、パルミトアミド、ステアリルアミド、オレアミド、オキサミド、グルタルアミド、アジプアミド、シンナムアミド、グリコールアミド、ラクトアミド、グリセルアミド、タルタルアミド、シトルアミド、グリオキシルアミド、ピルボアミド、アセトアセトアミド、ジメチルアセトアミド、ベンジルアミド、アントラニルアミド、エチレンジアミンテトラアセトアミド、ジアセトアミド、トリアセトアミド、ジベンズアミド、トリベンズアミド、ローダニン、尿素、1−アセチル−2−チオ尿素、ビウレット、ブチル尿素、ジブチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素及びこれらの誘導体等が挙げられる。
アミド化合物の分子量は46以上10,000以下であることが好ましく、46以上5,000以下であることがより好ましく、46以上1,000以下であることが特に好ましい。
さらに、脂肪族イミド化合物は、分子内の炭素間に不飽和結合を有さない飽和脂肪族イミド化合物と、分子内の炭素間に不飽和結合を有する不飽和脂肪族イミド化合物とに分類される。
飽和脂肪族イミド化合物は、R1−CO−NH−CO−R2で表される化合物であり、R1,R2の両方が飽和炭化水素である化合物である。具体的には、シクロヘキサン−1,2−ジカルボキシイミド、アラントイン、ヒダントイン、バルビツル酸、アロキサン、グルタルイミド、スクシンイミド、5−ブチルヒダントイン酸、5,5−ジメチルヒダントイン、1−メチルヒダントイン、1,5,5−トリメチルヒダントイン、5−ヒダントイン酢酸、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、セミカルバジド、α,α−ジメチル−6−メチルスクシンイミド、ビス[2−(スクシンイミドオキシカルボニルオキシ)エチル]スルホン、α−メチル−α−プロピルスクシンイミド、シクロヘキシルイミドなどが挙げられる。
不飽和脂肪族イミド化合物は、R1−CO−NH−CO−R2で表される化合物であり、R1,R2の一方又は両方が1つ以上の不飽和結合である化合物である。具体例は、1,3−ジプロピレン尿素、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ヒドロキシマレイミド、1,4−ビスマレイミドブタン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,8−ビスマレイミドオクタン、N−カルボキシヘプチルマレイミドなどが挙げられる。
イミド化合物の分子量は60以上5,000以下であることが好ましく、70以上1,000以下であることがより好ましく、80以上500以下であることが特に好ましい。
ラクタム化合物としては、例えば、ペンタノ−4−ラクタム、4−ペンタンラクタム−5−メチル−2−ピロリドン、5−メチル−2−ピロリジノン、ヘキサノ−6−ラクタム、6−ヘキサンラクタム等が挙げられる。
高導電化剤の含有割合が前記下限値以上であれば、高導電化剤添加による導電性向上効果が充分に発揮され、前記上限値以下であれば、π共役系導電性高分子濃度の低下に起因する導電性の低下を防止できる。
添加剤としては、本発明の効果が得られる限り特に制限されず、例えば、界面活性剤、無機導電剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを使用できる。ただし、添加剤は、前述したπ共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、バインダ成分、及び高導電化剤以外の化合物からなる。
界面活性剤としては、ノニオン系、アニオン系、カチオン系の界面活性剤が挙げられるが、保存安定性の面からノニオン系が好ましい。また、ポリビニルピロリドンなどのポリマー系界面活性剤を添加してもよい。
無機導電剤としては、金属イオン類、導電性カーボン等が挙げられる。なお、金属イオンは、金属塩を水に溶解させることにより生成させることができる。
消泡剤としては、シリコーン樹脂、ポリジメチルシロキサン、シリコーンオイル等が挙げられる。
カップリング剤としては、ビニル基、アミノ基、エポキシ基等を有するシランカップリング剤等が挙げられる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、糖類等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキサニリド系紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤等が挙げられる。
導電性高分子分散液の総質量(100質量%)に対する、固形分を除いた前記水系分散媒の含有量は、例えば、50質量%以上99質量%以下が好ましく、60質量%以上90質量%以下がより好ましい。50質量%以上であると、導電性複合体の分散性がより良好となり、99質量%以下であると、フィルム基材に対する塗工性がより良好となる。
本発明の第二態様は、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、及び水系分散媒を含む溶液中で、π共役系導電性高分子のモノマーを重合することによって、前記π共役系導電性高分子、前記スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、及び前記ポリスチレンスルホン酸を有する導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる水系分散媒とを含有する導電性高分子分散液を得る、導電性高分子分散液の製造方法である。
上記の製造方法で得られる導電性高分子分散液は、本発明の第一態様の導電性高分子分散液と同じである。
スルホン酸塩基含有ポリビニルアルコールを試薬会社から購入することはできるが、例えば、前述した公知の合成方法によって得ることもできる。
スルホン酸塩基含有ポリビニルアルコールは、本発明の第一態様におけるスルホン酸基含有ポリビニルアルコールのスルホン酸基とカウンターカチオンとが塩を形成したものである。カウンターカチオンとしては、例えば、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等の1価の陽イオンが挙げられる。また、前記塩を形成するならば、マグネシウム、カルシウム等の2価以上の陽イオンであっても構わない。
重合してなるπ共役系導電性高分子とスルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸とは、前記反応液中で自然に結合し、導電性複合体を形成する。
前記重合には、公知の触媒を適用してもよい。例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の酸化剤を触媒として用いることができる。
前記スルホン酸基含有ポリビニルアルコールの仕込み量としては、例えば、1質量%以上30質量%以下が好ましく、2質量%以上25質量%以下がより好ましく、3質量%以上20質量%以下がさらに好ましい。
前記モノマーの仕込み量は、例えば、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.2質量%以上4質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
前記触媒の仕込み量は、従来の重合反応に添加する量と同様に、モノマーの仕込み量に応じて適宜設定され、例えば、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上4質量%以下がより好ましく、1質量%以上3質量%以下がさらに好ましい。
前記反応液における重合反応の条件は、従来のπ共役系導電性高分子を得る条件と同様にすることができる。
本発明の第三態様は、π共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸を含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる導電性高分子分散液を、フィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗工フィルムを得る塗工工程と、前記塗工フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、を有する、帯電防止フィルムの製造方法である。
フィルム基材の少なくとも一方の面に第一態様の導電性高分子分散液を塗工することにより、その塗工面に塗膜(導電層)を形成する。
プラスチックフィルムを構成するフィルム基材用樹脂としては、例えば、エチレン−メチルメタクリレート共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリアリレート、スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートなどが挙げられる。これらのフィルム基材用樹脂の中でも、安価で機械的強度に優れる点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
前記フィルム基材を構成する樹脂は、非晶性でもよいし、結晶性でもよい。何れであっても後段の任意の結晶化工程において結晶性のフィルム基材となり得るが、延伸性が良好である観点から非晶性フィルムであることが好ましい。
また、フィルム基材は、未延伸のものでもよいし、延伸されたものでもよいが、後段の延伸工程で延伸する場合には、少なくとも一方向において未延伸であるものが好ましい。
また、前記導電性高分子分散液をフィルム基材に塗工することによって形成される導電層の密着性を向上させるために、フィルム基材には、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理等の表面処理を施してもよい。
本明細書における厚さは、任意の10箇所について厚さを測定し、その測定値を平均した値である。
上記のうち、簡便に塗工できることから、バーコーターを用いることがある。バーコーターにおいては、種類によって塗工厚が異なり、市販のバーコーターでは、種類ごとに番号が付されており、その番号が大きい程、厚く塗工できるものとなっている。
前記導電性高分子分散液のフィルム基材への塗工量は特に制限されないが、固形分として、0.1g/m2以上10.0g/m2以下の範囲であることが好ましい。
加熱乾燥を適用する場合、加熱温度は、使用する分散媒に応じて適宜設定されるが、通常は、50℃以上150℃以下の範囲内である。ここで、加熱温度は、乾燥装置の設定温度である。
塗工工程で得た塗工フィルムを延伸して、延伸フィルムを得る。塗工フィルムを延伸することにより、前記導電性高分子分散液の塗工面積を小さくしても大面積の帯電防止フィルムを得ることができ、帯電防止フィルムの生産性が向上する。
ただし、延伸における導電層の追従性を高めて、導電層の割れや剥がれを確実に防止する観点から、乾燥していない前記塗工フィルムを加熱して、その導電層を乾燥させると共に延伸して延伸フィルムを得ることが好ましい。
なお、加熱によってスルホン酸基含有ポリビニルアルコールの一部が分解して消失する場合があるので、前記導電性高分子分散液に含まれていたスルホン酸基含有ポリビニルアルコールの全部が導電層に含まれるとは限らない。
塗工フィルムの延伸倍率は2倍以上20倍以下にすることが好ましい。延伸倍率を前記下限値以上にすれば、帯電防止フィルムの生産性をより高くでき、前記上限値以下であれば、フィルムの破断を防止できる。
結晶化工程は任意の工程である。延伸工程で得た延伸フィルムを加熱した後に冷却することによって、前記フィルム基材を構成する樹脂を結晶化させることができる。通常、結晶化したフィルムの方が、非結晶のフィルム(非晶性フィルム)よりも機械的強度が強い。
上記範囲であると、フィルム基材の機械的強度を容易に向上させることができる。
以上で説明した結晶化工程により、結晶性フィルム基材の片面又は両面に導電層を備えた帯電防止フィルムが得られる。
本発明の第四態様は、フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された導電層と、を有する帯電防止フィルムであって、前記導電層にπ共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、及びポリスチレンスルホン酸が含まれる、帯電防止フィルムである。
第四態様の帯電防止フィルムは、第三態様の製造方法によって得られたものであってもよいし、他の製造方法によって得られたものであってもよい。
本態様の帯電防止フィルムにおける前記導電層の総質量(100質量%)に対する前記スルホン酸基含有ポリビニルアルコールの含有量としては、例えば、5質量%以上80質量%以下が好ましく、10質量%以上70質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がさらに好ましい。上記範囲であるとより優れた耐光性、延伸性及び帯電防止性が発揮され易くなる。
本態様の帯電防止フィルムにおける前記導電層の総質量(100質量%)に対する前記ポリスチレンスルホン酸の含有量としては、例えば、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上80質量%以下が好ましく、30質量%以上75質量%以下がさらに好ましい。上記範囲であるとより優れた耐光性、延伸性及び帯電防止性が発揮され易くなる。
従来の導電性複合体は、π共役系導電性高分子にポリアニオンをドープした導電性複合体である。例えばPEDOT−PSSは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)にポリスチレンスルホン酸をドープした導電性複合体である。このような導電性複合体を含む分散液にポリビニルアルコールを添加してなる特許文献1に記載の分散液を用いて、基材フィルムに形成した塗膜は、延伸処理において基材フィルムに追従し易い。この結果、延伸処理を経た後でも良好な帯電防止性を発揮する。
ところが、ポリビニルアルコールを添加した場合でも、従来の導電性複合体からなる導電層の耐光性を向上させることはできていなかった。
前記導電性複合体において、π共役系導電性高分子とスルホン酸基含有ポリビニルアルコールの結合形態の詳細は未解明であるが、スルホン酸基含有ポリビニルアルコールは多数のスルホン酸基を有するため、ポリスチレンスルホン酸と同様に、π共役系導電性高分子に対して電子的に結合していると推測される。この結合形態により、導電性複合体の化学的安定性が高まり、耐光性が向上していると推測される。
さらに、スルホン酸基含有ポリビニルアルコールは、π共役系導電性高分子の導電性を高めるとともに、導電性複合体の分散剤として機能し得る。このため、本発明の第一態様の導電性高分子分散液によって形成された導電層は、フィルムの延伸に追従し易く、割れや剥がれ等が発生し難くなっている。
上記のメカニズムによって、本発明の第四態様の帯電防止フィルムは優れた帯電防止性及び耐光性を発揮していると考えられる。
なお、特許文献1で用いられるポリビニルアルコールは、導電性複合体に対して、電子的に結合してはおらず(PEDOTの正電荷に対してイオン結合しておらず)、主にファンデルワールス力や水素結合によって接触していると考えられる。
ASF−05(日本酢ビポバール社製、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール)10gを、水90gに溶解し、デュオライトC255LFH(住化ケムテックス社製、陽イオン交換樹脂)10gを加えて常温で16時間攪拌した。次に、100メッシュのフィルターを用いてデュオライトC255LFHを除去し、ASF−05のスルホン酸ナトリウム変性をスルホン酸変性とした溶液を製造した。(以下、ASF−05スルホン酸溶液という。)このASF−05スルホン酸溶液(固形分10質量%)のpHは2.20であった。
なお、スルホン酸変性ポリビニルアルコールは、スルホン酸基含有ポリビニルアルコールである。
ゴーセノールCKS−50(日本合成化学社製、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール)10gを水90gに溶解し、デュオライトC255LFH10gを加えて常温で16時間攪拌した。次に、100メッシュのフィルターを用いてデュオライトC255LFHを除去し、ゴーセノールCKS−50のスルホン酸ナトリウム変性をスルホン酸変性とした溶液を製造した。(以下、ゴーセノールCKS−50スルホン酸溶液とする。)このゴーセノールCKS−50スルホン酸溶液(固形分10質量%)のpHは1.52であった。
ゴーセノールL−3266(日本合成化学社製、スルホン酸ナトリウム変性ポリビニルアルコール)10gを水90gに溶解し、デュオライトC255LFH10gを加えて常温で16時間攪拌した。次に、100メッシュのフィルターを用いてデュオライトC255LFHを除去し、ゴーセノールL−3266のスルホン酸ナトリウム変性をスルホン酸変性とした溶液を製造した。(以下、ゴーセノールL−3266スルホン酸溶液とする。)このゴーセノールL−3266スルホン酸溶液(固形分10質量%)のpHは1.37であった。
1000mlのイオン交換水に206gのスチレンスルホン酸ナトリウムを溶解し、80℃で攪拌しながら、予め10mlの水に溶解した1.14gの過硫酸アンモニウム酸化剤溶液を20分間滴下し、この溶液を12時間攪拌した。
得られたポリスチレンスルホン酸ナトリウム含有溶液に、10質量%に希釈した硫酸を1000ml添加し、得られたポリスチレンスルホン酸含有溶液の1000mlの溶媒を除去した。得られた残液に2000mlのイオン交換水を加え、限外ろ過法により約2000mlの溶媒を除去し、硫酸と硫酸塩を洗浄した。この洗浄操作を3回繰り返した。
得られた溶液中の水を減圧除去して、無色の固形状のポリスチレンスルホン酸(平均分子量20万)を得た。次に、得られたポリスチレンスルホン酸を水に溶解し、固形分10質量%のポリスチレンスルホン酸水溶液とした。
ASF−05スルホン酸溶液5gと、ポリスチレンスルホン酸溶液15gと、水84.5gと、エチレンジオキシチオフェン0.5gを混合し、25℃で10分間攪拌した。この混合液に、硫酸第二鉄0.3gを水4.7gに混合した溶液を添加し、さらに、過硫酸アンモニウム1.1gを水8.9gに混合した溶液を添加し、25℃で8時間攪拌した。
次に、デュオライトC255LFH 13.2gとデュオライトA368S 13.2g(住化ケムテックス社製、陰イオン交換樹脂)を加え、16時間静置した後、100メッシュのフィルターを用いてデュオライトC255LFHとデュオライトA368Sを除去した。得られた溶液を高圧ホモジナイザーを用いて分散し、導電性高分子分散液を得た。
得られた導電性高分子分散液を、#4のバーコーターを用いて結晶性ポリエチレンテレフタレートフィルム(C−PETフィルム)上に塗布し、120℃で1分間乾燥し、塗工フィルムを得た。
作製した塗工フィルムの導電層の表面抵抗値(R0)を、抵抗率計(株式会社三菱化学アナリティック製ハイレスタMCP−HT450)を用い、印加電圧10Vの条件で測定した。
次に、塗工フィルムの導電層に対して、紫外線フェードメーターを用いて、カーボンアークにより発生させた紫外線を96時間照射した。
紫外線照射後の塗工フィルムの導電層の表面抵抗値(R1)を、前記抵抗率計を用いて測定した。各測定結果を表1に示す。
測定結果において、紫外線照射前の表面抵抗値に対する紫外線照射後の表面抵抗値の上昇度(表中のR1/R0)が小さい程、その塗工フィルムの耐光性は優れている。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ASF−05スルホン酸溶液10gと水79.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ASF−05スルホン酸溶液15gと水74.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ASF−05スルホン酸溶液20gと水69.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ゴーセノールCKS−50スルホン酸溶液5gと水84.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ゴーセノールCKS−50スルホン酸溶液10gと水79.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ゴーセノールCKS−50スルホン酸溶液15gと水74.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ゴーセノールCKS−50スルホン酸溶液20gと水69.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ゴーセノールL−3266スルホン酸溶液5gと水84.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ゴーセノールL−3266スルホン酸溶液10gと水79.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ゴーセノールL−3266スルホン酸溶液15gと水74.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を(ゴーセノールL−3266スルホン酸溶液20gと水69.5g)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例1における(ASF−05スルホン酸溶液5gと水84.5g)を水89.5gに変更し、ASF−05スルホン酸溶液を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にして塗工フィルムを得て、耐光性の評価を行った。その結果を表1に示す。
実施例3で得た導電性高分子分散液30gと、イミダゾール0.135gと、水50gと、プロピレングリコール10gと、プラスコートZ−690(互応化学社製、水分散性のポリエステルエマルション、固形分25%)10gを混合した。
得られた混合液を、#12のバーコーターを用いてA‐PETフィルム上に塗布し、100℃で1分間乾燥して塗工フィルムを得た。塗工フィルムの表面抵抗値を上記と同様に測定した。その結果を表2に示す。
次に、二軸延伸装置(株式会社井元製作所製、11A9)を用い、塗工フィルムを2倍に延伸して延伸フィルムを得た。延伸フィルムの表面抵抗値を上記と同様に測定した。この結果を表2に示す。
続いて、延伸フィルムを240℃で30秒間加熱した後、降温速度が80℃/分以上100℃/分以下になるようにゆっくりと冷却して、延伸フィルムの基材を構成するA−PETフィルムを結晶化して、結晶性PETフィルムを得た。得られた結晶化フィルムの表面抵抗値を上記と同様に測定した。この結果を表2に示す。
実施例13における(実施例3で得た導電性高分子分散液)を(実施例7で得た導電性高分子分散液)に変更したこと以外は、実施例13と同様にして塗工フィルム、延伸フィルム及び結晶化フィルムを得て、それらの表面抵抗値を測定した。各フィルムの測定結果を表2に示す。
実施例13における(実施例3で得た導電性高分子分散液)を(実施例11で得た導電性高分子分散液)に変更したこと以外は、実施例13と同様にして塗工フィルム、延伸フィルム及び結晶化フィルムを得て、それらの表面抵抗値を測定した。各フィルムの測定結果を表2に示す。
実施例13における(実施例3で得た導電性高分子分散液)を(比較例1で得た導電性高分子分散液)に変更したこと以外は、実施例13と同様にして塗工フィルム、延伸フィルム及び結晶化フィルムを得て、それらの表面抵抗値を測定した。各フィルムの測定結果を表2に示す。
実施例1〜12の帯電防止フィルムは、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸を含む導電性複合体を導電層に含むことによって、耐光性が大きく向上している。また、表には示さないが、実施例13〜15の帯電防止フィルムの耐光性も、実施例1〜12と同様に向上していた。
また、実施例13〜15と比較例2の結果から、延伸後の表面抵抗値の上昇は実施例の方が抑制されていることが分かる。このことは、実施例の帯電防止フィルムの導電層は、基材フィルムに対する追従性に優れることを意味している。
さらに、実施例13〜15の結果から、結晶化のための加熱処理を経た後も、帯電性防止フィルムとして機能するために充分な導電性を有することが分かる。このことは、実施例の帯電防止フィルムの導電層は、耐熱性に優れることを意味している。
以上から、本発明の帯電防止フィルムは、優れた耐光性、耐熱性を有することが明らかである。
Claims (17)
- π共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸を有する導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる水系分散媒とを含有する導電性高分子分散液。
- 前記導電性高分子分散液に含まれる水の含有量が、前記導電性高分子分散液の総質量に対して、50質量%以上である、請求項1に記載の導電性高分子分散液。
- 前記π共役系導電性高分子が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)である、請求項1又は2に記載の導電性高分子分散液。
- 前記導電性高分子分散液に、さらに塩基性化合物が含まれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
- 前記塩基性化合物がイミダゾールである、請求項4に記載の導電性高分子分散液。
- 前記導電性高分子分散液に、さらにバインダ成分が含まれる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
- 前記バインダ成分が水分散性エマルションである、請求項6に記載の導電性高分子分散液。
- 前記水分散性エマルションが水分散性ポリエステルエマルションである、請求項7に記載の導電性高分子分散液。
- 前記導電性高分子分散液に、さらに高導電化剤が含まれる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の導電性高分子分散液。
- 前記高導電化剤がプロピレングリコールである、請求項9に記載の導電性高分子分散液。
- スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、ポリスチレンスルホン酸、及び水系分散媒を含む混合液中で、π共役系導電性高分子のモノマーを重合することによって、
前記π共役系導電性高分子、前記スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、及び前記ポリスチレンスルホン酸を有する導電性複合体と、前記導電性複合体を分散させる水系分散媒とを含有する導電性高分子分散液を得る、導電性高分子分散液の製造方法。 - スルホン酸塩基含有ポリビニルアルコールを陽イオン交換樹脂に接触させることより、前記スルホン酸基含有ポリビニルアルコールを得る、請求項11に記載の導電性高分子分散液の製造方法。
- π共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸を含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる導電性高分子分散液を、非晶性フィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗工フィルムを得る塗工工程と、
前記塗工フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、を有する、帯電防止フィルムの製造方法。 - π共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール及びポリスチレンスルホン酸を含有する導電性複合体が水系分散媒中に含まれる導電性高分子分散液を、非晶性フィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗工フィルムを得る塗工工程と、
前記塗工フィルムを延伸して延伸フィルムを得る延伸工程と、
前記延伸フィルムを加熱した後に冷却して前記非晶性フィルム基材を結晶化させて結晶化フィルムを得る結晶化工程と、を有する、帯電防止フィルムの製造方法。 - 前記結晶化工程における前記延伸フィルムの加熱温度を200℃以上にする、請求項14に記載の帯電防止フィルムの製造方法。
- 前記非晶性フィルム基材が非晶性ポリエチレンテレフタレートフィルムである、請求項13〜15のいずれか一項に記載の帯電防止フィルムの製造方法。
- フィルム基材と、前記フィルム基材の少なくとも一方の面に形成された導電層と、を有する帯電防止フィルムであって、
前記導電層にπ共役系導電性高分子、スルホン酸基含有ポリビニルアルコール、及びポリスチレンスルホン酸が含まれる、帯電防止フィルム。
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