JP6751660B6 - 金属表面の黒色化処理用水溶液及び黒色化処理方法 - Google Patents

金属表面の黒色化処理用水溶液及び黒色化処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属表面を黒色化する処理液及び処理方法に関する。
金属表面を着色し、もとの金属に付加価値を付与する技術は、古くから行われている。その中でも、黒色化金属は、建築材料、インテリア部品、アクセサリーなど、装飾性や美観性が求められる分野に用いられている。また、黒色化金属は光の反射を抑制できるため、光学系装置や部品としての要求も多い。
金属表面を黒色化するための方法として、特許第5591758号公報では、フッ化物イオン、ホウフッ化物イオン及びケイフッ化物イオンよりなる群から選択される1種又は2種以上の成分と、極性非プロトン性溶媒の1種又は2種以上(例:N,N−ジメチルホルムアミド)の成分とを含む水溶液が開示されている。
特許第5591758号公報
上記特許第5591758号公報では極性非プロトン性溶媒を成分として開示しているが、このような物質は、環境、安全、防火、健康等の理由から、様々な規制を受けている場合が多い。例えば、N,N−ジメチルホルムアミドは、引火性液体であり、日本では消防法により危険物第4類(第2石油類)に指定されている。また、この物質は、国際がん研究機関IARCの発がん性評価では、グループ2Bの「発がん性の可能性がある物質」として分類されている。
従って、金属表面を黒色化するための溶液であって、従来の極性非プロトン性溶媒に代わる物質を含む溶液を開発することが望まれる。以上の理由から、本発明は、新たな金属表面の黒色化処理用水溶液及び黒色化処理方法を提供することを目的とする。
本発明者が鋭意検討した結果、アミノ酸(及びその誘導体)及びピリジン誘導体が、金属表面の黒色化処理用水溶液の成分として有効であることを見出した。前記発見に基づき、本発明は以下のように特定される。
(発明1)
以下の(A)及び(B)の成分を含有する金属の表面の黒色化処理用水溶液。
(A)成分:フッ化物イオン、ホウフッ化物イオン及びケイフッ化物イオンよりなる群から選択される1種以上;
(B)成分:アミノ酸及びこれらの誘導体、ピリジン誘導体、並びにピロリドン重合体から選択される1種以上
(発明2)
発明1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸又はアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸誘導体が、以下の式で表される該水溶液。
{ただし、
1は、天然アミノ酸の側鎖から選択され、
2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C4のアルキル基からなる群から選択され、
nは1〜10である}
(発明3)
発明1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸が、以下の式で表される該水溶液。
{ただし、
1、R3は、天然アミノ酸の側鎖から選択され、
2、R4、R5は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C4のアルキル基からなる群から選択され、
nは1、2、3、4又は5である}
(発明4)
発明1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸が、以下の式で表される該水溶液。
{ただし、
1は、天然アミノ酸の側鎖から選択され、
2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C4のアルキル基からなる群から選択され、
5は、存在しないか、又は−(CH21−〜−(CH24−であり、
6は、水素又はC1〜C4アルキル基であり、
nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である}
(発明5)
発明1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸であり、前記アミノ酸が、グリシン、アラニン、アミノ酪酸、6−アミノ−n−カプロン酸、又はこれらの組み合わせである該水溶液。
(発明6)
発明1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸誘導体が、グリシルグリシン、及び/又はグリシルグリシルグリシンである該水溶液。
(発明7)
発明1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸誘導体が、ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酪酸ベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタイン又はこれらの組み合わせである該水溶液。
(発明8)
発明1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がピリジン誘導体である、該水溶液。
(発明9)
発明1に記載の水溶液であって、前記ピリジン誘導体が、以下の式で表される該水溶液。
{ただし、
1は、それぞれ独立して、カルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選択され、
2は、それぞれ独立して、H、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシル基、水酸基から成る群から選択され、
nは、1、2、3、4、又は5の整数である}
(発明10)
発明1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がニコチン酸である、該水溶液。
(発明11)
発明1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がポリビニルピロリドンである、該水溶液。
(発明12)
表面処理された金属材料を製造するための方法であって、前記金属材料を発明1〜11いずれか1つに記載の水溶液に接触させる工程を含む該方法。
(発明13)
発明12に記載の方法であって、前記接触させる工程の後に、めっき、塗装、溶射、又はこれらを組み合わせた工程を更に含む、該方法。
(発明14)
発明12又は13に記載の方法であって、前記接触させる工程の後に、100〜700℃の加熱処理を施す後処理工程を含む、該方法。
本発明の溶液は、一側面において、アミノ酸及びこれらの誘導体、ピリジン誘導体、並びにピロリドン重合体から選択される1種以上を成分とする。これにより、従来の非プロトン性溶媒と比べて、取扱い時の規制などを考慮する必要がなくなる。また、非プロトン性溶媒と比べてそん色なく、金属の黒色化を実現することができる。更には、黒色化後、所定の薄膜を更に形成した際の密着性を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための具体的な実施形態について説明する。以下の説明は、本発明の理解を促進するためのものである。即ち、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
1.黒色化溶液の成分
金属表面を黒色化するための溶液は、少なくとも以下に述べる2種類の成分を含む。
1−1.第一成分
第一の成分として、フッ化物イオン、ホウフッ化物イオン及びケイフッ化物イオンよりなる群から選択される1種又は2種以上が挙げられる。当該成分の供給源としては、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸、及びケイフッ化水素酸等の酸やこれらの塩が挙げられる。理論によって本発明が限定されることを意図しないが、第一成分は金属表面を溶解する作用を果たすと考えられる。第一成分としては金属の酸化皮膜及び金属自体を速やかに溶解させることができることから、フッ化物イオンが好ましく、フッ化水素酸のほか、アンモニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、タンタル、バナジウム若しくはマンガン等の金属とフッ素の塩、又はそれらの塩とフッ化水素の複塩をフッ化物イオンの供給源として好適に用いることができるが、フッ化水素酸又は酸性フッ化アンモニウムが最も好適に用いられる。
第一成分の合計濃度は、0.01〜10質量%が好適に用いられ、さらに好適には0.05〜5質量%が用いられ、最も好適には0.1〜3質量%が用いられる。濃度が10質量%よりも高い場合には、該イオンの金属表面に対する反応が強すぎ、金属表面が単に溶解するだけで、黒色化が困難である。一方、0.01質量%より低い場合には金属表面が溶解しない又は反応が非常に遅く、実用的ではない。
1−2.第二成分
本発明は、第二成分として、アミノ酸及びこれらの誘導体、ピリジン誘導体、並びにピロリドン重合体から選択される1種以上から選択される。第二成分の合計濃度は、特に限定されないが、好ましくは、0.1〜60質量%、更に好ましくは、0.5〜10質量%である。
1−2−1.アミノ酸及びアミノ酸誘導体
上記第二成分は、一実施形態において、アミノ酸又はアミノ酸誘導体であってもよい。例えば、以下の式で表されるアミノ酸又はアミノ酸誘導体であってもよい。
{ただし、
1は、天然アミノ酸の側鎖から選択され、
2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C4のアルキル基からなる群から選択され、
nは1〜10である}
なお、本明細書において、「天然アミノ酸」とは、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンから選択される1種以上のアミノ酸を指す。
上記式に該当するアミノ酸としては、α型アミノ酸、アミノ酪酸、β-アラニン、γ-アミノ酪酸、6−アミノ−n−カプロン酸、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。光学異性体の違いについては限定されず、例えばα型のアミノ酸についてはL型でもD型でもよい。α型アミノ酸とてしては、以下のアミノ酸が少なくとも含まれる:アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、又はこれらの組み合わせ。
好適な例として、グリシン、アラニン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
別の例において、第二成分は以下の式で表されるアミノ酸又はアミノ酸誘導体であってもよい。
{ただし、
1、R3は、天然アミノ酸の側鎖から選択され、
2、R4、R5は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C4のアルキル基からなる群から選択され、
nは1、2、3、4又は5である}
上記式で表される化合物として、例えば、以下の化合物が挙げられる:グリシルグリシン、グリシルグリシルグリシン、又はこれらの組み合わせ。
別の例において、第二成分は以下の式で表されるアミノ酸又はアミノ酸誘導体であってもよい。
{ただし、
1は、天然アミノ酸の側鎖から選択され、
2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C4のアルキル基からなる群から選択され、
5は、存在しないか、又は−(CH21−〜−(CH24−であり、
6は、水素又はC1〜C4アルキル基であり、
nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である}
上記式で表される化合物として、例えば、以下の化合物が挙げられる:ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酪酸ベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタイン、又はこれらの組み合わせ。
1−2−2.ピリジン誘導体
上記第二成分は、一実施形態において、ピリジン誘導体であってもよい。前記ピリジン誘導体は、以下の式で表される化合物であってもよい。
{ただし、
1は、それぞれ独立して、カルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選択され、
2は、それぞれ独立して、H、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシル基、水酸基から成る群から選択され、
nは、1、2、3、4、又は5の整数である}
上記式で表される化合物として、例えば、以下の化合物が挙げられる:ニコチン酸、2−ホルミルピリジン、又はこれらの組み合わせ。
1−2−3.ピロリドン重合体
上記第二成分は、一実施形態において、ピロリドン重合体であってもよい。前記ピロリドン重合体は、例えば、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。当該ピロリドン重合体の分子量は、重量平均で例えば、8,000〜3,000,000、好ましくは、20,000〜1,000,000である。
1−3.溶液の調製方法
本発明の溶液は、通常の方法によって調製可能である。即ち、溶媒として水を使用し、上記第一成分、第二成分、及びその他の成分を撹拌などにより溶解させる等の方法により調製することができる。
1−4.その他の成分
上述した第一成分及び第二成分以外に、他の成分を添加してもよい。
例えば、第一成分や第二成分以外の酸を添加してもよい。例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、ピロリン酸等の無機酸や、メタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スルファミン酸、クエン酸、グルコン酸等の有機酸を酸の形又はそれらのナトリウム、カリウム、アンモニウム等の塩の形で添加すればよい。酸を添加することにより、黒色の度合いを変化させ、望みの色彩に調整できる。酸の添加量は、多すぎると、本来の黒色化反応を妨げ、また少なすぎると、効果がみられない。具体的には0.1〜30質量%程度とするのが好ましく、1〜20質量%程度とするのがより好ましい。これらの酸はフッ化水素酸に比べると一般に金属を溶解する力が弱いので 、この程度の濃度範囲であれば基本成分の効果を著しく妨げることはない。
本発明に係る黒色化処理用水溶液にはさらに、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、公知のカチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤が、適宜単独又は併用して用いられる。
カチオン系界面活性剤としては例えば、テトラ低級アルキルアンモニウムハライド、アルキルトリメチルアンモニウムハライド、ポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウムハライド等がある。アニオン系界面活性剤としては、アルキル(又はホルマリン縮合物)−β−ナフタレンスルホン酸(又はその塩)、アルキルスルホン酸塩系、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル(又はアルコキシ)ナフタレンスルホン酸塩等がある。ノニオン系界面活性剤としては例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(又はエステル)、ポリオキシアルキレンフェニル(又はアルキルフェニル)エーテル、ポリオキシアルキレンナフチル(又はアルキルナフトチル)エーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、等がある。
これら界面活性剤の濃度は、適宜選択されるが、概ね0.001〜50g/Lが好ましく、0.01〜20g/Lがより好ましい。界面活性剤を添加することにより、黒色化皮膜の外観均一性を向上させることができる。
また、一実施形態において、本発明の溶液は、極性非プロトン性溶媒の含有量を所定量以下に抑制した物であってもよい。例えば、極性非プロトン性溶媒の含有量は、0〜0.5質量%であり、より好ましくは、0〜0.1質量%であり、更に好ましくは0質量%である。極性非プロトン性溶媒の例としては、限定的ではないが、テトラヒドロフラン、アセトン、アセトニトリル(AN)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ホルムアミド、ジメチルスルホキシド(DMSO)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、及びヘキサメチルリン酸トリアミドから選ばれる1種以上が挙げられる。
2.処理対象金属
本発明に係る黒色化処理用水溶液によって黒色化可能な金属は特に制限ないが、該処理液で処理したときに、溶解した金属イオンが黒色の不溶性化合物を形成しやすいという理由により、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Zr、Nb、Mo、Tc、Hf、Ta、W、Reが好適に用いられる。中でもMg、Al、Si、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Ta、Wが好適に用いられ、Mg、Al、Ti、Taがさらに好適に用いられ、Tiが最も好適に用いられる。
これらの金属元素は純金属(不可避的に不純物が含まれるものを含む)、これらの金属元素を主要成分とする合金、又はそれらを添加元素とする合金のいずれも好適に用いられるが、純金属又はこれらの金属元素を主要成分とする合金が一層好適に用いられる。また、純金属又は合金は冶金学的に製造されたものに限定されず、湿式又は乾式のめっきを施して製造したものでもよい。つまり、本発明でいう金属とは、表面が金属でできた材料を指し、内部が金属以外の材料であっても構わない。例えばプラスチック表面を金属めっきしてできた材料も本発明でいう金属に該当する。
3.黒色化処理方法
本発明に係る黒色化処理用水溶液に金属の表面を接触させること(黒色化工程)により、当該表面を黒色化することができる。接触方法としては特に制限はないが、金属を当該水溶液に浸漬する方法、当該水溶液を金属表面に塗布する方法、及び当該水溶液を金属表面に噴霧する方法などがある。これらの中でも金属を当該水溶液に浸漬する方法が簡便であり、均一性のある外観を得る上でも好ましい。
黒色化工程における黒色化処理用水溶液の温度は5〜50℃が好ましく、10〜35℃がさらに好ましい。温度が低すぎると黒色化皮膜の形成が遅く、生産性が劣るが、本発明によれば室温付近の温度で十分な黒色化が達成できる。温度が高すぎても、効果が頭打ちとなり、不経済である。該水溶液に金属を接触させる時間は特に限定はされないが、5秒〜30分程度が好ましく、10秒〜10分がより好ましい。処理時間が短いと、黒味が十分ではなく、処理時間が長すぎても、効果は頭打ちとなるため、生産性に劣る。
4.黒色化処理後の更なる処理
上記黒色化処理を施した後は、更にその上に薄膜を形成させるための処理を行ってもよい。例えば、薄膜を形成させるための処理として、めっき、溶射、塗装などが挙げられる。本発明の黒色化処理を施した場合、黒色化金属材料と薄膜との密着性が良好なものとなる。
また、黒色度合いを上げるため、前記黒色化工程を実施した後に、表面が黒色化された金属に対してさらに100〜700℃、好ましくは200〜450℃、さらに好ましくは300〜400℃の加熱処理(後処理工程)を施してもよい。加熱処理の時間は、短いと効果が弱く、長すぎても効果が頭打ちとなり、不経済である。具体的には、10〜60分が好ましく、20〜40分がより好ましい。また、上記加熱処理は、真空中、大気中、又は還元性ガスあるいは不活性ガス(例、H2、CO、H2S、SO2、2O、N2、Ar)中で実施してもよい。なお、上述した薄膜を形成する処理を行う場合には、加熱処理は、当該処理の前に実施するのが好ましい。
加熱処理は、黒色化処理を施した後に薄膜を形成させてから実施しても、黒色化金属材料と薄膜との密着性をより改善させる。加熱処理は上記のいずれの方法も可能であるが、薄膜の種類によっては加熱によって変色したり、変質する場合があるので、大気中を避け、適切な加熱温度や時間を設定する必要がある。
5.黒色化処理前の処理
上記黒色化処理を施す前に、上述した第一成分を含み、上述した第二成分を含まない溶液で、金属を処理してもよい。この溶液には第一成分の他に、上記「1−4.その他の成分」の項で示したその他の成分を配合してもよい。この溶液により、金属表面がエッチングされて(例えば、表面上の酸化物が除去され)、まず1〜数十μmレベルの比較的大きな凹凸が形成される。その後、本発明の溶液で処理することによって、より微細な10〜数100nmの凹凸がその上に形成されて、それらの相乗効果によってより鮮明な黒色外観やその後の薄膜のより良好な密着性が達成される。
6.製品
一実施形態において、本発明は、上記溶液を用いて黒色化した金属材料を包含することができる。更なる一実施形態において、上記黒色化処理の後に、上述した更なる処理(例:薄膜形成処理、加熱処理)及び/又は任意の処理を更に施した金属材料を包含することができる。更なる一実施形態において、「5.黒色化処理前の処理」で記載した処理を行った後、上記黒色化処理を行った金属材料を包含することができる。
また、本発明は、上述した方法で黒色化することにより、表面の凹凸を微細化させることができる。これにより、めっきとの密着性を向上させることができる(アンカー効果)。表面の凹凸は、特に限定されないが、反射率3〜17%となることが好ましい。更に好ましくは、反射率が7〜13%である。反射率が3%未満や反射率が17%超の場合、密着性が劣る。なお、ここで述べる反射率とは、例えば、日本電色工業株式会社 ND11で測定したときの値を表す。
上記めっきの例として、NiめっきやAgめっき等が挙げられる。また、密着性の向上は、めっきのみならず、一般的な水性または油性塗料、フィルム、電着塗装(例:アクリル系、エポキシ系)、粉体塗装、溶射、や漆(例:カシュー漆)などが挙げられる。
1.実施例A(黒色化処理)
6.25cm2×6.25cm2のTi板を準備した。電解脱脂を行い、その後、水洗・乾燥させた。更に、TIA(大和化成株式会社製)でTi板を酸洗した(25℃、1分間)。再度、水洗・乾燥させ、重量測定を行った。
その後、表1−1及び表1−2に示す組成の溶液で、エッチング処理を行った。エッチング処理後は、水洗・乾燥させ、再度重量測定を行った。エッチング前後の重量差を測定することでエッチング量を測定した。外観については目視で確認した。更に反射率についてはデンシタメーターでBR%を測定した(日本電色工業株式会社製 デンシトメーター ND11)。
2.実施例B(黒色化処理後のメッキ)
実施例Aで黒色化させたTi板について、以下の手順でめっきを施した。
2−1.Agめっき
より具体的には、Agストライクめっきをシアン浴で2A/dm2で、30秒実施し、次いで、Agめっきを1A/dm2で、1.5分実施した。その後、変色防止処理としてニューダインシルバー(大和化成株式会社製)で40℃で1分間処理した。その後、乾燥させた。
2−2.Niめっき
Niめっきについては、スルファミン酸浴を用い、2A/dm2で、3分実施した。その後、乾燥させた。
2−3.密着性
その後、カッターで碁盤目状に切れ目をいれ(100個の区画を作成)、アクリルテープで剥がれの有無を確認し、密着性を評価した。評価は、以下のとおりとした。
◎:はがれなし、○:はがれ1〜3区画、△:4〜10区画以上、×:11区画以上
結果を表2に示す。
3.実施例C(黒色化処理後の塗装)
実施例Aで黒色化させたTi板について、以下の手順で塗装を施した。
3−1.塗装
水性シリコンカラースプレー(株式会社カンペハピオ製)で、Ti板とスプレー噴出口との間と15cm取り、塗る面と並行に移動させながら、まんべんなく3回塗り重ねた。その後、乾燥させた。
3−2.密着性
その後、カッターで碁盤目状に切れ目をいれ(100個の区画を作成)、アクリルテープで剥がれの有無を確認し、密着性を評価した。評価は、以下のとおりとした。
◎:はがれなし、○:はがれ1〜3区画、△:4〜10区画以上、×:11区画以上
結果を表2に示す。
本明細書において、「又は」や「若しくは」という記載は、選択肢のいずれか1つのみを満たす場合や、全ての選択肢を満たす場合を含む。例えば、「A又はB」「A若しくはB」という記載の場合、Aを満たしBを満たさない場合と、Bを満たしAを満たさない場合と、Aを満たし且つBを満たす場合のいずれも包含することを意図する。
以上、本発明の具体的な実施形態について説明してきた。上記実施形態は、本発明の具体例に過ぎず、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上述の実施形態の1つに開示された技術的特徴は、他の実施形態に提供することができる。また、特定の方法については、一部の工程を他の工程の順序と入れ替えることも可能であり、特定の2つの工程の間に更なる工程を追加してもよい。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。

Claims (13)

  1. 以下の(A)及び(B)の成分を含有するTi又はその合金の表面の黒色化処理用水溶液。
    (A)成分:フッ化物イオン、ホウフッ化物イオン及びケイフッ化物イオンよりなる群から選択される1種以上;
    (B)成分:アミノ酸及びこれらの誘導体、カルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選択される基を有するピリジン誘導体、並びにピロリドン重合体から選択される1種以上
  2. 請求項1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸又はアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸誘導体が、以下の式で表される該水溶液。
    {ただし、
    1は、天然アミノ酸の側鎖から選択され、
    2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C4のアルキル基からなる群から選択され、
    nは1〜10である}
  3. 請求項1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸が、以下の式で表される該水溶液。
    {ただし、
    1、R3は、天然アミノ酸の側鎖から選択され、
    2、R4、R5は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C4のアルキル基からなる群から選択され、
    nは1、2、3、4又は5である}
  4. 請求項1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸が、以下の式で表される該水溶液。
    {ただし、
    1は、天然アミノ酸の側鎖から選択され、
    2、R3、R4は、それぞれ独立して、水素及びC1〜C4のアルキル基からなる群から選択され、
    5は、存在しないか、又は−(CH21−〜−(CH24−であり、
    6は、水素又はC1〜C4アルキル基であり、
    nは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10である}
  5. 請求項1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸であり、前記アミノ酸が、グリシン、アラニン、アミノ酪酸、6−アミノ−n−カプロン酸、又はこれらの組み合わせである該水溶液。
  6. 請求項1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸誘導体が、グリシルグリシン、及び/又はグリシルグリシルグリシンである該水溶液。
  7. 請求項1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がアミノ酸誘導体であり、前記アミノ酸誘導体が、ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酪酸ベタイン、ラウリル酸アミドプロピルベタイン又はこれらの組み合わせである該水溶液。
  8. 請求項1に記載の水溶液であって、前記(B)成分が以下の式で表されるピリジン誘導体である、該水溶液。
    {ただし、
    1 は、それぞれ独立して、カルボキシル基及びアルデヒド基からなる群から選択され、
    2 は、それぞれ独立して、H、C1〜C4のアルキル基、C1〜C4のアルコキシル基、水酸基から成る群から選択され、
    nは、1、2、3、4、又は5の整数である}
  9. 請求項1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がニコチン酸である、該水溶液。
  10. 請求項1に記載の水溶液であって、前記(B)成分がポリビニルピロリドンである、該水溶液。
  11. 表面処理されたTi又はその合金材料を製造するための方法であって、前記Ti又はその合金材料を請求項1〜10いずれか1項に記載の水溶液に接触させる工程を含む該方法。
  12. 請求項11に記載の方法であって、前記接触させる工程の後に、めっき、塗装、溶射、又はこれらを組み合わせた工程を更に含む、該方法。
  13. 請求項11又は12に記載の方法であって、前記接触させる工程の後に、100〜700℃の加熱処理を施す後処理工程を含む、該方法。
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