JP6750873B2 - スラリーアイス製造機 - Google Patents
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Description
従来用いられている魚の鮮度保持の方法としては、例えば、漁船の船倉内の海水に塊状の真水氷を大量に投入し、魚を保存するという方法がある。しかしながら、この氷は融けると真水であるため、時間の経過と共に船倉内における海水中の塩分濃度の変化や低下により、魚の鮮度が著しく落ちてしまうという問題がある。また、塊氷によって魚体に傷が付くことも懸念される。
海水等のブラインを製氷する技術は、スタティック氷製造方式とダイナミック氷製造方式とに大別することができる。
スタティック氷製造方式はブラインを容器に入れ、それを間接的に冷却して塊状の氷をつくる方式であるが、これはバッチ方式であり、しかも塊氷を粉砕する工程を別途必要とするため、経済的に不向きである。
ダイナミック氷製造方式はブラインを振動させながら凍結するもので、直接熱交換法と間接熱交換法が存在する。
間接熱交換法としては、掻き取り法、熱媒剥離法(ハーベスト法)、過冷却法等の方法が存在している。このうち、掻き取り法は、装置の運転操作が容易であり、経済性もある点で優れているため、掻き取り法を用いた製氷機は広く用いられている。
また、上方空間の周面には、排出管が接続されており、回転軸の周面には、上方空間にある氷を排出管に向けて移動させるための氷案内部材が取り付けられていることから、下方空間から上方空間に浮き上がってきた氷を、排出管に向けて移動させることができる。そのため、氷が上方空間において長時間留まって固まることが防がれ、生成された氷を円滑に排出することが可能となる。
図1乃至図4は本発明に係るスラリーアイス製造機(以下、単に製氷機と称す場合がある)を示す図であって、図1は正面図、図2は縦断面図、図3は下方部分の分解斜視図、図4は上方部分の分解斜視図である。
容器(1)の内部には製氷対象となる海水等のブラインが収容される。
容器(1)は、製氷部となる円筒状の容器本体(7)と、容器本体(7)の下端を塞ぐように取り付けられた下部カバー(8)と、容器本体(7)の上端を塞ぐように取り付けられた上部カバー(9)とから構成されている。
容器本体(7)の外周面に沿って冷媒通路(4)が設けられている。
容器(1)の下方には冷媒入口(41)が設けられ、容器(1)の上方には冷媒出口(42)が設けられている。冷媒入口(41)から供給された冷媒は、冷媒通路(4)を通って冷媒出口(42)から取り出される。冷媒は、冷媒通路(4)を流通する際に容器本体(7)の外周面を冷却し、これにより容器本体(7)の内周面に氷膜が生成される。
下部カバー(8)は円板状であって、中心よりやや外側位置に貫通穴が形成され、この貫通穴に供給管(2)が接続されている。
下部カバー(8)は、Oリング(19)を挟んで、容器本体(7)の下端部に形成されたフランジ部に対してボルトで固定されている。
上部カバー(9)は、上下逆向きの有底円筒状であって、その周面に形成された貫通穴部分に排出管(3)が接続されている。
上部カバー(9)の下面には、容器(1)を縦向き(中心軸が上下方向となる向き)に設置するための架台(10)が取り付けられている。
上部カバー(9)の下端部にはフランジ部が形成されており、このフランジ部が、円環状の合成樹脂製のフランジ部材(18)及びOリング(19)を挟んで、容器本体(7)の上端部に形成されたフランジ部に対してボルトで固定されている。
回転軸(5)の上端部は、カップリング(15)を介して電動機(モータ)(16)の回転軸と連結されている。モータ(16)は、上部カバー(9)の上部に取り付けられたモータ取付台(17)の上部に固定されている。
掻き取り部(6)は、回転軸(5)に対して固定されている。
掻き取り部(6)は、容器本体(7)の内面に付着した氷を掻き取るためのスクレーパ(12)と、スクレーパ(12)を回転軸(5)に固定するためのスクレーパ固定板(13)とを備えている。
回転軸(5)は、図7に示すように横断面が六角形状であって、六角形の六面のうちの対向する二面にスクレーパ固定板(13)がボルトにより固定されている。
一方の帯状板部(13a)は回転軸(5)に対して固定され、他方の帯状板部(13b)に対してスクレーパ(12)が固定されている。
これにより、スクレーパ固定板(13)は、容器(1)の下方部においてのみスクレーパ(12)と回転軸(5)とを連結し、容器(1)の上方部においてはスクレーパ(12)と回転軸(5)との間には連結部(13c)が存在しない空間(14)が形成される。
スクレーパ(12)は、氷掻き取り側の端部(以下、先端部と称す)は、所定角度の先端角(鋭角)を有して形成されており、その先端部が、容器本体(7)の内周面との間に僅かな隙間(例えば0.5mm)を有するように配置されている。
スクレーパ(12)の掻き取り側(回転方向前方側)の刃面(以下、掻き取り刃面と称す)(12a)は、容器本体(7)の半径方向(一点鎖線参照)と平行に配置されている(図7参照)。また、図示しないが、掻き取り刃面(12a)を容器本体(7)の半径方向に配置する(図7において、掻き取り刃面(12a)を一点鎖線と一致させる)構成としてもよい。
掻き取り刃面(12a)を容器本体(7)の半径方向からずらして平行に配置する場合、そのずれ量はできるだけ小さくすることが好ましく、回転軸(5)の半径分だけずれる(図7参照)ようにすることが好ましい。
この優れた効果は、本出願人によって実証されており、詳しくは後述する実施例に基づいて説明する。
各スクレーパ固定板(13)には、夫々スクレーパ(12)が固定されており、一方のスクレーパ(12)の掻き取り刃面(12a)と他方のスクレーパ(12)の掻き取り刃面(12a)とは、互いに平行であり且つ容器中心軸を挟んで回転対称(点対称)の位置関係にある。
上述の実施形態ではスクレーパ固定板(13)及びスクレーパ(12)の数は2つであるが、本発明において、スクレーパ固定板(13)及びスクレーパ(12)の数は2つに限定されない。例えば1つ(図8参照)、若しくは3つ(図9参照)又は4つ(図10参照)とすることができる。
尚、図7乃至図10に仮想線(二点鎖線)で示された円は、容器本体(7)の内周面を表している。
これにより、容器(1)内部において浮き上がった氷を、掻き取り部(6)が配設された下方空間から掻き取り部(6)が配設されていない上方空間へと移動させることができる。そのため、下方空間における掻き取り部(6)の回転抵抗を小さくすることが可能となる。
これにより、下方空間から上方空間に浮き上がってきた氷を、排出管(3)に向けて移動させることができる。そのため、氷が上方空間において長時間留まって固まることが防がれ、生成された氷を円滑に排出することが可能となる。
回転軸(5)と共に氷案内部材(20)が回転すると、上方空間に溜まっている氷が、半円筒の内側の面に捕捉されて、容器(1)の外方向(半径方向外側)に向けて送られる。そのため、氷が上方空間において長時間留まって固まることがより確実に防がれ、生成された氷を非常に円滑に排出することが可能となる。
撹拌羽根(21)は、回転軸(5)の下方寄り位置に取り付けられており、容器本体(7)の内部に位置している。
撹拌羽根(21)は長方形板状であって、2枚の撹拌羽根(21)が回転軸(5)の中心を挟んで対称位置に且つ回転軸(5)に対して傾斜して取り付けられている。
回転軸(5)と共に撹拌羽根(21)が回転すると、容器本体(7)内にある氷を含んだ水が撹拌される。これにより、製氷が効率良く行われることとなり、製氷能力を向上させることができる。
<実施例>
上述した本発明に係る製氷機(図1乃至図7参照)を2台使用して製氷を行った。
図11に示される通り、製氷運転時における電動機の電流値(A)は約1.1Aと低く、製氷に要する時間は約2時間と短かった。尚、製氷機を2台使用したのは単に設備上の都合による。
2 供給管
3 排出管
4 冷媒通路
5 回転軸
6 掻き取り部
12 スクレーパ
12a 掻き取り刃面
13 スクレーパ固定板
14 空間
20 氷案内部材
21 撹拌羽根
Claims (2)
- 製氷対象となる海水等のブラインを内部に収容する円筒状の容器と、
前記容器内部に前記ブラインを供給するための供給管と、
前記容器内部で生成された氷を排出するための排出管と、
前記容器の外周面に沿って設けられた冷媒通路と、
前記容器の中心軸方向に延びるように配設された回転軸と、
前記回転軸に取り付けられて前記容器内周面に生成された氷を掻き取る掻き取り部と、を備えており、
前記掻き取り部を構成するスクレーパの掻き取り刃面が、前記容器の半径方向又は半径方向と平行に配置されている、スラリーアイス製造機であって、
前記容器は、中心軸が上下方向を向くように配置されており、
前記容器の内部空間は、前記掻き取り部が配設された下方空間と、前記下方空間と連通しており前記掻き取り部が配設されていない上方空間とを備えており、
前記上方空間の周面には、前記排出管が接続されており、
前記回転軸の周面には、前記上方空間にある氷を前記排出管に向けて移動させるための氷案内部材が取り付けられており、
前記氷案内部材が半円筒形状に形成されており、
前記氷案内部材は、半円筒の内側の面が前記容器の内周面に向くように且つ長さ方向が前記回転軸に対して傾斜して取り付けられている、
ことを特徴とするスラリーアイス製造機。 - 前記掻き取り部は、前記スクレーパを前記回転軸に固定するためのスクレーパ固定板を備えており、
前記スクレーパ固定板は、前記容器の下方部においてのみ前記スクレーパと前記回転軸とを連結し、前記容器の上方部において前記スクレーパと前記回転軸との間に空間が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のスラリーアイス製造機。
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