JP6750532B2 - 鉄心製造装置および鉄心製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄心製造装置および鉄心製造方法に関する。
種々の機器の省エネルギーや高効率化の要求を背景に、変圧器などの電磁機器においても低損失化が求められている。変圧器のエネルギー損失原因としては、鉄心に使用される電磁鋼板などの磁性材料が交流励磁されることで発生する鉄損がある。鉄損の低減するため、電磁鋼板など板状の素材の板厚を薄くする方法が用いられている。これは、電磁誘導の法則によって素材の内部に誘導される円環状の電流、すなわち渦電流によって発生するジュール損が、板厚の二乗に比例することに基づく。方向性電磁鋼板での例を示すと、磁束密度が1.7T、周波数が50Hzの励磁の場合、板厚が0.35mmだと鉄損は1.12W/kgであるが,0.23mmでは0.87W/kgとなる。このように、電磁鋼板の板厚を薄くすることによって、鉄損の低減を図ることができる。
一方、電磁鋼板の板厚を薄くすると、次のような問題が生じる。鉄心のサイズ、すなわちにおける電磁鋼板の積み高さは、変圧器の電気容量に応じて決まる。このため、電磁鋼板を薄手化した場合には、同じ積み高さを得るために、剪断、積層、挿入工程で作業量が増加する。その結果、製造コストと製造時間が増加する。
特許文献1と特許文献2には、このような問題を解決するため、複数の巻き取られた電磁鋼板を一度ほどいて接着し、再度巻き取る方法が開示されている。例えば2枚の電磁鋼板が重ねて接着されたものであれば、鉄心の製造工程において、剪断、積層、挿入の各工程が、接着なしに対して半分の作業量で済み、かつ、新たな工程を追加する必要がない。
ところで、特許文献3には、変圧器の鉄心において、各層の鋼板の接合ギャップが鋼板の長手方向に順次所定の等間隔で階段状にずれた複数群の階段状接合部を積層すことによって構成し、かつ、各群の階段状接合部における各接合ギャップ位置を鋼板の長手方向に互いに異ならせる構成が開示されている。そして、特許文献3に開示されている構成によれば、接合ギャップ部分での鉄損が少なく、かつ鉄心接合部での機械的強度が向上する。
しかしながら、特許文献1と特許文献2に開示されている構成を、そのまま特許文献3に開示されている構成に適用しても、鉄損の低減の効果が低い。その理由は次のとおりである。特許文献1と特許文献2に開示されている構成では電磁鋼板の接着後にせん断されるため、接着された電磁鋼板の位置は一致している。このため、このような電磁鋼板を積層すると、接着された複数の電磁鋼板が、階段状接合部の1段を形成することになる。このため、電磁鋼板の薄肉化の効果が減殺される。また、複数の電磁鋼板は流体などによって互いに接合されているため、相対的に移動させる際の摩擦力が大きく、ずれ量やずれ方向の精度よく互いにずらすことは困難である。
特開昭63−281841号公報 特開平4−148927号公報 特開昭60−158609号公報
上記実情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、重ね合わされて接合されている電磁鋼板を用いて積層鉄心を製造する積層鉄心の製造方法において、重ね合わされている電磁鋼板を相対的に移動させる際の摩擦力を小さくすることである。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下に示す本発明の諸態様に想到した。
(1)
互いに分離可能に貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピースから積層鉄心を製造する鉄心製造装置であって、
前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁して磁歪を発生させることにより動摩擦状態にする交流励磁部と、
動摩擦状態にされている前記2枚の電磁鋼板のピースを、前記積層鉄心の辺に適用された状態における前記辺の延伸方向に滑らせることによって、前記2枚の電磁鋼板のピースの前記延伸方向の端部の位置を互いに異ならせる電磁鋼板移動部と、
を有することを特徴とする鉄心製造装置。
(2)
前記交流励磁部は、前記2枚の電磁鋼板のピースを挿入可能な励磁コイルを有し、
前記電磁鋼板移動部は、前記励磁コイルに挿入された前記2枚の電磁鋼板のピースの少なくとも一方を前記2枚の電磁鋼板のピースの面方向に移動させることにより、前記2枚の電磁鋼板のピースの前記延伸方向の端部の位置を互いに異ならせることを特徴とする前記(1)に記載の鉄心製造装置。
(3)
前記励磁コイルは、前記2枚の電磁鋼板のピースを前記延伸方向と前記励磁コイルの軸線とが直角な向きで挿入可能であり、
前記電磁鋼板移動部は、前記2枚の電磁鋼板のピースの一方を前記励磁コイルの軸線に直角な方向に移動させることを特徴とする前記(2)に記載の鉄心製造装置。
(4)
前記励磁コイルは、前記2枚の電磁鋼板のピースを、前記積層鉄心の辺に適用された状態における前記延伸方向と前記励磁コイルとの軸線が直角な向きで挿入可能であり、
前記電磁鋼板移動部は、前記2枚の電磁鋼板のピースの一方を前記励磁コイルの軸線に直角な方向に移動させることを特徴とする前記(2)に記載の鉄心製造装置。
(5)
前記交流励磁部は、前記励磁コイルに挿入されている前記2枚の電磁鋼板のピースの前記励磁コイルの軸線方向の両端部のそれぞれに接触させることができるヨークをさらに有し、
前記ヨークと前記2枚の電磁鋼板のピースとで閉磁路を形成することを特徴とする前記(2)から(4)のいずれか1項に記載の鉄心製造装置。
(6)
前記電磁鋼板移動部は、
前記励磁コイルに挿入されている前記2枚の電磁鋼板のピースのうちの一方に吸着する吸着部と、
前記吸着部を前記2枚の電磁鋼板のピースの前記延伸方向に直線移動させる動力部と、
を有することを特徴とする前記(2)から(5)のいずれか1項に記載の鉄心製造装置。
(7)
前記交流励磁部は、前記2枚の電磁鋼板のピースの圧延方向に直角な磁界によって前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁することを特徴とする前記(1)から(6)のいずれか1項に記載の鉄心製造装置。
(8)
前記交流励磁部は、200Hz〜10kHzの交流磁界により前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁することを特徴とする前記(1)から(7)のいずれか1項に記載の鉄心製造装置。
(9)
分離可能に貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピースを用いて積層鉄心を製造する鉄心製造方法であって、
前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁して磁歪を発生させながら、前記2枚の電磁鋼板のピースを、前記積層鉄心の辺に適用された状態における前記辺の延伸方向に滑らせることによって、前記2枚の電磁鋼板のピースの前記延伸方向の端部の位置を互いに異ならせる工程を有することを特徴とする鉄心製造方法。
(10)
前記2枚の電磁鋼板のピースの圧延方向に直角な方向の交流磁界により、前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁することを特徴とする前記(9)に記載の鉄心製造方法。
(11)
前記交流励磁の周波数は、200Hz〜10kHzであることを特徴とする前記(9)または(10)に記載の鉄心製造方法。
本発明によれば、液体や流動体で接合された電磁鋼板どうしを互いに相対的に移動させる際に、電磁鋼板どうしの間に係る摩擦力を小さくできる。
図1は、積層鉄心を有する変圧器の構成例と、この積層鉄心の製造方法を模式的に示す図である。 図2は、本発明の実施形態に係る製造方法により製造される積層鉄心の隣り合う辺どうしの接合部の構成例を模式的に示す断面図である。 図3は、比較例に係る積層鉄心の隣り合う辺どうしの接合部の構成例を模式的に示す断面図である。 図4は、2枚の電磁鋼板のピースをずらす態様を模式的に示す図である。 図5は、第1の実施形態に係る鉄心製造装置の構成例を模式的に示す図である。 図6は、電磁鋼板のピースの磁束密度と磁歪との関係の例を示すグラフである。 図7は、電磁鋼板のピース(電磁鋼板)の圧延方向に対する励磁の角度(磁力線の角度)と磁歪の大きさとの関係の例を示すグラフである。 図8は、第2の実施形態に係る鉄心製造装置の構成例を模式的に示す図である。 図9は、2枚の電磁鋼板のピースを分離することなく相対的に移動させるために要する最小の力の測定結果を示すグラフである。 図10は、2枚の電磁鋼板のピースの平均磁束密度を一定とし、励磁周波数を変化させた場合における、2枚の電磁鋼板のピースの相対的な移動に要する最小の力の測定結果を示すグラフである。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本発明の実施形態に係る製造方法により製造される積層鉄心1は、例えば変圧器2に用いられる。なお、各図においては、便宜上、説明に用いる部分のみを簡略化して示す。
本発明の実施形態では、分離可能に貼り合わされている2枚の電磁鋼板を用いて積層鉄心1を製造する。説明の便宜上、「分離可能に貼り合わされている2枚の電磁鋼板」を、「貼り合せ電磁鋼板」と称する。また、所定の寸法および形状にせん断された電磁鋼板を、「電磁鋼板のピース」と称する。貼り合せ電磁鋼板に含まれる2枚の電磁鋼板(2枚の電磁鋼板のピース11)は、互いに固定されているのではなく、油やワックスなどの流動性を有する材料(以下、単に「流動性材料」と称する)によって貼り合わされている。このため、2枚の電磁鋼板(2枚の電磁鋼板のピース11)は、流動性材料13の粘性によって貼り合わされた状態に維持されているが、外力を加えることによって相対的な変位や分離が可能である。
図1は、積層鉄心1を有する変圧器2の構成例と、この変圧器2の製造方法(積層鉄心1の製造方法)を模式的に示す図である。ここでは、変圧器2に適用される積層鉄心1が、略四辺形の額縁状の形状を有する例を示す。積層鉄心1の4辺のそれぞれは、複数の電磁鋼板のピース11を積層することによって形成される。
変圧器2の製造方法は、次の(1)〜(4)の工程を含む。(1)ロール状に巻かれている貼り合せ電磁鋼板を所定の寸法および形状にせん断して電磁鋼板のピース11を製造する工程。(2)電磁鋼板のピース11を積層することにより、積層鉄心1の4辺のうちの3辺を形成する工程。(3)積層鉄心1の4辺のうちの形成されていない1辺の側から、互いに平行な2辺のそれぞれにコイル21を挿入する工程。(4)複数の電磁鋼板のピース11を積層することにより、残りの1辺を形成する工程。
図2は、本発明の実施形態に係る製造方法により製造される積層鉄心1の隣り合う辺どうしの接合部12の構成例を模式的に示す断面図である。本発明の実施形態では、積層鉄心1の隣り合う辺どうしの接合部12(すなわち、四辺形の四隅部)に、ステップラップ方式を用いる。具体的には、図2に示すように、各辺を形成する所定の数の電磁鋼板のピース11は、積層鉄心1の各辺に組込まれた状態における当該各辺の延伸方向の端部の位置が階段状に互いにずれている。そして、各層のギャップ部122(同じ層の電磁鋼板のピース11どうしの継ぎ目)の位置も階段状に互いにずれている。説明の便宜上、電磁鋼板のピース11の「積層鉄心1の各辺に組込まれた状態における当該各辺の延伸方向」を、「延伸方向」と称する。このような構成によれば、各辺の接合部12における鉄損を低減することができ、かつ、各辺どうしの接合部12の機械的な結合強度が向上する。ステップラップ方式の積層鉄心1を製造するためには、電磁鋼板のピース11を重ねる工程において、電磁鋼板のピース11の端部の位置を1枚ずつ異ならせなければならない。
前述のとおり、本発明の実施形態では、貼り合せ電磁鋼板を用いて積層鉄心1を製造する。この場合、貼り合せ電磁鋼板をせん断すると、流動性材料13によって貼り合わされている状態の2枚の電磁鋼板のピース11が得られる。そして、このようにして得られた2枚の電磁鋼板のピース11は、互いにずれることなく重なっている。このため、このような2枚の電磁鋼板のピース11をそのまま積層すると、製造される積層鉄心1の各辺どうしの接合部12は、図3に示す構成となる。図3は、積層鉄心1の接合部12の構成の比較例を模式的に示す図である。図3に示すように、各辺の端部は階段状の構成となるが、図2に示す接合部12においては1枚の電磁鋼板のピース11で1段の段差が形成される(1段/1枚)のに対し、図3に示す接合部12においては、貼り合せられている2枚の電磁鋼板のピース11で1段の段差が形成される(1段/2枚)。このため、2層ずつ、ギャップ部122の位置が一致している。
図3に示す接合部12の構成では、図2に示す接合部12の構成に比較して、鉄損が大きくなる。例えば、板厚が0.23mmの方向性電磁鋼板を用いて3相積層鉄心を製造し、1.5T、50Hzで励磁して鉄損を測定したところ、図2に示すような1段/1枚の接合部12の構成では44.7Wとなったのに対し、図3に示すような1段/2枚の接合部12の構成では46.8Wとなり、鉄損が4.6%高いという結果が得られた。
本発明の実施形態では、図2に示すような構成の接合部12を有する積層鉄心1を製造するため、貼り合せ電磁鋼板をせん断して得られた2枚の電磁鋼板のピース11(流動性材料13によって分離可能に貼り合わされた状態の2枚の電磁鋼板のピース11)の延伸方向の端部の位置を互いに異ならせる。図4は、2枚の電磁鋼板のピース11の延伸方向の端部の位置を互いに異ならせる工程を模式的に示す図である。図4に示すように、2枚の電磁鋼板のピース11の少なくとも一方を、電磁鋼板のピース11の面方向であって延伸方向に滑らせるように移動させる。これにより、2枚の電磁鋼板のピース11を分離することなく、端部の位置を互いに異ならせる。そして、積層鉄心1の各辺の接合部12を、図2に示すような1段/1枚の階段状の構成にする。
本発明の実施形態では、2枚の電磁鋼板のピース11の端部の位置を互いに異ならせる工程において、2枚の電磁鋼板のピース11を分離しない。すなわち、2枚の電磁鋼板のピース11を、それらの面方向でかつ延伸方向に相対的に滑らせるように移動させることによって、2枚の電磁鋼板のピース11が互いに貼り合わされている状態を維持しながら、延伸方向の端部の位置を異ならせる。このような構成によれば、積層鉄心1の製造方法の工数の増加や工程の内容の煩雑化による製造に要する時間の延長を防止できる。すなわち、2枚の電磁鋼板のピース11を分離してから端部の位置を互いに異ならせる方法では、分離した2枚の電磁鋼板のピース11を再貼り合せする(積層する)工程が必要になる。さらに、再貼り合せする工程の後に2枚の電磁鋼板のピース11の間から空気を排出する工程などが必要となる。このため、積層鉄心1の製造工程の数が増加する。また、再貼り合わせされた2枚の電磁鋼板のピース11の貼り合せ強度を均一にするためには、2枚の電磁鋼板のピース11の間に流動性材料13を均一に介在させなければならないため、工程が煩雑になるおそれがあるのみならず、作業に長時間を要する。
2枚の電磁鋼板のピース11を分離させることなく移動させることによって端部の位置を互いに異ならせる方法であれば、上述のような問題は生じない。ただし、2枚の電磁鋼板のピース11を分離せずに移動させる方法では、次のような理由により、電磁鋼板のピース11のずれ量やずれ方向の高精度な制御が困難である。すなわち、2枚の電磁鋼板のピース11を分離することなく移動させるために外力を加えると、2枚の電磁鋼板のピース11が相対的な移動を開始するまでは静摩擦力が掛かり、外力が最大静摩擦力を超えると2枚の電磁鋼板のピース11は相対的な移動を開始する。そして、2枚の電磁鋼板のピース11が相対的な移動を開始すると、それらの間には動摩擦力が掛かる。動摩擦力は最大静摩擦力よりも小さく、特に、2枚の電磁鋼板のピース11の間に流動性材料13が介在している状態では、動摩擦力と最大静摩擦力の差が大きくなる。このため、外力が最大静摩擦力を超えると、電磁鋼板のピース11は勢いよく移動を開始することになるから、ずれ量やずれ方向の高精度な制御が困難となる。
そこで、本発明の実施形態では、2枚の電磁鋼板のピース11を交流励磁しながら、延伸方向に互いに反対向きに滑らせて移動させる。電磁鋼板のような磁性材料の多くは磁歪現象を有する。磁歪とは、材料に印加する磁界を変化させた場合に、磁界の変化に応じて寸法が変化する現象である。また、磁歪は結晶方位依存性を有する。電磁鋼板は多結晶体であり、磁歪の大きさや向きは結晶粒ごとに異なる。このため、貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピース11において、流動性材料13を介して接触している結晶粒の磁歪(すなわち変位)が相違することになり、2枚の電磁鋼板のピース11の接触状態が動摩擦状態となる。動摩擦状態では2枚の電磁鋼板のピース11の間には動摩擦力がかかるから、最大静摩擦力よりも小さい外力で電磁鋼板のピース11を移動させることができる。また、移動開始前と移動中とで摩擦力の大きさをほぼ一定とすることができる。したがって、電磁鋼板のピース11が勢いよく移動することを防止できるから、ずれ量やずれ方向の制御の精度の向上を図ることができる。
(製造装置(第1の実施形態)
次に、図5を参照して、本発明の第1の実施形態に係る積層鉄心1の製造装置の構成例について説明する。説明の便宜上、「積層鉄心の製造装置」を「鉄心製造装置」と略して記すことがある。図5は、第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aの構成例を模式的に示す図である。図5に示すように、鉄心製造装置5aは、交流励磁部51aと、電磁鋼板移動部52aと、電磁鋼板保持部53とを有する。さらに、鉄心製造装置5aは、図略の制御部を有する。
交流励磁部51aは、電磁鋼板のピース11を交流励磁して磁化させる。交流励磁部51aは、貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピース11の少なくとも一部分を挿入可能な励磁コイル511aを有する。第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aにおいては、貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピース11を、それらの延伸方向が励磁コイル511aの軸線に直角となる向きで挿入できる構成を例に示す。この場合、励磁コイル511aによる磁界の方向は、電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角となる。なお、励磁コイル511aの巻数や励磁コイル511aに用いられる導線の断面積などは特に限定されるものではない。これらは、交流電源の仕様や励磁コイル511aの放熱性などに応じて適宜設定される。
また、交流励磁部51aは、貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピース11の全体を均一に磁化して全体に均一な磁歪を発生させることができる構成であることが好ましい。例えば、交流励磁部51aの励磁コイル511aの軸線方向長さが電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角な方向の寸法(短尺方向寸法)よりも長く、電磁鋼板のピース11の全体を収容可能である構成が適用できる。このような構成であれば、交流励磁部51aは、貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピース11の全体に磁歪を発生させることができる。
また、交流励磁部51aは、励磁コイル511aに加えてヨーク512aを有していてもよい。この場合、励磁コイル511aの軸線方向寸法は、挿入されている電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角な方向の両端部(2つの長辺)が外部にはみ出すように、電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角な方向の寸法よりも小さい寸法に設定される。なお、ヨーク512aには、軟磁性材料により形成される。例えば、ヨーク512aは、方向性電磁鋼板を積層することにより形成される。そして、ヨーク512aは、励磁コイル511aからはみ出している電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角な方向の両端のそれぞれに接触できる寸法および形状を有する。励磁コイル511aからはみ出している電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角な方向の両端部のそれぞれにヨーク512aの両端部のそれぞれを接触させることにより、ヨーク512aと電磁鋼板のピース11とで閉磁路が形成される。なお、ヨーク512aの幅方向寸法(励磁コイル511aの軸線に直角な方向の寸法)は、電磁鋼板のピース11の延伸方向寸法と同じかそれ以上の寸法であることが好ましい。これにより、ヨーク512aが電磁鋼板のピース11の延伸方向の全長にわたって接触することになり、電磁鋼板のピース11の内部の磁界を均一にできる。なお、ヨーク512aの具体的な寸法および形状は特に限定されるものではなく、励磁コイル511aや電磁鋼板のピース11の寸法および形状などに応じて設定されるものである。
このほか、交流励磁部51aは励磁コイル511aとヨーク512aとを有し、励磁コイル511aがヨーク512aに設けられる構成であってもよい。このような構成であれば、励磁コイル511aとヨーク512aとが交流電磁石を形成することになる。このため、ヨーク512aの両端部のそれぞれを電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角な方向の両端部のそれぞれに接触させることにより、電磁鋼板のピース11を交流励磁できる。
電磁鋼板移動部52aは、貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピース11のうちの一方を、他方に対して延伸方向に相対的に滑らせて移動させる。第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aにおいて、電磁鋼板移動部52aによる電磁鋼板のピース11の移動方向は、それらの延伸方向に平行な方向である。前記のとおり、励磁コイル511aに挿入されている電磁鋼板のピース11の延伸方向が励磁コイル511aの軸線方向に直角であれば、電磁鋼板移動部52aによる電磁鋼板のピース11の移動方向は、励磁コイル511aの軸線方向(磁界の方向)に直角な方向となる。
電磁鋼板移動部52aは、2枚の電磁鋼板のピース11のうちの一方に吸着する吸着部521と、吸着部521を前記方向に移動させる動力部522とを有する。吸着部521には、例えば負圧吸着機構や真空吸着機構が適用できる。なお、吸着部521は、電磁鋼板のピース11に歪を発生させることなく吸着できる構成であることが好ましい。動力部522は、吸着部521を前記方向に直線移動させることができる構成であればよい。例えば、動力部522には、公知の各種リニアアクチュエータが適用できる。
電磁鋼板保持部53は、2枚の電磁鋼板のピース11のうちの他方(電磁鋼板移動部52aの吸着部521が吸着する電磁鋼板のピース11とは異なる電磁鋼板のピース11)を、移動しないように保持する。電磁鋼板保持部53には、電磁鋼板移動部52aの吸着部521と同様に、負圧吸着機構や真空吸着機構が適用できる。要は、電磁鋼板保持部53は、2枚の電磁鋼板のピース11のうちの他方を移動しないように保持できる構成であればよく、具体的な構成は限定されるものではない。ただし、電磁鋼板移動部52aと同様に、電磁鋼板のピース11に歪を発生させることなく保持できる構成であることが好ましい。
このような構成によれば、電磁鋼板移動部52aの吸着部521により一方の電磁鋼板のピース11を吸着し、電磁鋼板保持部53により他方の電磁鋼板のピース11を保持し、電磁鋼板移動部52aの吸着部521を動力部522によって移動させることにより、2枚の電磁鋼板のピース11のうちの一方をそれらの延伸方向に平行な方向に直線移動させることができる。このため、2枚の電磁鋼板のピース11を分離することなく、2枚の電磁鋼板のピース11の延伸方向の端部の位置を互いに異ならせることができる。
制御部は、交流励磁部51aと電磁鋼板移動部52aと電磁鋼板保持部53を制御する。制御部には、CPUとROMとRAMとを有するコンピュータが適用できる。この場合、コンピュータのROMには、鉄心製造装置5aの各部を制御するためのコンピュータプログラムがあらかじめ格納されている。そして、コンピュータのCPUはROMに格納されているコンピュータプログラムを読み出し、RAMをワークエリアとして用いて実行する。これにより、鉄心製造装置5aの各部が制御され、後述する動作が実現する。
次に、第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aの動作について説明する。なお、動作開始前に、貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピース11を、あらかじめ交流励磁部51aの励磁コイル511aの内部に挿入しておく。また、交流励磁部51aがヨーク512aを有する場合には、電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角な方向の両端部のそれぞれをヨーク512aの両端部のそれぞれに接触させておく。
まず、制御部は、交流励磁部51aの励磁コイル511aに交流電気を流す。これにより、励磁コイル511aの内部には交流磁界が発生し、2枚の電磁鋼板のピース11には、この交流磁界によって周期的な磁歪が生じる。そして、2枚の電磁鋼板のピース11に周期的な磁歪が発生している間は、前述のとおり2枚の電磁鋼板のピース11どうしは動摩擦状態となる。図6は、電磁鋼板のピース11の磁束密度と磁歪との関係の例を示すグラフである。図6に示すように、励磁の強さ、すなわち、電磁鋼板のピース11の磁束密度が高くなるにしたがって磁歪も大きくなる。このため、この関係を考慮して電磁鋼板のピース11の磁束密度を決定すればよい。また、励磁周波数が高くなるにしたがって、2枚の電磁鋼板のピース11を相対的に移動させやすくなる。ただし、励磁周波数と電磁鋼板のピース11の相対的な移動のし易さとは非線形の関係を有しており、励磁周波数を過大に高くしても電磁鋼板のピース11の移動のしやすさは向上しない。このため、励磁周波数は2枚の電磁鋼板のピース11の相対的な移動のしやすさに応じて適宜設定すればよい。具体的には、励磁周波数が200Hz未満であると交流励磁による効果が低く、10kHzを超えると、効果が向上しない上に、交流励磁の電圧が高電圧となり過ぎたり、電流が高電流となり過ぎる。したがって、本発明の実施形態では、励磁周波数は、200Hz〜10kHzの範囲であることが好ましい。
そして、制御部は、電磁鋼板移動部52aの吸着部521を制御して2枚の電磁鋼板のピース11のうちの一方を吸着し、電磁鋼板保持部53を制御して2枚の電磁鋼板のピース11のうちの他方を保持する。その状態で、制御部は電磁鋼板移動部52aの動力部522を制御し、電磁鋼板のピース11の一方を他方に対して滑らせることにより延伸方向に直線移動させる。これにより、2枚の電磁鋼板のピース11の延伸方向の端部の位置を互いに異ならせることができる。
このように、第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aは、交流励磁部51aによって2枚の電磁鋼板のピース11を動摩擦状態とし、その状態で2枚の電磁鋼板のピース11を分離することなく相対的に移動させる。動摩擦状態では2枚の電磁鋼板のピース11の間には動摩擦力がかかるから、最大静摩擦力よりも小さい外力で電磁鋼板のピース11を移動させることができる。また、移動開始前と移動中とで摩擦力の大きさはほぼ一定とすることができる。したがって、電磁鋼板のピース11が勢いよく移動開始することを防止できるから、ずれ量やずれ方向の制御の精度の向上を図ることができる。
また、第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aは、2枚の電磁鋼板のピース11の一方をそれらの延伸方向に直線的に移動させることにより、2枚の電磁鋼板のピース11を分離することなく端部の位置を互いに異ならせる。このため、2枚の電磁鋼板のピース11の分離や再貼付けの工程が不要であるから、製造方法の工程数が増加しない。また、再貼り合わせの工程が不要であるから、2枚の電磁鋼板のピース11の間に流動性材料13を均一に塗布する工程も不要であり、工程が煩雑にならない。このため、製造に要する時間が延長しない。
ここで、方向性電磁鋼板の圧延方向と励磁の際の磁界の方向との関係について、図7を参照して説明する。図7は、方向性電磁鋼板の圧延方向に対する励磁の角度(磁力線の角度)と磁歪の大きさとの関係の例を示すグラフである。方向性電磁鋼板は、各結晶粒の方位が製造時の圧延方向にほぼ揃っている。そして、磁歪は結晶方位依存性を有していることから、磁歪の大きさと方向性電磁鋼板の製造における圧延方向とには相関がある。そして、図7に示すように、方向性電磁鋼板の圧延方向に対する励磁の角度が大きくなるにしたがって、方向性電磁鋼板に生じる磁歪が大きくなる。2枚の電磁鋼板のピース11を相対的に移動させる工程においては、2枚の電磁鋼板のピース11に生じる磁歪が大きいことが好ましい。このため、方向性電磁鋼板を用いて積層鉄心1を製造する場合には、2枚の電磁鋼板のピース11を相対的に移動させる工程においては、電磁鋼板のピース11(すなわち、せん断された方向性電磁鋼板)の圧延方向と交流励磁部51aによる磁界の方向とのなす角度が大きいことが好ましく、90°であることがより好ましい。
図5に示す第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aにおいては、電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角な磁界を発生させることができる。一般に、方向性電磁鋼板の圧延方向と、電磁鋼板のピース11(せん断された方向性電磁鋼板)の延伸方向とは平行である。このためこの場合には、電磁鋼板のピース11の延伸方向を、励磁コイル511aの軸線方向に対して直角とすることにより、電磁鋼板のピース11に発生する磁歪を大きくできる。第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aによれば、圧延方向が延伸方向に平行な電磁鋼板のピース11を、それらの延伸方向が励磁コイル511aの軸線方向に直角となるように励磁コイル511aに挿入できるから、圧延方向に直角な方向の磁界によって2枚の電磁鋼板のピース11を励磁できる。このため、2枚の電磁鋼板のピース11に生じる磁歪が大きくなるから、2枚の電磁鋼板のピース11を相対的に移動させやすくなる。
(製造装置(第2の実施形態))
次に、第2の実施形態に係る鉄心製造装置5bについて、図8を参照して説明する。図8は、第2の実施形態に係る鉄心製造装置5bの構成例を模式的に示す図である。前述のとおり、方向性電磁鋼板においては、電磁鋼板のピース11の延伸方向と交流磁界の磁束の方向とは直角であることが好ましい。しかしながら、電磁鋼板のピース11の延伸方向と交流磁界の磁束の方向とが直角ではなく、例えば平行であっても、電磁鋼板のピース11に磁歪を発生させることができる。第2の実施形態に係る鉄心製造装置5bは、電磁鋼板のピース11に、それらの延伸方向に平行な交流磁界を発生させて励磁させる構成の例である。なお、第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aと共通の構成には同じ符号を付し、説明を省略する。
交流励磁部51bは、電磁鋼板のピース11を交流励磁して磁化させる励磁コイル511bを有する。第2の実施形態では、電磁鋼板のピース11の延伸方向が励磁コイル511bの軸線に平行となる向きで電磁鋼板のピース11を挿入できる寸法および形状を有する。このような構成であると、励磁コイル511bに交流電気を流すと、磁力線が電磁鋼板のピース11の延伸方向に平行な磁界を発生させて電磁鋼板のピース11を磁化できる。
また、交流励磁部51bは、ヨーク512bを有していてもよい。この場合、励磁コイル511bの軸線方向寸法は電磁鋼板のピース11の延伸方向の寸法よりも短く、電磁鋼板のピース11を励磁コイル511bに挿入すると、電磁鋼板のピース11の延伸方向の両端部が励磁コイル511bの外部に突出した状態となる。そして、ヨーク512bは、電磁鋼板のピース11の延伸方向の両端部のそれぞれに接触できる形状および寸法を有する。このような構成によれば、電磁鋼板のピース11とヨーク512bとが閉磁路を形成する。そしてこの場合、磁力線は電磁鋼板のピース11の延伸方向に平行となる。
電磁鋼板移動部52bは、2枚の電磁鋼板のピース11のうちの一方を吸着して移動させる。電磁鋼板移動部52bの構成は、第1の実施形態と同じでよい。ただし、第2の実施形態においては、電磁鋼板のピース11の延伸方向が励磁コイル511bの軸線方向に平行である。このため、電磁鋼板移動部52bによる電磁鋼板のピース11の移動方向は、励磁コイル511bの軸線に平行な方向となる。
第2の実施形態に係る鉄心製造装置5bの動作は、第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aの動作と比較すると、電磁鋼板移動部52bによる電磁鋼板のピース11の励磁コイルに対する移動方向が異なるのみであり、それ以外は同じである。このような構成であっても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
以上の各実施形態では、発生させる交流磁界の方向が電磁鋼板のピース11の延伸方向に直角な第1の実施形態に係る鉄心製造装置5aと、電磁鋼板のピース11の延伸方向に平行な第2の実施形態に係る鉄心製造装置5bを示したが、交流励磁部51a,51bが発生させる交流磁界の方向は、これらに限定されない。図7に示すように、電磁鋼板のピース11の圧延方向に対する励磁の角度が直角に近づくにしたがって電磁鋼板のピース11に生じる磁歪が大きくなるが、電磁鋼板のピース11の圧延方向に対する励磁の角度が直角でなくても磁歪を発生させて2枚の電磁鋼板のピース11を動摩擦状態にすることが可能である。したがって、電磁鋼板のピース11の圧延方向に対する励磁の角度が直角ではなく、平行である場合や傾斜している場合であっても、本発明の効果を奏することができる。そしてこの場合には、電磁鋼板移動部52a,52bは、励磁コイル511bに挿入されている電磁鋼板のピース11を、その延伸方向に移動させることができればよい。
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明する。本発明者らは、貼り合わされた2枚の電磁鋼板のピース11を製造して、相対的に移動させるために要する力を測定した。測定条件は次のとおりである。2枚の電磁鋼板のピース11には、方向性電磁鋼板を用いた。2枚の電磁鋼板のピース11の寸法は、厚さが0.27mm、幅が100mm、長が500mmとした。また、貼り合せ面積は、0.03m2とした。
(第1の実施例)
第1の実施例では、励磁方向を圧延方向に直角とし、励磁周波数を700Hzとし、2枚の電磁鋼板のピース11の平均磁束密度を変化させて、2枚の電磁鋼板のピース11を分離することなく相対的に移動させるために要する最小の力を測定した。磁束密度が0である例が、2枚の電磁鋼板のピース11を励磁しない例である。図9は、その測定結果を示すグラフである。図9に示すように、2枚の電磁鋼板のピース11を交流励磁すると、交流励磁しない場合(磁束密度が0である場合)と比較して、相対的な移動に要する力が小さくなることが確認された。すなわち、2枚の電磁鋼板のピース11を交流励磁することによって、本発明の効果が得られることが確認された。また、2枚の電磁鋼板のピース11の磁束密度を高くすることによって、2枚の電磁鋼板のピース11を相対的に移動させるために要する力が小さくなることも確認された。したがって、励磁強度を調整することにより、ずれ量の制御の精度の向上に適した力を設定できることが確認された。
(第2の実施例)
第2の実施例では、2枚の電磁鋼板のピース11の平均磁束密度を1.39Tと一定とし、励磁周波数を変化させ、2枚の電磁鋼板のピース11の相対的な移動に要する最小の力を測定した。図10はその測定結果を示すグラフである。この場合、励磁周波数が0Hzの例が、交流励磁をしない例(比較例)となる。図10に示すように、励磁周波数が0Hzでない場合には、励磁周波数が0Hzである場合に比較して、2枚の電磁鋼板のピース11を移動させるために要する最小の力が小さくなることが確認された。すなわち、2枚の電磁鋼板のピース11を交流励磁することによって、本発明の効果が得られることが確認された。また、励磁周波数を高くすることによって、2枚の電磁鋼板のピース11を相対的に移動させるために要する力が小さくなることも確認された。したがって、励磁周波数を調整することにより、ずれ量の制御の精度の向上に適した力を設定できることが確認された。なお、励磁周波数が200Hzのあたりからは移動に要した力が小さく、かつ、その変化(グラフの勾配)が小さくなるという結果が得られた。また、励磁周波数を10kHzを超える周波数とすると、交流励磁の電圧が高電圧となりすぎたり、電流が高電流となりすぎる。以上の結果、交流励磁の周波数は、200Hz〜10kHzの範囲が好ましいことが確認された。
(第3の実施例)
第3の実施例では、圧延方向に対する励磁方向(次回の方向)を0°とした場合(平行とした場合)と90°とした場合(直角とした場合)とで、交流励磁をしない場合からの2枚の電磁鋼板のピース11の移動に要する最小の力がどの程度小さくなるかを測定した。なお、励磁周波数は400Hz、2枚の電磁鋼板のピース11の平均磁束密度は1.39Tとした。測定の結果、磁界の方向が圧延方向に平行である場合には、2枚の電磁鋼板のピース11の移動に要する最小の力が24%低下した。一方、磁界の方向が圧延方向に直角である場合には、2枚の電磁鋼板のピース11の移動に要する最小の力が42%低下した。これにより、磁界の方向が圧延方向に直角であると、平行である場合に比較して、2枚の電磁鋼板のピース11の移動に要する最小の力の低下率が大きいことが確認された。したがって、2枚の電磁鋼板のピース11の移動に要する最小の力の低下率を大きくするためには、磁界の方向が圧延方向に直角とすることが有効であることが確認された。ただし、磁界の方向が圧延方向に平行である場合であっても、2枚の電磁鋼板のピース11の移動に要する最小の力は低下していることから、本発明の効果が得られることが確認された。
本発明は、積層鉄心の製造装置および製造方法に好適な技術である。そして、本発明によれば、液体や流動体で接合された電磁鋼板どうしを互いに相対的に移動させる際に、電磁鋼板どうしの間に係る摩擦力を小さくできる。
1:積層鉄心
11:電磁鋼板のピース
12:接合部
122:ギャップ部
13:流動性材料
2:変圧器
21:コイル
5a,5b:鉄心製造装置
51a,51b:交流励磁部
511a,511b:励磁コイル
512a,512b:ヨーク
52a,52b:電磁鋼板移動部
521:吸着部
522:動力部
53:電磁鋼板保持部

Claims (11)

  1. 互いに分離可能に貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピースから積層鉄心を製造する鉄心製造装置であって、
    前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁して磁歪を発生させることにより動摩擦状態にする交流励磁部と、
    動摩擦状態にされている前記2枚の電磁鋼板のピースを、前記積層鉄心の辺に適用された状態における前記辺の延伸方向に滑らせることによって、前記2枚の電磁鋼板のピースの前記延伸方向の端部の位置を互いに異ならせる電磁鋼板移動部と、
    を有することを特徴とする鉄心製造装置。
  2. 前記交流励磁部は、前記2枚の電磁鋼板のピースを挿入可能な励磁コイルを有し、
    前記電磁鋼板移動部は、前記励磁コイルに挿入された前記2枚の電磁鋼板のピースの少なくとも一方を前記2枚の電磁鋼板のピースの面方向に移動させることにより、前記2枚の電磁鋼板のピースの前記延伸方向の端部の位置を互いに異ならせることを特徴とする請求項1に記載の鉄心製造装置。
  3. 前記励磁コイルは、前記2枚の電磁鋼板のピースを前記延伸方向と前記励磁コイルの軸線とが直角な向きで挿入可能であり、
    前記電磁鋼板移動部は、前記2枚の電磁鋼板のピースの一方を前記励磁コイルの軸線に直角な方向に移動させることを特徴とする請求項2に記載の鉄心製造装置。
  4. 前記励磁コイルは、前記2枚の電磁鋼板のピースを、前記積層鉄心の辺に適用された状態における前記延伸方向と前記励磁コイルとの軸線が直角な向きで挿入可能であり、
    前記電磁鋼板移動部は、前記2枚の電磁鋼板のピースの一方を前記励磁コイルの軸線に直角な方向に移動させることを特徴とする請求項2に記載の鉄心製造装置。
  5. 前記交流励磁部は、前記励磁コイルに挿入されている前記2枚の電磁鋼板のピースの前記励磁コイルの軸線方向の両端部のそれぞれに接触させることができるヨークをさらに有し、
    前記ヨークと前記2枚の電磁鋼板のピースとで閉磁路を形成することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の鉄心製造装置。
  6. 前記電磁鋼板移動部は、
    前記励磁コイルに挿入されている前記2枚の電磁鋼板のピースのうちの一方に吸着する吸着部と、
    前記吸着部を前記2枚の電磁鋼板のピースの前記延伸方向に直線移動させる動力部と、
    を有することを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の鉄心製造装置。
  7. 前記交流励磁部は、前記2枚の電磁鋼板のピースの圧延方向に直角な磁界によって前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の鉄心製造装置。
  8. 前記交流励磁部は、200Hz〜10kHzの交流磁界により前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の鉄心製造装置。
  9. 分離可能に貼り合わされている2枚の電磁鋼板のピースを用いて積層鉄心を製造する鉄心製造方法であって、
    前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁して磁歪を発生させながら、前記2枚の電磁鋼板のピースを、前記積層鉄心の辺に適用された状態における前記辺の延伸方向に滑らせることによって、前記2枚の電磁鋼板のピースの前記延伸方向の端部の位置を互いに異ならせる工程を有することを特徴とする鉄心製造方法。
  10. 前記2枚の電磁鋼板のピースの圧延方向に直角な方向の交流磁界により、前記2枚の電磁鋼板のピースを交流励磁することを特徴とする請求項9に記載の鉄心製造方法。
  11. 前記交流励磁の周波数は、20Hz〜10kHzであることを特徴とする請求項9または10に記載の鉄心製造方法。
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