JP2005348456A - 回転機鉄心の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電磁鋼板2,2の長手方向である端面である例えば片端面2aを溶接して一体化させ、電磁鋼板2,2を同時に打抜くと共にかしめ結束をして回転機鉄心を構成するため、薄板の電磁鋼板2を採用しても、電磁鋼板2,2を溶接により一体化させることにより、電磁鋼板2,2に腰を持たせることができ、また、同時に打抜いてかしめ結束を行なうため、工数を削減することができる。さらに、電磁鋼板の片端面を溶接することにより、成形後の電磁鋼板は、熱ひずみによる影響箇所2b(図2のハッチング部)を避けて、打抜き成形されるため、熱ひずみにより鉄心に発生するヒステリシス損失を低減させることで、回転電機の性能を維持することができる。
【選択図】 図1
Description
これら回転電機が高速で運転されると、固定子巻線に通電される電流が高周波になるため、その電流により生じる駆動磁界も高周波になる。また、その電流に含まれる高調波電流成分を考えると、駆動磁界による固定子鉄心に渦電流が発生し、さらに、駆動電流が正弦波であっても、固定子鉄心にスロットが存在することにより主間隙には磁界の空間高調波成分が発生する。そして、この高調波成分が回転子鉄心に侵入することで、回転子鉄心に渦電流が発生する。
We=C(ωBt)2/(24ρd)
ここで、Cは定数、ωは励磁角周波数、Bは磁束密度、tは板厚、ρは電気抵抗率、dは密度である。
回転機鉄心に板厚の薄い電磁鋼板を採用するに当っては、腰の無い薄板であるため、鉄心形状に打抜き成形する際に、プレス機まで送る送り装置或いはプレス機内で電磁鋼板のたわみを生じたり、プレス機でのプレス抜きの際に、電磁鋼板に折れを生じたりすることが懸念されて、歩留まりが悪くなり、さらには、電磁鋼板薄板を採用して、所定の鉄心積厚を確保するためには、打抜き加工される電磁鋼板の枚数が多くなり、工数が多くなっていた。
そのため従来より、複数枚の電磁鋼板を重ねてかしめ結束される部位の近傍を溶接或いは接着することで、かしめ結束時における電磁鋼板相互のずれを抑制し歩留まりを向上させると共に工数を減少させことができる積層鉄心が提供されている(特許文献1参照)。
また、回転機鉄心のかしめ部位近傍が接着されている場合には、かしめ結束の衝撃により接着層が剥離して、電磁鋼板に反りを生じたり、その剥離した接着層が製造される回転機鉄心の電磁鋼板相互の隙間に残留しまうため、回転機鉄心の傾き等を発生したりし、その状態で製造された回転機鉄心は、鉄損であるヒステリシス損が発生することになり、総じて回転電機の性能を低下させるといった問題があった。
このような構成によれば、電磁鋼板の端面を溶接することにより、熱ひずみによる影響箇所を避けて電磁鋼板を打抜き成形することができるため、薄板の電磁鋼板を採用しても、熱ひずみにより鉄心に発生するヒステリシス損失を低減することができ、回転電機の性能を維持することができる。
このような構成によれば、電磁鋼板の略全面を接着剤にて貼り合せることにより、打抜き及びかしめの衝撃により接着剤が剥離しないように十分な強度を持たせることができるため、薄板の電磁鋼板を採用しても、電磁鋼板に反りや傾きにより鉄心に発生するヒステリシス損失を低減することができ、回転電機の性能を維持することができる
このような構成によれば、複数枚の電磁鋼板を貼り合わせてフープ状に巻き取る作業と、このフープ状の電磁鋼板を基に回転機鉄心を製造する作業とを別々の場所において実施することができ、効率がよくなる利点がある。
以下本発明の第1の実施例について、図1および図2を参照しながら説明する。まず、図1は、回転機鉄心の製造装置の全体構成を示す。送給装置1には、フープ状に巻回された帯状の電磁鋼板2が上下に2つ配設される。この電磁鋼板2,2は、送給装置1より、3対の送り案内ローラ3,4,5を介してプレス機6まで送られる。まず、この場合、回転機鉄心に用いられる電磁鋼板は、通常、0.5mm厚のものであるが、この実施例では、電磁鋼板2として0.1mm厚のものとする。送給装置1の電磁鋼板2,2は、1対の送り案内ローラ3により、合流重合されて送り出される。送り案内ローラ3,4間には、溶接装置7が設けられ、この溶接装置7は、例えばパルスレーザを用いて溶接するものであり、パルスの大きなエネルギーによって十分な強度を持たせつつも、被溶接物に熱影響をほとんど与えることなく溶接することができるものである。この溶接装置7により、送り案内ローラ3により送り出された電磁鋼板2,2の長手方向の端面として例えば片端面2aの溶接が行なわれて、電磁鋼板2,2は一体化される。また、送り案内ローラ4,5は、これらの協働により、溜め送り装置8として働き、その溜め送り部8aは、送り案内ローラ3,4より送られた電磁鋼板2,2が一時的に溜められる部分であり、送給装置1とプレス機6との間のあそびである。そして、溜め送り部8aを経た電磁鋼板2,2は、送り案内ローラ5により、プレス機6まで送り案内され、プレス機6では、溶接して一体化された電磁鋼板2,2を同時に回転機鉄心の形状に打抜くと共にかしめ結束が行なわれて抜き鋼板9aが形成され、これが複数個積層されて、回転機鉄心9が形成される。
次に、本発明の第2の実施例について、図3を参照しながら説明するに、上記第1の実施例と同一部分には同一符号を付して示す。
図3および図4は、回転機鉄心の製造装置の全体構成を示す。この図3において、送給装置14には、フープ状に巻回された薄板である電磁鋼板2が配設され、この送給装置14より送り出される電磁鋼板2は、第1接着剤供給装置16により、第1接着剤17aが電磁鋼板2の略全面に塗布される。ここで、第1接着剤供給装置16は、ローラ16a,16bの協働により、塗布する第1接着剤17aの厚さを制御するもので、ローラ16aには、溝が設けられており、この溝が第1接着剤17aだまりとすることで安定した膜厚を維持することができ、また、第1接着剤17aは、後述する第2接着剤17bと接触すると速やかに硬化する2液式の接着剤17であり、第2接着剤17bは、速乾性であるため膜厚管理の必要はないものである。また、送給装置18には、電磁鋼板2が配設されており、この送給装置18より送り出される電磁鋼板2は、送り案内ローラ15,15と対になるように設けられた第2接着剤供給装置19により、第2接着剤17bが電磁鋼板2の略全面に塗布される。この第2接着剤17bが塗布された電磁鋼板2は、送り案内ローラ15,15により、第1接着剤17aが塗布された電磁鋼板2と合流重合すると共に電磁鋼板2の略全面が貼り合わせ接着されて一体化硬化される。ここで、電磁鋼板2,2間には、第1接着剤17a及び第2接着剤17bで構成された接着剤17である接着層が形成されており、この接着層(接着剤17)は、電磁鋼板2の片面の面積に対して80%以上の面積率である略全面に形成されると共に、3μm以内の厚さで構成されている。ここで、接着層(接着剤17)の厚さが、3μmを超えると、未硬化部分が残り、プレス機6により成形されるまでに十分な強度を発揮できなかったり、プレス機6の形に貼り付いたりしてプレス機6の能力を低下させ、そのような不具合を発生しない上限が3μmである。
図4は回転機鉄心20の熱処理方法を示している。この図4において、積層鉄心21は、脚部の一部がカットされた開磁路となっており、一方の脚部21aには励磁巻線22が巻装され、他方の脚部21bには複数の回転機鉄心20が嵌合されている。これらの回転機鉄心20は、搬送装置23により、脚部21bの一方の端部から他方の端部まで搬送されることで、連続的に脚部21bに供給される。
ここで、第1の実施例に示す回転機鉄心9は、700℃以上の温度の通常の熱処理が行なわれ熱処理が行なわれ、電磁鋼板内に発生したひずみは再結晶により取り除くことができ、その鉄損は、基の素材の値と代わらないまでに回復させることができる。
表1には、一般的に使用される薄板の電磁鋼板にて、300℃から500℃までの温度で熱処理を実施した実験結果を、電磁鋼板の基の素材の損失を1として、比率で示したものである。
積層鉄心による励磁にて、回転機鉄心20に熱処理を行なうことができ積層鉄心の形状ならば良いため、図5および図6に示すような積層鉄心24及び25を用いてもよい。
まず、図5の積層鉄心24は、励磁巻線22が巻装された一方の脚部24aと他方の脚部24bとを有する。他方の脚部24bは、脚24ba,24baとこれらにラップする脚24bbとからなり、そのラップ部24cには、励磁巻線22に励磁が行なわれる際は、このラップ部24cに回転機鉄心20が存在した状態で行なわれる。これによると、回転機鉄心20に流れる磁束は、回転機鉄心の径方向に流れて電磁鋼板2,2の層間を通過しないため、さらに、磁束が効率よく流れるようになる。
以下本発明の第3の実施例について、図7および図8を参照しながら説明し、上記第2の実施例と同一部分には同一符号を付し、以下異なるところについて説明する。
図7は、回転機鉄心の製造装置の全体構成を示し、上記第2の実施例においける、2液式の接着剤17の代わりに、熱硬化性樹脂で構成された1液式の接着剤26を用い、一対の送り案内ローラ15,15の代わりに、一対の送り案内ローラ27,27を所定の間隔(厚さ)になるよう配置して用いると共に、送り案内ローラ27および4間に、新たに一対の送り案内ローラ28,28が所定の間隔(厚さ)になるように配設される。そして、これら送り案内ローラ27,28には、永久電磁石27a,28aが設けられる。また、送り案内ローラ27および28間には、誘導加熱装置29が設けられている。
以下本発明の第4の実施例について、図9を参照しながら説明し、上記第2の実施例と同一部分には同一符号を付して説明する。
図9は、回転機鉄心の電磁鋼板の巻取り装置の全体構成を示す。この図9において、送給装置14から送り出された電磁鋼板2には、接着剤供給装置31により、半硬化樹脂で構成された接着剤32が例えば電磁鋼板2の片面の略全面に塗布される。この電磁鋼板2と送給装置18から送り出された電磁鋼板2とが、送り案内ローラ33,33により貼り合わされる。一体化された電磁鋼板2,2は、送り案内ローラ34を介して、巻取り装置35によりフープ状に巻取られて、フープ状鋼板36が形成される。そして、フープ状鋼板36は、図示しないプレス機等に送られることで、打抜きかしめ結束されて回転機鉄心が成形される。
図10は本発明の第5の実施例を示しており、上記第1の実施例と同一部分には同一の符号を付して説明し、以下異なるところを説明する。
本実施例では、電磁鋼板2を用いる代わりに、表面に被膜を有しない電磁鋼板37を使用し、一対の送り案内ローラ4,4の上部の送り案内ローラ4に代わって接着剤供給装置38を設けることで、貼り合せて一体化された電磁鋼板37,37の片面に、1液式の接着剤39を3μmの厚さで電磁鋼板37,37の略全面に例えば電磁鋼板37の面積率にて80%以上に塗布した後、打抜くと共にかしめ結束して抜き鋼板40aを形成し、これら複数個積層して、回転機鉄心40を形成する。
上記実施例において、電磁鋼板2に代わって、一般構造鋼或いは純鉄系の薄板を使用しても良い。この場合、商用周波数において性能の悪い電磁材料であっても板厚の影響が優位にある高周波数での用途においては低損失材料となり、さらに、電気抵抗率を向上するための珪素などの非磁性体を添加していない素材であることから、素材自体の飽和磁束密度が高いといった利点があり、飽和磁束密度を向上させることで、実質的には占積率を向上させるのと同様の効果を得ることができる。さらに、低級な電磁材料であるため、素材自体の単価が安く、コストの低減に役立つ。
上記第3の実施例において、送り案内ローラ27,28を略水平方向に設置した構成としたが、これら送り案内ローラ27,28を水平方向から大きく傾けることにより、所定の板厚にした成形した場合に、電磁鋼板2,2の端部から吐き出された余分な接着剤を電磁鋼板2の表面から取り除く構成としても良い。
上記第3の実施例において、永久磁石27a,28bにより、電磁鋼板2,2を吸引することで、所定の板厚となる構成としたが、上記第2,4,5の実施例に同様の構成を適用してもよい。
上記第1の実施例において、溶接装置7を送り案内ローラ3および4間に設置する構成としたが、特定の場所に固定する必要はなく、プレス機6で打抜くまでの間ならどこに設置してもよい。
Claims (11)
- 複数枚の電磁鋼板の長手方向の端面を溶接して一体化させ、これら複数枚の電磁鋼板を同時に打抜くと共にかしめ結束をして回転機鉄心を構成することを特徴とする回転機鉄心の製造方法。
- 溶接方法として、パルスレーザを採用したことを特徴とする請求項1記載の回転機鉄心の製造方法。
- 複数枚の電磁鋼板の略全面を接着剤にて貼り合わせて一体化させ、これら複数枚の電磁鋼鈑を同時に打抜くと共にかしめ結束して回転機鉄心を構成することを特徴とする回転機鉄心の製造方法。
- 前記複数枚の電磁鋼板間に存在する接着層は、3μm以内の厚さで、かつ電磁鋼板の面積率にて80%以上の略全面に塗布されたことを特徴とする請求項3記載の回転機鉄心の製造方法。
- 前記接着層を構成する接着剤に、半硬化樹脂を使用したことを特徴とする請求項3または4記載の回転機鉄心の製造方法。
- 複数枚の電磁鋼鈑を接着剤として半硬化樹脂を用いて貼り合わせて一体化させた後、電磁鋼板をフープ状に巻取り、この巻取られた電磁鋼板を基に、打抜くと共にかしめ結束をして回転機鉄心を構成することを特徴とする回転機鉄心の製造方法。
- 電磁鋼鈑を磁気的に吸引する一対のローラ群を設置し、これらのローラにより吸引された電磁鋼板間に接着剤を供給するようにしたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の回転機鉄心の製造方法。
- 前記複数の電磁鋼鈑として、表面に皮膜を有しない電磁鋼板を使用したことを特徴とする請求項3,4,5または7に記載の回転機鉄心の製造方法。
- 前記複数枚の電磁鋼板として、特に一般構造鋼或いは純鉄系の薄板を使用したことを特徴する請求項3ないし7のいずれかに記載の回転機鉄心の製造方法。
- 500℃以下にて回転機鉄心の熱処理を行なうことを特徴とする請求項3ないし9のいずれかに記載の回転機鉄心の製造方法。
- 積層鉄心の一方の脚には巻線が巻回され、他方の脚には回転機鉄心が嵌合されて、前記巻線に交流電流を流すことにより、回転機鉄心の熱処理を行なうことを特徴とする請求項10に記載の回転機鉄心の製造方法。
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