JP6750251B2 - 難燃性樹脂組成物及び樹脂成形体 - Google Patents
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Description
このため、難燃性に優れ、かつ、誘電率及び誘電正接が低い難燃性樹脂組成物が求められていた。
しかしながら、縮合リン酸エステル系難燃剤は、環状オレフィン開環重合体水素添加物との相溶性や、環状オレフィン開環重合体水素添加物中における分散性に劣る傾向があり、混錬時に縮合リン酸エステル系難燃剤が分離することがあった。また、縮合リン酸エステル系難燃剤の分離を抑制するためにその添加量を減らすと、難燃性に優れる樹脂組成物が得られ難くなるという問題が生じた。
本発明者がさらに検討を重ねた結果、縮合リン酸エステル系難燃剤に加えて有機ホスフィン酸塩系難燃剤を用いることにより、縮合リン酸エステル系難燃剤の分離を抑制することができ、これにより、難燃性に優れ、かつ、誘電率及び誘電正接が低い難燃性樹脂組成物が得られることを見出した。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
〔1〕環状オレフィン開環重合体水素添加物、縮合リン酸エステル系難燃剤、及び有機ホスフィン酸塩系難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物であって、前記縮合リン酸エステル系難燃剤が、下記式(1)
で示される化合物であり、前記有機ホスフィン酸塩系難燃剤が、下記式(2)
又は下記式(3)
で示される化合物であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。
〔2〕前記縮合リン酸エステル系難燃剤の融点が150℃以下である、〔1〕に記載の難燃性樹脂組成物。
〔3〕前記縮合リン酸エステル系難燃剤の含有量が、環状オレフィン開環重合体水素添加物100重量部に対して、1〜30重量部である、〔1〕又は〔2〕に記載の難燃性樹脂組成物。
〔4〕前記有機ホスフィン酸塩系難燃剤の融点が300℃以上である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
〔5〕前記有機ホスフィン酸塩系難燃剤の含有量が、環状オレフィン開環重合体水素添加物100重量部に対して、1〜30重量部である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
本発明の難燃性樹脂組成物は、環状オレフィン開環重合体水素添加物、縮合リン酸エステル系難燃剤(以下、「難燃剤(α)」ということがある。)、及び有機ホスフィン酸塩系難燃剤(以下、「難燃剤(β)」ということがある。)を含有する難燃性樹脂組成物であって、難燃剤(α)が、前記式(1)で示される化合物であり、難燃剤(β)が、前記式(2)又は式(3)で示される化合物であることを特徴とする。
本発明に用いる環状オレフィン開環重合体水素添加物は、環状オレフィン開環重合体を水素添加反応に供して得られるものである。
環状オレフィン開環重合体は、環状オレフィンを単量体として用いて開環重合反応を行うことにより得られる重合体である。特に、本発明においては、単量体として、少なくもノルボルネン系単量体を用いて得られる重合体を意味する。
ここで、「環状オレフィン」とは、分子内に脂環式構造を有し、かつ、該脂環式構造内に炭素−炭素二重結合を有する化合物をいう。また、「ノルボルネン系単量体」とは、分子内にノルボルネン環構造を含む単量体をいう。
本発明においては、重合体成分として環状オレフィン開環重合体水素添加物を用いることにより、誘電率が低い難燃性樹脂組成物を効率よく得ることができる。
R9〜R12の無置換の炭素数1〜20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等のアルキル基;シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル(プロパルギル)基、3−ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等のアルキニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;メチリデン基、エチリデン基、プロピリデン基等のアルキリデン基;等が挙げられる。
これらの置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
また、R9とR10、R11とR12又はR9とR11は一緒になって環を形成していてもよい。
トリシクロ[4.3.01,6.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)及びこの誘導体等の3環式単量体;
7,8−ベンゾトリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン(慣用名:メタノテトラヒドロフルオレン:1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)及びこの誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン及びこれらの誘導体等の4環式単量体;等が挙げられる。
環状オレフィン開環重合体が共重合体である場合、かかる共重合体は、ブロック共重合体であってもよいし、ランダム共重合体であってもよい。
単環の環状オレフィン単量体としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン等の環状モノオレフィン及びこれらの誘導体;シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン等の環状ジオレフィン及びこれらの誘導体;等が挙げられる。
単環の環状オレフィン単量体は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
メタセシス重合触媒としては、特に限定はなく、公知のものが用いられる。メタセシス重合触媒としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及び白金などから選ばれる金属の、ハロゲン化物、硝酸塩又はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒系;チタン、バナジウム、ジルコニウム、タングステン及びモリブデンから選ばれる金属のハロゲン化物又はアセチルアセトン化合物と、助触媒の有機アルミニウム化合物とからなる触媒系;シュロック型又はグラブス型のリビング開環メタセシス重合触媒(特開平7−179575号、J.Am.Chem.Soc.,1986年,108,p.733、J.Am.Chem.Soc.,1993年,115,p.9858、及びJ.Am.Chem.Soc.,1996年,118,p.100);等が挙げられる。
直鎖α−オレフィンの添加量は、環状オレフィン単量体1モルに対して、通常0.001〜0.030モル、好ましくは0.003〜0.020モル、より好ましくは0.005〜0.015モルである。
環状オレフィン開環重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4である。
環状オレフィン開環重合体の重量平均分子量及び分子量分布が上記範囲内にあることで、十分な機械的強度を有する樹脂成形体が得られ易くなる。
環状オレフィン開環重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、テトラヒドロフランを展開溶媒とするゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)による標準ポリスチレン換算値である。
ここで、「結晶性の環状オレフィン開環重合体水素添加物」は、示差走査熱量測定を行ったときに、融点が観測される重合体である。
環状オレフィン開環重合体の水素添加反応は、例えば、水素化触媒の存在下で、反応系内に水素を供給することにより行うことができる。水素化触媒は、特に限定されず、オレフィン化合物の水素添加反応に一般に使用されている均一系触媒や不均一触媒を適宜使用することができる。
水素圧力は、通常0.01〜20MPa、好ましくは0.05〜15MPa、より好ましくは0.1〜10MPaである。水素圧力が低すぎると水素化速度が遅くなりすぎる場合があり、高すぎると高耐圧反応装置が必要となる点において装置上の制約が生じる。反応時間は特に限定されないが、通常0.1〜10時間である。
環状オレフィン開環重合体水素添加物の分子量分布(Mw/Mn)は、特に限定されないが、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜4である。
環状オレフィン開環重合体水素添加物の重量平均分子量及び分子量分布が上記範囲内にあることで、十分な機械的強度を有する樹脂成形体が得られ易くなる。
環状オレフィン開環重合体水素添加物の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、先に説明したものと同様の方法により測定することができる。
このような融点を有する環状オレフィン開環重合体水素添加物は、成形性と耐熱性とのバランスにより優れる。環状オレフィン開環重合体水素添加物の融点は、そのシンジオタクチック立体規則性の度合い(ラセモ・ダイアッドの割合)を調節したり、用いる単量体の種類を選択したりすること等により、調節することができる。
本発明の難燃性樹脂組成物は、下記式(1)で示される縮合リン酸エステル系難燃剤〔難燃剤(α)〕を含有する。
本発明の難燃性樹脂組成物においては、難燃剤(α)を用いることで、誘電率及び誘電正接が低い難燃性樹脂組成物を効率よく得ることができる。
これらの置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
aは、2以上の整数を表し、好ましくは2〜30の整数である。aが2以上の整数であることで、縮合リン酸エステル系難燃剤のブリードアウトが起き難い樹脂組成物を得ることができる。
炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基等が挙げられる。
難燃剤(α)の5%重量減少温度は、300℃以上が好ましく、350℃以上がより好ましい。環状オレフィン開環重合体水素添加物と添加剤等との混錬は、比較的高い温度で行われるため、5%重量減少温度が高い難燃剤(α)が好ましく用いられる
本発明の難燃性樹脂組成物は、下記式(2)又は(3)で示される有機ホスフィン酸塩系難燃剤〔難燃剤(β)〕を含有する。
本発明の難燃性樹脂組成物においては、難燃剤(β)は、難燃剤として用いるのと同時に、難燃剤(α)を環状オレフィン開環重合体水素添加物に相溶化させるための相溶化剤としても用いられる。
すなわち、難燃剤(α)は、環状オレフィン開環重合体水素添加物との相溶性や、環状オレフィン開環重合体水素添加物中における分散性に劣る傾向があり、樹脂組成物中に十分な量の難燃剤(α)を含ませることができないという問題があったが、難燃剤(β)を共存させることにより、この問題を解消することができる。この結果、難燃性に優れ、かつ、誘電率及び誘電正接が低い難燃性樹脂組成物を得ることができる。
R5〜R8の無置換のアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニリル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の炭素数6〜20、好ましくは炭素数6〜12のアリール基が挙げられる。
これらの置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;等が挙げられる。
Mc+としては、Mb+として示したものと同様のものが挙げられる。
式(2)で示される化合物としては、ビス(ジメチルホスフィン酸)亜鉛、ビス(ジエチルホスフィン酸)亜鉛、トリス(ジメチルホスフィン酸)アルミニウム、トリス(ジエチルホスフィン酸)アルミニウム等が挙げられる。
難燃剤(β)の5%重量減少温度は、300℃以上が好ましく、350℃以上がより好ましい。環状オレフィン開環重合体水素添加物と添加剤等との混錬は、比較的高い温度で行われるため、5%重量減少温度が高い難燃剤(β)が好ましく用いられる
本発明の難燃性樹脂組成物は、ドリップ防止剤を含有していてもよい。
ドリップ防止剤は、難燃剤(α)や難燃剤(β)と併用することで燃焼時の液滴の落下(ドリップ)を抑制し、難燃性樹脂組成物の難燃性を高める化合物である。ドリップ防止剤としては、フェノール系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ドリップ防止効果が高いことから、フッ素系樹脂が好ましい。フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロポリプロピレン)共重合体、(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル)共重合体、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体、(ヘキサフルオロポリプロピレン/プロピレン)共重合体、ポリビニリデンフルオライド、(ビニリデンフルオライド/エチレン)共重合体等が挙げられる。これらの中でもポリテトラフルオロエチレン、(テトラフルオロエチレン/エチレン)共重合体が好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物がドリップ防止剤を含有する場合、難燃性樹脂組成物中のドリップ防止剤の含有量は、環状オレフィン開環重合体水素添加物100重量部に対して、通常0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部である。
本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明の効果を妨げない範囲において、その他の公知の添加剤を含有していてもよい。
かかる添加剤としては、充填材、酸化防止剤、離型材、難燃剤(α)や難燃剤(β)以外の難燃剤、抗菌剤、カップリング剤、可塑剤、着色剤、滑剤、シリコンオイル、発泡剤、界面活性剤、光安定剤、分散剤、分散助剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、結晶化核剤、防曇剤、中和剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、熱可塑性エラストマー、繊維状強化材(ガラス繊維、炭素繊維、合成繊維、セラミック繊維、ウィスカー)、板状強化材(マイカ、タルク、クレー、ガラスフレーク)、粒状強化材(金属酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ガラスビーズ、カーボンブラック)等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの添加剤の含有量は特に制限されず、本発明の効果を損なわない範囲で、添加する目的に応じて適宜定めることができる。
本発明の難燃性樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を利用することができる。例えば、前記環状オレフィン開環重合体水素添加物、難燃剤(α)、難燃剤(β)、必要に応じて配合するその他の添加剤を混合することにより、本発明の難燃性樹脂組成物を得ることができる。
混合する方法は、各成分が十分に混ざるものであれば、特に限定されない。なかでも、結晶性の環状オレフィン開環重合体水素添加物を用いる場合、十分に混合された難燃性樹脂組成物が得られ易いことから、溶融状態で混錬する方法が好ましい。
混練後は、溶融状態で棒状に押し出し、ストランドカッターで適当な長さに切断することで、難燃性樹脂組成物のペレットを得ることができる。
本発明の樹脂成形体は、本発明の難燃性樹脂組成物を成形してなるものである。
成形方法は特に限定されず、射出成形法、圧縮成形法、押出成形法等の公知の成形方法を利用することができる。
各例における測定は、以下の方法により行った。
示差走査熱量計(DSC)を用いて、昇温速度が10℃/分の条件で示差走査熱量測定を行い、重合体のガラス転移温度及び融点を測定した。
テトラヒドロフランを溶媒として、40℃でゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を行い、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)をポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)システム「HLC−8220」(東ソー社製)
カラム:「Hタイプカラム」(東ソー社製)
1H−NMR測定に基づいて、重合体中の不飽和結合の水素添加率を求めた。
用いた難燃剤は、以下のとおりである。
縮合リン酸エステル系難燃剤(B1):ADEKA社製、商品名:FP−800、融点65〜85℃、下記式(5)で示される化合物
内部を窒素置換した金属製耐圧反応容器に、シクロヘキサン154.5部、ジシクロペンタジエン(エンド体含有率99%以上)のシクロヘキサン溶液(濃度70%)42.8部(ジシクロペンタジエンとして30部)、1−ヘキセン1.9部を加え、全容を53℃に加熱した。
一方、テトラクロロタングステンフェニルイミド(テトラヒドロフラン)錯体0.014部を0.70部のトルエンに溶解して得られた溶液に、ジエチルアルミニウムエトキシドのn−ヘキサン溶液(濃度19%)0.061部を加えて10分間攪拌し、触媒溶液を調製した。この触媒溶液を前記反応器内に添加し、53℃で4時間、開環重合反応を行い、ジシクロペンタジエン開環重合体を含む溶液を得た。
この溶液の一部を用いて、ジシクロペンタジエン開環重合体の分子量を測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,100、数平均分子量(Mn)は8,750、分子量分布(Mw/Mn)は3.21であった。
反応液を遠心分離することにより、固形分と溶液とを分離し、固形分を、60℃で24時間減圧乾燥し、ジシクロペンタジエン開環重合体水素添加物(A1)28.5部を得た。
ジシクロペンタジエン開環重合体水素添加物(A1)の水素添加率は99%以上、ガラス転移温度は98℃、融点は262℃であった。
製造例1で得たジシクロペンタジエン開環重合体水素添加物(A1)100部、縮合リン酸エステル系難燃剤(B1)10部、有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C1)10部を、小型二軸混練押出機(テクノベル社製 KZW15−30MG)で混練し、ストランド(棒状の溶融樹脂)を得た後、これをストランドカッターでカットして、ペレット状(粒状)の樹脂組成物を得た。
小型二軸混練機の運転条件を以下に示す。
・バレル設定温度:270〜290℃
・スクリュー回転数:90〜100rpm
・スクリュー径:15mm
・L/D:40
有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C1)を20部用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
縮合リン酸エステル系難燃剤(B1)を20部用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
縮合リン酸エステル系難燃剤(B1)に代えて縮合リン酸エステル系難燃剤(B2)10部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
難燃剤を加えずに、ジシクロペンタジエン開環重合体水素添加物(A1)100部のみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C1)を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
縮合リン酸エステル系難燃剤(B1)を20部加えたこと、有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C1)を加えなかったこと以外は、実施例1と同様にして二軸混練を行ったが、難燃剤と樹脂が分離してしまったため、ペレット状(粒状)の樹脂組成物が得られなかった。
縮合リン酸エステル系難燃剤(B1)を加えなかったこと、有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C1)を30部加えたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
有機ホスフィン酸塩系難燃剤(C1)の代わりに、メラミン系難燃剤(D1)10部を用いたこと以外は、実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
縮合リン酸エステル系難燃剤(B1)の代わりに、縮合リン酸エステル系難燃剤(B3)10部を用いたこと以外は実施例1と同様にして樹脂成形体を得た。
実施例、比較例で得られた厚さ1.5mmの樹脂成形体を、ホットカッターで1辺100mmの正方形に切り出し、これを試験片とした。この試験片を150℃のオーブン中に12時間静置した後、これを室温に冷却した。この試験片について外観観察及び触感評価を行い、難燃剤のブリードアウトの有無を調べた。
実施例、比較例で得られた厚さ1.5mmの樹脂成形体を、ホットカッターで幅13mm、長さ125mmの帯状に切り出し、これを試験片とした。試験片をクランプで垂直に固定するとともに、その下に綿を配置した。試験片の下端にバーナーの火を10秒間接炎させた後で炎を取り除き、試験片に着火した火が消えるまでの時間を測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を10秒間行い、1回目と同様にして着火した火が消えるまでの時間を測定した。また、燃焼時に落下する火種により試験片の下に配置した綿が着火するか否かについても評価した。
1回目と2回目の燃焼時間、綿着火の有無等からUL−94V規格にしたがって、燃焼ランクをつけた。燃焼ランクは規格外、V−2、V−1、V−0の順に難燃性が高くなる。
実施例、比較例で得られた厚さ1.5mmの樹脂成形体を、ホットカッターで1辺50mmの正方形に切り出し、これを試験片とした。この試験片について、ベクトルネットワークアナライザ(Agilent Technologies社製 PNA)を用いて、平衡形円板共振器法により、10〜70GHz帯域の誘電率と誘電正接を測定し、以下の基準により評価した。
誘電率
○:全ての測定点において2.5未満
×:2.5以上の測定点が存在する。
誘電正接
○:全ての測定点において0.002未満
×:0.002以上の測定点が存在する。
実施例1〜4で得られた樹脂組成物は、UL94に基づく燃焼性試験における評価がV−2であり、難燃性に優れている。また、これらの樹脂組成物は、いずれも誘電率、誘電正接が低く、電気特性に優れている。
一方、比較例1は、ジシクロペンタジエン開環重合体水素添加物単独での結果であり、この重合体は難燃性が十分でないことがわかる。
また、有機ホスフィン酸塩系難燃剤を用いない場合、難燃性に劣る樹脂組成物が得られるか(比較例2)、混錬時に縮合リン酸エステル系難燃剤が分離し、目的の樹脂組成物が得られない(比較例3)。
比較例4で得られた樹脂組成物は、難燃剤として有機ホスフィン酸塩系難燃剤のみを含有するものである。この樹脂組成物は、難燃性に劣り、また、誘電正接が高い。
比較例5で得られた樹脂組成物は、有機ホスフィン酸塩系難燃剤の代わりに、同じような高融点の難燃剤であるメラミン系難燃剤を含有するものである。この樹脂組成物は、誘電率及び誘電正接が高く、電気特性に劣っている。
比較例6で得られた樹脂組成物は、縮合リン酸エステル系難燃剤として分子量が小さい化合物を含有するものである。この樹脂組成物においては難燃剤のブリードアウト現象が見られる。
Claims (6)
- 結晶性の環状オレフィン開環重合体水素添加物、縮合リン酸エステル系難燃剤、及び有機ホスフィン酸塩系難燃剤を含有する難燃性樹脂組成物であって、
前記結晶性の環状オレフィン開環重合体水素添加物のラセモ・ダイアッドの割合が55%以上であり、
前記縮合リン酸エステル系難燃剤が、下記式(1)
で示される化合物であり、
前記有機ホスフィン酸塩系難燃剤が、下記式(2)
又は下記式(3)
で示される化合物であることを特徴とする難燃性樹脂組成物。 - 前記縮合リン酸エステル系難燃剤の融点が150℃以下である、請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記縮合リン酸エステル系難燃剤の含有量が、結晶性の環状オレフィン開環重合体水素添加物100重量部に対して、1〜30重量部である、請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記有機ホスフィン酸塩系難燃剤の融点が300℃以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 前記有機ホスフィン酸塩系難燃剤の含有量が、結晶性の環状オレフィン開環重合体水素添加物100重量部に対して、1〜30重量部である、請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物を成形してなる樹脂成形体。
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