JP6749759B2 - 生体関連物質吸着剤およびその製造方法ならびに生体関連物質吸着剤を含有する樹脂、繊維、衣服、フィルタおよびマスク - Google Patents

生体関連物質吸着剤およびその製造方法ならびに生体関連物質吸着剤を含有する樹脂、繊維、衣服、フィルタおよびマスク Download PDF

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Description

この発明は、層状複水酸化物を用いた生体関連物質吸着剤およびその製造方法ならびに層状複水酸化物を用いた生体関連物質吸着剤を含有する樹脂、繊維、衣服、フィルタおよびマスクに関するものである。
毒性物質や病原微生物は、ヒトや動物に重篤な疾患を引き起こすため、医薬品の品質管理や臨床分野等の様々な現場において、その混入を防いだり、除去したりする必要がある。
例えば、毒性物質であるエンドトキシンは、グラム陰性菌の菌体成分であり、生体に対して、致死性、発熱性、シュワルツマン反応、白血球減少、血小板減少等の強力な毒性を示すことが知られている。医薬品の品質管理においては、エンドトキシンによって引き起こされる発熱作用が問題となっており、臨床分野においては、グラム陰性菌の感染に伴って放出されるエンドトキシンを原因物質とする汎発性血管内凝固症候群や多臓器障害等の重篤な疾患が問題となっている。エンドトキシンは、環境中に広く常在する細菌に由来することから簡単に汚染が起こること、たとえ菌を死滅させてもエンドトキシンは残存して極めて微量でも活性を示すこと、が知られている。そのため、エンドトキシンを除去するための技術やエンドトキシン除去効果を有する製品の開発が望まれている。
従来、エンドトキシンを除去する材料として、物理的吸着作用を利用する活性炭や、分子ふるいの原理を利用するメンブレンフィルター等が知られている。また、アフィニティクロマトグラフィやプラス荷電修飾膜等の化学的吸着を利用する吸着剤も知られている。例えば、pK>7.2のアミノ酸から合成されるオリゴペプチドを吸着リガンドとする吸着剤(例えば、特許文献1参照)や、多孔性の担体上にプラス荷電物質であるポリミキシンを固定化した吸着剤(例えば、特許文献2参照)が挙げられる。
また、ウイルス、細菌、真菌等の病原微生物により引き起こされる感染症が数多く存在している。例えば、インフルエンザウイルスやノロウイルス等のウイルスは、毎年猛威をふるい、多くの人々がその感染症に苦しんでいる。そのため、ウイルスの除去技術やウイルス除去・不活化効果を有する製品の開発が望まれている。
従来、ウイルスを除去する材料としては、活性炭や、連続気孔構造を有するリン酸カルシウム系多孔質顆粒を用いた吸着剤(例えば、特許文献3参照)等が知られている。
特表2003−511354 特表2012−515577 特開平3−21342
しかしながら、従来の毒性物質や病原微生物を吸着する吸着剤は、吸着活性が低く、十分に吸着除去できるものではなかった。また、従来の吸着剤は、担体へのリガンドの固定化等の手間とコストがかかるという問題もあった。
そこで本発明は、毒性物質や病原微生物を含む生体関連物質を簡便かつ効果的に除去することのできる生体関連物質吸着剤およびその製造方法ならびに当該生体関連物質吸着剤を含有する樹脂、繊維、衣服、フィルタおよびマスクを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明における生体関連物質吸着剤は、比表面積が20m/g以上である層状複水酸化物を有効成分とし、生体関連物質を吸着することを特徴とする。
この場合、前記生体関連物質は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、糖、脂質、細胞、ウイルス、細菌、真菌のいずれか1つ以上である方が好ましい。
また、前記層状複水酸化物は、抗菌性金属成分を担持させたものである方が好ましい。
さらに、前記層状複水酸化物は、
(1)2価の金属イオンと、3価の金属イオンと、を含む酸性溶液と、
(2)アルカリ性溶液と、
(3)抗菌性金属成分を含む水溶液と、
を混合して合成されるものである方が好ましい。
また、前記層状複水酸化物は、比表面積が70m/g以上である方が好ましく、結晶子サイズが20nm以下である方が好ましい。また、前記層状複水酸化物は、活性炭又はゼオライトに担持させたものである方が好ましい。また、前記層状複水酸化物は、樹脂又は繊維に担持させたものとすることもできる。
また、本発明の生体関連物質吸着剤の製造方法は、比表面積が20m/g以上である層状複水酸化物を有効成分とする生体関連物質吸着剤を製造する製造方法であって、
(1)2価の金属イオンと、3価の金属イオンと、を含む酸性溶液と、
(2)アルカリ性溶液と、
(3)抗菌性金属成分を含む水溶液と、
を混合して前記層状複水酸化物を合成する層状複水酸化物合成工程を有することを特徴とする。
この場合、前記層状複水酸化物合成工程は、前記酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、2時間以内に水分を除去又は中和するものである方が好ましい。
また、本発明の樹脂は、上述した本発明の生体関連物質吸着剤を含有することを特徴とする。
また、本発明の繊維は、上述した本発明の生体関連物質吸着剤を含有することを特徴とする。
また、本発明の衣服は、上述した本発明の生体関連物質吸着剤を含有することを特徴とする。
また、本発明のフィルタは、上述した本発明の生体関連物質吸着剤を含有することを特徴とする。
また、本発明のマスクは、上述した本発明の生体関連物質吸着剤を含有することを特徴とする。
本発明によれば、比表面積の大きい層状複水酸化物を用いることで、毒性物質や病原微生物を含む生体関連物質を簡便かつ効果的に除去することができる。
[生体関連物質吸着剤]
以下に、本発明の生体関連物質吸着剤について説明する。
本発明の生体関連物質吸着剤は、比表面積が20m/g以上である層状複水酸化物を有効成分とし、生体関連物質を吸着するものである。
本発明の吸着剤が生体関連物質に対して吸着性を示す理由は明らかではないが、吸着対象が負の電荷を帯びている場合には、層状複水酸化物の陰イオン交換作用により吸着されることが推測される。また、吸着対象が正の電荷を帯びている場合には、例えば、層状複水酸化物の水酸化物シート中の金属イオンと置き換わることにより吸着される可能性がある。また、イオン性でない物質であっても、層間に取り込まれる可能性がある。さらに、層状複水酸化物の表面や微細孔に物理的に吸着されることも推測される。
まず、本発明の吸着剤の吸着対象となる生体関連物質について説明する。
本発明の吸着剤の吸着対象となる生体関連物質とは、生体を構成する分子やその構成要素のほか、生体の機能に影響を与える物質(毒性物質、病原微生物)やその構成要素を指す。具体的には、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、糖、脂質、細胞、ウイルス、細菌、真菌等が含まれ、ビタミン、ホルモン、ヘモグロビン、葉緑素等の生体に関連するその他の物質も含まれる。
本発明の吸着剤の吸着対象となるアミノ酸は、特に限定されず、酸性アミノ酸、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸のいずれであってもよい。例えば、アスパラギン酸やグルタミン酸等の酸性アミノ酸の場合には、側鎖にカルボキシル基を有するため、陰イオン交換作用により層間に取り込まれやすいと考えられる。
本発明の吸着剤の吸着対象となるペプチドは、ペプチドを構成するアミノ酸の数に特に制限はなく、オリゴペプチド、ポリペプチドのいずれであってもよい。また、その構造にも制限はなく、直鎖状、分岐状、環状のいずれあってもよい。環状のペプチドとしては、例えば、ミクロシスチンが挙げられる。ミクロシスチンは、7個のアミノ酸から構成された肝毒性を示す物質であり、アオコ中に含まれることが知られている。そのため、アオコに汚染された河川等の水を飲料水とすることによる、人体や動物への影響が問題となっている。したがって、アオコが産生するミクロシスチンを吸着することができる本発明の吸着剤は、水質浄化の分野において非常に有用であるといえる。
本発明の吸着剤の吸着対象となるタンパク質は、その構造や、タンパク質を構成するアミノ酸の数に特に制限はなく、どのようなタンパク質であってもよい。また、糖鎖が結合していてもよい。低分子のタンパク質としては、例えば、インターロイキンやインターフェロン等のサイトカインが挙げられる。タンパク質の種類としては、酸性タンパク質、塩基性タンパク質のいずれであってもよいが、例えば溶液中でタンパク質の有効表面電荷が負に変化している場合には、陰イオン交換作用により層間に取り込まれやすいと考えられる。
本発明の吸着剤の吸着対象となるヌクレオシドは、リボヌクレオシド、デオキシヌクレオシドのいずれであってもよい。また、本発明の吸着剤の吸着対象となるヌクレオチドは、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチドのいずれであってもよく、結合するリン酸基の数に制限はない。また、ヌクレオチドが重合したポリヌクレオチドであってもよい。また、本発明の吸着剤の吸着対象となる核酸は、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)のいずれあってもよい。
本発明の吸着剤の吸着対象となる糖は、単糖、二糖、オリゴ糖、多糖のいずれであってもよい。また、デオキシ糖、ウロン酸、アミノ糖、糖アルコール等であってもよい。多糖としては、例えば、エンドトキシンが挙げられる。エンドトキシンは、グラム陰性菌の外膜に局在している菌体成分であり、多くのリン酸基を有している。このリン酸基に起因してエンドトキシンは全体として負の電荷を帯びていることから、陰イオン交換作用により層間に取り込まれやすいと考えられる。
本発明の吸着剤の吸着対象となる脂質は、特に限定されるものではなく、アシルグリセロールやセラミド等の単純脂質、リン脂質や糖脂質やリポタンパク質等の複合脂質、脂肪酸やステロイド等の誘導脂質のいずれであってもよい。
本発明の吸着剤の吸着対象となるウイルスは、核酸の種類およびエンベロープの有無を問わず、すべての種類のウイルスが含まれる。例えば、インフルエンザウイルス、SARSコロナウイルス、RSウイルス、ムンプスウイルス、ラッサウイルス、デングウイルス、風疹ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、ノロウイルス、ポリオウイルス、エコーウイルス、A型肝炎ウイルス、E型肝炎ウイルス、ライノウイルス、アストロウイルス、ロタウイルス、コクサッキーウイルス、エンテロウイルス、サポウイルス、ヒトヘルペスウイルス、ワクシニアウイルス、B型肝炎ウイルス、アデノウイルス、B19ウイルス、パポバウイルス、ヒトパピローマウイルス等が挙げられる。ウイルスは、中性域で負の電荷を帯びていることから、陰イオン交換作用により層間に取り込まれやすいと考えられる。なお、本発明の吸着剤は、ウイルスを吸着することにより、抗ウイルス(ウイルス不活化)作用を有すると考えられる。
本発明の吸着剤の吸着対象となる細菌は、その形状によって限定されるものではなく、球菌、桿菌、らせん菌等のいずれであってもよい。例えば、ブドウ球菌、大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、コレラ菌、赤痢菌、炭疽菌、結核菌、ボツリヌス菌、破傷風菌、レンサ球菌等が挙げられる。また、グラム染色性によって限定されるものではなく、グラム陽性菌、グラム陰性菌のいずれであってもよい。グラム陰性菌の場合、上述したように、グラム陰性菌の外膜に局在するエンドトキシンが負の電荷を帯びている。一方、グラム陽性菌の場合、ペプチドグリカン層を形成しているタイコ酸が負の電荷を帯びている。そのため、グラム陰性菌、グラム陽性菌のいずれにおいても、陰イオン交換作用により層間に取り込まれやすいと考えられる。なお、本発明の吸着剤は、細菌を吸着することにより、菌の発生、生育および増殖のうち少なくとも一つを防止することのできる抗菌作用を有すると考えられる。
本発明の吸着剤の吸着対象となる真菌は、特に限定されるものではなく、例えば、白癬菌、カンジダ、クリプトコックス、アスペルギルス等が挙げられる。なお、本発明の吸着剤は、真菌を吸着することにより、真菌の発生、生育および増殖のうち少なくとも一つを防止することのできる抗真菌作用を有すると考えられる。
次に、本発明の生体関連物質吸着剤の有効成分である層状複水酸化物について説明する。
層状複水酸化物は、一般式がM2+ 1-xM3+ x(OH)2(An-x/n・mH2O(ここで、M2+は2価の金属イオン、M3+は3価の金属イオン、An-はn価の陰イオン、0<x<1、m>0)で表される不定比化合物であり、ハイドロタルサイト様化合物と呼ばれることもある。2価の金属イオン(M2+)としては、例えば、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Cu2+等が挙げられる。また、3価の金属イオン(M3+)としては、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+、Mn3+等が挙げられる。また、陰イオン(An-)としては、例えば、ClO4 -、CO3 2-、HCO3 -、PO4 3-、SO4 2-、SiO4 4-、OH-、Cl-、NO2 -、NO3 -等が挙げられる。本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物は、2価の金属イオン(M2+)、3価の金属イオン(M3+)、陰イオン(An-)として、どのようなものを用いたものでもよい。
また、層状複水酸化物は、正電荷をもつ水酸化物層がシート状に積み重なり、その層間に負電荷をもつ陰イオンと水が保持された構造であり、水酸化物層のシートの積み重なり方により、菱面体晶構造のものと六方晶構造のものがある。本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物は、いずれの構造であってもよい。
また、本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物の形状は、スラリー状で用いるほか、スラリーをろ過・洗浄・乾燥・粉砕して粉末状にしたものや、粒状にしたもの等を用いることができる。なお、粒状で用いる場合、その粒径は特に限定されるものではないが、本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物の比表面積が20m/g以上のものであることから、従来の層状複水酸化物(比表面積の小さい層状複水酸化物)よりも大きい粒径を用いても高い効果を得ることができる。
また、本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物の結晶子サイズは、20nm以下とすることができ、10nm以下であることが好ましい。また、平均結晶子サイズが10nm以下であることが好ましい。
また、本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物は、層状複水酸化物の焼成物であってもよい。当該焼成物は、例えば、層状複水酸化物を約500℃以上で焼成することにより得ることができる。
本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物は、BET法による比表面積が20m/g以上であり、好ましくは30m/g以上であり、更に好ましくは50m/g以上であり、更に好ましくは70m/g以上である。比表面積の上限は特に限定されない。
BET法による比表面積は、例えば、窒素吸脱着等温線を比表面積・細孔分布測定装置を用いて測定し、当該測定結果からBET−plotを作成して求めることができる。
また、本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物は、抗菌性金属成分を担持させたものとすることもできる。抗菌性金属成分としては、銅、銀、金、鉛、白金、ニッケル、アルミニウム、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、チタン等の金属の原子、イオン、または化合物を用いることができる。ここで、化合物とは、無機酸塩、有機酸塩、酸化物又または錯体を含むものである。例えば、銅の化合物としては、硫酸銅、硝酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、炭酸銅、オレイン酸銅、ナフテン酸銅、酸化第一銅、酸化第二銅、銅クロロフィル、フタロシアニン銅、等が挙げられる。
また、本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物は、活性炭又はゼオライトに担持させたものであることが好ましい。これにより、層状複水酸化物に由来する吸着作用および陰イオン交換作用に加えて、活性炭に由来する吸着作用やゼオライトに由来する吸着作用および陽イオン交換作用を有するものとなる。また、活性炭は、微小な黒鉛様結晶子とそれらをつなぐ炭化水素部分からなり、多孔性構造を有するものである。活性炭が多機能である理由はこの多孔性構造にあると考えられており、孔径に応じて異なる機能が発揮される。これに対し、本発明の層状複水酸化物の結晶子サイズが20nm以下の場合には、活性炭の細孔に比較して小さいことから、活性炭本来の吸着作用効果を阻害することがない。したがって、層状複水酸化物と活性炭の両方の効果を発揮できるという利点を有する。
本発明の吸着剤に用いる活性炭は、その原料が、石炭系(泥炭、亜炭、かつ炭、瀝青炭等)、木質系(ヤシ殻、木材、おが屑)、その他(石油ピッチ、合成樹脂(高分子)、各種有機灰等)のいずれを用いたものでもよい。また、活性炭の形状は、粉末状活性炭、破砕、顆粒、成型等の粒状活性炭、繊維状活性炭等、どのような形状であってもよい。
ゼオライトは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む含水アルミノケイ酸塩であり、一般式が(MI , MII 1/2m(AlmSinO2(m+n))・xH2O(ここで、MIは1価の金属イオン、MIIは2価の金属イオン、n≧m)で表されるものである。1価の金属イオン(MI)としては、例えば、Li、Na、K等が挙げられる。また、2価の金属イオン(MII)としては、例えば、Ca2+、Mg2+、Ba2+等が挙げられる。本発明の吸着剤に用いるゼオライトは、1価の金属イオン(MI)、2価の金属イオン(MII)として、どのようなものを用いたものでもよい。また、天然ゼオライト、人工ゼオライト、合成ゼオライトのいずれを用いてもよい。ゼオライトの構造としては、例えば、A型(構造コード:LTA)、フェリエライト(構造コード:FER)、MCM−22(構造コード:MWW)、ZSM−5(構造コード:MFI)、モルデナイト(構造コード:MOR)、L型(構造コード:LTL)、Y型・X型(構造コード:FAU)、ベータ型(構造コード:BEA)等が挙げられるが、どのような構造のものを用いてもよい。また、ゼオライトの形状は、粉末状、粒状等どのようなものであってもよい。
本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物、活性炭およびゼオライトの種類や配合割合は、適宜選択すればよい。
層状複水酸化物を活性炭又はゼオライトに担持させる方法は、互いに接触させて一体化せしめる方法であれば特に限定されるものではない。活性炭への担持方法としては、例えば、層状複水酸化物を溶媒に溶解して活性炭と均一に混合した後、撹拌し、所定条件の処理をして層状複水酸化物を活性炭に吸着させる方法が挙げられる。また、ゼオライトへの担持方法としては、ゼオライトおよびアルカリ溶液を含有する原料と、2価の金属イオンを含む可溶性塩および3価の金属イオンを含む可溶性塩を溶媒に溶解した層状複水酸化物の前駆体を含有する原料とを接触させる方法が挙げられる。また、バインダーを用いて、層状複水酸化物を活性炭又はゼオライトの表面に結合させてもよい。
また、本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物は、樹脂又は繊維に担持させたものとすることができる。
ここで、本発明に用いる樹脂としては、天然樹脂、合成樹脂のいずれであってもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであってもよい。例えば、熱可塑性プラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル等の汎用プラスチック、超高分子量ポリエチレン、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリブチレン・テレフタラレート、ポリエチレン・テレフタレート、ポリフェニレンオキシド等のエンジニアリングプラスチック、ポリベンゾイミダゾール、ポリアミド・イミド、ポリエーテル・スルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテル・エーテルケトン、ポリフェニレン・スルフィド、ポリテトラ・フルオロ・エチレン、液晶ポリマー等のスーパーエンジニアリングプラスチックを用いることができる。また、熱硬化性プラスチックとしては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。また、熱可塑性エラストマー、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の熱硬化性樹脂系エラストマー、天然ゴム等を用いることができる。
また、本発明に用いる繊維としては、天然繊維、化学繊維のいずれであってもよい。天然繊維としては、例えば、絹、羽毛、獣毛等の動物性繊維、綿、麻等の植物繊維、石綿等の鉱物繊維を用いることができる。化学繊維としては、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート、トリアセテート等の半合成繊維、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、レクセ・サクセス、ポリウレタン等の合成繊維、金属繊維、炭素繊維、ケイ酸塩繊維、精製繊維等の無機繊維を用いることができる。
層状複水酸化物を樹脂又は繊維に担持させる方法は、互いに接触させて一体化せしめる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、バインダーを用いて層状複水酸化物を樹脂又は繊維の表面に結合させる方法や、層状複水酸化物を溶媒に溶解して樹脂又は繊維と均一に混合した後、撹拌し、所定条件の処理をして添着させる方法が挙げられる。また、層状複水酸化物を担持させた樹脂を繊維に含浸・コーティングする方法を用いることもできる。
本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物、樹脂および繊維の種類や配合割合は、適宜選択すればよい。
[生体関連物質吸着剤の製造方法]
本発明の生体関連物質吸着剤に用いる層状複水酸化物は、(1)2価の金属イオンと、3価の金属イオンと、を含む酸性溶液と、(2)アルカリ性溶液と、(3)抗菌性金属成分を含む水溶液と、を混合する層状複水酸化物合成工程において合成することができる。
ここで酸性溶液に含まれる2価の金属イオンとしては、例えば、Mg2+、Fe2+、Zn2+、Ca2+、Li2+、Ni2+、Co2+、Cu2+等を用いることができる。また、3価の金属イオンとしては、例えば、Al3+、Fe3+、Cr3+、Mn3+等を用いることができる。
また、層状複水酸化物は、生成後の熟成時間を短くする程、比表面積の大きいものを製造することができる。したがって、熟成時間は、比表面積が20m/g以上、好ましくは30m/g以上、更に好ましくは50m/g以上、更に好ましくは70m/g以上となるように熟成時間をコントロールする必要がある。具体的な熟成時間は、2時間以内にするのが良く、好ましくは1時間以内にするのが良く、更に好ましくは、熟成を行わないのが良い。熟成を止めるには、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、当該混合液のpHを層状複水酸化物の結晶成長が止まる値まで下げれば良い。例えば、一般式がMg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物は、pHを9以下にすると熟成を止めることができる。また、一般式Zn2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物は、pHを5以下にすると熟成を止めることができる。また、水分を除去することによっても、熟成を止めることができる。水分を除去するためには、吸引濾過、遠心分離など水分と層状複水酸化物とを分離するための適当な分離方法を用いれば良い。
また、本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物は、既に合成された層状複水酸化物に対して抗菌性金属成分を接触させて調製しても良く、また、層状複水酸化物の合成時に同時に合成しても良い。
合成の方法としては、(1)2価の金属イオンと、3価の金属イオンと、を含む酸性溶液と、(2)アルカリ性溶液と、を混合して合成する際に、(3)抗菌性金属成分を含む水溶液を更に混合して同時に合成すれば良い。
抗菌性金属成分を担持させた層状複水酸化物を合成したい場合には、水溶液の抗菌性金属成分源として、例えば、硫酸銅、硝酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅等の水溶性金属塩を用いることができる。
(1)2価の金属イオン及び3価の金属イオンを含む酸性溶液と、(2)アルカリ性溶液と、(3)抗菌性金属成分を含む水溶液と、を混合する方法は、各溶液を十分に撹拌できるものであれば特に限定されないが、例えば、酸性溶液とアルカリ性溶液を混合した後、抗菌性金属成分を同時に又は速やかに混合すれば良い。また、抗菌性金属成分を含む水溶液の存在下で、酸性溶液とアルカリ性溶液を適量ずつ混合させてもよい。
以下に、本発明の生体関連物質吸着剤に用いる層状複水酸化物の具体的な合成方法を説明する。
例えば、一般式が、Mg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2O(An-はn価の陰イオン、m>0)である層状複水酸化物を製造する場合には、まず、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンを含む酸性溶液を調製する。
アルミニウムイオンのアルミニウム源としては、水中でアルミニウムイオンを生成するものであれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、アルミナ、アルミン酸ソーダ、水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、ボーキサイト、ボーキサイトからのアルミナ製造残渣、アルミスラッジ等を用いることができる。また、これらアルミニウム源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
また、マグネシウムイオンのマグネシウム源としては、水中でマグネシウムイオンを生成する物であれば良く、特定の物質に限定されるものではない。例えば、ブルーサイト、水酸化マグネシウム、マグネサイト、マグネサイトの焼成物等を用いることができる。これらマグネシウム源は、いずれかを単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
なお、前記アルミニウム源としてのアルミニウム化合物、マグネシウム源としてのマグネシウム化合物は、前記酸性溶液にアルミニウムイオン、マグネシウムイオンが存在していれば完全に溶解している必要はない。したがって、酸性溶液中に溶解していないアルミニウム化合物やマグネシウム化合物を含んでいても問題なく層状複水酸化物を製造することができる。
また、Mg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表わされる高結晶質の層状複水酸化物は、アルミニウムイオンとマグネシウムイオンのモル比が1:3(x=0.25)となっていることが知られている。したがって、酸性溶液中のアルミニウムイオンとマグネシウムイオンのモル比は、1:5〜1:2の範囲とするのが好ましい。この範囲とすることによって、アルミニウム源とマグネシウム源を無駄にすることなく、物質収支的に有利に層状複水酸化物を製造することができる。
酸性溶液に含まれる酸としては、水溶液を酸性にするものであれば特に限定されないが、例えば、硝酸や塩酸を用いることができる。
アルカリ性溶液に含まれるアルカリとしては、水溶液をアルカリ性にするものであれば特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等を用いることができる。また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、アンモニア水、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムなどを用いることもできる。これらはいずれかを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。アルカリ性溶液は、pHを8〜14に調製したものを用いることができ、pHを8〜11に調製したものを用いるのが好ましい。
この酸性溶液とアルカリ性溶液を所定の割合で混合することにより、層状複水酸化物が生成する。この際、上述したように、層状複水酸化物は、生成後の熟成時間を短くする程、比表面積の大きいものを製造することができる。したがって、当該層状複水酸化物合成工程は、当該酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、2時間以内、好ましくは1時間以内に熟成を止めるのが良く、更に好ましくは、熟成を行わないのが良い。
熟成を止めるには、酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、当該混合液のpHを層状複水酸化物の結晶成長が止まる値まで下げる方法と、水分を除去する方法がある。
pHを層状複水酸化物の結晶成長が止まる値まで下げる方法としては、例えば、酸性溶液とアルカリ性溶液を混合した後に直ちに水で希釈する方法により行うことができる。例えば、一般式がMg2+ 1-xAl3+ x(OH)2(An-)x/n・mH2Oで表される層状複水酸化物は、pHが9以下となるように水で希釈すれば良い。
水分の除去は、吸引濾過、遠心分離など水分と層状複水酸化物とを分離するための適当な分離方法を用いることができる。
また、本発明の吸着剤に用いる層状複水酸化物は、上述したように、既に合成された層状複水酸化物に対して抗菌性金属成分を接触させて調製しても良く、また、層状複水酸化物の合成時に同時に合成しても良い。
[樹脂]
次に、本発明の樹脂について説明する。
本発明の樹脂は、上述した本発明の生体関連物質吸着剤を含有することを特徴とする。樹脂に吸着剤を含有させる方法は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、粉末樹脂や液状樹脂に直接混合・分散する方法や、一旦ペレットを作製し、当該ペレットを用いて混合・分散させる方法を用いることができる。
本発明に用いることのできる樹脂の種類は、上述の通りである。また、本発明の樹脂に用いる層状複水酸化物および樹脂の種類や配合割合は、適宜選択すればよい。
本発明の樹脂を用いて、公知の方法で成形することにより、生体関連物質吸着性の成形体を得ることができる。本発明の樹脂を用いた成形体の例としては、冷蔵庫、食器乾燥機、炊飯器、携帯電話機等の家電・電化製品や、食品包装用フィルム、食器、まな板等の食品衛生用品のほか、住宅用建材等が挙げられ、抗菌・抗真菌作用や抗ウイルス(ウイルス不活化)作用を要する製品への応用が有用である。
[繊維]
次に、本発明の繊維について説明する。
本発明の繊維は、上述した本発明の生体関連物質吸着剤を含有することを特徴とする。繊維に吸着剤を含有させる方法は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、化学繊維の場合、吸着剤を配合した繊維加工用樹脂を液体にして紡糸口金から押出して繊維状にすればよい。また、吸着剤を配合した繊維加工用バインダーを用いて繊維に結合させてもよい。
本発明に用いることのできる繊維の種類は、上述の通りである。また、本発明の繊維に用いる層状複水酸化物および繊維の種類や配合割合は、適宜選択すればよい。
本発明の繊維を用いて、公知の方法により、生体関連物質吸着性繊維品を得ることができる。本発明の繊維を用いたものの例としては、カーテン、絨毯、布団、衣服、靴、鞄などが挙げられ、本発明の繊維は、抗菌・抗真菌作用や抗ウイルス(ウイルス不活化)作用を要する製品への応用が有用である。
[衣服]
次に、本発明の衣服について説明する。
本発明の衣服は、上述した本発明の生体関連物質吸着剤を含有することを特徴とする。衣服に吸着剤を含有させる方法は特に限定されないが、例えば、上述した繊維を用いることができる。衣服の例としては、肌着、下着、靴下、ストッキング、シャツ、ズボン、スカート、セーター、コート、帽子、手袋、マフラーなどが挙げられる。
[フィルタ]
次に、本発明のフィルタについて説明する。
本発明のフィルタは、上述した本発明の生体関連物質吸着剤を含有することを特徴とする。フィルタに吸着剤を含有させる方法は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、フィルタの基材にバインダー等を用いて本発明の吸着剤を塗布する方法が挙げられる。また、上述した繊維を用いてフィルタの基材を作製してもよい。
本発明に用いられるフィルタに用いられる基材の素材、形状加工等は特に限定されないが、例えば素材としては、不織布、紙、セラミックス、金属などが挙げられ、形状加工としては、シート加工、プリーツ加工、ハニカム加工、コルゲート加工などが挙げられる。
[マスク]
次に、本発明のマスクについて説明する。
本発明のマスクは、上述した本発明の吸着剤を含有することを特徴とする。本発明のマスクは、細菌・真菌やウイルスを吸着してこれらの体内への侵入を防ぐことができる。さらに、細菌や真菌の生育等を防いだり(抗菌・抗真菌作用)、ウイルスを不活化したり(抗ウイルス作用)することができる。したがって、本発明のマスクを装着することにより、病原微生物の空気感染や飛沫感染等のリスクを低減させることができる。
本発明のマスクに吸着剤を含有させる方法は特に限定されず、公知の方法で行うことができる。例えば、マスクを構成する不織布の表面に本発明の吸着剤を塗布してもよいし、上述した繊維から構成された不織布を用いてマスクを作製してもよい。
本発明に用いられるマスクの素材、形状加工等は特に限定されないが、例えば素材としては、ガーゼ、ナイロン、不織布などが挙げられ、形状加工としては、平型、プリーツ型、立体型などが挙げられる。
[その他の用途]
本発明の生体関連物質吸着剤は、上述したもの以外にも様々な用途に用いることができる。例えば、エンドトキシン、ミクロシスチン等の毒性物質や病原微生物等で汚染された医薬品や生体液を本発明の吸着剤に吸着させて、当該毒性物質や病原微生物等を吸着除去する用途に用いることができる。また、例えば、当該毒性物質や病原微生物を含む液体内に本発明の吸着剤を入れ、所定時間撹拌することで、当該毒性物質や病原微生物を吸着除去することができる。また、カラムに本発明の吸着剤を充填し、これに当該毒性物質や病原微生物を含む液体を流通させても同様の効果を得ることができる。また、本発明の吸着剤を含有させた皮膚外用製剤や、経口投与用製剤とすることもできる。
以下に、本発明の生体関連物質吸着剤に用いる層状複水酸化物および本発明の生体関連物質吸着剤の吸着効果を示す実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1(比表面積)
製造方法等が異なる4種類の層状複水酸化物1〜4を準備し、それぞれの比表面積を測定した。比表面積の測定は、各層状複水酸化物の粉体粒子表面に窒素ガスを液体窒素の温度(−196℃)で吸着させ、その量からBET法によって計算した。その結果を表1に示す。
Figure 0006749759
なお、各層状複水酸化物1〜4の詳細は以下の通りである。
(1)層状複水酸化物1
和光純薬株式会社製の層状複水酸化物(販売元コード:324−87435)を層状複水酸化物1とした。
(2)層状複水酸化物2
まず、塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業株式会社製)16.92gと塩化アルミニウム六水和物(和光純薬工業株式会社製)10.06gを26.98gの蒸留水に溶解させ、酸性溶液を調製する。また、水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)10gを30gの蒸留水に溶解させ、アルカリ性溶液を調製する。次いで、当該酸性溶液とアルカリ溶液を混合し、当該混合溶液に281.85gの蒸留水を、時間をおかず速やかに添加して、pH7.5−8.5に調整した。そして、24時間後に当該溶液をろ過し、得られたろ過物を120℃で10時間乾燥したものを層状複水酸化物2とした。
(3)層状複水酸化物3
まず、塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業株式会社製)16.92gと塩化アルミニウム六水和物(和光純薬工業株式会社製)10.06gを26.98gの蒸留水に溶解させ、酸性溶液を調製する。また、水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)10gを30gの蒸留水に溶解させ、アルカリ性溶液を調製する。次いで、当該酸性溶液とアルカリ溶液を混合し、当該混合溶液に281.85gの蒸留水を、時間をおかず速やかに添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH10.0に調整した。そして、24時間後に当該溶液をろ過し、得られたろ過物を120℃で10時間乾燥したものを層状複水酸化物3とした。
(4)層状複水酸化物4
まず、塩化マグネシウム六水和物(和光純薬工業株式会社製)16.92gと塩化アルミニウム六水和物(和光純薬工業株式会社製)10.06gを26.98gの蒸留水に溶解させ、酸性溶液を調製する。また、水酸化ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)10gを30gの蒸留水に溶解させ、アルカリ性溶液を調製する。次いで、当該酸性溶液とアルカリ溶液を混合し、当該混合溶液に281.85gの蒸留水を、時間をおかず速やかに添加した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH12.0に調整した。そして、24時間後に当該溶液をろ過し、得られたろ過物を120℃で10時間乾燥したものを層状複水酸化物4とした。
実施例2(エンドトキシンに対する吸着効果)
本発明の吸着剤のエンドトキシンに対する吸着効果を調べる試験を行った。なお、試験は、エンドトキシン溶液に検体を添加して1時間撹拌した液について、第十六改正日本薬局方一般試験法「エンドトキシン試験法」に準拠したカイネティック−比濁法により行った。
まず、試験に先立って、試験に使用するロットのライセート試薬を用いて検量線の信頼性確認試験を行った。エンドトキシン標準溶液(日本薬局方エンドトキシン標準品,一般社団法人医薬品医療機器レギュラトリーサイエンス財団,コントロール番号:ENH1101およびENH11000002)をエンドトキシン試験用水(日本薬局方注射用水,株式会社大塚製薬工場製,製造番号:2J74Nおよび3A90P)で希釈して、0.01563,0.0625,および0.25EU/mLの3濃度のエンドトキシン標準溶液を調製し、これらの各濃度の溶液およびエンドトキシン試験用水(0.1mL)と、カブトガニ血球抽出物ES−II(和光純薬工業株式会社製,ロット番号:AMQ0245)の処方に従って調製したライセート溶液(0.1mL)と、を反応させ、トキシノメーターET−6000(和光純薬工業株式会社製)を用いて各3回ずつ測定した。測定結果をもとに検量線を作成したところ、相関係数の絶対値|r|は0.980以上となり、検量線の信頼性が確認された。なお、エンドトキシン試験用水からエンドトキシンは検出されなかった。
次に、以下の表2に示す試料溶液を調製した。
Figure 0006749759
検体としては、前記層状複水酸化物2を用いた。
各試料溶液は、いずれも室温で1時間撹拌した後に遠心分離(4000r/min,10分間および15000r/min,10分間)し、その上澄み液を試験に用いた。なお、試験に用いたガラス製の器具類は、280℃で30分間乾熱処理し、エンドトキシンを除去した。
試料溶液1の原液、試料溶液2の原液、試料溶液3の100倍希釈液および試料溶液4の原液について、定量試験を行った結果を表3に示す(表3中に「検出せず」とあるのは、検出限界:0.01563EU/mL未満であることを表す)。
Figure 0006749759
試料溶液2の原液(0.01g/mLの検体にエンドトキシンを10EU/mLとなるように添加したもの)についての測定結果は、検出限界未満(0.01563EU/mL未満)であった。なお、試料溶液1、及び4の原液についてもエンドトキシンは検出されず、0.01563EU/mL未満であった。一方で、試料溶液3の100倍希釈液からはエンドトキシンが検出され、溶液当たりに換算したエンドトキシン量は9.1EU/mLであった。以上の試験結果より、検体にはエンドトキシンを吸着する効果があることがわかった。
実施例2(ミクロシスチンに対する吸着効果)
本発明の吸着剤のミクロシスチンに対する吸着効果を調べる試験を行った。試験は、本発明吸着剤をミクロシスチン水溶液に添加して撹拌した試料について、液体クロマトグラフ−質量分析法を用いてミクロシスチンの定量をすることにより行った。
本発明の吸着剤としては、前記層状複水酸化物2(検体1)および前記層状複水酸化物2をゼオライトに担持させたもの(検体2)を用いた。なお、検体2は、層状複水酸化物2を合成する際のアルカリ性溶液にゼオライト(和光純薬工業株式会社製、コードNo.268−01522)10gを添加することにより、前記層状複水酸化物2をゼオライトに担持させたものである。
まず、ミクロシスチン水溶液の調製を以下のように行った。ミクロシスチン−LR標準品250μgを、メタノールおよび水の混合液(メタノール8:水2)10mLに溶解し、標準原液(25μg/mL)とした。当該標準原液2mLに水500mLを加えたものを、ミクロシスチン−LR水溶液(0.1μg/mL)とした。
次に、試料を以下のように調製した。検体1gをミクロシスチン−LR水溶液100mLに添加し、1時間撹拌後、25Aフィルター(孔径0.45μm、ジーエルサイエンス株式会社製)でろ過したものを試料とした。また、検体を用いずに同様に操作したものを対照とした。
ミクロシスチン−LRの定量は、液体クロマトグラフ−質量分析計を用いて行った。液体クロマトグラフ−質量分析計の操作条件は下記の通りである。
<液体クロマトグラフ−質量分析計操作条件>
機種:LC部;G1312A(Agilent Technologies,Inc.製)
:MS部;G1946D(Agilent Technologies,Inc.製)
カラム:TSK−gel super ODS φ2.0mm×100mm(東ソー株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:A液;水およびギ酸の混液(1000:1)
B液;アセトニトリル
グラジエント:A液およびB液の混液(75:25)0min
:A液およびB液の混液(50:50)0min→9min
流量:0.4mL/min
イオン化法:ESI(正イオン検出モード)
フラグメンタ電圧:160V
ネプライザガス:窒素、45psi
乾燥ガス:窒素、10L/min,350℃
キャピラリー電圧:4000V
設定質量数(m/z):996
検体1の試験結果を表4に、検体2の試験結果を表5に示す。
Figure 0006749759
Figure 0006749759
検体1および検体2において、ミクロシスチン−LRの顕著な吸着効果が認められた。また、層状複水酸化物を単独で用いる(検体1)よりも、層状複水酸化物をゼオライトに担持させたもの(検体2)のほうが、より吸着能力が高いことがわかった。

Claims (1)

  1. 層状複水酸化物を有効成分とするエンドトキシン又はミクロシスチン吸着剤の製造方法であって、
    (1)マグネシウムイオンとアルミニウムイオンを含む酸性溶液と、
    (2)アルカリ性溶液と、
    (3)銅、銀、金、鉛、白金、ニッケル、アルミニウム、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、チタンの原子、イオン又は化合物のいずれかである抗菌性金属成分を含む水溶液と、
    を混合して、銅、銀、金、鉛、白金、ニッケル、アルミニウム、錫、亜鉛、コバルト、ニッケル、マンガン、チタンの原子又は化合物のいずれかである抗菌性金属成分を担持させたものであると共に、比表面積が30.2m /g以上70.1m/g以下である前記層状複水酸化物(前記抗菌性金属成分を層状複水酸化物の層間にのみ担持させたものを除く)を合成する層状複水酸化物合成工程と、
    前記抗菌性金属成分を含む水溶液の混合後であって、前記酸性溶液とアルカリ性溶液の混合が完了した後、2時間以内に水分を除去又は中和する工程と、
    を有することを特徴とするエンドトキシン又はミクロシスチン吸着剤の製造方法
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