以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4は、本発明の実施の一形態を示すもので、本発明の機械式駐車装置の制御方法、及び、機械式駐車装置を、ターンテーブルをケージに内蔵するエレベータ方式の機械式駐車装置に適用した例を示す。
図1はエレベータ方式の機械式駐車装置の一例を示す概略切断側面図である。図2は図1に示すエレベータ方式の機械式駐車装置の入出庫部の一例を示す概略平面図である。図3は本実施形態の機械式駐車装置における制御装置の概略図である。図4は図3の制御装置の機能と機械式駐車装置の制御方法を示すフロー図である。
先ず、エレベータ方式の機械式駐車装置の構成について説明する。
エレベータ方式の機械式駐車装置1は、図1、図2に一例を示すように、建屋2内の前後方向の中央部分に昇降路7を備え、昇降路7には、平面形状が矩形状としてあるケージ3が昇降できるように設置されている。ケージ3には、長手方向の両端側の各2個所に、吊り部材4を介して4本のワイヤロープ5の各一端側が接続されている。各ワイヤロープ5の各他端側は、建屋2の上部に設置されているドラム6に巻き取られている。これにより、エレベータ方式の機械式駐車装置1では、図示しないモータ等の駆動装置を運転してドラム6を回転させることにより、ケージ3を昇降させることができる。
昇降路7を挟んで相対する建屋2の両側部には、車両を格納する格納棚8が、所定の間隔で上下方向に複数設置されている。
ケージ3には、図2に示すように、長手方向の中央部分に、ターンテーブル9が設置されている。ターンテーブル9は、ケージ3の上面に載置されるパレット10を持ち上げ下げすることができると共に、持ち上げた状態のパレット10を旋回させることができるようにしてある。
建屋2の下部位置には、車両を乗り入れて利用者が乗降できる入出庫部11が設けられている。入出庫部11における昇降路7の真下となる位置には、図1に示すようにピット11aが設けられている。ケージ3は、ピット11a内に下降させることで、ケージ3の上面に載置されたパレット10が入出庫部11の床面と同様の高さ位置に配置可能とされている。なお、入出庫部11やケージ3には、入出庫部11に利用者が立ち入るときに入出庫部11の床がフラットになるようにするための可動式のプラットホームを備えていてもよい。
建屋2の前面壁2aの下部位置には、入出庫部11に連通していて、車両を入出庫させる入出庫口12が設けられている。入出庫口12には、扉13が開閉可能に設けられている。
前面壁2aの外側で入出庫口12に近い位置には、操作盤14が設置されている。操作盤14は、操作盤収納箱15に収納された状態で設置されていてもよい。この場合は、操作盤収納箱15の蓋15aを開けると操作盤14を操作できるようにすればよい。
操作盤14は、図3に示すように、入出庫のための起動操作を行う起動スイッチ(スタートスイッチ)14aと、扉閉操作を行う扉閉スイッチ14bとを備えている。なお、図3では、起動スイッチ14aは、入庫操作と出庫操作に共通のものとして示したが、入庫操作用と出庫操作用の起動スイッチが別々に備えられていてもよい。また、起動スイッチ14a及び扉閉スイッチ14bは、ボタンスイッチのような独立したスイッチでもよいし、図示しないタッチパネルに表示される形式のスイッチであってもよい。操作盤14のその他の構成は、緊急停止釦14cを備えるなど、既存のエレベータ方式の機械式駐車装置の操作盤と同様の構成とされている。この場合、操作盤14は、エレベータ方式の機械式駐車装置1の利用の許可を受けた者、あるいは、操作の許可を受けた者のみが起動操作可能となるように、図示しないICカードや暗証番号により認証を行う認証手段を備えた構成とすることが好ましい。操作盤14は、制御装置17に接続されている。
図2に示すように、前面壁2aの内側には、入出庫口12の上辺よりも高い位置に、入出庫部11を照明する照明器具16が設けられている。照明器具16は、入出庫部11を照明できれば、建屋2の内側の任意の位置に設けられていてもよい。
本実施形態のエレベータ方式の機械式駐車装置1は、図3に示すように、操作盤14より信号を受けて、入出庫口12(図1、図2参照)の扉13と、照明器具16と、駐車機械20とに指令を与える制御装置17を備えている。
ここで、駐車機械20とは、エレベータ方式の機械式駐車装置1に装備されている動作可能な機械のうち、入出庫部11で動作する機械であって、入出庫口12の扉13以外の機械を意味するものとする。したがって、本実施形態のエレベータ方式の機械式駐車装置1では、駐車機械20は、ターンテーブル9と、ケージ3及びその昇降手段であるドラム6の駆動装置とを含む。更に、入出庫部11に図示しない可動式プラットホームを備える場合は、該可動式プラットホームも駐車機械20に含まれる。
更に、安全性の更なる向上化を図るという観点から考えると、駐車機械20は、本実施形態のエレベータ方式の機械式駐車装置1に装備されている動作可能な機械であって、入出庫口12の扉13以外の機械をすべて含むものとしてもよい。
したがって、本実施形態のエレベータ方式の機械式駐車装置1は、制御装置17から駐車機械20へ運転開始の指令が与えられるときにのみ、格納棚8と入出庫部11との間でのパレット10の搬送や(図1参照)、ターンテーブル9によるパレット10の旋回(図2参照)などの入出庫作業に必要とされる機械動作が可能になる。
更に、制御装置17は、記憶部18と、カウント部19とを備えている。
記憶部18は、本実施形態のエレベータ方式の機械式駐車装置1で入出庫作業が行われると、その都度、入出庫作業に利用されたパレット10の情報を記憶する機能を備えている。記憶部18は、設定された期間中に入出庫作業に利用されたパレット10の情報を履歴として記憶するようにしてもよいし、入出庫作業が行われるごとに入出庫作業に利用されたパレット10の情報で、過去の情報を順次上書きして記憶するようにしてもよい。
なお、パレット10の情報は、入出庫作業に利用されたパレット10を特定することができる情報であればよい。このようなパレット10の情報としては、たとえば、パレット10に個別に付された番号などの識別情報、パレット10が格納される格納棚8に個別に付された番号などの識別情報、入出庫作業を行う利用者が使用したICカードや暗証番号と入出庫作業に利用されたパレット10とを関連付けた情報などを用いることができる。
カウント部19は、入出庫口12の扉13が閉作動すると、その扉閉の時点からの経過時間をカウントする機能を備えている。なお、カウント部は、カウント中に、後述する駐車装置内に人・物の確認をする検知器21が人・物を検知した場合は、そのときからカウントをやり直すようにしてある。
制御装置17には、更に、入出庫部11内の人や、入出庫部11の装備品と車両以外の物を検知対象として、駐車装置内に人・物が残っていないかの確認に用いる検知器21が接続されている。なお、図2では、入出庫部11における検知器21の記載は省略してある。
また、本実施形態のエレベータ方式の機械式駐車装置1は、図示しないが、入庫される車両の幅を検知する検知器、車両の前端位置、後端位置を検知する検知器、車両の高さを検知する検知器等、エレベータ方式の機械式駐車装置1を運転する上で必要とされる各種検知器を、既存のエレベータ方式の機械式駐車装置と同様に備えている。
次に、図4に示すフロー図を用いて、制御装置17の機能と、本実施形態の機械式駐車装置の制御方法について説明する。
制御装置17には、予め、照明保持時間T1と、判定時間T2とが設定される。
判定時間T2には、入出庫作業を行った利用者が、入出庫部11内に人・物を残したことに気付いて慌てて操作盤14を再操作する場合に要すると想定される時間よりも長い時間に設定される。たとえば、判定時間T2は、3分に設定される。この判定時間は、後述するステップS14で判断の基準として用いられる。
照明保持時間T1は、入出庫口12の扉13が閉作動した後に、照明器具16による入出庫部11内の照明を保持することが望まれる時間である。照明保持時間T1は、判定時間T2よりも長い時間に設定されることが好ましいが、判定時間T2と同じ時間に設定してもよい。本実施形態では、照明保持時間T1は、たとえば、判定時間T2と同様に3分に設定されている。この照明保持時間T1は、後述するステップS12で判断の基準として用いられる。
この状態で、制御装置17は、操作盤14より、起動スイッチ14aによる起動操作がなされたという信号を受けると(ステップS1)、制御装置17は、起動操作により入出庫部の照明器具16に点灯の指令を与え(ステップS2)、起動操作時に指定されるパレット10や格納棚8の番号、あるいは、図示しないICカードや暗証番号による認証などを基に、操作盤14の操作で呼び出されたパレット10を特定して、ステップS3に進む。
ステップS3では、制御装置17は、呼び対象のパレット10が、記憶部18に記憶されている入出庫作業で利用されたパレット10の情報のうち、最も新しく記憶されたパレット10、すなわち、直近に入出庫作業に利用されたパレット10の情報に対応するパレット10であるという条件を満たすか、否かの判断を行う。
ステップS3で、呼び対象のパレット10が、直近に入出庫作業に利用されたパレット10ではないと判断されると(NOの場合)、制御装置17は、以下のステップS4からステップS10の平常時処理SAを開始する。
この平常時処理SAでは、制御装置17は、先ず、駐車機械20に運転開始の指令を与える(ステップS4)。
これにより、エレベータ方式の機械式駐車装置1では、駐車機械20の運転が開始される。この駐車機械20の運転では、先ず、入出庫部11にパレット10が配置されている場合は、そのパレット10が、ターンテーブル9により旋回されてケージ3に載置された後、ケージ3により対応する格納棚8まで搬送される。この際、パレット10に入庫した車両が載置されている場合は、この車両がパレット10と一緒に格納棚8に格納される。
次いで、指定された呼び対象のパレット10は、格納棚8からケージ3に載置されて搬送されて、入出庫部11に到着する(ステップS5)。この際、入出庫部11に到着した呼び対象のパレット10に車両が載置されていないときは、入庫となり、呼び対象のパレット10に車両が載置されていれば、出庫となる。
入出庫部11に到着した呼び対象のパレット10は、ターンテーブルにより90度旋回させる。出庫の場合は、呼び対象のパレット10は、載置されている車両を入出庫口12に向くように旋回させる。
次いで、制御装置17は、扉13に開作動の指令を与える(ステップS6)。これにより、エレベータ方式の機械式駐車装置1では、入出庫口12の扉13が開く。
この状態で、エレベータ方式の機械式駐車装置1は、車両の入出庫が可能な状態になる(ステップS7)。したがって、入出庫部11に置かれたパレット10が空パレットであるときは、車両を入出庫口12から建屋2内の入出庫部11に乗り入れて、パレット10上に載置させることで入庫させることができる。また、入出庫部11に置かれたパレット10に車両が載置されているときは、パレット10上の車両を入出庫口12から外部へ乗り出すことで、出庫させることができる。
なお、入庫を行うときは、パレット10に乗り入れた車両の前後方向と幅方向のはみ出しが、はみ出し検知器により検知されるので、利用者は、車両を、はみ出し部がない状態でパレット10上に停止させるようにすればよい。
その後、制御装置17は、操作盤14より、扉閉スイッチ14bによる扉閉操作がなされたという信号を受けると(ステップS8)、検知器21からの信号を基に、駐車装置内に人・物が残っていないかの確認を行う(ステップS9)。
前記ステップS9で駐車装置内に人・物が残っていないことが確認されると、制御装置17は、扉13に閉作動の指令を与える(ステップS10)。これにより、扉13は閉作動して、入出庫口12は扉閉の状態になる。この際、制御装置17のカウント部19では、扉13の扉閉の時点を基準とする経過時間のカウントが開始される。また、カウント部19による時間のカウント中に、前記駐車装置内に人・物を検知器21が検知した場合は、そのときからカウントがリセットされ、再びカウントが開始される。
前記ステップS4からステップS10による平常時処理SAが終了すると、制御装置17は、ステップS11に進む。
ステップS11では、制御装置17は、前記平常時処理SAで入出庫部11に置かれて車両の入庫あるいは出庫の対象とされたパレット10を特定するための情報を、入出庫作業で利用したパレット10の情報として記憶部18に記憶する(ステップS11)。したがって、制御装置17では、このステップS11の処理が行われる時点で記憶部18に新たに記憶される「入出庫作業で利用したパレット10の情報」が、次回のステップS3の処理を行うときに「直近に入出庫作業で利用されたパレット10の情報」として用いられる。
制御装置17は、ステップS11の処理を実行した後は、入庫作業あるいは出庫作業のための機械動作に関する制御を終了する。この状態で、エレベータ方式の機械式駐車装置1は、次の入出庫作業に対する待機状態となる。
なお、制御装置17は、前記のように機械動作に関する制御を終了した後も、照明器具16による入出庫部11の照明については、以下のステップS12、ステップS13による制御を継続して行う。
ステップS12では、制御装置17は、カウント部19でカウントされている扉閉からの経過時間が、3分に設定されている照明保持時間T1以上か、否かの判断を行う(ステップS12)。扉閉からの経過時間が照明保持時間T1に達していないと判断されると(NOの場合)、制御装置17は、所定の時間間隔、たとえば、数秒から数十秒の間隔で、ステップS12の処理を繰り返し実行する。
このように制御装置17でステップS12の処理が繰り返されている間は、扉13が扉閉とされた後も、入出庫部11は、照明器具16により照明された状態に保持される。
その後の時間経過により、ステップS12で、扉閉からの経過時間が照明保持時間T1に達したと判断されると(YESの場合)、制御装置17は、照明器具16に消灯の指令を与える(ステップS13)。これにより、エレベータ方式の機械式駐車装置1では、入出庫部11の照明が消灯される。
制御装置17は、ステップS13の処理を実行した後は、照明器具16に関する制御を終了する。
更に、制御装置17は、前記ステップS3の判断処理において、呼び対象のパレット10が、記憶部18に記憶されている直近に入出庫作業に利用されたパレットであると判断された場合は(YESの場合)、ステップS14に移る。
制御装置17は、ステップS14では、先ず、ステップS1で操作盤14より受ける信号を基に検出される起動スイッチ14aによる起動操作がなされた時点について、カウント部19でカウントしている直近の扉13の扉閉の時点からの経過時間を求める。次いで、制御装置17は、求められた経過時間が、3分に設定されている判定時間T2未満という条件を満たすか、否かの判断を行う。
なお、制御装置17でステップS1からステップS2、ステップS3を経てステップS14に進む処理に要する凡その時間は、実機に適用する以前に分かる。そのため、ステップS1からステップS2、ステップS3を経てステップS14に進む処理に要する時間が非常に短時間の場合は、制御装置17では、ステップS14の処理が開始される時点を、起動スイッチ14aによる起動操作がなされた時点に代用して、前記したステップS14の処理を行うようにしてもよい。また、この場合は、ステップS1からステップS2、ステップS3を経てステップS14に進む処理に要する時間を見込んで判定時間T2を設定しておくようにしてもよい。
前記ステップS14で、起動操作の時点は、直近の扉閉の時点から判定時間T2以上の時間が経過していると判断されると(NOの場合)、制御装置17は、ステップS4へ進み、前述したステップS4からステップS10の平常時処理SAによる車両の入庫あるいは出庫の処理と、ステップS11、ステップS12、ステップS13の処理を実行する。
一方、前記ステップS14での判断処理で、起動操作の時点は、直近の扉閉からの経過時間が判定時間T2未満と判断されるときは(YESの場合)、制御装置17は、駐車機械20に運転開始の指令を与えないで(ステップS15)、扉13に開作動の指令を与える(ステップS16)。
これにより、エレベータ方式の機械式駐車装置1では、ターンテーブル9やケージ3など、前記した平常時処理SAの場合であれば運転が開始されて入出庫部11で動きを生じることになる駐車機械20について、何ら動作させることなく、入出庫口12の扉13の開作動のみを行うことができる。
なお、制御装置17では、照明保持時間T1が、判定時間T2と同じか、判定時間T2よりも長い時間に設定されているので、ステップS16により制御装置17が扉13に開作動の指令を与える時点では、直近の扉閉からの経過時間が照明保持時間T1に達していない。そのため、制御装置17からの指令により扉13が開作動するときには、照明器具16による入出庫部11の照明は継続している。よって、制御装置17は、ステップS16で扉13に開作動の指令を与えるときには、前記ステップS12の処理を中断して、直近の扉閉からの経過時間が照明保持時間T1に達したとしても、照明器具16による入出庫部11の照明を保持するようにしてある。
その後、制御装置17は、操作盤14より、扉閉スイッチ14bによる扉閉操作がなされたという信号を受けると(ステップS17)、検知器21からの信号を基に、駐車装置内に人・物が残っていないかの確認を行う(ステップS18)。
前記ステップS18で駐車装置内に人・物が残っていないことが確認されると、制御装置17は、扉13に閉作動の指令を与える(ステップS19)。これにより、扉13は閉作動して、入出庫口12は扉閉の状態になる。この際、前記ステップS10の実行後と同様に、制御装置17のカウント部19では、扉13の扉閉の時点を基準とする経過時間のカウントが新たに開始される。
制御装置17は、前記ステップS19の処理を実行した後は、前記ステップS11の実行後と同様に、機械動作に関する制御は終了する。この場合も、制御装置17は、前記ステップS19による扉13の扉閉の時点を基準として、前記ステップS12、ステップS13による照明器具16の制御は継続して行う。
本実施形態の機械式駐車装置の制御方法、及び、機械式駐車装置は、前記した構成としてあるので、たとえば、エレベータ方式の機械式駐車装置1に利用者が入庫を行う場合は、以下のようにすればよい。
先ず、入庫しようとする利用者は、操作盤14の起動スイッチ14aを起動操作する。その際、制御装置17から照明器具16に点灯が指令される。また、利用者は、パレット10や格納棚8の番号を指定するか、あるいは、図示しないICカードや暗証番号により認証を行うようにすれば、制御装置17により呼び対象となる空のパレット10が特定される。
利用者が直近に入出庫作業を行った者でなければ、呼び対象のパレット10は、制御装置17におけるステップS3の処理で、記憶部18に記憶されている直近に入出庫作業に利用されたパレット10ではないと判断される。
このため、エレベータ方式の機械式駐車装置1では、制御装置17が平常時処理SAを開始して、制御装置17のステップS4、ステップS5の処理により、駐車機械20が運転を開始して、呼び対象のパレット10を、格納棚8からケージ3により入出庫部11まで搬送する。更に、入出庫部11に到着したパレット10は、ケージ3に内蔵されているターンテーブル9により旋回させて、図2に示す姿勢で待機させる。
エレベータ方式の機械式駐車装置1は、前記のように入出庫部11に呼び対象のパレット10を配置した状態で、制御装置17のステップS6の処理により、入出庫口12の扉13を開作動する。
この状態で、入庫の利用者は、入出庫口12から建屋2内の入出庫部11に待機しているパレット10上に車両を乗り入れる。
入庫を終えた利用者は、目視での駐車装置内に人・物が残っていないことを確認した後、操作盤14の扉閉スイッチ14bにより扉13を閉じるための扉閉操作をする。
これにより、制御装置17がステップS9、ステップS10の処理を行うため、エレベータ方式の機械式駐車装置1では、駐車装置内に人・物が残っていないかの確認が検知器21の信号を基に行われ、人・物が残っていないことが確認されると、扉13が閉作動して入出庫口12が閉じる。
以上により、利用者は、エレベータ方式の機械式駐車装置1への車両の入庫を行うことができる。
更に、本実施形態では、エレベータ方式の機械式駐車装置1への車両の入庫を終えた利用者が、車両内に子供を残したとか、荷物を残してきたことに気付いて、急ぎ扉13を扉開操作すべく、操作盤14の起動スイッチ14aを起動操作すると、以下のような処理が行われる。
制御装置17は、前記と同様に、起動操作した利用者に対応する呼び対象のパレット10を特定する。そして、呼び対象のパレット10が、直近の入出庫作業で利用されたパレット10、すなわち、まだ入出庫部11に停止しているパレット10であるという条件、及び、前記利用者が起動操作をした時点は、扉13の直近の扉閉からの経過時間が判定時間T2である3分未満という条件の双方を満たしていれば、制御装置17はステップS3及びステップS14の判断処理と、ステップS15、ステップS16の処理を行う。これにより、エレベータ方式の機械式駐車装置1では、駐車機械20の運転が行われることなく、入出庫口12の扉13のみを扉開とすることができる。これにより、利用者は、入出庫口12から入出庫部11に入ることが可能となる。
この際、直近の扉13が扉閉となった時から駐車機械20は動いていないので、利用者は、入庫した時と同じ状態に保持されている入出庫部11で、パレット10上の車両内から子供を連れ出すことが可能となる。
以上の説明は、入庫作業をした利用者が、扉13の扉閉の動作後、判定時間T2の経過前に操作盤14の起動スイッチ14aによる起動操作を行った場合の例である。これに対し、出庫作業をした利用者が、扉13の扉閉の後、判定時間T2の経過前に、緊急の用事で扉13を開けるために操作盤14の起動スイッチ14aを起動操作した場合も、前記と同様に、制御装置17によるステップS3及びステップS14による判断処理と、ステップS15、ステップS16の処理により、駐車機械20の運転を開始せずに、扉13を扉開とすることができる。
なお、本発明は、前記した実施形態のみに限定されるものではない。
たとえば、前記実施の形態では、本発明を適用する機械式駐車装置としてエレベータ方式の機械式駐車装置を示し、更に、図1、図2では、ケージ3にターンテーブル9が内蔵されている形式のものを示しているが、ケージ3にターンテーブル9を内蔵していない、エレベータ方式の機械式駐車装置や、垂直循環方式の機械式駐車装置にも、本発明は適用することができる。
更に、本発明の機械式駐車装置の制御方法、及び、機械式駐車装置は、入出庫時に利用者が車両の乗降を行う入出庫部と、入出庫部に連通する入出庫口と、入出庫口を開閉する扉と、入出庫のための起動操作を行う操作盤と、入出庫部と格納棚との間で車両を移動させる機械とを備える機械式駐車装置であれば、入出庫部からケージ(リフト)などの搬送機械で車両のみを搬送し、搬送先で車両をパレットやトレイに載せ替えて格納棚に格納する形式の機械式駐車装置に適用してもよい。
これらの場合、図4のフロー図における平常時処理SAは、適用対象となる機械式駐車装置の形式などに応じて、その形式の既存の機械式駐車装置で実施されている入出庫処理の手順と同様の処理手順とすればよい。
また、前記したように、入出庫部からケージ(リフト)などの搬送機械で車両のみを搬送し、搬送先で車両をパレットやトレイに載せ替えて格納棚に格納する形式の機械式駐車装置の場合は、図4のフロー図におけるステップS3では、指定された格納棚に格納されるパレットを呼び対象パレットとして、それが、直近に入出庫作業に利用された格納棚に対応するパレットであるという条件を満たすか、否かを判断するようにすればよい。
制御装置17では、図4に示したフロー図におけるステップS3の処理とステップS14の処理とを入れ替えてもよい。この場合、前記したステップS3の判断条件と、前記したステップS14の判断条件の双方が満たされる場合にのみステップS15に進み、それ以外の場合は、ステップS4に進んで平常時処理SAが開始されるようにすればよい。
更に、図4の制御フロー図では、制御装置17が、ステップS10の扉閉処理とステップS11の記憶処理の後、あるいは、ステップS19の扉閉処理の後、次回の入出庫操作が開始されるまで、パレット10を対応する格納棚8に格納することなくそのまま待機する形式について示した。これに対し、制御装置17は、ステップS10やステップS19による扉閉処理の後、設定された判定時間T2よりも長い時間が経過したら、駐車機械20の運転を開始して、入出庫部11に配置されているパレット10を対応する格納棚8へ格納する処理を行うようにしてもよい。この場合も、前記実施形態と同様の効果を得ることができる。
機械式駐車装置は、入出庫部11が設けられる入出庫階は、建屋2の下部に限られるものではなく、建屋2の上下方向の中間部に入出庫部11が設けられていてもよい。更に、たとえば、地下式の機械式駐車装置の場合は、地下に構築された建屋の上部に入出庫部11が設けられていてもよい。
また、前記実施形態では、制御装置17に設定される照明保持時間T1と、判定時間T2を、一例として、3分とした場合について例示したが、これに限定されるものではなく、たとえば、5分や、その他任意の時間に設定してもよいことは勿論である。
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。