JP6747694B2 - ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法、マスターバッチペレット、並びにポリカーボネート樹脂組成物成形体 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法、マスターバッチペレット、並びにポリカーボネート樹脂組成物成形体 Download PDF

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Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法、マスターバッチペレット、並びにポリカーボネート樹脂組成物成形体に関し、特に、繊維状塩基性硫酸マグネシウムを含有するポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法、マスターバッチペレット、並びにポリカーボネート樹脂組成物成形体に関する。
ポリカーボネート樹脂は、優れた機械的特性、熱特性を有しているため、OA機器分野、電子電気機器分野、および自動車分野など様々な分野で広く利用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は、溶融粘度が高いため加工性に乏しい、また、非結晶性樹脂であることから耐薬品性に劣るといった短所がある。そこで、ポリカーボネート樹脂の耐薬品性を向上させるために、ポリカーボネート樹脂にポリオレフィン系樹脂を添加することが知られ、性質の異なる両者の相溶性を高め、実用的な機械的特性を付与するために、エラストマー等の相溶化剤や充填材を添加した樹脂組成物が数多く提案されている。
例えば、特許文献1には、ポリカーボネート樹脂組成物に剛性を始めとする機械的特性を付与するため、ポリカーボネート系樹脂とポリプロピレン系樹脂とを含む樹脂に、相溶化剤としてスチレン系熱可塑性エラストマー、さらにガラス繊維や炭素繊維などの繊維状充填材を添加する技術が開示されている。
特開2016−204480号公報
しかしながら、特許文献1で用いられているガラス繊維は、繊維径が10〜30μm程度と太いため、外観が悪くなる問題がある。なお、極細のガラス繊維も存在するが、IARC発がん性リスク一覧の2B(ヒトに対する発癌性が疑われる)に指定されているので、充填材としての使用には問題がある。
そこで、本発明者らは、繊維径がより小さく、補強効果を有すると共に外観に優れ、生体溶解性を持ち安全な充填材である繊維状塩基性硫酸マグネシウムをポリカーボネート樹脂組成物に配合することを検討したが、ポリカーボネート樹脂は塩基に弱いため、繊維状塩基性硫酸マグネシウムを添加するとポリカーボネート樹脂が加水分解してしまい混練自体が出来ないという問題が生じた。
したがって、本発明の目的は、外観が良好で、加水分解せずに混練・成型可能であり加工性に優れ、さらに機械的特性を向上させたポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法、マスターバッチペレット、並びにポリカーボネート樹脂組成物成形体を提供することにある。
本発明者らは、以上の目的を達成するために、鋭意検討した結果、ポリカーボネート樹脂とオレフィン重合体と繊維状塩基性硫酸マグネシウムと脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方とを特定の割合で含む樹脂組成物が、ポリカーボネート樹脂の海の中にオレフィン重合体の島が分散した海島構造を有し、さらに繊維状塩基性硫酸マグネシウムが島構造のオレフィン重合体中に優先的に分配され、繊維状塩基性硫酸マグネシウムのポリカーボネート樹脂との直接の接触が回避されることで、加水分解することなく混練・成型可能であって、加工性が向上し、さらに機械的特性、特に曲げ弾性率も向上し、且つ外観が滑らかであることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)を50〜90質量%、オレフィン重合体(B)を2.5〜30質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)を5〜40質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を0.1〜8質量%含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物に関する。
また、本発明は、オレフィン重合体(B)28〜50質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)50〜70質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜5質量%を溶融混練してマスターバッチペレットを製造する第一工程と、該マスターバッチペレット10〜60質量%、及びポリカーボネート樹脂(A)40〜90質量%を溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を製造する第二工程と、を有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%、オレフィン重合体(B)2.5〜30質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)5〜40質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜8質量%を溶融混練することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、オレフィン重合体(B)2.5〜30質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)5〜40質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜8質量%を溶融混練した後、更にポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%を加えて溶融混練することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に関する。
さらに、本発明は、ポリカーボネート樹脂(A)を含む希釈材と混練してポリカーボネート樹脂組成物を製造するためのマスターバッチペレットであって、オレフィン重合体(B)28〜50質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)50〜70質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜5質量%を含むことを特徴とするマスターバッチペレットに関する。
さらにまた、本発明は、前記ポリカーボネート樹脂組成物の成形物であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物成形体に関する。
本発明によれば、外観が良好で、加水分解せずに混練・成型可能であり加工性に優れ、さらに機械的特性を向上させたポリカーボネート樹脂組成物及びその製造方法、マスターバッチペレット、並びにポリカーボネート樹脂組成物成形体を提供することができる。
実施例1に係るポリカーボネート樹脂組成物のTEM写真である。 実施例3に係るポリカーボネート樹脂組成物のTEM写真である。 実施例4に係るポリカーボネート樹脂組成物のTEM写真である。 比較例5に係るポリカーボネート樹脂組成物のTEM写真である。
1.ポリカーボネート樹脂組成物
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)を50〜90質量%、オレフィン重合体(B)を2.5〜30質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)を5〜40質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を0.1〜8質量%含む。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記各成分を上記の割合で含むことにより、ポリカーボネート樹脂の海の中にオレフィン重合体の島が分散した海島構造を有する。さらに、繊維状塩基性硫酸マグネシウムが島構造のオレフィン重合体中に優先的に分配されることで、繊維状塩基性硫酸マグネシウムがポリカーボネート樹脂と直接接触することが回避され、ポリカーボネート樹脂が加水分解することなくポリカーボネート樹脂組成物の混練・成型が可能になるものと考えられる。以下、各成分について説明する。
(A)ポリカーボネート樹脂
ポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく、例えば、脂肪族ポリカーボネート、芳香族ポリカーボネートなどを用いることができる。これらの中でも、芳香族ポリカーボネートが好ましい。ポリカーボネート樹脂は、市販品を用いてもよく、適宜合成したものを用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂を合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法又は溶融法などにより合成する方法などが挙げられる。また、必要に応じて、分子量調整剤、分岐剤、触媒などを適宜使用してもよい。
2価フェノールとしては、例えば、ビスフェノールA〔2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〕、ヒドロキノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)ペンタン、2,2’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、5’−クロロ−2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロジフェニルエーテル、ビス(4−ジヒドロキシ−5−プロピルフェニル)メタン、ビス(4−ジヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−エチルフェニル)エタン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、市場での入手の容易性の点で、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン系化合物が好ましく、ビスフェノールAが特に好ましい。
カーボネート前駆体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カルボニルハライド、カーボネート、ハロホルメートなどが挙げられる。具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、2価フェノールのジハロホルメート、及びこれらの混合物などが挙げられる。
ポリカーボネート樹脂のメルトフローレート(MFR)は、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜25g/10分が好ましく、2〜10g/10分がより好ましい。前記メルトフローレートが、2g/10分未満であると、成形加工性が悪く、25g/10分を超えると、衝撃強度が低くなることがある。
ポリカーボネート樹脂の含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物の全体量に対して、50〜90質量%の範囲であり、55〜75質量%の範囲が好ましい。ポリカーボネート樹脂の含有量が50質量%を下回ると、ポリカーボネート樹脂組成物中に含まれるポリカーボネート樹脂の割合が相対的に低くなるため、ポリカーボネート樹脂が有する高い衝撃強度が低くなる傾向にある。一方、ポリカーボネート樹脂の含有量が90質量%を上回ると、フィラーによる補強効果が小さく曲げ弾性率が低くなりやすい。
(B)オレフィン重合体
オレフィン重合体としては、エチレン重合体、プロピレン重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体などを挙げることができ、特にプロピレン重合体が好ましく、プロピレン単独重合体(プロピレンホモポリマー)がより好ましい。オレフィン重合体は、1種単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。オレフィン重合体のメルトフローレート(MFR)は、通常3〜300g/10分の範囲であり、好ましくは6〜100g/10分の範囲である。
オレフィン重合体の含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物の全体量に対して、2.5〜30質量%の範囲であり、8〜15質量%の範囲が好ましい。オレフィン重合体の含有量が2.5質量%を下回ると、ポリカーボネート樹脂組成物中に含まれるオレフィン重合体の割合が相対的に低くなるため、ポリカーボネート樹脂が繊維状塩基性硫酸マグネシウムにより加水分解されやすくなる。一方、オレフィン重合体の含有量が30質量%を上回ると、衝撃強度が低くなりやすい。
(C)繊維状塩基性硫酸マグネシウム
繊維状塩基性硫酸マグネシウムは、例えば、海水から製造した水酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムとを原料として、水熱合成で得ることができる。繊維状塩基性硫酸マグネシウムは、平均長径が一般に5〜100μmの範囲であり、10〜50μmの範囲であることが好ましい。また、繊維状塩基性硫酸マグネシウムは、平均短径が一般に0.1〜5.0μmの範囲であり、0.2〜2.0μmの範囲であることが好ましく、0.2〜1.0μmの範囲が特に好ましい。
繊維状塩基性硫酸マグネシウムは、平均アスペクト比(平均長径/平均短径)が一般に2以上、好ましくは5以上、特に好ましくは5〜50の範囲である。なお、繊維状塩基性硫酸マグネシウムの平均長径と平均短径は、走査型電子顕微鏡(SEM)による拡大画像から測定した100個の粒子の長径と短径のそれぞれの平均値から算出することができる。また、繊維状塩基性硫酸マグネシウムは、複数の繊維状粒子の集合体や結合体であってもよい。
繊維状塩基性硫酸マグネシウムの含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物の全体量に対して、5〜40質量%の範囲であり、5〜30質量%の範囲が好ましく、20〜30質量%の範囲がより好ましい。繊維状塩基性硫酸マグネシウムの含有量が5質量%を下回ると、ポリカーボネート樹脂組成物中に含まれる繊維状塩基性硫酸マグネシウムの割合が相対的に低くなり、曲げ弾性率が低くなりやすい。一方、繊維状塩基性硫酸マグネシウムの含有量が40質量%を上回ると、ポリカーボネート樹脂組成物中に含まれる繊維状塩基性硫酸マグネシウムの割合が相対的に高くなり、加工性が悪くなりやすい。
(D)脂肪酸金属塩及び脂肪酸
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方を含ませることにより、繊維状塩基性硫酸マグネシウムがオレフィン重合体中に優先的に分配されるように構成されている。脂肪酸金属塩及び脂肪酸は、ポリカーボネート樹脂組成物中に少なくとも一方を含有させればよいが、特に脂肪酸金属塩が好ましい。
脂肪酸としては、炭素原子が12〜22の範囲にあるものが好ましく、飽和脂肪酸であっても不飽和脂肪酸であってもよい。飽和脂肪酸の例としては、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられる。不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸などが挙げられる。金属塩としては、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、リチウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。本発明においては、特に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
脂肪酸金属塩及び脂肪酸の含有量は、ポリカーボネート樹脂組成物の全体量に対して、0.1〜8質量%の範囲であり、0.1〜7質量%の範囲が好ましく、0.5〜6質量%の範囲がより好ましい。脂肪酸金属塩及び脂肪酸の含有量が0.1質量%を下回ると、ポリカーボネート樹脂組成物中に含まれる脂肪酸金属塩及び脂肪酸の割合が相対的に低くなり、繊維状塩基性硫酸マグネシウムがオレフィン重合体中に優先的に分配されず、ポリカーボネート樹脂中に分散して加水分解を促進するため、ポリカーボネート樹脂組成物の混練・成型が困難となる傾向にある。一方、脂肪酸金属塩及び脂肪酸の含有量が8質量%を上回ると、ポリカーボネート樹脂組成物中に含まれる脂肪酸金属塩及び脂肪酸の割合が相対的に高くなり、熱的安定性が損なわれやすい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、他の成分を配合することができる。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、耐電防止剤、銅害防止剤、難燃剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、造核剤、気泡防止剤、架橋剤などを挙げることができる。他の成分の含有量としては、ポリカーボネート樹脂組成物全体の1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、メルトフローレート(MFR)が高いという優れた特性を備えている。メルトフローレートは、加工性を表す指標である。本明細書におけるメルトフローレートの値は、後述する実施例に記載した方法で測定した結果と定義することができる。具体的には、メルトフローインデクサを用いて、JISK7210に準拠してメルトフローレート試験を行った結果である。
2.ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法
次に、ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法は、(製造方法I)オレフィン重合体(B)、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を溶融混練してマスターバッチペレットを製造する第一工程と、該マスターバッチペレット、及びポリカーボネート樹脂(A)を溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を製造する第二工程とを有する方法、(製造方法II)ポリカーボネート樹脂(A)、オレフィン重合体(B)、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を溶融混練する方法、(製造方法III)オレフィン重合体(B)、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を溶融混練した後、更にポリカーボネート樹脂(A)を加えて溶融混練する方法が挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法によれば、上記(製造方法I)〜(製造方法III)のいずれの方法を用いても、本発明のポリカーボネート樹脂組成物、すなわち、ポリカーボネート樹脂の海の中にオレフィン重合体の島が分散した海島構造を有し、さらに繊維状塩基性硫酸マグネシウムが島構造のオレフィン重合体中に優先的に分配されることで繊維状塩基性硫酸マグネシウムのポリカーボネート樹脂との直接の接触が回避されたポリカーボネート樹脂組成物を良好に得ることが可能である。
(製造方法I)
製造方法Iは、オレフィン重合体(B)28〜50質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)50〜70質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜5質量%を溶融混練してマスターバッチペレットを製造する第一工程と、該マスターバッチペレット10〜60質量%、及びポリカーボネート樹脂(A)40〜90質量%を溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を製造する第二工程とを有するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。製造方法Iでは、第一工程として、オレフィン重合体(B)、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を溶融混練してマスターバッチペレットを製造することで、オレフィン重合体中に繊維状塩基性硫酸マグネシウムが取り込まれた状態でポリカーボネート樹脂と混練することができるため、より効果的に加水分解を抑制できる利点を有する。
製造方法Iにおける溶融混練方法としては、第一工程及び第二工程ともに、特に制限はなく、1軸押出機、2軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、混練ロールなどを用いる方法が挙げられる。溶融混練温度としては、第一工程が、好ましくは160〜240℃、より好ましくは180〜230℃であり、第二工程が、好ましくは230〜280℃、より好ましくは240〜260℃である。
第一工程における「オレフィン重合体(B)28〜50質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)50〜70質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜5質量%」の各割合は、マスターバッチペレットの製造における割合であり、第二工程において、上記割合で製造されたマスターバッチペレットとポリカーボネート樹脂(A)との割合を調整することで、ポリカーボネート樹脂組成物中のオレフィン重合体(B)、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)の割合を調整することが可能である。
第一工程において、マスターバッチペレットを製造する方法としては、特に制限はなく、溶融混練の後、公知の方法を用いてペレット状に成形することによってマスターバッチペレットを製造することができる。
また、第二工程において、溶融混練によって得られたポリカーボネート樹脂組成物の形状に制限はなく、ストランド状、シート状、平板状又はペレット状などの任意の形状への成形が可能である。後にポリカーボネート樹脂組成物成形体を成形させるのであれば、成形加工機への供給を容易であるという観点から、ペレット状とするのが好ましい。
(製造方法II)
製造方法IIは、ポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%、オレフィン重合体(B)2.5〜30質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)5〜40質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜8質量%を溶融混練するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
製造方法IIにおける溶融混練方法は、製造方法Iと同様である。製造方法IIでは、ポリカーボネート樹脂(A)、オレフィン重合体(B)、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)をまとめて溶融混練することで、ポリカーボネート樹脂の熱分解防止、製造工程の簡略化といった利点を有する。溶融混練温度としては、ポリカーボネート樹脂の熱分解を防ぐ観点から、好ましくは230〜280℃であり、より好ましくは240〜270℃であり、さらに好ましくは245〜260℃である。
また、製造方法IIにおける溶融混練によって得られたポリカーボネート樹脂組成物の形状に特に制限はなく、製造方法Iと同様に、ストランド状、シート状、平板状又はペレット状などの任意の形状への成形が可能である。
(製造方法III)
製造方法IIIは、オレフィン重合体(B)2.5〜30質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)5〜40質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜8質量%を溶融混練した後、更にポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%を加えて溶融混練するポリカーボネート樹脂組成物の製造方法である。
製造方法IIIにおける溶融混練方法は、製造方法Iと同様である。製造方法IIIでは、オレフィン重合体(B)、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を先に溶融混練して、その後にポリカーボネート樹脂(A)を加えることで、製造工程を簡略化できるといった利点を有する。溶融混練温度としては、先の溶融混練が、好ましくは160〜240℃、より好ましくは180〜230℃であり、ポリカーボネート樹脂(A)を加えた後の溶融混練が、好ましくは230〜280℃、より好ましくは240〜260℃である。
また、製造方法IIIにおける溶融混練によって得られたポリカーボネート樹脂組成物の形状に特に制限はなく、製造方法Iと同様に、ストランド状、シート状、平板状又はペレット状などの任意の形状への成形が可能である。
3.マスターバッチ(MB)ペレット
次に、マスターバッチペレットについて説明する。本発明のマスターバッチペレットは、ポリカーボネート樹脂(A)を含む希釈材と混練してポリカーボネート樹脂組成物を製造するための原材料である。本発明では、オレフィン重合体(B)28〜50質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)50〜70質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜5質量%を含んでいる。好ましくは、オレフィン重合体(B)を28〜45質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)を55〜70質量%、脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を0.1〜4.5質量%含んでいる。さらに好ましくは、オレフィン重合体(B)を28〜40質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)を60〜70質量%、脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を0.5〜4質量%含んでいる。オレフィン重合体(B)、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)、脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)の詳細については、上述したとおりなので説明を省略する。また、マスターバッチペレットの製造方法は、上述したポリカーボネート樹脂組成物の製造方法Iの第一工程と同じである。希釈材としては、上述したポリカーボネート樹脂(A)を含む樹脂であれば特に制限はない。
4.ポリカーボネート樹脂組成物成形体
次に、ポリカーボネート樹脂組成物成形体について説明する。本発明のポリカーボネート樹脂組成物成形体は、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を成形することで製造することができる。ポリカーボネート樹脂組成物を成形する方法としては、上述した方法を用いてポリカーボネート樹脂組成物を製造し、これを成形する方法や、マスターバッチペレットと希釈ペレットを混合し、当該混合物を成形機により直接成形する方法、などを挙げることができる。また、成形に使用する成形機としては、例えば、圧延成形機(カレンダー成形機など)、真空成形機、押出成形機、射出成形機、ブロー成形機、プレス成形機などを挙げることができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物成形体は、曲げ弾性率が高いという優れた特性を備えている。曲げ弾性率は、ポリカーボネート樹脂組成物成形体の変形のしにくさを表す指標である。本明細書における曲げ弾性率の値は、後述する実施例に記載した方法で測定した結果と定義することができる。具体的には、万能力学試験機を使用し、JISK7171に準拠する方法で測定を行った結果である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物成形体は、ポリカーボネート樹脂組成物に充填材として平均繊維径(平均短径)の小さい繊維状塩基性硫酸マグネシウムを用いることにより、平均繊維径(平均短径)の大きいガラス繊維などの充填材を用いた場合よりも外観に優れ、人目に触れる外装部分にも使用できるポリカーボネート樹脂組成物成形体である。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではなく、また、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
まず、本実施例で用いた測定方法を示す。
(曲げ弾性率)
万能力学試験機((株)イマダ製)を用いて3点曲げ試験を行い、得られた荷重たわみ曲線からJISK7171の準拠した方法により測定した。支点間距離は40mm、負荷速度は10mm/minとした。
(メルトフローレート(MFR))
メルトフローインデクサ(東洋精機製作所製、G−01)を用いて、JISK7210に準拠してメルトフローレート試験を行い、メルトフローレート(MFR)を評価した。
(透過型電子顕微鏡(TEM)観察)
得られたポリカーボネート樹脂組成物から、含まれる繊維状塩基性硫酸マグネシウムの繊維方向の断面が観察できるように切り出し、光硬化性アクリル樹脂で包埋後、アルミ試料ピンに固定した。トリミング、面出しを行い、クライオミクロトーム(LEICA社製、FCS)を使用して超薄切片を作製した試料を、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子製、JEM−2100F)を用いて観察した。
<樹脂組成物の製造>
(実施例1)
ポリカーボネート樹脂(A)[MFR(温度240℃、荷重5.000kg):4.5g/10分]を79質量%、ポリプロピレン樹脂(B)[MFR(温度230℃、荷重2.160kg):8g/10分]を5.9質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子(C)(モスハイジA−1、宇部マテリアルズ(株)製、平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)を14.7質量%、ステアリン酸マグネシウム(D)を0.4質量%の割合にて混合した。得られた混合物を、二軸溶融混練押出機(L/D=25、(株)井元製作所製)を用いて、温度250℃、軸の回転数50rpmの条件にて溶融混練して繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を含有するポリカーボネート樹脂組成物を得た。
(実施例2)
ポリプロピレン樹脂(B)[MFR(温度230℃、荷重2.160kg):8g/10分]を28.0質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子(C)(モスハイジA−1、宇部マテリアルズ(株)製、平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)を69.9質量%、ステアリン酸マグネシウム(D)を2.1質量%の割合にて混合した。得られた混合物を、溶融混練押出機ラボプラストミルローラミキサ(R60型、容量60cc、(株)東洋精機製)を用いて、温度180℃、軸の回転数120rpm、2分間の条件にて溶融混練物とし、ホットプレス(温度200℃)にてシート状にした後、切断して、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を含有するマスターバッチペレットを得た。
上記マスターバッチペレット21質量%、ポリカーボネート樹脂(A)[MFR(温度240℃、荷重5.000kg):4.5g/10分]79質量%を混合した後、二軸溶融混練押出機(L/D=25、(株)井元製作所製)を用いて、温度250℃、軸の回転数50rpmの条件にて溶融混練して繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を含有するポリカーボネート樹脂組成物を得た。
(実施例3)
マスターバッチペレットとポリカーボネート樹脂(A)との混合割合を、マスターバッチペレット28.6質量%、ポリカーボネート樹脂(A)71.4質量%としたこと以外は実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。
(実施例4)
マスターバッチペレットとポリカーボネート樹脂(A)との混合割合を、マスターバッチペレット42.9質量%、ポリカーボネート樹脂(A)57.1質量%としたこと以外は実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。
(実施例5)
マスターバッチペレットとポリカーボネート樹脂(A)との混合割合を、マスターバッチペレット35.8質量%、ポリカーボネート樹脂(A)64.2質量%としたこと以外は実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。
(実施例6)
マスターバッチペレットとポリカーボネート樹脂(A)との混合割合を、マスターバッチペレット10.5質量%、ポリカーボネート樹脂(A)89.5質量%としたこと以外は実施例2と同様にしてポリカーボネート樹脂組成物を得た。
(比較例1)
実施例1に示すポリカーボネート樹脂(A)単体である。
(比較例2)
ポリカーボネート樹脂(A)[MFR(温度240℃、荷重5.000kg):4.5g/10分]を80質量%、ガラス繊維(E)(CS(F)3−PE−960S、(株)日東紡製、繊維長径:3mm、繊維短径:13μm)を20質量%の割合にて混合した。得られた混合物を、二軸溶融混練押出機(L/D=25、(株)井元製作所製)を用いて、温度280℃、軸の回転数50rpmの条件にて溶融混練してガラス繊維を含有するポリカーボネート樹脂組成物を得た。
(比較例3)
繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子(C)(モスハイジA−1、宇部マテリアルズ(株)製、平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)を20質量%、ポリカーボネート樹脂(A)[MFR(温度240℃、荷重5.000kg):4.5g/10分]を80質量%の割合にて混合した。得られた混合物を、二軸溶融混練押出機(L/D=25、(株)井元製作所製)を用いて、温度250℃、軸の回転数50rpmの条件にて溶融混練して繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を含有するポリカーボネート樹脂組成物を得た。
(比較例4)
繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子(C)(モスハイジA−1、宇部マテリアルズ(株)製、平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)を14.9質量%、ステアリン酸マグネシウム(D)を0.4質量%、ポリカーボネート樹脂(A)[MFR(温度240℃、荷重5.000kg):4.5g/10分]を84.7質量%の割合にて混合した。得られた混合物を、二軸溶融混練押出機(L/D=25、(株)井元製作所製)を用いて、温度250℃、軸の回転数50rpmの条件にて溶融混練して繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を含有するポリカーボネート樹脂組成物を得た。
(比較例5)
繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子(C)(モスハイジA−1、宇部マテリアルズ(株)製、平均長径:15μm、平均短径:0.5μm)を14.7質量%、ポリプロピレン樹脂(B)[MFR(温度230℃、荷重2.160kg):8g/10分]を6.3質量%、ポリカーボネート樹脂(A)[MFR(温度240℃、荷重5.000kg):4.5g/10分]を79.0質量%の割合にて混合した。得られた混合物を、二軸溶融混練押出機(L/D=25、(株)井元製作所製)を用いて、温度250℃、軸の回転数50rpmの条件にて溶融混練して繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を含有するポリカーボネート樹脂組成物を得た。
実施例1〜6及び比較例1〜5にて得られたポリカーボネート樹脂組成物のポリカーボネート樹脂(A)、ポリプロピレン樹脂(B)、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子(C)、ステアリン酸マグネシウム(D)及びガラス繊維(E)の配合量を下記の表1に示す。
<評価方法>
実施例1〜6及び比較例1〜2にて得られたポリカーボネート樹脂組成物をストランド状に押出した後、切断して、繊維状塩基性硫酸マグネシウム粒子を含有するポリカーボネート樹脂組成物ペレットとした。ポリカーボネート樹脂組成物ペレットは上記の方法によりメルトフローレートを測定した。
また、上記ポリカーボネート樹脂組成物ペレットを小型射出成形機(C.Mobile0813、(株)新興セルビック製)を用いて射出成形して、試験片を作製した。試験片は長さ50mm、幅5mm、厚さ2mmの試験片とした。試験片は、上記の方法により曲げ弾性率を測定した。
また、実施例1、3、4及び比較例5にて得られたポリカーボネート樹脂組成物を上記の方法により透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて観察した。観察結果を図1〜4に順に示す。
測定結果を表2に示す。なお、比較例3〜5は混練不能であった。
表2に示した結果から、ポリカーボネート樹脂、オレフィン重合体、繊維状塩基性硫酸マグネシウム、脂肪酸金属塩を本発明の範囲で含むポリカーボネート樹脂組成物(実施例1〜6)は、ポリカーボネート樹脂単体やポリカーボネート樹脂とガラス繊維とを含むポリカーボネート樹脂組成物(比較例1及び2)と比較してメルトフローレートの値が大幅に向上し、これらのポリカーボネート樹脂組成物を用いて製造した成形体は、ポリカーボネート樹脂とガラス繊維とを含むポリカーボネート樹脂組成物(比較例2)を用いて製造した成形体のように外観を悪化させることなく、ポリカーボネート樹脂単体(比較例1)を用いて製造した成形体よりも曲げ弾性率の値が向上することが分かる。また、比較例3乃至5から、オレフィン重合体、繊維状塩基性硫酸マグネシウム、脂肪酸金属塩のいずれか一つでも含まないポリカーボネート樹脂組成物は、混練自体できないことが分かる。
図1〜4に示した透過型電子顕微鏡(TEM)写真から、実施例1、3、4のTEM写真である図1〜3では、ポリカーボネート樹脂の海の中にオレフィン重合体の島が分散した海島構造を有し、さらに繊維状塩基性硫酸マグネシウムが島構造を構成するオレフィン重合体中に分配されている様子が分かる。これに対して、比較例5のTEM写真である図4では、繊維状塩基性硫酸マグネシウムは、島構造を構成するオレフィン重合体中ではなく海の部分を構成するポリカーボネート中に分配されている様子が分かる。

Claims (6)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)を50〜90質量%、オレフィン重合体(B)を2.5〜30質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)を5〜40質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)を0.1〜8質量%含むことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. オレフィン重合体(B)28〜50質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)50〜70質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜5質量%を溶融混練してマスターバッチペレットを製造する第一工程と、
    該マスターバッチペレット10〜60質量%、及びポリカーボネート樹脂(A)40〜90質量%を溶融混練してポリカーボネート樹脂組成物を製造する第二工程と、
    を有することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  3. ポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%、オレフィン重合体(B)2.5〜30質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)5〜40質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜8質量%を溶融混練することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  4. オレフィン重合体(B)2.5〜30質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)5〜40質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜8質量%を溶融混練した後、更にポリカーボネート樹脂(A)50〜90質量%を加えて溶融混練することを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物の製造方法。
  5. ポリカーボネート樹脂(A)を含む希釈材と混練してポリカーボネート樹脂組成物を製造するためのマスターバッチペレットであって、
    オレフィン重合体(B)28〜50質量%、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(C)50〜70質量%、並びに脂肪酸金属塩及び脂肪酸から選ばれる少なくとも一方(D)0.1〜5質量%を含むことを特徴とするマスターバッチペレット。
  6. 請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物の成形物であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物成形体。
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