JP6746763B2 - 発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、発電システムに関する。
燃料電池は、排出物が少ないため、環境負荷の小さい発電装置として注目されている。
燃料電池は、電解質の種類に応じて、直接メタノール形燃料電池(DMFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、固体高分子形燃料電池(PEFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、及びリン酸形燃料電池(PAFC)などに分類される。
一般に、SOFC、MCFC、PAFC、PEFCでは水素が燃料として用いられ、DMFCではメタノールが燃料として用いられる(特許文献1参照)。
特開2016−071948号公報
ところで、近年、大気中に含まれる二酸化炭素(CO)による環境負荷を低減するための取り組みが行われており、発電所、製鉄所、工業プラントなどから排出される排ガス中、或いは、空気中に含まれる二酸化炭素の有効利用が望まれている。
本発明者等は、鋭意検討の結果、排ガスや空気などの二酸化炭素含有ガスに含まれる二酸化炭素を濃縮することができれば、二酸化炭素から燃料電池に用いられる燃料を効率的に生成できるため、二酸化炭素を有効利用できる発電システムを構築できるという着想を得た。
本発明は、上述した着想に基づいてなされたものであり、二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素を有効利用できる発電システムの提供を目的とする。
本発明に係る発電システムは、メタノール合成装置と、燃料電池とを備える。メタノール合成装置は、二酸化炭素を含む二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離膜と、水素と二酸化炭素分離膜によって分離された二酸化炭素との合成ガスからメタノールを合成するメタノール合成部とを有する。燃料電池は、メタノール合成装置において合成されたメタノールを用いて発電する。
本発明によれば、二酸化炭素含有ガス中の二酸化炭素を有効利用できる発電システムを提供することができる。
実施形態に係る発電システムの構成の一例を示す模式図 変形例7に係る発電システムの構成の一例を示す模式図 変形例8に係る発電システムの構成の一例を示す模式図 変形例9に係る発電システムの構成の一例を示す模式図 変形例10に係る発電システムの構成の一例を示す模式図
(発電システム1の構成)
図1は、発電システム1の構成を示す模式図である。
発電システム1は、発電所、製鉄所、工業プラントなどから排出される排ガスに含まれる二酸化炭素を濃縮し、濃縮された二酸化炭素から燃料電池に用いられる燃料を効率的に生成することによって、二酸化炭素を発電に有効利用するものである。排ガスは、二酸化炭素含有ガスの一例である。
発電システム1は、直接メタノール形燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)10、メタノール合成装置20及び水素生成装置30を備える。
[直接メタノール形燃料電池10]
直接メタノール形燃料電池10は、燃料電池の一例である。直接メタノール形燃料電池10は、比較的低温で作動するアルカリ形燃料電池(AFC:Alkaline Fuel Cel)の一種である。直接メタノール形燃料電池10は、カソード12、アノード14、及び電解質16を備える。
直接メタノール形燃料電池10は、下記の電気化学反応式に基づいて、比較的低温(例えば、50℃〜250℃)で発電することが好ましい。
・カソード12: 3/2O+3HO+6e→6OH
・アノード14: CHOH+6OH→6e+CO+5H
・ 全体 : CHOH+3/2O→CO+2H
カソード12は、一般に空気極と呼ばれる陽極である。直接メタノール形燃料電池10の発電中、カソード12には、酸素(O)を含む酸化剤が酸素供給部13から供給される。酸化剤としては、空気を用いるのが好ましく、空気は加湿されていることがより好ましい。カソード12は、内部に酸化剤を拡散可能な多孔質体である。カソード12の気孔率は特に制限されない。カソード12の厚みは特に制限されないが、例えば10〜200μmとすることができる。酸素供給部13には、外部から酸素が供給される。カソード12における反応に用いられなかった酸素は、酸素供給部13から外部に排出される。
カソード12は、アルカリ形燃料電池に使用される公知の空気極触媒を含むものであればよく、特に限定されない。カソード触媒の例としては、白金族元素(Ru、Rh、Pd、Ir、Pt)、鉄族元素(Fe、Co、Ni)等の第8〜10族元素(IUPAC形式での周期表において第8〜10族に属する元素)、Cu、Ag、Au等の第11族元素(IUPAC形式での周期表において第11族に属する元素)、ロジウムフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリン、Coサレン、Niサレン(サレン=N,N’−ビス(サリチリデン)エチレンジアミン)、銀硝酸塩、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。カソード12における触媒の担持量は特に限定されないが、好ましくは0.05〜10mg/cm、より好ましくは、0.05〜5mg/cmである。カソード触媒はカーボンに担持させるのが好ましい。カソード12ないしそれを構成する触媒の好ましい例としては、白金担持カーボン(Pt/C)、白金コバルト担持カーボン(PtCo/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
カソード12の作製方法は特に限定されないが、例えば、空気極触媒及び所望により担体をバインダーと混合してペースト状にし、このペースト状混合物を電解質16の一方の面に塗布することにより形成することができる。
アノード14は、一般に燃料極と呼ばれる陰極である。直接メタノール形燃料電池10の発電中、アノード14には、燃料としてのメタノール(CHOH)がメタノール供給部15から供給される。アノード14は、内部にメタノールを拡散可能な多孔質体である。アノード14の気孔率は特に制限されない。アノード14の厚みは特に制限されないが、例えば10〜500μmとすることができる。メタノール供給部15には、後述するメタノール合成装置20において合成されたメタノールが供給される。アノード14において発生する二酸化炭素と水(HO)は、メタノール供給部15から外部に排出される。
アノード14は、アルカリ形燃料電池に使用される公知のアノード触媒を含むものであればよく、特に限定されない。アノード触媒の例としては、Pt、Ni、Co、Fe、Ru、Sn、及びPd等の金属触媒が挙げられる。金属触媒は、カーボン等の担体に担持されるのが好ましいが、金属触媒の金属原子を中心金属とする有機金属錯体の形態としてもよく、この有機金属錯体を担体として担持されていてもよい。また、アノード触媒の表面には多孔質材料等で構成された拡散層を配置してもよい。アノード14及びそれを構成する触媒の好ましい例としては、ニッケル、コバルト、銀、白金担持カーボン(Pt/C)、白金ルテニウム担持カーボン(PtRu/C)、パラジウム担持カーボン(Pd/C)、ロジウム担持カーボン(Rh/C)、ニッケル担持カーボン(Ni/C)、銅担持カーボン(Cu/C)、及び銀担持カーボン(Ag/C)が挙げられる。
アノード14の作製方法は特に限定されないが、例えば、アノード触媒及び所望により担体をバインダーと混合してペースト状にし、このペースト状混合物を電解質16の他方の面に塗布することにより形成することができる。
電解質16は、カソード12とアノード14との間に配置される。電解質16は、カソード12及びアノード14のそれぞれに接続される。電解質16は、膜状、層状、或いは、シート状に形成される。
電解質16は、水酸化物イオン伝導性を有するセラミックス材料を含む。このようなセラミックス材料としては、水酸化物イオン伝導性を有する周知のセラミックスを用いることができるが、以下に説明する層状複水酸化物(LDH:Layered Double Hydroxide)が特に好適である。
LDHは、M2+ 1−x3+ (OH)n−x/n・mHO(式中、M2+は2価の陽イオン、M3+は3価の陽イオンであり、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、xは0.1〜0.4、mは水のモル数を意味する任意の整数である)の一般式で示される基本組成を有する。M2+の例としてはMg2+、Ca2+、Sr2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、及びZn2+が挙げられ、M3+の例としては、Al3+、Fe3+、Ti3+、Y3+、Ce3+、Mo3+、及びCr3+が挙げられ、Anの例としてはCO 2−及びOHが挙げられる。M2+及びM3+としては、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
LDHは、複数の水酸化物基本層と、これら複数の水酸化物基本層間に介在する中間層とから構成される。中間層は、陰イオン及びHOで構成される。水酸化物基本層は、例えば金属MがNi、Al、Tiの場合には、Ni、Al、Ti及びOH基を含む。以下、LDHの水酸化物基本層がNi、Al、Ti及びOH基を含む場合について説明する。
LDH中のNiはニッケルイオンの形態を採りうる。LDH中のニッケルイオンは典型的にはNi2+であると考えられるが、Ni3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のAlはアルミニウムイオンの形態を採りうる。LDH中のアルミニウムイオンは典型的にはAl3+であると考えられるが、他の価数もありうるため、特に限定されない。LDH中のTiはチタンイオンの形態を採りうる。LDH中のチタンイオンは典型的にはTi4+であると考えられるが、Ti3+等の他の価数もありうるため、特に限定されない。水酸化物基本層は、Ni、Al、Ti及びOH基を主要構成要素として含むのが好ましいが、他の元素ないしイオンを含んでいてもよいし、不可避不純物を含んでいてもよい。不可避不純物は、製法上不可避的に混入されうる任意元素であり、例えば原料や基材に由来してLDH中に混入しうる。
LDHの中間層は、陰イオン及びHOで構成される。陰イオンは1価以上の陰イオン、好ましくは1価又は2価のイオンである。好ましくは、LDH中の陰イオンはOH及び/又はCO 2−を含む。
上記のとおり、Ni、Al及びTiの価数は必ずしも定かではないため、LDHを一般式で厳密に特定することは非実際的又は不可能である。仮に水酸化物基本層が主としてNi2+、Al3+、Ti4+及びOH基で構成されるものと想定した場合、LDHは、一般式:Ni2+ 1−x−yAl3+ Ti4+ (OH)n− (x+2y)/n・mHO(式中、An−はn価の陰イオン、nは1以上の整数、好ましくは1又は2であり、0<x<1、好ましくは0.01≦x≦0.5、0<y<1、好ましくは0.01≦y≦0.5、0<x+y<1、mは0以上、典型的には0を超える又は1以上の実数である)なる基本組成で表すことができる。もっとも、上記一般式はあくまで「基本組成」と解されるべきであり、Ni2+、Al3+、Ti4+等の元素がLDHの基本的特性を損なわない程度に他の元素又はイオン(同じ元素の他の価数の元素又はイオンや製法上不可避的に混入されうる元素又はイオンを含む)で置き換え可能なものとして解されるべきである。
電解質16は、基材としての多孔質体と、多孔質体内の孔に充填された水酸化物イオン伝導性を有するセラミックス材料(例えば、上述したLDH)との複合体であってもよい。多孔質体は、金属材料、セラミックス材料及び高分子材料によって構成することができる。金属材料としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、亜鉛、ニッケル、チタンなどが挙げられる。セラミックス材料としては、例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、マグネシア、カルシア、コージェライト、ゼオライト、ムライト、酸化亜鉛、炭化ケイ素などが挙げられる。高分子材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、セルロース、ナイロン、ポリエチレン、ポリイミドなどが挙げられる。
また、電解質16は、水酸化物イオン伝導性を有するセラミックス材料の粒子群と、この粒子群の緻密化又は硬化を助ける補助成分との複合体であってもよい。
[メタノール合成装置20]
メタノール合成装置20は、メタノール合成部21及び気液分離タンク22を備える。
メタノール合成部21は、供給空間23、二酸化炭素分離膜24及び合成空間25を有する。
供給空間23には、外部の発電所、製鉄所、工業プラントなどから排出される排ガスが供給される。排ガスから二酸化炭素が分離された非透過流体(主に、水)は、供給空間23から外部に排出される。
二酸化炭素分離膜24は、メタノール合成部21内に配置される。二酸化炭素分離膜24は、供給空間23と合成空間25との間に配置される。二酸化炭素分離膜24は、供給空間23に供給される排ガスから、主として二酸化炭素を選択的に透過させる。これにより、濃縮された二酸化炭素が合成空間25に供給される。
二酸化炭素分離膜24の構成材料は特に制限されないが、二酸化炭素分離膜24としては無機膜が好適である。無機膜としては、ゼオライト膜、シリカ膜、アルミナ膜、或いは、これらの複合膜などが挙げられる。
二酸化炭素分離膜24として使用されるゼオライト膜には、LTA、MFI、MOR、FER、FAU、DDRなどの結晶構造が異なる数多くの種類(型)が存在する。これらのうち、シリカを主成分とし、酸素8員環からなる比較的小さい細孔(4.4×3.6Å)を含む多面体により形成されるDDR型ゼオライトは、二酸化炭素を選択的かつ効率的に分離できるため、二酸化炭素分離膜に好適である。二酸化炭素分離膜としてDDR型ゼオライト膜を用いる場合、DDR型ゼオライト膜の膜厚は、二酸化炭素分離能の観点から0.1μm以上が好ましく、二酸化炭素透過能の観点から20μm以下が好ましい。二酸化炭素分離膜としてDDR型ゼオライト膜を用いる場合、DDR型ゼオライト膜のCO分離係数は、3以上が好ましく、10以上がより好ましく、100以上が特に好ましい。なお、CO分離係数は、等モル量のCHとCOの混合ガスを0.6MPaの圧力で二酸化炭素分離膜の外側に供給し、内側に透過してくるガス組成を測定することによって算出される。
合成空間25は、二酸化炭素分離膜24を挟んで、供給空間23の反対側に配置される。合成空間25には、二酸化炭素分離膜24を介して、供給空間23から二酸化炭素が供給される。
合成空間25は、後述する水素生成装置30の電解装置31に接続される。合成空間25には、電解装置31において生成される水素(H)が供給される。
合成空間25には、水素と二酸化炭素との合成ガスからメタノールが合成される化学反応を促進する触媒(不図示)が配置される。触媒としては、金属触媒や酸化物触媒などを用いることができる。金属触媒としては、銅、パラジウムなどが挙げられる。酸化物触媒としては、酸化亜鉛、ジルコニア、酸化ガリウムなどが挙げられる。触媒は、金属触媒と酸化物触媒との複合触媒であってもよい。複合触媒としては、銅−酸化亜鉛、銅−酸化亜鉛−アルミナ、銅−酸化亜鉛−酸化クロム−アルミナなどが挙げられる。触媒は、合成空間25内に充填されていてもよいし、二酸化炭素分離膜24の合成空間側表面に担持されていてもよい。
合成空間25では、下記の反応式に基づいて、メタノールが合成されるとともに、副生成物として水が生成される。
・CO+2H → CHOH
・CO+3H → CHOH+H
・CO+H → CO+H
なお、合成空間25におけるメタノールの合成条件は、例えば、150℃〜300℃、1MPa〜50MPaとすることができる。
気液分離タンク22には、合成空間25から排出されるメタノール含有流体が流入する。メタノール含有流体には、合成空間25において合成されたメタノールのほか、未反応の合成ガス(二酸化炭素及び水素)と微量の水とが含まれる。気液分離タンク22では、冷却されたメタノール含有流体が、液状に凝縮したメタノールと、メタノール以外の残留流体とに分離される。
気液分離タンク22は、直接メタノール形燃料電池10のメタノール供給部15に接続されており、分離された液状のメタノールは、メタノール供給部15に供給される。メタノール以外の残留流体は、合成空間25に戻されて、メタノールの合成に再利用される。
[水素生成装置30]
水素生成装置30は、水から水素を生成する。本実施形態に係る水素生成装置30は、電解装置31及び太陽光発電装置32を備える。
電解装置31は、アノード、カソード及び隔壁を備える。アノード及びカソードには、水の電気分解に使用される公知の電極を使用できる。太陽光発電装置32が発電した直流電流によってアノードとカソードとの間に電圧差が付与されると、外部から供給される水が電気分解される。これにより、アノードでは酸素が生成され、カソードでは水素ガスが生成される。
電解装置31において生成された水素は、メタノール合成部21の合成空間25に供給されて、メタノールの合成に利用される。電解装置31において生成された酸素は、外部に排出される。
なお、太陽光発電装置32としては、公知の太陽光発電装置を用いることができる。
[特徴]
発電システム1は、直接メタノール形燃料電池10と、メタノール合成装置20とを備える。メタノール合成装置20は、発電所、製鉄所、工業プラントなどから排出された排ガスから二酸化炭素を分離する二酸化炭素分離膜24を有する。メタノール合成装置20は、水素と、二酸化炭素分離膜24によって分離された二酸化炭素との合成ガスからメタノールを合成する。直接メタノール形燃料電池10は、メタノール合成装置20において合成されたメタノールを用いて発電する。
このように、発電システム1では、排ガスに含まれる二酸化炭素を濃縮してメタノールを合成し、合成されたメタノールを直接メタノール形燃料電池10における発電に利用できるため、排ガス中の二酸化炭素を有効利用することができる。
また、発電システム1は、水を電気分解することによって水素を生成する水素生成装置30を備える。そのため、メタノール合成装置20におけるメタノールの合成に利用される水素を簡便に取得することができる。
また、メタノール合成装置20は、メタノールの合成に用いられなかった残留流体を、メタノールの合成に再利用する。そのため、メタノール合成装置20における合成ガスの利用効率を向上させることができる。
(他の実施形態)
本発明は以上のような実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で種々の変形又は変更が可能である。
[変形例1]
上記実施形態において、発電システム1は、燃料電池の一例として直接メタノール形燃料電池(DMFC)を備えることとしたが、これに限られない。発電システム1が備える燃料電池としては、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、固体高分子形燃料電池(PEFC)、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、或いはリン酸形燃料電池(PAFC)などが挙げられる。SOFC、PEFC、MCFC、及びPAFCでは、メタノール合成装置20において合成されたメタノールを改質することによって水素を生成し、生成された水素を燃料として発電することができる。また、SOFCでは、メタノール合成装置20において合成されたメタノールをそのまま燃料として発電することもできる。このように、本明細書において、「メタノールを用いて発電する燃料電池」には、メタノールをそのまま燃料として用いる燃料電池と、燃料としての水素を生成するためにメタノールを用いる燃料電池とが含まれる。
[変形例2]
上記実施形態において、発電システム1は、水素生成装置30を備えることとしたが、水素生成装置30を備えていなくてもよい。この場合、メタノール合成装置20におけるメタノールの合成に用いられる水素を外部から供給すればよい。
[変形例3]
上記実施形態において、水素生成装置30は、水を電気分解することによって水素を生成することとしたが、水素生成装置30における水素の生成方法は特に限られない。例えば、水素生成装置30は、太陽光の熱エネルギーを利用して水を熱分解することによって水素を生成してもよいし、光触媒に太陽光を照射して水を分解することによって水素を生成してもよい。
[変形例4]
上記実施形態において、水素生成装置30は、太陽光発電装置32が発電した直流電流を用いて水を電気分解することとしたが、直流電流の発電方法は特に限られない。例えば、太陽熱、地熱、風力、水力などを用いて発電してもよいし、外部の発電設備において発電された交流電流を直流電流に変換して利用してもよい。
[変形例5]
上記実施形態において、水素生成装置30において生成された酸素は外部に排出されることとしたが、直接メタノール形燃料電池10のカソード12における電気化学反応に利用されてもよい。
[変形例6]
上記実施形態において、発電システム1は、二酸化炭素含有ガスの一例である排ガスに含まれる二酸化炭素を濃縮して発電に利用することとしたが、これに限られない。二酸化炭素含有ガスとしては、排ガスのほかに、空気を挙げることができる。すなわち、発電システム1は、空気中に数百ppm含まれる二酸化炭素を濃縮して発電に利用してもよい。
[変形例7]
上記実施形態では、発電システム1において生産される電力の用途について特に触れていないが、図2に示すように、蓄電装置17を備える発電システム1aを構築することによって、発電システム1aにおいて生産される電力を幅広い用途に利用することができる。
発電システム1aのうち蓄電装置17以外の構成は、上記実施形態にて説明したとおりである。蓄電装置17は、直接メタノール形燃料電池10と電気的に接続される。蓄電装置17は、直接メタノール形燃料電池10が生産する直流電力を蓄電する。蓄電装置17としては、液系の二次電池、全固体形の二次電池、及びキャパシタなどを用いることができるが、特に限定されない。液系の二次電池には、有機溶媒を含む非水系電解液を用いた二次電池(例えば、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、空気亜鉛電池など)と、有機溶媒を含まない水系電解液を用いた二次電池(例えば、ニッケル亜鉛二次電池)とが含まれる。なお、全固体形の二次電池とは、正極層と負極層との間に固体電解質層が配置された構造を有し、構成成分が固体である二次電池をいう。全固体形の二次電池としては、例えばリチウムイオン全固体形の二次電池、ナトリウムイオン全固体形の二次電池、カルシウムイオン全固体形の二次電池などが挙げられる。
発電システム1aは、例えば、電力貯蔵システム、分散型電源及び電気自動車用発電システムなどに使用することができる。
[変形例8]
上記実施形態において、発電システム1では、気液分離タンク22において分離された液状のメタノールは、直接メタノール形燃料電池10のメタノール供給部15に直接供給されることとしたが、これに限られない。
例えば、図3に示すように、メタノールタンク26を備える発電システム1bを構築してもよい。発電システム1bのうちメタノールタンク26以外の構成は、上記実施形態にて説明したとおりである。メタノールタンク26は、メタノール合成部21の下流側かつ直接メタノール形燃料電池10の上流側に配置される。図3に示す例において、メタノールタンク26は、気液分離タンク22の下流側かつメタノール供給部15の上流側に配置されている。メタノールタンク26は、気液分離タンク22から供給されるメタノールを貯留する。
このように、メタノールタンク26を設けることによって、メタノール合成部21においてメタノールを合成できない場合であっても、メタノール供給部15にメタノールを供給することができる。従って、例えば夜間などに太陽光発電装置32から十分な電力が得られず、電解装置31において水素を生成できなくても、直接メタノール形燃料電池10の発電を継続させることができる。
[変形例9]
上記実施形態では、直接メタノール形燃料電池10のアノード14において発生する二酸化炭素は、メタノール供給部15から外部に排出されることとしたが、図4に示すように、メタノール供給部15からメタノール合成部21に二酸化炭素を供給する発電システム1cを構築してもよい。これにより、直接メタノール形燃料電池10から排出される二酸化炭素の有効利用を図ることができる。なお、発電システム1cでは、必要に応じて、外部からメタノール合成部21へ排ガスを供給してもよい。
[変形例10]
上記実施形態において、二酸化炭素分離膜24は、メタノール合成部21内に配置されることとしたが、図5に示すように、直接メタノール形燃料電池10の下流側かつメタノール合成部21の上流側に二酸化炭素分離膜24が配置された発電システム1dを構築してもよい。
この場合、メタノール合成部21は、合成空間25のみによって構成される。メタノール合成部21におけるメタノールの合成条件は、例えば、250℃〜400℃、200atm〜300atmとすることができる。
二酸化炭素分離膜24は、二酸化炭素分離装置27内に配置される。二酸化炭素分離装置27は、供給空間23、二酸化炭素分離膜24及び透過側空間28を有する。
供給空間23及び二酸化炭素分離膜24の構成は、上記実施形態で説明したとおりである。透過側空間28は、二酸化炭素分離膜24を介して供給空間23の反対側に設けられる。透過側空間28には、二酸化炭素分離膜24を透過した二酸化炭素が流入する。
このように、直接メタノール形燃料電池10の下流側かつメタノール合成部21の上流側に二酸化炭素分離膜24を配置することによって、二酸化炭素分離膜24に要求される耐熱性及び耐圧性を緩和することができる。
なお、図5に示した発電システム1dは、変形例8において説明したメタノールタンク26(図3参照)を備えているが、メタノールタンク26を備えていなくてもよい。
1 発電システム
10 直接メタノール形燃料電池
20 メタノール合成装置
21 メタノール合成部
22 気液分離タンク
23 供給空間
24 二酸化炭素分離膜
25 合成空間
26 メタノールタンク
27 二酸化炭素分離装置
28 透過側空間
30 水素生成装置
31 電解装置
32 太陽光発電装置

Claims (6)

  1. 二酸化炭素及び水を含む二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を分離するゼオライト膜と、水素と前記ゼオライト膜によって分離された二酸化炭素との合成ガスからメタノールを合成するメタノール合成部とを有するメタノール合成装置と、
    前記メタノール合成装置において合成されたメタノールを用いて発電する燃料電池と、
    を備え
    前記ゼオライト膜は、前記メタノール合成部内に配置される、
    発電システム。
  2. 二酸化炭素及び水を含む二酸化炭素含有ガスから二酸化炭素を分離するゼオライト膜と、水素と前記ゼオライト膜によって分離された二酸化炭素との合成ガスからメタノールを合成するメタノール合成部とを有するメタノール合成装置と、
    前記メタノール合成装置において合成されたメタノールを用いて発電する燃料電池と、
    を備え、
    前記ゼオライト膜は、前記燃料電池の下流側かつ前記メタノール合成部の上流側に配置される、
    発電システム。
  3. 水を電気分解することによって水素を生成する水素生成装置を更に備える、
    請求項1又は2に記載の発電システム。
  4. 前記メタノール合成部は、メタノールの合成に用いられなかった残留流体を、メタノールの合成に再利用する、
    請求項1乃至のいずれかに記載の発電システム。
  5. 前記メタノール合成装置は、合成したメタノールを貯留するメタノールタンクを有する、
    請求項1乃至のいずれかに記載の発電システム。
  6. 前記燃料電池と電気的に接続され、前記燃料電池からの電力を蓄電する蓄電装置を備える、
    請求項1乃至のいずれかに記載の発電システム。
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