JP6746496B2 - ベンラリツマブを使用して喘息患者の努力肺活量を増大させる方法 - Google Patents

ベンラリツマブを使用して喘息患者の努力肺活量を増大させる方法 Download PDF

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Description

配列表の参照
本願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列表を含み、その全体を参照により本明細書に組み込むものとする。2014年7月16日に作成された前記ASCIIのコピーは、ファイル名IL5R−604WO1_SL.txtであり、サイズは15,971バイトである。
背景
世界中で3億を超える人々が喘息を患っている。長時間作用性気管支拡張剤および吸入コルチコステロイド薬の使用にもかかわらず、喘息は世界で疾病率の主要な割合を占め続けている(Masoli M,et al.Allergy 59:469−78(2004))。
急性喘息増悪後の再発は、退院時の全身性ステロイドの使用にもかかわらず、12週目で41〜52%の範囲であると報告されている(Lederle F,et al.Arch Int Med 147:2201−03(1987))。これらの患者の管理によれば、大変な難病であること、または治療に適合しない、および/もしくは治療に従う気がないことのために、問題の解決が困難であることがわかっている。入院患者に関するある研究では、幾人かの致命的な喘息患者の50%で、退院後7日目で全身性コルチコステロイドに対するコンプライアンスが低くなっていた(Krishnan J,et al.AJRCCM 170:1281−85(2004))。日常的健康管理の利用が困難である(特にスラム街で)、彼らの病気に関する教育または理解が不足している、彼らの病気が慢性的なものであることを受け入れる気がない、または薬物治療を受けることができない、などの多くの因子が低コンプライアンスの原因であり得る。
喘息性気道炎症の主な原因細胞の1つが好酸球であることを、多くの証拠が暗に示している(James A.Curr Opin Pulm Med 11(1):1−6(2005))。末梢血(PB)中の好酸球増加は、急性喘息再発のリスク因子である(Janson C and Herala M. Resp Med 86(2):101−104(1992))。末梢血中の好酸球が増加している患者では、好酸球増加がみられない患者と比べて、喘息による死亡のリスクは7.4(信頼区間、2.8〜19.7)倍高かった(Ulrik C and Fredericksen J.Chest 108:10−15(1995))。剖検の結果、致命的な喘息の、2つの明確に区別できる病原性炎症メカニズムが特定された(Restrepo R and Peters J.Curr Opin Pulm Med 14:13−23(2008))。突然(症状が発現してから約2時間以内)死亡した患者では好中球浸潤がより顕著であり、一方、好酸球浸潤は、より長い喘息の危機を経過して死亡した患者によく見られる。急な喘息症状の発現のために救急部を受診する患者では、痰および血中の好酸球もまた増加することがある(Bellido−Casado J,et al.Arch Bronconeumol 46(11):587−93(2010))。好酸球を標的とする治療は、診療ガイドラインの使用と比較すると、喘息増悪の回数と重症度の低減をもたらしている(Green R,et al.Lancet 360:1715−21(2002);Haldar P,et al.NEJM 360:973−84(2009))。
Benralizumab(ベンラリツマブ;MEDI−563)は、好酸球および好塩基球上に発現するインターロイキン5受容体アルファ(IL−5Rα)のアルファ鎖に結合する、ヒト化モノクローナル抗体(mAb)である。それは、抗体依存性細胞障害を通してこれらの細胞のアポトーシスを誘導する。軽い喘息の成人にBenralizumabを静注(IV)により1回投与すると、この標的を発現する好酸球/好塩基球骨髄前駆細胞に対する影響によるものと思われるが、PB中好酸球が長期間減少した(Busse W,et al.JACI 125:1237−1244 e2(2010))。さらに、Benralizumabの1回の投与によって、重度の喘息増悪のために救急部を受診した患者の血中好酸球数は顕著に減少したが、肺機能に影響することはなかった(国際公開第13/066780号パンフレット)。
このように、喘息患者の、例えば1秒量(FEV)により測定されるような肺機能を高めるという、未だ満たされていない強い要求があり、また、喘息患者の中に好酸球要素を有するものがいることから、成人患者の1秒量に対するBenralizumabの効果を調べた。
本願においては、喘息患者の1秒量(FEV)を増加させる方法が提供される。ある態様では、喘息患者の1秒量(FEV)を増加させる方法は、有効量のBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む。
本願においては、喘息を治療する方法も提供される。ある態様では、喘息の治療方法は、投与前の血中好酸球数が少なくとも300個/μlの喘息患者に、有効量のBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。
ある態様では、喘息の治療方法は、投与前の1秒量(FEV)が予測値の少なくとも75%である喘息患者に、有効量のBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。
ある態様では、喘息の治療方法は、喘息患者にBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを少なくとも2回投与することを含む。
本願で提供される方法のある態様では、投与により患者のFEVが増加する。ある態様では、投与により患者のFEVは、最初の投与から4週以内に増加する。ある態様では、FEVは少なくとも0.1L増加する。ある態様では、FEVは少なくとも0.13L増加する。ある態様では、FEVは少なくとも0.2L増加する。ある態様では、FEVは少なくとも0.25L増加する。ある態様では、FEVは少なくとも0.50L増加する。
本願で提供される方法のある態様では、喘息は好酸球性喘息である。ある態様では、患者の血中好酸球数は少なくとも300個/μlである。
本願で提供される方法のある態様では、患者は投与前に予測値の少なくとも75%の1秒量(FEV)を有する。ある態様では、患者は、投与前に少なくとも1.5の喘息コントロール質問票スコアを有する。ある態様では、患者は高用量の吸入コルチコステロイド薬(ICS)を使用する。ある態様では、患者は長時間作用性β2刺激薬(LABA)を使用する。ある態様では、患者は増悪歴を有する。ある態様では、増悪歴は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメント投与前の1年に少なくとも2回の増悪を含む。ある態様では、増悪歴は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメント投与前の1年に6回以下の増悪を含む。
本願で提供される方法のある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、患者に少なくとも2回投与される。
本願で提供される方法のある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、1回当たり約2mg〜約100mg投与される。ある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、1回当たり約20mg投与される。ある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、1回当たり約30mg投与される。ある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、1回当たり約100mg投与される。
本願で提供される方法のある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、4週〜12週毎に1回投与される。ある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、4週毎に1回投与される。ある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、8週毎に1回投与される。ある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、12週間は4週毎に1回、その後は8週毎に1回投与される。
本願で提供される方法のある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、非経口的に投与される。ある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、皮下投与される。
本願で提供される方法のある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、コルチコステロイド療法と併用して投与される。
ある態様では、喘息患者の1秒量(FEV)を増大させる方法は、投与前の血中好酸球数が少なくとも300個/μlの患者に、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントを20〜100mg投与することを含む。ある態様では、本方法はBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを20mg投与することを含む。ある態様では、12週間は4週毎に1回、その後は8週毎に1回、Benralizumab 20mgが投与される。ある態様では、本方法はBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを30mg投与することを含む。ある態様では、8週間は4週毎に1回、その後は8週毎に1回、Benralizumab 30mgが投与される。ある態様では、4週毎に1回、Benralizumab 30mgが投与される。ある態様では、本方法はBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを100mg投与することを含む。ある態様では、12週間は4週毎に1回、その後は8週毎に1回、Benralizumab 100mgが投与される。
ある態様では、喘息患者の喘息を治療する方法は、少なくとも2mg、100mg未満の用量の、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントを患者に投与することを含む。ある態様では、本方法はBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを20mgの投与することを含む。ある態様では、本方法はBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを30mg投与することを含む。ある態様では、本方法は少なくとも20mg、100mg未満の用量の、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。ある態様では、本方法は少なくとも30mg、100mg未満の用量の、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。ある態様では、本方法は喘息の増悪率を低下させる。ある態様では、本方法は喘息の年間増悪率を低下させる。ある態様では、投与は皮下に行われる。
提供する方法のある態様では、図2〜9に示すように、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与により1秒量(FEV)が増加する。
提供する方法のある態様では、実施例1〜2に示すように、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与により1秒量(FEV)が増加する。
図1は試験のフロー図を示す。 図2は、300好酸球/μl未満の患者および少なくとも300好酸球/μlの患者を、プラセボ、2mgのBenralizumab、20mgのBenralizumabまたは100mgのBenralizumabで治療した後、24週目の1秒量(FEV)の変化を示す図である。 図3は、300好酸球/μl未満の患者および少なくとも300好酸球/μlの患者を、プラセボ、2mgのBenralizumab、20mgのBenralizumabまたは100mgのBenralizumabで治療した後の、中間期(24週目)およびステージI(52週目)におけるFEVの変化を示す。 図4は、中用量または高用量の吸入コルチコステロイド薬(ICS)の使用患者を、プラセボ、2mgのBenralizumab、20mgのBenralizumabまたは100mgのBenralizumabで治療した後の、中間期(24週目)およびステージI(52週目)におけるFEVの変化を示す。 図5は、300好酸球/μl未満を有し、かつ(i)中用量、または(ii)高用量のICSを使用している患者を、プラセボ、2mgのBenralizumab、20mgのBenralizumabまたは100mgのBenralizumabで治療した後の、中間期(24週目)およびステージI(52週目)におけるFEVの変化を示す。 図6は、少なくとも300好酸球/μlを有し、かつ(i)中用量、または(ii)高用量のICSを使用している患者を、プラセボ、2mgのBenralizumab、20mgのBenralizumabまたは100mgのBenralizumabで治療した後の、中間期(24週目)およびステージI(52週目)におけるFEVの変化を示す。 図7Aおよび図7Bは、好酸球数が様々な患者のFEVの変化を示す。 図7Aおよび図7Bは、好酸球数が様々な患者のFEVの変化を示す。 図8は、少なくとも300好酸球/μlの患者の平均FEVの経時変化を示す。 図9は、300好酸球/μl未満の患者の平均FEVの経時変化を示す。
用語「a」または「an」を前置する実体は、1つ以上のその実体を指すことに留意すべきであり、例えば、「an 抗−IL−5α抗体」は、1種以上の抗−IL−5α抗体を意味すると理解される。したがって、「a」(または「an」)、「1つ以上」および「少なくとも1つ」という用語は、本明細書では同義語として使用することができる。
本願で提供されるのは、喘息患者の1秒量(FEV)を増大させる方法である。提供される方法は、有効量のBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含む。
本願で提供される方法で使用するBenralizumab(またはそのフラグメント)に関する情報は、米国特許出願公開第2010/0291073A1号明細書に見出すことができ、参照によりその開示の全体が本明細書に組み込まれる。本願で提供される方法で使用するBenralizumabおよびその抗原結合フラグメントは、重鎖および軽鎖、または重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む。さらなる態様では、本願で提供される方法で使用するBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号:1〜4のアミノ酸配列のいずれか1つを含む。ある特定の態様では、本願で提供される方法で使用するBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号:1のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、および配列番号:3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。ある特定の態様では、本願で提供される方法で使用するBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号:2のアミノ酸配列を含む軽鎖、および配列番号:4のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。ある特定の態様では、本願で提供される方法で使用するBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、配列番号:7〜9のKabatによる定義のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む重鎖可変領域と、配列番号:10〜12のKabatによる定義のCDR1、CDR2およびCDR3配列を含む軽鎖可変領域を含む。当業者であれば、Chothiaによる定義のCDR、Abmによる定義のCDR、または他のCDRを容易に見分けることができるであろう。ある特定の態様では、本願で提供される方法で使用するBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、本明細書で開示されている、KM1259抗体の可変重鎖および可変軽鎖のCDR配列を含む。米国特許第6,018,032号明細書は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
ある態様では、喘息により病院またはEDを受診する患者に、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントが投与される。Benralizumabが、12週以上の間、好酸球数を低下ないし減少させることができるとすれば(米国特許出願公開第2010/0291073号明細書を参照)、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、1秒量(FEV)を増大させる恩恵がなおも患者にもたらされている間は、1回のみ、または非常に少ない回数、投与することができる。さらなる態様では、患者はさらに追加投与される。追加投与は、患者の年齢、体重、医師の指示に従う能力、臨床的評価、好酸球数(血中または痰中の好酸球)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)測定値、好酸球由来ニューロトキシン(EDN)測定値、主要塩基性タンパク質(MBP)測定値、および、主治医の判断などの他の因子に応じて、様々な時間間隔で行うことができる。投与間隔は、4週毎、5週毎、6週毎、8週毎、10週毎、12週毎、またはこれより長い間隔とすることができる。ある態様では、投与間隔は4週毎、8週毎、または12週毎とすることができる。ある態様では、喘息患者が急性増悪、例えば、軽度、中度、または重度の増悪を発症した後、すぐに患者に単回投与、または最初の投与が行われる。例えば、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの単回投与または最初の投与は、診療所もしくは病院の受診時に投与することができるが、急性憎悪後、1、2、3、4、5、6、7日もしくはそれを超える日数、例えば7日以内の非常に重度の増悪の場合には、Benralizumabの投与の前に患者の症状を安定化させる。
いくつかの実施形態では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、患者に少なくとも2回投与される。いくつかの実施形態では、患者に、少なくとも3回、少なくとも4回、少なくとも5回、少なくとも6回、または少なくとも7回の投与が行われる。いくつかの実施形態では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、4週にわたって、8週にわたって、12週にわたって、24週にわたって、または1年にわたって投与される。
患者に投与するBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントの量は、患者の年齢、体重、臨床的評価、好酸球数(血中または痰中の好酸球)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)測定値、好酸球由来ニューロトキシン(EDN)測定値、主要塩基性タンパク質(MBP)測定値、および、主治医の判断などの他の因子などの各種パラメータに依るであろう。ある態様では、用量または投与間隔は痰中の好酸球値には依らない。
ある態様では、患者は、約2mg〜約100mg、例えば約20mg〜約100mg、または約30mg〜約100mgの用量のBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントが1回以上投与される。ある態様では、患者は、約20mg、約30mg、約40mg、約50mg、約60mg、約70mg、約80mg、約90mgまたは約100mgの用量のBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントが1回以上投与される。いくつかの実施形態では、用量は約20mgである。いくつかの実施形態では、用量は約30mgである。いくつかの実施形態では、用量は約100mgである。
ある態様では、本願で提供される方法によるBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与は、非経口投与である。例えば、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、静脈注入または皮下注射により投与することができる。
ある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントは、別の喘息療法と組み合わせて、または併用して、本願で提供される方法により投与される。そのような療法としては、吸入コルチコステロイド療法、長期作用型または短期作用型の気管支拡張剤治療、酸素補充、または、例えばNAEPP Guidelinesに記載されているような他の標準療法が挙げられるが、これらに限定されない。ある態様では、喘息治療管理の標準的形態に従うことが困難な状況において、増悪歴を有する喘息患者に対する、本願で提供される方法の使用、すなわちBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与は、補助的療法となる。
本願で提供される方法は、喘息患者の1秒量(FEV)を顕著に増加させることができる。増加は、大きな患者個体群から予測されるFEVに基づき、対照個体群で測定されたFEVに基づき、または投与前の個々の患者のFEVに基づき測定することができる。ある態様では、患者の個体群は、過去1年に≧2回の、経口全身性コルチコステロイド薬が必要な増悪を経験した患者群である。ある態様では、患者の個体群は、過去1年に≧2回の、全身性コルチコステロイドバーストが必要な増悪を経験し、かつ過去1年に≦6回の、全身性コルチコステロイドバーストが必要な増悪を経験した患者群である。ある態様では、患者の個体群は、好酸球数が少なくとも300個/μlの患者群である。
ある態様では、本願で提供される方法により、すなわち、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与により、その患者のベースラインFEVと比べて、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与後は、24週にわたって1秒量(FEV)が増加する。ある態様では、患者は定期的に、例えば4週毎、5週毎、6週毎、8週毎、12週毎、または、患者の年齢、体重、医師の指示に従う能力、臨床的評価、好酸球数(血中または痰中の好酸球)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)測定値、好酸球由来ニューロトキシン測定値(EDN)、主要塩基性タンパク質(MBP)測定値、および、主治医の判断などの他の因子に基づいて決められた間隔で、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの追加投与を受けることができる。本願で提供される方法を使用すれば、24週にわたってFEVを、少なくとも0.05L、少なくとも0.1L、少なくとも0.13L、少なくとも0.15L、少なくとも0.20L、少なくとも0.21L、少なくとも0.22L、少なくとも0.23L、少なくとも0.24L、少なくとも0.25L、少なくとも0.30L、少なくとも0.35L、少なくとも0.40L、少なくとも0.45Lまたは少なくとも0.50L増加させることができる。
他の態様では、本願で提供される方法の使用により、すなわち、喘息患者にBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを投与することにより、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与後、患者の1秒量(FEV)は52週にわたって増加する。ある態様では、患者は定期的に、例えば4週毎、5週毎、6週毎、8週毎、12週毎、または、患者の年齢、体重、医師の指示に従う能力、臨床的評価、好酸球数(血中または痰中の好酸球)、好酸球カチオン性タンパク質(ECP)測定値、好酸球由来ニューロトキシン測定値(EDN)、主要塩基性タンパク質(MBP)測定値、および、主治医の判断などの他の因子に基づいて決められた間隔で、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの追加投与を受けることができる。ある態様では、その間隔は4週毎、8週毎または12週毎である。本願で提供される方法の使用により、24週にわたって1秒量(FEV)を、少なくとも0.05L、少なくとも0.1L、少なくとも0.13L、少なくとも0.15L、少なくとも0.20L、少なくとも0.21L、少なくとも0.22L、少なくとも0.23L、少なくとも0.24L、少なくとも0.25L、少なくとも0.30L、少なくとも0.35L、少なくとも0.40L、少なくとも0.45Lまたは少なくとも0.50L増加させることができる。
ある態様では、本願で提供される方法の使用により、すなわち、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与により、1秒量(FEV)は4週以内に、8週以内に、12週以内に、16週以内に、20週以内に、24週以内に、28週以内に、32週以内に、36週以内に、40週以内に、44週以内に、48週以内に、または52週以内に増加する。
ある態様では、本願で提供される方法の使用により、すなわち、喘息患者にBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントを投与することにより、1秒量(FEV)が増加し、年間増悪率が低下し、かつ/または喘息質問票のスコア(例えば、喘息コントロール質問票(ACQ))が改善される。
ある態様では、患者は「好酸球陽性」であり、これはその患者が好酸球性喘息である可能性が高いことを意味する。
ある態様では、喘息患者は、例えばBenralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前には、特定の血中好酸球数を有している。血中好酸球数は、例えば、血球分類とともに全血球計算(CBC)を行うことにより測定できる。
ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、少なくとも300個/μlの血中好酸球数を有する。ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、少なくとも350個/μl、少なくとも400個/μl、少なくとも450個/μl、または少なくとも500個/μlの血中好酸球数を有する。
ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、300個/μl未満の血中好酸球数を有する。ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、少なくとも100個/μl、少なくとも150個/μl、少なくとも180個/μl、少なくとも200個/μl、または少なくとも250個/μlの血中好酸球数を有する。
ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、中用量の吸入コルチコステロイド(ICS)を処方されたか、あるいは使用してきている。中用量のICSは、1日量が少なくとも600μg〜1,200μgのブデソニドであるか、または等価用量の別のICSのであり得る。
ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、高用量のICSを処方されたか、あるいは使用してきている。高用量のICSは、1日量が少なくとも1,200μgのブデソニドであるか、等価用量の別のICSであり得る。高用量のICSはまた、1日量が1,200μg超〜2000μgのブデソニドであるか、等価用量の別のICSであり得る。
ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、経口コルチコステロイド薬を処方されたか、あるいは使用してきている。ある態様では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与により、喘息患者の経口コルチコステロイドの使用が減少する。ある態様では、その投与により喘息患者の経口コルチコステロイドの使用が少なくとも50%減少する。
ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、長時間作用性ベータ刺激剤(LABA)を処方されたか、あるいは使用してきている。
ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、ICSおよびLABAの両者を処方されたか、あるいは使用してきている。
ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、少なくとも300個/μlの血中好酸球数を有し、かつ高用量のICSを使用している。
ある態様では、喘息患者は、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、予測値の少なくとも40%、90%未満の1秒量(FEV)を有する。いくつかの実施形態では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、FEVが予測値の70%超である。いくつかの実施形態では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、FEVが予測値の70%超、90%未満である。いくつかの実施形態では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、FEVが予測値の少なくとも75%である。いくつかの実施形態では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、FEVが予測値の少なくとも75%であり、90%未満である。いくつかの実施形態では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、FEVが予測値の少なくとも80%である。いくつかの実施形態では、Benralizumabまたはその抗原結合フラグメントの投与前に、FEVが予測値の少なくとも80%、90%未満である。
実施例1:患者および方法
(a)患者
本試験の患者は18〜75歳で、体重が45kg超150kg以下(100ポンド超330ポンド以下)であることが要求された。彼らはまた、スクリーニング前の少なくとも12ヶ月間喘息を患っていたという医師の診断がなければならず、また、スクリーニング前の少なくとも12ヶ月間、医師処方による中用量または高用量の吸入コルチコステロイド薬(ICS)と長時間作用性ベータ刺激剤(LABA)を毎日使用していたか、または中用量もしくは高用量ICS/LABAの連続投与の任意の組み合わせを毎日使用していなければならなかった。本試験で定義したICSの中用量および高用量を下記表1に示す。
Figure 0006746496
他の喘息コントロール剤の用量は、スクリーニング前、少なくとも30日間は患者に安定して投与されていなければならなかった。患者はまた、スクリーニングの前12ヶ月以内に、少なくとも2回、しかし6回以下の、書類に記載された、全身性コルチコステロイドバーストの使用が必要な喘息増悪を起こしていなければならなかった。患者はまた、スクリーニング/準備期間(後述)において、午前の気管支拡張剤使用前の1秒量(FEV)が予測値の少なくとも40%、90%未満でなければならなかった。患者はまた、以下の基準の1つを満たしていなければならなかった。
a)気管支拡張剤使用後の気流制限可逆性が≧12%で、かつ≧200mLであるという、ランダム化前、36か月以内に書類に記載された証拠、またはメタコリン負荷に対して陽性応答[PC20≦8mg/mL]があったという、ランダム化前、36か月以内に書類に記載された証拠;
b)−3週スクリーニング受検時に、気管支拡張剤使用後のFEVが≧12%で、かつ≧200mLの増加があったこと;または
c)a)およびb)は満たさないが、他の全ての包含/除外の基準は満たしている場合、−2週スクリーニング受検時にFEVが≧1.5Lで、かつ予測値の≧60%の患者は、−2週スクリーニング受検時に、メタコリン試験を受けられる場所でメタコリン負荷を受ける資格があった。患者が陽性応答(PC20≦8mg/mL)を示せば、この包含基準を満たした。
患者はまた、スクリーニング/準備期間に少なくとも2回、少なくとも1.5の喘息コントロール質問票(ACQ)のスコアを取らなければならなかった。
患者がスクリーニングの前に年間10箱以上のたばこに暴露されていたか、または12ヶ月以内にずっと喫煙していたなら、あるいは、試験者またはメディカルモニターの判定で評価を妨げるような健康状態(例えば、喘息以外の好酸球性下気道疾患、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または嚢胞性繊維症など)であったなら、患者は参加できなかった。また、スクリーニングの前30日以内に、またはスクリーニング/準備期間に、患者が経口コルチコステロイドバーストまたは短期作用性全身性コルチコステロイド療法を受けていた場合にも、彼らは参加できなかった。
(b)試験計画
試験は、第2b相の、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、投与量決定、他施設試験とし、そこでは、喘息患者にBenralizumabを複数回皮下投与した(ClinicalTrials.gov番号:NCT01238861)。Benralizumabは2、20、または100mgの用量で投与され、患者は1年間経過観察された。試験のフロー図を図1に示す。
Benralizumabまたはプラセボの投与前に、3週間のスクリーニング/準備期間があった。その3週の間、試験に参加する前に、患者は同じ中用量または高用量のICS/LABAの複合製品を使用し続けた(ICS/LABAの用量は、3週間のスクリーニング/準備期間に先立つ30日間は安定していることが要求された)。患者は、全試験期間にわたって同一用量のICS/LABAの使用を続けた。
投与したBenralizumab組成物は、Benralizumab(50mg/mL)、10mMのヒスチジン、10mMのヒスチジン塩酸塩一水和物、9%(重量/体積)のトレハロース二水和物、および0.004%(重量/体積)のポリソルベート20、pH6を含んだ。投与したプラセボ組成物は、10mMのヒスチジン、10mMのヒスチジン塩酸塩一水和物、9%(重量/体積)のトレハロース二水和物、および0.02%(重量/体積)のポリソルベート20、pH6を含んだ。
患者は、第1週目(1日目)、第4週目および第8週目の最初の3回の投与では4週毎に、その後、第16週目、第24週目、第32週目および第40週目の最後の4回の投与では8週毎に、1mlのBenralizumabまたはプラセボの皮下(SC)注射を2回受けた。40週後、急性増悪の評価のために、さらにその後の12週間(52週目まで)、患者を経過観察した。Benralizumabまたはプラセボの最初の投与を受けた日を第1日目とした。
試験期間中の気流制限の変化により測定される肺機能(試験現場におけるFEVおよび努力肺活量(FVC)、ならびに自宅における最大呼気流量(PEF)とFEV)を評価した。様々の時点での測定値を、ベースラインからの変化とともに、記述統計学を使用して要約した。治療群と可能な共変量としてベースライン値を用いるANCOVAを使用し、個々のBenralizumab群とプラセボ群のそれぞれで、FEVとPEFのベースラインからの変化を比較した。
FEVおよびPEFのための自宅での最大流量試験は、最初のスクリーニング受検から、52週目の受診まで、ePro装置を使用し、毎日2回、朝の起床後と夜の就寝前に行った。52週目の受診まで、受診のたびに患者の能動的治療参加性をチェックした。患者には、毎朝、座るか立った姿勢で、但し毎試験、同じ姿勢で、最大流量試験を行うよう要請した。スクリーニング時、各登録患者に、家庭用最大流量メーターとデータを記録するための説明書を提供した。
さらに、試験者または資格を有する被指名者により、ATS/欧州呼吸器学会(European Respiratory Society)(ERS)のガイドラインに従い、主要なベンダーから提供された装置でスパイロメトリーを行った(Miller et al,Eur Respir J 26:153−61(2005))。スパイロメトリーは、−3週目、−2週目、−1週目、1週目(1日目)、4週目、16週目、24週目、32週目、40週目および52週目の午前中、6:00AM〜11:00AMに行った。治療の日には、スパイロメトリー試験は試験品の投与前に行った。スクリーニング後の朝のスパイロメトリー試験は全て、6〜11AMの間、かつスクリーニングのスパイロメトリーが完了する時刻の±1時間以内に完了するよう要請した。例えば、スクリーニングのスパイロメトリーが8:00AMであったとすると、その後のスパイロメトリー試験は全て7:00AM〜9:00AMに完了させる必要があった。
オフィスでのスパイロメトリーの集まりの度に複数回の強制呼気努力(少なくとも3回、8回以下)を実施し、米国胸部疾患学会(American Thoracic Society)/欧州呼吸器学会(ATS/ERS)の許容基準および再現性基準を満たす2回の最良の努力を記録した。最良の努力は最も高いFEVを基準にした。2回の最良の努力の最大FEVを分析に使用した。絶対測定値(FEVおよび努力肺活量(FVC)の)と予測正常値に対する割合(Hankinson et al.,Am J Respir Crit Care Med 159:179−87(1999))を記録した。努力肺活量の最大値も、それを生じさせた努力とは無関係に(その努力が最大FEVをもたらさなかったとしても)記録した。予測正常範囲の好ましい標準は、米国全国健康・栄養調査III(National Health and Nutrition Examination Survey III)(NHANES III)である。ルーチンのスパイロメトリーにより得られたデータを用い、エアートラッピングの間接測定を評価した。スパイロメトリーデータは、Sorknessらにより開発された式(J Appl Physiol 104:394−403(2008))に代入されよう。
−3週目、1週目(1日目)、16週目、24週目、32週目、40週目および52週目に、患者が気管支拡張剤使用前(プレBD)スパイロメトリーを実施した後、アルブテロール/サルブタモールによるFEVの可逆性を測定した。最大の気管支拡張は、Aeorchamberにより、最大でトータル8パフ、すなわち720μgのアルブテロール/サルブタモールMDIを用いることにより引き起こされた(Sorkness et al.,J Appl Physiol 104:394−403(2008))。
プレBDスパイロメトリー後、1回のパフに30秒の間隔を置いて、4パフのアルブテロール/サルブタモールMDIを投与し、15〜20分後、気管支拡張剤投与後(ポストBD)のスパイロメトリーを行った。その後、1回のパフに30秒の間隔を置いて、追加の2パフのアルブテロール/サルメテロールを投与し、15〜20分後、2回目のポストBDスパイロメトリーを行った。最後に、6パフのアルブテロール/サルブタモール後のFEVの増分変化が4パフのアルブテロール/サルブタモール後のFEV値の≦5%であったならば、最後の2パフのアルブテロール/サルメテロールを投与しなかった。他方、変化が>5%なら、1回のパフに30秒の間隔を置いて、2パフのアルブテロール/サルメテロールを投与し、15〜20分後に3回目のポストBDスパイロメトリーを行った。
6パフ後のFEVを4パフ後のFEVと比較する%差は次のように計算した:
%差=(FEV(6パフ)−FEV(4パフ))/FEV(4パフ)×100
可逆性を決定するために、プレBDおよびポストBDのFEVの最大値を使用し、次のように計算した:
Figure 0006746496
適用可能な場合、各評価の±1時間の午前中にメタコリン吸入負荷を完了した。メタコリンを使用する直接負荷は、気道平滑筋に直接作用して気流制限を引き起こし、FEVを減少させる。2つのATSガイドライン推奨法:2分間の安静換気法、または5回深呼吸ドシメータ法(American Thoracic Society,Am J Respir Crit Care Med.161:309−329(2000))のいずれかを使用して、メタコリン吸入負荷試験を行った。個々の患者に同じ方法を使用した。各ステージで最大のFEVを与えたものを最良努力とした;最大FVCおよび最大ピーク流量についても、それらが最大のFEVとは異なる努力で得られたものであっても、記録した。試験者または資格を有する被指名者によって、2回の努力がそのステージにおいてスパイロメトリーを実施できる患者の代表的な能力であると考えられた場合、各ステージで2回の努力のみを要求した。一般に、試験の間、患者がスパイロメトリーを実施する能力を保つよう、各ステージで3回を超える努力(測定)は行わなかった。
メタコリン負荷試験に対する禁忌としては、妊娠、母乳栄養、<1.5Lまたは予測値の<60%のFEV、過去3か月以内の心臓発作または脳卒中、所見のある大動脈瘤、管理されていない高血圧(収縮期>200mmHgまたは拡張期>100mmHg)、重症筋無力症による抗コリンエステラーゼ薬物療法の実施中、過去6週以内の呼吸器感染症、試験の日の急性喘息発作、過去30以内の経口コルチコステロイドバースト、または特定の禁止薬剤もしくは食物が挙げられる。
FEVの低下を、セイリーン(saline)ステージで決定された最良のFEVの百分率として計算した。陽性患者または症候性患者を、2〜4パフのアルブテロール/サルブタモールの投与を受け、彼らのFEVがベースライン(−2週目のスクリーニング受検)値の少なくとも90%に回復するまで観察した。FEVの減少が>50%であった患者は、アルブテロールで救助し、経過を注意深く観察した。FEVがベースライン(希釈前)値の少なくとも90%にまで回復しなかった場合、試験者または資格を有する被指名者の許可なしに、患者はクリニックを退院できなかった。
(c)安全性評価
プラセボまたはBenralizumab投与後の有害事象を監視した。その他の評価には、身体的検査、バイタルサインのモニタリングおよび研究室測定が含まれた。
実施例2:結果
(a)登録およびベースライン特性
試験品の何らかの投与を受けた無作為化した全患者のベースライン特性を下記表2に示す。ICS個体群の平均用量は、全体としては1100ブデソニドと等価であり、中用量層では700ブデソニドと等価、高用量層では1600ブデソニドと等価であった。
Figure 0006746496
試験品の何らかの投与を受け、ベースラインの好酸球数が少なくとも300個/μlの無作為化した患者のベースライン特性を下記表3に示す。
Figure 0006746496
(b)有効性
FEVに対するBenralizumabの投与の効果を図2〜9に示す。例えば、図2のデータは、血中好酸球数が少なくとも300個/μlで、2、20または100mgのBenralizumabを受けた患者では、24週までにFEVが増加することを示している。同様の結果は、52週目でも観察された(図3)。図4のデータは、中用量または高用量のいずれかのICSを受けた患者でFEVは向上したが、この向上は高用量のICSを受けた患者でより大きかったことを示している。図5のデータは、血中好酸球数が300個/μl未満で、中用量のICSを受けていた患者と、高用量のICSを受けていた患者のFEVの変化を比較しており、図6のデータは、血中好酸球数が少なくとも300個/μlで、中用量のICSを受けていた患者と、高用量のICSを受けていた患者のFEVの変化を比較している。血中好酸球数が少なくとも300個/μlの患者では、高用量のICSを受けた患者で、FEVがより向上したことが確認された(図6)。好酸球数によるより詳しい分析を図7に示す。図8および9に示すように、Benralizumabとプラセボを受けた患者のFEVの違いは4週目には早くも観察することができた。しかしながら、この違いは血中好酸球数が少なくとも300個/μlの患者がはるかに大きかった。
(c)安全性
Benralizumabで治療された患者では、治療下で発現した有害事象(TEAE)が、プラセボで治療された患者と比べて、約10パーセントポイント高い頻度で発生した。治療下で発現した重度の有害事象(TE−SAE)は、Benralizumabとプラセボで治療された患者において類似の頻度で生じた。Benralizumabで治療された患者では、TEAEとTE−SAEは用量に依存しなかった。
(d)抗薬物抗体
Benralizumabに対する抗薬物抗体の生成は、用量とは逆の関係を示し、ADA陽性患者の割合が最も高いのは2mgの用量においてであった(下記表4参照)。高力価のADA(≧400)の発生率は、20mg用量群および100mg用量群でそれぞれ12%および9%であった。高力価のADAは、それが存在すれば、Benralizumab濃度の低下および好酸球の様々な程度の回復に関連した。高力価ADAの薬物動態/薬力学(PK/PD)的影響は、より高レベルの薬物曝露の場合に低下した。TEAEとADAの間にはいかなる関係も観察されなかった。
Figure 0006746496
PKおよび免疫学的考察に基づき、追加の患者群に用量30mgのBenralizumabを投与する。何人かの患者には、4週毎に用量30mgのBenralizumabを投与する。何人かの患者には、3回の投与は4週毎に1回、その後は8週毎に1回、用量30mgのBenralizumabを投与する。
(e)考察
本試験は、Benralizumabが肺機能を改善することを示している。改善は全ての用量で観察されたが、2mg用量に比べて、20および100mgの用量で明らかにより大きい恩恵が得られた。さらに、FEVは、中用量のICS/LABAを投与された患者より、高用量のICS/LABAを投与された患者が、より大きく改善されるようであった。
実施例3:追加用量の評価
年間増悪率を低減し、安全で十分に許容されるBenralizumabの追加用量を特定するために、用量−有効性のモデル化を行った。モデル化により、約30mgが最大治療効果の90%を達成するのに最少の有効用量であることが示された。したがって、非管理の喘息患者は30mgのBenralizumabまたはプラセボの皮下注射を受ける。30mgの用量が、(i)4週毎、または(ii)8週間は4週毎(3回投与)、その後は8週毎(すなわち、4週目の追加投与を含む8週毎)に投与される。30mgの用量のBenralizumabにより年間増悪率が減少することを示すために、30mgのBenralizumabを受けた患者の増悪回数と、プラセボを受けた患者の増悪回数を比較する。さらに、30mgの用量のBenralizumabが、ベースラインの血中好酸球数が少なくとも300個/μlの患者の年間増悪率を減少させるのに有効であることを示すために、そうした患者の増悪回数を分析した。
当業者であれば、ルーチン以下の実験により、本明細書に記載されている開示の特定の態様に等価な多くのものを認識するであろうし、あるいは確認することができるであろう。そのような等価なものは、次の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。
本明細書では種々の刊行物が参照されているが、それらの開示の全体は参照により組み込まれる。
以上、本発明を、明確に理解されることを目的に、説明と実施例により多少詳しく記載してきたが、添付の特許請求の範囲内で一定の変更と修正を加えることができることは明らかであろう。
本願は以下の態様も提供する。
[1]喘息患者の1秒量(FEV )を増加させる方法であって、前記喘息患者に有効量のベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含み、前記投与が前記患者のFEV を増加させる方法。
[2]喘息の治療方法であって、喘息患者に有効量のベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含み、前記患者が前記投与前に少なくとも300個/μlの血中好酸球数を有する方法。
[3]喘息の治療方法であって、喘息患者に有効量のベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含み、前記患者が前記投与前に予測値の少なくとも75%の1秒量(FEV )を有する方法。
[4]喘息の治療方法であって、喘息患者にベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを少なくとも2回投与することを含む方法。
[5]前記投与は、前記患者のFEV を増大させる[2]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記投与は、前記喘息患者のFEV を、最初の投与から4週以内に増加させる[5]に記載の方法。
[7]前記喘息は、好酸球性喘息である[1]または[3]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記患者は、少なくとも300個/μlの血中好酸球数を有する[1]または[3]〜[7]のいずれかに記載の方法。
[9]前記患者は、前記投与前に予測値の少なくとも75%の1秒量(FEV )を有する[1]、[2]または[4]〜[8]のいずれかに記載の方法。
[10]前記患者は、前記投与前に少なくとも1.5の喘息コントロール質問票スコアを有する[1]〜[9]のいずれかに記載の方法。
[11]前記患者にベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントが少なくとも2回投与される[1]〜[3]または[5]〜[10]のいずれかに記載の方法。
[12]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメント投与後に前記患者のFEV を増加させる[1]または[6]〜[11]のいずれかに記載の方法。
[13]前記FEV が少なくとも0.1L増加する[1]または[6]〜[12]のいずれかに記載の方法。
[14]前記FEV が少なくとも0.13L増加する[13]に記載の方法。
[15]前記FEV が少なくとも0.2L増加する[14]に記載の方法。
[16]前記FEV が少なくとも0.25L増加する[15]に記載の方法。
[17]前記FEV が少なくとも0.5L増加する[16]に記載の方法。
[18]前記患者は高用量の吸入コルチコステロイド薬(ICS)を使用する[1]〜[17]のいずれかに記載の方法。
[19]前記患者は長時間作用性β2刺激薬(LABA)を使用する[1]〜[18]のいずれかに記載の方法。
[20]前記患者は増悪歴を有する[1]〜[19]のいずれかに記載の方法。
[21]前記増悪歴は、前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメント投与の前年に少なくとも2回の増悪を含む[20]に記載の方法。
[22]前記増悪歴は、前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメント投与の前年に6回以下の増悪を含む[20]または[21]に記載の方法。
[23]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、1回当たり約2mg〜約100mg投与される[1]〜[22]のいずれかに記載の方法。
[24]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、1回当たり約20mg投与される[23]に記載の方法。
[25]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、1回当たり約30mg投与される[23]に記載の方法。
[26]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、1回当たり約100mg投与される[23]に記載の方法。
[27]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、4週〜12週毎に1回投与される[1]〜[26]のいずれかに記載の方法。
[28]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、4週毎に1回投与される[27]に記載の方法。
[29]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、8週毎に1回投与される[27]に記載の方法。
[30]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、12週間は4週毎に1回、その後は8週毎に1回投与される[27]に記載の方法。
[31]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、非経口的に投与される[1]〜[30]のいずれかに記載の方法。
[32]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは皮下投与される[31]に記載の方法。
[33]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、コルチコステロイド療法に加えて投与される[1]〜[32]のいずれかに記載の方法。
[34]喘息患者の1秒量(FEV )を増加させる方法であって、前記患者に20〜100mgのベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含み、前記患者が前記投与前に少なくとも300個/μlの血中好酸球数を有する方法。
[35]ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを20mg投与することを含む[34]に記載の方法。
[36]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、12週間は4週毎に1回、その後は8週毎に1回投与される[35]に記載の方法。
[37]ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを30mg投与することを含む[34]に記載の方法。
[38]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、8週間は4週毎に1回、その後は8週毎に1回投与される[37]に記載の方法。
[39]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、4週毎に1回投与される[37]に記載の方法。
[40]ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを100mg投与することを含む[34]に記載の方法。
[41]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、12週間は4週毎に1回、その後は8週毎に1回投与される[40]に記載の方法。
[42]喘息患者の喘息を治療する方法であって、前記患者に少なくとも2mg、100mg未満の用量のベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを投与することを含む方法。
[43]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは20mg投与される[42]に記載の方法。
[44]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは30mg投与される[42]に記載の方法。
[45]少なくとも20mg、100mg未満の用量の前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントが投与される[42]に記載の方法。
[46]少なくとも30mg、100mg未満の用量の前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントが投与される[42]に記載の方法。
[47]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントの投与が前記喘息患者のFEV を増加させる[42]〜[46]のいずれかに記載の方法。
[48]前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントの投与が、前記喘息患者のFEV を、最初の投与から4週以内に増加させる[42]〜[47]のいずれかに記載の方法。
[49]前記投与が皮下に行われる[42]〜[48]のいずれかに記載の方法。
配列番号:1
>US20100291073_1 米国特許出願公開第2010/0291073号明細書の配列1 生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens)
Figure 0006746496
配列番号:2
>US20100291073_2 米国特許出願公開第2010/0291073号明細書の配列2 生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens)
Figure 0006746496
配列番号:3
>US20100291073_3 米国特許出願公開第2010/0291073号明細書の配列3 生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens)
Figure 0006746496
配列番号:4
>US20100291073_4 米国特許出願公開第2010/0291073号明細書の配列4 生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens)
Figure 0006746496
配列番号:5
>US20100291073_5 米国特許出願公開第2010/0291073号明細書の配列5 生物名:ホモ・サピエンス(Homo sapiens)
Figure 0006746496
配列番号:6
>US20100291073_6 米国特許出願公開第2010/0291073号明細書の配列6 生物名:ハツカネズミ(Mus musculus)
Figure 0006746496
配列番号:7−VH CDR1
Figure 0006746496
配列番号:8−VH CDR2
Figure 0006746496
配列番号:9−VH CDR3
Figure 0006746496
配列番号:10−VL CDR1
Figure 0006746496
配列番号:11−VL CDR2
Figure 0006746496
配列番号:12−VL CDR3
Figure 0006746496

Claims (21)

  1. 喘息患者の1秒量(FEV1)を増加させるための医薬であって、ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントを含み、ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントが喘息患者に12週間は4週毎に1回、その後は8週毎に1回、1回当たり約30mg投与されることを特徴とする、医薬。
  2. 前記投与は、前記喘息患者のFEV1を、最初の投与から4週以内に増加させる請求項1に記載の医薬。
  3. 前記喘息は、好酸球性喘息である請求項1または2に記載の医薬。
  4. 前記患者は、少なくとも300個/μlの血中好酸球数を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の医薬。
  5. 前記患者は、前記投与前に予測値の少なくとも40%の1秒量(FEV1)を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の医薬。
  6. 前記患者は、前記投与前に少なくとも1.5の喘息コントロール質問票スコアを有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の医薬。
  7. 前記患者にベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントが少なくとも2回投与される請求項1〜6のいずれか一項に記載の医薬。
  8. 前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメント投与後に前記患者のFEV1を増加させる請求項1〜7のいずれか一項に記載の医薬。
  9. 前記FEV1を少なくとも0.1L増加させる請求項1〜8のいずれか一項に記載の医薬。
  10. 前記FEV1を少なくとも0.13L増加させる請求項9に記載の医薬。
  11. 前記FEV1を少なくとも0.2L増加させる請求項10に記載の医薬。
  12. 前記FEV1を少なくとも0.25L増加させる請求項11に記載の医薬。
  13. 前記FEV1を少なくとも0.5L増加させる請求項12に記載の医薬。
  14. 前記患者は高用量の吸入コルチコステロイド薬(ICS)を使用する請求項1〜13のいずれか一項に記載の医薬。
  15. 前記患者は長時間作用性β2刺激薬(LABA)を使用する請求項1〜14のいずれか一項に記載の医薬。
  16. 前記患者は増悪歴を有する請求項1〜15のいずれか一項に記載の医薬。
  17. 前記増悪歴は、前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメント投与前の1年に少なくとも2回の増悪を含む請求項16に記載の医薬。
  18. 前記増悪歴は、前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメント投与前の1年に6回以下の増悪を含む請求項16または17に記載の医薬。
  19. 前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、非経口的に投与される請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬。
  20. 前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは皮下投与される請求項19に記載の医薬。
  21. 前記ベンラリツマブまたはその抗原結合フラグメントは、コルチコステロイド療法に加えて投与される請求項1〜20のいずれか一項に記載の医薬。
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