JP6745936B2 - 測定装置およびその制御方法 - Google Patents

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本発明は、物体の光学特性の測定に関する。
物体の色や光沢は、当該物体の表面の塗膜または物体内部で色付いた拡散光(色)、並びに、塗膜または物体表面で照明光が反射した正反射光(色)で表される。印刷物の面について、拡散光は、どの方向から眺めても比較的等しい等方性を有す。一方、反射光は、印刷物の面に対する、照明光の入射方向(照明方向)、および、反射光の出射方向(観察方向)に依存して変化する。
任意の照明方向・観察方向における物体の色(および光沢)の特性を得るには、様々な方向から照明光を物体に照射し、物体の表面から物体の周囲全方向に放射される光(色)を計測する。計測結果は、双方向反射率分布関数(BRDF)と呼ばれ、物体から周囲への反射光の放射分布特性として、コンピュータグラフィックス(CG)などの各種用途に用いられる。
特許文献1は、物体周囲の半球面上の任意箇所において光を放射し、半球面上の任意箇所において受光することで、物体のBRDFを取得する技術を開示する。この技術によれば、物体のBRDFを取得することが可能であるが、一度の計測で得られるBRDFは物体の反射面の一点の計測結果に過ぎず、場所によってBRDFが異なる物体を計測するには膨大な計測時間を必要とする。
特許文献2は、測定対象面をライン状の光源で走査し、各走査位置における反射光をカメラで撮影した複数の二次元画像からBRDFを取得する技術を開示する。特許文献2の技術によれは、一回の走査および複数の画像撮影により、測定対象面の各点のBRDFを計測することができる。
測定対象面の色、つまり拡散光の色(以下、拡散色)だけを取得する場合、二次元撮像素子(例えばカメラ装置)を用いれば一回の撮影により計測が終了する。あるいは、ラインセンサによって色を取得する場合(例えばスキャナ装置)も、測定対象面の長さと等しいラインセンサの走査距離で計測が終了する。しかし、BRDFの取得は、特許文献2の方法を用いても、測定対象面の長さに対してライン状光源の走査距離が二倍以上必要になり、色(拡散色)のみを取得する場合に比べて長い計測時間を必要とする。
特開2008-249521号公報 米国特許出願公開第2010/0277477号明細書
本発明は、物体の光学特性を短時間に測定することを目的とする。
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
本発明にかかる測定は、所定方向に移動し、測定対象物を照明するライン状光源、および、前記ライン状光源に照明された測定対象物を撮影する撮影部を有する測定装置において、前記測定対象物の大きさを取得し、取得された前記測定対象物の大きさおよび正反射光成分の拡がりに応じて前記ライン状光源の走査距離を設定し、前記ライン状光源の移動および前記撮影部による撮影を制御し、前記撮影部が撮影した複数の画像から前記測定対象物の反射特性を推定する。
本発明は、物体の光学特性を短時間に測定することができる。
実施例1の測定装置の概観を示す図。 走査位置と正反射の関係、輝度の推移例、BRDF例を示す図。 複数の撮影画像を合成した画像(読取画像)の一例、反射面のBRDF分布を用いたCGレンダリング例を示す図。 測定装置の構成例を示すブロック図。 ライン光源に必要な走査域を示す図。 ライン光源の初期設定処理を説明するフローチャート。 測定対象物の撮影処理を説明するフローチャート。 BRDF分布の算出処理を説明するフローチャート。 実施例2の測定装置の概観を示す図。 ライン状光源の走査によって反射面上の点から得られる輝度推移例を示す図。 ディスプレイの表示例を示す図。 タブレットデバイスを利用する測定装置を示す図。 タブレットデバイスを利用したBRDFの測定手順を説明する図。 測定時のタブレットデバイスと測定対象物の反射面の位置関係を説明する図。 反射面上のフロントカメラとの距離が異なる各点における光入射角と放射角の関係を示す図。 測定対象物の反射面上の数点に対応する画素の輝度変化を示す図。 測定対象物と、その測定結果を示す図。 測定されたBRDF分布を用いたCGレンダリング例を示す図。 BRDF分布の撮影処理の一例を説明するフローチャート。 BRDF分布の算出処理の一例を説明するフローチャート。 BRDF分布の算出処理の一例を説明するフローチャート。 CGレンダリングのプレビュー処理の一例を説明するフローチャート。 測定対象物、拡散色分布、BRDF分布、プレビュー画面、拡散色テクスチャにCLデータを重ねた状態、拡散色テクスチャの印刷画像にCLデータに基づき透明色材を重畳した印刷結果を示す図。 印刷処理の一例を説明するフローチャート。 赤外光を用いたBRDF分布の測定結果を示す図。 マイクロファセット係数mの算出手順を説明するフローチャート、 図26に示す手順を簡略化した手順を説明するフローチャート。 ディスプレイと反射面の幾何条件を示す図。 ディスプレイの発光パターンを説明する図。 ディスプレイと反射面の幾何条件を示す図。 ディスプレイの発光パターンを説明する図。
以下、本発明にかかる実施例の物体の光学特性の測定を図面を参照して詳細に説明する。
[装置の概観]
図1により実施例1の測定装置の概観を示す。
測定装置は、測定台106上に載置された測定対象物107の反射面(以下、単に「反射面」と呼ぶ場合がある)をライン状の移動可能な光源(以下、ライン光源)104により照明する。そして、反射面からの反射光を二次元撮像素子を備える撮影部(カメラ)101によって画像として撮影し、測定対象物107の反射特性である、反射面の光沢特性(双方向反射率分布関数(BRDF)や光沢度)の分布を測定する。詳細は後述するが、反射面の大きさや、物体の材質を表す情報に応じて、ライン光源104の走査条件(移動位置)が制御される。
つまり、ライン光源104は、測定対象物107上方の所定距離に位置し、光を測定対象物107に照射しながら所定方向に移動する。測定対象物107上方の所定位置に配置されたカメラ101は、測定対象物107からの正反射光および拡散色を逐次撮影する。撮影された画像は、詳細は後述するが、BRDF推定に使用される。また、ライン光源104の移動域についても後述する。
ライン光源104の移動、つまり走査により、反射面の各微小領域に対するライン光源104からの光の入射角が変化する。一方、反射面とカメラ101の位置関係は固定されていて、反射面の各微小領域の法線とカメラ101の二次元撮像素子の法線がなす角度(以下、視線角)は微小領域ごとに固定されている。従って、ライン光源104の走査に伴い、光の入射角と視線角(ともに絶対値)が等しい微小領域においてライン光源104の光が正反射して二次元撮像素子に到達し、画像として撮影される。
図2(a)は走査位置と正反射の関係を示す。図2(a)の横軸はライン光源104の走査位置に対応し、縦軸は測定対象物107上のある領域R1の入射角(絶対値)と、領域R1と二次元撮像素子のある領域R2を結ぶ線分の角度との絶対値の差(角度差)を示す。縦軸において、角度差0は正反射の条件であり、マイナスの角度差は入射角が正反射を生じる角度より低く、プラスの角度差は入射角が正反射を生じる角度よりも高いことを示す。つまり、領域R1と領域R2の位置関係は、ライン光源104の走査によって、正反射の条件を満たし、その後、正反射の条件から外れることがわかる。
図3(a)は複数の撮影画像を合成した画像(読取画像)の一例を示す。カメラ101が撮影する各画像はライン光源104のライン状の光パターンが反射面を移動しつつ反射面に映り込んだ画像であり、それら複数の撮影(以下、画像群)を合成すると読取画像が得られる。
[装置の構成]
図4のブロック図により測定装置の構成例を示す。マイクロプロセッサなどから構成される制御部100は、RAMをワークメモリとして、ROMやEEPROMなどの不揮発性メモリに格納されたプログラムを実行し、後述する構成を制御する。
光源制御部102は、制御部100の指示に従い、ライン光源104の点灯消灯、および、ライン光源104を移動するための光源移動部103の動作を制御する。また、光源制御部102は、光源移動部103が出力する信号に基づき、ライン光源104の走査位置を表す走査位置信号を制御部100に出力する。
制御部100は、操作パネル109の計測開始ボタンが押されるか、インタフェイス108に接続されたコンピュータ機器などから計測開始の指示を受信すると、光源制御部102にライン光源104の点灯および移動を指示する。そして、光源制御部102から入力される走査位置信号に基づき、カメラ101の撮影を制御し、カメラ101から出力される画像データをRAMやハードディスクドライブ(HDD)などのメモリに格納する。
BRDF推定部105は、制御部100からライン光源104の走査終了を示す信号を入力すると、メモリに格納された画像群の画像データから測定対象物107のBRDFを算出または推定する。制御部100は、BRDF推定部105によるBRDFの算出または推定が終了すると、算出または推定結果のBRDFをインタフェイス108を介して出力する。BRDFの出力先は任意であるが、例えば、インタフェイス108に接続されたUSBメモリなどの記録媒体やコンピュータ装置、インタフェイス108を介して接続されたネットワーク上のコンピュータ装置やサーバ装置などである。
●BRDFの算出
一般に、BRDFモデルは、BRDFを拡散成分と正反射成分の和として表す。すなわち、
Ireflection = Ispecular + Idiffusion …(1)
ここで、Ireflectionは反射光の強度、
Ispecularは正反射光成分の強度、
Idiffusionは拡散反射光成分の強度。
として表すことが多い。式(1)の正反射光成分の強度Ispecularについては、例えば、Cook-Torrance (Torrance-Sparrow)モデルであれば、幾つかの少ないパラメータを用いて下式のように表される。
Ispecular = Ilight(F[]/π){D[]G[]/(N・V)} …(2)
ここで、Ilightは入射光の強度、
F[]は反射角による反射係数変化を示すフレネル反射係数(式(3))、
D[]はマイクロファセット(micro facets)係数を用いたBechmann分布関数により表される反射面の微視的法線分布(式(4))、
G[]はD[]を用いて計算される微視的凹凸によるマスクシャドウイングを示す幾何減衰係数(式(5))、
Nは反射面の法線ベクトル、
Vは反射面の点からカメラ101の方向を示す視線方向ベクトル。
フレネル反射係数F[]:
F[] = (Fp2 + Fs2)/2 …(3)
ここで、Fp = [cosθ - √{n2-(sinθ)2}]/[cosθ + √{n2-(sinθ)2}]、
Fs = [n2cosθ - √{n2-(sinθ)2}]/[cosθ + √{n2-(sinθ)2}]、
θは入射角、
nは反射面の屈折率。
微視的法線分布D[]:
D[] = {1/(4m2cos4α)}exp{-(tanα/m)2} …(4)
ここで、mは反射面の粗さ(マイクロファセット係数)、
αは半角ベクトルHと法線ベクトルNの角度、
Hは光源方向ベクトルLと視線方向ベクトルVの中間を向くベクトル(半角ベクトル)。
幾何減衰係数G[]:
G[] = min[1, {2(N・H)(N・V)/(V・H)}, {2(N・H)(N・L)/(V・H)}] …(5)
ここで、min()は最小値を与える関数。
これらの式の中で未知のパラメータは、微小領域ごとに一定のマイクロファセット係数mおよび反射面の屈折率nである。測定対象物107が印刷物の場合、通常用いられる色材(インクやトナーなど)の屈折率nはおよそ1.6程度であり、(例えばCook-Torranceモデルにおいて)未知のパラメータはマイクロファセット係数mのみに単純化することができる。
従って、ライン光源104が移動した際の、カメラ101が撮影する異なる入射角に対応する複数の反射光量条件から、反射面の各領域におけるマイクロファセット係数mを算出して、反射面の反射光特性分布(BRDF分布)を取得することができる。
例えば、図2(b)はライン光源104を移動して撮影した複数の画像から取得した反射面のある点に対する輝度の推移を示し、フレーム番号35近傍のピークが正反射光成分を示す。BRDF推定部105は、輝度推移のピークから(二乗誤差を最小にするよう)Cook-Torranceモデルのマイクロファセット係数mを算出する。また、輝度推移のピーク部を除く領域の平均値を拡散色成分として、拡散色成分を最大値とするLambert反射モデルをBRDFの拡散色成分に用いる。このような処理により、図2(b)の輝度の推移例に対する、図2(c)に示すBRDF(正反射光成分・拡散色成分)例が得られる。
なお、ここではBRDFの正反射光成分を示すモデルとしてCook-Torrance(Torrance-Sparrow)モデルを用いる例を説明した。しかし、他のBRDFモデルも、数個のパラメータで表現されるものであれば、上記と同様、ライン光源104の走査に伴う複数の撮影画像からBRDFモデルのパラメータを算出することができる。
図3(b)は反射面のBRDF分布を用いたCGレンダリング例を示す。反射面のBRDF分布は各種用途に用いることが可能であり、例えばCGレンダリングなどを行うことにより、反射面をディスプレイ上に再現することができる。図3(b)の例は、光源位置(方向)および視点位置(方向)に応じた反射面の見え方を再現している。
[ライン光源の走査]
反射面のBRDF分布を取得するには、少なくとも、ライン光源104から出射され、反射面で正反射した光がカメラ101に入射するような位置(以下、正反射位置)を、ライン光源104によって走査しなければならない。さらに、上述した輝度推移のピークの裾部分の推移を取得しないと、正反射光成分を表現するBRDFのパラメータに対する推定精度が低下する。そのため、ライン光源104は正反射位置を通過するだけでは不充分であり、上記裾部分を充分捉えられる幅、言い換えれば、正反射位置の前後(正反射光成分が充分小さい位置からピークを跨いで正反射光成分が充分小さくなる位置まで)を走査する必要がある。
図5によりライン光源104に必要な走査域を示す。ライン光源104の走査方向の測定対象物107の長さをλ、正反射光成分の拡がり量をBとすると、ライン光源104の走査距離は少なくとも2λ+2Bである。また、ライン光源104の走査は等速が一般的であり、走査時間は走査距離に比例する。
本実施例においては、測定対象物107(または反射面)の大きさ、種類(紙種や材質)、大まかな光沢情報(質感)などの条件に応じて、ライン光源104の走査距離を制御して必要最小限の走査を行い、反射面のBRDF分布の取得時間を最小にする。
図6のフローチャートによりライン光源104の初期設定処理を説明する。
制御部100は、計測開始ボタンが押されたか否かを判定し(S101)、計測開始ボタンが押された場合は測定対象物107の長さλおよび正反射光成分の拡がり量B(計測条件)が設定されているか否かを判定する(S102)。外部のコンピュータ機器から計測条件が設定されているなど、計測条件が設定されている場合は、ライン光源104の走査距離2λ+2Bを設定し(S108)、ライン光源104を初期位置に移動する(S109)。
一方、長さλと拡がり量Bの少なくとも一方が未設定の場合は、制御部100は、設定項目を示すユーザインタフェイス(UI)を例えば操作パネル109に表示し(S103)、ユーザによる設定項目の選択を待つ(S104)。ユーザが測定対象物107(または反射面)の大きさを設定項目に選択した場合、長さλを入力するUIを表示して入力された数値を長さλに設定し(S105)、処理をステップS101に戻す。
また、ユーザが測定対象物107の種類を設定項目に選択した場合、制御部100は、種類を入力するUIを表示して入力された種類に応じた正反射光成分の拡がり量Bを設定し(S106)、処理をステップS101に戻す。また、ユーザが測定対象物107の質感を設定項目に選択した場合、制御部100は、質感を入力するUIを表示して入力された質感に応じた正反射光成分の拡がり量Bを設定し(S107)、処理をステップS101に戻す。
[BRDF分布の取得]
図7のフローチャートにより測定対象物107の撮影処理を説明する。なお、撮影処理は、図6に示す初期設定処理後に実行される。
制御部100は、ライン光源104の点灯および走査距離を光源制御部102に指示する(S201)。この指示に応じて、光源制御部102はライン光源104を点灯し、ライン光源104の移動を開始する。
制御部100は、光源制御部102から入力される走査位置信号に基づきカメラ101を制御して測定対象物107を撮影し(S202)、カメラ101から出力される画像データをメモリに格納する(S203)。そして、走査位置信号が示す位置が走査距離の端に達したか否かを判定し(S204)、端に達していない場合は処理をステップS202に戻して、撮影を継続する。
走査位置信号が示す位置が走査距離の端に達すると、制御部100は、ライン光源104の消灯およびライン光源104の初期位置復帰を光源制御部102に指示する(S205)。この指示に応じて、光源制御部102はライン光源104を消灯し、ライン光源104を初期位置に復帰させる。
次に、制御部100は、メモリに格納した画像群に、カメラ101の投影角の影響を取り除く幾何変換を施し(S206)、撮影処理を終了する。
図8のフローチャートによりBRDF分布の算出処理を説明する。
BRDF推定部105は、撮影処理が終了すると、メモリに格納された幾何変換後の画像群の画像データを参照してBRDF分布の算出処理を実行する。
BRDF推定部105は、画像の原点(例えば左上画素)を注目点に設定し(S301)、画像群から注目点の輝度推移を読み取る(S302)。そして、輝度推移から最小二乗法によりマイクロファセット係数mを算出し(S303)、算出したマイクロファセット係数mを注目点に対応付けてメモリに格納する(S304)。
次に、BRDF推定部105は、注目点が最終画素(例えば右下画素)に達したか否かを判定し(S305)、注目点が最終画素に達した場合は処理を終了する。また、注目点が最終画素に達していない場合は注目点を例えばラスタ順に移動し(S306)、処理をステップS302に戻し、画像の全画素に対応するマイクロファセット係数mを算出するまで、ステップS302からS305の処理を繰り返す。
次に、BRDF推定部105は、算出したマイクロファセット係数mと式(1)から(5)を用いて、各画素に対応する反射面の各点のBRDF分布を算出し(S307)、算出したBRDF分布をメモリに格納し(S308)、処理を終了する。
●マイクロファセット係数mの算出
カメラ101と測定対象物107の反射面は前もって構造により定まる距離、もしくはカメラ101のピント位置から知ることができる距離にあり、カメラ101と反射面の角度も前もって定まる角度にあるとする。この場合、マイクロファセット係数m以外のパラメータ、例えばフレネル反射係数やカメラ101との相対位置などは、カメラ101と反射面の位置関係で、反射面の各点ごとに自動的に定まる。従って、反射面上の各点における正反射光強度を定める(2)式において、未知数はマイクロファセット係数mのみである。
一方、マイクロファセット係数mのみが測定対象物107の反射面の注目点ごとに未知の値をもつ。そこで、注目点ごとに、マイクロファセット係数mの値を変化させて式(2)の計算を行い、実際の測定値(図2(b)に示す実線)の正反射光成分を尤も適切に表現する値を見出し、見出した値を注目点のマイクロファセット係数mとする。
図26のフローチャートによりマイクロファセット係数mの算出(S303)の手順を説明する。
注目点について輝度推移(図2(b)に示す実線)を読み込む(S701)。注目点の視線方向ベクトルVを幾何配置に基づき設定する(S702)。輝度推移の測定タイミング(図2(b)に示す横軸)から光源方向ベクトルLを設定する(S703)。輝度推移の各点について、視線方向ベクトルVと光源方向ベクトルLから半角ベクトルHを生成する(S704)。輝度推移から輝度の最大強度点(正反射位置)を抽出する(S705)。最大強度点がH=Nとなる点ではない場合、半角ベクトルHを法線ベクトルNにする(H=N)(S706)。
推定のための誤差量最良値(初期値は例えばINT_MAX)を設定し、マイクロファセット係数mを最小値(例えば0.0001)に設定する(S707)。そして、式(2)の計算を行い、計算結果と測定値(図2(b)に示す実線)の差分を算出する(S708)。差分が誤差量最良値を下回るか否かを判定し(S709)、下回る場合は当該差分によって誤差量最良値を更新し、式(2)の計算に使用したマイクロファセット係数mを記憶する(S710)。
そして、ステップS711の判定により、式(2)の計算に使用するマイクロファセット係数mが充分に大きな値に達するまで、マイクロファセット係数mを増やして(S712)、ステップS708からS710を繰り返す。繰り返しにおいて、差分が誤差量最良値を下回る場合は、ステップS710において、マイクロファセット係数mの記憶が更新される。マイクロファセット係数mが充分に大きな値に達すると、記憶したマイクロファセット係数mを注目点のマイクロファセット係数mとする(S713)。図2(b)に示す破線は、図2(b)に示す測定値(実線)から得られる正反射光分布を示す。
図27のフローチャートにより図26に示す手順を簡略化した手順を説明する。
注目点について輝度推移(図2(b)に示す実線)を読み込む(S721)。注目点の視線方向ベクトルVを幾何配置に基づき設定する(S722)。光源方向ベクトルLを視線方向ベクトルVとし(L=V)、半角ベクトルHを法線ベクトルNとする(H=N)(S723)。
推定のための誤差量最良値(初期値は例えばINT_MAX)を設定し、マイクロファセット係数mを最小値(例えば0.0001)に設定する(S724)。そして、式(2)の計算を行い、計算結果と測定値(図2(b)に示す実線)の差分を算出する(S725)。差分が誤差量最良値を下回るか否かを判定し(S726)、下回る場合は当該差分によって誤差量最良値を更新し、式(2)の計算に使用したマイクロファセット係数mを記憶する(S727)。
そして、ステップS728の判定により、式(2)の計算に使用するマイクロファセット係数mが充分に大きな値まで、マイクロファセット係数mを増やして(S729)、ステップS725からS727を繰り返す。繰り返しにおいて、差分が誤差量最良値を下回る場合は、ステップS728において、マイクロファセット係数mの記憶が更新される。マイクロファセット係数mが充分に大きな値に達すると、記憶されたマイクロファセット係数mを注目点のマイクロファセット係数mとする(S730)。
このように、測定対象物107(または反射面)の大きさ(長さ)、種類(紙種や材質)、大まかな光沢情報(質感)などの条件に応じて、ライン光源104の走査距離を制御して必要最小限の走査を行う。その結果、測定対象物107の反射面のBRDF分布の取得時間を最小にすることができる。
以下、本発明にかかる実施例2の光学特性の測定を説明する。なお、実施例2において、実施例1と略同様の構成については、同一符号を付して、その詳細説明を省略する。
[装置の概観]
図9により実施例2の測定装置の概観を示す。実施例2の測定装置は、図1に示す実施例1の測定装置のライン光源104の代わりに、例えば液晶パネルのような発光型のディスプレイ114をライン状光源の形成に使用する。
実施例2においては、ディスプレイ114に複数のライン状パターンを表示して、ライン状パターンの表示を移動して測定対象物107の反射面を照明する。そして、反射面からの反射光をカメラ101によって画像として撮影し、反射面のBRDF分布を測定する。
従って、実施例2においては、光源移動部103が不要になり、その分、光源制御部102によるディスプレイ114に表示するライン状パターンの制御が実施例1と異なる。また、BRDF推定部105の処理も実施例1と異なる。
●ライン状パターンの本数の決定
図10によりライン状光源104の走査によって反射面上の点から得られる(カメラ101が撮影した)輝度推移例を示す。
図10(a)は測定対象物107の反射面上の三つの注目点A、B、Cの輝度推移例を示すグラフである。図10(b)は例えば注目点Aの輝度推移を示し、注目点AのBRDF(正反射光成分)は、正反射角に対応する輝度ピークの前後から測定される。一方、正反射角から離れ、かつ、輝度が小さ過ぎない周辺部からは拡散光成分が測定される。言い替えれば、注目点AのBRDFの測定には図10(b)の破線領域201、202は不要であり、注目点AのBRDFの測定に必要な領域は、輝度推移のピーク前後の破線で囲まれていない領域だけである。
さらに、領域201、202において拡散光成分が小さいということは、領域201、202に対応する走査位置にライン光源104があっても、反射面の注目領域の撮影画像に対する領域201、202から拡散光成分の影響が無視できることを示す。つまり、正反射光成分の拡がり量Bよりも充分に外側の領域であれば、そのような領域に照明光が存在してもBRDF(正反射光成分)の測定に影響を及ぼさない。また、拡散光成分は等方的であることから、ライン状パターンが一定間隔に位置する限り、ライン状パターンが複数本あっても構わない。
そこで、制御部100は、光源制御部102を制御して、BRDFの測定に影響を及ぼさない範囲で複数本のライン状パターンを同時に表示させ、ライン状パターンを移動させることで、BRDFの測定時間の短縮を図る。つまり、測定対象物107(または反射面)の大きさ、種類(紙種や材質)、大まかな光沢情報(質感)といった条件に応じて、ライン状パターンの本数や間隔を制御する。
図11によりディスプレイ114の表示例を示す。例えば、光沢情報から正反射光成分の拡がり量Bを設定し、ライン状パターン115の間隔Pを拡がり量Bの三倍以上に設定し、ライン状パターン115の本数を決定する。そして、周期P≧3Bの複数のライン状パターン115の表示を図11に示す矢印の方向に移動することで、反射面上のすべての点のBRDFを測定して、BRDF分布の測定を短時間に行う。
このように、測定対象物107(または反射面)の種類(紙種や材質)、大まかな光沢情報(質感)に応じて、ライン状パターン115の間隔Pと本数を制御して、測定対象物107のBRDFの測定に必要充分な時間で、測定対象物107の撮影が終了する。
●ライン状パターンの幅の決定
ディスプレイ114を用いることで、走査するライン状パターンの幅や明るさを、反射面の照度や開き角を考慮して変更することができる。例えば、拡がり量Bの1/10にライン状パターンの幅を設定すれば、拡がり量Bが大きいときにライン状パターンの幅が太くなる。そのため、反射面の照度が大きくなり、撮影部101の露光時間を短くすることができ、測定時間の短縮を図ることができる。
また、測定対象物107のある1ラインに対する開き角が一定となるように、場所に応じてライン状パターンの幅を変更してもよい。開き角は、測定対象物107のある1ラインから光源を見た場合の幅である。開き角が大きいとは、入射角θの振れ幅(開き角)±Δθが大きいことを意味する。つまり、開き角Δθが大きいと、様々な方向からの光が測定対象物107に入射されるため、BRDFの変角に対する分解能が低下する(所謂「BRDFが暈ける」に相当)。
幅をもったライン状パターンを走査する場合、幅が一定であれば、ある1ラインから見たときの開き角が走査位置によって変わることになる。従って、測定されるBRDFは、入射角θによって変角に対する分解能が異なるものとなってしまう。そこで、走査位置に応じて幅を変化させることにより、分解能を一定にすることが可能になる。
以下では、走査位置に応じてライン状パターンの幅を制御する例を説明する。
図28によりディスプレイと反射面の幾何条件を示す。図28に示すように、測定対象物107上の任意の一点をMとし、点Mから延びる法線とディスプレイ114の表面が交差する点をOとする。また、ライン状パターンに平行な方向をx軸、ライン状パターンの走査方向をy軸とすると、ライン状パターンのy軸上の走査位置Pにおけるライン状パターンの幅Δyは、次式で求めることができる。
Δy = ||OM|・{tan(θ+Δθ) - tan(θ-Δθ)}| …(6)
ここで、θ=tan-1(|OP|/|OM|)、
|OM|はディスプレイ114と測定対象物107の距離、
|OP|は点Oと走査位置Pの距離、
Δθは開き角(拡がり量Bから算出されるなど、予め設定される定数)。
このようにΔyを決定すれば、ライン状パターンの走査位置Pに依らず開き角Δθが一定のまま、BRDFを測定することが可能になる。図29によりディスプレイの発光パターンを説明する。上記の制御によれば、図29に示すように、ディスプレイ114上の走査位置Pによってライン状パターンの幅Δyが変化する。
●その他のパターン
ディスプレイ114を用いることで、ライン状パターン以外の発光パターンを走査し、BRDFを測定することが可能となる。例えば、点または円形の発光パターンを二次元走査することで、光源ベクトルLが二次元方向に移動した場合のBRDFを測定することが可能になる。
以下では、楕円パターンを用いて二次元走査を行う例を説明する。
図30によりディスプレイと反射面の幾何条件を示す。図30に示すように、楕円パターンの中心を点Pとし、点Pの位置をディスプレイ114上で走査することにより、光源ベクトルL(=↑PM)を角度θ方向と角度φ方向に二次元移動する。このとき、点Pのx座標Px、y座標Pyは次式で与えられる。なお、記号「↑」はベクトルを表し、表記「↑PM」は点Pから点Mに向うベクトルを表す。
Px(θ, φ) = |OM|・tanθ・cosφ …(7)
Py(θ, φ) = |OM|・tanθ・sinφ …(8)
ここでも、走査位置Pに依らず、θ方向の開き角Δθおよびφ方向の開き角Δφを一定にするよう、楕円パターンの大きさを走査位置Pに応じて変更することができる。例えば、楕円パターンのθ方向(↑PO方向)の径ΔDθ、φ方向(↑PO方向に直交する方向)の径ΔDφは次式により算出することができる。
ΔDθ = √[{(Px(θ+Δθ, φ)-Px(θ-Δθ, φ)}2 + {Py(θ+Δθ, φ)-Py(θ-Δθ, φ)}2] …(9)
ΔDφ = √[{(Px(θ, φ+Δφ)-Px(θ, φ-Δφ)}2 + {Py(θ, φ+Δφ)-Py(θ, φ-Δφ)}2] …(10)
図31によりディスプレイの発光パターンを説明する。上記の制御によれば、ディスプレイ114上の走査位置Pによって楕円パターンの大きさを変更することができる。なお、点Pの走査は、例えば、角度θとφが等ピッチに変化するように行う、あるいは、x軸とy軸に対してそれぞれ等ピッチに行う、など様々な方法が可能である。また、測定対象物107上の点Mの位置に応じて、走査を数回繰り返して、測定対象物107の全領域についてBRDFを測定することもできる。
さらに、ディスプレイ114を用いることで、走査位置Pに応じて発光パターンの発光輝度を変化させることが容易となる。例えば、測定対象物107上の点Mに照度計(またはそのセンサ部)を載置して、点Mにおける照度が一定となるように各走査位置に対応するディスプレイ114の輝度制御信号を生成し、各走査位置と輝度制御信号の対応をルックアップテーブルに記録する。そして、走査時、当該ルックアップテーブルを参照して、走査位置に対応するディスプレイ114の輝度制御信号を決定することで、点Mにおける照度を一定にすることができる。これにより、撮影部101が受光する輝度範囲(ダイナミックレンジ)が狭くなり、より安価なイメージセンサを用いることや、イメージセンサの露光時間短縮による測定の高速化が可能になる。
[タブレットデバイスを用いる測定装置]
図9にはライン状パターン115を表示し走査するディスプレイ114と、反射面からの反射光を撮影するカメラ101を備えるコンピュータ機器である測定装置を示した。また、表示画面と同一面にカメラを備えるタブレットデバイスを測定装置として利用することが可能である。以下では、タブレットデバイスの利用例を説明する。なお、説明を簡単にするために、ライン状パターン115を一本とする。
図12によりタブレットデバイスを利用する測定装置を示す。つまり、タブレットデバイスを測定対象物107に対向させ、画面にライン状パターン115を表示し走査して、測定対象物107(または反射面)からの反射光をディスプレイ面側のカメラ(以下、フロントカメラ)で撮影してBRDF分布を測定する。
図13によりタブレットデバイスを利用したBRDFの測定手順を説明する。まず、他の照明の影響を受けない暗所で、タブレットデバイスを測定対象物107に対向させる。
次に、タブレットデバイスの画面に黒背景のライン状パターン115を表示し、画面中央とフロントカメラを結ぶ直線に沿ってライン状パターン115が移動(走査)するような表示を行う(図13(a)(b)(c))。そして、ライン状パターン115の走査の間、ライン状パターン115の光によって照明された測定対象物107を、逐次、撮影する。図13(d)(e)(f)は逐次撮影した画像例を示す。このような手順によれば、画面上を移動するライン状パターン115により、様々な角度から照明された測定対象物107(またはその反射面)の輝度分布が撮影される。
図14により測定時のタブレットデバイス116と測定対象物107の反射面の位置関係を説明する。タブレットデバイス116の画面117上をライン状パターン115が移動すると、反射面上の各点に対する、ライン状パターン115から照射される光の入射角が変化する。一方、各点とフロントカメラ118の位置関係は変わらず、各点の撮影画像内の位置は変化しない。つまり、反射面上の点は、フロントカメラ118から、常に、同じ角度(向き)で撮影され、ある点について撮影される反射光(または拡散光)は、常に、当該点によって定まる角度(放射角)で撮影される。
図15により反射面上のフロントカメラ118との距離dが異なる各点における光入射角(横軸)と放射角(縦軸)の関係を示す。なお、角度は反射面に対して鉛直方向が0度であり、図15に示す太破線は正反射条件(入射角と放射角が等しい)を示す。また、図15に示す距離d(単位はmm)は一例である。
ライン状パターン115の走査と同時に撮影を行うと、測定対象物107の反射面(各点)における反射光の変角輝度分布が時々刻々と測定され、図15に太破線で示す正反射条件に一致する点においては、正反射成分の変角輝度分布が測定される。図16により測定対象物107の反射面上の数点に対応する画素の輝度変化(つまり、変角輝度分布)を示す。図16(a)に示すように、反射面上の点において、それぞれ(異なる入射角に対する)変角輝度分布(輝度推移)が測定されている。また、図16(b)(c)は各点の輝度推移とBRDF断面の対応を模式的に示す。
図17により測定対象物107と、その測定結果を示す。図17(a)に示す測定対象物107は電子写真方式によって高光沢条件で印刷された印刷物である。当該印刷物の一部(拡大部分)を測定すると、図17(b)に示す拡散色分布と、図17(c)に示すBRDF分布が得られ、トナーの載り量を反映した光沢分布が計測されている。
図18により測定されたBRDF分布を用いたCGレンダリング例を示す。CGレンダリングを行うことにより、測定対象物107の反射面のアピアランスを画面上で再現することができる(図18(a))。また、図18(b)(c)は測定した測定対象物107の反射面を観察方向を変えて観察した場合のCGレンダリングを示す。
●BRDF分布の撮影処理
図19のフローチャートによりBRDF分布の撮影処理の一例を説明する。以下の処理および機能は、タブレットデバイス116のマイクロプロセッサ(CPU)が、ユーザによってBRDF分布の撮影が指示された後、BRDF分布の撮影用プログラムを実行することで実現される。
CPUは、フロントカメラ118のフォーカスおよび絞りをロックするフロントカメラ118の初期化を行い(S301)、焦点位置から輝度補正(シェーディング補正)テーブルを作成する(S302)。続いて、撮影画像保存用の動画ファイルを開き(S303)、画面117を全面黒状態にし(S304)、ライン状パターン115の表示位置として走査開始位置を設定する(S305)。なお、動画ファイルの保存先は、例えば、タブレットデバイス116のフラッシュメモリなどに割り当てられる。
次に、CPUは、画面117上にライン状パターン115を表示し(S306)、フロントカメラ118により測定対象物107を撮影する(S307)。図23(a)は測定対象物107の一例を示す。そして、CPUは、撮影画像をシェーディング補正し(S308)、補正後の画像を動画ファイルの末尾フレームに追加する(S309)。
次に、CPUは、ライン状パターン115の表示位置が走査終了位置に達したか否かを判定し(S310)、未達であればライン状パターン115の表示位置を移動して(S311)、処理をステップS306に戻す。他方、ライン状パターン115の表示位置が走査終了位置に達した場合は、動画ファイルを閉じ(S312)、ディスプレイデバイスとフロントカメラ118を解放して(S313)、撮影処理を終了する。
●BRDF分布の算出処理
図20、図21のフローチャートによりBRDF分布の算出処理の一例を説明する。以下の処理は、タブレットデバイス116のCPUが、BRDF分布の撮影が終了した後、BRDF分布の算出用プログラムを実行することで実現される。
CPUは、動画ファイルから全フレームを読み込み(S401)、タブレットデバイス116のRAMに撮影画像と同サイズのBRDFパラメータバッファおよび拡散色バッファを割り当てる(S402)。そして、注目点を初期位置(例えば画像の左上画素)に設定する(S403)。
次に、CPUは、注目点の画素値を先頭フレームから最終フレームまで参照して、画素値のピーク値およびピーク値を示すフレーム(以下、ピークフレーム)を決定する(S404)。そして、一時BRDFパラメータを0に、近似誤差計算値Errを最大値にそれぞれ初期化する(S405)。
次に、CPUは、BRDF式に一時BRDFパラメータを代入した場合の注目点の撮影輝度推移間の差分値Diffを計算し(S406)、差分値Diffと近似誤差計算値Errを比較する(S407)。Diff≧Errの場合は、一時BRDFパラメータを所定値増加する(S408)。そして、一時BRDFパラメータが所定の最大値に達したか否かを判定し(S409)、未達であれば処理をステップS406に戻す。
ステップS407の比較でErr<Diffの場合、または、一時BRDFパラメータを最大値に達すると、CPUは、一時BRDFパラメータを最適値として、当該値を注目点に対応する、BRDFパラメータバッファの領域に格納する(S410)。図23(c)はBRDFパラメータ(BRDF分布)の一例を示す。
次に、CPUは、ピーク値とピークフレームに基づき正反射光成分を含まない領域(例えば、図10に示す領域201、202)を検出する(S411)。そして、当該領域の画素値の平均値を拡散色として、注目点に対応する拡散色バッファの領域に格納する(S412)。図23(b)は拡散色分布の一例を示す。
次に、CPUは、注目点が撮影画像の末尾(例えば画像の右下画素)に達したか否かを判定し(S413)、未達であれば例えばラスタ順に注目点を移動し(S414)、処理をステップS404に戻す。
注目点が撮影画像の末尾に達すると、CPUは、BRDFパラメータバッファのデータをBRDFパラメータファイルに格納し(S415)、拡散色バッファのデータを拡散色ファイルに格納し(S416)、算出処理を終了する。なお、BRDFパラメータファイルおよび拡散色ファイルは、例えば、タブレットデバイス116のフラッシュメモリに格納されたり、無線LANに接続された記憶装置に格納される。
●CGレンダリングのプレビュー処理
図22のフローチャートによりCGレンダリングのプレビュー処理の一例を説明する。以下の処理は、タブレットデバイス116のCPUが、BRDF分布の算出が終了した後、CGレンダリングのプレビュー用プログラムを実行することで実現される。
CPUは、拡散色ファイルおよびBRDFパラメータファイルを読み込み(S501)、拡散色テクスチャおよびBRDFパラメータテクスチャの作成(S502)、バーテックスシェーダおよびフラグメントシェーダの作成(S503)を行う。
次に、CPUは、照明、ディスプレイ、視点間の相対座標を初期化し(S504)、ディスプレイデバイスおよび表示コンテキストを初期化し(S505)、レンダリングを実行してCGレンダリングを画面117にプレビュー表示する(S506)。図23(d)はプレビュー画面の一例を示す。
次に、CPUは、ユーザイベントおよびタブレットデバイス116の状態変化を判定する(S507)。印刷指示が入力された場合は表示コンテキストを画像バッファにコピーし、例えば無線LANを経由して、画像バッファのRGBデータをプリンタに出力し(S508)、処理をステップS507に戻す。また、終了指示が入力された場合は、表示コンテキストを閉じ、ディスプレイデバイスを解放して(S509)、プレビュー処理を終了する。
また、その他のユーザイベントが入力された場合やタブレットデバイス116の状態変化があった場合は、例えば、当該イベントや状態変化に合わせて照明、ディスプレイ、視点間の相対座標を更新して(S510)、処理をステップS506に戻す。
●印刷処理
プレビュー処理の印刷(S508)において、CPUは、画像バッファに格納した拡散色テクスチャのRGBデータに加えて、BRDFパラメータテクスチャに基づく透明色材用(または無色色材用)の色成分データをプリンタに出力することができる。以下では、透明色材用(または無色色材用)の色成分データを「CLデータ」と呼ぶ。図23(e)は拡散色テクスチャにCLデータを重ねた状態を示し、図23(f)は拡散色テクスチャのRGBデータに基づき印刷した画像上にCLデータに基づき透明色材を重畳した印刷結果を示す。
図24のフローチャートにより印刷処理の一例を説明する。
CPUは、タブレットデバイス116のRAMに画像バッファ(拡散色テクスチャバッファとBRDFパラメータテクスチャバッファ)を割り当てる(S601)。そして、表示コンテキスト(拡散色テクスチャとBRDFパラメータテクスチャ)を画像バッファにコピーする(S602)。
次に、CPUは、BRDFパラメータテクスチャとCLデータの関係(反転か、比例か)をユーザに問合せる(S603)。そして、ユーザ指示に従いBRDFパラメータテクスチャからCLデータを生成し(S604)、CLデータを画像パターンとしてプリンタに送信し(S605)、プリンタからパターン番号を取得する(S606)。
次に、CPUは、拡散色テクスチャのRGBデータの印刷を指示する印刷ジョブを発行する(S607)。当該印刷ジョブにはステップS606で取得されたパターン番号が指定されている。印刷ジョブに従い、プリンタは、RGBデータが表す画像を印刷し、透明色材を用いて、印刷画像にパターン番号に対応する画像パターンを重畳する。
このように、測定対象物107(または反射面)から測定したBRDF分布を用いて、画面上および印刷物上において、測定対象物107(または反射面)のアピアランスを再現することができる。
[変形例]
BRDF分布を撮影する際、測定対象物107(または反射面)の上方に方向性をもつ室内照明などが存在する場合、室内照明の正反射光が二次元撮像素子に入射して、BRDFの測定に誤差を生じさせる場合がある。その場合、ライン光源104に赤外波長の光源を用いて、室内照明にはほぼ含まれない赤外波長でBRDF分布を測定すればよい。
その場合、カメラ101の二次元撮像素子には赤外光を除去する光学フィルタを設けずに、可視域と赤外域の両方の撮影を可能にする。なお、二次元撮像素子の各素子に設けられたRGBフィルタはいずれも赤外光を透過するため、撮影画像はグレイスケール画像になる。また、拡散光成分を測定するための可視光波長の照明には室内の既存照明を用いればよい。
図25により赤外光を用いたBRDF分布の測定結果を示す。反射面における正反射光成分の拡がりに影響する(Cook-Torranceモデルではマイクロファセット係数により決まる)表面の粗さ分布は、可視域と赤外域にはほぼ影響を与えない。従って、赤外光を用いた場合も、実施例1、2と同様に、撮影画像と(反射面上の各領域に対応する)輝度推移が得られる。
実施例2では、タブレットデバイスを用いる測定装置を説明したが、ディスプレイとフロントカメラを備えるコンピュータデバイスであれば、同様に実施例2の測定装置に利用することができる。そのようなコンピュータデバイスとしてはスマートフォンが挙げられる。
また、光源としてディスプレイを用いる例を説明したが、発光ダイオード(LED)などの発光素子を点光源として二次元に配置したLEDアレイなどの光源部を、ディスプレイの替わりに用いてもよい。
[その他の実施例]
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
101 … 撮影部、102 … 光源制御部、104 … ライン状光源、105 … BRDF算出部、107 … 測定対象物

Claims (7)

  1. 所定方向に移動し、測定対象物を照明するライン状光源と、
    前記ライン状光源に照明された測定対象物を撮影する撮影部と、
    前記測定対象物の大きさを取得し、取得された前記測定対象物の大きさおよび正反射光成分の拡がりに応じて前記ライン状光源の走査距離を設定し、前記ライン状光源の点灯消灯および移動、並びに、前記撮影部による撮影を制御する制御手段と、
    前記撮影部が撮影した複数の画像から前記測定対象物の反射特性を推定する推定手段とを有する測定装置。
  2. 前記制御手段は、前記測定対象物の大きさ、並びに、前記測定対象物の種類または質感に応じて前記走査距離を設定する請求項1に記載された測定装置。
  3. 前記推定手段は、前記複数の画像の輝度変化から前記反射特性として、双方向反射率分布関数および拡散色を算出する請求項1又は2に記載された測定装置。
  4. 前記ライン状光源は赤外光を発光する請求項1乃至3の何れか一項に記載された測定装置。
  5. 所定方向に移動し、測定対象物を照明するライン状光源、および、前記ライン状光源に照明された測定対象物を撮影する撮影部を有する測定装置の制御方法であって、
    前記測定対象物の大きさを取得し、
    取得された前記測定対象物の大きさおよび正反射光成分の拡がりに応じて前記ライン状光源の走査距離を設定し、
    前記ライン状光源の点灯消灯および移動、並びに、前記撮影部による撮影を制御し、
    前記撮影部が撮影した複数の画像から前記測定対象物の反射特性を算出する制御方法。
  6. マイクロプロセッサを請求項1乃至4の何れか一項に記載された測定装置の各手段として機能させるためのプログラム。
  7. 請求項6に記載されたプログラムが記録された、コンピュータデバイスが読み取り可能な記録媒体。
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