以下に示す実施形態は、浴槽台及び浴槽台の製造方法に関し、詳しくは、浴槽内に設置されて腰掛けとして利用される浴槽台及びその製造方法に関する。
図1及び図2に示す本実施形態の浴槽台は、脚部1で支持される台部3が、図3に示すように、コア部4と、コア部4を覆うように成形された成形部5とを具備している。コア部4の密度は、成形部5の密度よりも大きい。このため、台部3の全体の密度(比重)が大きく、浴槽台は浴槽内の湯水に沈み易い。また、成形部5の材料として、コア部4にはない沈みやすさ以外の性能を備えた材料を選択できる。
以下、浴槽台について詳述する。図2に示すように浴槽台(浴室用椅子)は、脚部1と、脚部1で支持される台部材(座部)2とを具備している。脚部1は複数の脚10を備えている。本実施形態の脚部1は、4本の脚10で構成されている。
複数の脚10の各々は、上下方向に長い柱部11と、柱部11の下端部に設けられた設置部12とを有している。柱部11は金属製(詳しくはステンレンス製)であり、設置部12は合成ゴム製である。設置部12の下面には、浴槽の底面(底部上面)に吸着可能な複数の吸盤13が形成されている。
台部材2は、複数の脚10により支持される台部(座部本体)3と、台部3に着脱可能に取り付けられるクッション6とを備えている。
図4にクッション6の図示を省略した浴槽台を示す。台部3は上下方向から見て点対称形状に形成されている。台部3は、板部30と、板部30の周縁部から下方に向かって突出した周縁部32とを有している。板部30は上下方向から見て一方向に長い矩形の板状に形成されている。上下方向から見て、台部3の中心は、板部30の中心と一致する。板部30の上面は平滑である。
周縁部32は上下方向から見て板部30の長手方向に長い矩形枠状に形成されている。周縁部32の外周面は、板部30の上面に連続した面である。
図5Aに示すように、矩形状の板部30の四隅部の各々には、下方に向かって突出した筒部33が形成されている。各筒部33の内側には、下方に向かって開口した穴34が形成されている。各筒部33の穴34には、図2に示すように脚10の柱部11の上端部が嵌め込まれる。
図5Aに示すように板部30には複数の貫通孔35が形成されている。各貫通孔35は板部30を上下方向に貫通している。本実施形態の複数の貫通孔35は、複数のねじ用孔36と、複数の水抜孔31とを含む。
ねじ用孔36は、板部30において各筒部33の穴34に対応する部分に形成されている。各ねじ用孔36には上方から図4に示すねじ38が挿通される。各ねじ38は対応する柱部11の上端部に設けられた雌ねじ(図示せず)にねじ込まれる。これにより、各脚10は台部3に取り付けられる。
図5Aに示すように本実施形態の板部30には、多数の水抜孔31が形成されており、これら多数の水抜孔31は、板部30において概ね均一に分布している。各水抜孔31の上下方向から見た形状は、円形である。
複数の貫通孔35は、さらに複数の嵌込孔37を含む。本実施形態の板部30には、多数の嵌込孔37が形成されており、これら多数の嵌込孔37は板部30において概ね均一に分布している。
複数の嵌込孔37には、図6に示すクッション6の下面に形成された複数の突部60がそれぞれ着脱可能に嵌め込まれる。これにより、クッション6は、図7に示すように台部3に取り付けられる。なお、クッション6は台部3から取り外すことができる。また、クッション6が台部3に取り付けられた状態では、上下方向から見て、板部30の中心はクッション6の中心と一致する。
図4に示すように、複数の嵌込孔37は、上下方向から見て板部30の中心に位置する嵌込孔371と、上下方向から見て板部30の中心から外れて位置する複数の嵌込孔372とを含んでいる。以下、嵌込孔371を第1嵌込孔371といい、嵌込孔372を第2嵌込孔372という。
第1嵌込孔371の上下方向から見た形状は、円形である。複数の第2嵌込孔372は、上下方向から見て板部30の中心を中心とした仮想楕円上に並んでいる。複数の第2嵌込孔372の各々は、上下方向から見て当該第2嵌込孔372と板部30の中心(座部本体3の中心)とを通過する仮想線Lと平行な方向に長い長穴である。
図5Aに示すように、板部30の下面には、補強リブ39が形成されている。補強リブ39は、第1リブ391と、複数の第2リブ392と、複数の第3リブ393とを有している。
第1リブ391は第1嵌込孔371の周縁部に形成されており、第1嵌込孔371を囲んだ円筒状に形成されている。
板部30に形成された複数の第2嵌込孔372は、矩形状の板部30の一対の対角線上に位置した複数の第2嵌込孔372aを含んでいる。各第2嵌込孔372aの周縁部には、第2リブ392が形成されている。各第2リブ392は、対応する第2嵌込孔372aを囲んだ楕円筒状に形成されている。
複数の第3リブ393は、矩形状の板部30の一対の対角線上に位置している。複数の第3リブ393の各々は、矩形状の板部30の対角線と平行な方向に延びている。
第1リブ391と各第2リブ392とは、複数の第3リブ393を介して連続している。各第2リブ392と対応する筒部33とは、複数の第3リブ393を介して連続している。
本実施形態の台部3は、インサート成形品であり、図3に示すように、コア部4と、コア部4の全体を覆った成形部5とを有している。成形部5は、台部3の外面の全体を構成している。すなわち、成形部5は、板部30の上面と下面、周縁部32の外周面と内周面、及び各貫通孔35の内周面を構成している。また、前述した筒部33及び補強リブ39は、成形部5の一部である。
コア部4の密度は、成形部5の密度よりも大きく、かつ水の密度よりも大きい。本実施形態のコア部4は、金属製であり、具体的にコア部4は、亜鉛メッキ処理がなされたSPCC(冷間圧延鋼板)である。
図8に示すように、コア部4は、板状部40と、板状部40の周縁部から下方に向かって突出した周片部41とを有している。
板状部40は、上下方向から見て板部30(図4参照)の長手方向に長い矩形の板状に形成されている。板状部40において各貫通孔35(各ねじ用孔36、各水抜孔31、及び各嵌込孔37(図5A参照))に対応する部分には、上下方向に貫通した孔42が形成されている。
図3に示す成形部5は、合成樹脂製であり、具体的にはガラス繊維が添加されたポリプロピレンから形成されている。ポリプロピレンは耐薬品性に優れるため、成形部5に洗剤等がかかったとしても、成形部5の物性や外観等に影響が出難い。
成形部5は、上覆部50、下覆部51、外周覆部52、及び複数の孔覆部53を有している。
上覆部50は板状部40の上面の全体を覆っている。下覆部51は板状部40の下面の全体を覆っている。外周覆部52は周片部41の全体を覆っている。複数の孔覆部53は、複数の孔42の内周面の全体をそれぞれ覆っている。
上覆部50の周縁部と下覆部51の周縁部とは、外周覆部52を介して連続している。
台部3の板部30は、コア部4の板状部40、並びに、成形部5の上覆部50、下覆部51、及び複数の孔覆部53で構成されている。台部3の周縁部32は、コア部4の周片部41と、成形部5の外周覆部52とで構成されている。
複数の孔覆部53の各々は、筒状に形成されている。各孔覆部53の内側には、前述した貫通孔35が形成されている。
本実施形態の複数の孔覆部53は、複数の第1孔覆部531と、複数の第2孔覆部532(図5A参照)とで構成されている。
複数の第1孔覆部531の各々は、上覆部50及び下覆部51と連続している。複数の第2孔覆部532の各々は、後述する筒体54(図5A参照)で構成されており、上覆部50及び下覆部51とは別部材(別体)である。本実施形態の成形部5は2つの第2孔覆部532を有している。
図3に示すように、成形部5のうち、上覆部50、下覆部51、外周覆部52、及び複数の第1孔覆部531は、一体に形成されており、連続している。各第1孔覆部531の内側に形成された孔は、前述したねじ用孔36(図5A参照)、水抜孔31、又は嵌込孔37を構成している。
各第2孔覆部532は、図9に示すように、上覆部50及び下覆部51とは別部材の筒体54で構成されている。各筒体54の内側に形成された孔は、水抜孔31を構成している。なお、成形部5における筒体54と筒体54以外の部分とは、同じ材料から形成されてもよいし、異なる材料から形成されてもよい。
図8に示すように、板状部40に形成された複数の孔42のうち、各筒体54(図5A参照)に対応する孔42は、筒体54を支持する支持孔421を構成している。各筒体54は、図9に示すように、対応する支持孔421に嵌め込まれて、板状部40に支持されている。
各筒体54の上端部の外周面は、上覆部50に接合(一体化)されている。各筒体54の下端部の外周面は、下覆部51に接合(一体化)されている。これにより、上覆部50と下覆部51とは、複数の第2孔覆部532(筒体54)を介して接続されている。
台部3は例えば図10及び図11に示す金型8を用いてインサート成形される。金型8は、台部3(図5A参照)の下面を成形する第1型81と、台部3の上面を成形する第2型82とを備えている。
第2型82において台部3の上面を成形する成形面83には、第1型81側に向かって突出し、コア部4の複数の孔42にそれぞれ挿入される複数のピン84が設けられている。各ピン84は対応する孔42よりも一回り小さい。
台部3をインサート成形する際、第2型82の複数のピン84のうちの各支持孔421に対応するピン84には、図10に示すように筒体54が取り付けられる。これら筒体54の取り付けは、筒体54の内側の孔(水抜孔31)に、ピン84を挿入することで行われる。
この後、図11に示すようにコア部4の各支持孔421に、対応する筒体54が嵌め込まれ、これにより、コア部4が複数の筒体54を介して複数のピン84で支持される。なお、複数のピン84を複数の筒体54にそれぞれ挿入する工程は、複数の筒体54が複数の支持孔421のそれぞれに嵌め込まれた後に行われてもよい。
上述のようにコア部4が複数の筒体54を介して複数のピン84で支持された後、金型8が型締めされる。そして、この状態で、成形部5(図3参照)において筒体54を除く部分となる樹脂材料が、金型8内に充填される。これにより、図3に示す、上覆部50、下覆部51、外周覆部52、及び複数の第1孔覆部531が成形される。このように成形された台部3は、上覆部50、下覆部51、外周覆部52、及び複数の第1孔覆部531が、コア部4と一体化し、かつ上覆部50及び下覆部51が、複数の筒体54(図9参照)と一体化した台部3が成形される。なお、各第1孔覆部531は、前記成形時において、対応するピン84と、コア部4の対応する孔42の周縁部との間の隙間に充填された合成樹脂により構成される。
図7に示すように台部3に取り付けられるクッション6は、弾性を有し、かつ台部3よりも柔らかい材料から形成されている。具体的にクッション6の材料は、防カビ材が添加されたEVA(ethylene-vinyl acetate copolymer)樹脂である。
図6に示すように、クッション6は、上下方向から見て点対称形状に形成されている。クッション6は、天板部61と、天板部61の周縁部から下方に向かって突出した周壁部63とを有している。
天板部61は上下方向から見て台部3の板部30(図7参照)よりも一回り大きい矩形状であり、周壁部63は上下方向から見て台部3の周縁部32(図7参照)よりも一回り大きい矩形枠状である。上下方向から見て、クッション6の中心は、天板部61の中心と一致する。
図7に示すように、クッション6の周壁部63の内側には、台部3が嵌め込まれる。この嵌込状態における天板部61(図6参照)は、台部3の板部30の上面に沿う。
図6に示すように、天板部61において台部3の各水抜孔31(図4参照)に対応する箇所には、上下方向に貫通した水抜孔62が形成されている。以下、台部3に形成された各水抜孔31を第1水抜孔31といい、クッション6に形成された各水抜孔62を第2水抜孔62という。
各第2水抜孔62の上下方向から見た形状は、円形である。図7に示すように、クッション6が台部3に取り付けられた状態では、各第2水抜孔62は、対応する第1水抜孔31に通じる。
図6に示すように、天板部61の下面において台部3の各嵌込孔37(図7参照)に対応する箇所には、前述した突部60が形成されている。天板部61に形成された複数の突部60は、第1突部601と、複数の第2突部602とを含む。第1突部601は、天板部61において第1嵌込孔371(図7参照)に対応する箇所に形成されている。複数の第2突部602は、天板部61において複数の第2嵌込孔372(図7参照)に対応する箇所にそれぞれ形成されている。
図7に示すように、クッション6の周壁部63の内側に台部3が嵌め込まれることで、第1突部601が第1嵌込孔371に嵌め込まれ、かつ複数の第2突部602が複数の第2嵌込孔372にそれぞれ嵌め込まれる。これにより、クッション6は座部本体3に取り付けられる。
図6に示すように第1突部601は天板部61から下方に向かって突出している。本実施形態の第1突部601は、下方ほど小径になる円錐台状に形成されている。
複数の第2突部602の各々は、嵌込部64を有している。各第2突部602の嵌込部64は、円柱状に形成されており、水平断面形状が円形である。
複数の第2突部602のうち、第2嵌込孔372a以外の第2嵌込孔372(図5A参照)に対応する第2突部602aは、抜止部65をさらに有している。
各第2突部602aの抜止部65は、嵌込部64の下方に位置し、第2突部602aの下部を構成している。各第2突部602aの抜止部65の上端は、当該第2突部602aの嵌込部64の下端に繋がっている。なお、第2突部602aを除く第2突部602は、上部よりも大径の下部により、嵌込部64が構成されており、抜止部65を有していない。
各第2突部602(第2突部602aを含む)の嵌込部64の直径は、対応する第2嵌込孔372(図5A及び図5B参照)の幅W(上下方向から見て当該第2嵌込孔372の長さ方向と直交する方向における寸法)と略同じである。各第2突部602(第2突部602aを含む)の嵌込部64の直径は、対応する第2嵌込孔372の長さL1(図5B参照)よりも短い。すなわち、各第2突部602の嵌込部64は、対応する第2嵌込孔372と比較して、当該第2嵌込孔372の長さ方向における寸法が小さい。
各第2突部602aの抜止部65の水平断面形状は、円形である。各第2突部602aの抜止部65の直径は、当該第2突部602aの嵌込部64の直径よりも大きい。各第2突部602aの抜止部65の外周部は、当該第2突部602aの嵌込部64の外周面よりも外側に突出している。また、各第2突部602aの抜止部65の直径は、対応する第2嵌込孔372の幅W(図5B参照)よりも大きい。
図7に示すように、クッション6が台部3に取り付けられた取付状態において、各第2突部602の嵌込部64は、対応する第2嵌込孔372に嵌め込まれる。これにより、クッション6の台部3に対する水平方向の移動が規制される。また、各第2突部602aの抜止部65の外周部は、台部3の板部30の下方に位置し、板部30の下面に沿って配置される。これにより、クッション6の台部3に対する上方への移動が規制される。
(利用)
浴槽台は図1及び図2に示すように台部3にクッション6が取り付けられた状態で利用される。利用者は、浴槽台を浴槽内の湯水に沈めて浴槽内に設置する。このとき、浴槽内の湯水は、第1水抜孔31と第2水抜孔62とで構成された孔を通過するため、台部材2は湯水の抵抗を受け難い。このため、利用者は浴槽台を浴槽内の湯水に容易に沈めることができる。また、利用者は、各脚10の図2に示す複数の吸盤13を浴槽の底面に取り付けて、浴槽台を浴槽に対して固定できる。
利用者は、浴槽内に設置された浴槽台のクッション6上に座って入浴できる。また、利用者は洗い場に浴槽台を設置して利用することもできる。また、利用者は、台部3からクッション6を取り外して、浴槽台の掃除やメンテナンスを行うこともできる。なお、浴槽台は、クッション6を取り外した状態で利用することもできる。
ところで、浴槽台は浴室において利用されるため、例えば浴室に設置された浴室乾燥機等により、クッション6が加温されて膨張する場合がある。このように膨張したクッション6は、クッション6の温度が下がれば収縮する。しかし、このような温度変化による膨張・収縮が繰り返されると、クッション6が劣化して恒久的に収縮する可能性がある。本実施形態のクッション6は、このような経年劣化(継時的な劣化)によるクッション6の収縮が生じたときに、クッション6の各部が、上下方向から見て、クッション6の中心(天板部61の中心)に向かって収縮する傾向にある。これは、例えばクッション6と同じ製造条件で製造されたクッションを繰り返し加温する実験を行うことにより確認される。
上述のようにクッション6が経年劣化により収縮すると、図7に示す各第2突部602が、台部3に対して水平方向に変位する可能性がある。このため、クッション6が台部3から取り外された状態にあるとき、クッション6の各第2突部602を対応する第2嵌込孔372に嵌め込み難くなる可能性がある。
この点を改善するため、本実施形態における各第2嵌込孔372は、クッション6の前記経年劣化による収縮により当該嵌込孔37に対して変位した嵌込部64を嵌込可能な領域373を有している。なお、領域373は、収縮前の嵌込部64が嵌め込まれる領域と重複しなくてもよいし、一部のみが重複してよい。
具体的に、各第2嵌込孔372の長さ方向は、対応する第2突部602の嵌込部64が、クッション6の経年劣化による収縮に伴って当該第2嵌込孔372に対して変位する方向(以下、変位方向という)と平行である。そして、クッション6が台部3に取り付けられた状態においては、各第2突部602の嵌込部64は、対応する第2嵌込孔372においては、上下方向から見て台部3の中心とは反対側の端部に位置する。このとき、当該第2嵌込孔372の台部3の中心側の縁部と当該嵌込部64との間には、当該嵌込部64の前記変位を許容する隙間が形成される。この隙間は、当該嵌込部64から見て、当該嵌込部64の変位方向に位置している。このため、クッション6が前記経年劣化により収縮したとしても、利用者は、各第2突部602の嵌込部64を、対応する第2嵌込孔372に簡単に嵌め込むことができる。
また、本実施形態のクッション6は、図3に示すように、台部3に取り付けられた状態において、周壁部63と、この内側に配置される台部3の周縁部32との間に、隙間66が形成される。このため、利用者は、クッション6が前記経年劣化により収縮しても、周壁部63の内側に台部3を容易に嵌め込むことができる。
(補足)
なお、本実施形態の脚部1は、4本の脚10で構成されているが、台部材2を支持した状態で設置できるのであれば、脚10の数は1〜3、あるいは5以上でもよい。
また、第1水抜孔31及び第2水抜孔62は、省略可能である。
また、本実施形態の筒体54は、第1水抜孔31の周縁部を構成しているが、ねじ用孔36の周縁部又は嵌込孔37の周縁部を構成してもよい。また、成形部5の複数の孔覆部53において、筒体54で構成される孔覆部53の数は、2以上であればよく、制限されない。例えば、複数の孔覆部53の全ての孔覆部53が筒体54で構成されてもよい。また、成形部5の各第2孔覆部532は、上覆部50及び下覆部51と別部材であるが、上覆部50及び下覆部51と連続して一体に形成されてもよい。
また、補強リブ39の形状は制限されず、例えば補強リブ39は、台部3の長手方向又は短手方向に長い複数のリブで構成されてもよいし、格子状であってもよい。
また、コア部4の材料は、成形部5よりも密度が大きく、かつ水よりも密度が大きければ、金属に限られない。例えば、コア部4の材料は、セメント等であってもよい。同様に成形部5の材料も、ポリプロピレン以外の合成樹脂であってもよく、例えばFRPであってもよい。
また、クッション6は周壁部63を有さず、台部3の上面のみを覆うクッション6であってもよい。また、クッション6は省略可能である。
また、金型8の複数のピン84は、第1型81に設けられてもよいし、第1型81と第2型82の両者に設けられてもよい。
また、この他、本実施形態の浴槽台は、適宜設計変更可能である。
(効果)
以上説明した本実施形態の浴槽台は、以下に示す特徴を有している。浴槽台は、脚部1と、脚部1で支持される台部3とを具備している。台部3は、コア部4と、コア部4の全体を覆うように成形された成形部5とを備えている。コア部4の密度が、成形部5の密度よりも大きい。以下、この特徴を有する浴槽台を第1の態様の浴槽台という。
第1の態様の浴槽台は、コア部4の密度が成形部5の密度よりも大きく、台部3の全体としての密度を大きくできる。このため、浴槽台は浴槽内の湯水に沈み易くなり、使い勝手がよい。また、成形部5によりコア部4の全体が覆われるため、コア部4の材料として例えば錆びやすい金属などの材料を用いることができる。また、成形部5はコア部4よりも密度が小さい材料から形成されるため、コア部4には無い性能を台部3に容易に付与できる。
また、本実施形態の浴槽台は、第1の態様の浴槽台の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有している。台部3は、インサート成形品であって、金属から形成されたコア部4と、合成樹脂から形成された成形部5とを備えている。以下、この特徴を有する浴槽台を第2の態様の浴槽台という。
第2の態様の浴槽台は、台部3をインサート成形により製造できる。また、コア部4が金属から形成されるので、コア部4の加工性が向上する。また、合成樹脂から形成された成形部5により、コア部4が覆われるので、金属から形成されたコア部4が錆びることが抑制される。また、成形部5が合成樹脂から形成されるので、例えばこの合成樹脂材料の色を選択して、台部3の外面の色を決定できる。また、この場合、金属を塗装したときのように塗膜が剥がれることもない。また、台部3には、合成樹脂特有の性能を付与できる。
また、本実施形態の浴槽台は、第1又は第2の態様の浴槽台の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有している。台部3に上下方向に貫通した水抜孔31(第1水抜孔31)が形成されている。以下、この特徴を有する浴槽台を第3の態様の浴槽台という。
第3の態様の浴槽台は、利用者が浴槽台を浴槽内の湯水に沈めるとき、水抜孔31を利用することで、台部3にかかる水の抵抗を小さくできる。このため、利用者は浴槽台を浴槽内に容易に設置できる。
また、本実施形態の浴槽台は、第1〜第3のいずれかの態様の浴槽台の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有している。コア部4に、上下方向に貫通した支持孔421が複数形成されている。成形部5は、コア部4の上面を覆う上覆部50と、コア部4の下面を覆う下覆部51と、複数の支持孔421に個別に嵌め込まれた複数の筒体54とを有している。複数の筒体54の各々は、上覆部50及び下覆部51とは別部材である。各筒体54は、上端部が上覆部50に接合され、下端部が下覆部51に接合されている。各筒体の内側に、台部3を上下方向に貫通する貫通孔35(水抜孔31)が形成されている。以下、この特徴を有する浴槽台を第4の態様の浴槽台という。
第4の態様の浴槽台は、金型8に設けられた複数のピン84により、複数の筒体54を介してコア部4を支持できる。すなわち、金型8に設けられた複数のピン84を、複数の筒体54の貫通孔35に個別に通し、かつコア部4の複数の支持孔421に、複数の筒体54を個別に嵌め込むことで、コア部4を支持できる。この場合、筒体54を利用してコア部4を支持できる。また、この後、成形部5において複数の筒体54以外の部分となる樹脂材料を金型8内に充填することで、複数の筒体54が成形部5の他部と一体化された台部3を製造できる。
また、本実施形態の浴槽台は、第1〜第4のいずれかの態様の浴槽台の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有している。成形部5の下面に、補強リブ39が形成されている。以下、この特徴を有する浴槽台を第5の態様の浴槽台という。
第5の態様の浴槽台は、補強リブ39により成形部5の強度を補強できる。
また、本実施形態の浴槽台は、第1〜第5のいずれかの態様の浴槽台の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有している。浴槽台は、台部3の上面に沿って配置され、台部3に取り付けられるクッション6を具備している。以下、この特徴を有する浴槽台を第6の態様の浴槽台という。
第6の態様の浴槽台にあっては、利用者はクッション6が有する弾性により、快適に浴槽台に座ることができる。
また、本実施形態の浴槽台は、第6の態様の浴槽台の特徴に加えて、以下に示す付加的な特徴を有している。クッション6は、台部3の上面を覆う天板部61と、台部3の周縁部32の外周面を覆う周壁部63とを備えている。以下、この特徴を有する浴槽台を第7の態様の浴槽台という。
第7の態様の浴槽台は、クッション6の天板部61と周壁部63とで台部3の上面と外周面とがそれぞれ覆われる。このため、例えば利用者がクッション6が取り付けられた台部3に座るときには、台部3が利用者の臀部や大腿部に直接接触し難くなり、利用者はより快適に浴槽台に座ることができる。
また、本実施形態の浴槽台の製造方法は、以下に示す特徴を有している。第4の態様の浴槽台を製造する。金型8に設けられた複数のピン84を、複数の筒体54の貫通孔35に個別に通す。かつ複数の支持孔421に複数の筒体54を個別に嵌め込む。これにより、コア部4を複数の筒体54を介して複数のピン84により支持する。この後、成形部5において複数の筒体54以外の部分となる樹脂材料を金型8内に充填して硬化させることで、台部3をインサート成形する。以下、この特徴を有する製造方法を、第8の態様の製造方法という。
第8の態様の製造方法では、台部3をインサート成形により製造できる。また、このインサート成形時には、複数の筒体54を利用してコア部4を支持できる。