以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
図1はアクチュエータのケース側を示す斜視図を、図2はアクチュエータのカバー側を示す斜視図を、図3はアクチュエータの内部構造を説明する断面図を、図4はケースの内側を示す平面図をそれぞれ示している。
図1ないし図3に示されるように、アクチュエータ10は、その全体形状が略L字形状に形成され、自動車等の車両に搭載されるブレーキ装置用の駆動源に用いられる。具体的には、アクチュエータ10の出力軸45cがブレーキ装置(図示せず)に連結され、これによりアクチュエータ10を駆動することで、ブレーキ装置のピストン、つまりブレーキパッドを押圧する部材が進退され、ひいては制動力が調整される。
アクチュエータ10は、略L字形状に形成されたケース(ハウジング)11を備えている。ケース11の開口部11a(図3参照)は、カバー12によって閉塞され、これによりケース11の内部に埃等の異物が進入するのを防止している。ケース11およびカバー12は、何れも樹脂材料を射出成形することで所定形状に形成されている。
ケース11は、車両の足回りの近傍の劣悪な環境に曝される。そのため、耐候性に優れたポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)によって形成されている。PBT樹脂の特性としては、熱安定性,寸法安定性,耐薬品性等に優れていることが挙げられる。熱安定性とは、長時間高温環境に曝しても熱変形し難い特性のことである。寸法安定性とは、多湿環境に曝しても吸水率が低いため寸法が変化し難い特性のことである。耐薬品性とは、有機溶剤,ガソリン,油等に対して変質し難い特性のことである。
ただし、ケース11の材質としてはPBT樹脂に限らず、上述のような耐候性に優れた材質であれば、例えば、ポリフェニレンスルファイド樹脂(PPS樹脂)等の他の材料としても良い。
また、カバー12においても、ケース11と同じ劣悪な環境に曝されるため、ケース11と同じPBT樹脂で形成されている。ただし、ケース11と同様に、耐候性に優れた他の材料(PPS樹脂等)で形成することもできる。
ケース11およびカバー12は、互いに溶着することで強固に結合されている。溶着手段としては、例えば、互いの突き合わせ部分をレーザ光線で溶融させ、互いの突き合わせ部分を組織的に一体化する手段が用いられる。これにより、上述のような劣悪な環境であっても、アクチュエータ10の気密性が保持される。
ケース11の内部には、電動モータ(モータ)20および減速機構(遊星歯車機構)40が収容されている。以下、電動モータ20および減速機構40を収容するケース11の詳細構造について説明する。
図1ないし図4に示されるように、ケース11は、ブレーキ装置に固定されるブレーキ装置固定部13と、電動モータ20(図3参照)を収容するモータ収容部14とを備えている。
ブレーキ装置固定部13は、ケース11の出力軸45cが配置される部分に設けられ、出力軸45cおよび減速機構40と同軸上に配置されている。つまり、ブレーキ装置固定部13は、出力軸45cおよび減速機構40のそれぞれを支持している。なお、ブレーキ装置固定部13は、モータ収容部14に対してその軸方向と交差する方向に並んで設けられている。
ブレーキ装置固定部13の径方向内側には、円筒固定部13aが設けられ、円筒固定部13aの軸方向先端側には、ブレーキ装置が固定される。また、ブレーキ装置固定部13の径方向外側には、ケース11の外郭の一部を形成する外周壁部13bが設けられている。
図3に示されるように、モータ収容部14は、軸方向一端側(図中下側)が開口され、かつ軸方向他端側(図中上側)が閉塞された有底筒状に形成され、ケース11の電動モータ20が配置される部分に設けられている。モータ収容部14には電動モータ20が収容され、モータ収容部14はアーマチュア軸25と同軸上に配置されている。
モータ収容部14は、アーマチュア軸25の軸方向に延びる円筒本体部14aと、円筒本体部14aの軸方向に沿うカバー12側とは反対側にある底壁部14bとを備えている。また、底壁部14bの中心部分には、モータ収容部14の内部から外部に向けて突出された軸受収容部14cが設けられている。このように、モータ収容部14の軸方向他端側は、段付きの底部となっている。
そして、電動モータ20は、モータ収容部14の内部に、その開口側(開口部11a側)から挿入される。このとき、図3に示されるように、電動モータ20のモータケース21における小径底部21aは、軸受収容部14cの内側に配置される。なお、電動モータ20は、モータ収容部14に対して複数の固定ねじS(図4参照)によって強固に固定され、互いに相対回転不能とされる。
図3に示されるように、ケース11の長手方向(図中左右方向)に沿うモータ収容部14を挟むブレーキ装置固定部13側とは反対側には、車両側の外部コネクタ(図示せず)が接続されるコネクタ接続部15が一体に設けられている。そして、コネクタ接続部15と電動モータ20との間には、外部コネクタから電動モータ20に駆動電流を供給するための黄銅等よりなる導電部材(図示せず)が設けられている。これにより、電動モータ20に駆動電流が供給されて、アーマチュア軸25が所定の回転方向に所定の駆動トルクで駆動される。
図1ないし図4に示されるように、ブレーキ装置固定部13は、円筒固定部13aと外周壁部13bとを備えている。外周壁部13bには、径方向外側に部分的に突出するようにして、一対のねじ挿通部13cが一体に設けられている。そして、各ねじ挿通部13cには、アクチュエータ10をブレーキ装置に固定するための固定ねじ(図示せず)が挿通され、各ねじ挿通部13cはブレーキ装置に強固に固定される。ここで、各ねじ挿通部13cは、ケース11の長手方向と交差するケース11の短手方向に対して、出力軸45cを中心に対向配置されている。
図1,図2および図4に示されるように、各ねじ挿通部13cと外周壁部13bとの間には、各ねじ挿通部13cの外周壁部13bに対する固定強度を高めるための固定部用補強リブ13dが一体に設けられている。これにより、アクチュエータ10の作動時におけるケース11のブレーキ装置に対する捩れやがたつきが抑制される。
モータ収容部14の径方向外側には、一対の第1補強リブ14dが一体に設けられている。これらの第1補強リブ14dは、図1に示されるように、モータ収容部14がブレーキ装置固定部13側に傾斜したり捩れたりするのを抑制する。第1補強リブ14dは、樹脂製のケース11の硬化時において、ヒケの発生に起因するモータ収容部14のブレーキ装置固定部13に対する傾斜や歪みも抑制する。また、第1補強リブ14dを、断面が略三角形形状に形成することで、ケース11を射出成形する際に用いる金型(図示せず)の型抜きを容易に行えるようにしている。
さらに、第1補強リブ14dは、モータ収容部14のブレーキ装置固定部13側にそれぞれ配置され、かつ第1補強リブ14dの突出方向は、モータ収容部14をその軸方向から見たときに、ブレーキ装置固定部13のねじ挿通部13cにそれぞれ向けられている。よって、ケース11のデッドスペースDSに第1補強リブ14dが配置されて、第1補強リブ14dを比較的大きくでき、第1補強リブ14d自身の剛性を高めることもできる。また、第1補強リブ14dに負荷される応力は、ねじ挿通部13cを介して外周壁部13bにそれぞれ伝達されるので、モータ収容部14のブレーキ装置固定部13に対する傾斜や捩れが、より確実に抑制される。
ブレーキ装置固定部13には、複数の肉盗み部13eが設けられている。これらの肉盗み部13eは、ブレーキ装置固定部13のブレーキ装置側で、かつ円筒固定部13aの周囲に配置されている。肉盗み部13eは、円筒固定部13aと外周壁部13bとの間に設けられ、円筒固定部13aの周方向に並んで配置されている。肉盗み部13eは、ブレーキ装置固定部13のヒケに起因した変形を防止し、かつケース11の軽量化のために設けたものであり、出力軸45cの軸方向に窪んでいる。
肉盗み部13eは、出力軸45cを中心に放射状に設けられた複数の放射状リブ13f,13g,13hにより互いに仕切られている。具体的には、円筒固定部13aと外周壁部13bとの間に放射状リブ13fが設けられ、円筒固定部13aと各ねじ挿通部13cとの間に放射状リブ13gが設けられ、円筒固定部13aとモータ収容部14との間に放射状リブ13hが設けられている。
そして、円筒固定部13aとねじ挿通部13cとの間にある放射状リブ13gは、両者間の剛性を高めてケース11のブレーキ装置に対する捩れやがたつきを抑制する。また、円筒固定部13aとモータ収容部14との間にある放射状リブ13hは、モータ収容部14のブレーキ装置固定部13に対する傾斜や歪みを抑制する。
ここで、一対の第1補強リブ14dは、モータ収容部14を軸方向から見たときに、肉盗み部13eと重ならずに外周壁部13bに繋がっている。よって、ケース11を射出成形する際に用いる金型の形状を簡素化でき、さらには第1補強リブ14dから負荷される応力が、ケース11の薄肉となった肉盗み部13eに伝達されないようにしている。
なお、モータ収容部14のブレーキ装置固定部13側とは反対側には、1つの第2補強リブ14eと、一対の肉盗み部14f(図示では1つのみ示す)が設けられている。第2補強リブ14eは、第1補強リブ14dと同様に、モータ収容部14のブレーキ装置固定部13に対する傾斜や捩れを抑制する。また、肉盗み部14fは、モータ収容部14のヒケに起因した変形を防止し、かつケース11を軽量化する。
図3に示されるように、電動モータ20はモータケース(ヨーク)21を備えている。モータケース21は、鋼板(磁性材料)をプレス加工等することで有底の略円筒形状に形成され、その内側には、断面が略円弧形状に形成された複数のマグネット22が固定されている。そして、これらのマグネット22の内側には、コイル23が巻装されたアーマチュア24が、所定の隙間を介して回動自在に収容されている。
アーマチュア24の回転中心には、アーマチュア軸(回転軸)25の基端側が固定されている。つまり、アーマチュア軸25は、モータケース21の内部に回動自在に収容されている。アーマチュア軸25の基端部(図中上側)は、モータケース21の小径底部21aがある部分に配置され、小径底部21aの内側には軸受部材26が固定されている。そして、アーマチュア軸25の基端部は、軸受部材26によって回動自在に支持されている。
一方、アーマチュア軸25の先端部(図中下側)は、カバー部材27を介してモータケース21の外部に配置されている。なお、カバー部材27の中心部分には軸受部材28が固定されており、これによりアーマチュア軸25の先端部は、軸受部材28により回動自在に支持されている。そして、アーマチュア軸25の先端部には、ピニオンギヤ29が固定されている。
アーマチュア軸25の軸方向に沿うアーマチュア24とピニオンギヤ29との間には、コイル23の端部が電気的に接続されたコンミテータ30が一体に設けられている。コンミテータ30の外周部分には、一対のブラシ31が摺接するようになっている。ここで、コンミテータ30および一対のブラシ31についても、モータケース21の内部にそれぞれ収容されている。
ここで、一対のブラシ31は、モータケース21の内側に装着されたブラシホルダ(図示せず)に移動自在に保持されている。また、ブラシホルダには、一対のブラシ31にそれぞれ駆動電流を供給するための、黄銅等よりなる導電部材(図示せず)が電気的に接続されている。
図3に示されるように、ケース11には、出力軸45cが回動自在に設けられている。この出力軸45cは、ブレーキ装置に連結され、電動モータ20の動力をブレーキ装置に伝達するものである。出力軸45cは、アーマチュア軸25の回転力を外部に出力するもので、減速機構40を形成するキャリア44の中心部分に一体に設けられている。これにより、高トルク化された回転力がブレーキ装置に伝達される。そして、アーマチュア軸25と出力軸45cとは、それぞれ平行となるようにケース11に並んで設けられ、アーマチュア軸25と出力軸45cとの間に、減速機構40が配置されている。
また、減速機構40とピニオンギヤ29との間には、アーマチュア軸25と平行に並べられた出力軸45cに動力を伝達するための、入力側二段ギヤ50が設けられている。入力側二段ギヤ50は、ケース11に固定された第1支持ピンP1により回動自在に支持され、ピニオンギヤ29に噛み合わされる大径ギヤ51と、出力側二段ギヤ60の大径ギヤ61に噛み合わされる小径ギヤ52と、を備えている。
次に、アーマチュア軸25の回転速度を、入力側二段ギヤ50および出力側二段ギヤ60を介して減速し、減速して高トルク化された回転力を出力軸45cに出力(伝達)する減速機構40の詳細構造について、図面を用いて説明する。
図5は減速機構の出力側を示す斜視図を、図6は減速機構の入力側を示す斜視図を、図7は図4のA−A線に沿う減速機構の断面図を、図8はキャリアの表側(出力軸側)を示す斜視図を、図9はキャリアの裏側(ピン側)を示す斜視図を、図10はキャリアの製造手順(第1工程)を説明する断面図を、図11はキャリアの製造手順(第2工程)を説明する断面図を、図12はキャリアの製造手順(第3工程)を説明する断面図を、図13はキャリアの製造手順(第4工程)を説明する断面図を、図14はストッパの表側(腕部側)を示す斜視図を、図15はストッパの裏側(本体部側)を示す斜視図をそれぞれ示している。
図3ないし図7に示されるように、減速機構40は、遊星歯車機構となっている。減速機構40は、鋼製の1つのサンギヤ(太陽歯車)41を備えている。このサンギヤ41は、出力側二段ギヤ60に一体に設けられ、出力側二段ギヤ60の小径ギヤを形成している。つまり、サンギヤ41は、減速機構40の入力側に設けられている。なお、出力側二段ギヤ60は、カバー12に固定された第2支持ピンP2により回動自在に支持され、小径ギヤとしてのサンギヤ41と、入力側二段ギヤ50の小径ギヤ52に噛み合わされる大径ギヤ61と、を備えている。
また、減速機構40は、環状に形成された1つのインターナルギヤ(内歯車)42を備えている。このインターナルギヤ42は、硬質プラスチック等により形成され、その径方向内側には歯部42aが一体に設けられている。インターナルギヤ42は、ブレーキ装置固定部13の径方向内側で、かつ円筒固定部13aの軸方向に沿うカバー12側に配置されている。インターナルギヤ42は、図3および図4に示されるように、サンギヤ41の周囲に設けられ、かつケース11に一体に設けられている。
インターナルギヤ42の軸方向に沿う円筒固定部13a側には、インターナルギヤ42の径方向内側に向けられた円弧壁42bが設けられている。この円弧壁42bは環状に形成され、歯部42aに対して軸方向にずれて配置されている。また、円弧壁42bは、歯部42aよりも、インターナルギヤ42の径方向内側に配置されている。そして、円弧壁42bには、キャリア44の第1円弧面44cおよびストッパ46の第2円弧面46gが対向され、互いに摺接可能となっている。つまり、円弧壁42bは、インターナルギヤ42の第2円弧面46gとの対向部に設けられており、第1円弧面44cおよび第2円弧面46gの曲率半径は、円弧壁42bの曲率半径と同じ曲率半径となっている。
さらに、減速機構40は、鋼製の3つのプラネタリギヤ(遊星歯車)43を備えている。これらのプラネタリギヤ43は、サンギヤ41とインターナルギヤ42との間に設けられ、サンギヤ41およびインターナルギヤ42の歯部42aの双方に噛み合わされている。ここで、減速機構40の軸方向一側は、キャリア44を介して円弧壁42bに回動自在に支持され、減速機構40の軸方向他側は、出力側二段ギヤ60を介して第2支持ピンP2に回動自在に支持されている。
減速機構40は、3つのプラネタリギヤ43を回動自在に支持するキャリア44を備えている。キャリア44は、図8および図9に示されるように、略円盤形状に形成されたキャリア本体44aを備えている。キャリア本体44aは、プラスチック等の樹脂材料により形成され、その内部には、鋼板よりなる補強部材45がインサート成形により埋設されている。
鋼製の補強部材45は、樹脂製のキャリア本体44aを補強するもので、平面視で略U字形状に形成された3つの補強腕45aを備えている。これらの補強腕45aは、補強部材45の中心部分からそれぞれ径方向外側に突出され、それぞれの補強腕45aの先端部分には、径方向内側に窪んだ凹所45bが設けられている。すなわち、凹所45bの開口方向は、補強部材45の径方向外側に向けられている。
また、補強部材45の中心部分(回転中心)には、ブレーキ装置に連結される出力軸45cが一体に設けられている。つまり、高強度が必要とされる出力軸45cにおいても鋼製となっている。なお、各補強腕45aは、出力軸45cを中心に、補強部材45の周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。
さらに、補強部材45の周方向に沿う補強腕45aの間には、補強部材45の径方向内側に窪んだ被支持部45dが設けられている。被支持部45dは、キャリア本体44aの内部に補強部材45をインサート成形する際に、下金型LDの芯出し部LD2(図10参照)に支持される部分となっている。したがって、被支持部45dは、図7および図8に示されるように、キャリア44を成形した後であっても、外部に露出されている。ここで、被支持部45dにおいても、補強腕45aと同じ数(3つ)だけ設けられ、かつ補強部材45の周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。
図5および図8に示されるように、キャリア本体44aの表側、つまり出力軸45cが配置された側には、ケース11の内側に設けられた円弧壁42b(図3参照)に摺接される3つの回転ガイド44bが一体に設けられている。これらの回転ガイド44bは、キャリア本体44aから軸方向に突出して設けられ、かつキャリア本体44aの周方向に延在されている。そして、各回転ガイド44bの径方向外側には、円弧壁42bに摺接される第1円弧面44cが設けられている。これによりキャリア44は、ケース11に対して、三方向から回動自在に支持されて、作動時にがたつくことが無い。
そして、図8に示されるように、各回転ガイド44bが配置された部分に対応して、各補強腕45aがそれぞれ配置されている。すなわち、各回転ガイド44bにおいても、補強腕45aと同じ数(3つ)だけ設けられ、出力軸45cを中心に、キャリア本体44aの周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。これにより、各回転ガイド44bの強度がそれぞれ確保されて、長期使用による各回転ガイド44bの変形等が確実に防止される。
図9に示されるように、キャリア本体44aの裏側、つまり出力軸45cが配置された側とは反対側には、3つのプラネタリギヤ43(図6参照)をそれぞれ回動自在に支持するピン44dが一体に設けられている。これらのピン44dは、キャリア本体44aから軸方向に突出され、かつ肉厚の略円筒形状に形成されている。そして、各ピン44dの中心部分には、窪み部44d1が設けられている。
窪み部44d1のさらに中心部分には、図7に示されるように、ゲート痕44d2が設けられている。すなわち、ゲート痕44d2は、各ピン44dにおける各プラネタリギヤ43の回転中心に設けられている。そして、窪み部44d1の中心部分は、キャリア本体44aの内部に補強部材45をインサート成形する際に、上金型UDのゲートGTの先端部(図11参照)が突き当てられる部分となっている。
このように、キャリア44を射出成形する際に、各ピン44dの窪み部44d1の中心部分に相当する部分から溶融樹脂MR(図12参照)を供給することで、略円筒形状のピン44dの全域に均等に溶融樹脂MRを行き渡り易くして、各ピン44dの寸法精度(製造精度)を向上させている。また、各ピン44dは略円筒形状とされるため、キャリア44の硬化時において、ヒケの発生に起因するピン44dの傾斜や歪みも効果的に抑制される。なお、キャリア44の製造方法については、後述する。
各ピン44dは樹脂製であり、各ピン44dに回動自在に支持されるプラネタリギヤ43は鋼製である。したがって、各ピン44dと各プラネタリギヤ43との間に潤滑グリース(図示せず)を塗布するだけで、各プラネタリギヤ43を長期に亘ってスムーズに各ピン44dに対して回転させることができる。なお、従前のような鋼製のピンと鋼製のギヤとの組み合わせでは、かじり等を防止するために両者間に樹脂製の軸受等が必要になる場合もある。よって、本実施の形態では、軸受が不要となる分、部品点数の削減という観点でも有利である。
図7および図9に示されるように、各ピン44dが配置された部分に対応して、各補強腕45aがそれぞれ配置されている。すなわち、キャリア44の軸方向に、各ピン44d,各補強腕45a,各回転ガイド44bがそれぞれ並べられている。よって、各ピン44d(各プラネタリギヤ43)においても、出力軸45cを中心に、キャリア本体44aの周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。これにより、各ピン44dの根元の強度がそれぞれ確保されて、作動時における各ピン44dの傾斜や歪みが抑えられて、減速機構40から発生する作動音(メカノイズ)が効果的に低減される。
このように、キャリア44の軸方向に沿う各補強腕45aの両側に、各回転ガイド44bおよび各ピン44dがそれぞれ配置されている。すなわち、各ピン44d,各補強腕45a,各回転ガイド44bは、ピン44dの軸方向からそれぞれ重ねられている。これにより、各補強腕45aは、減速機構40の作動時においてキャリア44の負荷が掛かる部分(回転ガイド44bおよびピン44d)を補強する。よって、静粛性に優れた減速機構40を実現しつつ、減速機構40の寿命を延ばすことができる。
また、図7に示されるように、窪み部44d1の中心部分に設けられたゲート痕44d2は、ピン44dの軸方向から補強部材45の凹所45bに重ねられている。つまり、キャリア44を射出成形する際に、各ピン44dの窪み部44d1の中心部分から供給された溶融樹脂MR(図12参照)を、ピン44dの軸方向に沿う補強部材45の一側(図7中上側)から他側(図7中下側)に通過させ易くなっている。これにより、補強部材45の周囲に溶融樹脂MRを容易にかつ満遍なく行き渡らせることができる。よって、キャリア44にヒケやボイド等の不具合を発生させずに済み、キャリア44の寸法精度(製造精度)の向上と強度確保とが実現される。なお、凹所45bは、本発明における連通部を構成しており、ピン44dの軸方向に沿う補強部材45の一側および他側を連通している。
さらに、図5および図8に示されるように、キャリア44の周方向に沿う各回転ガイド44bの両側でかつ径方向内側には、後述するストッパ46の係合爪46cが引っ掛けられる引っ掛け凹部44eが設けられている。これらの引っ掛け凹部44eは、ストッパ46のキャリア44の軸方向と交差する方向への抜け止めを行うものであり、キャリア44の周方向に向けて各回転ガイド44bの内側に窪んでいる。
また、図8および図9に示されるように、キャリア44の周方向に沿う各回転ガイド44bの両側でかつ径方向外側には、キャリア44の軸方向からストッパ46を支持する支持壁44fが設けられている。すなわち、これらの支持壁44fの両側(表側および裏側)は、キャリア44の軸方向に向けられており、支持壁44fの両側には、ストッパ46の当接壁46fがそれぞれ当接されるようになっている。つまり、ストッパ46は、支持壁44fによって、キャリア44の軸方向への移動が規制されている。
これにより、キャリア44の軸方向に対するストッパ46のがたつきが効果的に抑えられている。また、支持壁44fは、ストッパ46のキャリア44への装着を案内するガイド機能を備えており、これにより減速機構40の組み立て性を向上させている。このガイド機能については、後述する。
さらに、図6および図9に示されるように、キャリア本体44aの裏側で、かつキャリア本体44aの回転中心には、所定の深さの円形凹部44gが設けられている。この円形凹部44gは、キャリア本体44aの軸方向に窪んでおり、円形凹部44gの内部には、サンギヤ41(図3参照)の先端部分が入り込むようになっている。これにより、減速機構40の軸方向寸法を詰めて、アクチュエータ10が大型化するのを抑制している。
ここで、キャリア44の製造手順について、図面を用いて詳細に説明する。
図10ないし図13に示されるように、キャリア44は、固定金型である下金型(第1金型)LDに、移動金型である上金型(第2金型)UDを突き合わせて、両者間に形成されたキャビティCAに溶融樹脂MRを流し込むことで形成される。つまり、キャリア44は射出成形(インサート成形)により形成される。
[第1工程]
まず、図10の矢印M1に示されるように、下金型LDの内部に補強部材45をセットする。このとき、補強部材45の出力軸45cを、下金型LDの凹部LD1に差し込むようにする。また、補強部材45の各被支持部45dを、下金型LDの各芯出し部LD2にそれぞれ突き合わせるように整合させる。ここで、芯出し部LD2においても、被支持部45dに対応させて、凹部LD1を中心に120度間隔で3つ設けられている。これにより、補強部材45が下金型LDに対して正しい位置にセットされて、第1工程(補強部材セット工程)が完了する。
[第2工程]
次に、図11の矢印M2に示されるように、補強部材45がセットされた下金型LDに対して上金型UDを下降させて、上下金型UD,LDを互いに突き合わせる。これにより、上下金型UD,LDの間に、キャリア44の外郭を形作る空洞、すなわちキャビティCA(図12参照)が形成される。これにより、第2工程(金型突き合わせ工程)が完了する。
なお、上金型UDは、例えば、油圧駆動機構等のアクチュエータ(図示せず)によって、下金型LDに対して近接離反移動される。また、上金型UDには、ピン44dを形成する筒状凹部UD1(図示では2つのみを示す)が設けられ、この筒状凹部UD1の中心部分には、略円筒形状のピン44dを形成するためのゲート突起(ピン形成突起)UD2が設けられている。そして、ゲート突起UD2の中心部分に、ゲートGTが設けられ、当該ゲートGTの基端部には、溶融樹脂MR(図12参照)を供給するディスペンサDPが接続されている。
[第3工程]
その後、図12に示されるように、3つのピン44dに対応して設けられた3つのディスペンサDP(図示では2つのみ示す)を同期駆動させて、これにより上金型UDに設けられたそれぞれのゲートGTに溶融樹脂MRを圧送(供給)する。すると、各ゲートGTからキャビティCAに流れ込んだ溶融樹脂MRは、図10の実線矢印に示されるように、補強部材45の一側(図中上側)に満遍なく行き渡り、かつ図10の破線矢印に示されるように、補強部材45の他側(図中下側)に満遍なく行き渡る。これにより、第3工程(溶融樹脂供給工程)が完了する。
ここで、溶融樹脂MRは、ゲート突起UD2の先端部分からキャビティCA内に吐出され、その後、ゲート突起UD2の周囲の筒状凹部UD1の内部に均等に行き渡る。これにより、筒状凹部UD1の内部での溶融樹脂MRの流れが最適化されて、各ピン44dにヒケやボイド等が発生することが抑えられて、ひいては各ピン44dの寸法精度(製造精度)が向上される。
さらに、ゲート突起UD2の先端部分からキャビティCA内に吐出された溶融樹脂MRは、そのまま屈曲されずに直下に流れていき、補強部材45に設けられた各凹所45bを通過する。これにより、溶融樹脂MRは、補強部材45の他側(図中下側)で、かつ出力軸45cがある側に、素早く到達される。言い換えれば、補強部材45の凹所45bは、キャビティCAの内部の隅々に、溶融樹脂MRを硬化させること無く速やかに行き渡らせる機能を備えている。これにより、さらにヒケやボイド等の成形不良等が発生することが抑えられる。
[第4工程]
次いで、上下金型UD,LDを所定時間放置する等して冷却することで、溶融樹脂MRを硬化させる。そして、下金型LDから上金型UDを上昇させて、上金型UDを下金型LDから引き離して、上金型UDから完成したキャリア44を取り外す。その後、図13の矢印M3に示されるように、下金型LDに設けられた離型ピンLD3を上昇させて、下金型LDから完成したキャリア44を取り外す。これにより、矢印M4に示されるように、キャリア44が上下金型UD,LDから取り外し可能となり、第4工程(取り外し工程)が完了する。すなわち、キャリア44の製造が完了する。
図5ないし図7に示されるように、減速機構40は、キャリア44のピン44dに装着されたプラネタリギヤ43の脱落を防止するストッパ46を備えている。ストッパ46は、3つのプラネタリギヤ43のそれぞれに対応して3つ設けられ、キャリア44の周方向に等間隔(120度間隔)で配置されている。
図14および図15に示されるように、ストッパ46は、プラスチック等の樹脂材料により略U字形状に形成されている。ストッパ46は、キャリア44の裏側(図6参照)に配置される平板状のストッパ本体46aを備えている。ストッパ本体46aは、平面視で略台形形状に形成され、ピン44dの軸方向先端部分に対してピン44dの軸方向から対向している(図7参照)。これにより、プラネタリギヤ43のピン44dに対する軸方向への移動が規制される。
また、ストッパ46は、キャリア44の表側(図5参照)に配置される一対のストッパ腕46bを備えている。これらのストッパ腕46bの先端側には、キャリア44の引っ掛け凹部44eに引っ掛けられる係合爪46cが一体に設けられている。すなわち、ストッパ腕46bの係合爪46cは、キャリア44の周方向に突出されて互いに向き合わされている。
ストッパ腕46bとストッパ本体46aとの間には、両者を所定間隔で保持する橋渡し部46dが設けられている。これらの橋渡し部46dは、一対のストッパ腕46bをキャリア44の表側(出力軸45cがある側)に配置するとともに、ストッパ本体46aをキャリア44の裏側(ピン44dがある側)に配置する機能を備えている。つまり、一対の橋渡し部46dは、それぞれキャリア本体44a(図7参照)の表側と裏側との間を跨いで設けられている。
一対のストッパ腕46bの先端側、つまり係合爪46c側は、略台形形状に形成されたストッパ本体46aの下底側(図14の手前側かつ図15の奥側)に向けられている。よって、ストッパ46をキャリア44に装着した状態では、各ストッパ腕46bの先端側は、キャリア44の回転中心、つまり出力軸45cに向けられる。そして、各ストッパ腕46bの基端側(根元部分)は可撓性を有しており、各ストッパ腕46bは、キャリア44の周方向に向けて弾性変形可能となっている。
これにより、ストッパ46をキャリア44に対して、ワンタッチで容易に固定することができる。すなわち、キャリア44とストッパ46との間に設けられるロック機構LM(図5参照)は、所謂「スナップフィット」と呼ばれるロック構造であり、機械的な結合(凹凸結合)による単純なロック構造となっている。よって、コストアップを招くことが無い。なお、ロック機構LMは、一対の係合爪46cおよび一対の引っ掛け凹部44eによって構成されている。
一対の橋渡し部46dの長手方向(図中上下方向)に沿うストッパ腕46b側には、それぞれガイド機構46eが設けられている。これらのガイド機構46eは溝状とされ、橋渡し部46dの長手方向に互いに対向された一対の当接壁46fを備えている。そして、これらの当接壁46fは、ストッパ46をキャリア44に装着した状態で、キャリア本体44aの軸方向から支持壁44fの表側および裏側にそれぞれ当接される。したがって、キャリア44の軸方向へのストッパ46の移動が規制され、両者のがたつきが防止される。
また、図7に示されるように、ストッパ46をキャリア44に装着した状態で、キャリア44の軸方向に沿うストッパ腕46bとキャリア本体44a(支持壁44f)との間には、隙間部Dが設けられている。したがって、ストッパ46に、キャリア44の軸方向から負荷が掛かったとしても、当該負荷は当接壁46fを介して支持壁44fに掛かるため、ストッパ腕46bに負荷は掛からない。
ここで、減速機構40の作動時には、ストッパ46には遠心力が作用する。しかしながら、ストッパ46は樹脂製でかつ軽量であるため、係合爪46cが引っ掛け凹部44eから外れるようなことは無い。したがって、減速機構40の作動時において、ロック機構LMが損傷したり外れたりすることが効果的に防止される。
また、一対の橋渡し部46dの短手方向に沿うストッパ本体46a側とは反対側には、インターナルギヤ42の円弧壁42b(図3参照)と同じ曲率半径の第2円弧面46gが設けられている。そして、橋渡し部46dの長手方向に沿う第2円弧面46gのストッパ腕46b側が、円弧壁42bに摺接可能となっている。つまり、ストッパ46に設けられた第2円弧面46gは、キャリア44の径方向外側に向けられている。
したがって、万が一、ロック機構LMが外れて、ストッパ46がキャリア44の径方向外側に移動したとしても、第2円弧面46gが円弧壁42bに対してスムーズに摺接される。よって、減速機構40の回転抵抗の増大が確実に防止される。言い換えれば、第2円弧面46gと円弧壁42bとを互いにスムーズに摺接できるようにして、アクチュエータ10のフェイルセーフ性を向上させている。
さらに、橋渡し部46dの長手方向に沿う円弧壁42bの略中央部分には、図15に示されるように、押圧突起46hが設けられている。これらの押圧突起46hは、第2円弧面46gの径方向外側に略三角形形状に突出され、ストッパ本体46aの長手方向と同じ方向に延びる平坦面46kを有している。そして、これらの平坦面46kは、キャリア44の径方向外側に面しており、ストッパ46をキャリア44に装着するための押圧治具(図示せず)を、押し当て易くしている。これにより、押圧治具を用いて、自動または手動により、ストッパ46をキャリア44に容易に装着することができる。
次に、以上のように構成された減速機構40の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。
図16は減速機構の組み立て手順を説明する斜視図を示している。
図16に示されるように、予め別の製造工程で製造された、3つのプラネタリギヤ43と、1つのキャリア44と、3つのストッパ46と、を準備する。
次いで、キャリア44のピン44dの周囲に、所定量の潤滑グリース(図示せず)を塗布する。その後、破線矢印(1)に示されるように、ピン44dにプラネタリギヤ43を装着する。ここで、プラネタリギヤ43は装着方向性を有している。そのため、プラネタリギヤ43の軸方向両側のうち、径方向内側にテーパ面TPが形成された側を、ピン44dに臨ませるようにする。これにより、図7に示されるように、プラネタリギヤ43がピン44dに対して正しく装着される。
より具体的には、図7に示されるように、プラネタリギヤ43のテーパ面TPは、ピン44dの根元に形成された膨出部BPを除けるようになっている。これにより、ピン44dに対するプラネタリギヤ43の装着深さが正しい状態とされて、減速機構40の組み立て後における動作不良が無くなり、ひいては歩留まりを良くすることができる。ただし、プラネタリギヤ43の装着方向性を無くすために、プラネタリギヤ43の軸方向両側に、テーパ面TPをそれぞれ設けるようにしても良い。
次に、ピン44dにプラネタリギヤ43が装着された状態で、破線矢印(2)に示されるように、ストッパ46をキャリア44に臨ませる。このとき、ストッパ46に設けられた一対のストッパ腕46bの係合爪46c側(先端側)を、出力軸45c側に向くようにする。さらには、各ストッパ腕46bがキャリア44の回転ガイド44b側(表側)に配置されるようにし、かつストッパ本体46aがキャリア44のプラネタリギヤ43側(裏側)に配置されるようにする。
次いで、ストッパ46を、キャリア44の径方向外側から、キャリア44の外周部分に向けて、近接するように移動させる。ここで、ストッパ46の溝状のガイド機構46eに、キャリア44の支持壁44fが入り込むようにする。これにより、ストッパ46がキャリア44に対して装着方向(キャリア44の径方向)に真っ直ぐに案内される(ガイド機能)。
その後、ストッパ46のキャリア44への装着を継続していくと、各ストッパ腕46bと支持壁44fとの間に隙間部D(図7参照)が形成された状態で、各ストッパ腕46bの基端側が撓みつつ、各ストッパ腕46bの先端側の係合爪46cが、各引っ掛け凹部44eに入り込んで引っ掛けられる(係合される)。
これにより、ストッパ46がキャリア44に対して、所謂「スナップフィット」により固定されて、ストッパ46のキャリア44の径方向外側への移動が阻止される。よって、プラネタリギヤ43のピン44dからの脱落が防止される。
ここで、上述したようなプラネタリギヤ43およびストッパ46のキャリア44への装着作業を合計3回行うことにより、サンギヤ41およびインターナルギヤ42が組み付けられる前の状態の、減速機構40のサブアッシー(図5および図6に示される状態)が完成する。
その後、アクチュエータ10を所定の手順で組み立てることにより、減速機構40の各プラネタリギヤ43が、それぞれインターナルギヤ42の歯部42aおよびサンギヤ41に噛み合わされる。これにより、減速機構40の組み立てが最終的に完了する。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、補強部材45は、ピン44dに対してピン44dの軸方向から重ねられた補強腕45aと、ピン44dに設けられたゲート痕44d2に対してピン44dの軸方向から重ねられ、ピン44dの軸方向に沿う補強部材45の一側および他側を連通する凹所45bと、を備えている。
これにより、補強腕45aによりピン44dの根元が補強されて、ピン44dの強度を十分に確保することができ、減速機構40の作動時におけるピン44dの傾斜等が防止される。
また、ピン44dに設けられたゲート痕44d2の直下に凹所45bが配置されるので、キャリア44の製造時において、凹所45bを介して溶融樹脂MRを補強部材45の一側および他側に満遍なく行き渡らせることができ、ヒケやボイド等の不具合の発生を効果的に抑えることができる。
よって、キャリア44およびそれに設けられるピン44dの製造精度を向上させて、ひいては減速機構40の早期劣化や作動音の増大等を抑制することができる。
また、本実施の形態によれば、ゲート痕44d2が、ピン44dにおけるプラネタリギヤ43の回転中心に設けられている。これは、上金型UDに、ピン44dを形成するゲート突起UD2を設け、ゲートGTを、ゲート突起UD2の中心に設けたためである。
これにより、ピン44dを形作るための、ゲート突起UD2の周囲にある筒状凹部UD1の内部に、溶融樹脂MRを均等に行き渡らせることが可能となる。したがって、筒状凹部UD1の内部での溶融樹脂MRの流れが最適化され、ピン44dにヒケやボイド等が発生することが抑えられ、ひいてはピン44dの寸法精度(製造精度)を向上させることができる。
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態では、本発明における連通部を、補強腕45aが略U字形状となるように凹所45bとしたもの示したが、本発明はこれに限らず、補強腕45aの先端側に、当該補強腕45aを貫通する貫通孔を設けても良い。要するに、ゲート痕44d2の直下に設けられ、かつ補強部材45の一側と他側とを連通する連通部であれば、その形状は何でも良い。
また、上記実施の形態では、3つのプラネタリギヤ43を備えた減速機構40を示したが、本発明はこれに限らず、必要とされる減速機構の仕様(減速比等)に応じて、2つや4つ以上のプラネタリギヤを備えた減速機構(遊星歯車機構)に適用することもできる。
さらに、上記実施の形態では、アクチュエータ10を、自動車等の車両に搭載されるブレーキ装置用の駆動源に用いたものを示したが、本発明はこれに限らず、例えば、パワーウィンドウ装置やスライドドア開閉装置等の駆動源に用いることもできる。
その他、上記実施の形態における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態に限定されない。