JP6743803B2 - 排気ガス浄化装置 - Google Patents

Description

本発明は、エンジンから排出される排気ガスを浄化処理する排気ガス浄化装置に関する。

ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置は、排気ガス中の粒子状物質（ＰＭ：Particulate Matter）を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ（通常、Diesel Particulate Filterと呼ばれ、以下、「ＤＰＦ」という。）等の浄化処理部材を備えている。ここで、排気ガスを浄化処理するＤＰＦは、排気ガス中の粒子状物質を捕集するものであることから、捕集して堆積した粒子状物質を洗浄して除去するクリーニング作業を定期的に行う必要がある。そこで、ＤＰＦのクリーニング作業の作業性を高めることができる排気ガス浄化装置に関する技術が種々提案されている。

例えば、下記特許文献１に記載された排気ガス処理装置では、フィルタ用筒体の前、後のフランジ部に、それぞれ位置決めピンを設け、上流筒体のフランジ部には切欠溝を設け、下流筒体のフランジ部には切欠溝を設ける。これにより、上流筒体と下流筒体との間にフィルタ用筒体を接続するときには、フィルタ用筒体に設けられた前、後の位置決めピンを、上流筒体の切欠溝と下流筒体の切欠溝とにそれぞれ係合することによって、フィルタ用筒体が上流筒体と下流筒体とに対して同軸に位置決めされるように構成されている。

国際公開第２０１０／０２６８６４号

しかしながら、前記特許文献１に記載された排気ガス処理装置では、上流筒体と下流筒体が処理装置支持ブラケットに固定された状態で、フィルタ用筒体を取り付け、取り外しする。具体的には、フィルタ用筒体に設けられた前、後の位置決めピンに、ガスケットのピン挿通孔を挿通し、フィルタ用筒体の前側フランジ部と後側フランジ部とにガスケットを仮止めする。そして、この状態で、フィルタ用筒体に設けられた前、後の位置決めピンを、上流筒体の切欠溝と下流筒体の切欠溝とにそれぞれ係合させつつ、フィルタ用筒体を上流筒体と下流筒体の間に挿入する。

このため、フィルタ用筒体の前側のガスケットと上流筒体のフランジ部との間、又は、フィルタ用筒体の後側のガスケットと下流筒体のフランジ部との間のいずれか一方に僅かな隙間が形成される。そして、この状態で、それぞれの相対向するフランジ部の外周部が、略Ｖ字形の断面形状を有する環状のクランプ装置を用いて締め付けられ、ガスケットにより気密にシールした状態で固定される。

ところが、クランプ装置は、相対向するフランジ部を互いに軸方向内側へ付勢した状態で、上流筒体、フィルタ用筒体、及び、下流筒体の各内部を通過する排気ガスの熱に曝されるため、クリープを生起する。そのため、クランプ装置が相対向するフランジ部を互いに軸方向内側へ付勢する付勢力が低下して、ガスケットによるシールの気密性が低下する虞がある。

そこで、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体に対して同軸に位置決めできると共に、相対向するフランジ部の接続面が当接した状態で接続できる排気ガス浄化装置を提供することを課題とする。

上記課題を解決するため、本発明の第１の発明は、車体に搭載されたエンジンの排気ガス通路に設けられた上流筒体と、前記上流筒体の下流側に設けられた下流筒体と、前記上流筒体と前記下流筒体との間に同軸に取り付け、取り外し可能に直列接続されて、排気ガスを通して浄化する浄化処理部材を収容する浄化用筒体と、を備えた排気ガス浄化装置において、前記上流筒体と前記下流筒体と前記浄化用筒体は、互いに当接して接続される筒体端部に平坦な接続面を有するフランジ部を有し、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部と、のうちの一方の前記各フランジ部は、前記接続面から軸方向に所定高さ突出して、前記接続面から前記軸方向外側の所定幅の部分に外周面から前記軸方向に直交する半径方向内側に全幅に渡って所定深さ窪む係合凹部が形成された係合ピンを有し、他方の前記各フランジ部は、前記接続面の前記係合ピンに相対向する位置に形成されて前記係合ピンが挿入されるピン挿入孔と、前記ピン挿入孔の内周面から連続して前記浄化用筒体の取付回転方向へ前記他方の各フランジ部の周方向に沿って所定長さ形成されて、前記係合凹部が嵌入されて係合される係合溝部と、を有し、前記係合溝部の周方向奥側の深さが、前記係合凹部の前記軸方向の長さにほぼ等しくなるように形成されている、排気ガス浄化装置である。

次に、本発明の第２の発明は、上記第１の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記係合溝部は、前記ピン挿入孔の内周面から連続して前記浄化用筒体の取付回転方向へ前記各フランジ部の周方向に沿って所定長さ形成されたピン移動溝と、前記ピン移動溝の前記軸方向に直交する半径方向外側の内周面の軸方向外側の端縁部から周方向全長に渡って前記係合凹部の深さにほぼ等しい突出高さで前記半径方向内側に突出する案内リブ部と、を有し、前記ピン移動溝の前記軸方向に直交する半径方向内側の内周面と前記案内リブ部との間に前記係合凹部が嵌入されて係合され、前記案内リブ部の周方向奥側の厚さが、前記係合凹部の前記軸方向の長さにほぼ等しい厚さに形成されている、排気ガス浄化装置である。

次に、本発明の第３の発明は、上記第２の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記案内リブ部は、前記ピン挿入孔側の端部の厚さが、前記係合凹部の前記軸方向の長さよりも薄い厚さに形成されて、前記ピン挿入孔側の端部から周方向奥側に向かうに従って厚くなるように形成されている、排気ガス浄化装置である。

次に、本発明の第４の発明は、上記第１の発明乃至第３の発明のいずれか１つに係る排気ガス浄化装置において、前記係合ピンは、前記浄化用筒体を取り付ける際に、前記上流筒体と前記下流筒体の間に挿入する挿入方向において、前記フランジ部の前記挿入方向手前側部分の前記接続面から突出している、排気ガス浄化装置である。

次に、本発明の第５の発明は、上記第１の発明乃至第４の発明のいずれか１つに係る排気ガス浄化装置において、前記一方の各フランジ部は、前記係合ピンよりも前記軸方向に直交する半径方向内側の部分から周方向全周に渡って、前記接続面よりも軸方向外側へ所定高さ突出するリング状の挿入用リブ部を有し、前記他方の各フランジ部は、前記挿入用リブ部に相対向する位置に周方向全周に渡って形成されて、前記挿入用リブ部が挿入される正面視環状の挿入溝部を有する、排気ガス浄化装置である。

次に、本発明の第６の発明は、上記第５の発明に係る排気ガス浄化装置において、前記係合ピンは、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部の前記接続面から突出し、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部は、前記挿入用リブ部の前記軸方向に直交する半径方向外側の基端部に沿って周方向全周に渡って軸方向内側に所定深さ窪むガスケット挿入溝部と、前記挿入用リブ部が挿通された状態で前記ガスケット挿入溝部に挿入されるガスケットと、を有し、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部との間には、それぞれ前記ガスケットが配置される、排気ガス浄化装置である。

次に、本発明の第７の発明は、上記第１の発明乃至第６の発明のいずれか１つに係る排気ガス浄化装置において、前記上流筒体は、第１支持部材を介して前記車体に固定され、前記下流筒体は、第２支持部材を介して前記車体にボルトによるボルト止めにより固定され、前記第２支持部材は、前記ボルトが挿通される前記軸方向に長い長孔を有し、断面Ｕ字形又はＶ字形の溝が内側を向いて環状になるように構成されたクランプ結合具を備え、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部とは、互いに対向するフランジ部が前記クランプ結合具の前記溝内に挟まれて、取り付け、取り外し可能に互いに接続される、排気ガス浄化装置である。

第１の発明によれば、一方の各フランジ部の接続面から軸方向に所定高さ突出した係合ピンと他方の各フランジ部の接続面に形成されたピン挿入孔とは、相対向する位置に設けられるため、各係合ピンを相対向するピン挿入孔に挿入することによって、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体に対して同軸に位置決めすることができる。そして、この状態で、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体に対して取付回転方向に回転させ、係合ピンの基端部に形成された係合凹部を係合溝部に係合させることによって、係合溝部の周方向奥側の深さが、係合凹部の軸方向の長さにほぼ等しため、相対向するフランジ部の接続面が当接した状態で接続される。

これにより、各係合ピンを相対向するピン挿入孔に挿入して、浄化用筒体を取付回転方向に回転させ、各係合ピンの係合凹部を係合溝部に嵌入して係合させることによって、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体に対して同軸に位置決めすることができると共に、軸方向の位置決めを行うことができる。従って、簡易な構成で浄化用筒体を上流筒体と下流筒体との間に取り付ける作業性の向上を図ることができる。また、浄化用筒体は、上流筒体と下流筒体に対して、相対向するフランジ部の接続面が当接した状態で接続されるため、相対向するフランジ部を締め付ける断面Ｕ字形又はＶ字形のクランプ結合具のクリープを抑止して、相対向するフランジ部間に装着されたガスケットによるシールの気密性を保つことができる。

第２の発明によれば、ピン移動溝の軸に直交する半径方向内側の内周面と案内リブ部との間に、係合ピンの係合凹部が嵌入されて係合される。そして、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体に対して取付回転方向に回転させ、係合凹部が案内リブ部の周方向奥側に達すると、係合凹部に案内リブ部が嵌入されるため、案内リブ部が相対向するフランジ部の接続面に当接される。従って、簡易な構成で、浄化用筒体の各フランジ部の接続面を上流筒体と下流筒体のフランジ部の接続面に、確実に当接させた状態で接続することができる。

第３の発明によれば、案内リブ部は、ピン挿入孔側の端部の厚さが、係合凹部の軸方向の長さよりも薄い厚さに形成されて、ピン挿入孔側の端部から周方向奥側に向かうに従って厚くなるように形成されている。これにより、ピン挿入孔に挿入された係合ピンの係合凹部に、案内リブ部のピン挿入孔側の端部がスムーズに入るため、作業者は、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体に対して同軸に位置決めした状態で、取付回転方向に容易に回転させ、各係合ピンを周方向奥側へスムーズに嵌入することができる。

第４の発明によれば、係合ピンは、浄化用筒体を取り付ける際に、上流筒体と下流筒体の間に挿入する挿入方向において、フランジ部の挿入方向手前側部分の接続面から突出している。これにより、作業者は、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体との間に取り付ける際に、各係合ピンと、相対向する各ピン挿入孔とを目視しつつ、各係合ピンを相対向するピン挿入孔に挿入することができ、浄化用筒体の取り付け作業の迅速化を図ることができる。

第５の発明によれば、各係合ピンを相対向するピン挿入孔に挿入した場合には、一方の各フランジ部の接続面よりも軸方向外側へ、周方向全周に渡って所定高さ突出するリング状の挿入用リブ部が、他方の各フランジ部の接続面の挿入用リブ部に相対向する位置に周方向全周に渡って形成された正面視環状の挿入溝部に挿入される。これにより、各係合ピンを相対向するピン挿入孔に挿入することによって、浄化用筒体が、挿入用リブ部を介して、上流筒体と下流筒体に対して同軸に回動可能に支持されるため、浄化用筒体の取り付け作業の更なる迅速化を図ることができる。

第６の発明によれば、浄化用筒体の各フランジ部に設けられたガスケット挿入用溝部にガスケットを挿入した状態で、上流筒体と下流筒体のフランジ部に形成された挿入溝部に各挿入用リブ部を挿入することによって、浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、上流筒体と下流筒体の各フランジ部との間にガスケットを配置することができる。従って、上流筒体と浄化用筒体との間にガスケットを設ける作業と、下流筒体と浄化用筒体との間にガスケットを設ける作業とを同時に行うことができ、上流筒体と下流筒体との間に浄化用筒体を接続するときの作業性の更なる向上を図ることができる。

第７の発明によれば、各クランプ結合具を取り外した後、第２支持部材を固定するボルトを緩める。その後、浄化用筒体を取り外し回転方向へ回転させて、各係合ピンを各ピン挿入孔内に位置させた後、下流筒体を軸方向外側（下流側）へ移動させることによって、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体とから取り外すことができる。また、各係合ピンを各ピン挿入孔内に挿入した後、浄化用筒体を取付回転方向へ回転させて、その後、各フランジ部にクランプ結合具を取り付ける。そして、更に、第２支持部材を固定するボルトを締め付けて、該第２支持部材を固定することによって、浄化用筒体を上流筒体と下流筒体との間に接続することができる。従って、浄化用筒体の上流筒体と下流筒体への取り付け、取り外し作業の作業性の一層の向上を図ることができる。

本実施形態に係る排気ガス浄化装置を備えたフォークリフトの一例を示す側面図である。 カウンタウエイト内の排気ガス浄化装置の配置状態を説明する要部側断面図である。 排気ガス浄化装置の正面図である。 排気ガス浄化装置の分解斜視図である。 係合ピンがピン挿入孔に対向した状態を示す部分拡大斜視図である。 浄化用筒体のフランジ部から突出した係合ピンを示す部分拡大斜視図である。 上流筒体のフランジ部に形成されたピン挿入孔と係合溝部を示す部分拡大斜視図である。 図７のＶＩＩＩ−ＶＩＩＩ矢視断面図。 浄化用筒体を上流筒体と下流筒体に取り付ける手順を説明する図である。 係合ピンをピン挿入孔に挿入した状態を示す側断面図である。 図１０のＸＩ−ＸＩ矢視断面図である。 係合ピンが係合溝部の周方向奥側に位置した状態を示す側断面図である。 図１２のＸＩＩＩ−ＸＩＩＩ矢視断面図である。 浄化用筒体を上流筒体と下流筒体から取り外す手順を説明する図である。

以下、本発明に係る排気ガス浄化装置をフォークリフトについて適用した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、排気ガス浄化装置１が搭載されるフォークリフト１０の概略構成について図１及び図２に基づいて説明する。尚、図１及び図２に示される矢印ＲＲは、車両後方側を示し、又、矢印ＵＰＲは車両上方側を示している。

図１に示すように、フォークリフト１０の車体１１の後方側には、カウンタウエイト１２が搭載されている。車体１１のエンジンルーム１４内には、エンジン１５が搭載されている。このエンジン１５は、例えば、ディーゼルエンジンにより構成されている。エンジンルーム１４の側壁には、不図示の外気取入れ口が設けられている。エンジン１５の後側には、エンジン１５によって駆動される、つまり、回転されるファン１６が設けられている。

ファン１６の後方側には、エンジン１５の冷却水を冷却するラジエータ１７が設置されている。ファン１６は、エンジン１５の駆動によって、外気取入れ口から外気（空気）をエンジンルーム１４に取り入れてラジエータ１７に吹き付ける。これにより、エンジン１５の冷却水が冷却される。そして、ラジエータ１７を通過した送風は、ラジエータ１７の後側に設けられて、前方側が開放された略箱体状に区画された通風室１８を経て、カウンタウエイト１２の後壁部を前後方向に貫通する後向き吹き出し口１９から車両後方へ吹き出される。後向き吹き出し口１９は、例えば、車幅方向に長い断面横長矩形状に形成され、カウンタウエイト１２の後壁部の上下２個所に平行に貫通している。

また、通風室１８には、ラジエータ１７の後側に排気ガス浄化装置２１が車幅方向に沿って配置され、排気ガスを排出する排気ガス通路の一部をなす排気管２２が排気ガス浄化装置２１の上流側に接続されている。従って、排気ガス浄化装置２１は、排気管２２と共に排気ガス通路を構成し、上流側から下流側に排気ガスが通過する間に、排気ガスに含まれる有害物質を除去するものである。

ここで、エンジン１５は、高効率で耐久性にも優れているが、粒子状物質（ＰＭ）、窒素酸化物（ＮＯｘ）、一酸化炭素（ＣＯ）、炭化水素（ＨＣ）等の有害物質を、排気ガスと一緒に排出してしまうものである。そこで、排気管２２に接続される排気ガス浄化装置２１は、後述するように、窒素酸化物（ＮＯｘ）、一酸化炭素（ＣＯ）、炭化水素（ＨＣ）等を酸化して除去する酸化触媒（ＤＯＣ：Diesel Oxidation Catalyst）２５（図３参照）を上流側に配置し、粒子状物質（ＰＭ）を捕集して除去するＤＰＦ２６（図３参照）を下流側に配置して構成されている。

排気ガス浄化装置２１は、通風室１８内に配置された処理装置支持ブラケット２９上に取り付けられて、通風室１８の天井部の近傍に、車幅方向に沿って配置されている。処理装置支持ブラケット２９は、図２及び図３に示すように、車幅方向に長い平面視横長四角形状に形成され、前側端縁部の車幅方向両端部がそれぞれ通風室１８の車幅方向両端部に相対向するように立設された一対の支柱２８の上端部にボルト３１によりボルト止めされている。

また、通風室１８の天井部には、上方に開放された車幅方向に長い平面視長方形の開口部１８Ａが形成されている。そして、開口部１８Ａは、車幅方向に長い平面視長方形で平板状の蓋部材３２が上方からボルト止め等によって固定され、閉塞されている。従って、後述のように、作業者は、蓋部材３２を取り外すことによって、開口部１８Ａを介して、排気ガス浄化装置２１のＤＰＦ２６を取り付け、取り外しすることができる。

次に、排気ガス浄化装置２１の構成について図３乃至図１４に基づいて説明する。図３及び図４に示すように、排気ガス浄化装置２１は、上流側に配置される上流筒体３５と、下流側に配置される下流筒体３７と、上流筒体３５と下流筒体３７との間に同軸に取り付け、取り外し可能に直列接続される浄化用筒体３６と、から構成されている。上流筒体３５には、酸化触媒２５が収容され、浄化用筒体３６には、ＤＰＦ２６が収容されている。

図４に示すように、上流筒体３５は、排気ガスが流入する流入筒部３５Ａと、円筒部３５Ｂと、フランジ部３５Ｃと、円筒部３５Ｂ内に収容される酸化触媒２５と、から構成されている。流入筒部３５Ａは、上流側端部に排気管２２が接続されて軸方向下流側（図４中、左側）へ徐々に拡径された断面円形状の筒状に形成されている。円筒部３５Ｂは、円筒状に形成されて、上流側端部が流入筒部３５Ａの拡径された下流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着され、内側に略円柱状に形成された酸化触媒２５がほぼ全長に渡って嵌入されている。

フランジ部３５Ｃは、円筒部３５Ｂの下流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている（図１０参照）。図５に示すように、フランジ部３５Ｃの下流側端面である接続面３５Ｄは、軸方向に直交する環状の平坦面として形成され、後述のように、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂに当接されて接続される（図１０等参照）。

酸化触媒２５は、円筒部３５Ｂの内径寸法にほぼ等しい外径寸法を有するセラミック製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔が形成され、内面に白金（Ｐｔ）等の貴金属がコーティングされている。そして、酸化触媒２５は、所定の温度下で多数の貫通孔に排気ガスを通すことにより、排気ガスに含まれる窒素酸化物（ＮＯｘ）、一酸化炭素（ＣＯ）、炭化水素（ＨＣ）等を酸化して除去する。

このように構成された上流筒体３５は、図３及び図４に示すように、円筒部３５Ｂの下面側に、側面視クランク状に折り曲げて形成された板状の支持部材４１の上端面が、この支持部材４１の下端側が流入筒部３５Ａの下側に位置するように溶接等で固着されている。そして、支持部材４１の下端側には、貫通孔４１Ａが形成されており、この支持部材４１が処理装置支持ブラケット２９の上面部に載置されて、貫通孔４１Ａに挿通されたボルト４２によりボルト止めされる。このように、上流筒体３５は、処理装置支持ブラケット２９上に支持部材４１を介して固定される。

次に、図４に示すように、下流筒体３７は、浄化用筒体３６に収容されたＤＰＦ２６を通った排気ガスが流入する円筒状の円筒部３７Ａと、フランジ部３７Ｂと、排気ガスを流出する排出筒部３７Ｃと、から構成されている。円筒部３７Ａは、上流筒体３５の円筒部３５Ｂとほぼ同じ外径で、軸方向の長さが円筒部３５Ｂよりも少し短い円筒状に形成されている。そして、円筒部３７Ａは、下流側端部が閉塞されて、中央部に排出筒部３７Ｃとほぼ同径の貫通孔が形成され、軸方向外側に排出筒部３７Ｃが溶接等により同軸に溶着されている。排出筒部３７Ｃは、排気管２３（図３参照）を介して下流側に配置された不図示の消音器（マフラー）に接続されている。

フランジ部３７Ｂは、円筒部３７Ａの上流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられ、上記上流筒体３５のフランジ部３５Ｃに対して面対称に形成されている。従って、フランジ部３７Ｂの上流側端面である接続面３７Ｄは、軸方向に直交する環状の平坦面として形成され、後述のように、浄化用筒体３６の下流側フランジ部３６Ｃに当接されて接続される（図３、図１０参照）。

このように構成された下流筒体３７は、図３及び図４に示すように、円筒部３７Ａの下面側に、側面視クランク状に折り曲げて形成された板状の支持部材４５の上端面が、この支持部材４５の下端側が円筒部３７Ａよりも軸方向下流側に位置するように溶接等で固着されている。そして、支持部材４５の下端側には、軸方向に長い長孔４５Ａが形成されており、この支持部材４５が処理装置支持ブラケット２９の上面部に載置されて、長孔４５Ａに挿通されたボルト４６によりボルト止めされる。

ここで、図３に示すように、上流筒体３５と下流筒体３７との間に浄化用筒体３６が同軸に取り付けられた場合には、ボルト４６は長孔４５Ａの下流側端部の近傍に位置して、ボルト止めされている。また、図１４に示すように、上流筒体３５と下流筒体３７との間から浄化用筒体３６が取り外された場合には、ボルト４６は、少し緩められた状態で、長孔４５Ａの上流側端部の近傍に位置している。従って、下流筒体３７は、処理装置支持ブラケット２９上に支持部材４５を介して長孔４５Ａの長さだけ軸方向前後に移動させて固定できる。

次に、図４及び図１４に示すように、浄化用筒体３６は、上流筒体３５に収容された酸化触媒２５を通った排気ガスが流入する円筒状の円筒部３６Ａと、上流側フランジ部３６Ｂと、下流側フランジ部３６Ｃと、把持部３６Ｄと、円筒部３６Ａ内に収容されるＤＰＦ２６と、から構成されている。円筒部３６Ａは、上流筒体３５の円筒部３５Ａとほぼ同じ外径の円筒状に形成され、内側に略円柱状に形成されたＤＰＦ２６がほぼ全長に渡って嵌入されている。

上流側フランジ部３６Ｂは、円筒部３６Ａの上流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている。下流側フランジ部３６Ｃは、円筒部３６Ａの下流側端部に溶接等によって全周に渡って溶着されて鍔状に設けられている。この上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃは、同じ構成である。また、上流側フランジ部３６Ｂの上流側端面である接続面３６Ｅは、軸方向に直交する環状の平坦面として形成され、後述のように、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの接続面３５Ｄに当接されて接続される（図１０参照）。

下流側フランジ部３６Ｃの下流側端面である接続面３６Ｆ（図１４参照）は、軸方向に直交する環状の平坦面として形成され、後述のように、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの接続面３７Ｄに当接されて接続される。また、円筒部３６Ａの外周面の軸方向中央部には、略コの字状に折り曲げられて形成された棒状の把持部３６Ｄの両端部が、周方向に沿って位置するように溶接等で固着されている。これにより、作業者は、把持部３６Ｄを握って、浄化用筒体３６を持ち運ぶことができる。

ＤＰＦ２６は、図１０に示すように、例えば、セラミックス材料等からなる多孔質な部材によって円柱状に形成されたフィルタ本体２６Ａと、該フィルタ本体２６Ａの外周側に全周に渡って設けられた緩衝材となる円筒状の断熱材２６Ｂとから構成されている。フィルタ本体２６Ａは、軸方向に多数の小孔が設けられたハニカム構造のセル状筒体をなし、各小孔は、隣同士で交互に異なる端部が目封じ部材によって閉塞されている。そして、フィルタ本体２６Ａは、上流側から各小孔に流入する排気ガスを多孔質材料に通すことで粒子状物質を捕集し、排気ガスのみを隣の小孔を通じて下流側へと流出させる。

この場合、フィルタ本体２６Ａによって捕集された粒子状物質は、定期的に排気ガス温度を上昇させて燃焼除去されるが、その一部は灰となって小孔内に徐々に堆積する。また、その他の未燃焼残留物、例えば、エンジンオイル中の重金属、カルシウム等も徐々に堆積する。そこで、後述のように、浄化用筒体３６を取り外し、ＤＰＦ２６をクリーニングする構成となっている（図１４参照）。

また、図４、図６、図１４に示すように、上流側フランジ部３６Ｂの接続面３６Ｅと、下流側フランジ部３６Ｃの接続面３６Ｆとには、把持部３６Ｄの長手方向中央部に対応する径方向外側周縁部の近傍位置に、それぞれ１本づつ係合ピン４８が同一軸線上に位置するように、互いに軸方向外側に向かって所定長さ突出している。また、接続面３６Ｅと接続面３６Ｆとには、それぞれ、係合ピン４８よりも円筒部３６Ａの半径方向内側の部分から周方向全周に渡って、係合ピン４８の突出高さとほぼ同じ突出高さで軸方向外側へ突出して、径方向に所定厚さを有する正面視リング状の挿入用リブ部５１が、円筒部３６Ａに対して同軸に設けられている。

また、接続面３６Ｅと接続面３６Ｆとには、それぞれ、挿入用リブ部５１の半径方向外側の基端部に沿って周方向全周に渡って軸方向内側に窪む、半径方向断面コの字状に形成されたガスケット挿入溝部５２が形成されている。各ガスケット挿入溝部５２には、後述のように、断面略矩形でリング状のガスケット５３が、それぞれ１個づつ挿入用リブ部５１に挿通された状態で挿入される（図１０参照）。

図６及び図１０に示すように、各係合ピン４８は、略円柱状に形成されて、一端側のほぼ全長の約１／３の部分が、各接続面３６Ｅ、３６Ｆに形成された断面円形で有底の各取付孔４９に、例えば、圧入や溶接等によって固着されている。また、各係合ピン４８は、各接続面３６Ｅ、３６Ｆから軸方向外側の全長の約１／３の幅の部分に、外周面の図６中における鉛直方向上側の頂点から鉛直方向下側へ所定深さ（例えば、係合ピン４８の半径にほぼ等しい深さ）、この頂点の接線方向全幅に渡って側面視コの字状に窪む係合凹部４８Ａが形成されている。

また、図４、図５、図７、図８及び図１０に示すように、上流筒体３５と下流筒体３７との間に浄化用筒体３６を同軸に配置した場合に、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの接続面３５Ｄと、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの接続面３７Ｄとには、それぞれ、各係合ピン４８に相対向する位置に、該係合ピン４８が挿入される断面円形状のピン挿入孔５５が形成されている。各ピン挿入孔５５の深さは、各係合ピン４８の浄化用筒体３６の各フランジ部３６Ｂ、３６Ｃの各接続面３６Ｅ、３６Ｆからの突出高さにほぼ等しい深さ寸法に形成されている。また、各ピン挿入孔５５の内径は、各係合ピン４８の外径にほぼ等しい寸法に形成されている。

そして、各ピン挿入孔５５の内周面から連続して浄化用筒体３６の取付回転方向（本実施形態では、図４中、手前側方向、つまり、図２中、車両後方側方向である。）へ、各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂの周方向に沿って係合溝部５６が所定長さ形成されている。後述のように、各係合溝部５６は、各ピン挿入孔５５に挿入された係合ピン４８の係合凹部４８Ａが嵌入されて係合される（図１２参照）。

ここで、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの接続面３５Ｄと、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの接続面３７Ｄとに形成される各係合溝部５６は、面対称に構成されて、ほぼ同じ構成であるので、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃに形成された係合溝部５６の構成について図７及び図８に基づいて説明する。図７及び図８に示すように、係合溝部５６は、係合ピン４８が浄化用筒体３６の取付回転方向へ移動可能なピン移動溝５７と、係合ピン４８の係合凹部４８Ａ内に挿入されて、係合ピン４８を浄化用筒体３６の取付回転方向へ案内する案内リブ部５８と、から構成されている。

ピン移動溝５７は、ピン挿入孔５５の内径に等しい図７中の上下幅で、このピン挿入孔５５の内周面から連続して、フランジ部３５Ｃの周方向に沿って所定長さ（例えば、係合ピン４８の直径の約４倍〜５倍の長さである。）形成されている。ピン移動溝５７の軸方向の深さは、ピン挿入孔５５の軸方向の深さに等しい寸法、つまり、係合ピン４８の浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂの接続面３６Ｅからの突出高さにほぼ等しい寸法に形成されている。

また、案内リブ部５８は、ピン移動溝５７の図７中の上側内周面の軸方向外側の端縁部から、ほぼ全長に渡って、係合凹部４８Ａの深さにほぼ等しい突出高さでフランジ部３５Ｃの半径方向内側へ突出している。また、案内リブ部５８の軸方向の厚さは、ピン挿入孔５５側の端部の厚さが、係合凹部４８Ａの軸方向の長さよりも薄い厚さに形成され、ピン挿入孔５５側の端部から周方向奥側に向かうに従って厚くなるように形成されている。そして、案内リブ部５８の周方向奥側の厚さは、係合凹部４８Ａの軸方向の長さにほぼ等しい厚さに形成されている。

また、図４、図５、図７及び図１０に示すように、上流筒体３５と下流筒体３７との間に浄化用筒体３６を同軸に配置した場合に、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの接続面３５Ｄと、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの接続面３７Ｄとには、それぞれ、各挿入用リブ部５１に相対向する位置に、該挿入用リブ部５１が挿入される正面視円形状で断面略コの字状の挿入溝部５９が周方向全周に渡って形成されている。各挿入溝部５９の深さは、各挿入用リブ部５１の浄化用筒体３６の各フランジ部３６Ｂ、３６Ｃの各接続面３６Ｅ、３６Ｆからの突出高さにほぼ等しい深さ寸法に形成されている。各挿入溝部５９の径方向の幅は、各挿入用リブ部５１の径方向の厚さにほぼ等しい寸法に形成されている。

次に、上記のように構成された排気ガス浄化装置２１の浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７との間に取り付ける手順について図３、図９乃至図１３に基づいて説明する。図９に示すように、先ず、作業者は、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃのそれぞれの挿入用リブ部５１にリング状のガスケット５３を挿通して、該ガスケット５３を更に、ガスケット挿入溝部５２に挿入する。そして、作業者は、カウンタウエイト１２の上部の開口部１８Ａ（図２参照）を介して、以下の作業を行う。先ず、作業者は、浄化用筒体３６の把持部３６Ｄを持って、該浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７との間に位置させる。

そして、図９乃至図１１に示すように、作業者は、浄化用筒体３６を上流筒体３５側（図９中、矢印６２方向）へ移動させて、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂの係合ピン４８を、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃのピン挿入孔５５に挿入する。また同時に、作業者は、上流側フランジ部３６Ｂの正面視リング状の挿入用リブ部５１を、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの挿入溝部５９に挿入する。

続いて、作業者は、浄化用筒体３６を上流筒体３５側（図９中、矢印６２方向）へ更に移動させて、上流側フランジ部３６Ｂのガスケット挿入溝部５２に挿入されたガスケット５３を押し潰しつつ、上流側フランジ部３６Ｂの接続面３６Ｅを、相対向するフランジ部３５Ｃの接続面３５Ｄに当接させる。尚、上流筒体３５は、ボルト４２によって支持部材４１を介して処理装置支持ブラケット２９上に固定されている。

その後、図９に示すように、作業者は、長孔４５Ａに挿通されるボルト４６を少し緩めた状態で、下流筒体３７を浄化用筒体３６側（図９中、矢印６３方向）へ移動させて、浄化用筒体３６の下流側フランジ部３６Ｃの係合ピン４８を、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂのピン挿入孔５５に挿入する。また同時に、作業者は、下流側フランジ部３６Ｃの正面視リング状の挿入用リブ部５１を、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの挿入溝部５９に挿入する。

そして、作業者は、下流筒体３７を浄化用筒体３６側（図９中、矢印６３方向）へ更に移動させて、下流側フランジ部３６Ｃのガスケット挿入溝部５２に挿入されたガスケット５３を押し潰しつつ、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの接続面３７Ｄを、相対向する下流側フランジ部３６Ｃの接続面３６Ｆ（図１４参照）に当接させる。

この状態で、作業者は、把持部３６Ｄを握って、浄化用筒体３６を図９中、手前側方向（図９中、矢印６５方向）へ、つまり、車両後方側（図２参照）へ回転させる。これにより、作業者は、上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃの各係合ピン４８を、上流筒体３５と下流筒体３７の各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂの各係合溝部５６を構成するピン移動溝５７の奥側端まで移動させる。

ここで、上流筒体３５と下流筒体３７の各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂに形成される各係合溝部５６は、面対称に構成されて、ほぼ同じ構成であるので、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃに形成されたピン移動溝５７の奥側端まで移動した係合ピン４８の状態について図１２及び図１３に基づいて説明する。

図１２及び図１３に示すように、上流側フランジ部３６Ｂの係合ピン４８が、係合溝部５６を構成するピン移動溝５７の奥側端まで移動した場合には、係合ピン４８の係合凹部４８Ａ内に、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの係合溝部５６を構成する案内リブ部５８の奥側端部が嵌入される。つまり、上流側フランジ部３６Ｂの接続面３６Ｅと、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの接続面３５Ｄとが、当接した状態となる。

従って、浄化用筒体３６の下流側フランジ部３６Ｃの係合ピン４８が、係合溝部５６を構成するピン移動溝５７の奥側端まで移動した場合には、係合ピン４８の係合凹部４８Ａ内に、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの係合溝部５６を構成する案内リブ部５８の奥側端部が嵌入される。つまり、下流側フランジ部３６Ｃの接続面３６Ｆと、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの接続面３７Ｄとが、同様に当接した状態となる。これにより、上流筒体３５と下流筒体３７との間に浄化用筒体３６が同軸に配置される（径方向の位置合わせが行われる）と共に、軸方向の位置合わせが行われる。

その後、図３に示すように、作業者は、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂと上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの径方向外周部、及び、浄化用筒体３６の下流側フランジ部３６Ｃと下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの径方向外周部に、それぞれ環状のクランプ結合具６７を組み付ける。これにより、各接続面３５Ｄ、３６Ｅ、及び、各接続面３６Ｆ、３７Ｄが、各クランプ結合具６７によって軸方向内側へ締め付けられて、それぞれ互いに軸方向に当接した状態で取り付け、取り外し可能に固定される。

この状態で、作業者は、支持部材４５の長孔４５Ａに挿通されるボルト４６を締め付けて、下流筒体３７を支持部材４５を介して処理装置支持ブラケット２９上に固定する。これにより、図３に示すように、排気ガス浄化装置２１は、浄化用筒体３６が上流筒体３５と下流筒体３７との間に同軸に配置されると共に、上流筒体３５、浄化用筒体３６及び下流筒体３７の軸方向の位置合わせが行われた状態で、処理装置支持ブラケット２９上に固定される。

ここで、クランプ結合具６７について図２、図３及び図１２に基づいて説明する。図２、図３及び図１２に示すように、クランプ結合具６７は、略Ｕ字形又は略Ｖ字形（図１２には、略Ｕ字形の一例を示している。）の断面形状を有する半円弧状の２個の枠体６７Ａ、６７Ａと、各枠体６７Ａの一端側を回動可能に連結するヒンジ部６７Ｂと、各枠体６７Ａの他端側を接続するボルト・ナット式の接続部６７Ｃとから構成されている。

そして、クランプ結合具６７は、接続部６７Ｃのボルトを締め付けることによって、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂと上流筒体３５のフランジ部３５Ｃとを軸方向に締め付けるものである。また、クランプ結合具６７は、接続部６７Ｃのボルトを締め付けることによって、浄化用筒体３６の下流側フランジ部３６Ｃと下流筒体３７のフランジ部３７Ｂとを軸方向に締め付けるものである。

次に、上記のように構成された排気ガス浄化装置２１の浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７との間から取り外す手順について図１４に基づいて説明する。尚、作業者は、先ず、カウンタウエイト１２の上部の開口部１８Ａ（図２参照）を介して、各クランプ結合具６７の接続部６７Ｃのボルトをナットから外して、各クランプ結合具６７を取り外している。そして、作業者は、カウンタウエイト１２の上部の開口部１８Ａを介して、以下の作業を行う。

図１４に示すように、作業者は、支持部材４５の長孔４５Ａに挿通されるボルト４６を少し緩めて、下流筒体３７が軸方向下流側（図１４中、左側）へ移動可能にすると共に、各接続面３５Ｄ、３６Ｅの間、及び、各接続面３６Ｆ、３７Ｄの間の軸方向における密着力を解放する。そして、作業者は、浄化用筒体３６の把持部３６Ｄを握って、該浄化用筒体３６を奥側方向（図１４中、矢印７１方向）へ、つまり、車両前方側（図２参照）へ回転させる。

これにより、作業者は、上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃの各係合ピン４８を、上流筒体３５と下流筒体３７の各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂの各係合溝部５６を構成するピン移動溝５７に沿って移動させて、各ピン挿入孔５５内に位置させる（図１０、図１１参照）。また、作業者は、浄化用筒体３６の把持部３６Ｄを鉛直方向上側に略水平に位置させる。

続いて、作業者は、把持部３６Ｄを握った状態で、下流筒体３７を浄化用筒体３６から離間する方向、つまり、軸方向下流側（図１４中、矢印７２方向）へ移動させる。これにより、作業者は、浄化用筒体３６の下流側フランジ部３６Ｃの係合ピン４８を、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂのピン挿入孔５５から抜き出すと共に、下流側フランジ部３６Ｃの挿入用リブ部５１をフランジ部３７Ｂの挿入溝部５９から抜き出して、下流筒体３７を浄化用筒体３６から取り外す。

そして、作業者は、把持部３６Ｄを握った状態で、該浄化用筒体３６を上流筒体３５から離間する方向、つまり、軸方向下流側（図１４中、矢印７３方向）へ略水平に移動させる。これにより、作業者は、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂの係合ピン４８を、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃのピン挿入孔５５から抜き出すと共に、上流側フランジ部３６Ｂの挿入用リブ部５１をフランジ部３５Ｃの挿入溝部５９から抜き出して、浄化用筒体３６を上流筒体３５から取り外す。

その後、作業者は、把持部３６Ｄを握った状態で、該浄化用筒体３６を鉛直方向上側（図１４中、矢印７３方向）へ、つまり、車両上方側へ移動させて、カウンタウエイト１２の上部の開口部１８Ａ（図２参照）を介して、車両外部に取り出す。これにより、作業者は、上流筒体３５を支持部材４１及びボルト４２を介して処理装置支持ブラケット２９上に固定し、下流筒体３７を支持部材４５及びボルト４６を介して処理装置支持ブラケット２９上に軸方向移動可能に取り付けた状態で、浄化用筒体３６のみを上方に取り外すことができる。

そして、浄化用筒体３６内に収容されたＤＰＦ２６のフィルタ本体２６Ａ（図１０参照）に、例えば、エアガン等を用いて圧縮空気を吹き付け、小孔内に堆積した粒子状物質の灰、未燃焼残留物を除去することにより、ＤＰＦ２６をクリーニングすることができる。従って、ＤＰＦ２６をクリーニングした後には、このＤＰＦ２６を収容した浄化用筒体３６を再度、上流筒体３５と下流筒体３７との間に取り付けることができる（図９参照）。

以上詳細に説明した通り、本実施形態に係る排気ガス浄化装置２１では、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃのそれぞれのガスケット挿入溝部５２にガスケット５３を挿入する。その後、浄化用筒体３６の各係合ピン４８と各挿入用リブ部５１を、上流筒体３５と下流筒体３７の各ピン挿入孔５５と各挿入溝部５９に挿入することによって、浄化用筒体３６の上流筒体３５と下流筒体３７に対する径方向の位置ずれを簡易な構成で抑止すると共に、浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７に対して同軸に位置決めすることができる。

そして、この状態で、浄化用筒体３６を把持部３６Ｄを握って手前側方向に回転させ、各係合ピン４８を各係合溝部５６の周方向奥側に位置させることによって、各係合ピン４８の係合凹部４８Ａに各案内リブ部５８が嵌入されて係合される。これにより、各案内リブ部５８が浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃの各接続面３６Ｅ、３６Ｆに当接され、浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７に対して軸方向に位置決めすることができる。

従って、簡易な構成で、浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７との間に取り付ける作業性の向上を図ることができる。また、浄化用筒体３６は、上流筒体３５と下流筒体３７に対して、相対向する上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃの各接続面３６Ｅ、３６Ｆと、各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂの各接続面３５Ｄ、３７Ｄとが当接した状態で接続される。これにより、相対向する上流側フランジ部３６Ｂとフランジ部３５Ｃ、及び、下流側フランジ部３６Ｃとフランジ部３７Ｂを締め付ける断面Ｕ字形又はＶ字形の各クランプ結合具６７のクリープを抑止して、相対向する上流側フランジ部３６Ｂとフランジ部３５Ｃの間、及び、下流側フランジ部３６Ｃとフランジ部３７Ｂの間に装着された各ガスケット５３によるシールの気密性を保つことができる。

また、各係合溝部５６を構成する各案内リブ部５８は、ピン挿入孔５５側の端部の厚さが、係合凹部４８Ａの軸方向の長さよりも薄い厚さに形成されて、ピン挿入孔５５側の端部から周方向奥側に向かうに従って厚くなるように形成されている。これにより、ピン挿入孔５５に挿入された係合ピン４８の係合凹部４８Ａに、案内リブ部５８のピン挿入孔５５側の端部がスムーズに入るため、作業者は、浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７に対して同軸に位置決めした状態で、取付回転方向に容易に回転させ、各係合ピン４８を係合溝部５６の周方向奥側へスムーズに嵌入することができる。

各係合ピン４８は、浄化用筒体３６を取り付ける際に、上流筒体３５と下流筒体３７の間に挿入する挿入方向において、上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃの挿入方向手前側部分の各接続面３６Ｅ、３６Ｆから突出している。これにより、作業者は、浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７との間に取り付ける際に、各係合ピン４８と、相対向する各ピン挿入孔５５とを目視しつつ、各係合ピン４８を相対向するピン挿入孔５５に挿入することができ、浄化用筒体３６の取り付け作業の迅速化を図ることができる。

浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃの基端部に設けられた各ガスケット挿入溝部５２にガスケット５３を挿入した状態で、上流筒体３５と下流筒体３７の各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂに形成された各挿入溝部５９に各挿入用リブ部５１を挿入することによって、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃと、上流筒体３５と下流筒体３７の各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂとの間にガスケット５３を配置することができる。従って、上流筒体３５と浄化用筒体３６との間にガスケット５３を設ける作業と、下流筒体３７と浄化用筒体３６との間にガスケット５３を設ける作業とを同時に行うことができ、上流筒体３５と下流筒体３７との間に浄化用筒体３６を接続するときの作業性の更なる向上を図ることができる。

各クランプ結合具６７を取り外した後、支持部材４５を固定するボルト４６を緩める。その後、浄化用筒体３６を取り外し回転方向へ回転させて、各係合ピン４８を各ピン挿入孔５５内に位置させた後、下流筒体３７を軸方向外側（下流側）へ移動させることによって、浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７とから取り外すことができる。また、各係合ピン４８を各ピン挿入孔５５内に挿入した後、浄化用筒体３６を取付回転方向へ回転させて、その後、相対向する上流側フランジ部３６Ｂとフランジ部３５Ｃ、及び、下流側フランジ部３６Ｃとフランジ部３７Ｂのそれぞれにクランプ結合具６７を取り付ける。

そして、更に、支持部材４５を固定するボルト４６を締め付けて、該支持部材４５を固定することによって、浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７との間に接続することができる。従って、浄化用筒体３６の上流筒体３５と下流筒体３７との間への取り付け、取り外し作業の作業性の一層の向上を図ることができる。

本発明の排気ガス浄化装置は、前記実施形態で説明した構成、構造、外観、形状、処理手順等に限定されることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の変更、改良、追加、削除が可能である。尚、以下の説明において上記図１〜図１４の前記実施形態に係る排気ガス浄化装置２１の構成等と同一符号は、前記実施形態に係る排気ガス浄化装置２１の構成等と同一あるいは相当部分を示すものである。

（Ａ）例えば、上流筒体３５と下流筒体３７の各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂの各接続面３５Ｄ、３７Ｄのピン挿入孔５５に替えて、１本づつ係合ピン４８を同一軸線上に位置するように、互いに軸方向外側に向かって所定長さ突出するように設けてもよい。また、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂの接続面３６Ｅと、下流側フランジ部３６Ｃの接続面３６Ｆとには、各係合ピン４８に替えて、各係合ピン４８が挿入される断面円形状のピン挿入孔５５を形成してもよい。そして、各ピン挿入孔５５の内周面から連続して浄化用筒体３６の取付回転方向に対して反対側の回転方向（例えば、図２中、車両前方側方向である。）へ、各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂの周方向に沿って係合溝部５６を所定長さ形成するようにしてもよい。

これにより、作業者は、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃのそれぞれのガスケット挿入溝部５２にガスケット５３を挿入した後、把持部３６Ｄを持って、該浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７との間に位置させる。そして、作業者は、浄化用筒体３６を上流筒体３５側（図９中、矢印６２方向）へ移動させて、浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂのピン挿入孔５５に、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの係合ピン４８を挿入するようにしてもよい。また同時に、作業者は、上流側フランジ部３６Ｂの正面視リング状の挿入用リブ部５１を、上流筒体３５のフランジ部３５Ｃの挿入溝部５９に挿入して、上流側フランジ部３６Ｂの接続面３６Ｅを、相対向するフランジ部３５Ｃの接続面３５Ｄに当接させるようにしてもよい。

続いて、作業者は、下流筒体３７を浄化用筒体３６側へ移動させて、浄化用筒体３６の下流側フランジ部３６Ｃのピン挿入孔５５に、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの係合ピン４８を挿入するようにしてもよい。また同時に、作業者は、下流側フランジ部３６Ｃの正面視リング状の挿入用リブ部５１を、下流筒体３７のフランジ部３７Ｂの挿入溝部５９に挿入して、下流側フランジ部３６Ｃの接続面３６Ｆを、相対向するフランジ部３７Ｂの接続面３７Ｄに当接させるようにしてもよい。この状態で、作業者は、把持部３６Ｄを握って、浄化用筒体３６を取付回転方向（例えば、車両後方側）へ回転させて、上流筒体３５と下流筒体３７との間に浄化用筒体３６が同軸に配置されると共に、軸方向の位置合わせが行われるようにしてもよい。

従って、簡易な構成で、浄化用筒体３６を上流筒体３５と下流筒体３７との間に取り付ける作業性の向上を図ることができる。また、浄化用筒体３６は、上流筒体３５と下流筒体３７に対して、相対向する上流側フランジ部３６Ｂと下流側フランジ部３６Ｃの各接続面３６Ｅ、３６Ｆと、各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂの各接続面３５Ｄ、３７Ｄとが当接した状態で接続される。

（Ｂ）また、例えば、クランプ結合具６７に替えて、複数のボルト・ナットを用いて、相対向する浄化用筒体３６の上流側フランジ部３６Ｂと上流筒体３５のフランジ部３５Ｃとの間、浄化用筒体３６の下流側フランジ部３６Ｃと下流筒体３７のフランジ部３７Ｂとの間を接続する構成としてもよい。

（Ｃ）また、例えば、排気ガスを浄化処理するための浄化処理部材としてＤＰＦ２６を用いたが、排気ガス浄化装置としてＮＯｘ処理装置を適用してもよい。この場合には、ＮＯｘを還元する選択還元触媒と、この選択還元触媒に尿素水を噴射する尿素水噴射弁が浄化処理部材に該当する。

（Ｄ）また、例えば、排気ガス浄化装置２１は、フォークリフト１０に限らず、ダンプトラック、油圧ショベル、油圧クレーン等の建設機械等、ディーゼルエンジンを用いた他の産業車両にも広く搭載することができる。

（Ｅ）また、例えば、上流筒体３５と下流筒体３７の各フランジ部３５Ｃ、３７Ｂの各接続面３５Ｄ、３７Ｄに形成される各係合溝部５６を各ピン挿入孔５５の内周面から連続して、各フランジ部３５Ｃ、３７Ｃの周方向に沿って、車両前方側方向へ形成してもよい。つまり、浄化用筒体３６の取付回転方向を図２中、車両前方側方向となるように構成してもよい。

１１ 車体
１５ エンジン
２１ 排気ガス浄化装置
２２ 排気管
２６ 粒子状物質除去フィルタ（ＤＰＦ）
３５ 上流筒体
３５Ｃ、３７Ｂ フランジ部
３５Ｄ、３６Ｅ、３６Ｆ、３７Ｄ 接続面
３６ 浄化用筒体
３６Ｂ 上流側フランジ部
３６Ｃ 下流側フランジ部
３７ 下流筒体
４１、４５ 支持部材
４２、４６ ボルト
４５Ａ 長孔
４８ 係合ピン
４８Ａ 係合凹部
５１ 挿入用リブ部
５２ ガスケット挿入溝部
５３ ガスケット
５５ ピン挿入孔
５６ 係合溝部
５７ ピン移動溝
５８ 案内リブ部
５９ 挿入溝部
６７ クランプ結合具

Claims (7)

1. 車体に搭載されたエンジンの排気ガス通路に設けられた上流筒体と、
   前記上流筒体の下流側に設けられた下流筒体と、
   前記上流筒体と前記下流筒体との間に同軸に取り付け、取り外し可能に直列接続されて、排気ガスを通して浄化する浄化処理部材を収容する浄化用筒体と、
   を備えた排気ガス浄化装置において、
   前記上流筒体と前記下流筒体と前記浄化用筒体は、互いに当接して接続される筒体端部に平坦な接続面を有するフランジ部を有し、
   前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部と、のうちの一方の前記各フランジ部は、
   前記接続面から軸方向に所定高さ突出して、前記接続面から前記軸方向外側の所定幅の部分に外周面から前記軸方向に直交する半径方向内側に全幅に渡って所定深さ窪む係合凹部が形成された係合ピンを有し、
   他方の前記各フランジ部は、
   前記接続面の前記係合ピンに相対向する位置に形成されて前記係合ピンが挿入されるピン挿入孔と、
   前記ピン挿入孔の内周面から連続して前記浄化用筒体の取付回転方向へ前記他方の各フランジ部の周方向に沿って所定長さ形成されて、前記係合凹部が嵌入されて係合される係合溝部と、
   を有し、
   前記係合溝部の周方向奥側の深さが、前記係合凹部の前記軸方向の長さにほぼ等しくなるように形成されている、
   排気ガス浄化装置。
2. 請求項１に記載の排気ガス浄化装置において、
   前記係合溝部は、
   前記ピン挿入孔の内周面から連続して前記浄化用筒体の取付回転方向へ前記各フランジ部の周方向に沿って所定長さ形成されたピン移動溝と、
   前記ピン移動溝の前記軸方向に直交する半径方向外側の内周面の軸方向外側の端縁部から周方向全長に渡って前記係合凹部の深さにほぼ等しい突出高さで前記半径方向内側に突出する案内リブ部と、
   を有し、
   前記ピン移動溝の前記軸方向に直交する半径方向内側の内周面と前記案内リブ部との間に前記係合凹部が嵌入されて係合され、
   前記案内リブ部の周方向奥側の厚さが、前記係合凹部の前記軸方向の長さにほぼ等しい厚さに形成されている、
   排気ガス浄化装置。
3. 請求項２に記載の排気ガス浄化装置において、
   前記案内リブ部は、前記ピン挿入孔側の端部の厚さが、前記係合凹部の前記軸方向の長さよりも薄い厚さに形成されて、前記ピン挿入孔側の端部から周方向奥側に向かうに従って厚くなるように形成されている、
   排気ガス浄化装置。
4. 請求項１乃至請求項３のいずれか一項に記載の排気ガス浄化装置において、
   前記係合ピンは、前記浄化用筒体を取り付ける際に、前記上流筒体と前記下流筒体の間に挿入する挿入方向において、前記フランジ部の前記挿入方向手前側部分の前記接続面から突出している、
   排気ガス浄化装置。
5. 請求項１乃至請求項４のいずれか一項に記載の排気ガス浄化装置において、
   前記一方の各フランジ部は、前記係合ピンよりも前記軸方向に直交する半径方向内側の部分から周方向全周に渡って、前記接続面よりも軸方向外側へ所定高さ突出するリング状の挿入用リブ部を有し、
   前記他方の各フランジ部は、前記挿入用リブ部に相対向する位置に周方向全周に渡って形成されて、前記挿入用リブ部が挿入される正面視環状の挿入溝部を有する、
   排気ガス浄化装置。
6. 請求項５に記載の排気ガス浄化装置において、
   前記係合ピンは、前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部の前記接続面から突出し、
   前記上流側と下流側の各フランジ部は、
   前記挿入用リブ部の前記軸方向に直交する半径方向外側の基端部に沿って周方向全周に渡って軸方向内側に所定深さ窪むガスケット挿入溝部と、
   前記挿入用リブ部が挿通された状態で前記ガスケット挿入溝部に挿入されるガスケットと、
   を有し、
   前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部との間には、それぞれ前記ガスケットが配置される、
   排気ガス浄化装置。
7. 請求項１乃至請求項６のいずれか一項に記載の排気ガス浄化装置において、
   前記上流筒体は、第１支持部材を介して前記車体に固定され、
   前記下流筒体は、第２支持部材を介して前記車体にボルトによるボルト止めにより固定され、
   前記第２支持部材は、前記ボルトが挿通される前記軸方向に長い長孔を有し、
   断面Ｕ字形又はＶ字形の溝が内側を向いて環状になるように構成されたクランプ結合具を備え、
   前記浄化用筒体の上流側と下流側の各フランジ部と、前記上流筒体と前記下流筒体の各フランジ部とは、互いに対向するフランジ部が前記クランプ結合具の前記溝内に挟まれて、取り付け、取り外し可能に互いに接続される、
   排気ガス浄化装置。
   

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