JP6743663B2 - 超硬合金及び超硬工具 - Google Patents

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Description

本発明は、超硬合金及び超硬工具に関する。
超硬合金はたとえば、超硬工具に用いられる。超硬工具は、高硬度鋼材等の鋼材を加工するために用いられる。超硬工具はたとえば、鋼材表面の旋盤加工用工具、ねじ切削工具、粉体成形金型、冷間引き抜きプラグ及びビレット穿孔工具等である。
超硬工具を用いて鋼材を加工する際、超硬工具と加工される鋼材との接触面には、高い面圧及び高温の摺動摩擦熱が生じる。このため、超硬工具に機械的摩耗が生じる。特に、高硬度鋼材を切削加工する場合、超硬工具の機械的摩耗及び塑性変形が早く発生し、超硬工具の刃先欠損が発生する。この場合、超硬工具の工具寿命が短くなる傾向がある。工具寿命が短ければ、工具コストが高まる。さらに、超硬工具の交換頻度が高まるため、作業効率が低下する。したがって、超硬工具には、工具寿命の長寿命化、具体的には、高硬度及び優れた抗折力が必要とされる。
超硬工具の長寿命化のために、超硬合金の機械的性質及び耐摩耗性を高める方法が、特開平7−238338号公報(特許文献1)及び特開昭60−238482号公報(特許文献2)に提案されている。
具体的には、特許文献1に開示される高強度強靱性超硬合金は、3〜30重量%の結合相と0.03〜5重量%の分散相と、残りが炭化タングステンからなる超硬合金である。結合相はCoおよび/またはNiを主成分とし、分散相は第1分散相および第2分散相からなる。第1分散相はTi、Zr、Hf、V、Nb、Taの炭化物、窒化物、これらの相互固溶体であり、第2分散相はTi、Zr、Hf、V、Nb、Taの1種以上とWとを含む複合炭化物,複合窒化物,複合炭窒化物である。分散相にはTi、Zr、Hfの中の1種以上の4a族元素とV,Nb,Taの中の1種以上の5a族元素が含まれている。分散相に含まれるTi、Zr、Hfの中の1種以上の4a族元素は、分散相に含まれるV、Nb、Taの中の1種以上の5a族元素に対する重量百分率で85%以下である。分散相は最大径5μm以下で該超硬合金中に均一に分散されている。これにより、特許文献1に記載の超硬合金は、硬さ、抗折力及び破壊靭性値が高まる、と特許文献1には記載されている。
特許文献2に開示される超硬合金は、WCとTi、Zr、Nb、Ta、Cr、MoおよびWからなる群より選ばれた金属の複炭化物および/または複窒化物の1種もしくはそれ以上を硬質相とし、鉄族金属の1種もしくはそれ以上を結合相とする。超硬合金表面から1〜100μmの部分においては、Ti、Zr、Nb、Ta、Cr、MoおよびWからなる群より選ばれる2種以上の金属の複炭化物および/または複窒化物の1種もしくはそれ以上を硬質相が、合金表面から1〜100μmより内部における硬質相の割合に比べ著しく減少しているか消失している。合金表面から1〜100μmにおいては、主として、WCと鉄族金属の1種もしくはそれ以上からなる複炭化物が消失している超硬合金を母材として、母材表面に、周期律表IVa、VaおよびVIa族の金属とAl、Si及びBからなる群より選ばれる1種以上と、C、B、NおよびOからなる群より選ばれる1種以上から構成される被覆を有する。これにより、特許文献2に記載の超硬合金は、耐塑性変形性及び耐熱性が高まる、と特許文献2には記載されている。
上述の特許文献1及び特許文献2に開示された超硬合金は、主にタングステンカーバイド(WC)を主成分とする硬質相に、4a族元素の炭化物や窒化物、又は、5a族元素の炭化物や窒化物を固溶又は析出させる。4a族元素はたとえば、Ti及びZrである。5a族元素はたとえば、V及びTaである。これらの超硬合金はさらに、Fe、Co、Niなどの鉄族元素を、単体又は二種以上の複合金属として、結合相に偏析させる。これにより、超硬合金の機械的性質や耐摩耗性を高める。
特開平7−238338号公報 特開昭60−238482号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された超硬合金では、機械的性質や耐摩耗性は高まるものの、高い面圧及び高温の摺動摩擦熱が生じる環境(以下、高温高圧環境ともいう)においては、硬度及び抗折力が低い場合がある。
本発明の目的は、高硬度及び優れた抗折力を有する超硬合金及び超硬工具を提供することである。
本実施形態による超硬合金は、硬質相と、硬質相を100質量%とした場合に10〜15質量%の結合相とを含有し、残部は不純物である。硬質相は、WCと、TiC、及び、TaCからなる群から選択される1種以上とからなる。結合相は、硬質相を100質量%とした場合、Mo:2〜5質量%と、Mg:0.5〜1.0質量%と、Co:7.0〜12質量%、及び、Ni:0〜5.0質量%未満からなる群から選択される1種以上を合計で8〜12質量%とを含有し、残部は不純物からなる。
本実施形態による超硬合金及び超硬工具は、高硬度及び優れた抗折力を有する。
図1は、本実施形態による超硬合金及び超硬工具の製造工程を示す図である。
本発明者らは、硬質相及び結合相と、超硬合金の硬度及び抗折力との関係について、種々の検討を行った。その結果、本発明者らは、高い面圧及び高温の摺動摩擦熱が生じる高温高圧環境において、結合相の破壊により超硬合金の硬度及び抗折力が低下することを見出した。
そこで本発明者らは、結合相の破壊を抑制する方法について検討した。その結果、本発明者らは、以下の知見を得た。
[抗折力について]
結合相の破壊は、脆性破壊に起因する。脆性破壊はたとえば、熱亀裂による破壊である。結合相に熱亀裂がわずかでも存在すれば、この部分が破壊基点となる。この場合、弾性変形及び塑性変形を経ることなく、結合相の脆性破壊が生じる。熱亀裂は、超硬合金の放熱性が低い場合に、硬質相と結合相との熱膨張率の差異により発生する。
結合相の熱伝導率を高めれば、硬質相と結合相との熱膨張率の差異が低減する。そのため、結合相の熱亀裂の発生が抑制され、結合相の脆性破壊が抑制される。その結果、高温高圧環境においても、超硬合金は優れた抗折力を有する。
モリブデン(Mo)及びマグネシウム(Mg)は、鉄族元素(Co、Ni)と比較して、熱伝導率が高い。具体的には、Moの熱伝導率は138W/m・℃程度であり、Mgの熱伝導率は156W/m・℃程度である。これに対して、Coの熱伝導率は100W/m・℃程度であり、Niの熱伝導率は90.9W/m・℃程度である。したがって、超硬合金にMo及びMgを含有すれば、結合相の熱伝導率が高まり、超硬合金の放熱性が高まる。その結果、高温高圧環境においても、結合相の脆性破壊を抑制できる。この理由は次のとおりと考えられる。
Mo及びMgの熱伝導率は、硬質相の主成分であるWCの熱伝導率(126W/m・℃程度)よりも高い。そのため、Co主体又はCo及びNi主体の結合相にMo及びMgを含有すれば、結合相の熱伝導率が硬質相の熱伝導率に近づく。この場合、高温高圧環境において、硬質相及び結合相の熱膨張率の差異が低下する。そのため、高温高圧環境においても、超硬合金の結合相の脆性破壊が抑制され、その結果、超硬合金の抗折力が高まる。
[硬度について]
超硬合金の硬度は、硬質相の硬度とほぼ同等である。この理由は超硬合金の製造方法により説明できる。
図1は、本実施形態による超硬合金及び超硬工具の製造フロー図である。図1を参照して、超硬合金の製造方法は、準備工程、混合・粉砕工程、乾燥・造粒工程、プレス成形工程、及び焼結工程を備える。準備工程では、WC、TiC、TaCといった金属炭化物を化学合成する。混合・粉砕配合工程では、準備した金属炭化物に結合相の材料(以下、結合材という)を混合し、粉砕する。結合材はたとえば、鉄族元素(Co、Ni、Mo及びMg)である。その後、乾燥・造粒工程後、プレス成形及び焼結工程により、超硬合金は、金属炭化物及び結合材の焼結体として製造される。
上述の製造工程において、結合材は、結合相にのみ存在する。そこで、本実施形態では、硬質相を100質量%とした場合、結合相を最大でも15質量%に抑える。この場合、本発明の超硬合金の硬度は、硬質相の硬度とほぼ同等になり、高温高圧環境において高い硬度を維持できる。
以上の知見に基づいて完成した本実施形態による超硬合金は、硬質相と、硬質相を100質量%とした場合に10〜15質量%の結合相とを含有し、残部は不純物である。硬質相は、WCと、TiC、及び、TaCからなる群から選択される1種以上とからなる。結合相は、硬質相を100質量%とした場合、Mo:2〜5質量%と、Mg:0.5〜1.0質量%と、Co:7.0〜12質量%、及び、Ni:0〜5.0質量%未満からなる群から選択される1種以上を合計で8〜12質量%とを含有し、残部は不純物からなる。
本実施形態による超硬合金は、超硬工具に用いてもよい。この場合、高温高圧環境において、高硬度及び優れた抗折力を有する超硬工具が得られる。
以下、本実施形態の超硬合金及び超硬工具について詳細に説明する。
[超硬合金]
超硬合金は、金属炭化物及び結合材の焼結体である。本実施形態による超硬合金は、硬質相と、硬質相を100質量%とした場合に10〜15質量%の結合相とを含有し、残部は不純物からなる。ここでいう主な不純物は、例えば、Feである。
[硬質相]
硬質相は複数の金属炭化物粒子(金属炭化物結晶粒)からなる。より具体的には、硬質相は、WCと、TiC及びTaCからなる群から選択される1種以上とからなる。本実施形態の硬質相は、上述の不純物を含むものも含まれる。
炭化タングステン(WC)は、高硬度及び高融点の炭化物であり、靱性及び抗折強度に優れる。そのため、WCは、主に重切削の環境下で工具寿命を向上する。さらに、WCの熱伝導率が高い。そのため、切削加工時等の高温高圧環境下で超硬合金を使用した場合、超硬合金に発生する摩擦熱を外部へ逃がすことができる。
炭化チタン(TiC)はWCと比較して硬度が高い。そのため、TiCを含有した場合、超硬合金の強度が高まる。炭化タンタル(TaC)は化学的安定性が高い。そのため、TaCを含有した場合、超硬合金の化学的安定性が高まる。したがって、硬質相はWCとともに、TiC及びTaCのいずれか1種以上を含有する。
硬質相中の好ましいWC含有量は、超硬合金全体を100質量%とした場合、80〜98質量%である。
[結合相]
結合相は、超硬合金中において、金属炭化物粒子間に存在する、いわゆるバインダである。金属炭化物粒子を結晶粒とすれば、結合相は結晶粒界に相当する。
結合相は、硬質相を100質量%とした場合、10〜15質量%である。結合相が10質量%未満であれば、製造時の焼結性が低下する。この場合、硬質相が結合相と十分に結合されず、超硬合金の抗折力が低下する。結合相が15質量%を超えれば、相対的に硬質相が減少する。この場合、超硬合金の硬度が低下する。結合相が15質量%を超えればさらに、超硬合金の靭性が低下する。したがって、結合相は、硬質相成分を100質量%とした場合、10〜15質量%である。結合相の好ましい下限は、11質量%である。結合相の好ましい上限は、14質量%である。
結合相は、Moと、Mgと、Co及びNiからなる群から選択される1種以上とを含有し、残部は不純物からなる。ここでいう主な不純物は、例えば、Fe3C等の金属炭化物である。
以下、結合相の化学組成を説明する。各元素の質量%は、硬質相成分を100質量%とした場合の質量%である。
Mo:2〜5質量%
モリブデン(Mo)は、上述のとおり、Co及びNi等の鉄族元素と比較して、熱伝導率が高い。そのため、Moが結合相に含有されれば、結合相の熱伝導率が高まる。その結果、結合相の熱伝導率が硬質相の熱伝導率に近づく。つまり、超硬合金の放熱性が顕著に高まる。そのため、高温高圧環境においても、結合相の熱亀裂などの脆性破壊を抑制できる。Mo含有量が低ければ、この効果が得られない。一方、Mo元素含有量が高すぎれば、焼結性が低下する。したがって、Mo含有量は2〜5質量%である。Mo含有量の好ましい上限は、3質量%である。
Mg:0.5〜1.0質量%
マグネシウム(Mg)は、上述のとおり、鉄族元素と比較して、熱伝導率が高い。そのため、Moと同様、Mgは、超硬合金の抗折力を高める。Mg含有量が低ければ、この効果が得られない。一方、Mg含有量が高すぎれば、焼結性が低下する。Mg含有量が高すぎればさらに、超硬合金の強度が低下する。したがって、Mg含有量は0.5〜1.0質量%である。
Co:7.0〜12質量%、及び、Ni:0〜5.0質量%未満:合計で8〜12質量%
コバルト(Co)及びニッケル(Ni)は硬質相のバインダとして機能し、硬質相の粒界すべり強度を高める。その結果、Co及びNiは、超硬合金の抗折力を高める。これらの元素の合計含有量が8質量%未満であれば、この効果が得られない。一方、これらの元素の合計含有量が12質量%を超えれば、相対的に硬質相量が減少するため、超硬合金の硬度が低下する。したがって、Co及びNiの合計含有量は8〜12質量%である。Co及びNiの合計含有量の好ましい下限は9.0質量%である。
上記Co及びNiのそれぞれの特性は次のとおりである。
Coは、超硬合金の焼結性を高め、焼結体である超硬合金を緻密にする。その結果、超硬合金の抗折力が高まる。Co含有量が低すぎればこの効果は得られない。一方、Co含有量が高すぎると、超硬合金の硬度が低下する。したがって、Co含有量は7.0〜12質量%である。Co含有量の好ましい下限は8.0質量%である。Co含有量の好ましい上限は10質量%である。
Niは任意元素であり、含有されなくてもよい。含有される場合、Niは超硬合金の焼結性を高める。しかしながら、Ni含有量が高すぎれば、Co含有量が相対的に減少するため、超硬合金の抗折力が低下する。したがって、Ni含有量は0〜5.0質量%未満である。Ni含有量の好ましい下限は1.0質量%であり、さらに好ましくは2.0質量%である。Ni含有量の好ましい上限は4.0質量%である。
以上の構成を有する本実施形態の超高合金は、切削加工時のような高温高圧環境において、高硬度及び優れた抗折力を有する。
[製造方法]
本実施形態の超硬合金の製造方法の一例を説明する。図1を参照して、本実施形態の超硬合金の製造方法は、準備工程、混合・粉砕工程、乾燥・造粒工程、プレス成形工程、及び焼結工程を備える。以下、各工程を詳述する。
[準備工程]
準備工程では金属炭化物の化学合成を行う。まず、上述の金属炭化物を構成する材料の全ての原料粉末を準備する。つまり、W、Ti及びTaの1種以上、及びCの粉末を準備する。原料粉末を混合して、金属炭化物の化学合成を行い、金属炭化物(WC、TiC及びTaCの1種以上)を生成する。
[混合・粉砕工程]
混合・粉砕工程は、混合工程及び粉砕工程を含む。混合工程では、準備工程で化学合成した金属炭化物及び結合材を混合する。本実施形態において、結合材は、Mo、Mg、Co及び、必要に応じてNi、である。
混合工程には、公知の装置を用いることができる。たとえば、超音波ホモジナイザー、転動ボールミル、及びV型ミキサーである。具体的には、金属炭化物及び結合材を所定の比率で配合し、メディア(粉砕ボール)を入れたボールミルを用いて粉砕混合してもよい。
粉砕工程では、混合した金属炭化物及び結合材を粉砕して、粉砕粉末とする。粉砕方法は特に限定されない。粉砕方法はたとえば、ハンマーの打撃による破砕である。必要に応じて、粉砕粉末をさらにジェットミルなどの公知の方法により粉砕して、より微細な粉砕粉末としてもよい。
[乾燥・造粒工程]
乾燥・造粒工程では、粉砕粉末を造粒する。粉砕粉末に対して、有機バインダを添加する。有機バインダはたとえば、パラフィンワックスやポリエチレングリコールである。乾燥させ、顆粒の形状に造粒する。造粒は公知の方法で実施できる。たとえば、スプレードライヤー等の造粒機による造粒である。
[プレス成形工程]
プレス成形工程では、顆粒を金型に充填して、所定の形状に成形する。所定の形状はたとえば、切削工具形状である。具体的には、顆粒をプレス成形してプレス体を作製する。
[焼結工程]
焼結工程では、プレス体に対して、脱バインダ処理、予備焼成、及び本焼結を実施する。脱バインダ処理では、乾燥・造粒工程で添加した有機バインダを除去する。予備焼成では、金属炭化物同士をできるだけ強固に結合して予備焼成体を形成する。脱バインダ処理と予備焼成はまとめて1工程にて行う。予備焼成の焼成条件は周知の条件で足りる。好ましくは、予備焼成の焼結条件は、大気中で、焼成温度が700〜1000℃であり、焼成温度の保持時間が60〜120分である。この場合、金属炭化物同士が十分に結合する。これにより、適度な大きさの硬質相を形成できる。
本焼結では、予備焼結で得られた予備焼成体を、液相の結合相中に保持して、焼結耐の超硬合金を形成する。本焼結は、一般的な装置を用いて実施できる。一般的な装置とはたとえば、焼結炉である。本焼結の焼結条件は周知の条件で足りる。好ましくは、焼結条件は、真空中で、焼結温度が1250〜1300℃であり、焼結温度の保持時間が100〜180分である。この場合、適度な大きさの硬質相の間に結合相が十分形成され、超硬合金の硬度及び抗折力が高まる。以上の工程により、超硬合金が製造される。
本実施形態の超硬工具は、上述の製造工程で製造された超硬合金をそのまま適用してもよい。本実施形態の超硬工具はさらに、上述の製造工程に製造された超硬合金に対して、必要に応じて成膜工程を実施して製造されてもよい。
[成膜工程]
成膜工程では、金属窒化物、金属炭化物、金属炭窒化物及び金属酸化物からなる群から選択される少なくとも1種を含有する硬質保護膜を超硬合金の表面に形成する。具体的には、表面加工工程を実施した超硬合金に対して、周知の成膜工程を実施する。成膜工程ではたとえば、周知の物理蒸着法、化学蒸着法及び溶融塩浴処理法のいずれかを実施する。
種々の組成の超硬合金を製造し、高温での硬度及び抗折力を評価した。具体的には、次の製造工程により超硬合金を製造した。
[準備工程]
まず、硬質相となる金属炭化物を作製した。硬質相成分として、W:95質量%、Ti:3質量%、Ta:2質量%、及び、これらの総量と等価量のカーボン粉末を混合し、加熱処理にて、金属炭化物を化学合成した。
さらに、結合相の組成が表1に示すとおりになるよう結合材を用意した。結合相の組成は、硬質相を100質量%とした場合の各元素の含有量(質量%)とした。
Figure 0006743663
[混合・粉砕工程、乾燥・造粒工程、プレス成形工程、及び真空高温焼結工程]
金属炭化物及び結合材を混合し、200MPaで加圧成形した。得られた成形体に対して、大気中にて、1000℃で予備焼成を実施した。加熱時間は2時間であった。予備焼成後の成形体に対して、真空中にて、1300℃で本焼結を実施して超硬合金を製造した。加熱時間は2時間であった。以上の工程により、各試験番号の超硬合金を製造した。
[ビッカース硬さ試験]
各試験番号の超硬合金のビッカース硬さを測定した。ビッカース硬さ試験は室温及び500℃で実施した。ビッカース硬さはJIS Z 2244(2009)に基づいて実施した。試験荷重は単位面積(1mm2)あたりで、9.80N(1kgf)とした。測定結果を表1の「硬度(Hv)」欄に示す。
[抗折力測定試験]
各試験番号の超硬合金について、抗折力試験を実施して、抗折力を測定した。抗折力測定試験は室温及び500℃で実施した。抗折力(GPa)は、超硬工具協会規格CIS026B−2007「超硬質合金の曲げ強さ(抗折力)試験方法」に基づいて測定した。具体的には、加工歪の影響を除去するため、作製した超硬合金の長手方向の端面を除く4面を研削して、これを試験片とした。この試験片について、支点間距離20mmの3点曲げ試験治具を用いて、600MPaの応力を付加した。ここでは、各試料において、時間変化に伴う加重点の変位を測定し、抗折力(GPa)を求めた。同一の試験片を6つ作製し、同様の試験を6回行い、その平均値を求めた。測定結果を表1に示す。
[評価結果]
評価結果を表1に示す。表1を参照して、試験番号3、4、5及び8の超硬合金は、硬質相及び結合相の化学組成が適切であった。そのため、室温での硬度が1800Hv以上、抗折力が2.5GPa以上となり、高硬度と優れた抗折力とを有した。さらに、500℃での硬度が1500Hv以上、抗折力が2.0GPa以上となり、高温高圧環境においても、高硬度と優れた抗折力とを有した。
一方、試験番号1の超硬合金は、Mo及びMgを含有しなかった。そのため、超硬合金の抗折力が室温及び500℃ともに低かった。
試験番号2の超硬合金は、Mo含有量が低かった。そのため、500℃での超硬合金の抗折力が低かった。
試験番号6の超硬合金は、Mo含有量が高かった。そのため、超硬合金の硬度が室温及び500℃ともに低かった。
試験番号7の超硬合金は、Mg含有量が低かった。そのため、500℃での超硬合金の抗折力が低かった。
試験番号9の超硬合金は、Mg含有量が高かった。そのため、焼結不良となり、評価ができなかった。
試験番号10の超硬合金は、Mo含有量が低く、結合材の合計含有量も低かった。そのため、500℃での超硬合金の抗折力が低かった。
試験番号11の超硬合金は、Co含有量が低かった。そのため、500℃での超硬合金の抗折力が低かった。
試験番号12の超硬合金は、結合相の合計含有量が高かった。そのため、室温及び500℃ともに超硬合金の硬度が低かった。
試験番号13の超硬合金は、Co含有量が低く、Co及びNiの合計含有量が低かった。そのため、室温及び500℃ともに超硬合金の抗折力が低かった。
試験番号14の超硬合金は、Co及びNiの合計含有量が高かった。そのため、室温及び500℃ともに超硬合金の硬度が低かった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。

Claims (2)

  1. 硬質相と、
    前記硬質相を100質量%とした場合に10〜15質量%の結合相と、
    を含有し、残部は不純物からなり、
    前記硬質相は、
    WCと、
    TiC、及び、TaCからなる群から選択される1種以上と、
    からなり、
    前記結合相は、前記硬質相を100質量%とした場合、
    Mo:2〜5質量%と、
    Mg:0.5〜1.0質量%と、
    Co:7.0〜12質量%、及び、Ni:0〜5.0質量%未満からなる群から選択される1種以上を合計で8〜12質量%と、
    を含有し、残部は不純物からなる、超硬合金。
  2. 請求項1に記載の超硬合金からなる、超硬工具。
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